重伝建巡り「竹原市竹原地区」（製塩町　広島）

2022/04/16 - 2022/04/16

　これまで福岡への帰省は往復飛行機で直行直帰していたが、考えてみるともったいない。ということで今後は新幹線や高速バスも利用して中国、山陰地方の重伝建に立ち寄ることにした。今回の帰路では途中一泊して広島県の竹原と鞆の浦、岡山県の倉敷美観地区と、３か所の重伝建を訪れた。

　竹原については重伝建巡りを始めるまでは、ＮＨＫの朝ドラ「マッサン」の主人公だった竹鶴政孝の故郷としてちらっと登場したのを覚えていた程度。実際に街を歩いてみると、整備された通りの両側に重厚かつ繊細な町家が軒を連ねており、瀬戸内らしい明るい町といった印象だった。産業の隆盛とともに豊かな文化が生まれる。この町はマッサンだけでなく江戸時代の学者頼山陽、所得倍増を謳って高度成長の先駆けとなった池田勇人首相など、多くの人材を輩出していることを知った。

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　重伝建登録地区名：竹原市竹原地区
　分類：製塩町
　竹原は広島県中部の瀬戸内海に面する商家町である。江戸時代、入浜塩田での製塩業で富を蓄積し、加えて廻船や酒造で繁栄し、町人文化も頗る隆盛をみた。建造物の大半が江戸時代中期から明治時代に建てられた本瓦葺・塗屋造りの町家である。これらが連続する重厚かつ繊細な町並み風景をもち、数寄屋造りの優れた意匠の座敷と庭園を持つ家も多い。
　～全国伝統的建造物群保存地区協議会発行「歴史の街並み」より

エリア 竹原(広島)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス 新幹線 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

　朝の博多駅。福岡から奈良への帰路を利用して、１泊二日で３つの重伝建を巡ります。

博多駅 駅

　８：４４　広島駅で下車。駅前のバスターミナルから竹原行のバスは概ね１時間に１本。

　９：１４　「かぐや姫」号に乗車。ところで瀬戸内とかぐや姫の関係は？

広島駅電停 (広島電鉄) 駅

　１０：３３　竹原に到着。「道の駅たけはら」で下車し、ここでマップを貰います。

道の駅 たけはら 道の駅

　道の駅の裏側の道路を渡った先が重伝建地区。

　いい感じ。期待が持てる。

　大きな町家の２階から通りを眺める人が。まずはあそこへ行ってみよう。

　本瓦葺の大屋根を持つ旧笠井家住宅。

旧笠井邸 名所・史跡

　塩田経営者の家として明治５年に建築されました。

　製塩に関する資料を展示。塩田経営者は「浜だんな」と呼ばれたそうです。

　他に機織り機や、

　水墨画風の屏風。

　二階に上がると、

旧笠井邸 名所・史跡

　見事な梁を組み上げた天井。

　梁には墨跡

　窓から重伝建の通りが見えます。

　見事な御殿雛

　江戸時代のお雛様

　旧笠井家住宅を出て、モデルコースに従って重伝建の街歩きスタート。

　本町通りは重伝建地区のメインストリート。

　白壁の居蔵造りや格子が美しい木造建築が続く通りの先に、

　くす玉の下がった大きな建物。

竹鶴酒造 名所・史跡

　青味かかった漆喰の虫篭窓は重厚感に溢れています。

　ここは平成２７年のＮＨＫ朝ドラ「マッサン」の主人公竹鶴政孝の生家です。

　竹鶴酒造は江戸時代中期から「小笹屋」の屋号で酒造業を営み、現在も奥の酒蔵で酒造りが続けられます。

竹鶴酒造 名所・史跡

　ただし内部は非公開。

　重伝建に指定された建物の案内図。

　竹鶴邸の向かいは財満邸。美しい格子は竹原町の町家の特徴です。

　財満邸の隣は市重要文化財の旧松坂家住宅。

旧松阪家住宅 名所・史跡

　波打った大屋根の破風や、

　丸みを帯びた飾り窓。

　格子の下には千鳥の透かし彫りと、全てが優雅な造り。

　この屋敷の主は塩田の釜屋で使う薪や石炭を商う問屋でした。

　中に入ると土間の天井に吊るされた駕籠。主屋の建築時期は文政期とされ、明治１２年に現在の姿に改築されました。

　商売に使われた印章。

　豪華な花嫁衣装。

　庭園がまた素晴らしい。

　改築時の当主は書画や儒学に親しんだ文化人だったそうで、

旧松阪家住宅 名所・史跡

　その趣味が随所に生かされています。

　部屋を巡る濡縁の先に風雅な離れ座敷。

　座敷の濡縁に座ると、木々や建物越しに西方寺普明閣が見えます。

　NIPPONIA HOTELは重伝建地区で時々見かける宿泊施設。

　古い建物の多くは飲食店等に使われていますが、

　中には家業を継続している建物も。

　ここは初代郵便局跡

上吉井邸 (初代郵便局跡) 名所・史跡

　郵便制度発足時に使用されていた状箱風のポスト。

　本町通から離れて、旧松坂邸の庭から見えた西方寺へ。

　ここには「普明閣」という京都・清水寺を思わせる舞台があります。

西方寺 普明閣 寺・神社・教会

　舞台に立つと、

　竹原の街が一望できます。

　すぐ足元が重伝建の家並。

　西方寺の石段を下り、

　再び本町通へ。

　左の建物は旧吉井家住宅。

旧吉井家住宅 名所・史跡

　主屋は竹原最古の１６９１年の建築、広島藩の本陣としても使われました。

　その向かいは街並み保存センター。

　道路は美しい石畳

竹原町並み保存地区 名所・史跡

　土産物店

　洋館木造建築は、

竹原市歴史民俗資料館 美術館・博物館

　江戸時代の「竹原書院」の跡に建てられた図書館。建築時期は昭和初期で、現在は歴史民俗資料館。

　建物の横に建つ竹鶴政孝と妻リタの像。

マッサンとリタの像 名所・史跡

　竹原出身の偉人。竹鶴政孝の横の池田勇人は、万歩計は小学生当時の総理大臣でした。

　「日本のウィスキーの父」と呼ばれる竹鶴政孝はＮＨＫの朝ドラで有名。妻リタを演じたシャーロット・ケイト・フォックスが歌うスコットランド民謡が素晴らしかった。

　竹原で製塩業が盛んになったのは江戸時代。戦後から伝統的な入浜式塩田に替わって流下式塩田が採用され、現在はイオン膜を使う方法に替わっています。。

竹原市歴史民俗資料館 美術館・博物館

　流下式塩田は地盤に傾斜を付け、その上に粘土またはビニールを敷き、さらに小砂利を敷いた流下盤と、柱に竹の小枝を階段状につるした枝条架からなり、ポンプで海水を汲み揚げ、第一流下盤・第二流下盤・枝条架の順に流して太陽熱と風で水分を蒸発させます。これを何度も繰り返すことで海水が濃縮されます。

「塩百科」参照：https://www.shiojigyo.com/siohyakka/made/

　塩と並んで盛んだったのが酒造り。最盛期の大正時代には約３０軒の造り酒屋があったそうです。

　頼惟清旧宅

頼惟清旧宅 名所・史跡

　頼惟清は「日本外史」を著した江戸時代の儒学者・頼山陽の祖父。学問の盛んな竹原で紺屋を営みながら和歌を詠んだ文化人だったそうです。

　本町通りの突き当りは胡堂。

胡堂 (恵比須社) 寺・神社・教会

　ここから路地を寄り道しながら戻ります。

竹原町並み保存地区 名所・史跡

　街並みを見ながら歩いていたら、

　江戸時代の地割の跡が残っていました。

　大小路へ。

　いい雰囲気の路地の先に、

　国重要文化財の春風館・復古館。

春風館 復古館(国重要文化財) 名所・史跡

　頼山陽の叔父である頼春風の邸宅。春風はここで医者を開業していました。

　隣接して旧光本家住宅。復古館頼家住宅の離れとして大正時代に建てられました。

郷土の至宝今井政之陶芸の館 美術館・博物館

　風流な座敷。蔵は現在は陶芸家今井政之氏の展示館になってますが、内部は撮影禁止。

　この辺りの建物は現在も住居として使われれているようです。

　小路の家並

　裏通りもこの通り風情たっぷり。

　小路の家並

　小路の家並

　町の真ん中を流れる川端に出たら古い常夜灯

　川を渡った先の大邸宅は旧森川家住宅

旧森川家住宅 名所・史跡

　旧竹原市長を務めた森川八郎の邸宅で建築は大正２年。

　主屋は沼隈郡の富豪の主屋を移築したもの。

旧森川家住宅 名所・史跡

　離れ

　離れから庭越しに見た主屋

　主屋と離れを繋ぐ渡り廊下

　土間に下りて

　庭に出てみます。

旧森川家住宅 名所・史跡

　庭園から見た主屋と離れ

　他に茶室、隠居部屋、土蔵など。大正時代の豪邸の佇まいが感じられる建物でした。

旧森川家住宅 名所・史跡

　１２：３５　竹原の街歩き終了。

　最後に橋の袂にある頼山陽の像へ。４頭身の像は大阪・新世界の「ビリケンさん」にそっくり。

　道の駅でカツ丼のお昼を食べ、

道の駅 たけはら 道の駅

　竹原駅から、

竹原駅 駅

　１３：１０　呉線に乗って鞆の浦へ。

　鞆の浦の旅行記はここ→　

この旅行記へのコメント （2）

• おくさん 2023/03/09 15:36:56

  まっさん

  ずーっと見てましたが、まっさんの役者が軽すぎると思ったのは私だけでしょうか？
  奥さん役の女性は魅力的でした。
  シャーロット何とか?
  

  万歩計さん からの返信 2023/03/09 20:54:35

  Re: まっさん

  　おくさん、こんばんわ。いつも有難うございます。
  
  　サンデー毎日になってから時々朝ドラを見るようになりました。その中で「これは面白い！」と、最後まで見たのは「マッサン」、「花子とアン」そして現在放送中の「舞いあがれ」の３作だけです。
  　「マッサン」はリタ（ドラマではエリー）役のシャーロット・ケイト・フォックスの豊かな演技力と時折口ずさむスコットランド民謡に魅せられて彼女のファンになりました。「花子とアン」は吉田鋼太郎が演じる嘉納伝助（炭坑王・伊藤伝右衛門がモデル）が男らしくて恰好よかった。「舞いあがれ」は下請けの町東大阪をテーマにした社会ドラマ風のテイストが面白い。
  
  　何だか朝ドラの話しになってしまいましたが、７月に４年ぶりに海外に行く予定です。行先はスコットランド。マッサンゆかりのウィスキー蒸留所や彼が学んだグラスゴー大学も見てきます。
  
  　　万歩計