2015/05/01 - 2015/05/09
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ウェンディさん
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71歳の母とのトルコ旅。
カッパドキア4部目となるこの旅行記は、カッパドキア2日目;5/3の夜のファーティさんの話の続きから始まります。
私たちに【男の村;Mazi】について話し終えたファーティさんから、翌日のプランについて更なる提案がありました。
「君たちは、旅の前に”ギリシア人の村“に行ってみたいとリクエストしていた。今でも、その気持ちが変わらないのならば、100年前と変わらぬ暮らしを続けるギリシア人の村;日本では知られていない村へと案内しよう。」
「ただ、ひとつだけ約束して欲しいことがある。ギリシア人とトルコ人の間に何があったのか君たちは分かっているとは思うが、その村の人達は観光客をあまり快くは感じていない。村では、人にはカメラを向けない、騒がない。静かにその村の様子を見て欲しい」
実は、私たちはカッパドキアでの初日にガイドブックに記載のあるギリシア人が住んでいた村;ムスタファパシャを訪れていました。
しかし現在のムスタファパシャでは、昔のギリシア建築は観光客用の宿泊施設へと変わり、壊れ、朽ちかけている建物が数件残るだけで、ギリシア人の方々が暮らしていた頃の面影は殆ど残っていない場所でした。
今回の提案は、そのことを知ったファーティさんからのプレゼント。
100年前から時が過ぎ去ることを忘れてしまった村。
カッパドキアの小さな谷間に人知れずひっそりと残るギリシア人の村。
その名は、ジェミル(Cemil)。
母アイシャと私ファティマが、時が過ぎ去ることを止めてしまった村:ジェミルを歩き、愛の谷を巡ったカッパドキアでの旅行記です。
☆★☆★☆★☆★旅程 2015/5/1〜2015/5/9☆★☆★☆★☆★
□5/1 成田22:30 -TK0053-
□5/2 イスタンブール 04:40 / 09:50 -TK2026- カイセリ11:10
ソーアンル谷、ソベッソス遺跡、三姉妹の岩、聖ヨハネ教会(チャウシン)
□5/3 ウフララ渓谷、デヴレント、パシャバー
■5/4 Ballooooon、マズの地下都市、時に忘れられた村ジェミル、ラブ・バレー、ウチヒサール、ギョレメパノラマ、野外博物館、薔薇の谷トレッキング
□5/5 ホームステイでお料理教室、ギョレメ・パノラマ・トレッキング
□5/6 カイセリ6:00 -TK2023- イスタンブール07:25 イスタンブール観光
□5/7 イスタンブール観光
□5/8 イスタンブール観光
□5/9 イスタンブール 01:15 -TK0052- 成田18:30
☆★☆★☆★☆★ ファティマとアイシャの旅 旅行記☆★☆★☆★☆★
【1】日本人の知らないカッパドキアへ☆ソーアンルの岩窟修道院:
http://4travel.jp/travelogue/11010564
【2】ウフララ渓谷は赤目溪谷だった!?:
http://4travel.jp/travelogue/11012680
【3】男の村マズにある真実の地下都市とバルーン・ライド:
http://4travel.jp/travelogue/11013325
【4】時に忘れられた村;ジェミルへ:
http://4travel.jp/travelogue/11015647
【5】Forgotten Cave Churches☆ローズ・バレーをトレッキング:
http://4travel.jp/travelogue/11017310
【6】女の修業!度胸でチャレンジ♪ホームステイでお料理教室:
http://4travel.jp/travelogue/11018186
【7】スター・ウォーズの世界へ☆ギョレメパノラマをハイキング:
http://4travel.jp/travelogue/11019510
【8】貌のない天使を探して
http://4travel.jp/travelogue/11024303
【9】スルタンの秘められた世界;狂気を孕む王宮へ
http://4travel.jp/travelogue/11028013
【10】点と線を楽しむイスタンブール街歩き
http://4travel.jp/travelogue/11039360
【11】メドゥーサの微笑み☆美味い話にウラは無い!
http://4travel.jp/travelogue/11050701
【12】マリア様はSuper Girl
http://4travel.jp/travelogue/11094540
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 3.5
- 同行者
- 友人
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 観光バス 徒歩
- 航空会社
- ターキッシュ エアラインズ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
私がこの旅で、カッパドキアにあるギリシア人の村に行きたいと思った理由。
それは、トルコとギリシアの間で起きた悲しいお話があったため。
少し難しい話となるが、1923年にトルコとギリシアの間では、住民交換という政治的な交渉が行われた。という事実がある。
この住民交換は、トルコ国内に住むギリシア正教のギリシア人,そしてギリシア国内に住むイスラム教のトルコ人を政府レベルの合意だけで、強制的に、無理やり居住地を変えてしまう(つまり、国民交換)というもので、双方の国にすむ当人たちの意思は全く無視された。
(写真:ギリシア人たちがかつて住んでいたカッパドキアの村:ムスタファパシャ。ギリシア人が生活をしていた石造りの住居が残る。)ムスタファパシャ 旧市街・古い町並み
-
自分たちが生まれた国を追われ、土地を奪われ、見たこともない祖国とされる国へ難民として戻らねばならぬ二つの国の住人達。
それぞれの国のエゴ;国家を単一民族としたい…とする誤った思想に振り回された人達がいた。(この思想は、その後のトルコ国内での民族紛争の火種ともなってしまったのだが…)
旅の下調べをしていて、カッパドキアにはそのギリシア人の方が住んでいた村の一つがある…と知った私。
今はもう、住む人もいないギリシア人の村…。
そんな村を訪れ、当時の事を知っている家々の語る昔語りを聞きたかった。
だから、旅のアレンジのリクエストに、“ギリシア人の村”をお願いしていた。
そしてカッパドキアの旅の初日に、その村“ムスタファパシャ”を訪れた。
ガイドブックにも、ムスタファパシャには当時の面影は多くは残っていない…と書いてあり、ムスタファパシャに立った私の目に映るかつてのギリシア人の村の町並みは、ガイドブックの記述通り…。
当時の石作りの住居はかろうじて立ってはいるものの、その背面は危険なほど崩れ、保存措置が全くとられていなかった。
(写真:ムスタファパシャの崩れかけたギリシア人住居) -
かろうじて使えそうなギリシア建築は観光用のホテルへとその姿を変え、昔の面影を感じられるような建物はこの写真のギリシア正教の教会くらい。
(写真:ムスタファパシャのギリシア正教の教会) -
残念ながら、ムスタファアパシャは、完全にギリシア人の村を謳う観光地化された村となってしまっていた。
(写真:ムスタファパシャ村のキャラバンサライ;隊商宿) -
そんな私たちの気持ちを知ったファーティさんからの提案は、もう一つのギリシア人の村【ジェミル(Cemil)】の訪問。
カッパドキアにあったギリシア人の村はムスタファパシャだけではなく、他にもあるというのだ。
そして驚いたことに、その村には今でも当時のギリシア人の方の子孫が居住している。
私は、全てのギリシア人たちが無理やり強制的にトルコから追放されたのだとばかり思っていたのだが、トルコに残り、今なお当時の住居に住む人達がいる。
その彼らは自分達ギリシア人の歴史、そしてトルコの政府が自分たちの仲間にどんな惨い事をしてきたのか身を持って知っている。
だから、観光客に面白半分に見世物にされるのは嫌い。
騒がず、静かに見て欲しい…。
そういいながら、ガイドのファーティさんは細い道の先に広がる古い小さな村を指さした。 -
イチオシ
ジェミルの村に降り立った瞬間、空気の違いを感じた。
100年前の空気が、この村を包んでいた。
石造りの家、ギリシア風の窓飾り…。
時が過ぎ去るのを止めてしまった村。
時が忘れてしまった村が、此処にはあった。 -
村の中の石段をゆっくりと登る。
もう住む人がいなくなってしまった家の壁には蔦が絡まっている。
でも、ムスタファパシャのように荒れた感じはしないのは何故だろう。
今でもここに住む数組の家族の人達が、そんな家々の世話もしているのだろうか。 -
イチオシ
此処だけを見ていたら、この地がアナトリアの大地であることを忘れてしまいそうな南欧の風景。
そんな景色が目の前に広がる。 -
今は倉庫として使われている石造りの建物。
入口の扉のアーチの高さは思いの外、低い。
ギリシアの方たちは小柄だったのかも。 -
村を歩いていたら、農作業の道具を持つおじいさんとすれ違った。
メルハバ(トルコ語のこんにちは)と挨拶したら、返ってきた言葉は私の知らない言葉。
多分、ギリシア語なのだろう。
この地域では、トルコ語を話さないお年寄りも多いという。
村の建物にパラボラアンテナを発見!
このアンテナを見つけていなければ、本当に100年前の世界に惹きこまれそうな場所だ。 -
村の坂道を登る。
-
坂の上にあったのは、古びたギリシア正教の教会。
美しい回廊のアーチは、その姿を100年前と変わらず残している。ジェミル教会 寺院・教会
-
壁にはモザイク画が描かれている。
-
心無いいたずら書きもあるが、磔刑のキリストの様子だ。
-
天井のアーチの青も鮮やか。
この教会が現役だったころ、多くの信者がこの美しい回廊を歩いたのだろう。 -
教会には大きな南京錠が掛けられ、中には入れない。
鍵穴から、中を覗く。
撮影は不可能な角度だったが、礼拝堂の内側には色鮮やかなフレスコ画が残っていた。 -
床には正教独特の八端十字架が彫り込まれていた。
訪れる人もいない村の教会。
いつかは朽ちてしまうのだろうが、歴史を後世に伝えるためにも、出来る限りその姿を留めていて欲しい。 -
村をゆっくり歩いて車へと戻ると、車の前には可愛いお客様。
動物は、好いてくれる人を直感的に理解する本能を持っている。
私は、犬も猫も大好き。
彼等は、飛びかからぬばかりの勢いで私の元へ。
しゃがんで小さな一匹を受け止めたら、その後ろから大きな犬も抱き付いてきて、バランスを崩してお尻をドスン!
いつもなら海外では狂犬病の危険を考え犬には手をださないのだが、ここではそんなことも忘れていた。
動物には種別も国境も言葉の壁もない。 -
車に乗り込み、時が過ぎ去ることを忘れてしまった村ジェミルを後にする。
カッパドキアにあるのは有名な世界遺産だけではない。
こんなちょっと悲しい歴史を持つ村もある。 -
【男の村・MAZIの地下都市】と【時が忘れた村ジェミル】のちょっとディープなカッパドキアに身を浸した後は、お楽しみのランチタイム。
この日のランチは壺焼きをリクエストしていた。
壺焼きはお肉や野菜を素焼きの壺の中で蒸し焼き(蒸し煮)にする料理で、無水鍋と同じ理論を使ったアナトリアにある古くからの料理方法。
壺ごと石窯で焼くので、調理時間は3時間以上かかる。
だから、これは昨晩の内にリクエストしておいた。
壺焼きが焼き上がると、シェフが壺を運んでくれ、開封のセレモニー。
昔は、壺の口には粘土で蓋をして壺を割ってサーブしたのだが、 それでは陶器の破片が料理に入ってしまうので、現在は壺の口を陶器の板で塞いで焼いている。Uranos & Sarikaya 地元の料理
-
お昼のコースは、スープ・サラダ・ギュウェチ(壺焼き)・果物・バクラワ。
バクラワ以外はどれも日本人好みの味だと思うし、そのお味も美味しい!
でみ、デザートのバクラワ…は別。
バクラワは歯がとろけてしまうかと思う位の甘い甘いパイで、焼き菓子のパイを更に蜂蜜に付け込んである。
サイズは小さいが、一口食べてギブアップ。
この日のランチを食べたのはアヴァノスにある洞窟レストラン【Uranos & Sarikaya】。
ヒッタイトの壁画を洞窟に彫り込み、民族楽器を演奏する方がいて、私たちにしては珍しく観光客っぽいところだが、美味しい事は間違いなし! -
食事の後は、アヴァノスの陶器工房へとお邪魔する。
アヴァノスの地名の由来は赤く染まる川。
陶器つくりで有名なこの町は、良質な粘土の産地だ。
雨季には、この赤土の色が川の色を赤く染めるのだろう。
工房では、マイスターが目の前で陶器を作るデモンストレーション。
その昔、この地方では陶器のカップをきちんと作れなければ一人前の男とは、認められなかったそうだ。 -
アヴァノスでは、結婚の条件の一つに陶器づくりの腕前の良さがあった。
気になる女性のいる男の人は、その女性の家へ行き、女性の家族の前でろくろを回し自分の陶器づくりの腕前を披露する。
造る陶器の形は、ただひとつ;蓋つきのカップ。
カップと蓋を別々に作り、出来上がった後にその二つを重ね合わせる。
カップと蓋がぴったりと重なり合い、隙間がなければ合格。
サイズにずれがある場合には、お前はまだ未熟だ。娘と結婚したければ陶器づくりの腕を磨いてこい!
となったそうだ。アヴァノス 散歩・街歩き
-
工房で絵付けをする女性たち。
どの方も真剣に絵を描き、色を入れている。
全てがフリーハンドなので、1枚として同じ模様の皿は出来ないというのは納得。
逆に、全くおんなじ模様のお皿が揃っているお土産屋さんの絵皿は、どこか第3国の機械製の模造品かもしれない。 -
午後の散歩は、ファーティさん一押しの奇岩群であるラブ・バレー(Love Valley)。
ここは、ギョレメの街のすぐ裏でギョレメから歩いてでも来られる場所にあるのだが、日本人の観光客にはあまり知られていない場所だ。
空に向かい突き上げて立つ白い凝灰岩で出来た煙突岩の奇岩群。
確かに彼が、此処はいいよ♪と勧めてくれるのも分かる光景だ。 -
ラブ・バレーはその名の通り、トルコ語でも愛の谷という。
ここは、トルコの中でも結婚式の写真を撮りにわざわざ飛行機に乗ってでもやってくる方もいるという程の人気の場所だ。
この日も、ウェディングドレス姿の女性とタキシードの男性が撮影をしていた。
昨晩、ファーティさんがラブ・バレーについて説明してくれる時、とっても云いにくそうにしていた瞬間があった。
それは、私がこんな質問をしたから…。
「どうして、愛の谷なんていう可愛い名前なのですか…」と。
彼は、口ごもりながらもその理由を教えてくれた。
なるほどね…。
でも、全然、恥ずかしがることじゃないと思う。
ラブ・バレーの石柱の形は、人間の繁栄のためには重要なシンボルだし、この様な形を原始宗教の象徴としている地域は世界中にいくらでもある。 -
愛の谷の散策開始。
谷間は結構広く、散策路が奇岩を巡る様に広がっている。 -
高台から見下ろすと、空に向かって伸びる煙突岩たち。
数学のベクトルの矢印が、天に向かって挑戦をしているように私には見えた。 -
地層のように岩紋が刻まれた岩。
ここの煙突岩は、パシャバーのキノコ岩地区よりも頭の部分の大きさが小さい。
同じ岩のように見えても場所によって降り積もる火山灰の質が異なっていたのだろう。 -
イチオシ
雄大な愛の谷の岩たち。
愛にはこの岩のように大きな心が必要だってことだね…。
ラブ・バレーの景色、結構気に入った。ラブ バレー (愛の谷) 山・渓谷
-
散策時間の30分はあっという間。
野の花が咲き乱れる散策路を車へと戻る。 -
この日は、観光名所を巡る日。
でも、私たちの観光名所巡りはちょっと斜めから見た名所めぐりだ。
向ったのはウチヒサルと言われる昔の砦だ。
砦と行っても石垣を組んだ中に城がある…ではなく、天然の大きな岩が作る砦。
ウチヒサルはトルコの昔の言葉で、角にある砦(ヒサル:砦)を意味し、カッパドキア地方の西の角にある。
写真に写っているのがウチヒサルだが、砦というには、ボコボコと穴が開きすぎている。
砦とは概念的な呼び方で、実際の用途は巨大な岩窟アパートメントだ。 -
通常のツアーでは、ウチヒサルに行く=〈ウチヒサルの砦に登り、上からのカッパドキアの眺望を楽しむ〉のだが、ファーティさん流の楽しみ方はちょっと違う。
彼が案内してくれたのは、ウチヒサルが良く見える山。
野草が咲き乱れている山の斜面に私たちを案内してくれた。
ウチヒサルに登っても、見えるのはギョレメの街並み。
それだったら、ギョレメ・パノラマからも同じものが見える。
此処へ来て、ウチヒサル本体の美しさを味あわないのはもったいない。
とファーティさん。
そう、この場所はウチヒサルのボコボコに穴の開いた岩窟アパートメントの様子がすぐ真横から楽しめる場所。 -
イチオシ
そして、ここからもカッパドキアの草原の様子も良く見える。
ウチヒサル 散歩・街歩き
-
ウチヒサルは遠くから見ると大きな岩の塊に見えるが、近くまでくると様々なサイズのとんがり岩の集落であることが分かる。
昔は、この岩のすべてに住人がいた。
でも、今は…。
危険・不便との理由で住人達は政府が準備した石造りの家へと移動し、この場所は政府の管理下に…。 -
岩に骸骨岩を発見!
明らかに意図的に掘ったとしか思えないのだが、自然の岩の造形に鳩穴をつけたら、こんな風になったならば、驚きだ。 -
此処の丘陵地帯には、地元の方も沢山いらしていてカモミールの花を摘んでいた。
生のカモミールの花は、本当に良い香り♪ -
ウチヒサルを回りこむように移動して、反対側からウチヒサルを眺める。
ウチヒサルの後ろ側に建っているのが、政府が準備した石造りの家だ。 -
鳩の谷を眺める。
鳩の谷とは、谷の岩壁一面に鳩穴を開けた谷で、今でも夕方や朝には鳩たちがこの谷を行き交う姿が見られる場所。 -
岩肌をズームすると、巣穴用の穴と人が糞の採取のために入る入口があるのが分かる。
ファーティさんに聞きそびれてしまったが、鳩穴に所有権(ここはA家所有、こっちはB家所有)とかあるのだろうか。鳩の谷 自然・景勝地
-
まだまだ続く谷巡り。
次の谷はギョレメ・パノラマと言われる、ギョレメの街の背後に広がる白い岩が連なる谷の眺望ポイントへ。
ギョレメ・パノラマには、邪視をはねのける力を持つナザール・ボンジュウが飾られている。
私はこの目玉のデザイン、結構好きだ。ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群 国立公園
-
迫力ある岩の森が、目の前に広がる。
-
イチオシ
雨により削られた凝灰岩の岩肌は、波打つようなウェーブを描く。
今まで見てきたキノコ岩や煙突岩は、どちらかと言えば男性的なイメージだったが、上から眺めるギョレメ・パノラマはその岩の曲線が女性的な雰囲気だ。
そして、ギョレメ・パノラマから渓谷を見下ろしていた私はあるモノに気が付いてしまった。
それは、ギョレメの谷の中を走る白い線。
どう見てもあれは、トレッキング用の道♪
ファーティさんに聞いたところ、ギョレメ・パノラマにはトレッキング道があり、2〜3時間で散歩できるとのこと。
その情報、日本に居る時に欲しかった!!!
知っていれば、お昼を立ち食いパンにしても、この谷を歩いていたのに…。ギョレメ パノラマ 自然・景勝地
-
ギョレメ・パノラマからはギョレメの街も一望できる。
-
更に北へと目を移せば、私たちが滞在しているチャウシン村の聖ヨセフ教会の壁とその背後のローズバレーまで見える。
暫く景色を眺めていたら、ファーティさんが傍に来て、あることを囁いた。
「あそこに、白い建物があるのは分かる?
その建物がギョレメ・パノラマのトレッキングの入り口の目印になる。
明日の午後、メメットさんのお宅でお料理を習った後に、此処まで来て歩いてみれば…。
チャウシンからならば歩いて30分位だよ…」
…悪魔の囁きのように甘美な言葉だった…。 -
次の谷は、有名なギョレメの野外博物館。
此処はギリシア正教の岩窟修道院のフレスコ画が色鮮やかに残る場所で、昼間ならばツアー客でごった返している場所なのだが、この時の時刻は16時。
のんびり・ゆったりとフレスコ画を楽しむことが出来た。
ファーティさんは何も言わないが、メジャーな観光地は夕方に回し、混んでいる時間を避ける様に配慮してくれているのだろう。
ギョレメ野外博物館の岩窟修道院の中はフレスコ画保護のために撮影禁止だ。
だからフレスコ画の紹介は出来ないのだが、その奇岩群が作る修道院の景色の紹介と私が感じた現地ガイドさんの質についての話を少しだけしたいと思う。 -
ギョレメ野外博物館には岩窟修道院は何カ所もあり、それぞれ特徴的なフレスコ画が描かれている。
ヘビを踏みつけるキリスト像や、キリストの生涯を描いたフレスコ画が等その種類は様々。
その中でも、母と私に一番大きな印象を与えたのが、オノフリウスのフレスコ画だ。
(写真:ギョレメ野外博物館) -
聖オノフリウスは聖人の一人だが、その外見が少し変わっている。
ギョレメ野外博物館の聖オノフリウスのフレスコ画は、白髪と白く長いあごひげをはやした老人の姿で描かれ、ぱっと見れば年老いたお爺さんなのだが、その躰にあるモノはおじいさんにはあり得ないモノ;ふたつの豊かな乳房がついている。
そして、陰部を隠すイチジクの葉も。
聖オノフリウスは、女性の体に男性の頭を持つ不思議な聖人だ。
(写真:ギョレメ野外博物館:修道院の壁には朱色で描かれたギリシア十字の文様が残る) -
聖オノフリウスはその姿が示すように女性の聖人だ。
では、何故おじいさんの様な頭部で描かれているのか。
それには、ある物語がある。
オノフリウスがまだ少女と云われていた頃、彼女は神に出会った。
彼女は神に恋をし、自分の一生を神に捧げると誓った。
しかし、彼女の両親はそんな彼女の望みを無視し結婚相手を決めてしまい、オノフリウスは逃げ道を失った。
そして、結婚前夜、彼女は神に祈った。
どうか私をあなたのお側に居させてください…と。
翌朝、オノフリウスが目覚めると彼女の頭は白髪となり、顎からは長く白いひげが伸びていたという。
そして、彼女は希望通りに神の傍らで、その生涯を貫いた。
そんな逸話があるとファーティさんに教わった。
(写真:ギョレメ野外博物館:修道院の壁) -
そんな聖オノフリウスの姿が印象的だった。
で、私たちが感傷に浸りながら絵画を見ている時に、日本人のグループの方々が入ってきて、そのガイドさんが修道院の入口でフレスコ画について説明をしていた。
特に聞く気もなかったのだが、聖オノフリウスの説明があまりにもひどくて、思わず憤慨!
彼は、こう言ったのだ。
「この中の見所は、入ってすぐの壁の白髭のおじいさん。その人は女性だが、男性ホルモン過多で男化してしまった聖人だ…」と。
お客さんが楽しめる様に話を面白くするのは良いにしても、宗教の絵をそんな風に茶化すのはどうかと思う。
今でも、真摯に巡礼に来ている方だっているのに。
周りの人が理解しない日本語だから何を言ってもOKの訳はない。
人が信仰する宗教を馬鹿にしてはいけない。
神様は人それぞれなのだから。
彼みたいな人がいるから、いろんな問題が起こるのだと思う…。
そのガイドさんは野外博物館の中まで入場していたので(正規のガイドさんは野外博物館内は入場できないルールになっている)、多分モグリのガイドなのだろうが、ひどすぎる!
ギョレメ野外博物館は、美しい景観やフレスコ画を堪能しつつも、アホなガイドのオヤジに憤慨した場所でもあった。ギョレメ野外博物館 博物館・美術館・ギャラリー
-
沢山の素敵な場所を訪れたこの日の締めは、薔薇の谷であるローズバレーだ。
この谷間が薔薇の谷と呼ばれる所以は、夕陽に染まる谷の様子が幾重にも重なる薔薇の花の様だから。
ローズバレーでの一般的な過ごし方は、ワインを片手に夕陽を眺め、夕陽に染まる谷の風景を眺める事らしい。
ファーティさんもそのつもりで、母と私にワインは赤・白どちらが好みかと聞く。
普段の私ならば、赤!なのだが、この日は違う。
私の答えは、飲まない。
トルコに来ると決めた時、現地ではお酒は口にしないと決めた。
理由はただ一つ。
とっさの時の判断力が鈍るから。
現在の中東、いくら安全と言われるトルコ西側の観光地区でも絶対なんて言う事はありえない。
まして、旅の時期は、シリアとの国境地帯では緊張状態が続いている時。
何が起こるかは予想が出来ない海外。
滞在中は、いつでもクリアな思考回路でいることが出来るよう、お酒は飲まないことに決めていた。 -
イチオシ
ワインがなくたって、薔薇色に輝く谷の風景は楽しめる。
朝に気球で飛んだ、ローズバレーの山の中;その中に居るんだ!と思うだけで、気分も高揚する。
太陽高度がゆっくりと傾くと、谷の岩の壁面に当たる光の面積が大きくなり、谷の輝きは、更に増してくる。
カッパドキアに来て3日目。
想像以上のカッパドキアを私と母は楽しんでいる。
男の村や時の止まった村…そんなところに行く事が出来るなんて考えてもいなかった。ローズ バレー 旧市街・古い町並み
-
薔薇の谷は、遥か向こうに続いている。
この谷の果て、そこには滞在しているチャウシンの村があり、その村までこの薔薇の谷は続いている筈。
もしかして、薔薇の谷ってトレッキングできる…?
私は禁断の一言をファーティさんに聞いてしまった!
ファーティさんの答えは、
“チャウシンまでは2時間弱。夕方の薔薇の谷、歩いてみますか?”
彼の口調は、答えは聞かなくとも分かっています…というような感じ。
きっと、母と私の全身からは、歩きたいオーラが全開だったのだろう…。
では、お言葉に甘えて、歩こう!
薔薇の谷のトレッキングの始まりだ。
そして、このトレッキング途中で私たちが出会ったのは、歩いた者しか辿り着けない岩窟修道院。
そこは、この旅で訪れた岩窟修道院の中でも、一番神秘的な空間だった…。
前の旅行記【3】真実の地下都市とバルーン・ライド:
http://4travel.jp/travelogue/11013325
続きの旅行記【5】ローズ・バレーをトレッキング:
http://4travel.jp/travelogue/11017310
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この旅行記へのコメント (6)
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- 鼻毛マンさん 2015/05/27 23:59:21
- むぅ..
- ラブバレィの岩はキノコ岩ではなく、やはりなにかに似ている。
なんだろう..
ずっと考えていて職場から帰るバスの中でようやく真実にたどり着いた。
そっか。
マッチ棒に似ているんだ。
すいません。
つい書いてしまいました。
それでわー。
- ウェンディさん からの返信 2015/05/28 23:37:23
- RE: むぅ..
- 鼻毛マンさん こんばんは。
Oh〜! Love Valleyのあの岩の形は、鼻毛マンさんにはMatchstickだったのですね。
私には数学記号のベクトルの↑に見えました。
想像を掻き立てられる岩が並ぶ、愛の谷。
子ども達に、この岩、何に見える??と聞いたら、大人が想像もしないような答えが返ってきそうですね。
-
- きなこさん 2015/05/27 22:11:11
- 凄い観察力!
- 今回も鳥肌が立つほど素晴らしいです
時の止まった村にウェンディさんと一緒に彷徨いながら屋根にあるパラボナアンテナを見てホッとした様なハトと現実に戻された様な不思議な時間でした
そのような悲しい歴史があったんですね全く知りませんでした
私もトルコと和歌山の話は聞いた事があって「イ・イ戦争」の時の感動、そしてワールドカップでの串本の小学生の応援など心温まるものですね
それにしても凄い観察力ですねぇ
白い道がみえたんですね
もしかして翌日・・・・
きなこ
- ウェンディさん からの返信 2015/05/28 23:30:46
- RE: 凄い観察力!
- きなこさん こんばんは。
カッパドキアへの旅は、本を沢山読んだ旅でもありました。
ヨルダンへの旅の時は旧約聖書の訳書を型端から読んでいきましたが、トルコへの旅の場合は、読むべき本が多すぎて、それはもう大変でした。
ネットで検索する方が情報自体の量は多いのでしょうが、私は本が大好き。
市内の図書館の検索でめぼしい本がなくなると、アマゾンの単語検索で本の名前をピックアップ。そして、県内の図書館の蔵書を調べて、リクエスト。
読んだ冊数は30冊以上あると思います。
そんな読書を通して知ったトルコ人とギリシア人の悲しい歴史のお話。
その歴史の舞台となった土地で、その空気を感じ、その地を踏みしめられたこの日の旅。
1日が2日にも3日にも感じられるくらい充実していました。
ギョレメ・パンラマから見つけたトレッキング道。
アレは誰がどう見たって、トレッキング道!
展望台から眺めると女性的な波打つような形の白き岩でしたが、谷の中に立ち、見上げると、それはもう、カッコいい!ってな感じで…。という訳で、翌日はしっかり歩きに行きました。
次の旅行記は薔薇の谷のトレッキングといよいよホームステイ!
ウルルン♪な旅の始まりです。
ウェンディ
-
- こあひるさん 2015/05/27 09:23:36
- 不思議な空間
- ウェンディさん、こんにちは。
ギリシャとトルコの間にそういう理不尽なことがあったのは知りませんでした。
そして・・・人を交換したあとで、お互いにその村を利用して住むのではなく、放置されてしまったのですね。
でも、そんなギリシャ人が住んでいた村に、ギリシャ人の末裔がまだ残っていて今でも生活しているとは驚きでした。
哀愁のある家並み・・・時代に取り残さたような中でも、必死で細々と生活している・・・なんとも不思議な空間にとても惹かれてしまいました。
こあひる
- ウェンディさん からの返信 2015/05/27 23:56:34
- RE: 不思議な空間
- こあひるさん こんばんは。
トルコについて調べだすまで、私もトルコとギリシアの間に【住民交換】という極めて政治的な民族の強制移動があったとは知りませんでした。
私が旅の前に読んだ多くの本ではこんな風に書いてありました。
トルコはシルクロードの交流点であり、西と東の文化が融合する場所。
トルコの偉大なるスルタンたちは、文化・人・物流の中心であるトルコでは人種による差別、宗教による差別をしてはならない…としていた。
もともとメソポタミアからの民が流れてきて始まったトルコという国。
その後、東西の各地から旅人や商人がその地に定住するようになり、現在のトルコがあるのだと思います。
そんな風にしてトルコに生活の居を構えたギリシアの人達。
彼らが、自分たちの永住の地を定めたトルコの大地。
その地を、半分くだらないような政治的な理由、それだけの理由で、自分の生まれた土地を追い出されてしまう日が来ることは想像をしていなかったと思います。
そんな彼らが住んでいたギリシア人の村。
そして、今もその末裔が暮らす村。
世界遺産って凄いね〜だけでは語りきれない、トルコの一面も見てきました。
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