2017/10/26 - 2017/10/26
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kojikojiさん
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10月の下旬からロシアへ行こうと思い立ったのは7月だったと思います。以前より漠然と行ってみたい国ではあったし、モスクワの空港には何十回と乗り換えに使い、十回ほどは空港に隣接するノボテルに宿泊もしていました。当然最初は個人旅行を考えたのですが、休みの日程が変わることが見込まれたので阪急交通社の「感動のロシア8日間」に参加することにしました。これならば予約の変更やキャンセルがメール1本で済みます。結果ツアーは大変充実して楽しく、更に夜は妻と二人で外出も出来たので更に充実し過ぎて体はボロボロでした。予約を済ませてからロシアについていろいろ勉強していきましたが、並行して子供の頃からの記憶も思い出してみました。50年近く前に両親に連れられ弟と一緒に行った神谷町の「ヴォルガ」がロシアとのファースト・コンタクトでした。その時味わった不思議な味は味蕾の奥に残っている気がします。黒パンの酸味やボルシュ(ボルシチ)の酸味、ピロシキの脂っこさと中に入ったお肉の香辛料の匂い…。その後は中学時代に読み漁ったロシア近代文学の作品。妻と旅した旧満州の旅の終わりで哈爾濱(ハルピン)で感じたロシアの雰囲気。ロシア料理も久し振りにいただきました。今年の3月に観たムハ(ミュシャ)のスラブ叙事詩の「ロシアの農奴制廃止」のインパクトもありました。妻の大好きな雑貨もロシアにはたくさんあるので、いろいろ本を買い集めて毎晩のように勉強もしました。その結果旅行前にマトリョーシカや木彫りの人形も買い求めてしまいました。モスクワの地下鉄などについてもいろいろ調べたのも、実際に旅してみてとても役に立って助かったので良かったです。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 4.5
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 社員・団体旅行
- 一人あたり費用
- 15万円 - 20万円
- 交通手段
- 鉄道 観光バス 船 タクシー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- アエロフロート・ロシア航空
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
- 利用旅行会社
- 阪急交通社
-
ロシアという国を知ったのは50年近く前に両親に連れられて何度か行った神谷町の「ヴォルガ」というレストランです。なぜ小さな子供を二人も連れてここまで行ったのかは分かりません。
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扉から中に入ると地下への階段があり、踊り場には甲冑が置かれていたと記憶しています。こんな薄暗い店を小学生低学年の子供が楽しい訳ではありません。でもその時に食べた黒パンの酸味やボルシュの味、ピロシキの油の香りと中に入った香辛料の強い肉の味は今でも体の中に残っています。また中学生になるころロシア近代文学に傾倒した時期があり、ドストエフスキーの「罪と罰」、イプセンの「人形の家」など片っ端に読んだ記憶があります。
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そして今年の3月に新国立美術館で観たムハ(ミュシャ)のスラブ・エピック(スラブ叙事詩)を観たこともロシア旅行を考えたきっかけでした。数年前にプラハとウイーンとブダペストを3週間かけて周った際にモラフスキー・クロムロフに置かれていたスラブ叙事詩を観に行こうと思ったのですが、ちょうどプラハへ展示が移される端境期で観ることが出来ませんでした。
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ムハはパトロンだったアメリカ人実業家のチャールズ・R・クレインの依頼によってこの題材を選んだそうです。1913年に実際にロシアを訪ね写真も数多く撮っています。
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1861年2月にロシア皇帝アレクサンドル2世による農奴解放令が発令された所の瞬間を描いています。
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霧に煙る聖ワシリイ大聖堂(ポクロフスキー聖堂)と農民と巡礼者で埋め尽くされた赤の広場。一番右にはロブノエ・メストと呼ばれる皇帝が布令を読み上げた円形の石段と支配階級の人々の姿も見えます。
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市内には行ったことはありませんが、モスクワのシェレメチェヴォ空港には数十回トランジットで立ち寄ったことがあります。また十回ほどは空港近くのノボテルホテルに泊まったこともありました。空港で何度もマトリョーシカを見てはいましたが、欲しいと思ったことはありませんでした。
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今回の旅を決めた後にいろいろ調べるうちにその素晴らしさに魅了されていきました。中国の哈爾濱を旅していて感じたロシアとだんだん妻がマトリョーシカに似てきたのも理由の一つかもしれません。
哈爾濱旅行 https://4travel.jp/travelogue/10506168 -
そしてエルミタージュ美術館の洋書。これはロンドンの本屋から送ってもらいました。事前に主だった絵画の勉強をしておきます。
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美術館の歴史については岩波書店の本で勉強しておきます。
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マトリョーシカの本で知った椎名町のマリンカというロシア雑貨のお店にも行ってみました。こちらのオーナーの女性は昔モスクワのシェレメチャヴォ空港にあった「ふじ」という日本レストランの立ち上げに関わっていた方で、その店についての話で盛り上がりました。
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都内にロシア雑貨店は数店あるようですが、ここは個人で経営されているようで好感が持てました。またお話を伺ううちにツアーでロシアに行っても作家さんの造ったクオリティの高い、日本人の好みに合うマトリョーシカには出合えないだろうということでした。
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本で見るよりも実際に自分の目で見たほうが絶対に良くて、ペインティングの技術の差は一目瞭然です。
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これは銀座の店でも思いましたので、気に入ったものを日本でいくつか買っておくことにしました。
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マトリョーシカというと顔に目が行ってしまいますが、胴体に描かれているロシアの民話なども見所です。
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こちらはバレリーナ。
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アルハンゲリスク地方のイースターエッグも素朴で可愛らしいです。
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こちらはマトリョーシカでは無くて起き上がりこぼし。
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ツアーで上手くマトリョーシカと出会えなかったことを考えてマトリョーシカを1個購入しました。
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こんな住宅街にある小さなお店です。
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後日阿佐ヶ谷の「パルク」に行ってみました。
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こちらも小さなお店ですが、マトリョーシカというより食品も含めたロシア雑貨のお店といった印象です。ガラスケースの中にすごく高価なマトリョーシカも並んでいました。
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ここではこれといった気に入ったマトリョーシカには出合えませんでした。
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更に後日銀座6丁目のGINZA6の裏にある「木の香」にも足を延ばしました。
ここはロシアだけではなく東欧からドイツの民芸品まで幅広く扱っています。ここで素晴らしい木彫に出合ってしまい一目惚れ。 -
ということで旅行前に我が家にはマトリョーシカと木彫りの人形が並ぶことになりました。先に買っておいたのは正解で、旅先で焦って買う必要がありませんでした。
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こちらは銀座の木の香で買った木彫りの人形です。作家さんを調べてもらいましたが、後日お店から分からないという回答をいただきました。似たような木彫りの人形はサンクト・ペテルブルグのお店数件で見掛けましたが顔も絵付けもいまいちなのに日本で買った値段より高かったのが不思議です。
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こちらは目白のマリンカで購入したナジェジダ・イワンツォワさんの作品です。工芸大学を卒業後おもちゃ工場でマトリョーシカの製作に関わり、セルギエフパサードの市役所に作品が飾られているそうです。
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そして「おろしや国酔夢譚」という映画も忘れずに観ておきます。元々は井上靖の長編小説で、大黒屋光太夫(緒形拳)をはじめとする、漂流した神昌丸の乗組員17人(西田敏行や川谷拓三や沖田浩之)の運命を、日露の漂流史を背景に描かれています。
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冬の宮殿エルミタージュから夏の宮殿に移るエカテリーナ。
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夏の宮殿であるプーシキンのエカテリーナ宮殿。この門の前で10時の開門を待つ間、映画の場面を思い出して感無量でした。
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我々観光客もここから中に入ります。
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中央階段を上がると西側に眠れる天使が置かれてあります。
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この階段も実際に登れるとは思いませんでした。
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1991年の緒形拳さん。エカテリーナ2世似合う前の大黒屋光太夫の緊張感が伝わります。
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絵画の間をキリル・ラックスマンと一緒に進みます。見学ルートは逆になります。
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大広間(パリショーイ・ザール)でエカテリーナ2世と謁見します。
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謁見の場面。
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エカテリーナに義太夫を披露しますが途中で制止されます。
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「コーダユ(光太夫)、また日本のことを聞かせよ」と言い退出するエカテリーナに、光太夫は我を忘れて叫びます。「日本に帰らしてくださりませ!」そして9年9カ月の旅の末に帰国することが出来ますが、17人の漂流民は最後には2人になってしまいます。庄蔵( 西田敏行)など数人はロシアに残って日本語教師になります。
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最近の映画だと「バイオハザードV:リトリビューション」ですね。ミラ・ジョヴォヴィッチのモスクワ・シーケンス。
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今回の旅行ではモスクワの地下鉄駅を巡るのも目的でしたから。
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赤の広場を怪物に追いかけられます。赤の広場の夜の情景はほぼ完璧で行ってみたらひらり手もライトアップしたグム百貨店もそのままでした。
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これは赤の広場から少し離れたアルバースカヤの地下鉄駅。
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長いエスカレーターの上を下っていきます。モスクワの地下鉄の映画と言えばロシアが国を挙げて25年ぶりに製作するパニック大作「メトロ42」(アントン・メゲルディチェフ監督、女優のスべトラーナ・コドチェンコワ)も面白かったです。
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そして何といってもアンドレイ・タルコフスキーという映画監督の事は忘れられません。今回の旅行直前に「アンドレイ・リュブロフ」を観直しておきます。
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今回旅する「黄金の環」のウラジミールやスーズダリは映画の場面でもあります。
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湿地や沼の風景、クレムリン(城塞)と修道院、映画の中の雨などの白黒映像は、当日の雨と冬景色と重なって感慨深く旅することが出来ました。
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ウラジミールのウスペンスキー大聖堂の近くにはアンドレイ・リュブロフの銅像が置かれてありました。
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タルコフスキーは若い頃から俳句や日本映画に深い関心を抱き、特に黒澤明と溝口健二に傾倒していたそうです。黒澤が「デルス・ウザーラ」の撮影でソヴィエトに来た際にタルコフスキーは敬意をもって歓待し、その後長く親交を結んだそうです。
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また、新しい映画を作る前には必ず「七人の侍」と「雨月物語」を観る事にしていたという言葉も残しているように、この映画を観ているとなるほどと思わせる雰囲気は感じます。
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エンディングはアンドレイ・リュブロフの描いたイコンがカラーで流れます。
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旅を終えて帰国してみると事前に調べていったことはとても重要だったと思えました。モスクワの現地ガイドさんもサンクトの現地ガイドさんもロシアの歴史から文学、あらゆる説明をしてくれるので最低限知識が無いとつまらないように思えました。
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