2023/04/03 - 2023/04/03
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j-ryuさん
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☆今年も奥州三古関の一つ史跡・奥州白河の関にカタクリとキクザキイチゲの
見事な群生を見に行ってきました。
白河の関は万葉~平安時代に機能していた国境の関で
その後、律令制の衰退とともの関は使われなくなりましたが
歌枕の地として短歌や俳句の憧れの聖地となり
能因、西行、芭蕉など名だたる歌人俳人が多くの歌を残しています。
一般的に白河関は史跡や文学として注目されていますが
昨年(2022年)は夏の甲子園で仙台育英高校によって
球史上初めて白河の関を越えて東北に優勝旗がもたらせられたことで
大きな話題になり、あやかり参拝者も増えたとの事です。
私の場合は文学や歴史より可憐な野の花狙い。
白河神社を取り囲む社叢(しゃそう)は山野草の宝庫で
特に早春のカタクリやキクザキイチゲの群生は
一見の価値があります。
周辺は自然の里山を生かした『白河関の森公園』としても
美しく整備されています。
歴史好きにも自然好きにも嬉しい歴史公園です。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
PR
-
☆白河の関ルートMap
※Google Mapに加筆
https://www.google.co.jp/maps/@37.0829886,140.2837545,15801m/data=!3m1!1e3?hl=ja -
☆白河市表郷地区から望んだ関山(619m)※2019/5/7 撮影
白河の関の北東に聳える関山(619m)
名前のように白河関の近くにある秀麗な単独峰で
山頂には行基が開基したと言われる万願寺があり、
芭蕉や曽良も奥の細道の道中に参詣したと言われる名峰です。
芭蕉もこのような長閑な田植え風景を心にとめ
『風流の初めやおくの田植え歌』を詠んだのかも。
※芭蕉らは白河関よりずっと北の須賀川宿で世話主の等躬に
「どんな関越えの句を作りましたか」と問われ
「疲れや、風景に魅了されたりなどで十分考えられなかった。
しかし一句も作らぬのはやはり残念で」と芭蕉が須賀川宿で詠んだ句です。 -
☆白河関の森公園案内図 (現地看板に加筆)
白河の関は福島県と栃木県の県境近く
我が家からは車で40分ほどです。
白河関の森公園はかなり広大ですが、目的のカタクリやキクザキイチゲの群生は
主に白河神社を取り囲む社叢(しゃそう)=神社の森に自生するので、
メイン駐車場から白河神社方面に歩いて進みます。 -
☆白河関の森公園案内図 (現地看板に加筆)
白河神社参道入口にある案内板です。
メイン駐車場にある案内板と若干表示が違うようで
こちらにはカタクリの群生地が表記されていました。
キクザキイチもカタクリと同じような場所に自生しています。 -
☆白河の関跡&白河神社参道入口手前の梅林
福島県の中通りは桜が満開だと言うのに白河の関は
標高(390m)が高いので白梅がまだ咲いていました。
因みに福島市は(65m)郡山市は(240m)当町は(275m)
白河市は(360m)と
中通りは南の栃木県に近いほど標高が高くなります。 -
☆白河の関跡&白河神社参道入口
白河の関跡&白河神社参道入口の桜は咲き始めでした。
因みに奥州三古関とは白河の関の他、
福島県いわき市の勿来の関(なこそのせき)と
山形県鶴岡市鼠ヶ関(ねずがせき)の三関を指しますが
当時は奥州三関という表現は無かったそうです。 -
☆白河関跡の現地解説版
奈良時代から平安時代に機能していた白河関は律令制の衰退とともに
その機能は失われ江戸時代半ばにはその存在場所も曖昧になり、
現在の白河関の南にある『境の明神』が白河関跡との説もありました。
境の明神は、白河市と栃木県那須町の県境に二社並立している神社の通称である。
白河から見ると、陸奥側(白河市)には玉津島明神(女神・衣通姫)、
下野側(栃木県那須町)には住吉明神(男神・中筒男命)が祀られています。
松尾芭蕉の奥の細道俳諧紀行で、
みちのくの第一歩を記した場所として句碑や歌碑が建立されているとともに、
大名家や商人から多くの燈籠が寄進されていることから、
陸奥・下野の国境である境の明神として重要な場所であったことがうかがえる。
松平定信の時代に建てられたという「従是北白川領」と刻まれた石柱もあります。 -
☆白河神社参道入口
入口の杉には大蛇のような藤の古木が巻き付き
ほぼ締め殺し状態です(^-^;。 -
☆白河神社参道
白河神社は社叢(しゃそう)=神社の森の一番高い場所に
鎮座していますが、階段は見えている部分だけなので
登るのはそう大したことではありません。 -
☆白河神社拝殿
JR白河駅の南7Kmほど栃木県との県境の近く。
奥州三古関の白河関跡内に鎮座しています。
階段参道を上ると社殿があり本殿は裏手にあります。
社伝では、成務天皇五年九月、白河国造・鹽伊乃自直命を祀り、
宝亀2年(771)3月に、
天太玉命、住吉明神・中筒男命、玉津島明神・衣通姫命を祀ったという。 -
☆白河神社 夏の甲子園、仙台育英高校の祝賀旗
白河神社社殿内には2022年、夏の甲子園の仙台育英高校の優勝祝賀旗がありました。
北海道は駒大苫小牧高校が既に優勝していますが
東北勢は準優勝どまりで2022年に初めて白河の関を越えました。
仙台育英高校は優勝後に長年の応援に対し優勝報告とお礼に参拝したようです。
なお、社務所は県道76号伊王野・白河線沿いにあります。 -
☆旗立の桜
◎旗立の桜はまだ蕾でした。
旗立ての桜は義経が平家討伐のためいざ鎌倉に参じる際、
白河神社に先勝祈願したとき、
この桜に源氏の旗を立てたと言う伝説があります。
この地域名『旗宿』はこれに由来するそうです。 -
☆従二位の杉
白河神社参道入口の右手には杉の巨木『従二位の杉』が
そそり立っています。
根本の人と比べるとその大きさが分かります。
◎従二位の杉
鎌倉時代初期の歌人で「新古今和歌集」の選者でもある
藤原家隆(従二位宮内卿)が手植えした奉納した樹齢800年の巨木。 -
☆従二位の杉
下から見上げるとその迫力に圧倒されます。 -
☆白河の関跡の枝垂れ桜
ソメイヨシノはまだ咲き出したばかりでしたが
シダレザクラやトウカイザクラは満開でした。 -
☆白河の関跡のトウカイザクラ
◎トウカイザクラ(東海桜/バラ科サクラ属)
サクラの園芸品種で、淡紅色の5弁花の基部は赤みが濃く、
小さな枝にも花をたくさん咲かせます。
樹形は箒型で使い勝手が良く活け花用に多く利用されます。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華/キンポウゲ科イチリンソウ属)
それでは白河関跡の社叢(神社の森)をレストランや案内所のある
南側から右回りに歩いてみましょう。
まず出迎えてくれたのは
キクザキイチゲ(菊咲一華)の群生です。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華/キンポウゲ科イチリンソウ属)
◎キクザキイチゲ(菊咲一華/キンポウゲ科イチリンソウ属)
キクザキイチゲは近畿以北~北海道の落葉樹林下や林縁に自生し、
花や葉が菊に似ていて花を一つだけ咲かすのでキクザキイチゲと呼ばれます。
花色は基本的には白ですが豪雪地帯では青花も多く見られます。 -
◆郡山市湖南町の青花キクザキイチゲ (※ 2023/4/10 撮影)
キクザキイチゲは白花の他に数は多くないものの青花もあります。
青花は日本海側の豪雪地帯に多く自生し、
福島県でも会津地方の山間部に自生します。
中通りでも奥羽山系の山間部でも僅かに自生しています。
豪雪地帯に多いのは事実ですが、雪のあまり積もらない筑波山にも
自生するようなので豪雪だけが理由でもないようです。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華/キンポウゲ科イチリンソウ属)
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☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華/キンポウゲ科イチリンソウ属)
キクザキイチゲは自然豊かな山間部でも見られますが
自然界は厳しいのでキクザキイチゲだけがこれほど群生している場所は
あまり無いと思います。
ここは昔から白河神社の社叢(神社の森・鎮守の森)として
大切に守られてきたのでキクザキイチゲにせよカタクリにせよ
これだけ群生しているのだと思います。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華/キンポウゲ科イチリンソウ属)
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☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華/キンポウゲ科イチリンソウ属)
キクザキイチゲを始めスプリングエフェメラル(春の儚い命)は
夏には地上葉は枯れ休眠に入るので
少しは藪になっても大丈夫ですが
常緑の植物などが繁茂し覆いつくすと
冬~春にに陽射しが燦燦と当たらなくなり
次第に消えて無くなってしまいます。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華/キンポウゲ科イチリンソウ属)
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☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華/キンポウゲ科イチリンソウ属)
社叢(神社の森・鎮守の森)や手入れさている雑木林や里山は
厄介な植物は下刈りされるので草丈の低いスプリングエフェメラルでも
群生をつくることができます。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華/キンポウゲ科イチリンソウ属)
自然のままの山でも条件がそろえばスプリングエフェメラル植物は
ちゃんと生きていけますが、自然界ではライバルが多いので
中々大きな群生は形成できません。
人間と共生関係を結べた方が
よりたくさんの子孫を残すことができ、
見事なお花畑が見られるようになります。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)&キクザキイチゲ(菊咲一華)
今年の春は早く訪れキクザキイチゲの開花は通年より10日ほど早く
カタクリも同じように早く開花したので同時に見頃を迎えました。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華)
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☆白河関跡~ヤマエンゴサク(山延胡索)
ヤマエンゴサクも少し咲き始めていましたが
キクザキイチゲやカタクリほどは開花は早まっていない感じです。
◎ヤマエンゴサク(山延胡索/ケシ科キケマン属)は本州~九州の
山あいのやや湿った場所に自生し、花色は薄紫や水色、青など様々です。 -
☆白河関跡~ヤマエンゴサク(山延胡索)
山延胡索は中国に同じ仲間の生薬“延胡索”があり
日本の野生の延胡索と言うことで山延胡索と名づけられたそうです。
漢方のエンゴサクは鎮痙、鎮痛作用があり、
大正中薬胃腸薬、太田漢方胃腸薬などにも配合されていますが
残念ながら日本のヤマエンゴサクの薬効は劣るそうです。 -
☆白河関跡~エイザンスミレ(叡山菫)
エイザンスミレも咲き始めていました。
◎エイザンスミレ(叡山菫/スミレ科スミレ属)
エイザンスミレは本州~九州の
山地の木陰に生える無茎のスミレで葉は3裂し、
その両外側は少し先で深く2裂し、鳥足状になるが最大の特徴です。
花色は薄紅色~白まで様々ですが、薄紅タイプが一番多く見られます。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
キクザキイチゲの群生の直ぐ先ではカタクリの群生が満開です。
◎カタクリ(片栗/ユリ科カタクリ属)
カタクリは北海道~九州の主に落葉樹林下に自生し、
日本ではピンク色と雑種の白花だけですが、世界では約25種あるそうです。
観光山野草園などで黄色いカタクリを見ることもありますが、
日本の山野草の中に外来種があるのはどうかな?と思います。
少なくとも日本の在来種では無いことを明記して欲しいものです。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
カタクリは、ユリ科カタクリ属に属する多年草。
別名で、カタコともよばれ古語では「堅香子(かたかご)」と
呼ばれていたそうです。
山地の林内にしばし群生し、1 - 2枚つく葉にはまだら模様がある。
春先に独特で見栄えする紅紫の花を咲かせたあと、地上部は枯れる。
種子で繁殖するが、発芽から開花まで8 - 9年ほどかかる。
かつて、球根から片栗粉が作られていました。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
カタクリもキクザキチゲやニリンソウと同じく
スプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)の一つで
落葉広葉樹林などで春先に花を咲かせ、
夏まで葉をつけたあとは地上部は枯れ地下で過ごす草花の総称で
「春の儚いもの」「春の短い命」というような意味で、
「春の妖精」とも呼ばれています。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
カタクリもキクザキイチゲも典型的な里地里山型の植物で
人の手の入らない山でも条件さえ良ければ群生しますが
草丈の低い山野草は背の高い植物に埋もれてしまうと
やがて消えてしまうので、人の手で下刈りされるような里地里山で
良く群生します。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
カタクリはご存知のように片栗粉の語源でもありますが、
そのカタクリの名の由来は葉の模様が鹿の子に似ているので「片葉鹿の子」。
これが「カタカゴ」になり、さらに転化して「カタクリ」になったとか
カタクリの種が栗のイガの中にある1つ1つの実に似ている事から
「片栗」と呼ばるようになったという説もあります。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
料理をする人ならご存じでしょうが
現在、片栗粉とよばれるデンプンは多くがジャガイモから
作られるデンプンです。
料理用のデンプン(スターチ)には主にジャイモから作られたポテトスターチと
トウモロコシから作られたコーンスターチがあり
少量使いならどちらを使っても大丈夫ですが
同じデンプンでも性質は違います。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
片栗粉は温度が下がると粘度が低下してしまうため、
温かいうちに食べるあんかけ料理やかきたま汁などに適しています。
また、とろみをつけても無色透明であるため、食材の色合いを損ないません。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
コーンスターチの粘度は片栗粉に比べて低めですが、
温度が下がっても効果は持続します。
そのため、カスタードクリームなど冷ますことが前提のお菓子作りに
よく使われます。
ただし透き通った仕上がりにはならないため、
片栗粉の代用として使う場合には注意が必要です。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
カタクリ粉の語源はこのカタクリにあると先に書きましたが
ではカタクリからいつの頃まで片栗粉は作られていたのでしょう?
正確な年代は不明なようですが
江戸末期頃まであろうと言われています。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
江戸時代まで片栗粉は現在のような調理用デンプンとしてではなく
病人のための栄養補給源として利用されていたようです。
カタクリの球根から取れるデンプンはほんの僅かで
江戸末期にはカタクリは激減していたようです。
現代はカタクリから片栗粉を作る人はまずいないと思いますが
昭和の高度成長期に生活にゆとりによる山野草ブームで
盗掘されせっかく回復してきたカタクリでしたが
保護地以外で見る機会は少なくなってきました。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
明治に入り、北海道開拓が進み寒冷地でも栽培が容易なジャガイモの栽培が
推奨されジャガイモの生産が飛躍的に増えました。
そのジャヤガイモから作られるデンプンはカタクリから作られるデンプンと
似たような効果が得られさらに安価なため、
わざわざ苦労して激減したカタクリから片栗粉を作る人は
いなくなったようです。
明治期以降はジャガイモデンプンが片栗粉の代用として定着し
名前も片栗粉を踏襲するようになったようです。
今なら原材料が違うので食品偽装になりそうですね(^-^;。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
カタクリだけの大きな群生なら福島県にも他に何か所もありますが
白河関跡の見どころはキクザキイチゲとのコラボレーションです。
このスポットのようにカタクリとキクザキイチゲが仲良く咲き誇っています。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
見ようによっては仲良さそうに見えるかも知れませが
実際は陣地を取り合う争いをしているのが実際だと思います。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
カタクリに限らずハナビラの薄い花は逆光で撮影すると
透明感ある美しい花に撮れると思います。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
ただ野生の花は陽射しと花の正面が一致するとは限らないので
逆光撮影を狙おうとすると花の裏から撮影しなければならない
ケースが多いです。
何故なら花はヒマワリのように陽射しの方に正面を向ける種が多いので
撮影者の思い通りにはなりません。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
さらに逆光撮影を狙おうと思っても
カタクリのような草丈の低い植物は
その植物の草丈と同じ視線で撮影しないと
完全な逆光撮影はできません。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
草丈の低い花を平坦な土地で逆光撮影するなら
撮影者が草丈に合わせて這いつくばる必要がありますが
白河関跡のカタクリは急斜面に群生しているスポットが多く
その場合は這いつくばらなくても下から見上げるように
逆光撮影できるのでありがたいです。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華)の群生
カタクリとキクザキイチゲが混在している場所もあれば
ここのようにキクザキイチゲばかりの場所もあります。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華)の群生
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
それにしてもこのカタクリやキクザキイチゲの群生は
どうやって形成されたのでしょう? -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
①人間が一株一株植えて増やした。
②人間が種を蒔いて育てた。
③勝手に増えた。
④小動物が種をあちこちに運んだ。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
一番正解に近いのが④だと思われます。
カタクリやキクザキイチゲはアリ散布植物の一つで
種を蟻たちが遠くまで運んでくれたので
大きな群生が形成されたのだと思われます。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
-
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
カタクリやキキザキイチゲの実(種)には蟻を誘引する物質
エライオソーム(オレイン酸などの脂肪酸やグルタミン酸などの
アミノ酸、ショ糖などの糖)を含んだ付属体があり、
蟻はエライオーソム付きの種をせっせと巣に運び、
エライソーソムだけを食べ実際の種は巣の中のゴミ捨て場に捨てたり
巣の外に放り出します。
その種が条件の良い場所だと発芽する仕組みです。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
-
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
つまり種は蟻が巣まで持ち運ぶので発芽能力を失うことなく、
花が咲いていた場所より遠くに運ばれることになります。
蟻にとっても、栄養あるエライオソームを獲得できるので、
双方が利益を得ることになり、蟻とカタクリは双利共生の関係にあリ
このような手段で、種を遠くに散布する植物をアリ散布植物と呼びます。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
日本におけるアリ散布植物としては、スミレ属、イチリンソウ属、
フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、
エンレイソウ属、カタクリ属などに200種類くらいはあると言われています。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
でもいくら蟻が運んでくれたとしても
その種が捨てられた場所がアリ散布植物に適した条件を備えていないと
種が発芽したり、育ったりすることはありません。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
アリ散布植物は草丈の低い植物が多いので
蟻によって広められた種が
下刈りのされていない薄暗い薮だったら
発芽自体が難しいし、たとえ発芽しても日光不足では
成長もできませんし、花も咲かすことができません。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
アリ散布植物は人間と上手く共生することによって
繁栄してきたとも言えます。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
-
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
もちろん人間と共生しなくても命をつなぐことはできますが
自然界では陽当たりが良く適度な水分のある場所は
多くの植物にとっても人気の場所なので
草丈の低い植物が生き抜くのは容易ではないし
ましてや群生を作るなど到底無理な話です。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
つまりアリ散布植物は一時的には蟻の力を借りますが
2次的には人間の力もかりないと群生を作るのは困難だってことです。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
-
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
その点、社叢(神社の森、鎮守の森)は管理された自然なので
管理の仕方次第では草丈の低い植物には絶好の繁殖地になり得ます。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
社叢(神社の森、鎮守の森)と一言で言っても
原生林を保ちながら人間は殆ど手を加えない森もあれば
白河関跡のように巨樹は残しながら薮や灌木は下刈りする森もあり
社叢(神社の森、鎮守の森)だからと言って全ての植物にとって
楽園になるわけではありません。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
群生を形成するのにカタクリ自身は努力をしないのいか?と言えば
カタクリはカタクリなりに努力(進化)してきたのかも知れません。
その一つが蜜標(みつひょう)です。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
カタクリのハナビラの内側にはまるでもう一つ花のような模様が
あるのがよく分かります。
これは蜜標(みつひょう)と呼ばれ、
虫たちに蜜のありかを教えるための模様だと言われてます。
わざわざ教えなくても虫たちは花の中心部に行くと思うのですが・・・
より親切ってこと??(^-^;。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
虫が密を吸いに花の真ん中に集まってくれれば
それだけ受粉される可能性が高くなり
引いては種も出来やくすなるってことですね。
種に蟻が好むエライソーオムを付属させたのも進化の一つかも。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
エライソーオムを付属させた種が出来た後は
蟻の出番で、
アリ散布植物の話につながっていきます。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
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☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
カタクリは主に落葉樹林の林床に群生し早春に花を咲かせて夏前に
地上部がすべて枯れ、翌春まで休眠状態になります。
地下には鱗茎を持っていて、毎年少しずつ成長し、
種の発芽から8年ほどかけてやっと花を咲かせます。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
地上部(葉)が存在する期間が2ヶ月ほどしかなく、
その短い期間しか光合成ができないため、
他の植物に比べて発芽してから花を咲かせるまで長い時間がかかると
考えられています。
しかし球根の寿命も長く、40年、50年もあるそうです。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
-
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
では何故、カタクリなどスプリング・エフェメラル植物は夏前に枯れるのか? -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
夏は日照時間が長く日射量も多いので様々な植物が葉をよく成長させる季節です。この大切な時期に葉を枯らし休眠てしまうため、
カタクリの成長はとても遅くなります。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
しかし、カタクリなどスプリング・エフェメラルにとって、
夏に葉を枯らすことこそが重要なのです。
スプリング・エフェメラルが生育する主な環境は落葉樹林の林床です。
落葉樹は冬には葉を落とすため、春の初め頃はまだ葉が展開していません。
そのため、早春、落葉樹林では林床にも光が届きます。
この日射を最大限生かすのがスプリング・エフェメラルです。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
夏になると落葉樹は大きく葉を広げます。
林床はわずかな光しか届かず薄暗い環境となってしまいます。
そのため、基本的には弱い光でも生き延びられるような
耐陰性を持っている植物しか生育することができません。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
スプリング・エフェメラルは落葉樹が葉を大きく展開する前の
短い期間だけ集中的に光合成を行って養分を蓄え、
林床が暗くなる頃には地上部を枯らして休眠状態に入いり体力を温存し
夏に十分な光が当たらない環境下でも生き伸びることがでるようになりました。
つまり、スプリング・エフェメラルは、成長期間(成長の速さ)を
犠牲にして耐陰性を持たなくても休眠することで
落葉樹林下で生き延びる作戦に特化したと言えます。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
-
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生&キクザキイチゲ
スプリング・エフェメラルが夏場に休眠(枯れている)している間は
草丈が低くても耐陰性のある植物が少ない光を利用できるようになり
命をつなくことができます。
生態系は絶妙なバランスで成り立っているんだなと実感できます。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華)
花の部分だけ優しい木漏れ日が射し気品ある美しさです。 -
☆白河関跡~タチツボスミレ(立壺菫)
珍しいスミレではありませんがタチツボスミレ(立壺菫/スミレ科スミレ属)が
群生していました。
珍しくなくても群生すれば見栄えがいいです。
スミレの名前の基本種であるスミレより分布域も分布数も多く
おそらく日本で一番多く見られるスミレの一つだと思います。
珍しさはありませんが空色のとても美しいスミレです。 -
☆白河関跡~タチツボスミレ(立壺菫、立坪菫)
名の由来は「坪」とは道端や庭の意味で
「立」は、花の盛りを過ぎると茎がしだいに立ち上がってくるところから。
また、漢字で(立壺菫)と表記する場合もあります。
この壺はスミレの由来となった大工道具の墨入れを壺に見立てた説もありますが、
疑問を投げかける人もたくさいます。
「スミレ」の花の基部に、蜜をためておく、ふくらみ(距)があり
その姿が大工道具の「墨入れ」を横からみた形状に似ているところから、
語源となったとするのは、朝ドラ『らんまん』の牧野富太郎博士の説。
でもスミレと言う言葉は平安時代以前から使われていました。
牧野富太郎博士の説の墨入れ説の元となった墨入れ(墨壺)は
江戸時代以降の形だそうで、それ以前はスミレの花(距)のような形では
無かったそうで、牧野富太郎博士の説は疑問視されています。
万太郎危うし!! -
☆大滝川渓谷~オオタチツボスミレ(大立壺菫) (※2023/4/10 撮影)
タチツボスミレにそっくりでやや大型のスミレに
オオタチツボスミレがあります。
花の後ろにある距(キョ)が白いのが特徴で、
多雪地帯の山間でよく見られます。
葉もタチツボスミレより少し大きく葉脈が少し凹んでいます。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華)群生&カタクリ
-
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華)群生&カタクリ
白河関跡から直線距離で東に3km(Google earthで計測)ほどの
山あいにヤマブキソウやカタクリの群生が有名な天狗山があり、
その天狗山ではカタクリとニリンソウの群生が混在しています。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華)群生&カタクリ
白河関跡にもニリンソウは自生していますが天狗山ほど大きな群生は見られず
カタクリとの混在もなぜか見られません。
素人目にはそう大きな環境の変化は無いようにも見えるのですが
やはり微妙な違いが植生の変化になっているのでしょうね。 -
☆白河関跡~キクザキイチゲ(菊咲一華)群生&カタクリ
そうそう、天狗山では群落がみられるヤマブキソウですが
白河関跡では1株も見たことがありません。
おそらく自然度の差なのかなと思われます。 -
☆白河関跡~カタクリ(片栗)の群生
-
☆白河関跡~ニリンソウ(二輪草)
白河関跡では南西にニリンソウの小ぶりな群生がありますが
今年はまだ咲き始めたばかりでした。 -
☆白河関跡~昨年のニリンソウ(二輪草) (※2022/04/12 撮影)
今年の撮影は3/29で昨年は4/12と2週間も違うので
見頃が違うのは当然ですが、
カタクリは4/12がニリンソウと同じ見頃だったので
春の感じ方は植種によって違うのが良く分かります。 -
☆白河関跡~ニリンソウ(二輪草)
ニリンソウ(二輪草/キンポウゲ科イチリンソウ属)は日本各地の主に山地の
湿潤な林床や川沿いに自生します。
そう珍しい花ではありませんが
その清楚で気品のある姿はいつ見ても心洗われる花です。 -
☆白河関跡~ニリンソウ(二輪草)
ニリンソウの花は真正面から見るとほぼ純白ですが
開花間もない頃に花の背後から見ると少しピンクがかっていて
乙女チックです。
これで◆奥州三古関・白河の関跡で?カタクリ色に染まるはお仕舞です。
いつも最後までご覧下さりありがとうございます。
そして、いいねもありがとうございます。
春と秋は貧乏暇なし。
花や紅葉は待ってくれないので撮影を続けながら
編集&投稿するので日々大忙しです。
さらに春は庭仕事(園芸)もあるし、
もう若くはないけどボケている暇などありません(^^ゞ。
春の花シリーズはまだまだ続きます。
ではまた。 j-ryu
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