浅草発の寿司店「紀文寿司」～名著「魚味礼讃」の著者が四代目店主だった本格的江戸前寿司を提供する明治36年創業の老舗～

2020/06/26 - 2020/06/26

たくさんの老舗がある浅草で、「弁天山美家古寿司」と共に老舗寿司店のひとつとして知られているのが「紀文寿司」です。同店の四代目店主にあたる故・関谷文吉氏は、著書「魚味礼讃」で魚や魚の調理に関する博識ぶりを披露していますが、同店で食事をすると、味や見栄えのみならず、同氏が重要視する「香り」も含めて、著書に書かれていることを追体験することが出来ます。

一昨年になりますが、特に予約無しで行き当たりばったりでお店に入ったら、入店を許可して頂きました。事前に予約がないと断られるお店が多い中で、非常に有難かったのですが、肝心なお寿司の方は江戸前の技術が随所に感じられ、満足度が高かったです。再訪時にちらしを食べましたが、こちらも同様に満足しました。老舗の素晴らしさを実感できる名店だと思います。

エリア 浅草(東京)

• 旅行の満足度: 4.5

はじめて訪問したのは、一昨年でした。

価格的には、町のお寿司屋さんレベルです。

派手さはなく、今風でもないので、初回は少し緊張しました。

店内のメニューを確認し、おすすめ寿司にしました。

お茶です。

店内には、常連風の人が多かったです。

ガリです。これは市販ものではなく、自家製だと思います。

イカです。

赤貝です。

赤身です。

トロです。

蛤のお椀です。これは今でも印象に残っています。

小肌です。

雲丹の軍艦巻きです。

これは煮イカでしょうか。煮つめがかかっています。

鳥飼です。

車海老です。

穴子です。穴子にかかっている煮つめは、侮れない味で、老舗の貫禄が感じられます。

玉子焼きと干ぴょう巻きです。

店内です。タイムスリップしたような店内です。

雰囲気的には、浅草にぴったりです。

大将は若いながら、独特のスタイルで、貫禄があります。他店に慣れていたら、今の基準だと愛想が悪いと誤解されるかもしれないですが、味の方は一級品です。江戸前寿司の素晴らしさを体験できる名店だと思います。味を考慮すると、価格的にはかなりリーズナブルだと思います。

外観は、昔の由緒ある旅館のように見えます。

コロナによる観光客の激減で苦戦しているお店が多いだろうと思われる浅草ですが、何とか持ちこたえてほしいですね。

今年に入って、「紀文寿司」の四代目の方が記した本が存在することを知り、読みました。寿司ネタになる魚や魚介類に関する知識が豊富であり、非常に興味深ったです。特に印象に残ったのが、著者が一番おいしく味わえるだろうと思われる方法で魚をさばいていることでした。四代目は、残念ながら、2007年に亡くなったので、今握っているのは、年齢的には息子さんのはずです。

つい最近になりますが、再訪しました。

非常に残念ですが、浅草はインバウンドの観光客がいなくなった影響をもろに受けていると思います。

老舗が特に多い浅草ですが、その中でも「紀文寿司」の建物は存在感があります。

今回はランチの訪問になります。

上ちらしにしました。なぜか、並ちらしはメニューにありません。

お茶です。

相変わらずですが、雰囲気がある店内です。

夜の方が風情があります。

上ちらしです。前回食べた握りに劣らず、素晴らしい内容でした。

イカ、鮪、中トロ、げそ、イワシ、小肌、平目、穴子、蛸、雲丹、ホタテ、玉子のネタが、酢飯の上にのっていました。このネタだけなら、他店の海鮮丼と遜色ないかもしれないですが、どのネタも一仕事した後が感じられるのが、よくある海鮮丼と決定的に違う点です。

江戸前の真髄が感じられるちらしでした。おいしかったです。

次は、握りをまた食べてみたいですね。