2017/10/31 - 2017/10/31
374位(同エリア1810件中)
kojikojiさん
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- フォロワー169人
今回のツアーでは「エルミタージュ美術館」の見学は3時間だけでした。前半は全員での宮殿の見学とガイドブックに掲載されているような有名どころの絵画を見学するとちょうど1時間30分かかりました。午前11時から見学が開始されたこともあり、妻は疲れたのとお腹が空いたのとで1階のカフェで休憩することになりました。私は途中スルーしてきたラファエロの回廊とフランドルの絵画、ルーベンスやヴァン・ダイクなど観たいものがたくさん残っています。ということでここでしばらくお別れです。1時間30分あればどこまで観ることができるだろうかと思いましたが、正直何時間かけても十分とは思えないでしょう。結果古典絵画のある新エルミタージュの2階を観るだけで終わってしまいました。最後の15分20分は集合場所へ戻る時間にあてないと間に合わなくなります。ツアーでエルミタージュ美術館を訪れる方で、絵画好きな方は6時間くらい時間を当てたものにしないと満足いかないと思いました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- ショッピング
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 15万円 - 20万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス 観光バス 船 タクシー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- アエロフロート・ロシア航空
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
- 利用旅行会社
- 阪急交通社
-
ヤコブ・ファン・オスト「羊飼いの礼拝」
オストは歴史絵画や肖像画を得意とするフランドルの画家でした。 17世紀のブルージュで最も重要な画家であり、地元のブルジョワ人の肖像画や多くの祭壇画を描いています。 -
ヤコブ・ヨルダーンス/アンドリ・ダニエルズ「花に囲われた聖母子」
フランドルのこのタイプの絵画は得意分野が分かれているので、中央の聖母子はヨルダーンスが描き、周囲の花はダニエルズが描いています。 -
ヨルダーンスはルーベンスやヴァン・ダイク同様にアントウェルペン派を代表する画家です。同時代の他の画家たちとは違ってイタリア絵画を学ぶため外国へ行くことは無く、ほとんどをアントワープで過ごしています。
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ヤコブ・ヨルダーンス「酔っぱらいの王」(豆の王)
これと同じような作品がブリュッセルの王立美術館とウィーンの美術史美術館にあったのを思い出しました。 -
描かれる題材は神の子イエス降誕の祝祭にまつわる風俗行事のひとつ「豆の宴」で、ヨルダーンスの鋭い観察眼による人々の生活観豊かな描写が素晴らしいです。豆の宴の主役のひとりである画面中央の王冠を被る老人はヨルダーンスの師であり義父のアダム・ファン・ノールト(ヨルダーンスはアダム・ファン・ノールトの娘と結婚した)の姿とされています。
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ヤン・ブリューゲル(子)「花に囲まれた聖家族」
一番有名なピーテル・ブリューゲルの孫にあたります。父のヤン・ブリューゲルは花のブリューゲルと呼ばれたほどだったので息子も上手です。 -
花に見とれていると中央に描かれた聖家族を見落としそうです。よく見ると幼子の姿をした洗礼者ヨハネの姿もあります。
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ヤコブ・ヨルダーンス「両親と兄弟姉妹のいる自画像」
ブリュッセルの「酔っぱらいの王」の絵にはジョッキを片手にお酒を飲んでいるヤコブ・ヨルダーンスの姿があります。その顔から考えると左側で帽子を被っているのが画家本人だということが分かります。 -
こんな家族の肖像があったら素晴らしいですね。空中には天使が舞い、家族を祝福しています。心に残った作品の1つです。
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ルーベンスの工房で造られた象牙のマーキュリー像です。これも素晴らしかったです。英語読みだとマーキュリーですが、ギリシア神話の神々の伝令使メルクリウス(ヘルメス)は雄弁家、盗賊、商人、職人の庇護者とされます。つば広の丸い旅行帽「ペタソス」を頭に被り、空を飛ぶことができる翼の生えた黄金のサンダル「タラリア」を足に履いた姿で表されていますが、神々の伝令の証である杖「ケーリュケイオン」は持っていません。
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ピーテル・パウル・ルーベンス「羊飼いの礼拝」
ルーベンスの部屋に戻ってきました。アントワープでルーベンスの家にも行っている大好きな画家です。
ルーベンスの家:https://4travel.jp/travelogue/11025220 -
光り輝く幼子イエスの姿に驚く羊飼いたちの表情がリアルです。そしてマリアのちょっと困ったような表情が面白いです。
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ピーテル・パウル・ルーベンス「フランシスコ会の修道士の肖像」
非常に丁寧に描かれた修道士の姿です。意志の強さを感じるとても素晴らしい肖像画です。 -
フランシスコ会はイタリアのアッシジの聖フランチェスコを創設者とする会派です。45年ほど前の映画ですが「ブラザー・サン シスター・ムーン」という聖フランチェスコと聖キアーラの半生を描いた映画があり、アッシジと映画のロケ地になったサン・ジャミニャーノへも行きました。ドノヴァンが歌う主題歌も良かったです。
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ピーテル・パウル・ルーベンス「神格化されるジェームズ1世 」
描き方や構図から天井画の下絵であろうことが分かります。オリジナルはロンドンのウェストミンスターにある「バンケティング・ハウス」で、かつてホワイトホール宮殿の王族たちが宴(バンケット)を催すために建てた別館です。その建物の中の天井画をルーベンスにこの大作を依頼したのがチャールズ1世です。 -
彼はジェームズ1世の息子です。1649年にオリヴァー・クロムウェルを中心とした清教徒革命のため、正にこの「バンケティング・ハウス」の天井画の下を通って広場へ出されたチャールズ1世は公開処刑されてしまいます。あるい意味「怖い絵」ですね。
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ピーテル・パウル・ルーベンス「チャールズ・デ・ロングエヴァルの肖像」
神聖ローマ帝国時代の80年戦争と30年戦争でスペインのために戦った軍司令官です。 -
ピーテル・パウル・ルーベンス「アンドロメダを救出するペルセウス」
ダイナメーションの巨匠レイ・ハリーハウゼンの「タイタンの戦い」がすぐに連想されてしまいます。ゼウスの血を受けて生まれた英雄ペルセウスが、王女アンドロメダを守るため、神々に助けられながら獣人カリボス、蛇女メデューサ、大海獣クラーケンを相手に大冒険を繰り広げる物語です。 -
個人的には同じ題材でもギュスターブ・モローの隠微なアンドロメダの方が好きですが、ルーベンスも素晴らしいです。まさにクラーケンを退治してアンドロメダのところにたどり着いた瞬間を感じます。ペガサスにまとわりつく天使たちが可愛らしいです。
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ピーテル・パウル・ルーベンス「ヘンリー4世の死と皇太子の宣言」
これも下絵でしょうか?この絵については詳しく分かりません。 -
ピーテル・パウル・ルーベンス「ライオン狩り」
ライオンを狩っているのかライオンに襲われているのか? -
ピーテル・パウル・ルーベンス
「ヘラクレスのアーチ」
最上部にオーストリアの国旗がたなびいています。これもどこかのコーニス装飾の下絵だと思います。 -
ピーテル・パウル・ルーベンス
「フェルディナンドのアーチ」 -
ピーテル・パウル・ルーベンス
「アントワープを去るメルクリウス」 -
商人や職人の庇護者であるメルクリウス(マーキュリー)がアントワープを去るということは町が衰退していくという意味でしょうか。ポセイドンのような男も眠りにつき、足枷までされているようです。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「フェルディナンド皇子の帰還の祝福」 -
ピーテル・パウル・ルーベンス
「皇女イザベラの次女の肖像」
ルーベンスの長女のクララ・セレナをモデルにしているようです。というよりはアントワープで観たクララの肖像画に生き写しです。 -
でもクララの肖像と言えばもう少し小さい5歳頃の可愛らしさは「ヨーロッパ絵画史上で最も魅力的な子どもの肖像画」と言われるほどです。そんなクララも12歳で亡くなってしまいます。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「ヤヌスの神殿」 -
ヤヌス神殿は古代ローマのフォルム・ロマヌム(フォロ・ロマーノ)にあった神殿で、出入口と扉を司る神であるヤヌスの像が祀られた建物の両側には扉が設けられていました。この扉は「ヤヌスの扉」と呼ばれており、古代ローマにおいて戦時に開けられ、平時に閉じられていました。その扉があけられた瞬間を描いています。
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ピーテル・パウル・ルーベンス「ローマの慈愛」
この題材は「古代ローマの言い伝えと記録の9つの本」に登場し、女性への道徳的逸話です。 -
投獄されて断食による死刑を宣告された父親シモンに秘密裏におっぱいを飲ませた娘のペロが看守に見つかってしまいます。その父親思いに心打たれた役人により父親は解放されたというエピソードです。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「荷馬車」
森の中で荷が崩れ行き詰まった荷馬車が描かれています。 -
ピーテル・パウル・ルーベンス
「ネセスとデイアネイア」
ヘラクレスが最後の功業である冥界へ訪れた際にメレアグロスの霊が現れ、妹のデイアネイアを妻にするように伝えます。 ヘラクレスは承諾しカリュドンの地に向かいますがオケアロスという河の神がデイアネイアに求婚していた為にヘラクレスはこの神と戦うことになります。 オケアロスは牡牛に変身しましたがヘラクレスに角を折られデイアネイアを連れ逃げ出します。 -
ヘラクレスに追いかけられたオケアロスはデイアネイアを河の渡し神ネセスの背に乗せて逃がします。 ところが、ネセスがデイアネイアを犯そうとしたのでヘラクレスは矢を射てネセスを殺します。 こうしてヘラクレスとデイアネイアは結ばれるのですが、デイアネイアが隠し持っていたネセスの血によりヘラクレスは殺害されてしまいます。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「バッカス」
バッカスはディオニソスの別名ですが、大抵は美しい青年の姿で描かれます。
ルーベンスはお酒を飲まなかった上に嫌っていたのでバッカスをこのような醜悪な姿で描いたそうです。 -
ロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館にあった「パラダの塔の為の6枚の油彩スケッチ」(スペイン王フィリップIV世の狩猟屋敷の為の絵画を描くための王立委員会の1人がルーベンスでした。その中のルーベンスの下絵が6点飾られていました。)にあったバッカスの勝利に似ています。
ボイマンス美術館:https://4travel.jp/travelogue/11025478 -
ピーテル・パウル・ルーベンス
「マルスとヴィーナス」
ギリシア神話のアフロディーテと同一視される愛と美と豊穣の女神ヴィーナスと、主神ユピテルと正妻ユノの子でありギリシア神話におけるアレスと同一視される軍神マルスの蜜月関係が描かれています。 -
ブリュッセルの王立美術館に所蔵されるジャック・ルイ・ダヴィットの「ビーナスに武装を解かれた軍神マルス」と構図が似ています。この題材で有名なのはロンドンのナショナル・ギャラリーのボッティチェルリでしょうね。
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兜を取ったりサンダルを脱がせようとする天使たちが可愛らしいです。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「キリストの復活」
アントワープのノートルダム大聖堂に飾られた三連祭壇画の「キリストの昇架」と「キリストの降架」に続く連作のようで大きさも遜色ありません。「フランダースの犬」の物語のクライマックスでネロとパトラッシュが天国に召される前に観ることが出来た絵です。 -
ピーテル・パウル・ルーベンス
「ヴィーナスとアドニス」
先ほど大イタリア天窓の間で観たジョゼッペ・マズォーラ「アドニスの死」(猪に突き殺される彫刻)の彫刻に関連するギリシャ神話の物語が描かれています。 -
ヴィーナスの乗り物は2頭の白鳥が曳く二輪車です。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「キリストの降架」
こちらの方が更にアントワープの祭壇画に近い印象を受けます。青い服の聖母マリアがキリストを抱きとり、赤い服を着た福音書記者ヨハネの位置から考えるとこちらの方が少し時間が早いように思ええます。右上の豪華な衣装はキリストを埋葬したアリマタヤのヨセフ、聖母の上の青い服は遺体を運んだニコデモです。マグダラのマリアとヨハネの位置が入れ替わっているのが比較できます。
ノートルダム大聖堂 https://4travel.jp/travelogue/11025218 -
この部屋には約40点のルーバンスの作品が陳列されています。とても贅沢な時間を楽しむことが出来ます。
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気のせいか他の部屋に比べてじっくり絵画鑑賞される方が多いように感じました。
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アントニー・ヴァン・ダイク
「レディ・ジェーン・グッドウィンの肖像」
裕福な英国の大地主の妻だった彼女のために夫であるフィリップ・ウォートンはヴァン・ダイクに肖像画を依頼しています。 -
彼女は片手に大きなピンクと白のチューリップを持って描かれています。チューリップは彼女の服装と調和しています。象徴的な意味はありませんがチューリップは当時とても高価だったので、それは彼女の高い社会的地位を表しているのでしょう。
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絵の左下にはフィリップ・ホートン卿による書き込みがあり、36歳の肖像であることが分かります。またドレスなどに当時の風俗が良く分かる作品でもあるそうです。
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アントニー・ヴァン・ダイク
「家族の肖像」
題材の家族は風景画家のヤン・ウェルデンの家族であるといわれています。ヴァン・ダイクによる素晴らしい作品の1つで、妻の膝の上に座った娘の視線といい夫婦間の信頼感をも見て取れます。 -
夫の襟口のレースと妻の細かいレースの袖口やドレスの黄金の刺繍に子供のピンクのサンゴネックレスなどが細かく描かれています。当時の画家はお金持ちだったのでしょうか?
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アントニー・ヴァン・ダイク
「ニコラス・ロコックスの肖像」
ロコックスは17世紀の貴族でアントワープの市長も務めたとても裕福な人でした。アントワープにはロコックスの家という美術館があり、とても素晴らしいコレクションに驚かされました。 -
恥ずかしながら絵を観た時は肖像画とアントワープの美術館の2つがつながりませんでした。
ロコックスの家 https://4travel.jp/travelogue/11025443 -
アントニー・ヴァン・ダイク「自画像」
24歳の自画像で、彼自身がラファエロの「帽子を被った女性の肖像」を模写したのと同じ構図です。斜めを向いて大げさにポーズをとるのはヴェネチア派の影響をうけているようにも見えます。背景の崩れたローマの円柱は時間も栄光も永遠でないことを暗示して、自分の容姿もいずれ朽ちるとの皮肉が込められているそうです。 -
この肖像画を見る限り相当なナルシストだったのではないでしょうか。
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アントニー・ヴァン・ダイク「エジプト逃避途中の休憩」
飛んでいるのはヤマウズラで教会を暗示していて、彼女たちの逃避行の成功には教会の存亡がかかっていることを意味します。またヴァン・ダイクの絵によく描かれるひまわりはチャールズ1世を表し、ヴァンダイクが騎士の身分と特別な待遇を王室によって庇護されていることを暗示しています。 -
身体が長く描かれマニエリスムを感じる姿ですが、とても美しい聖母と幼子イエスの姿です。
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天使が踊っているのは神の加護があることを示しています。
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ヴァン・ダイクは33歳でチャールズ1世の招聘を受けてイギリスへ渡り、多額の年金と豪華な邸宅、騎士の称号を与えられ国王付主席画家となります。国王から40点の作品の依頼と数多くの貴族からの依頼も受けます。ヴァン・ダイクの部屋もルーベンスの部屋に劣らない作品数とグレードを感じます。
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新エルミタージュの大階段への扉の左右にもヴァン・ダイクの作品が一対飾られています。アンソニー・ヴァン・ダイク「王妃ヘンリエッタ・マリアの肖像」と「チャールズ1世の肖像」の夫婦です。
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アンソニー・ヴァン・ダイク「王妃ヘンリエッタ・マリアの肖像」
理想的な王妃として美化されており、宝石をちりばめた豪華なドレスを着て卓上は王妃の宝冠があります。肖像画をた後に王妃に謁見したドイツ貴族が「肖像画と違いすぎてガッカリした」と言った記録があります。フランスのアンリ4世の末の娘でイギリスのチャールズ1世と結婚しますが、カトリック教徒であったためイギリス国教会の儀式でお行われる戴冠式をしなかったので国民には嫌われたそうです。
仲の良い夫婦で4男5女を産みますがピューリタン革命がおこり、チャールズ1世は処刑されてしまい、王妃は子供たちをつれてフランスに戻ることになります。 -
アンソニー・ヴァン・ダイク「チャールズ1世の肖像」
ある意味幸せな頃の肖像画です。この後にチャールズ1世は先ほど見たルーベンスの描いた「バンケティング・ハウス」の天井画の下を通って公開処刑に向かう訳です。 -
アンソニー・ヴァン・ダイク「エリザベスとフィラデルフィア・ホートンの肖像」
フィリップ・ホートン卿と最初の妻エリザベス・ウェンスホードの4歳と5歳の娘です。 -
妹が愛らしく姉に寄り添い姉のまっすぐにこちらを見る威厳のあるポーズと、忠誠を象徴する犬を連れていることで高貴な身分だと思わせます。
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新エルミタージュの大階段で一息入れます。
あまりにいっぺんに情報が頭の中に入るうえに、迷子になって自分がどこに行けば良いのかも分からなくなってきます。 -
エルミタージュの階段の中では一番洗練されたデザインだと思います。左右の回廊には外交が取り入れられ、白い大理石の彫刻が並んでいます。ロシアにいるので「戦艦ポチョムキン」のオデッサの階段のシーンを思い出します。ただ階段の大きさからいうと「アンタッチャブル」で出てくるシカゴのユニオン・ステーションでしょうね。エルミタージュには乳母車は持ち込めないので階段落ちはないですね。
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ロエトロ・テネラーニ「気を失うプシュケ」
プシューケーはギリシア神話に登場する人間の娘の名で、名前の由来は古代ギリシア語で心・魂・蝶を意味するので、この像にも翼があるのでしょうか。 -
エルミタージュには大好きなカノーヴァの彫刻もあるはずですが、今回は彫刻まで回る時間がありません。
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階段を下りたら戻ってこれなくなりそうで怖いです。迷子になっている時間はありません。
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カール・ホフマン「キリスト」
イエスの姿を良き羊飼いとして表しています。「わたしは善い羊飼いである。善い羊飼いは羊のために命を捨てる…。 わたしは善い羊飼いであり、自分の羊を知っている。わたしの羊もまたわたしを知っている。」
ギリシア・ローマの古代から人が仔牛小羊を肩に担ぐならわしがあったそうです。 -
たくさんの彫刻が並ぶ美しい回廊も細かく見ている時間はありません。
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ようやく「ラファエロの回廊」に戻ってこれました。
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エカチェリーナ2世はヴァチカン宮殿の回廊に描かれたラファエロのフレスコ画を気に入り、その複製を注文します。そしてエルミタージュにヴァチカンを模した回廊をわざわざ造り、複製絵画を嵌め込みます。これが「ラファエロの回廊」です。今ではヴァチカンのフレスコ原画は一部失われてしまったので、非常に貴重なものとなっています。
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最後にヴァチカン美術館へ行ったのはシスティーナ礼拝堂の「最後の審判」の修復が終わった数日後でした。1時間ほど並んでラファエロの回廊を走り抜け、1番でシスティーナ礼拝堂に入りました。警備員以外誰もいないシスティーナを15分くらい独り占めできたのは今でも思い出です。
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エルミタージュにはネズミを退治するために70匹ほどの猫を飼っているそうですが、11月になろうとしているこの時期姿を見ることはありませんでした。ラファエロの回廊にはいつも1匹の猫がいます。
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そして1匹の犬も。
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天井の絵をじっくり見て行きます。確かに見事ですがラファエロらしさはあまり感じません。勉強不足でしたが「アテナの学堂」とかそういった作品があるのかと思っていました。
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「天地創造」
この一連の神の姿はミケランジェロの描くシスティーナ礼拝堂を想像させます。 -
「楽園追放」
見た瞬間にフィレンツェのカルミネ聖堂ブランカッチ礼拝堂のマザッチョのフレスコ画を思い出します。ただこちらのイブは開き直った感じがします。剣を持ったケルビムが2人を追い払います。 -
「ロトの妻の塩柱」
旧約聖書でソドムとゴモラの滅亡に関連した話で、ロトとその家族は神によって救われます。逃げる途中は振り返るなと神に言われますが、ロトの妻は振り返ってしまったために塩柱にされたと言われているものです。 -
旧約聖書の物語を知っていると楽しく読み取れます。ノアが箱舟を作っていたり。
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途中で双頭の鷲が描かれていました。1つ1つ天井の4面を眺めていると首が疲れます。
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双頭の鷲が抱えるエカチェリーナ2世のモノグラムです。
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壁の装飾はローマのフレスコのようです。現在ローマで見られるものは千数百年たったものですので傷みもありますが、ここのフレスコは昨日描かれたような新しさです。
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1つ1つ眺めている気得な人はいませんね。
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最後に新約聖書の代表的な4枚で回廊は終わります。
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「イエスの降誕」
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「羊飼いの礼拝」
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「イエスの洗礼」
新約聖書の福音書にあらわれるイエスの生涯のエピソードのひとつで、ヨルダン川において洗礼者ヨハネから洗礼を受けた場面です。 -
「最後の晩餐」
これでラファエロの回廊を観ることが出来て満足です。 -
ピエトロ・ジェノヴェーゼ「牧神パーンの胸像と花」
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騎馬像のある部屋に迷い込みました。この部屋は社会科見学の学生でにぎわっていました。
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アドリアーン・ファン・ユトレヒト「ブドウのある静物画」
アドリアーン・ファン・ユトレヒトは、その名前とは違いアントワープ出身です。静物画を得意とした画家で、狩りの獲物や豊富な野菜や果物を描いています。また、ヴァニタスや魚屋、食料貯蔵室、鶏や七面鳥等のいる農家の庭の光景も描きました。他の画家との共同制作もしており、ダフィット・テニールス やヤコブ・ヨルダーンスといった画家たちの作品に静物を描き込んでいます。 -
プラド美術館のデヴィッド・テルーニスの「レオポルド・ヴィルヘルムのギャラリー」みたいな部屋だなと思ったら本人の絵がありました。
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不思議な白鳥のオブジェもありましたが詳しくは分かりません。昔スイスのルツェルンの湖で白鳥に餌をあげていたら水から上がってきました。その身長の高さにちょっとビビッてから白鳥は嫌いです。
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ダフィット・テニールス (子)「アントワープのクロスボウのギルドの肖像」
農民の野外での祭りや祝賀の様子や酒屋や台所の風景など大衆的な題材で知られていますが、他にも宗教画や寓意画、風刺画や肖像画など多くの作品を残しています。 -
これはアントワープの広場にある黄金の騎馬像を冠したギルドのメンバーを描いたものです。1人いくらづつ支払ったのでしょうか。みんな同じ大きさなので同じ料金でしょうね。アントワープの市役所の前の広場から続くギルドの建物は現在も変わっていないように思えます。
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ヤン・ステーン「医者の到着」
ヤン・ステーンはライデンに生まれ、家族は醸造と2世代にわたって宿屋を経営していました。同年代に生きたレンブラントと同じくステーンもラテン・スクールに通っていました。 -
恋の病に悩む若い女性のところに、医者が訪れて脈を取っています。ヤン・ステーンは、絵の中に物語を作るのが上手い画家で、楽しい気持ちにさせてくれます。同じ題材の絵画がデン・ハーグのマウリッツハイス美術館にもありました。
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恋の病に効く薬はありません。
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ヤン・ステーン「アハシュエロス王の前のエステル」
ある日エステルの父モルデカイが大臣ハマンへの敬礼を拒否する事件が起こり、怒ったハマンはモルデカイのみならずユダヤ人全ての殺害を決めます。その日はクジによってユダヤ暦のアダル月13日と決められます。 -
父モルデカイに助けを求められた妃のエステルは、すべてのユダヤ人のため決死の覚悟をし、王に自分がユダヤ人であることを明かしてハマンの姦計を知らせます。王はこれを受けてハマンを処刑しモルデカイは高官に引き上げられます。ハマンは自分で用意した処刑具で自分が処刑されることになります。
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ガブリエル・メツー「放蕩息子」
放蕩息子のたとえ話は新約聖書ルカの福音書に記され、レンブラントの「放蕩息子の帰還」にも描かれています。 -
ただ、この絵はまだ遊び呆けている男の姿で、酔っぱらっている間に女にお金の入った巾着袋を盗まれています。
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エマニュエル・ウィッテ「デルフトの新教会の沈黙王ウィリアム1世の墓」
ジェラール・ブラームフックヘースなどが同じ題材の絵を描いていて、デン・ハーグのマウリッツハイスにも展示してありました。 -
題材のウィレム1世はオランダの建国の父とも呼べる人でオラニエ公とも呼ばれます。八十年戦争勃発時の中心人物で、オランダ独立国家の事実上の初代君主です。「沈黙公」として知られていますが、これは反乱直前の時期の旗幟を鮮明にしない態度を揶揄したもので、実際には誰にでも愛想がよく非常におしゃべりだったそうです。オランダのナショナルカラーのオレンジはオラニエ家(オランジュ家)が由来です。現在もオランダ王家の墓所で地下墓地の模型まで置かれてありました。
デルフト新教会 https://4travel.jp/travelogue/11025495 -
エマニュエル・ウィッテ「デルフトの新教会のピーテル・へイン提督の墓」
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現在もほとんど同じ姿で残されているのが驚きです。オランダの歴史を学ぼうと思ったらデルフトの新教会とプリンセスホフ博物館は必須の場所だと思います。
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この辺りの絵画を見て周る時間はありません。
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ギリシャの彫刻の部屋にあったイルカに乗った天使。時間があればハルピュイアとかちょっと毛色の変わった彫刻が無いか探すのですが…。
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1時間30分の自由時間と言っても最後の15分くらいは集合場所までの帰り道を探すのに費やされます。1階へ降りる階段が見つかりません。
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大好きなローマの彫刻も観ることが出来ず。
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エジプトのミイラが並ぶ部屋を抜けた先に見覚えのある通路が見えました。
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何とか時間前に到着して他の方に迷惑をかけないで済みました。見学の途中でガイドブックを売っていたのですが、その時は後で買えばよいと思っていたのに買えずじまい。何とか絵葉書を10枚くらい買って表に出ます。
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妻はほとんどの時間を1階のカフェで過ごしていたようです。2人で来ていたら別行動なんてあまり考えられないのですが、ツアーだと他の方と話も弾むのでしょうからね。
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この後は印象派の絵画の並ぶ新館へ移動です。参加したツアーでは3時間の本館の見学の後は1時間の自由行動か新館をガイドさんと一緒に回るか選択できましたが、最終日に自由行動がもらえるようになったので印象派の絵画見学にしました。自由行動された方はお2人だけでした。
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また近い将来に再訪することを誓います。
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新館は旧参謀本部の半円形の巨大な建物の一部があてがわれています。この辺りに日中来ることはもうないので写真を撮っておきます。
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旧海軍省の尖塔の先端は十字架では無くて帆船の形になっていました。
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後ろ髪を引かれる気分でエルミタージュ美術館の本館を後にします。
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ドイツ絵画の部屋に行けなかったのでルーカス・クラーナハの絵は見られず、カラヴァッジオは貸し出し中…。並んでいる作品の20%くらいは観ることが出来たのだろうかという印象が残りました。気を取り直して新館の見学に移ります。
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サンクトペテルブルク
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初冬のロシア旅(12)サンクトペテルブルグ 美術館の絵画を観る前にエルミタージュ宮殿の豪華さと歴史の深さに驚...
2017/10/31~
サンクトペテルブルク
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初冬のロシア旅(13)サンクトペテルブルグ エルミタージュ美術館をガイドさんと共に駆け抜けるように見学する。
2017/10/31~
サンクトペテルブルク
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初冬のロシア旅(14)サンクトペテルブルグ 妻と生き別れ、残りの自由時間をエルミタージュ美術館の中を一人彷徨...
2017/10/31~
サンクトペテルブルク
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初冬のロシア旅(15)サンクトペテルブルグ エルミタージュ新館でシチューキンとモロゾフコレクションの近代絵画...
2017/10/31~
サンクトペテルブルク
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初冬のロシア旅(16)サンクトペテルブルグ エルミタージュ美術館新館でアンリ・マティスとリディア・デレクター...
2017/10/31~
サンクトペテルブルク
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初冬のロシア旅(17)サンクトペテルブルグ・シーケンス 妻と2人でライトアップした街巡りとネフスキー通りのシ...
2017/10/31~
サンクトペテルブルク
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初冬のロシア旅(18)ツァールスコエ・セローのエカテリーナ宮殿の豪華さに驚き、「おろしや国酔夢譚」の大黒屋 ...
2017/10/31~
サンクトペテルブルク
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初冬のロシア旅(19)ペテルゴフの夏の離宮でピョートル大帝の宮殿見学し、次回は噴水の美しい季節に再訪すること...
2017/11/01~
サンクトペテルブルク
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初冬のロシア旅(20)サンクトペテルブルグ・シーケンス 妻と2人でネフスキー通り散策とネヴァ川のナイトクルー...
2017/11/01~
サンクトペテルブルク
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初冬のロシア旅(21)サンクトペテルブルグ ネフスキー大通りでカザン大聖堂に参拝し、最後のショッピングの後は...
2017/11/02~
サンクトペテルブルク
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サンクトペテルブルグで立ち寄れなかった国立ロシア美術館の至宝を観に東京富士美術館を訪ねる。
2018/11/21~
高尾・八王子
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旅行記グループ 2017 モスクワと黄金の輪とサンクトペテルブルグの旅
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