2021/03/27 - 2021/03/27
4位(同エリア67件中)
万歩計さん
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今日3つ目の重伝建は筑後吉井から南東に14kmほど入った山村集落「うきは市新川田篭」。ここで強く感じたのは、重伝建どころか集落としての存続が危ぶまれる状態であること。かっては日本中どこでも見られた里山集落の風景は、まさに絶滅危惧種である。この美しい風景を残すにはどうしたらいいのだろう。
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重伝建登録地区名:うきは市新川田篭
分類:山村集落
うきは市の南東部に位置する山岳地帯で、大分県日田市を水源とする隈上川が南東部から市域を二分するように北西に向かって流れ、筑後川に合流する。隈上川上流部が田篭地区、その下流部が新川地区となり河川に沿って集落が分布する。トタンで覆われているものの茅葺民家が多く見られ、石垣で造られた棚田や河川と一体となり特徴的な歴史的風致を形成している。
~全国伝統的建造物群保存地区協議会発行「歴史の街並み」より
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 友人
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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吉井を出て国道210号線から県道106号線と、川に沿って南下します。しばらく走るとダムがありました。
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合所ダムです。ここでフォトストップ。
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堰堤に沿った桜並木が満開です。
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かなり上流に来ました、ここは新川地区です。
新川地区から田篭(たごもり)地区までの約6km、隈上川両岸の6つの集落が2012年に重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。 -
茅葺の古民家を使った囲炉裏カフェ里楽(Rekaxu)
囲炉裏カフェ里楽 グルメ・レストラン
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郷土料理「だご汁」を始め地の食材を使った料理を提供するそうですが、この時刻には閉店していました。
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周囲を歩いてみます。
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新川集落。瓦屋根やトタン屋根が多いですが、まだ茅葺き民家も幾つか残っています。
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布団を干した普段着の風景がいい。
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新川集落
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県道と並行して筑後川の支流隈上川が流れています。
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集落の中の細い道を山の方へ。
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懐かしい日本の山里風景でした。
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更に南の田篭地区へ。
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美しい棚田があるというのでちょっと寄り道
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長岩城跡。ちょっと寄ってみよう。
長岩公園 公園・植物園
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長岩城の築城年代は定かでありません。鎌倉時代に問註所氏が土着し、代々大友氏などに従っていましたが、豊臣秀吉の時代には廃城になっています。
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裏山一帯に廓を重ねて城にしたようですが、これらの痕跡は一切残っていません。
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岩をくりぬいた場所に、石仏だけが残っていました。
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ここから「つづら棚田」の中を行く遊歩道があります。
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時間がないので、棚田の中の道を上まで車で行きます。
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4kmくらい走って棚田を一望するビュースポットに到着。
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つづら棚田。日本の棚田百選にも選ばれています。
つづら棚田 自然・景勝地
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つづら棚田
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つづら棚田
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幾世代もかけて切り開いた棚田。しかし減反の時代に、この棚田はどう活用されているのだろう。複雑な気持ちになります。
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つづら棚田から県道に戻り、
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さらに奥の田篭地区へ。
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イチオシ
県道から眺めた田篭集落。大きな茅葺屋根はこれから行く平川家住宅です。
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ズームアップ。
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平川家住宅の入口
平川家住宅 名所・史跡
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平川家住宅はこの地方の典型的な民家としての価値から、昭和46年に福岡県の民家で最初に重要文化財の指定を受けています。
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3棟が並ぶ寄棟造り。建設時期は18世紀中期と考えられており、数度の改造を受けて維持されてきました。
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主屋を上から見ると凹の形をしており、これが「くど(土地の方言で竈のこと)」の形に似ていることから「くど造寄棟造り」と呼ばれています。
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茅葺の深い廂。
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座敷の部分。
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見学時間を過ぎていて中には入れません。
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納屋が空いていたので、ちょっと見せて頂きました。
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納屋の天井。萱は比較的新しい時期に葺き替えたようです。
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集落の上に方に行ってみます。
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イチオシ
途中から3棟が並んだ平川家住宅が綺麗に見えます。
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かっては日本中どこでも見られた里山風景。
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この美しい風景を残すにはどうしたらいいのだろう。
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古民家を無償で提供する、就農補助をする、等の試みが日本全国の寒村で試みられているが、いざ定住するとなると困難も多いのだろう。一観光客として出来ることは精々訪れてお金を使うことくらいか。
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間もなく17:00。まだ見ていないスポットを拾いながら戻ります。
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一ノ瀬バス停の横にちょっと場違いな洋館。ペンションかな。
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頑張れー。
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村の消防団の詰所
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田篭のバス停。
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バスは1日6本の運行。
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この集落を少し歩きます。
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過疎化が深刻なようです。
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重伝建どころか集落としての存続が危ぶまれる状態。
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茅葺屋根からトタン屋根に置き換わっています。
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茅葺はお金も手間もかかるのです。
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過疎化の中で、古民家を使ったいろんな試みもなされているようです。
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前方に田篭諏訪神社。
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本殿は江戸時代の建築。長年にわたって村人の生活を見守ってきました。
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神社の前の通りには、
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こんな立派なお屋敷もありました。
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これで新川田篭地区の重伝建をほぼ見終え、一路吉井方面に向かいます。
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JR久大線の踏切に差し掛かったら踏切が閉まり、
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幸運にも列車を間近に見ることが出来ました。
朝福岡を出て大分と福岡の重伝建3地区を一気に回りました。車を運転してくれた弟に心から感謝です。
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この旅行記へのコメント (4)
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- Decoさん 2022/03/02 19:53:43
- 歴史と伝統と…
- 万歩計さん、こんばんは。
歴史のある街並み、日本の原風景のような里山、棚田に立派なお屋敷…一方で過疎化が進み集落の存続も危惧される。町おこしでカフェや食事処など頑張ってはいるけど、旅行記を拝見する限りでは過疎化を押しとどめることは難しそうでで。ここに限らず日本の多くの場所で見られる問題かも知れません。
茅葺屋根も、多分集落で協力しないと難しいのではないかと思います。手間と時間がかかるから…というのもありますが、集落としての力がないと維持するのが難しいのかも知れませんね。
今回の旅行記、なかなか…複雑なテーマがあって、私も考えさせられました。
Deco
- 万歩計さん からの返信 2022/03/02 22:16:05
- Re: 歴史と伝統と…
- Decoさん、こんばんわ。コメントありがとうございます。
重伝建を維持する、これはなかなか難しい問題ですね。
田舎生活にあこがれて都会から移り住んだ人が、収入面は勿論、土地の習慣に馴染めず苦労する等の話をよく聞きます。若い人であれば話をする同世代の人が少ない、年配者なら今更密な人間関係を作るのは煩わしい、等があるのでしょう。
私はヨーロッパの田舎が好きで何度も訪れました。そこで感じるのは、日本に比べてに若い住人が多いということです。仕事は多分親から引き継いだ農業や牧畜。学校、病院、商店もあまりない中で暮らすのは、豊かで便利な生活に慣れ過ぎた日本人には耐えられないでしょう。しかし彼らには別の豊かさの価値観があるように思えます。
万歩計
-
- あの街からさん 2022/02/28 07:57:48
- 美しい景色の向こう側に
- 万歩計さん おはようございます。
昨日は、万歩計さんの勧めてくれた、浅田次郎を語り合い
ましたが、『「蒼穹の昴」をはじめとして「きんぴか」
(プリズンホテル」など多くのシリーズ物がある他
「鉄道員(ぽっぽや)」など次々に新刊を
上梓している凄い筆力を持っている作家ですよね。』
と、言いましたが、今朝、万歩計さんのところへ
やって来て、万歩計さんも次々と旅行記をアップする
筆力の持ち主だなぁ。と感服。
そのスピーディーなアップ・力 (⌒▽⌒)
“この美しい景色を残すにはどうしたらいいだろう”の一文が沁みます。
個人で保護するのは、とても困難なようですし、出来ることなら
◯◯庁で、重伝建に指定するばかりでなく保護の為予算を組んで
ほしいですよね。
そして私たちは、万歩計さんのように発信し続けるとか
訪れて地元にお金を使って、とそう思います。
ウクライナ情勢にも なにか と思ってしまいます。
あの街から
- 万歩計さん からの返信 2022/02/28 09:39:59
- Re: 美しい景色の向こう側に
- あの街からさん、おはようございます。
アップしたら直ぐのご訪問といいね!、ありがとうございます。
ボケ防止のためのウォーキング、読書、ギター、そして旅行記作成が日課で、これに昼寝を入れるとそれで一日が終わります。
旅行記は20年前の東京単身赴任時代の写真を引っ張り出したり、普段の里山歩きに改めてカメラを持って行くなど、ネタ作りはいくらでもあります。未公開分が80冊ほどありますので、今後も5~6日に1回のペースでアップします。
この数日の天切り松のやりとり、楽しかったです。浅田次郎さんはある意味モーツァルトのような天才と思います。モーツァルトの直筆の楽譜を見ると、一切修正跡がなく音符が踊っているようです。ベートーヴェンのそれと対照的です。闇語りシリーズ第5巻「ライムライト」にある「男意気初春義理事」や「プリズンホテル」を読んでいると、浅田さんが乗りに乗って、次々に頭に浮かんでくるストーリーを、消えないうちに一生懸命書き写しているように思えます。
万歩計
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