◆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山

2020/04/21 - 2020/05/04

☆一向に収まる気配の無い新型コロナウィルス感染症。
全国が緊急事態宣言下で外出自粛要請中であるのに
私の旅行記の投稿頻度は例年通りです。
それは目的地があまり観光地化されていない山野ばかりで
他人に会うことが殆ど無い所ばかりだからです。
田舎には田舎ならではの不便さや医療の脆弱性などはありますが
そのマイナス点が３密とは殆ど無縁という利点になろうとは
想像もしていませんでした。
都会には都会の良さがありますが今回ばかりは裏目に出てしまったようです。

さて今回は花咲き乱れる白河市表郷の天狗山に行ってきました。
天狗山は日本有数のヤマブキソウの大群落で知られていますが
ヤマブキソウに先駆けてニリンソウやカタクリの群落が谷間を
白やピンクに染め尽くします。
ニリンソウやカタクリはヤマブキソウほど希少種ではありませんが
谷を埋め尽くす一面の花園は一見の価値があります。
今季は難しいと思いますが新型コロナウィルス感染症が一日でも早く終息し
多くの人に見てもらいたいものです。

エリア 白河(福島)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• 交通: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 自家用車 徒歩

☆白河市表郷　天狗山ルートマップ　(※国土地理院地図に加筆)

場所は少し分かりづらいので白河市表郷・番沢の表郷総合運動公園や
天狗山球場を目指すと天狗山への案内板があります。

☆白河市表郷番沢地区地図　(※Google Mapに加筆）

どこから天狗山に向かったとしても県道２８０号（中野番沢線）までは
そう迷うわないと思いますが番沢地区から天狗山へ向かう市道が
１車線しかない狭い道路で曲がり角もとても分かり辛いです。
一応小さな看板はありますが４０ｋｍくらいで走っていると
見落としてしまいそう(－－〆)。
狭い市道に入ってしまえばほぼ道なりだし、
所々に案内板もあるので大丈夫だと思います。

☆天狗山登山道入り口

番沢地区から１車線の狭い道路を道なりに進むと
左側に天狗山登山道の駐車場（無料）が見えてきます。
登山が目的の人はこの駐車場がいいでしょう。

☆天狗山お花畑コース駐車場。

天狗山登山道の駐車場を左にやり過ごしさらに進んだ突き当りに
天狗山お花畑コース駐車場（無料）があります。

この日は新型コロナウィルス感染症緊急事態が発動されていたこともあり
花のシーズンだけオープンする売店などは閉鎖されていました。

駐車場右手の坂下川沿いの土手が昨年の台風１９号豪雨で
大きくえぐり取られていました。
他にも橋が流されたり土砂崩れがあったりとかなり被害があったようですが
番沢地区の住民たちのボランティアや旧表郷村の復旧活動で
なんとか花のシーズンには間に合いましたが
新型コロナウィルス感染症という予想外の問題で
花まつりなどのイベントは中止になってしまいました。

☆白河市表郷　天狗山マップ　(※現地案内板)

◎ベージュ色＝お花畑コース
◎グレー＝登山コース

カタクリやニリンソウやヤマブキソウなどの群落を見るなら
お花畑コースがいいと思います。
さほどアップダウンはきつくないので小学生以上なら全く問題ないコースです。

コースにはトイレや売店などはありません。
駐車場にある簡易トイレで済ませましょう。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　　お花畑コース入口

坂下川に架かる橋を渡りお花畑コースを歩きます。
この景色を見ていると
果たして花など咲いているのだろうかと思えるほど
殺風景な冬枯れの景色です。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山

コース入口の心配など杞憂でコースを歩きだすと
早速、キクザキイチゲ、ミヤマエンレイソウ、カタクリが出迎えてくれました。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山

カタクリはもうお仕舞かなと心配しましたが
なんとかギリギリ間に合ったようです。
天狗山は様々な山野草が咲きますが
さすがに１度の訪問で全部を見るのは無理なので
少なくともカタクリ＆ニリソウとヤマブキソウの花期の
2度訪れることをお勧めします。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山

入口から出会いの沢までの間では
たくさんのショウジョウバカマが咲いていました。

ショウジョウバカマ(猩々袴/メランチウム科ショウジョウバカマ属)は日本全国の低地～高山まで広範囲に分布し、花色は薄いピンクや濃いピンク、薄紫など自生地でビミョウな違いがあります。
名前の由来は、花が赤いのを猩々（中国の伝説上の動物のこと）になぞらえ、根生葉の重なりが袴に似ていることから名付けられたそうです。
葉がロゼット状なのでせいぜい草丈は５ｃｍ程度ですが花茎は開花とともに伸長し、高いものだと３０ｃｍになる株もあります。
以前はユリ科に分類されていました。

ここでは他ではあまり見られないオレンジ色のショウジョウバカマが見られました。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山

天狗山から流れてくる坂下川の源流沿いでは
ニリンソウが見頃を迎えていました。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山

そのニリンソウの群生の中に早くもヤマブキソウが咲いていると思い
レンズをズームアップして良く見てみたら
ヤマブキソウでは無くヤマブキでした(^^;)。
ヤマブキソウは４弁花で草類、
ヤマブキは５弁花で灌木。
たまたまこのヤマブキソウは枝が倒れて花を咲かせ
花の一つは何故かハナビラ１枚が欠損しているし
５弁花の方も葉っぱに隠れ４弁花に見えたのが原因です。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山

スタート地点から１０分ほどで
天狗山でヤマブキソウやニリンソウの大群落が見られる
出会いの沢にやって来ました。
どうやら２つの源流がここで合流することから名付けられたようです。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

ニリンソウ（二輪草）は日本各地の主に山地の
湿潤な林床や川沿いに自生します。
そう珍しい花ではありませんが
その清楚で気品のある姿はいつ見ても心洗われる花です。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ


咲き始めは１輪咲きで１週間後くらいに２輪目が咲き、
中には３輪咲きもあります。
花ビラに見えるのは萼片でキンポウゲ科の特徴の一つです。
萼片は基本5枚ですが中には6枚や７枚のもあります。

☆イチリンソウ（一輪草/キンポウゲ科イチリンソウ属）（2019/5/6 撮影)

ニリンソウはぱっと見や名前的には仲間のイチリンソウ（一輪草/キンポウゲ科イチリンソウ属と似ますが
基本的にイチリンソウは１株から一輪、ニリンソウは二輪咲きます。
花は似ていても圧倒的に違うのは花の大きさです。
ニリンソウの花径が約２ｃｍほどなのに対し、イチリンソウは４ｃｍ近くもあります。
オシベ（約）の色はニリンソウは少し黄ばんだ白でイチリンソウは黄色なので良く目立ちます。
イチリンソウは遠くから見るとラッパスイセンかと思えるほどです。
ニリンソウは当地では山で普通に見られますがイチリンソウはめったに見られません。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

出会いの沢はこの時期ニリンソウの大群落がメインで
その大群落の中に点々とカタクリも咲いています。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

カタクリだけの群落やニリンソウだけの群落はそれぞれ
あちこちで見られますが仲良く混在している群落はそう多くありません。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

カタクリ（片栗/ユリ科カタクリ属）は日本全土に分布し
春に太陽が燦燦と射す落葉広葉樹林の林床で花を咲かせます。
春の妖精とも呼ばれるスプリング・エフェメラル（Spring ephemeral）の一つで、晩秋に葉が枯れてしまいます。

☆カタクリ（片栗/ユリ科カタクリ属)

朝晩はハナビラを閉じるカタクリは陽が昇ってくるとハナビラを反り返るように開花します。
下から覗くとハナビラの内側にはまるでもう一つ花のような模様があるのがよく分かります。

これは蜜標（みつひょう）と呼ばれ、虫たちに蜜のありかを教えるためのもののようです。
カタクリ自身がそれを花の模様と自覚しているのかたまたま花に見えるのかはカタクリに聞かなければ分かりませんが面白い形態ですよね(^^ゞ。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

あと２週間もするとこの草地は主役を交代し
一面ヤマブキソウの黄色い絨毯になるのですから不思議です。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

この段階でヤマブキソウのヤの字も全く想像できません。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヤマブキソウ(2019/5/7撮影)

出会いの沢ではニリンソウが終わりかけると
待っていましたとばかりにヤマブキソウが咲き始めます。
見事な主役交代です。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヤマブキソウ(2019/5/7撮影)

ヤマブキソウ（山吹草）は名前こそヤマブキと付きますが
落葉低木バラ科のヤマブキとは全く別物です。
花はそっくりですがヤマブキは５弁花ですが
ヤマブキソウはケシ科クサノオウ属の宿根草で４弁花。
草丈２０～３０ｃｍ、花径は４ｃｍほどとヤマブキの２倍もあります。
遠目で花は似ていても近づいてみれば低木と草なので間違うとはないと思います。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヤマブキソウ(2019/5/7撮影)

ヤマブキソウは本州、四国、九州に分布し、
山地のやや湿った林床や林縁に自生する多年草で
葉の形状によりヤマブキソウ、ホソバヤマブキソウ、セリバヤマブキソウがあります。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヤマブキソウ(2019/5/7撮影)

ヤマブキソウは全国２６都府県で絶滅危惧種に指定されている
とても貴重な山野草ですが、白河市表郷の天狗山は番沢地区の保護活動もあり、
全国有数の大群落が見られます。
見渡す限りヤマブソウの大群落を目の当たりにすると
本当にこの花が絶滅危惧種？と思えるほどです。
福島県南部の山々でも点々と自生地はありますが
それでもこんなに群生している場所はありません。
天狗山(天狗の森)のヤマブキソウ群落はまだ全国的には知られていませんが
山野草ファンには垂涎のヤマブキソウの楽園です。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ミヤマエンレイソウ＆ニリンソウ＆カタクリ

ミヤマエンレイソウ（深山延齢草/ユリ科エンレイソウ属）も咲き出していました。
別名でシロバナエンレイソウとも呼ばれます。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

出会いの沢を流れる川は普段の水量はしれたものですが
ひとたび豪雨になると脆い地質の両岸を削り取っています。
昨年の台風１９号でもかなり浸食されました。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

とてもスッキリした草地ですが
これは主な山野草の花が終わった秋に
地元ボランティアの方々が下刈りをしてくれるからです。
下刈りをしないと次第に灌木が生い茂る藪になり
翌春、草丈の低いニリンソウやカタクリ、ヤマブキソウなど
天狗山を象徴する山野草が生育できなくなります。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

川沿いのニリンソウは背後の水面がキラキラ光り
とてもフォトジェニックです。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

ニリンソウは貴重な山野草の中ではとても育てやすい種です。
自然界では種が自然にこぼれて増えたり株自体が増殖していくので
群生や群落を形成します。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆タチツボスミレ

ニリンソウは冬場は燦燦と陽が当たる落葉広葉樹林下の
やや湿った土壌で花後は半日陰になるような場所を好みます。
家庭でも水やりさえすれば半日陰にえっぱなしでも
毎年花を咲かせ自然に増えていきます。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　カタクリ＆タチツボスミレ

青っぽい花はタチツボスミレ(立坪菫/スミレ科スミレ属 )
何処ででも見られるごく一般的なスミレで
たびたび大きな群生を形成します。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　カタクリ＆タチツボスミレ

タチツボスミレは良く見られるスミレなので単独で写真を撮ることは稀ですが
カタクリとコラボすれば名わき役としてカタクリを引き立ててくれています。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆タチツボスミレ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

遊歩道から出会いの沢と別れて左折するポイントです。
ここから沢沿いには遊歩道はありませんが
左手斜面一面はニリンソウの大群落に覆われています。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

ここは遊歩道は無いので見たい人は長靴を履いて沢登する必要があります。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆ヤマブキ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆ヤマブキ

沢沿いの斜面ではヤマブキ(山吹/バラ科ヤマブキソウ科)も咲き出していました。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆ヤマブキ

この辺りも下刈りされるからか灌木は殆ど生えていません。
おそらくこのヤマブキも刈り取りを免れたものだと思います。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆ヤマブキ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆ヤマブキ

一面白い花の絨毯も素敵ですが
そればかりでは写真が単調になるので
わずかでも黄色いポイントがあると印象が違ってきます。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆ヤマブキ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヤマザクラ

出会いの沢から展望台『出会いの鐘』に向かう途中の遊歩道からは
ちょうど見頃になったたくさんのヤマザクラが迎えてくれました。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヤマザクラ

ヤマザクラ（山桜/バラ科サクラ属）日本の野生の桜の代表的な種で
サクラの仲間では寿命が長く、ときに樹高30mを超える大木古木になります。
ヤマザクラを原種として品種改良された種も多い。
多くの場合葉芽と花が同時に展開するのがソメイヨシノとの大きな違いです。
日本、台湾、韓国、北朝鮮に分布。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヤマザクラ

天狗山の標高は６２６ｍと低山ですが
ヤマブキソウやカタクリの群生が見られる花の山として人気で
山開きはなんと１１/２３で日本一遅い山開きがウリです。
特別な理由があるわけではなくウケ狙いだと思います(^^;)。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヤマザクラ

ヤマザクラはソメイヨシノや河津桜などに比べ
花数が少なくぱっと見はやや地味ですが
ソメイヨシノに主役を譲り見頃は遅く謙虚で控えめだし
一番日本人らしい桜だと思います。
そもそもソメイヨシノが江戸時代に作り出される前は
桜と言えばヤマザクラだったわけで
歴史の重みも風格も違います。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヤマザクラ

隣りの山の尾根筋はたくさんのヤマザクラ咲いています。
ヤマザクラは同一地域の個体群内でも個体変異が多く、
開花時期、花つき、葉と花の開く時期、花の色の濃淡と新芽の色、樹の形など
様々な変異がああります。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヤマザクラ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　カタクリ

出会いの沢から夢の沢に到る途中にある展望台『出会いの鐘』周辺は
カタクリの群生が何か所もあります。
一番の見頃は過ぎていましたがまだなんとか間に合った感じです。

カタクリ(片栗/ユリ科カタクリ属)

カタクリは北海道～九州の主に落葉樹林下に自生し、日本ではピンク色と雑種の白花だけですが、世界では約２５種あるそうです。
山あいの観光花園で北米産の黄色いカタクリを植えているを見ますが
街中の花壇や公園ならともかく自然を謳う野草園なら海外の山野草を日本の在来種と一緒に植えないで欲しいものです。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　カタクリ

カタクリの実(種)には蟻を誘引する物質エライオソーム(オレイン酸などの脂肪酸やグルタミン酸などのアミノ酸、ショ糖などの糖）を含んだ付属体があり、
蟻はエライオーソム付きの種をせっせと巣に運び、
エライソーソムだけを食べ実際の種は巣の中のゴミ捨て場に捨てたり
巣の外に放り出します。
その種が条件の良い場所だと発芽する仕組みです。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　カタクリ

つまり種は発芽能力を失うことなく、花が咲いていた場所より
遠くに運ばれることになります。
蟻にとっても、栄養あるエライオソームを獲得できるので、
双方が利益を得ることになり、蟻とカタクリは双利共生の関係にあリ
このような手段で、種を遠くに散布する植物をアリ散布植物と呼びます。
　日本におけるアリ散布植物としては、スミレ属、イチリンソウ属、
フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、
エンレイソウ属、カタクリ属などに200種類くらいはあると言われています
　

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　カタクリ

ようするに下刈りなどして環境さえ整えてあげれば
蟻が種を運んでくれ勝手に増殖していくわけです。
でもその発芽しやすい環境がなければ広大な群生地にはなりません。
おそらくこの天狗山はカタクリやヤマブキソウにとって生育＆増殖しやすい
環境ってことです。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニッコウネコノメソウ

沢沿いでニッコウネコノメソウ(日光猫目草/ユキノシタ科ネコノメソウ属)が
咲いていました。
本州東北南部～四国に分布。イワボタンの変種。
主に太平洋側の山地や沢沿いに生える多年草。
名前の由来は日光国立公園の塩原で発見された事からで
日光に限らず広範囲に分布します。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヒゲネワチガイソウ

思いがけずヒゲネワチガイソウを見つけました。
ヒゲネワチガイソウ（髭根輪違草/ナデシコ科ワチガイソウ属)は中部地方～福島県の山中に分布します。
よく似た花にナンブワチガイソウがありますが、ナンブワチガイソウは草丈が２０ｃｍ超で葉は対性、ハナビラの先端は桜のように窪みます。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヒゲネワチガイソウ＆カタクリ

ヒゲネワチガイソウの草丈は１０ｃｍ～１５ｃｍくらい、花径は１ｃｍほど。
ハナビラは５～７枚、オシベの葯は開花時は紅色ですが花粉の噴出後は地味なオシベになってしまいます。
多くは単独でパラパラと自生していますが、
久慈川源流域などでは１０株くらいかたまっているのもあります。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ヒゲネワチガイソウ

名前の由来は近似種のワチガイソウの根より髭根が多いからだそうで
そもそも、そのワチガイとは、
名前が分からないこの草を整理上、「輪違い」という印を付けて置いておいたところいつの間にかその印が名前になったのだとか(ーー)；。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　出会いの沢

お花畑コースを1周して再び出会いの沢に戻ってきました。
本来は１周すれば出会いの沢に行かないで駐車場に戻れますが
最初に訪れた出会いの沢には先客カメラマンが一人いて
三脚撮影していました。
一般見学者なら1か所で写真を撮ればすぐに次のポイントに移動しますが、
三脚撮影の人は1か所でじっくり撮る人が多く時間がかかるので
邪魔にならないようこちらが気を使ったり逆に
先方が邪魔だったりします。
なので最初はぱっと撮って移動したので撮り直しです。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

今度は私以外誰もいないので
好きなポイントから好きなだけ時間をかけて撮りましたが
最初にぱっと撮ったときとあまり代り映えしませんね(^^;)。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

私は基本的に滝や渓流の撮影以外は三脚は使わないので
１か所で時間をかけることはありませんが
『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』方針で
数多く撮るため帰宅後の取捨選択が大変です(^^;)。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

しかし取捨選択が中々進みません。
要するに『どんぐりの背比べ』
抜きんでていい写真があれば悩まないんでしょうが
『この１点』を中々絞り込めない優柔不断な性格です(－－〆)。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

ニリンソウは地方によっては山菜として
お味噌汁の具、お浸し。和え物などで食されます。
白河市(旧表郷村）周辺でも食されているかどうかは分かりませんが
私の近隣では食べる食風はありません。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

実はニリンソウの葉とトリカブトの若葉は良く似ていて
ニリンソウの群落の中にトリカブトが混生することが良く見受けられます。
天狗山のニリンソウの群落の中にはトリカブトは見当たりませんでしたが
山菜として食べる地方は誤食しないよう細心の注意が必要です。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

天狗山は保護地ってこともありますが
近隣の他の自生地でもニリンソウを刈り取ったような
形跡は見たことが無いのでやはり旧表郷村でも
食べることは無いみたいです。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

でもニリンソウを食べるとしたら
天狗山は相当収穫できそう（笑）。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

ニリンソウの花付きは年によって少しバラツキがあり
当たり年の時はそれこそ一面真っ白に花を咲かせます。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ミヤマエンレイソウ

ミヤマエンレイソウ（深山延齢草/ユリ科エンレイソウ属）

福島県では数少ないミヤマエンレイソウも天狗山ではたくさん咲いています。
別名・シロバナエンレイソウ。
葉の中心から短い花柄が伸び、3枚の外花被片と3枚の白い花弁状の内花被片からなります。
深山とありますが仲間のエンレイソウより必ずしも深山に自生するわけではなく、
当地ではエンレイソウに比べ絶対数が格段に少ない希少種です。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ミヤマエンレイソウ

福島県では稀なミヤマエンレイソウですが
山野草によほど興味が無いと気付かづに通り過ぎる人が多いかも。
私は清楚で気品のある花に見えますが
山野草に興味がないと華やかさの無い地味な花に見えるかも。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ミヤマエンレイソウ

ミヤマエンレイソウ（深山延齢草/ユリ科エンレイソウ属）

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ミヤマエンレイソウ

ミヤマエンレイソウ（深山延齢草/ユリ科エンレイソウ属）

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ミヤマエンレイソウ

ミヤマエンレイソウの別名はシロバナエンレイソウ。
一般的なエンジ色のエンレイソウの白花だと思っている人が
多いと思いますが近似種ではあるものの別の種です。
ミヤマエンレイソウの葉の中心から短い花柄が伸び、3枚の外花被片と3枚の白い花弁状の内花被片からなります。
深山とありますが仲間のエンレイソウより必ずしも深山に自生するわけではなく、
当地ではエンレイソウに比べ絶対数が格段に少ない希少種です。

☆エンレイソウ（延齢草/ユリ科エンレイソウ属）

エンレイソウはエンジ色の３枚の外花被片しかありません。
当地では里山から深山までごく普通に見られるエンレイソウですが
愛知、和歌山、徳島では絶滅危惧種１指定。
ところ変わればですね。

☆白河・天狗山　　ピンク色のミヤマエンレイソウ(2019/5/7撮影)

ピンク色のミヤマエンレイをムラサキエンレイソウと呼ぶこともありますが、
おそらく白花が時間の経過とともにピンク色になったものだと思います。
ただ時間が経過してもピンク色にならずベージュ色になるタイプもあり
個体差があるようです。

ただこの出会いの沢では当地で普通に見られるエンジ色のエンレイソウは
見かけませんでした。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

こういった野々花の美しい花園を見ていると
映画『みじかくも美しく燃え』の１シーンを思い出します。
古い映画なので映画館ではなくたぶんTVで観たような気がします。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

妻子を持つ伯爵と、サーカスの綱渡り少女の禁断の愛で、最後は美しい野の花咲く花園で短銃心中してい甘く切なく悲しい物語だったと思いますが。
その美しい花園の背景シーンに流れていたのは
モーツァルトのピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K. 467でした。
クラシック音楽と映画がこれほど美しく共鳴する映画は初めて観たので
とても感動したのを覚えています。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

この美しい花園を見ていると
モーツァルトのピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K. 467の
美しい調べが耳元に聞こえてきます。

♪～♪～♪

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ

以下似たような写真ばかりで恐縮です。

久しぶりにモーツァルトのピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K. 467を
聞きながら余韻に浸りたいと思います(^^ゞ。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　　カタクリ＆タチツボスミレ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　ニリンソウ＆カタクリ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　イタヤカエデの花

出会いの沢ではイタヤカエデの花も花盛りでした。
一見、萌黄色の新緑に見えるので気付く人は少ないかも。

イタヤカエデ(板屋楓/カエデ科カエデ属イタヤカエデ変種)の仲間は
全国に分布しますが亜種が多く見分けるのが難しいです。

カエデの仲間の中でもっとも大樹になり
大きい木は２０ｍにも生長します。
またカエデの花の中では珍しく花色が淡黄色で
樹いっぱいに花を咲かせるので咲いていればけっこう目立ち華やかです。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　イタヤカエデの花

カエデは赤い花が多いですがイタヤカエデは萌黄色なので
カエデの花だと知っている人は少ないかも。
サトウカエデの近似種なのでメイプルシロップが採れるそうです。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　リュウキンカ

花畑コースの駐車場を出てまもなく
小川沿いではリュウキンカ((立金花/キンポウゲ科リュウキンカ属)も
花盛りでした。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　リュウキンカ

リュウキンカ((立金花/キンポウゲ科リュウキンカ属)は本州～九州の
山あいの湿地や沼地、小川沿いなどに自生し、冷涼な気候を好みます。
光沢のある黄色い花はまさに金のごとく華やかで山野草の中でも一際存在感のある花です。
ハナビラに見えるのは萼片（がくへん）で、これはキンポウゲ科の花の特徴です。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　リュウキンカ

昨年の台風１９号でこの辺りの河川の多くが被害を受けましたが
天狗山の坂下川もあちこちで被害が出ました。
おそらくこのリュウキンカも大水に巻き込まれたと思いますが
よく踏ん張り花を咲かせたものです。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　リュウキンカ

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　リュウキンカ


キンポウゲ科の花の多くは晴れないと花を開かないタイプも多いのですが
リュウキンカは一度開花すれば天気に左右されず開いているので
いつ行っても花が咲いています。
湿地植物だけに雨や水にも強く、雨が降っていても花が閉じることは無いし
１株辺りの花期がとても長く蕾が次々開花するので
１ヶ月以上花を楽しみことができます。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　リュウキンカ

リュウキンカのことを
蕗の葉に似るので『ヤジブキ』と呼ぶ地方もあるようです。
当地のお年寄りは『ヤジバナ』と呼んでいました。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　リュウキンカ

当地では山菜として食べることはありませんが
地方によっては花や若芽を天ぷら、お浸し、みそ汁の具などとして
食べることもあるようです。
でもキンポウゲ科の植物はアルカロイドなどを含有する有毒植物が多いし
リュウキンカも中毒の症例があるので食べるにしても少量に収めておいた方が
無難です。

☆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山　リュウキンカ


これで◆花・花・花咲き乱れる白河・天狗山はお仕舞いです。
いつも最後までご覧下さりありがとうございます。
そして『いいね』もありがとうございます。


新型コロナウィルス緊急事態はまだ１か月も続くようです。
長丁場なのでどうぞ油断なさらぬよう自愛ください。


ではまた。　　j-ryu