ナツメロ大王さんのクチコミ(475ページ)全9,711件

金沢にあった旧制第四高等学校から移築した講堂です。肇国の精神漲る時代、国家の将来を担おうという人材教育の場です。まだまだ貧しかった日本にあって各地に設立された旧制高等学校は正にエリートの集まり。階段式に机が配置された講堂に、勉学に勤しんだ昔を懐かしく方も多いのではないでしょうか。

金沢にあった旧制第四高等学校の武術道場が移設されています。柔道・剣道・弓道の三武道の鍛錬の場であった大きな空間を見ると、黒沢映画の「姿三四郎」を思い出してしまいます。建物自体は至ってシンプルで質実剛健な「武」の道を感じますが、実は床にスプリングが入れられるなど様々な工夫が凝らされています。

静岡県焼津に、明治初年に建てられた町屋です。いわば江戸期日本の建物といっても良い訳で非常に興味深く見学できました。間口は狭く、奥行きのあるこの建物に、「怪談」で有名な小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが避暑に訪れていたとのこと。こうした日本家屋が彼の目にはどう映ったか、そんか事に思いを馳せながら見学してみるのは如何でしょうか。

明治村三丁目には京都市電が移設され走っていますが、明治村2丁目と三丁目の丁度交わるあたり、市電を見守るように派出所が建っています。こちらも京都から移設された物で、レンガ造りの外観も「文明開化」の時代に目まぐるしく変わる京都の街角を代表する風景を構成していたのでしょう。当時の制服に身を包んだ女性の駐在さんが、笑顔でお勤め中でした。

幼少の頃、風邪をひくと歩いて連れて行かれた近所の診療所。座敷の待合室でこたつにあたりながら待っていると、奥から白衣の先生によばれ小さな診察室に通されます。そこは板の間で、所狭しと薬や診察道具が置かれており、「今日はどうしたのかい？」と優しく問いかけてくる。この清水医院は長野県大桑村にあった、そうした村のお医者さんの診療所を移設した物で、明治の地域医療の現場を窺い知ることが出来る場所です。都会の病院とは違った温かみを感じさせます。

北里柴三郎と言えば、細菌学の権威であると同時に、慶応大学医学部の前身となる医療機関を創立した人としても知られています。その彼の研究所が移築され、破傷風やペスト菌の研究に勤しんだ研究室が、豊富な展示物と共に再現されています。

明治村二丁目に再現された明治の街並み。その突きあたりにあるのが、東山梨郡役所です。国の重要文化財に指定されている明治18年竣工の官庁建築であり、完全な洋館というよりも、屋根の造りなど日本建築のベースに、西洋の味付けをした感があります。こちらでは、明治村住民登録が可能とのことで、3000円で登録すると当該年は何回でもお好きなだけ入村できるとのこと。

明治２０年に貿易港神戸に建てられた西洋人住居ということで、アーチ状のエントランスや窓の開口部、ベランダなど西洋のテイストに満ちています。面白いことに渡り廊下でつながった離れがあり、そこの２階に和室が設けられています。

洋風の下見板張りの教室部分と、白漆喰のエントランスという構造で、軽快で明るい学校建築となっています。展示内容も素晴らしく、明治期に試行錯誤をしながら教育に注力していった過程が、教科書などをを通じて分かりやすく説明されています。

近衛師団の建物として、皇居内にあった建築を移築したもので、アーチを多用した開放的な造りとなっています。三重県尋常小学校の建物を見学した後に訪問すると地味な存在に感じますが、本来の用途を考えればそれも頷けますね。

立法、行政、司法の三権の分立が司法権という概念とともに成立した明治期の頃の建築です。ロウ人形とともに当時の裁判の様子が再現されています。建物は和風の日本建築の伝統に則って建てられており、その中に刑事法廷が開設されている点など興味深いですね。

文化人幸田露伴の住まった家が移築されています。明治初期に東京の東向島に建てられたこの建物を見ると、一つの確立した日本的生活様式が感じられて興味深いですね。狭い階段を二階に上がることも出来ますし、畳の部屋でくつろぐ生活に思いを馳せるのも乙なものです。

明治５年、鉄道開通に伴い新橋に建築された整備工場です。すべての鉄道技術をイギリスから輸入したとのことで、ここも建材を輸入しイギリス人の指導の下に建築されたものです。その意味ではプレハブ建築の始まりともいえる建築ですね。内部には重要文化財の紡績機を始め、近代化を支えた各種機械が展示されています。

玄関先には建設当時の学習院長であった乃木大将の写真が展示されています。ガイドツアーでないと内部に上がって見学することはできないですが、覗き込んだん限りでは、洋風の外観でも内部は畳が敷かれており、戦後昭和の一般的な家屋に向かう方向性が見えるように感じました。

非常に質素な造りの病院で、平屋造りの内部には医療器具など展示されています。明治１１年の竣工とのことですから、手さぐりで西洋の医療技術を学んでいた時代です。また、ダイアナ号という国産の医療用Ｘ線装置も見学することが出来ます。

東京渋谷にあった日本赤十字社中央病院病棟です。ハーフティンバー風の外観からも窺い知ることが出来る通り、光が燦々と降り注ぐ病棟です。玄関には赤十字の理念を示す木製の浮き彫りが誇らしげに掲げられ、建物内部には医療器具やベッドなどで当時が再現されています。戦場にあっては敵味方の分け隔てなく負傷者治療を行うという、赤十字の精神を当時の日本は必至に学んでいたのですね。

明治村を正門から見学をスタートしますと、丁度北端に位置する場所に内閣文庫が東京千代田区から移築されています。中には世界のミニチュア建築の常設展示が行われており、日本を中心に様々な有名な建築のミニチュアが展示され、以前東京で訪れたことのある前田侯爵邸や法務省旧本館など、通常の観光コースからは外れた建物もあり、ひとり興奮を感じました。

明治２０年の建築で、牛鍋を提供する店であったそうです。今でいうすき焼きは、こうした所から始まり広まっていったようで、明治以前は牛肉自体がさほど日本では食されてはいなかったのですね。今でも二階で牛鍋を楽しむことができるので、時間と懐に余裕があれば一度味わいたいですね。

明治期、東京の中流階級の住まいですが、隣接して移築されている西郷従道の洋館と比較すると、開放的な日本建築の構造が良く分かります。縁側にはボランティアの方でしょうか、丁度書物を読んで時を過ごしておられる姿が大変に美しくありました。
また、夏目漱石の「吾輩は猫である」が執筆された場所とのことで、猫の置物など置かれていました。

明治期、雪深い新潟県上越市に建てられた写真館です。明治村では比較的地味で目だない存在かもしれませんが、東京から遠く離れた地方都市である上越市に、こうした意匠を凝らした洋館が建てられ、多くの市民の姿を写真という形で残す役割を果たしてきたことに、敬意を感じます。日本にスキーを伝えたレルヒ少佐が指導にあたったのが、この町であったため、彼の写真なども展示されています。二階の写真スタジオでは、天然光を取り入れる工夫がされたガラス張りの天井や、記念撮影の背景を飾った書割りなど見学することが出来ます。