2015/09/19 - 2015/09/22
40位(同エリア1461件中)
ウェンディさん
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- 旅行記382冊
- クチコミ2269件
- Q&A回答130件
- 2,386,739アクセス
- フォロワー354人
2015年の秋のシルバーウィークは旅好きにとっては、またとない絶好の機会。
夏と秋が揺れる季節の5連休。
稲穂がたなびく黄金色の草原や、色づき始めた山の景色を見に行こう♪
という訳で、30年ぶりに家族と共に訪れた合掌造りの里、白川郷。
1/3世紀を経た白川郷はその姿を現代風にアレンジされてはいたけれど、合掌造りの民宿に一泊し、朝夕の静かな郷の中で時を過ごせて大満足。
そして、夕方に訪れた秘湯・福地温泉で足を踏み入れた異次元な館。
あまりに異質な状況に、さすがの私も怖さを感じた場所とは…。
☆★☆★☆★☆★☆ 2015 Autum シルバーウィークの秋旅 ☆★☆★☆★☆★☆
・月面の世界&昭和レトロへタイム・トラベル http://4travel.jp/travelogue/11056976
・山間の和都・高山、30年ぶりの白川郷へ http://4travel.jp/travelogue/11059673
・狐に化かされ、ホワイト・ロードで滝めぐり http://4travel.jp/travelogue/11063578
・夢の上高地 転じて 西穂・独標ハイキング♪ http://4travel.jp/travelogue/11064580
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.0
- 同行者
- 家族旅行
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
白川郷の朝。
朝六時、まだ寝ている家族を起こさぬようそっと布団を抜け出し、カメラを手に外へと向かう。
時刻的には日の出の時間帯だが、ここは山の谷間。
まだ、お日様の光は村には届かない。
合掌造りの家々の屋根の上を雲がたなびく不思議な光景だ。
朝の空気は冷たく身が引き締まる感じで、気持ちいい。
フリースを着込んで、朝の白川郷の散歩へと出発! -
白川郷の朝の時間帯は静かなのんびりとした時間帯。
民宿に宿泊している方たちの何人かは私のように散歩を楽しんでいるが、あくせくした様子もなく、のんびり歩いて静寂の景色を味わっている。 -
昨日の夕方に行ってみなかった方へ、村の端の方へ、山沿いの方へと歩を向ける。
白川郷の村はそんなに大きくなく、村の端っこといっても宿からの距離は徒歩30分程度だ。
曲がり屋風の合掌造りを発見した。
ちょっと珍しいかも…。 -
村のお寺である明善寺の方向へと向かう。
明善寺は、その鐘楼門も茅葺の合掌造り。
鐘撞き堂が茅葺のお寺は初めてお会いしたかもしれない。 -
明善寺はお寺の本堂も合掌造りで、脇道からその側面を眺めることができる。
漆喰の壁に施された仏教の文様を茅葺の屋根が取り囲む。 -
昨日も訪れた萩町城跡展望台へと再び向かう。
村の中を朝霧の塊が流れていく…。
あともう30分早起きをしていたら、この展望台から霧の中に浮かび上がる白川郷の姿を見ることが出来たかも…と思うと少し残念。 -
イチオシ
茶色の家々の中の白い障子窓。
お宅によっては、口を横に広げ、歯をイーと剥き出しにしているような擬人的な風にも見える。荻町城跡展望台 名所・史跡
-
イチオシ
展望台の上でゆっくりしていたら、あっという間に朝7時。
民宿の朝食が7時半なので急いで戻らなくては…。
稲穂が黄金色の頭を垂れる水田にコスモスとヒマワリが咲き、景色に彩りを添えている。
9月中旬は夏と秋の狭間。
ちょうど良い時期に白川郷を訪れることが出来たのかもしれない。白川郷へ行くならば、村の中で宿泊を…。日中とは異なる静寂の景色を味わえます。 by ウェンディさん世界遺産白川郷合掌造り集落 名所・史跡
-
田では案山子たちが収穫祭のダンスを踊っていた。
-
宿である【民宿 源作】に戻り、朝食の時間。
合掌造りの真ん中にある囲炉裏の傍で朝食をいただく。
囲炉裏端ではご主人が座り、合掌造りにまつわる話をいくつか話してくださった。
朝食はシンプルだが、山の幸たっぷり。
特に枯朴葉(ほうば)の上に味噌をのっけて焼く朴葉味噌は絶品!
これだけで白いご飯がもう一杯いけてしまう美味しさだ。民宿 源作 宿・ホテル
-
朝食後はすぐにチェックアウトして荷物を車へと積みこんだら、家族と共に白川郷の村歩きへ。
まだ8時半なので、日帰りの観光客はほとんどいなく、村本来のノンビリとした雰囲気を存分に味わう。
白川郷には何軒か家の中を拝見出来る合掌造りの住宅があるが、その中の和田家へと向かう事にした。 -
和田家は白川郷一格式が高い合掌造りで、その一階部分には昔に使われた什器などが展示されているのだが、私が興味があったのは二階部分。
だから、一階の見学はそっちのけで取りあえず梯子を登り二階へと上がる。
梯子の途中で、中二階の物置の様に使われている部屋を見つけた。
天井は低いが、物置にしておくには勿体ない位の採光の良い部屋。
江戸時代、明治時代にはどのような利用用途の部屋だったのだろうか。 -
二階部分では、合掌造りの基礎となる柱の骨組みを見ることができる。
-
釘などを使わず、木材と縄のみで固定された屋根の骨組み。
こんなので冬の雪の重みを耐えられるのかと心配になってしまうが、縄と木材で作ってあるからこそ適度な遊びが生まれ、雪の重みにより生じる歪を補正出来るという事だ。
木材と木材を組み合わせるのに使われている紐のような木材はマンサクの木から作られている。
マンサクは強靭な木で、曲げに対して強く、乾燥するとその結合部が更に強力に締め付けるため、合掌造りの木組みには最適な木だ。
またマンサクは合掌造りの家だけではなく、筏や背負籠の骨組みにも使われる木だそうだ。 -
二階の大きな窓から、外の景色を眺める。
私が和田家に来たかった理由の一つは、この窓からの景色を見たかったから。 -
展望台から見下ろすのとは異なる、住民目線での景色。
こういう風景が好きだ。 -
そして、和田家に来た理由はもう一つある。
それは、合掌造りの特徴である屋根の角度を間近で見ることができるから。
合掌造りの家は、どの家も二階、三階部分は白い障子窓で、窓ガラスなんていう近代的なものはついていない。
家の中と外を隔てるモノは1枚の紙の障子のみ。
吸湿性・呼吸性・保温性に優れた障子は冬でも部屋の暖かさを保つには良いアイテムだが、でも障子1枚では、雨や雪の天候時には障子が濡れて簡単に破けてしまいそうだ。
しかし、実際は雨が降っても小雨程度では、そんなに障子は濡れることはない。 -
雨に濡れないその秘密は、合掌造りの屋根の角度にある。
合掌造りの屋根は三角形の頂点に行くほど外側に広がる形…つまり片面の屋根を1枚板としてみると逆台形になっている(宿のご主人が教えてくれた)とのこと。
だから、二階の窓から実際にその角度の違いを見てみたかった。
そして、自分の目で見て納得! -
イチオシ
和田家を田んぼの真ん中から眺めてみる。
名主の家であっただけあり、そのどっしりとした佇まいは風格がある。梯子を登って二階から眺める景色がサイコー♪ by ウェンディさん国指定重要文化財 和田家 名所・史跡
-
家族3人でのノンビリとしたお散歩。
娘もいつの間にか高校生。
高二ともなると、日帰りの旅に誘ってもお友達との遊びが最優先で、なかなか親と一緒に旅に行こう♪という気分にはならないらしい。
だから家族3人での旅は、年末年始以来の久々。 -
白川郷の合掌造りの家の茅葺の屋根。
その寿命は約30年から50年と云われている。
故に、合掌造りの家のオーナーは一生に一度はその茅の葺き替え事業を行わなければならない。
茅の葺き替えに必要なのは乾燥した茅の束。
大人が両手で抱える程の茅の束が、大きな屋根だと両面で2万束必要になるそうだ。
その大量の茅の束を集めるのはその家のオーナーの仕事。
山に行って茅を刈るそうだが、とても一人では無理な仕事だ。
誰かにお願いしなくてはならないが、親族に頼んだ位ではとても間に合わない。
だから、白川郷の村には≪結い≫という共同体・相互扶助システムがある。 -
一軒の合掌造りの茅の葺き替えには必要な人の数は200人程度。
その200人が丸2日間働いて、茅葺屋根の葺き替え作業が完成する。
男性も女性も子供も村の人が総出で茅の葺き替えを行う。
屋根に上る人、茅を束ねる人、食事を作る人…。
適材適所で作業は行われる。
人件費として換算すれば数百万円以上となるそうだが、≪結い≫の作業なので賃金は発生しない。
村の中の家々が順番に、時が来れば茅葺の葺き替え作業を行うのでお互い様。
だから、その時の自分に出来る作業を行えばよい…。
そんな≪結い≫の相互扶助の人間関係が白川郷には現在も存在している。 -
ところで茅(かや)というと、どんな草を想像するだろうか。
私は恥ずかしながら、茅が何であるのかをこの時まで知らなかった。
茅とはススキ(都心部でも河原に行けば生えている秋の風物詩)のことで、ススキを乾燥したものが茅葺の屋根の上には載せられている。 -
村の中に高床式合掌造りを発見!
白川郷では、お寺も倉庫もみんな合掌造りで作られている。 -
時刻は10時近く。
村の中を歩く観光客の数も増えてきたので、白川郷の散策はそろそろ終わりの時間。
宿へと戻り、出立の準備だ。 -
宿の前でオーナーのおじい様がいらしたので少しだけ立ち話。
立ち話をしている内に、なかなか見られないモノを見せてあげよう♪という話になった。 -
なかなか観光客が見ることが出来ないモノ。
それは、放水銃。
白川郷の合掌造りの家々には2軒に1つの放水銃が国によって備えて付けられている。
放水銃の役割は、消火でなく延焼防止。
近隣で火事が起きた時に最初にすることは、この消火銃で合掌造りの家々の屋根をしっとりと濡らすこと。
乾燥した茅は飛んできた火の粉だけでも、いとも簡単に発火する。
だから大量の水で茅を濡らして、茅葺の合掌造りの家を火の粉から守るのだ。
過去にも近隣の工場で火事があり、その時にもこの放水銃は大活躍だったそうだ。
もし、あの時にこの放水銃が無かったら…、今頃はこの集落は残っていなかっただろう…とのオーナーの話だった。 -
車に乗り、白川郷での最後の景色を見に展望台へと再び向かう。
山あいの小さな集落である白川郷。
30年前の景色とは変わってしまったところもあったが、それが時の流れというモノなのだろう。
白川郷の民宿で一晩を過ごすことで、昔の様な静かな農村の道を歩くことができ、よかったかな。
白川郷を出た後に向かうのは、県境を越えた石川県。
滝めぐりのドライブへと出発する。 -
この日は日曜日、白川郷は混むだろう…とは予想はできていたが、白川郷入口の交差点でその車列の長さを見てびっくり。
遥か遠く迄、白川郷の駐車場へと向かう車の渋滞の列が作られていた。
中には待ち時間が長くなることを考えてか、家族を車から降ろし先に白川郷散策へと向かわせ、自分は運転席で駐車場待ちの長い列に並ぶお父さんの姿も…。
日頃、頑張って働いて、つかの間の休日も家族の為を思い、運転席に残るお父さん。
ファイト♪ お父さん、頑張ってね。
そんな車列を横目に、白山白川郷ホワイトロードへと向かう。
白山白川郷ホワイトロードの昔の名前は、白山スーパー林道。
白山スーパー林道は、かつては景色は美しいが日本一高い有料道路と云われ、その通行料金は普通車で3150円とべらぼうに高かった道だ。
(ホワイトロードの助手席側からは青く水をたたえるダム湖が良く見えた)かなりのクネクネ道。酔いやすい方は事前に酔い止めを。 by ウェンディさん白山白川郷ホワイトロード (岐阜県側) 名所・史跡
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しかしその悪評を跳ね返すため、2015年にその名前を白山スーパー林道から白山白川郷ホワイトロードへと変え、通行料金も今までの約半額の1600円へと改訂して、一気に利用しやすくなった道でもある。
更に2015年の11月10日までは岐阜県側の白川郷や石川県側の加賀温泉郷などに宿泊する場合には、通行料が更に半額の800円となるキャンペーンを実施している。(宿で利用券を発行してもらう必要あり)
そんなキャンペーンに乗っかっての滝めぐりドライブだ。
道はかなりのクネクネ道。
標高1450mの峠を越え、岐阜県から石川県へと入った辺りに目的の滝がある。 -
イチオシ
滝めぐりの第一弾は、ふくべの大滝。
ふくべの大滝は山肌を揺るがすような大きな水音をたてて流れ落ちる滝で、削られ細くなった山の斜面から流れ出すその姿は雄大だ。 -
滝の落差は86m。
展望台で眺めていると、滝の飛沫が時折、飛んできた。ふくべの大滝 自然・景勝地
-
次に訪れたのは蛇谷園地駐車場。
此処に車を停めて、少しだけ歩いて滝を見に行く。
歩き出しの部分には独特な文字で親谷の湯と書いてあった。白山白川郷ホワイトロード (石川県側) 名所・史跡
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少しだけ歩くのだが、その道は結構急な下り道。
道の下り初めには看板があり、“山道だから安易な気持ちでは入らない様に…”との注意書きがあった。 -
15分も下ると渓流沿いに出るので、此処までくれば目的の滝までもう少しだ。
-
イチオシ
歩いた時間は20分程度で、目的の滝である姥ヶ滝に出る。
姥ヶ滝は事前に調べた時の写真はそんなに期待をできる感じではなかったのだが、見ると聞くとでは大違いの滝で、かなりカッコいい形をしている。
山の崖肌に沿いを舐める様に滝水が走る。姥ケ滝 自然・景勝地
-
北日本サイドではあまり見ないタイプの滝の形状だ。
姥ヶ滝の名前は、滝の流れる様子が老婆が白髪を振り乱しているように見えることからつけられたそうだ。
そして、昔はこの姥ヶ滝の傍には親谷の湯という温泉が湧いていて、露天風呂に浸かりながら滝の景色を鑑賞できたスポットであったということだが、現在はお湯が枯れて(湯量が急激に減って)しまったそうだ。
もしかして、日本中で頻発する地震の影響か…。 -
滝つぼの水も澄んでいて、気持ちよさそう♪
夏だったら、あそこに行ってチャプチャプ水遊びが楽しそうだ。 -
滝の前のベンチに腰を下ろし、しばし紅葉前の山の緑と滝の鑑賞タイムとする。
で、座っているのは私と娘なのだが、実はただベンチに腰を下ろしているわけではない。 -
座っているベンチの下は温泉のお湯が流れる足湯。
親谷の湯は湯量は減ってしまったが、足湯を楽しむ程度の湧水量は残っていて、此処まで歩いてきた旅人は足湯を楽しみながら滝を楽しむというご褒美がある。 -
親子3人で並んで足湯。
お湯の湯温はかなり熱めで、長く足をつけていると湯の中の部分が赤くなってしまうので、たまに空中に上げてクールダウン。
シルバーウィークの谷間の日曜日だというのに、そんなに混まない絶景スポット姥ヶ滝。
足湯を楽しみながら滝も眺められるこのシチュエーションは、かなり気に入った。 -
のんびりと滝を楽しんでいたらお昼の時間をとうに過ぎてしまっていたので、ホワイトロードの茶屋である蓮如茶屋でお昼休憩。
小さなお土産屋さん風の建物だが、お蕎麦やラーメン等の食事ができる。
奥には木製のカウンターがあり、そこで山菜そばをいただく。
この日の今後の予定は、岐阜県側からホワイトロードを降り、東海北陸自動車道に乗り高山まで行き、そこからは下道で今夜の宿である福地温泉へと向かうだけ。
今朝の白川郷へと入る車の大渋滞。
あの渋滞は、夕方には今度は逆方向に延びるはずだ。
その渋滞には巻き込まれたくないので、少し早めだが午後3時にはホワイトロードを下り、宿へと向かう。 -
福地温泉は高山市の郊外の山の中にある小さな温泉郷で、大きな旅館はほとんどなくツアー客も少ないところだ。
車で走り抜ければ3分ほどでその地区を抜けてしまいそうな小さな温泉郷だが、日本百名湯にも選ばれているお湯で、その雰囲気は秘湯風。
この日、我が家が一夜の宿をお借りしたのは【民宿 内山】。
部屋数は四室のみと云うこじんまりとした宿だ。
この宿を選んだ理由は貸切露天風呂と美味しいと評判のお食事。
勿論、民宿なので宿泊料金も一人1万円以内とそれほど高くはない。
(写真:露天風呂;良いお湯だがかなり熱い…)小さな小さな秘湯。熱い湯が好きな方に… by ウェンディさん福地温泉 温泉
-
少し早めの午後4時にチェックインし、汗を流すために内湯の温泉へ。
そして、私以外の二人は温泉に入ったら急に眠気が来たようで、夕食まではお昼寝の時間。
私は、カメラを手に温泉郷へと散歩に出る。
小さな温泉郷なので、いわゆる温泉街はない。
だから、目的地も決めずに宿と宿の間の道をフラフラと歩く。
道は人通りがなく、温泉客も村の人も誰も通らない。
まるで、ゴースト・タウン、いえ、ゴースト・ビレッジみたいだ。
夕方のそぞろ歩きの時間帯なのに、温泉客に誰一人として会わないのも秘湯らしさを醸し出している…なんてこの時は思っていた。 -
歩いていたら昔話の里と看板のある場所へと辿り着いた。
その奥には明かりの灯った日本家屋の建物。 -
明かりがついていた建物には福地化石館の看板がかかっている。
もう時間も5時半だったので、まさか化石館はやっていないだろうと思って扉を横にスライドさせたら、扉が開いた。
ちょっとビックリして、思わず後ろへ数歩さがる。
でも、開けてしまった手前、声をかけない訳にはいかないだろう。
玄関のところに頭を突っ込み、こんにちは〜、まだ開館していますか〜と声をかけてみる。
建物の中からは何の応えもない。
玄関には靴は一足も置いては無く、管理人さんは留守の様子。
もしかしたら電気を消し忘れ、鍵をかけ忘れて帰ってしまったのかもしれない。
そう思って建物を後にしようとした時、化石館の看板の下の木札が【開館中】となっていることに気が付いた。 -
ヒトの気配が全くしない、誰もいない化石館。
勝手に入っていいのかどうかすら分からない、
でも、開館中となっているからには入っても怒られることは無いだろう。
半ば怖いもの見たさの気持ち半分で、玄関で靴を脱ぎ、化石館の中へと入る。
でも、玄関の扉は念のため全開にしておいた(こんなところが小心者…)。
一階の突き当りには長い廊下があり、その奥に向かって電気がついている。
念のため、大きな声でもう一度、こんにちは〜と声をかけてみるが、やはり応答はない。
一体、何がどうなっているのだろうか。
なんだか、この温泉郷自体が異なる次元に入り込んでしまったみたいな場所だ。 -
二階へと上がる階段があったので、階段があるのならば…と登ってみる。
(あらためて考えると、この行為は若干危険かも。私がこの場所に居るのは家族だって知らないのだし…) -
イチオシ
二階へ上がると、そこは化石の展示室。
福地で発掘された日本最古の化石や、デボン紀の珊瑚の化石、そして三葉虫の化石が展示してあり、部屋の奥ではテレビが、誰に聞かせるわけでもなく化石の解説の番組を流していた。幽霊船マリー・セレストか!? by ウェンディさん福地化石館 美術館・博物館
-
ここは化石の資料館。
普段の私ならば、半ば歓喜の声でもあげながら化石の展示ケースの間を行ったり来たりするのだろうが、この時は少し彷徨っただけ。
あまりにもこの状況が異質過ぎた。
誰もヒトを見かけない村。
その村の中の化石館。
電気は煌煌とついているが、人の気配が全くない化石館の館内。
そして、延々と化石についても番組を流し続けるTV。
非日常・非現実的過ぎる情景だった。
(写真:展示されていた化石) -
それでも化石の展示室に15分位は居たと思う。
怖さよりも興味が強かったのだ。
海珊瑚や海綿、層孔虫の化石を観察した。
結局、化石館を出るまで、従業員の方とも他の旅人とも一切顔を合わせることは無かった。
化石館を出る時に、玄関で大きな声でありがとうございます!の挨拶をしたが、勿論、それに対する応えも無かった。 -
宿への帰り道に昭和レトロな看板が沢山貼り付けてある建物を発見!
-
明らかに私が生まれたころよりも更に年代が古いと思われる看板の数々。
そして、その看板の下には、野菜の無人販売の名残と思われるものが、置いてあった…。
いったい、福地温泉って何なの…? -
そして極めつけはこちらの茶房。
辻茶屋と看板のあるちょっとノスタルジックな建物を見つけた。
宿の夕食まではまだ1時間以上の時間があり喉も乾いていたので、コーヒーでも飲もうかと扉を開けて中へ入ってみたのだが…。 -
辻茶屋の室内の電気はついているのだが、ヒトは誰一人いない。
壁には観光ポスターが張られ、何枚かは鋲が外れ下へと落ちている。 -
そして店内のその奥は、やはり電気はついているもののガランドウ。
カフェなんてどこにもなかった。
先ほどの化石館と云い、この辻茶屋と云い、福地温泉はいったい何がどうなっているのだろう???
もしかして、この村は幽霊船のマリー・セレスト号なのか…。 -
夢か現(うつつ)か分からないような福地の郷の中を歩き、宿へと戻る。
部屋でのんびりと寛ぐ家族の顔を見て、ようやく現実の世界に戻って来られたことを実感した。
そして、待ちに待った宿の夕食の時間。
山の幸、川の幸をタップリと使ったお料理を囲炉裏端でいただく。
炭火を熾して焼く飛騨牛は、とろけそうに柔らかい。
そして、マスの焼き魚も背骨を抜いてあるので、頭から尾びれ迄全部を食べることができる。
山菜の天ぷらも出来立てをサーブ。
鯉の洗いも鯉こくも食べるのは子供の時以来だったが、美味しく食べることが出来た。
二日続けての山国の山菜料理。
美味しい和食を食べている時は、日本に生まれて良かった〜と思える時。
幸せな瞬だった。西穂ハイキングの前後泊に。クリスタルひとし君も居るよ〜/お料理がお勧めの小さな宿 by ウェンディさん福地温泉 民宿 内山 宿・ホテル
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旅行記の最期に、幽霊船のような化石館についての情報を…。
帰宅後にネットであの不思議な化石館について調べてみたところ、営業時間は16時までとなっていた。
私が訪れたのは16時をはるかに過ぎた17時半頃。
自分は、本当に現実の化石館の建物に足を踏み入れていたのだろうか。
本当は、福地の山に棲む年老いた狐に化かされていたのではないだろうか…。
今、思い返すと、そんな気がしてくる。
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この旅行記へのコメント (11)
-
- 黒田(温泉)さん 2015/10/16 01:26:31
- 白川郷に福地温泉
- ウェンディさん
今晩は!
「白川郷に福地温泉」、一緒に回るコースもいいですね!
私は、「福地温泉」に2回行きましたが、残念ながら、「白川郷」
へは回らなかったです!
次には、是非行ってみたいでする。
情報、ありがとうございました。
- ウェンディさん からの返信 2015/10/17 10:48:21
- RE: 白川郷に福地温泉
- 黒田(温泉)さん こんにちは。
岐阜県は我が家からは遠いイメージがあったのですが、埼玉県から今回訪れてみて思いの外、近かったかな…という印象を受けました。
白川郷は世界的にも有名な合掌造りの里で、観光客の数は海外から(特にアジアから)のゲストの方が沢山いらして、日本の原風景のような場所でありながらも不思議と異国の言葉が聞こえてくる場所で、ちょっと不思議な感じがしました。
是非、機会がありましたら周辺の山の山登りと合わせてお出かけしてみてくださいね。
御岳山のブログも拝見いたしました。
ロックガーデンのあたりは苔が生えて良い雰囲気の場所ですね。
そして、神社近くの茅葺の場家御師住宅、霧の中に浮かび上がる感じが神秘的な写真でした。
ウェンディ
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- こあひるさん 2015/10/14 10:25:30
- 狐に化かされたような・・・
- ウェンディさん、こんにちは。
化石館やカフェ・・・誰かがさっきまでいたような空気があるのに、人っ子ひとりいない・・・森の中に出現した不思議ワールド。遠野物語のまよいがのような不思議世界〜〜!これは・・・きっと異空間に紛れ込んだか・・・狐に化かされたんですよ〜〜(笑)。無事に帰ってこれてよかったですね!
こあひる
- ウェンディさん からの返信 2015/10/15 19:46:27
- RE: 狐に化かされたような・・・
- こあひるさん こんばんは。
むかし、むかし、まだ小学生と云われていた頃、SFお話が大好きで古典的な星新一さんからペリー・ローダンまで幅広く読んでいました。
宇宙モノから近未来モノまでどんなジャンルも好きでしたが、一番好きだったのが現代モノ。
自分と同世代の少年少女がふとした拍子にパラレルワールド(並行時空)に紛れ込むお話が好きでした。
周りの風景はいつもとは変わらない。
周囲にいる人達も、表面上はいつもと同じ。
でも、何かが違う。
お母さんと話をしていても、お母さんの態度がどこか違う。
話を終え、自分の部屋に行く途中にふと振り返ってお母さんの方を見てみると、お母さんの影は…。
なんていうお話をドキドキしながら読んでいました。
今回の福地温泉での出来事はまるでSFみたいで、電気だけが灯る人気のない化石館や茶房を見た時には真剣に子供の頃に読んだSFのお話が脳裏をよぎりました。
もしかして、ここはパラレルワールドだったりして…と。
残念なことに、パラレルワールドは妄想で終わりましたが、16時で閉館の筈の化石館が何故17:30で鍵が開けられていたのか。そして、誰もいなかったのか。
狐に騙されたようで、未だに不思議です。
ウェンディ
-
- イサタロウさん 2015/10/11 22:09:17
- 素敵な旅ですね
- ウェンディさん、こんばんは。
白川郷は十数年前に行ったきりですので、思い出しながら拝見いたしました。それぞれの写真も興味深く見させていただきました。
落ち着いたこんな旅をのんびりとしてみたい気分にさせられました。
あまりに魅かれたので、つい筆を取ってしまいました。
これからもよろしくお願いします。
- ウェンディさん からの返信 2015/10/11 23:53:44
- RE: 素敵な旅ですね
- イサタロウさん、こんばんは。そして初めまして、ですね。
今回の秋旅は久しぶりの家族旅となりました。
高校生の娘は親との時間よりもお友達と過ごす時間の方に魅力を感じるお年頃。
連休中も部活の外部練習やらで大忙し。
で、今回は何とか予定を合わせての旅でした。
我が家の旅は落ち着いた旅…と云うよりも人ごみを避ける旅。
ノンビリできそうな場所を探して車を走らせています。
旅の最終話は、憧れの上高地…となる筈でしたが…。
また、旅行記に遊びにいらして下さいね。
最後になりましたが、フォローをありがとうございます。
そして、私からもフォローをよろしくお願いします。
ウェンディ
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- 備前屋ねこさん 2015/10/11 21:14:36
- 親谷温泉
- ウェンディさん、こんばんは♪
親谷温泉、ずっと行ってみたいと思っていた温泉だったのですがいつのまにか温泉の湯量が減って露天風呂が入れなくなっていたとは知りませんでした・・・
ホワイトロードの中にあるので車でないと行けなくってなかなか行けないままになっていました。
残念・・・
それにしてもお湯が減ってしまったなんて日本中で火山や地震に関わりそうな異変が起きてますね。
福地温泉は落ち着いた感じのいい温泉ですよね〜
営業時間を過ぎても明かりがついて誰もいない化石館、キツネに化かされたような気分ですね。
温泉宿も朝目覚めたら廃墟の中。
一枚の葉っぱだけがハラリと落ちていたりして(笑)
私も明日から高山方面へちょこっとお出かけしてきます♪
私もキツネに化かされないように気をつけようっと♪
備前屋ねこ
- ウェンディさん からの返信 2015/10/11 23:14:12
- 狐の力も使い方次第では、役に立つかも♪
- 備前屋ねこさん こんばんは。
明日から高山方面にお出かけ♪。
9月の中旬は紅葉にはまだ早かったですが、そろそろシーズンを迎えている頃かと。
たのしみですね。
親谷温泉は昨年位までは露天風呂には入れていたようですが、女性の方は入浴されていたのだろうか…と少しばかり考えてしまいました。
露天風呂があるのは、展望台の一番下の部分。
つまり観光客が展望台から下を覗けばその下はすぐに露天風呂という環境で、SNSが発達している昨今では、どんなところで写真に撮られネット上に流れてしまうかは写された本人には想像がつかない処。
例え水着着用がOKでもなかなか勇気が必要な露天風呂かもしれません。
現在は湯量が減り足湯だけですが、今後回復した時には是非、高山の狐の力を借りてチョイと化けて、屈強な殿方の姿にでも…。
そしたら、思う存分露天風呂をたのしめますよ〜。
ウェンディ
-
- momotaさん 2015/10/11 20:45:06
- マリー・セレストの村
- ウェンディさん、こんばんは
30年ぶりの白川郷、昔の思い出に浸りつつ変わってしまった村の
姿にちょっと寂しさを覚えたのですねー。私は数年前念願かなって訪れましたが
思い描いていた静かで素朴な姿とは程遠い観光地にガッカリした
のでウェンディさんはもっと複雑だったでしょうね。
考えてみればそこにいる人は私たちと変わらない今を生きてる人
なんだから同じ文明の発達をして当たり前なのに勝手電気もない
ような不自由な生活を想像したりそれこそワラジでも履いていて
ほしいようなイメージ持ってるんですよねぇ。
化石館怖すぎ〜…。最後まで誰とも会わなかったのは良かったのか
悪かったのか。この雰囲気でバッタリ誰かが出てきても相当怖い
気がする。極めつけの茶房・・・
もはやカフェでもなんでもなく誰もいないって一体ここの人たちは
何処にいってしまったのでしょう?!
マリーセレスト号の話小さい頃母が買ってくれた世界の七不思議
の本で読んですごい気になって気になって。
まさにそんな不思議な体験でしたね。無事で良かった(^o^)
- ウェンディさん からの返信 2015/10/11 22:49:14
- RE: マリー・セレストの村
- momotaさん こんばんは。
高山や白川郷は訪れる前から頭の中にある程度のイメージが出来ていて、そのイメージを後追いする様な形で旅をする場所。
だから、行った先が自分の想像と大きく異なっていたりすると、そのショックは大きいですね。
今回の旅で訪れた高山は、埼玉の川越風に区画整備され電線は地下に埋められているのだろう…と商業的小京都を予めイメージしていたので、まぁ、こんなものだろう的な感じで街並みを眺めましたが、さすがに30年前の子供の頃の記憶が鮮明に残っていた白川郷の変貌ぶりには驚きました。
30年前は世界遺産の世の字もなく、合掌造りの集落というよりは、合掌造りかろうじて残されている集落で、国内でもそれほど有名な場所ではなかったと思います。
でも、世界遺産に登録され、村の中の色彩の統一、住居の建築制限が図られ、合掌造り住居の保存地区となり、住んでいる地域の方々はそれに合わせた形に商業形態を変えていったのでしょう。
道路沿いには合掌造りの家を利用したお土産屋さんやカフェがあり、店先には日本語、英語、中国語の看板が立つ。
がっかりしなかった…と云えば嘘になりますが、同じ時代を生きるという時の流れの中では仕方がない事かとも思いました。
しかし、今回は合掌造りの民宿に一泊することで少しだけ昔の村の雰囲気を味わえたので、それだけでもよかったかな…と思っています。
そして、マリー・セレスト号の様な福地温泉郷。
TVが映像を流し続ける無人の化石館に入り、煌煌と灯りが灯った誰もいない辻茶屋に足を踏み入れた時には、ちょっと背筋がゾクっとしました。
これで、誰もいない茶屋の中にテーブルがセットしてあり、その上では温かいコーヒーがついさっき淹れたばかりのように湯気を立てていたら、発狂寸前ですね。
却って、何も置いて無くて良かったです。
宿までの帰り道に、〜宿に帰った時に宿の人は誰もいなく、家族の姿もどこにもなく、ただ荷物のみが置いてあり、客室内の座布団にはまだ温もりが残っていた〜なんてことが起きたらどうしよう!と少し不安になりましたが、宿にはちゃんとおかみさんもいて、家族も部屋でくつろいでいました。
しかし、福地温泉郷は廃墟趣味の何かを作りたいのか…と思える位不思議な場所でした。
ウェンディ
- momotaさん からの返信 2015/10/11 23:46:58
- RE: RE: マリー・セレストの村
- あははっ
温かい座布団が残されて家族がいなくなっていたって
ウェンディさん、想像力ありすぎ〜〜(≧∇≦)
幼心に船に残された温かな食事のくだりはぞっとしたのを覚えています。
冗談でも怖すぎですよー。
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