2025/07/26 - 2025/07/26
172位(同エリア1890件中)
+mo2さん
19世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムトの世界を体感できる展覧会「クリムト・アライブ」が、2025年7月18日(金)から10月5日(日)まで日本橋三井ホールで現在開催中です。早速行ってきました。
- 旅行の満足度
- 1.5
- 観光
- 1.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 新幹線
-
日本橋三井ホールの4・5Fで開催されています
日本橋三井ホール 名所・史跡
-
本展を企画・制作したのは、これまでにも数々の没入型展覧会を手がけてきたオーストラリアのクリエイティブ企業「Grande Experiences(グランデ・エクスペリエンセズ)」
-
世界6大陸、200以上の都市で280回以上の展覧会を開催し、延べ2500万人以上の観客を魅了するなど、国際的に高い評価を受けています。
-
会場に入ると、グスタフ・クリムトの人生をたどることができます。作品について何を得描きどんな技法を使ったか、だけでなくその時代の人たちの反応なども解説されています。
-
会場では、約7メートルの天井高を活かした開放的な空間に、巨大スクリーンが設置され、独自開発の映像システムによって、クリムト作品のきらびやかな色彩や装飾が壁一面に映し出されます。
-
映像は、いくつかのテーマに沿って静かに展開していきます。まずは、ジャポニズムから。
-
日本の美術に影響を受けた「ジャポニズム」の表現では、扇や流水文様、植物のシルエットといったモチーフがクリムトの装飾性に溶け込み、独自の美学を形成していく過程が映し出されます。
-
「秋草図屏風(部分)」伝 尾形光琳 18世紀・江戸時代より
-
尾形光琳が最晩年に制作した最高傑作「紅白梅図屏風」も映し出されます。
-
国宝「紅白梅図屏風」尾形光琳 江戸時代(18世紀)MOA美術館
※本展での撮影ではありませんMOA美術館 美術館・博物館
-
鈴木其一筆「夏秋渓流図屏風」根津美術館より
-
葛飾北斎「富嶽三十六景より 甲州三島越え」など
-
「フリーデリケ・マリア・ベーアの肖像」1916年 テル・アヴィヴァ美術館と浮世絵が並びます。
-
伊藤若冲『動植綵絵』の内「群鶏図」です
-
伊藤若冲の花鳥版画 「雪竹に錦鶏図」1771年より
-
(左)鈴木晴信「ささやき」18世紀
(右)国宝『婦女遊楽図屏風(松浦屏風)』江戸時代 大和文華館 より -
続いてのテーマは、芸術の革新を目指したウィーン分離派の理想
-
ウィーン分離派とは、1897年にウィーンで画家グスタフ・クリムトを中心に結成された新進芸術家のグループを指します
-
ウィーン分離派に所属していた芸術家のジャンルは、絵画や彫刻、建築など多岐にわたります。独自の展示会場を保有しており、1898年からクリムトが脱退する1905年までに、23回の展覧会を開催しました。
-
クリムトがウィーン分離派を結成した背景には、当時のウィーンの美術界の閉鎖的な風潮があります。
-
19世紀後半のヨーロッパではフランスを中心に新たな芸術が生まれ、芸術家はそれぞれの道を歩んでいきました。一方ウィーンでは古くからの伝統を重んじ、神話などを主題に決められた技法で描かれた作品が評価され続けていました。
-
当初のクリムトはウィーンの風潮に従って作品を描き、26歳で皇帝から勲章を受章しましたが、その後は自分らしい表現を求めるようになります。
-
1894年に政府からの依頼で制作したウィーン大学の天井画は大論争を起こし、最終的には独立してウィーン分離派を結成することに。ウィーン分離派には、クリムトだけでなくウィーン美術界の保守性に不満を持つ若い芸術家も所属していました。
-
芸術運動の名称についている「分離派(セセッション)」とは、19世紀の歴史絵画や伝統芸術からの分離をめざしたドイツ語圏の芸術家の意識を表しています。
-
クリムトは金をふんだんに使った『ユディトⅠ』を描き、建築家のオットー・ワーグナーはマジョリカハウスやカールスプラッツ駅、同じく建築家のヨーゼフ・ホフマンはホーエ・ヴァルテ住宅街をデザインしました。
-
ウィーン分離派の活動は、フランスのアール・ヌーヴォーのような後世の芸術活動にも影響を与えることになります。
-
次のテーマは、クリムトが愛した自然。
-
クラシックから現代音楽まで、時代を超えたさまざまな楽曲が、映像とともに流れます。
-
ヨハン・シュトラウスの《美しき青きドナウ》をはじめ、マーラー、シューベルト、リスト、ブラームス、さらには現代作曲家による音楽も加わり、作品の世界観に豊かな深みを与えています。
-
「カッソーネの教会」1913年 より
-
「アッター湖の島」1901年より
-
クリムト作品に通底する自然へのまなざしにも注目したいところ。花や木々、水、そして光の表現は、画面の中に息づく生命を感じさせます。
-
スクリーンには、クリムト自身の言葉も静かに映し出され、作品に静かな余韻を与えています。
-
会場は、香りと光もアレンジされていて、まさに、クリムトの世界を全身で“浴びている”ような感覚
-
季節や時間が移り変わっていくような演出・・・
-
「花咲く庭」1907年 より
-
床にも映像が投影されています
-
次のテーマは「女性が持つ神秘的な力」
-
クリムト芸術の核とも言えるのが、女性像。
-
女性の官能性や神秘性、内に秘めた強さが、象徴的に映し出されます。
-
映像に浮かび上がる表情や視線は、観る者の心に静かに訴えかけてきます。
-
「ヘレーネ・クリムトの肖像」1898年ベルン美術館より
-
「エミーリエ・フレーゲの肖像」1902年 より
モデルはクリムトの生涯最愛のパートナーだったエミーリエ・フレーゲ。 -
この作品は、2019年に国立新美術館で開催された「日本・オーストリア外交樹立150周年記念 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道 」に出展され、写真撮影OKだった作品です。
※本展での撮影ではありません -
「オイゲニア・プリマフェージの肖像 」1913-14年 豊田市美術館 より
-
国内にある数少ないクリムトの作品の1つです
※本展での撮影ではありません -
「アダムとイヴ」(未完)1917-18年 ベルヴェデーレ宮殿 より
-
キリスト教美術の伝統を踏まえつつ、クリムトは、イヴを誘惑者というよりむしろ、女性の生命力の象徴として表しています。
※本展での撮影ではありません -
「女性の三時代」1905年ローマ国立近代美術館より
2019年にクリムト展に出展されていた大好きな作品です。 -
そして最後は、クリムトの代表的な「黄金様式」の作品群が登場
-
なお、展示室はすべて写真・動画の撮影が可能。
-
「人生は戦いなり(黄金の騎士)」1903年より
-
上記作品は、愛知県美術館の所蔵です
※本展での撮影ではありません愛知県美術館 美術館・博物館
-
「ユディト Ⅰ」1907-1908年 ベルヴェデーレ宮殿 より
-
ホロフェルネスの首をはね、手に持つヘブライ人寡婦ユディトの姿を描いた作品。 ユディトは旧約聖書外伝「ユディト伝」に登場する女性です。2019年の「クリムト展 ウィーンと日本 1900」で来日しています
※本展での撮影ではありません -
「ベートーヴェン・フリーズ」1901年 ベートーヴェン・フリーズ より
-
「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 Ⅰ」 ノイエ・ギャラリー、ニューヨーク(アメリカ)1907年 より
-
モデルはアデーレ・ブロッホ=バウアー。ウィーン社交界のセレブであり、この作品は、アデーレの夫フェルナンド・ブロッホ=バウアーの注文で制作されたもの。フェルナンドはユダヤ系の銀行員でまた砂糖産業で巨万の富を築いた実業家で、クリムトの重要なパトロンの1人でした。ノノl∂_∂'ル
※本展での撮影ではありません -
「接吻」1907-08年 ベルヴェデーレ宮殿 より
-
金箔に包まれた絢爛豪華で甘美なこの絵は、1908年にウィーンで開催された総合芸術展に展示されて大評判となり、展覧会終了直後にオーストリア政府によって買い上げられたという作品。男性の口付けを受ける女性は目を瞑り、幸せに満ちた恍惚とした表情をしています。モデルは、クリムトとクリムトの恋人であったエミーリエ・フレーゲとされています。
※本展での撮影ではありません -
金箔の輝き、複雑なパターンで描かれた幾何学的な装飾……。大きくスクリーンに映し出されることで、細部までじっくりと堪能できます。
-
という感じで終わりました(30分程度)
-
人気の《接吻》フォトスポットでは、クリムトの代表作の世界に入り込んだかのような写真が撮影可能。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
旅行記グループ
2025 美術館・博物館 展覧会
-
2025.2 特別展「鳥 ~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~」(1)
2025/02/01~
上野・御徒町
-
2025.2 特別展「鳥 ~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~」(2)
2025/02/01~
上野・御徒町
-
2025.2 特別展「鳥 ~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~」(3)
2025/02/01~
上野・御徒町
-
2025.2 開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」
2025/02/01~
上野・御徒町
-
異端の奇才―ビアズリーとTHE CAVE DE OYSTER
2025/02/15~
丸の内・大手町・八重洲
-
2025.3 西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館
2025/03/15~
上野・御徒町
-
2025.3 ラムセス大王展 ファラオたちの黄金
2025/03/15~
豊洲
-
2025.3 ミロ展
2025/03/15~
上野・御徒町
-
2025.3 横浜美術館リニューアルオープン記念展 おかえり、ヨコハマ(1)
2025/03/29~
横浜
-
2025.3 横浜美術館リニューアルオープン記念展 おかえり、ヨコハマ(2)
2025/03/29~
横浜
-
2025.3 ミステリー・オブ・ツタンカーメン~体感型古代エジプト展(1)
2025/03/29~
横浜
-
2025.3 ミステリー・オブ・ツタンカーメン~体感型古代エジプト展(2)
2025/03/29~
横浜
-
2025.4 西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館...
2025/04/13~
上野・御徒町
-
2025.4 ヒルマ・アフ・クリント展(1)
2025/04/13~
丸の内・大手町・八重洲
-
2025.4 ヒルマ・アフ・クリント展(2)
2025/04/13~
丸の内・大手町・八重洲
-
2025.4 ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト(1)古代エジプト人の謎を解け!
2025/04/29~
静岡市(葵区・駿河区)
-
2025.4 ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト(2)ファラオの実像を解明せよ
2025/04/29~
静岡市(葵区・駿河区)
-
2025.4 ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト(3)死後の世界の門をたたけ!
2025/04/29~
静岡市(葵区・駿河区)
-
2025.4 カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ
2025/05/04~
仙石原
-
2025.5 ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠
2025/05/31~
丸の内・大手町・八重洲
-
2025.5 浮世絵現代(1)
2025/05/31~
上野・御徒町
-
2025.5 浮世絵現代(2)
2025/05/31~
上野・御徒町
-
2025.5 特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」「五大浮世絵師展」
2025/05/31~
上野・御徒町
-
2025.6 ゴッホ・インパクト―生成する情熱(1)
2025/06/15~
仙石原
-
2025.6 ゴッホ・インパクト―生成する情熱(2)
2025/06/15~
仙石原
-
2025.7 これからの風景 世界と出会いなおす6のテーマ
2025/07/06~
静岡市(葵区・駿河区)
-
2025.7 特別展「氷河期展 〜人類が見た4万年前の世界〜」
2025/07/26~
上野・御徒町
-
2025.7 クリムト・アライブ
2025/07/26~
日本橋
-
甥っ子とミステリー・オブ・ツタンカーメンへ
2025/08/30~
横浜
-
2025.9 ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢、特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」
2025/09/20~
上野・御徒町
旅行記グループをもっと見る
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
日本橋(東京) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 2025 美術館・博物館 展覧会
2
63