すぶたさんのクチコミ(21ページ)全3,773件

近松門左衛門の「曽根崎心中」は、
人形浄瑠璃で一番有名な作品と言ってよいでしょう。
醤油屋の手代の徳兵衛と遊女お初の悲恋を描いた作品です。
大阪キタのお初天神は有名で、観光客も絶えません。
しかし、実際のお初のお墓はここ久成寺にありました。

お初は天満屋という置屋の遊女で、
天満屋が久成寺の檀家であった関係から、
久成寺に墓が建てられたとされています。
当時は天満屋の遊女がお初を慕って、
墓前で自殺を図って住職に助けられたとも伝わっています。
明治の動乱期には所在不明となりましたが、
2002年（平成14年）お初の３００回忌に当たることから、
久成寺の住職が再建しました。

悲しい男女の人生を感じました。
また、大相撲春場所（大阪場所）の宿泊場所にもなっているようです。

法性寺は立派な仁王門があり、仁王様が睨みを利かせています。
どうしても仁王門に目がいきがちですが、
山門に回ると「ボードインゆかりの地」の石碑があります。
また、境内にはボードイン顕彰碑もあります。
ボードインはいわゆる雇われ外国人で、
浪華仮病院の医師兼教授でした。

浪華仮病院自体は大福時におかれましたが、
住んでいたのは法性寺で、
生活習慣の違いから境内でブタを飼おうとしたこともありました。

日本では豚はまず江戸時代には食べることはなかったので、
かなりびっくりされたでしょうね。

この辺りはお寺ばかりで、区別がなかなかつきません。
しかし、こちらは立派な仁王門があって、仁王様が睨みをきかせて印象的です。
また、山門にはオランダ人医師の「ボードウィンゆかりの地の石碑」もあります。
他にも境内に「麺類職人の墓」もあります。
これは、大阪はうどんが名物です。
戦前の大阪には麺類の職人さんが多く、
独身のまま修行し、一生を終えた人も多く、
無縁仏になることも多かったそうです。
そこで、法性寺に「麺類職人の墓」が造られました。
昔はそういう人も多かったんですね。


周辺のお寺と違って、特徴のあるお寺で面白かったです。

豊臣秀吉は、大坂城の南部は防備に弱いことから、周辺にいくつもの寺町を造りました。
計画を立て、徐々に実行に移していきました。
代表的な寺町として、城南寺町・中寺町・下寺町があります。
その一つ中寺町に建つのが蓮成寺です。
蓮成寺の宗派は、京都妙満寺を総本山とする顕本法華宗で、
２００強の寺院を抱える小宗派です。
観光寺ではないので、静かな雰囲気でした。

長久寺は1579年（天正七年）に、
豊臣秀頼の武運長久を祈るため淀君の命で建立されました。
片桐且元並びに大野修理之介が奉行となり、大坂城築城の余材をもって建てられました。
開山は中正院日長聖人です。
1712年（正徳二年）本堂を除き殆どの堂宇が焼失しましたが、
宝暦（1751～1764年）、明和（1764～1771年）年間に復興しました。

現在はコンクリート製で、公民館のようで趣はありません。
なお、境内の墓地には赤穂浪士の１人の原惣右衛門の墓があります。

大阪社会福祉センターの一角に立派な石碑があります。
それも、最近の四角く何の石碑かがわかる程度の石碑ではありません。
大きな石碑でそこまでのアプローチの石畳もあります。
小河博士は現在の民生因の礎となった人で、
監獄課長や典獄（刑務所長）を歴任しました。
貧しさゆえに犯罪を犯したことを踏まえ、
貧しい地域に足を運んで、犯罪者の更生に勤めたそうです。
そこから、民生委員制度などを整えたそうです。
最近の児童虐待などのニュースを聞くたびに、
若年層からの教育などが重要だと思いました。

木谷蓬吟は大正から昭和の浄瑠璃研究家で、
特に近松門左衛門を研究していました。
五代竹本弥太夫の次男で、一旦は神戸の貿易銀行に就職しましたが、
父である五代竹本弥太夫の死を受けて浄瑠璃の世界に入りました。
その妻、千種は日本画家で、夫婦そろってアカデミックです。
男尊女卑が強い中、仲睦まじく写っている写真が
石碑の横にありました。
なお、同じく高津宮内には日本画家仲間の美人画家、
北野恒富の筆塚もあります。

それにしても、こういう石碑などはこれから先もきちんと管理されているのかな？

梅とゆかりが深いので有名なのは菅原道真公ですが、
仁徳天皇もゆかりが深いです。
高津宮では２月１０日に献梅祭が開催されます。
これは、仁徳天皇の教育係だった王仁博士が詠んだ歌にも関係しています。

浪速津に　咲くやこの華冬ごもり
今は春べと　咲くやこの花

この歌に梅の花を添えて献上しました。
「咲くやこの花」は、大阪を表すのにもつかわれていますね。


実際、訪問したのが３月半ばだったので、梅が大変綺麗に咲いていました。
なお、最近即位された新天皇陛下は仁徳天皇の仁徳から、
徳仁（なるひと）のお名前を頂いたそうです。
お誕生日も２月２３日と、梅の季節なので感慨深く思いました。

高津神社（高津宮）にある公園です。
高津神社は梅に関係する石碑や建物が多く、梅が見事な公園です。
また、梅の季節以外でも桜やイチョウが黄色く染まる季節も良いようです。
訪れた時は３月だったので、梅が綺麗に咲いていました。
また、表参道の方には遊具もあるので、子供連れにも良いと思います。
この辺りは、繁華街から離れているので、
静かに季節の花が楽しめて良いと思いました。

高津宮は、歌舞伎の「夏祭浪花鑑」の舞台です。
浪花の俠気の男たちとその妻たちの物語です。

最近、坂田藤十郎が絵馬を奉納しました。
歌舞伎絵師の穂束とよ國氏が藤十郎氏をモデルに 、
『夏祭浪花鑑』の団七九郎兵衛を描いたものです。

他にも北前千石船の模型があったり、楽しめました。
いずれにしろ、高台のある高津宮ですので、休憩にぴったりの場所です。

高津宮の表参道の梅乃橋の近くには様々な石碑が建立されています。
その中でも立派なのが「北野恒富筆塚」です。

北野恒富は金沢の出身の明治から昭和の美人画家です。
画家を志して大阪に移り、稲野年恒に歌川派の浮世絵を学びました。
また、大阪では新聞発行も多く鵜、新聞小説に挿絵を描き、
美人画家として次第に注目を集めました。
大阪画壇の重鎮として活躍しました。

あべのハルカスで、２年ほど前に展覧会もあったそうです。
高津宮の近くに住んでいた縁で、
絵を描くのに使っていた筆を埋納したのが縁だそうです。

美人画の画家の筆塚のわりに、無骨な形なので？と思いました。

郡戸王子（こうとおうじ）は、熊野古道九十九王子の３番目です。

熊野子土光九十九王子は、熊野古道沿いに在する神社のうち、
主に１２世紀から１３世紀にかけて、
皇族・貴人の熊野詣に際して先達をつとめた、
熊野修験の手で急速に組織された一群の神社をいいます。

あくまで推定地なので、石碑も控えめです。
しかし、天満のあたりにも熊野古道の石碑があり、
四天王寺などにもあることから十分考えられます。

その昔は徒歩、馬、籠、牛車などで旅行したのですから大変ですね。
現代の私たちは、気軽に移動できますが…。

2019年4月にはフランス・パリのノートルダム大聖堂が焼けてしまいました。
昔から、火事は建物には禁物でしたが、
特に日本では木造の建物が多く、国宝、重要文化財のものでも火災に遭ってきました。
特に、第二次世界大戦では、被害にあったものです。

大阪でも大阪大空襲があり、
ここ高津宮でも高台にあっても神輿庫を残して社殿は焼失してしまいました。

神輿庫は、宝暦年間（1751～1764年）より戦火をまぬがれて今に至っています。
入口の向拝の天井には瓦製の龍が眼光鋭くとぐろを巻いて睨みをきかしています。
大神輿2基、小神輿2基を格納しています。

今回は角のしてあるのをのぞき込みました。
また、神輿をナマで見たいと思いました。

鉄格子というのは、江戸時代の狂歌師・鉄格子波丸（なみまる）を指します。
本業は鉄問屋で、大阪の立売堀（いたちぼり）に店を構えていました。
玄関の格子を当時めずらしい鉄にして、鉄格子波丸と号したそうです。
息子も鉄格子独酔（どくすい）の名で詩文・狂歌をつくったそうです。
真っ黒な歌碑で水平に筋があって変わっていました。
なんだか現代アートな雰囲気で面白かったです。

比売古曽神社は「ひめこそじんじゃ」と読み、
高津宮の境内末社で本殿の左側に位置しています。
右側にある高倉稲荷神社が朱塗りの鳥居や拝殿で華やかなのに比べ、
比売古曽神社は、塗りのない木材が使われていて、
小さく質素な感じです。
別名、下照姫命（子育ての神）なので、祭神は女性です。
動物でもそうですが、だいたい女性の方は地味ですね。

それでも由緒ある神社にあるのでうれしかったです。

高津宮の本殿の右側に華やかな赤い鳥居があります。
ここが高倉稲荷神社です。
商売繁盛・五穀豊穣など民衆のあらゆる願いに応じて、
江戸時代に稲荷信仰が全国に広まりました。
お稲荷さんの祭礼が初午の日か午の日に行われる習慣が現在も残っています。
もちろん、総本山は有名な伏見稲荷大社で、
高津の高倉稲荷の初午祭は春の桜が開花する四月の初午の日に行われています。
商売繁盛を願ってお参りされるとよいでしょう。

高津宮の表参道の中程に「梅乃橋」という小さな石の反り橋があります。
もとはこの橋の下には、梅川という川が流れていました。
この川は別名「梅津川」とも呼ばれていて、川下は道頓堀川につながっていたそうです。
高津宮は上町台地に位置しますが、
古来よりこの地は名水が湧くところとして知られていました。
その湧き水の一つがこの川の水源だったようです。

この橋の近くには様々な石碑が建立されています。
現在は井戸は枯れていますが、記念して井戸の形の梅乃井が建立されいました。

高津宮にはたくさんの石碑がありますが、
この石碑は大きな石碑のわりには、手水舎の奥にあり目立ちませんでした。

幕末の儒学者の藤沢南岳が、人の道を説いた生活訓が漢文で書かれています。
泊園書院（はくえんしょいん）は、
江戸時代後期の文政8年（1825年）に、
四国高松出身の藤沢東畡（1794-1864）によって大坂市中に開かれた漢学塾です。
関西大学の源流の一つで、南岳は泊園書院2代目院主にあたります。
また、南岳は、通天閣や森下仁丹の「仁丹」、
日本三大渓谷美の一つとされる四国小豆島の名勝「寒霞渓」の命名者でもありました。
そういうと、へーとなじみが湧きます。

泊園書院は、幕末には大坂大学文学部のもととなった懐徳堂より規模が大きかったそうです。
また、へーと驚きました。

高津宮は小高い丘の上にあるため、
参拝するにあたっていくつか階段が設けられています。
表参道、北坂、西坂、相合坂という４つの坂があります。
このうち、西坂は別名「縁切り坂」と呼ばれており、
反対に相合坂は、「縁結び坂」と呼ばれています。

段差下から見たら二等辺三角形になっており、
男女がそれぞれ左の階段からと右の階段から登ると、
斜面の途中でその左右の階段が合流します。
ちょうど合流地点でうまく合えれば、二人の相性は良いとするそうです。

カップルの場合はこちらからどうぞ。
間違って西坂（縁切り坂）からは上らないようにしましょう。

高津宮は小高い丘の上に位置しています。
そのため、参拝するには階段がいくつかあり、
表参道、北坂、西坂、相合坂という４つの坂を登らないといけません。
そのうち、西坂が縁切り坂と呼ばれています。

西坂は明治初期までは三曲半だったため、
市井で「夫婦や恋人の縁を絶つ」という意味で使われる
「三行半・三下り半」と掛けて「縁切り坂」と呼ばれていたそうです。

現在では階段になっていますが、
それでも悪縁を断ち切りたい人にとっては訪問すべき場所なんだそうです。
ちょっと怖いと思いました。