
2022/06/21 - 2022/06/28
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j-ryuさん
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☆今年も初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐりをしてきました。
羽鳥湖高原は標高750mほどの我が家から一番近い高原の避暑地、
感動的な絶景があるわけじゃないけれど
片道35分と言うお手軽さが魅力です。
羽鳥湖高原に点在する湿地はどれも子規模で遊歩道も無く
殆ど公開されていない穴場的な湿地ばかり
コロナ禍にあって人混みとは無縁の理想的な秘密の花園ですが
その分、熊との遭遇が一番の心配事。
幸運にも羽鳥湖高原では生の熊に遭遇したことはありませんが、
福島県では今年になって熊による人的被害が多発しています。
当然私は熊避け鈴とか爆音ピストルを携帯しますが
安全が保障されるものでは無いので後は神仏にすがるだけかも(^-^;。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
-
☆福島県天栄村 初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり2022 ルートMap
※Google Mapに加筆。
https://www.google.com/maps/@37.2838531,140.1122988,9937m/data=!3m1!1e3 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり2022
羽鳥湖サイクリングロード道の駅側入口に掲げられている
熊注意喚起の立て看板。
羽鳥湖高原ではまだ生の熊には遭遇していませんが、
足跡や爪痕は良く見かけます。
私はビビリーなので熊避け鈴2個と爆音ピストルを常に携帯しています。 -
☆音だけ8連発音ピストル
一昨年の8月、生まれて初めて生熊と遭遇しもっと熊避け対策しなくては思い、
帰宅後に何か安価で効果のある対策はないものかとNetで調べたら
100均で売られている『音だけ8連発ピストル』が
けっこう効果があるらしいと知り
さっそくダイソーで購入し携帯しています。
8連発ピストルの弾とストラップは別売りです。
弾は小さな輪に8弾あり、それが1パック12個入り、
合計96発も撃てるのでお得です。
さっそく毎朝のように電線に集団でやってくるカラスに向けて
1発撃ってみました。
想像以上の爆音でカラスは見事に全羽飛び去りました。
音の例えで言えば運動会の徒競走などでスタート合図に使われる
ピストルと同等の爆音がします。
ピストルと弾と合わせても220円、これで熊を撃退できるのなら
超お得です。
大きさは手のひらに収まるサイズで重さはわずか40g
首にぶら下げても全く重くありません。
熊が突然目の前に現れたら撃つだけの余裕はないかも知れませんが
ある程度距離があれば爆音だけでもかなり有効かも。
その後、このピストルを首にかけて何度も山に行きましたが
幸か不幸か熊は出てきませんでした。
できれば使わないで済むにこしたことないですね。 -
☆熊の足跡
この写真は羽鳥湖高原の湿地で撮った熊の足跡です。
爪跡もくっきり残っていたので比較的新しい足跡だと思います。 -
☆倒木の熊の引っ搔き跡
おそらく倒木に潜む白アリなどの虫を食べるため
引っ搔いた跡だと思います。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)
まず訪れたのは羽鳥湖南部の湿地に隣接する草地です。
ここには福島県でも中々目にすることが出来ない
貴重なケブカツルカコソウが自生しています。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)
-
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)
◎ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草/ シソ科キランソウ属)
ケブカツルカコソウは多くの資料では
関東~中部地域の山地の明るい草地などに自生するとありますが
福島県でもわずかですが隔離分布しています。
私が確認できたのはこの羽鳥湖の湿地と同じ天栄村の小さな沼畔の草地の
わずか2か所だけです。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)
-
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)
草丈(花茎)は10~25cmほど、名前の通り全草うぶ毛に覆われ
まるで寒冷地か高山植物のようです。
花の形はジュウニヒトエやキランソウ、西洋ジュウニヒトエとそっくりですが
花付きはやや疎らで花色はやや渋めの淡いブルーで白花もありました。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)
華やかとは言えないかも知れませんが
ブルーグレーの花はシックで玄人好みのだと思います。
ただ、毛深と言う命名がイマイチではないでしょうか?
シロタエカコソウ(白妙夏枯草)とかウナジノカコソウ(項夏枯草)なんかは
いかがでしょう? -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)
ケブカツルカコソウはシソ科キランソウ属ですが
キランソウ属を良く知っている人は少ないと思うので
比較的身近で見られるキランソウ属を紹介します。 -
☆ツクバキンモンソウ(筑波金紋草/シソ科キランソウ属) (※ 2018/5/5 撮影)
花の形と色合いが似ているのは同属のツクバキンモンソウ。
宮城県~和歌山県にかけての太平洋側と四国に分布、
山地の林床林縁に自生し
分類上は日本海側に生える錦衣(ニシキゴロモ)の変種とされています。
丈は8cm~15cmくらいで、葉は長い楕円形で対生。
葉脈に沿って紫色の斑が入るのが特徴です。
葉の裏面も紫色である。葉の脇に花径1センチくらいの唇形をした淡い紫色の花をつける。上唇がごく短いのが特徴である。
花の後にできる実は分果(複数の子房からできた果実)で、4つのブロックからなる。「金紋草」は錦衣(ニシキゴロモ)の別名であり、筑波山で最初に見つかったのが和名の由来です。 -
☆キランソウ(金瘡小草/シソ科キランソウ属)(※ 2018/5/5 撮影)
キランソウはケブカツルカコソウと同属なので花の形はそっくりです。
キランソウはツクバキンモンソウの近縁種で本州~九州の
丘陵地帯の明るい土手や道端などに自生し、地面を這うように生育します。
地面を這うように自生する匍匐性の常緑多年草の花です。
薬草として知られ、別名でジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)、
イシャコロシ(医者殺し)とも呼ばれます。 -
☆ジュウニヒトエ(十二単/シソ科キランソウ属) (※2014/4/28 撮影)
ケブカツルカコソウに一番似ているのは同属のジュウニヒトエかも。
ジュウニヒトエは本州と四国の明るくやや湿り気のある山すそなどに
自生する日本の固有種です。
一般的にはジュウニヒトエと言うと欧州原産で青紫のアジュカが有名ですが日本原産、野生のジュウニヒトエは花が重なるように咲くので十二単と名付けられましたが名前とは裏腹にグレーピンクの花はかなり地味な印象です。
福島県ではここ数年未確認だったようで
私もこの時見て以来出会えていない貴重な山野草です。 -
☆ウツボグサ(靫草/シソ科ウツボグサ属) (※2016/6/28 撮影)
キランゾウ属ではありませんが
ケブカツルカコソウの名前の由来の一つがこのウツボグサです。
花穂の形が弓矢を入れる円筒状の容器ウツボ(靫)に似ているので
付けられた名前で、花が咲き終わると葉は緑色なのに花穂だけが
茶色くカサカサに枯れることから夏枯草(カコソウ)の別名があります。
漢方薬として リンパ腺炎や甲状腺腫、結膜炎、乳腺炎など
抗腫瘍の治療に利用するそうです
なんとなく全体の姿はケブカツルカコソウは似ているところもありますが
そっくりでは無いですね(^^;)。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)
ケブカツルカコソウは山間の明るい草地に自生すると
多くの資料に記されていますが、
羽鳥湖の場合、草地と言うよりほぼ湿地のような草地に自生しています。
おそらく草地と言っても乾き気味の草地と言うより
土壌水分の多い明るい草地が好みなのではないかと思います。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)
-
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)
スジグロチャバネセセリが吸蜜しています。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ&トキソウ
こちらは上記の自生地から80mほど離れた湿地で
新たにケブカツルカコソウを確認できました。
そばに咲いているのは湿地植物のトキソウ(朱鷺草/ラン科トキソウ属)です。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ&トキソウ
トキソウが咲いているくらいですから、
草地と言うより明らかに湿地に自生しています。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ&トキソウ
この辺りは昨年も歩いてトキソウは確認していましたが
ケブカツルカコソウは全然気づきませんでした。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~モリアオガエルの卵塊
ケブカツルカコソウやトキソウが咲く湿地には沼があり
その沼の縁のアカマツの枝にモリアオガエルの泡状卵塊がありました。
モリアオガエルは日本の固有種で、本州と佐渡島に分布、
ただし、神奈川県と千葉県では人為的に移入された疑いがあり。
また、四国と九州の分布ははっきりしていません。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~モリアオガエルの卵塊
モリアオガエルは山地で多く見られ、非繁殖期は主に森林に生息するが、
繁殖期の4月から7月にかけては生息地付近の湖沼や水田、湿地に集まる。
成体は他のカエルと同様に肉食性で、昆虫類やクモ類などを捕食する。
モリアオガエルの大きな特性は、産卵生態によって特徴付けられる。
カエルは水中に産卵するものがほとんどだが、
モリアオガエルは水面上にせり出した木の枝や草の上、
地上などに粘液を泡立てて作る泡で包まれた卵塊を産みつける。
泡の塊の中に産卵する習性は多くのアオガエル科のカエルで共通しているが、
モリアオガエルは産卵場所が目立つ樹上であることもあり、
日本本土産のアオガエル科のカエルでは他に泡状の卵塊を形成する種が
地中産卵性で小型のシュレーゲルアオガエルしかいないこともあって
特に目立った存在となっています。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ&トキソウ
トキソウは明らかに湿地植物なのでケブカツルカコソウの方が
分布域は広いように思えますが、
ケブカツルカコソウは草丈が低いので(10~20cm)
湿地以外の草地では他の大きな植物に覆われて
生き辛いのだと思われます。
湿地の場合、葦などが進出していない限り
背の高い植物はそう多くないのでケブカツルカコソウも
生きていけるのでしょう。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ&トキソウ
-
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ケブカツルカコソウ&トキソウ
ただ日本に於いては湿地、特に低層湿地は明らかに減少しているので
ケブカツルカコソウの未来は明るいとは言い難いと思います。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ニッコウキスゲ&トキソウ
さて、上記の湿地とは2kmほど離れた別の小湿地にやってきました。
この小湿地は羽鳥湖周辺の湿地の中でもトキソウの自生数が
一番多い湿地です。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
-
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
羽鳥湖高原には小さな湿地が点在しますが
多くの湿地が森林化し始めています。
湿地は水が十分に補給されば樹木のない湿原状態のままですが
乾燥化が進むと葦や潅木が生え始め、
やがては森になってしまいます。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
乾燥化が進んだ湿地にはイヌツゲなどの灌木や葦などが進出し
草丈の低い湿地植物は生育できません。
トキソウの草丈は15cmほど、
まだ背の高い樹木が生えていない明るい湿原で
なんとか命をつないでいます。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ニッコウキスゲ&トキソウ
この小湿地の中でも中心部はまだ水が豊富なので
ハンノキなど樹高の高い植物はあまり進出しておらず
トキソウの他にもウメバチソウやムラサキミミカキクサ、モウセンゴケ、
オヤマリンドウ、サワギキョウなどが自生しています。 -
☆トキソウの日本レッドデータ
トキソウは湿地の減少や美しさ故の盗掘などが原因で46都道府県で
絶滅危惧種や希少種に指定されまさに風前の灯状態です。
嬉しいことに羽鳥湖高原には小さな湿地がたくさんあり
まだたくさんのトキソウを見ることができますが、
しかしその湿地の多くが民間の別荘地などに隣接していて
さらなる開発が心配の種です。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
トキソウの背後の灌木はハイイヌツゲ
ハイイヌツゲ(這犬黄楊/モチノキ科)
イヌツゲに似ていて、下部が地をはうのでこの名がある。
山地帯~亜高山帯の湿地などに生える雌雄異株の常緑低木で、
下部は地を這い、上部はよく分枝して高さ0.5-1.5mになります。
櫛の材料になる柘植の木とは別ものです。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ニッコウキスゲ&トキソウ
ニッコウキスゲがポツンポツンと咲いていました。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
-
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
トキソウ(朱鷺草)はその漢字から想像できるように
野鳥のトキの羽色と飛ぶ姿に似てることからつけられた名です。
その色が朱鷺色ともよばれトキソウのようなピンク色と言うよりは
淡い橙紅色です。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
-
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
トキソウは湿地植物なので水分を好みますが
水の中では生育せず苔や草が繁茂する場所に生えています。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
-
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
トキソウの仲間で湿地ではな山中に自生しているタイプは
ヤマトキソウと言います。
ヤマトキソウも湿地に自生することもありますが
ヤマトキソウの花はとトキソウより少し小ぶりで
花は上向きにつき全開しません。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
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☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
この貴重なトキソウの自生地は大きな括りとしては大川羽鳥県立公園に指定されていますが、私の印象では指定されているだけで県が何かをしている感じはしません。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
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☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
この湿地を知っている人はわずかですが
時折盗掘跡があります。
やはり早めに対策を講じないとやがて福島県のレッドデータも
準絶滅危惧種から絶滅危惧種に悪化する恐れがあります。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トキソウ(朱鷺草)
この湿地も自然のままと言えば聞こえはいいですが
ようするに放置されたまま。
湿地を巡る遊歩道も木道も無いので写真撮影する場合
否応なしに湿地に足を踏み入れざるえません。
なるべく貴重な植物は踏まないよう気を付けていますが
我ながら正直誉めたものではありません(^^;)。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ノアザミ(野薊)&ツマグロヒョウモン♂
良く似たノアザミ(野薊/キク科アザミ属)は春~初夏に咲き
ノハラアザミ(野原薊/キク科アザミ属)は夏から晩秋まで長い期間咲き続けます。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ニホンカワトンボ♂
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☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ニッコウキスゲ(日光黄菅)
トキソウ咲く湿地の周囲は湿地の陸地化が進行し湿原林になっていて
そこではニッコウキスゲが花盛りでした。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ニッコウキスゲ(日光黄菅)
◎ニッコウキスゲ(日光黄菅/ユリ科ワスレグサ属、キスゲ属)
ニッコウキスゲの本来の名前はゼンテイカ(禅庭花)ですが、
俗名の方が有名になってしまい本来の名前は風前の灯状態です(^_^);
名前は日光ですが日光に限らず日本各地の主に高地の湿地などに広く自生し
花は一日花で、蕾が順繰り開花していきます。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ニッコウキスゲ(日光黄菅)
福島県のニッコウキスゲと言えば尾瀬や雄国沼の大群落が有名なんですが
羽鳥湖高原の湿地のニッコウキスゲは大群落でないものの
駐車場から歩いてわずか5、6分。
モノグサにはちょうどいい群生地です(^^ゞ。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ニッコウキスゲ(日光黄菅)
-
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ニッコウキスゲ(日光黄菅)
湿原は水の流入が減り乾燥化が進むと灌木や葦が進出し
次に樹高の高いハンノキやシロヤナギなどが進出してきます。
そうなると日光があまり射さなくなり
草丈の低い湿地植物は消えてしまいます。
それでも草丈のあるニッコウキスゲやコバイケイソウは
光が届けばなんとか生きていけますが、
背の高い樹木が繁茂し過ぎるとやはり生きていけません。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~コバイケイソウ (※2021/6/7 撮影)
ニッコウキスゲ咲く湿原林にはコバイケイソウも自生していますが、
今年は裏年で花は一つも咲いていなかったので
当たり年だった昨年のコバイケイソウをご覧ください。
コバイケイソウは毎年一斉に咲くことはなく
2,3年ごとにに子規模に開花させ
6,7年ごとに当たり年があり群生地では一斉に満開になり見事です。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~コバイケイソウ (※2021/6/7 撮影)
コバイケイソウ(小梅ケイ草/ユリ科シュロソウ属)は中部以北~北海道の高地の
主に湿地や湿った草原などに自生する日本の固有種です。
近似種にバイケイソウ(小梅?挌草/ユリ科シュロソウ属)があり、
それより花が小さいのでコバイケイソウと呼ばれます。
草丈は80~100cmにもなる大型の植物で自生していればすぐ分かります。
コバイケソウの仲間はアルカロイドを含む有毒植物で、
芽だしの頃は山菜のウルイ(オオバギボウシ)と似ているので注意が必要です。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~コバイケイソウ (※2021/6/7 撮影)
コバイケイソウの花穂は中心に立っている花穂は
小さな花の一つ一つが雌花ですが
少し横向きの花穂は雄花です。
雌花と雄花をクローズアップして見て見ましょう。
雌花は中心部のメシベが充実しその周囲にオシベもあるが貧弱です。
雄花は中心部のメシベは退化しオシベが充実しています。 -
☆玉川村 東野の清流のバイケイソウ(梅ケイ草) (※2012/6/12撮影)
こちらはコバイケイソウの名前の元であるバイケイソウ
バイケイソウ(ユリ科シュロソウ属)は花が梅に葉がケイランに似ていることから付いた名前でヨーロッパ、シベリア、東アジア、アリューシャン列島、アラスカ、日本では高地の湿地帯や湿った林内、渓流沿いなどに自生し草丈は1mを超える大型の山野草です。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ママコナ(飯子菜)
林縁ではママコナが見頃を迎えようとしていました。
◎ママコナ(飯子菜/ゴマノハグサ科ママコナ属)
ママコナは全国各地の林縁や林床に自生し
イネ科やカヤツリグサ科などの植物の根から栄養を横取りする半寄生植物です。
名前の由来は花ビラ下唇の白斑を米粒に見立てた説や
若い種子が米粒に似るからと言う説があります。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ママコナ(飯子菜)
ママコナの名の由来となった下唇の白いご飯粒は
ポリネーター(花粉媒介者)であるハチを誘き寄せる目印です。
受粉すると白かった突起は地色の赤になりハチを誘引しなくなるそうです。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ママコナ(飯子菜)
ママコナは多年草なので一度自生地を見つければ
基本的には毎年同じ場所で見ることができます。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ママコナ(飯子菜)
ママコナは何故か早咲きグループと遅咲きグループがあるようで
当地で早咲きは6月中旬に見頃になり
遅咲きは一月遅れて7月下旬頃に見頃になります。
外観は私が観察した限り殆ど同じに見えますが
同じ地域でなぜ1か月以上も花期が違うのか謎です。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ママコナ(飯子菜)
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☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~白花ママコナ(白花飯子菜)
◎白花ママコナ(白花飯子菜/ゴマノハグサ科ママコナ属)
ママコナは99%赤紫色ですが一度だけ
町内の里山の林縁で白花を見つけたことがあります。
その後は訪れていないので今も咲いているのか不明です。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ママコナ(飯子菜)
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☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ママコナ(飯子菜)
ママコナの仲間には亜高山に自生するミヤマナナコナ(深山飯子菜)があり、
主に北海道西南部と本州中部地方以北と中国地方西部に分布し、
下唇の喉の両側に黄色の斑があり、苞の先は尖らず、また縁には鋸歯が無いのが
ママコナとの違いです。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~ママコナ(飯子菜)
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☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トモエソウ(巴草)
羽鳥湖湖岸の草地ではトモエソウが咲いていました。
◎トモエソウ(巴草/オトギリソウ科オトギリソウ属)
トモエソウは全国の山や野原に広く分布し明るくやや湿った場所に自生します。
草丈は50~100cm、花は4~5cmと大振りで
金色に輝くシベがとても美しい花です。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トモエソウ(巴草)
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☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トモエソウ(巴草)
同じ仲間で中国原産のキンシバイ(金糸梅)やビョウヤナギ(未央柳)などと
良く似ますがキンシバイやビョウヤナギが潅木であるのに対し
トモエソウは草本で花ビラがやや巴型にねじれるのでトモエソウの名があります。
一つの花は2日くらいしか咲かず、蕾が順繰り開花します。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トモエソウ(巴草)
トモエソウは西日本を中心に25都府県で絶滅危惧種に指定されていて
東京では絶滅したとされています。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~オトギリソウ(弟切草)
◎オトギリソウ(弟切草/オトギリソウ科オトギリソウ属)
トモエソウの近くの草原ではオトギリソウも咲いていました。
花はトモエソウと良く似ますがトモエソウの花が4~5cmの大きさに対し
オトギリソウは草丈80cmほど、花は8mmと小ぶりで
花がかたまって密に咲くので見間違うことありません。
オトギリソウは全国に分布する多年草で、
ススキ生える明るい草原や林縁などに自生します。
けして珍しい花ではありませんが名前の由来がとても印象的です。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~オトギリソウ(弟切草)
「弟切草」は、鷹匠が秘伝の薬草の名前を他人に漏らしてしまった弟を
兄が切り殺した時の返り血が葉っぱの黒点になったと言う
ちょっと恐ろしくも悲しい云われがあります。
菜っ葉を透かしてみると、黒い点々が良く見えます)
現在でも傷薬や虫刺されの生薬(塗り薬)として根強い人気があります。 -
☆我が家のキンシバイ(錦糸梅)
キンシバイ(金糸梅/オトギリソウ科オトギリソウ属)
キンシバイは中国中部原産の半落葉低木。公園や庭園などに植栽されている。
花はトモエソウに良く似ますがハナビラはねじれません。 -
☆我が家のキンシバイ(錦糸梅)
-
☆我が家のキンシバイ(錦糸梅)
キンシバイに良く似た花に同じ中国原産のビョウヤナギ(未央柳、美容柳/オトギリソウ科オトギリソウ属)があります。
ビヨウヤナギの葉は十字対姓でキンシバイの葉は対姓。
ビョウヤナギのオシベは長く、キンシバイのオシベは短いと言う違いがあります。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トリアシショウマ(鳥脚升麻)
羽鳥湖高原の林縁でトリアシショウマが咲き始めていました。
◎トリアシショウマ(鳥脚升麻/ユキノシタ科チダケザシ属)
トリアシショウマは主に中部以北~北海道の夏緑広葉樹林域の
林縁・草原などに自生します。
芽出しの頃、芽が鳥の脚のような形をしているので付いた名前のようですが
他の仲間も似たような芽出しなので、この形状だけで判別は難しいです。
「升麻(しょうま)」は元々葉が麻に似ているので付けられた中国の薬用名です。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トリアシショウマ(鳥脚升麻)
トリアシショウマの咲き始めはほぼ白ですが
満開になる頃に薄紅っぽくなる個体もあります。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トリアシショウマ(鳥脚升麻)
-
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トリアシショウマ(鳥脚升麻)
よく似ているトリアシショウマ、アカショウマ、チダケサシ。
ではどうやって見分ければいいでしょう?
まず、同じ地域なら開花時期が少し違います。
基本的にアカショウマは里山~低山に自生し一番早く開花します。
トリアシショウマは低山~亜高山に自生し、アカショウマより半月以上開花が遅いです。
チダケサシは里地~低山のやや湿った場所に自生し全体にスリムな姿で開花はトリアシショウマと同じ頃です。
ただ同じ山にアカショウマもトリアシショウマも自生する場合があるのでその時は開花時期の他に花や葉の様子をクローズUPして見る必要があります。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トリアシショウマ(鳥脚升麻)(6/28撮影)
上記と同じトリアシヨウマが1週間後に満開になっていました。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トリアシショウマ(鳥脚升麻)(6/28撮影)
葉の付き方はトリアシショウマもアカショウマも基本的には3回3出葉ですが
アカショウマの葉先が細くなると言う見分け方も紹介されていますが
トリアシショウマも細くなるのでこの説はやや怪しいです。
また、アカショウマの葉はクサビ形でトリアシショウマは心形という説もありますがこれも完璧には当てはまらない気がします。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トリアシショウマ(鳥脚升麻)(6/28撮影)
一番分かりやすいのは総状花序だと思います。
アカショウマは1本の花茎から何本かが枝分かれ、その枝に花を咲かせますがトリアシは1本の花茎が何本かに枝分かれし、その枝がまた小さく枝分かれして花を咲かせます。
アカショウマも枝の枝が少し枝分かれすることもありますが
トリアシショウマのように細かく枝分かれすることはありません。
なので遠目の印象だとトリアシショウマの総状花序の方が少しゴチャゴチャに見えます。 -
☆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり~トリアシショウマ(鳥脚升麻)(6/28撮影)
当地ではトリアシショウマ(鳥脚升麻/ユキノシタ科チダケザシ属)に
良く似た花が4種が見られるので慣れないと混同しがちです。
◎アカショウマ(赤升麻/ユキノシタ科チダケサシ属)
◎チダケサシ(乳茸刺/ユキノシタ科チダケサシ属)
◎ヤマブキショウマ(山吹升麻/バラ科ヤマブキショウマ属) -
☆里山林縁のアカショウマ(赤升麻/ユキノシタ科チダケサシ属)
アカショウマは東北南部~九州の林縁や林下に自生し、
花がショウマ(升麻)に似て、芽だし頃の茎が赤いので赤升麻と呼ばれます。
葉っぱは基本3回3出葉ですが一様ではありません。
小葉は卵型で先端がとがり、葉縁は重鋸歯です。
よく似たトリアシショウマはアカショウマの変種とされ
特徴はほぼアカショウマと同じですが、
花序が細かく枝分かれする個体が多いです。 -
☆町内の田んぼ脇のチダケサシ(乳茸刺
◎チダケサシ(乳茸刺/ユキノシタ科チダケサシ属)
チダケザシは全国のジメ地や田んぼ沿いやジメ地など
湿ったところに多く自生します。
ちょっと変わった名前ですが
乳茸(チチタケ)というキノコを採った時、
信州辺りではチダケサシの茎に刺して
持ち帰ったのでチダケサシと言うそうですが
乳茸じたいがそんなに一般的じゃないし
地方名が正式名になったのも不思議なことです(^_^);。 -
☆羽鳥湖高原のヤマブキショウマ(山吹升麻/バラ科ヤマブキショウマ属)
◎ヤマブキショウマ(山吹升麻/バラ科ヤマブキショウマ属)
ヤマブキショウマは葉がヤマブキに
花がショウマ(升麻)の仲間に似ているのでヤマブキショウマで
ほぼ全国の山地~高山帯の林縁や草地に自生し、雌雄異株です。
草丈は1mほどあり(花序を含めれば2m)、
他のショウマ類よりかなり大型の株です。
しかし、他のショウマ類の多くがユキノシタ科なのに対し、
ヤマブキショウマはバラ科であるのが決定的な違いです。
間近で見れば他のショウマ類と間違うことは無いと思いますが
花期や自生地が重なるトリアシショウマとよく似た個体があり
道路端で咲いている花を走っている車から見分けるのは
見慣れないと中々難儀です。 -
☆升麻色々
アカショウマ、トリアシショウマ、チダケザシ、ヤマブキショウマ、
それぞれ遠目では似ていますがクローズUPで見ると
微妙に違いがあるのが分かります。 -
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
里山に隣接する田んぼの土手でイヌトラノオの群生が花盛りになりました。
山野草好きの人なら、あれ?これってオカトラノオじゃないの?と、
いぶかられるかも知れませんが、
イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)は
オカトラノオとヌマトラノオの交雑種で両方の特徴を持ち合わせています。
-
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
以前は私もこの手の花で沼地以外で咲いているのはみなオカトラノオだと思い込んでいたのですが、
交雑種のイヌトラノオの存在を知ってからはオカかヌマかイヌかじっつくり観察するようになりました。 -
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
-
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
それにしても犬の尾なの?虎の尾なの?
答えは虎の尾です。
犬はマガイ物とか、偽物とか、役に立たないもの、劣るものを
意味する枕詞のようなもので
オカトラノオの偽物、マガイ物と言う意味です。 -
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
イヌ〇〇と言うのは
植物名ではよく使われる言葉で、
イヌツゲ、イヌタデ、イヌマキ、イヌガヤ、イヌツゲ、イヌコリヤナギ、イヌエンジュ、オオイヌノフグリ、などなどなんと100種以上もあるそうです。 -
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
-
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
それだけ植物には似たものが多いってことですが
マガイ物とか、偽物とか、役に立たないもの、劣るものの例えが
犬だとは犬に対して失礼ですよね。
犬は縄文時代から人間のもとで飼われていたと思われますが
ネズミを捕ってくれる猫ほどは有難みがなく、
それどころか野犬は危険で邪魔な存在だったのでしょう。 -
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
イヌトラノオがこれだけ群生できているのは
オカトラノオの特性とヌマトラオノの特性を上手く引き継いで
多様な環境でも生きていける特性を身に付けたからだと思われます。 -
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
イヌトラノオは植物学的にはまだ独立した種とはされていないようです。
でもオカトラノオでも無いしヌマトラノオでもないのだから
交雑種ですがすでに固定されいるので独立種として登録した方がいいよう思います。 -
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾)&ウラギンヒョウモン
ウラギンヒョウモンがたくさん吸蜜していました。 -
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
-
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾)&ウラギンヒョウモン
-
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
この田んぼ沿いの土手は水分も栄養も明るさも十分で
イヌトラノオには一見最高の環境に見えますが
唯一心配なのは下刈りされる危険性があることです。 -
☆初夏の里地~イヌトラノオ(犬虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
几帳面なお百姓さんは田んぼ沿いは豆に下刈りするので
下手すると花が咲く前に下刈りされてしまいます。
でもイヌトラノオは多年草なので一度下刈りされたくらいでは
へこたれない強さがあります。 -
☆初夏の里地~オカトラノオ(丘虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
◎オカトラノオ(丘虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
こちらがオカトラノオ属の基本種のオカトラノオ。
ヌマトラノオやイヌトラノオは湿地や谷地など水分の多い土地を好みますが
オカトラノオは北海道~九州に広く分布し
乾燥にも湿り気にも対応できる丈夫な植物なので
明るい林縁や野原、土手などで普通に見られます。 -
☆初夏の里地~オカトラノオ(丘虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
花穂大きくしな垂れているのが大きな特徴です。
イヌトラノオも少しはしな垂れていますが
しな垂れているのは先端だけです。 -
☆初夏の里地~ヌマトラノオ(ヌマ虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
◎ヌマトラノオ(沼虎ノ尾/サクラソウ科オカトラノオ属
こちらはヌマトラノオ(沼虎ノ尾)。
イヌトラノオやオカトラノオのように花穂がしな垂れることはなく
真っすぐピンと立っています。 -
☆初夏の里地~ヌマトラノオ(ヌマ虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)
以前は上記イヌトラノオの群生地から100mくらいしか離れていない
谷地に群生していたのですが6,7年前に埋め立てられて
残念ながら今は見られなくなってしまいました。
絶滅危惧種のような希少種なら保護されることもありますが
ふつうの山野草は土地利用者からすればたんなる雑草。
でも気付いてみたらそのふつうの山野草が知らぬ間に
絶滅の危機にさらされている場合がけっこうあります。
キキョウなどはその典型でしょうか。 -
☆オカトラノオ&ヌマトラノオ&イヌトラノオの見極め方
オカ、ヌマ、イヌの見極め方として分布地はオカは全国、
ヌマは本州以南、イヌは資料不足。なので分布地はあまり当てになりません。
自生地はヌマは明らかに湿地、沼地や田んぼの畦、沢などで
オカは山、森、林縁、たんぼの土手、畦など広範囲に自生。
イヌは私が見てきた限り沼地、ジメ地に隣接した場所に自生しています。
花穂(花序)の違いが一番の見極めのポイントです。
オカは花穂の先がしな垂れ曲線を描き、ヌマはピンと真っ直ぐ立っています。
イヌは両方タイプがあります、オカほどしな垂れませんが
少ししなだれていたり、真っ直ぐだったりが混在します。 -
☆オカトラノオ&ヌマトラノオ&イヌトラノオの見極め方
ハナビラにも違いがあります。
オカはハナビラがやや細長く先がやや尖っていて
ヌマは丸みを帯びハナビラの間に少し隙間があります。
イヌはヌマに近い丸みがありますが隙間はあまりありません。
イヌは交雑種なので一様ではありません。
開花時期はイヌ、オカ、ヌマの順番に開花します。
これらはあくまで私の観察で、学術的見解ではありませんのでご承知願います。
機会があればぜひ見比べてみてください。 -
☆クサレダマ(草連玉/サクラソウ科オカトラノオ属)
イヌトラノオ群生する土手のそばでは仲間のクサレダマも少し咲いていましたが、
同じ町郊外の田んぼの土手にはクサレダマが群生しています。
オカトラノオと同属と言う割には色も形もあまり似ていませんね。 -
☆クサレダマ(草連玉/サクラソウ科オカトラノオ属)
決して『腐れ玉』ではありませんからね、『草・連玉』ですよ (^_^);。
音だけ聞くとどうしても『腐れ玉』に思えてしまいます。
どうしてこんな紛らわしい名前にしたのでしょう(--〆)。 -
☆クサレダマ(草連玉/サクラソウ科オカトラノオ属)
地中海原産のマメ科の植物でエニシダに似たレダマというのがあり
それに似ていると言うので付けられた名ですが
花色が黄色というだけで全然似ていません(-"-)。
何も発音が『腐れ玉』に聞こえる変な名前にしなくてもね~。 -
☆クサレダマ(草連玉/サクラソウ科オカトラノオ属)
-
☆クサレダマ(草連玉/サクラソウ科オカトラノオ属)
レダマは明治期に日本にも伝わりましたが高温多湿の日本の気候には
合わないようでほとんど普及しませんでした。
現在も一部の植物園で見られるくらいで普段見る機会は無いと思います。 -
☆クサレダマ(草連玉/サクラソウ科オカトラノオ属)
-
☆クサレダマ(草連玉/サクラソウ科オカトラノオ属)
当地でクサレダマは田んぼ沿いで良く見かけますが
全国的には16都府県で絶滅危惧種に指定されていて
東京では絶滅種だし、関西の多くも絶滅危惧種になっている
貴重な植物です。 -
☆クサレダマ(草連玉/サクラソウ科オカトラノオ属)
ご覧のように当地ではごく普通に水田地帯の土手に群生しています。 -
☆クサレダマ(草連玉/サクラソウ科オカトラノオ属)
-
☆初夏の裏磐梯・雄国沼~ヤナギトラノオ (※2021/6/22 撮影)
クサレダマはオカトラノオ属ですがオカトラノオには全然似ていません。
オカトラノオ属にはもう一つ全然似ていないヤナギトラノオもあります。
ヤナギトラノオ(柳虎の尾/サクラソウ科オカトラノオ属)は
本州中部地方以北、北海道に分布し、山地の湿原に自生する多年草。
世界では、北半球の寒帯に広く分布し、寒冷地の湿原に生育しますが、
本州では高層湿原などにしか自生していない貴重な植物です。
◆初夏の羽鳥湖高原で野の花めぐり2022はこれではお仕舞です。
いつも最後までご覧下さりありがとうございます。
そして、いいねもありがとうございます。
ではまた。 j-ryu
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