さいたまさんのクチコミ(90ページ)全2,813件

水道橋は、江戸時代、橋に上水道の架樋橋があったことから、水道橋と呼ばれているようです。
神田川に架かっている水道橋には、青銅製の橋の絵が掲げられていて、その解説には、下流に、かけ樋が掛けられていた由来を紹介しています。
青銅製の絵図には、富士山方向への流れの反対側の東側に、かけ樋が描かれていて、疑問が起きました。
国会図書館の資料を調べますと、やはり、かけ樋は、東側にありました。
神田川は、東に流れ、隅田川に合流するので、青銅製の絵図の書き方がおかしいかもしれません。
いずれにしましても、水道橋付近には、上水用の架樋橋があったのは、確かなようです。
ローマにも水道用の橋がありましたが、江戸時代にもあったとは興味深いものがあります。
それよりも興味をそそるのは、江戸時代の地図と水道橋の工事関連の資料が詳細に保存されていることがすごいと感じました。
国会図書館の資料を調べて、びっくりしました。

室生能楽堂は、水道橋にあり、能楽五流派のうちの宝生流の拠点として重要な能楽堂です。
能楽には、シテ五流派と呼ばれる観世流、宝生流、金春流、金剛流、喜多流の流派があります。
室生派は、他の流派と同様、施政者の庇護のもとに発展しました。５代将軍徳川綱吉により、重用されました。
宝生能楽堂は、関東大震災と東京大空襲の火災を乗り越え、再建されました。
最初の宝生能楽堂は、神田猿楽町に創建されましたが、関東大震災で焼失します。
その後、水道橋に、宝生会館能楽堂として再建されましたが、東京大空襲でこの能楽堂も焼失します。
戦後の昭和２５年、水道橋能楽堂と呼ばれた舞台が再建を果たします。
現在の宝生能楽堂は、昭和５３年に完成しました。
他流の催しにも活用され、広く能楽の普及・発展への活動の場となっています。
シテ五流派の流れの中で、伝統を守り発展してきましたが、拠点舞台の焼失という不運にめぐり合っています。
栄枯盛衰とともに千変万化の歴史かもしれません。
能楽の般若の面のように悲哀の中にも、活力を得てきたような歴史の感じを受けています。
能楽の歴史に触れることができた室生能楽堂訪問でした。

水道橋稲荷大明神は、金比羅宮東京分社の南側のすぐ横にあります。
水道橋稲荷大明神の由緒については、資料がなく、解らない点が多いのですが、現実の姿としては、赤色ののぼりが多く、かつ鳥居も鮮やかな赤色となっていて、とても目立つ存在です。
しかしながら、こじんまりした社殿です。
入口の階段が横にあり、昇った後、左に向きなおし、鳥居をくぐるようになっています。
鳥居の額には、水道橋稲荷社とあるのに、のぼりには、水道橋大明神となっていますので、どちらが正しいのか解りません。
狭いながらもきちんとした社殿であり、気持ちを込めてお参りをさせて頂きました。
社殿の横には、社殿の改修に際し、支援してくれた関係者の名前があり、その数の多さには、驚きます。
地元に密着し、地元の方々に親しまれていることがわかります。
地元の住民の方々の信仰のもと、ますます繁栄されることを祈りたいと思います。
親しみを感じる水道橋稲荷大明神です。

金刀比羅宮　東京分社は、文京区水道橋にある神社で、讃岐金刀比羅宮の東京分社です。
金刀比羅宮　東京分社は、高松藩松平氏の私祭祠宇として、文政年間に創建され、当初、神田、その後、深川に遷座したといいます。
太平洋戦争後、金刀比羅宮東京分社再建用地として元讃岐高松藩主松平家より、敷地を讃岐本宮に寄進され、再建されたと言われています。
水道橋金刀比羅神社と深川の金比羅宮を合わせ祀り、昭和３９年、文京区本郷に遷座、以来、水道橋の金比羅さんとして親しまれています。
現在の金比羅宮東京分社は、緑の樹々に囲まれた、静かなな環境の中、脈々として金比羅宮としての地盤を確立しつつあるように思えます。
金比羅宮東京分社の歴史を見ますと、遷座と合併そして再建の連続です。
経済的な基盤とともに神社としての系統化の波に翻弄されていたのかとも感じています。
明治維新における政策の転換も別なる要因かもしれません。
着実なる基盤確立がいかに大事なのかを問いかけているような金比羅宮東京分社の歴史です。
水道橋稲荷社とともに隆盛を祈念する次第です。

講道館柔道資料館は、文京区の春日町にある講道館の新館の国際柔道センターの中にあります。
講道館柔道の中心的な建物の講道館は、文京シビックセンターの東隣にあり、地下鉄春日駅の傍です。
講道館の建物は、白山通りに面しています。
講道館柔道の発祥から、発展の足跡が記された資料や関係の写真などが展示されています。
資料館の奥には、勝海舟の筆による無心にして自然の妙に入り、無為にして変化の神を窮むという語は、柔道の神髄を顕したものと感じられます。
嘉納治五郎の示す柔道の進む道と同じ考えかもしれません。
柔道資料館では、柔道の歴史や嘉納治五郎に関する資料などが、展示されていて、とても興味深いものがあります。
柔道を志す者にとっては、重要な場所かもしれません。
門外漢が入ると、真剣な眼差しの中で、なんとなく心の気おくれを感じる場所に感じられます。
それなりの気持ちをもって資料館に入ることが必要かと思った次第です。そそくさと足早に見て廻り、引け目を感じるような神聖な感じをも受けた資料館でした。

嘉納治五郎の像は、講道館の建物の入口に建てられています。凛とした銅像です。
嘉納治五郎は、講道館柔道の創始者であり、日本の柔道、各種運動競技そして教育分野の発展や日本のオリンピック参加に尽力するなど、明治時代から昭和にかけて、日本における運動界の草分けとして尽力しました。
特に、柔道の父と称されるとともに、日本の体育界の始祖とも称されています。
嘉納治五郎は、東京大学卒業後、教育界に進むも、稲荷町の永昌寺に講道館の道場を創設し、柔道の普及に努めました。
外国要人の来日に併せ、柔道の演武を展示し、現在、世界各地で親しまれている柔道を広く世界に広めました。
嘉納治五郎の業績を顕彰し、後世に伝えるための銅像が講道館の入口に建てられています。
柔、よく剛を制すという言葉の示す通り、日本の力を世界に紹介したことは、精神的な分野を含め、大きな意味を持つものと考えられます。
資源の乏しい日本が発展してきた原動力としては、勤勉な国民性とあくなき努力かもしれません。それらと、嘉納治五郎の業績とは、相通ずるものがあるような感じがしています。
それらのことを、嘉納治五郎の銅像は、我々に語っているような感がします。
ぜひ、いつの日か、嘉納治五郎の像を訪れることをお勧めします。

後楽園のラクーアは、東京ドームの横にあるテーマパークで、各種の施設の融合体です。
ラクーアは、後楽園ゆうえんちのコースターランドを再開発により、建設された施設です。従来のファミリー層向けから、都市型レジャー施設に変わり、社会人女性を中心的なターゲットとしています。
温泉施設やジェットコースター、メリーゴーランド等の多種な施設を準備し、融合的施設として羽ばたいています。
訪れた時期にも、女子高校生や若い母親と子供たちが目につきました。
ジェットコースターの絶叫シーンも、元気でした。
東京ドームの傍という立地条件を活かし、新たな客層を開拓している努力が感じられます。
いろいろなテーマパークが、東京や郊外都市に誕生している現在、常に新しい刺激を提供できるかがカギのようです。
今回のラクーア訪問により、新たなるテーマと新たなる客層の開拓を目指して、奔走するテーマパークの実態を、ほんの少し理解できたかなという段階です。
引き続き、勉強に努めたいと思っています。

東京都戦没者霊苑　遺品展示室は、多くの遺品を展示しています。ご遺族の気持ちが伝わってきます。
東京都戦没者霊苑の入口を入り、左側に進むと、遺品展示室のある建物に至ります。
１階は、事務室、資料閲覧室、会議室等になっていて、遺品展示室は、２階にあります。多くの遺品や資料を展示しています。
主として太平洋戦争に参戦され、散華された戦没者の方々の遺品が収められています。
遥か南方において亡くなられた戦没者、泰緬の地において過酷な中亡くなられた方々、酷寒の地シベリアでの苦難に満ちた戦没者、多くの戦没者の遺品が置かれています。
それらを見ますと、ご遺族の気持ちが伝わってきます。
涙無くして見れません。
特に、戦地に赴く夫を見送る妻と子の手紙を見ると、涙が止まりません。手紙を受け取った方は、再び日本の地を踏むことはありませんでした。
先人のご労苦のもとに、現在の日本があります。
ただただ、頭を下げる思いです。
いつの日か、東京都戦没者霊苑　遺品展示室を訪れることをお勧めします。

東京都戦没者霊苑は、小石川の礫川公園の西側にあります。東京ドームの北側です。
東京都戦没者霊苑は、１６万人にも及ぶ東京都出身の戦没者の霊を慰霊するための施設で、旧陸軍の砲兵工科学校の跡に設立されました。
建設後の老朽化に伴い、１９８８年に、現在の形に改修されました。
東京都戦没者霊苑は、小高い部分に水の流れが設けられ、鎮魂の文字が刻された石碑が置かれ、石碑の前には、山本健吾氏の筆による碑文が捧げられています。
東京都戦没者霊苑の園内には、鎮魂のための御製の句が刻された石碑や各種の民生業務に携わった関係者への顕彰碑が置かれています。
また、戦没者慰霊の遺品展示室も整備されています。
国のため多くの方々が散華され、その犠牲のもと、現在のわれわれの現在の社会があることに思いを致し、鎮魂の誠を捧げてきました。
多くの犠牲になった先人の思いを考えると、惜念の思いが湧いてきます。
山に海において亡くなった方々の冥福をお祈りする場の一つが東京都戦没者霊苑です。

礫川公園は、文京シビックセンターの向かいの公園です。明治維新から変転の歴史です。
礫川公園は、地下鉄小石川後楽園駅の北側、文京シビックセンターの西側にあります。
小石川後楽園や東京ドームとも連接していて、行政サービス、ビジネス、行楽等に便利な場所にあります。
礫川公園は、３段の台状の公園になっていて、中央を水が流れています。
緑と水がきれいな公園です。
近くには、中央大学もあり、公園を歩く若者たちが多く見られます。
小石川の礫川公園の周辺の地域は、明治維新までは、水戸徳川家の広大な所有地でした。
明治維新により、敷地は、他の大名の敷地と同様に、明治新政府に召し上げられました。
小石川地域は、砲兵工廠となりましたが、戦後、分割され、公園地域、中央大学や都営住宅地域となりました。一部は、現在の東京ドームになっています。
公園地域は、礫川公園となり、東京都から文京区に移管されました。
水戸徳川家から、陸軍の砲兵工廠とその姿を変えていった礫川公園も、現在では、緑と水の豊富な憩いの場所となりました。
歴史の変遷をつくづく感じます。
反面、歴史を紐解くことにより、それぞれの土地の前身の姿を思い知ることができます。
歴史の面白さを感じることができた礫川公園巡りでした。

文京シビックセンター展望ラウンジは、文京シビックセンターの２５階にある無料のラウンジです。
文京シビックセンターは、文京区区役所の建物で、２６階建てです。その２５階に展望ラウンジがあり、周囲に対して絶好の眺望を提供してくれます。
天気に恵まれると、素晴らしい富士山が見られるため、富士見１００景に選定されています。
東京都庁の展望ラウンジのように昇るのに長い列を作り、エレベーターを待つ必要もなく、利用しやすい施設になっています。
また、同じ２５階には、レストランもあり、便利です。
今回、初めて、文京シビックセンター展望ラウンジを訪れましたが、素晴らしい眺望には驚かされました。
文京シビックセンター展望ラウンジは、区役所の施設内でもあり、何かのついでにでも、２５階まで足を延ばし、東京の都市空間の中の眺望を目にすることをお勧めします。
きっと、落ち着いた雰囲気の中で、絶景を楽しむことができます。

長唄碑は、上野公園不忍池の弁天島の南側の池畔に置かれています。
長唄碑は、幕末の長唄中興の祖である杵屋六三郎を賛辞する碑で、不忍池の中央にある弁天島にあります。
初代の杵屋六三郎は、長唄三味線の名跡でした。
２代目の杵屋六三郎は宝永７年(1710)に生まれ、従来の長唄の曲風を一変させて、今日ある江戸風の長唄の基礎を築いたと言われています。
この石碑は、長唄三味線方の名跡である杵屋六三郎の顕彰碑との位置づけです。
代々、杵屋六三郎の名前を継ぎ、それぞれ演奏や作曲等、いろいろ活躍したとのことです。
弁天島の長唄碑は、比較的新しく、石柵の前面に、１２世杵屋六三郎と刻まれているのは、１２代の時に築造したとのことです。
永い伝統芸能を、代々受け継いで伝えていく努力に敬意を感じています。
本人及び周囲の間において様々な葛藤があったものと推察しています。それらを乗り越え伝統芸能を伝えていくことには、多大な努力と犠牲があったと思います。
長唄の碑を訪れ、敬意の念を覚える次第です。

日本人画家の長谷川利行を顕彰するための利行碑が、弁天島の橋の入口に建てられています。
長谷川利行は、日本のゴッホと評されていたようです。
長谷川利行の画才や作品を後世に残すため、複数の画商が、奔走し、設立にこぎつけました。現在の利行碑、解説板そして歌人としての才能もあったため歌碑も建てられました。
設立に際しての最も苦労したことが、利行碑を建てる場所の確保だったと画商の著作に書かれてあるそうです。
最終的に、寛永寺の僧正による決定で、永代供養としての石碑の設置が決まったそうです。
永代供養料は、１坪１００万円だったそうです。昭和４２年の１００万円は、平成２８年では、約１５００万円に相当するものと思われます。
歌碑も建てるとすると、さらに１００万円を要求されたそうです。都合、約３０００万円です。画商は、私費で支払ったそうです。
芸術を愛する心意気が伝わってきます。
なぜ、弁天島に、多種多様な石碑・記念碑が、多数立てられているのかとの疑問の声が、インターネットに溢れています。
その理由が、解りました。疑問が氷解したのです。

大黒天堂は、上野公園不忍池の弁天島にあります。上野寛永寺の敷地境内の中です。
大黒天堂の入口には、豊太閤護持大黒天堂との高札が立てられています。
徳川家との繋がりが強い寛永寺の敷地内で、豊臣秀吉を示す豊太閤を護持する大黒天堂があること自体が、不可思議です。昔の主君であった豊臣家を滅ぼしたことに対する贖罪、冥福を祈るための大黒天堂なのでしょうか。今後、調べていきたいものです。
いずれにしても、大黒天堂は、弁天堂の横に存在しています。
大黒天は、日本古来の大国主命のもと、恵比寿様などとともに七福神との一つとして祀られていて、大黒様として親しまれ、食物・財福を司る神となっています。
歴史の変転の流れの中で、大黒天堂の位置づけを明確にしていくことが今後の課題として残りました。
勉強の動機づけとして、大事な契機となった弁天島探訪でした。今回は、特に、大黒天についてさらなる勉強のきっかけとなりました。

徳川一橋家剣術指南役の櫛淵碑は、上野公園不忍池の弁天堂の奥に建てられています。
弁天堂の奥に置かれている碑は、石碑と標識柱からなっていて、石碑の文字は判別が困難な状態ですが、標識柱には、幕末剣豪櫛淵虚冲軒之碑の文字が読み取れます。
櫛淵虚冲軒は、櫛淵彌兵衛宣根の号だそうです。
櫛淵彌兵衛は、神道一心流の創始者で、江戸・小川町に道場を開き、全盛期の門人は４５０名を越え、一橋徳川家に召し抱えられました。その後、一橋家剣術師範役を勤めたとのことです。
現在の石碑は、門人や親類が、その業績を顕彰するため建てた石碑のようです。
家柄が重視されていた平和な江戸時代末期において、町道場主が、徳川御三家の剣術指南役に昇進することは、極めて稀有なことだっのでしょう。想像するのも困難なことなのでしょう。
このように、現実の石碑を見て、当時の時代背景の中で、想像を逞しくすることは、とても興味を覚えるものです。歴史探訪の醍醐味とも言えるのでしょう。
上野公園不忍池の弁天島の各種の石碑群を廻り、その喜びに浸ったことは、大変、有意義でした

上野公園不忍池の弁天島の奥に、ひっそりと蓮華の歌碑が、独り置かれています。
蓮華の歌碑は、上野恩賜公園内の弁天堂の裏手の池畔にある歌碑で、不忍池の蓮華の花を詠んだものです。
蓮華の歌碑は、江戸時代の文政１１年(1828)に、司馬乃屋嘉明が建立しました。
漢詩とともに「色々に花はさけどもくれ竹のそれにもまして蓬のしら糸」と刻まれていると伝わっていますが、石碑を見た限りは、それらの文字は、確認できませんでした。
蓮華の歌碑は、北隣の鳥塚が大きいこともあり、比較されますと、とても小さく見えます。
しかしながら、石碑の大小ではなく、石碑の歴史上の意味が大きな意味を持っていると感じられます。
蓮華の歌碑は、江戸時代から不忍池に群生する蓮の花を詠ったもので、浮世絵にも多く描かれています。
蓮華の歌碑を訪れることで、小さな石碑にも、永い歴史的な価値が存することを教えてもらいました。
路傍の石碑とも思える碑からも、連綿とした歴史を感じることができることを痛感した弁天島巡りでした。

高久藹崖の筆塚と言われている石碑が、弁天堂の南側の奥に置かれています。
説明板とか解説の類が無いので、資料を探したり、現地に３回も赴き、見て廻りましたので、多分、高久藹崖の筆塚であろうと自信が持てるようなレベルになりました。
高久藹崖(たかく　あいがいと読むそうです。)は、下野の国栃木に生まれ、江戸時代後期の文人画家だったそうです。
高久藹崖の画家として評判は、極めて高かったそうですが、気位が高く、儲けのために画くことがなかったので、生活は貧窮し、師匠の谷文晁が弟子の高久藹崖の絵を売り出したととのことです。
そのせいかどうか判りませんが、現在の高久藹崖の筆塚の保存状態は、悪く、碑面が一部剥離していて確認できません。
なんとなく孤高の画家との感じを受けています。
３度も足を運んでも、高久藹崖の筆塚の細部はわかりませんが、少しずつでも解ってきますと、嬉しくなります。徐々に充実感を覚えてくるような高久藹崖の筆塚です。
他にも、弁天堂周辺の石碑には、謎に包まれた石碑があります。次なる解明への動機づけになります。

上野公園不忍池の弁天堂の南側の奥に、包丁塚と言う石碑があります。
石碑の形が、包丁の形に似ている他、石碑の平らな表面に、包丁塚との文字がはっきり刻されていて、解り易い石碑です。
東側横には、背の低い四角柱の説明の石碑が並び置かれています。
説明の碑文によると、包丁塚は、料理関係団体が建立した石碑です。
料理のためには、包丁が不可欠であり、お世話になっている包丁に感謝する気持ちから、建立に至ったものと思います。
包丁塚の傍には、鳥塚や松尾芭蕉の石碑等が建てられていて、あたかも石碑・記念碑の行列のようにも見えます。
上野公園不忍池の弁天堂の周囲には、江戸時代を始めとして古来からの歴史的な経緯を持つ石碑・記念碑もあれば、業界・団体の建立した石碑・記念碑もあり、多数の石碑・記念碑が混在しているようです。
弁天堂の周囲にある石碑・記念碑を見る際には、歴史的背景や設立の経緯等を確認することが重要かもしれません。
石碑等を廻っての教訓事項でした。

上野公園不忍池の弁天堂の少し手前の南側に、扇塚と言う石碑があります。
石碑の形は、扇には見えませんが、日本舞踊の名手と言われた初代花柳家の花柳寿美の舞扇を納めた塚と伝えられています。
扇塚の碑面には、作家佐藤春夫氏の詩文が刻されています。
尾上菊五郎、花柳寿輔、花柳章太郎氏らの手によって建てられたとのことです。
碑面には、佐藤春夫の名が刻まれた「ああ、佳き人の面影を、偲ばざらめや、しのばずの、池のほとりに香を焚き，形見の扇、細めつつ 」とあります。
素人ながらも、心に染み入る気持ちが感じられます。
弁天堂の傍に佇み、扇塚を静かに見て、碑面の詩を口ずさむと、気持ちが落ち着きます。
また機会を求めて、不忍池に来たいものだと思いました。
ぜひともお勧めしたい観光スポットの一つです。

不忍池弁天堂は、上野公園不忍池の弁天島に建てられている弁財天を祀るお堂です。
寛永２年(1625)、江戸の鬼門を護るため、京都の比叡山延暦寺に倣って、上野の忍ケ岡に東叡山寛永寺が建てられました。
徳川家康、秀忠、家光と３代の将軍に仕えた慈眼大師・天海大僧正は、寛永寺を創建しましたが、その際、不忍池を琵琶湖に見立て、池の中に竹生島を模した小島を築かせ、竹生島宝厳寺の弁財天を勧請して弁天堂を建てました。
戦災で焼失した時期もありましたが、昭和３３年に、現在の八角形堂が再建されました。
不忍池弁天堂では、９月に、巳成金大祭が開催されるそうです。
暦上の巳と成と金の組み合わせの日に、「実(巳)の成る金」を得るとして祭事が行われるように、お金の弁天様(弁財天)として有名だそうです。
弁天堂を訪れる前は、上野公園は、江戸の鬼門を守るために造営されたと思っていましたが、お金の分野にも、意を払って弁天堂が造られていたことがわかりました。
ものは、現地で、見て聞いて理解するものだと痛感しました。
今後も、自ら足を運んで、見るそして聞く気持ちを大切にしたいと思った次第です。