
2022/03/27 - 2022/03/27
89位(同エリア2595件中)
+mo2さん
この旅行記スケジュールを元に
3月最後の日曜日、日中、急遽時間が空いたので、都内の展覧会へ行ってきました。新宿のSOMPO美術館で前日より開幕した「シダネルとマルタン展 ─最後の印象派、二大巨匠─」、国立新美術館で開催中の「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」。気に入った展覧会は何回も見たいので、「シダネルとマルタン展」は山梨県立美術館に巡回時とで2回目、「メトロポリタン美術館展」は国立新美術館で3回目です(笑)
国立新美術館では、もう1つ、日本初となるダミアン・ハーストの大規模個展の「桜」が開催されていました。この日は、都内のあちこちで桜が満開でしたが、館内と館外の両方でお花見を楽しみました。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 新幹線 JRローカル
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まずは、前日(3月26日)開幕した、シダネルとマルタン展を見るために、新宿のSOMPO美術館へ、開館記念展以来の1年半振りに訪れました。
本展は、19世紀末から20世紀初頭のフランスで活躍した画家、アンリ・ル・シダネル(1862-1939)とアンリ・マルタン(1860-1943)に焦点をあてた、国内初の展覧会です。印象派を継承しながら、新印象主義、象徴主義など同時代の表現技法を吸収して独自の画風を確立した二人は、幻想的な主題、牧歌的な風景、身近な人々やその生活の情景を、親密な情感を込めて描きました。「最後の印象派」と言われる世代の中心的存在であった二人は、1900年に新協会(ソシエテ・ヌーヴェル)を設立、円熟期には共にフランス学士院会員に選出されるなど、当時のパリ画壇の中核にいました。SOMPO美術館 美術館・博物館
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二人は深い友情で結ばれ同じ芸術観を共有しながらも、それぞれの活動拠点に由来して、異なる光の表現を追求します。シダネルは北フランスに特有の霞がかった柔らかな光を、マルタンは南仏の眩い光を描き出しました。本展では、世紀末からモダニスムへ至るベル・エポック期に、独自の絵画世界を展開した二人の道のりを、約70点の油彩・素描・版画を通して辿ります。なお、本展は2019年9月から10月にひろしま美術館で、昨年11月から今年1月にかけては山梨県立美術館で開催されており、今年の1月2日に山梨県立美術館で見ています。
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アンリ・ル・シダネル 「エタプル、砂地の上」 1888年
若きシダネルはパリの国立美術学校(エコール・デ・ボザール)に入学しますが、やがて北フランスの寂れた港町エタプルへ滞在するようになり、この地で「光の表現」を学びます。これは、当時すでに影響を受けていた印象派の明るく輝く光ではなく、北部特有の微妙に変化する淡い光でした。こうした表現を用いながら、シダネルはジャン=フランソワ・ミレーらレアリスムの画家からも影響を受け、感傷的な田舎の情景などを描きます。エタプルでの経験によって自身の表現を確立したシダネルは、1891年のサロン出品で評価され、そこでマルタンとも出会います。
※山梨県立美術館「シダネルとマルタン展」での撮影 -
アンリ・マルタン 「野原を行く少女」 1889年
19世紀末、ヨーロッパ全土で「象徴主義」が流行しました。これは世紀末の不安やメランコリーといった観念を芸術で表現しようとした傾向で、シダネルとマルタンも敏感に反応しました。1890年代、シダネルは穏やかな光に満ちた静謐な雰囲気の漂う作品群を描いています。一方、より早くこの傾向への関心を示したマルタンは、象徴性が強い華美な世界を描きましたが、1900年以降は象徴性が薄れていきます。
※山梨県立美術館「シダネルとマルタン展」での撮影 -
アンリ・ル・シダネル「ビュイクール、月明かりのなかの教会」1904年
印象派など19世紀以降の風景画家たちは、各地を旅してその風景を描きました。彼らの末裔であるシダネルたちも、各地で数々の情景を習作として描いた後、制作拠点に戻って大画面の完成作に仕上げています。シダネルは、北部の町や海岸、妹のいたモントルイユ=ベレー、ブルターニュ地方、南仏などフランス各地をめぐり、さらにイギリス、ベルギー、イタリアへも足を延ばしました。
※山梨県立美術館「シダネルとマルタン展」での撮影 -
今回のSOMPO美術館の展覧会では、この写真の2点とシダネルの「ジェルブロワ、テラスの食卓」、SOMPO美術館所有のゴッホのひまわりの計4点が、写真撮影OKでした。
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アンリ・マルタン 「二番草」 1910年
マルタンも、象徴主義寄りの印象派の画家です。
シダネルとの大きな違いは、彼は大画面の装飾画が得意で、多くの公共建築の壁画を手がけていることです。 -
アンリ・マルタン 「二番草」(部分拡大)
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アンリ・マルタン 「ガブリエルと無花果の木〔エルベクール医師邸の食堂の装飾画のための習作〕」 1911年
群像表現を特徴とするマルタンの装飾壁画は、人物の姿勢や配置などスケッチや習作を繰り返し、時間をかけて構想が練られ、大画面に仕上げられました。習作では、小刻に震えているかのような変化に富んだタッチによって一瞬の光景が捉えられています。 -
「ガブリエルと無花果の木〔エルベクール医師邸の食堂の装飾画のための習作〕」 (部分拡大)
こちらは、山梨県立美術館でも写真撮影OKでした。 -
アンリ・ル・シダネル「ジェルブロワ、テラスの食卓」1930年
1904年、シダネルはフランス北部の小村ジェルブロワに制作の拠点を構え、季節の良い時期に滞在し、バラの咲き誇る自宅の庭や、穏やかな村の景色を描きました。この頃から、食卓や窓辺のシリーズに見られるように、画中から徐々に人の姿が消え、卓上の食器や窓の灯りによって人の存在を暗示するシダネルの真骨頂とも言える作風が確立します。 -
「ジェルブロワ、テラスの食卓」(部分拡大)
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アンリ・マルタン 「マルケロス テラス」 1910-20年
1900年、マルタンはフランス南部の小村ラバスティド・デュ・ヴェールに別荘マルケロルを購入し、この地の橋や丘、彼自身が造った庭、テラスなどを描きました。この時期より、マルタンの絵からは象徴性が影を潜め、身近な情景が描かれるようになりました。
※山梨県立美術館「シダネルとマルタン展」での撮影 -
アンリ・ル・シダネル 「ヴェルサイユ、月夜」1929年
1909年から晩年にかけて、シダネルはヴェルサイユにも居を構え、ジェルブロワとの二拠点生活を行いました。ヴェルサイユ宮殿はシダネルにとって格好の題材となり、穏やかな眼差しで、壮麗な宮殿の敷地を素朴で親しみのある情景として描きました。シダネルにとって、ヴェルサイユはジェルブロワに次ぐ着想源となり、120点ほどの油彩画を制作しました。
※山梨県立美術館「シダネルとマルタン展」での撮影 -
今回の展覧会では、SOMPO美術館が誇るコレクション、ゴッホの「ひまわり」が写真撮影Okでした。「ひまわり」は87年、安田火災海上保険(現損保ジャパン日本興亜)が、約53億円(当時の為替換算)で落札しました。当時、一枚の絵の取引としては最高額でした。
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ゴッホが描いたひまわりの絵は全部で7作品ありますが、その中の1つが、SOMPO美術館収蔵の作品です。
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国立新美術館に移動。3回目の「メトロポリタン美術館展」。2週間おきに来ている気がする・・・(笑)
国立新美術館 美術館・博物館
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西洋絵画の500年に偽りなしの展示作品。すべてが見どころの展覧会です。
それほど混んでおらず、じっくり堪能しました。ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ グルメ・レストラン
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国立新美術館では、もう1つ、日本初となるダミアン・ハーストの大規模個展が開催されていました。
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儚い桜(Fragility Blossom)2018年
イギリスを代表する現代作家であるダミアン・ハーストは、30年以上にわたるキャリアの中で、絵画、彫刻、インスタレーションと様々な手法を用い、芸術、宗教、科学、そして生や死といったテーマを深く考察してきました。最新作である〈桜〉のシリーズでは、19世紀のポスト印象派や20世紀のアクション・ペインティングといった西洋絵画史の成果を独自に解釈し、色彩豊かでダイナミックな風景画を完成させました。それはまた、1980 年代後半以降、継続的に抽象絵画を制作してきた作家にとっては、色彩や絵画空間に対する探究の大きな成果でもあります。大きいものでは縦5 メートル、横7メートルを超える画面に描かれた風景は、儚くも鮮やかに咲き誇る桜並木の下に身を置いた時のように、私たちを幻想的な世界に誘います。~展覧会HPより~ -
山桜(Mountain Blossom)2018年
昨年、パリのカルティエ現代美術財団のゼネラルディレクターであるエルベ・シャンデスの招きに応え、ハースト自身が「桜」シリーズから選んだ29点の作品が同財団で初めて公開。今回の東京展では、パリの展覧会をベースにしながら、国立新美術館の空間にあわせてハーストが選んだ24点の作品が展示されています。 -
山桜(Mountain Blossom)
二連画の作品の部分拡大 -
素晴らしい世界の桜(Wonderful World Blossom)2018年
会場は3つの展示室に分けられています。天井高が5メートルにおよぶ国立新美術館の展示室に並ぶのは、すべて縦2.7メートル以上の大作。作品はどれもその大きさに圧倒されます。 -
生命の桜(Sakura Life Blossom)2019年
カメラやスマホを手に、皆、思い思いにお花見です。 -
生命の桜(Sakura Life Blossom)部分拡大
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桜というモチーフについて、ハーストは以下のように説明しています。「〈桜〉のシリーズは、美と生と死についての作品なんだ。それらは極端で、どこか野暮ったい。愛で歪められたジャクソン・ポロックみたいにね。〈桜〉は装飾的だが、自然からアイデアを得ている。欲望、周囲の事柄をどのように扱い、何に変化させるのかについて、さらに狂気的で視覚的な美の儚さについても表現している。〈桜〉は快晴の空を背にして満開に咲き誇る一本の木だ」~展覧会HPより~
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神の桜(God's Blossom)2018年
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神の桜(God's Blossom)部分拡大
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母の桜(Mother's Blossom)2018年
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幻想的な桜(Fantasia Blossom)2018年
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詩人の桜(Poet's Blossom)2018年
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帝国の桜(Imperial Blossom)2018年
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早咲きの桜(Early Blossom)2018年
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朝の桜(Morning Blossom)2018年
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愛の桜(Love's Blossom)2018年
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知恵の桜(Wisdom's Blossom)2018年
どの作品も桜が描かれているものの、木の部位、花びらの色使い、背景となる水色の濃淡など、よく見ると少しずつ異なることがわかります。 -
(左)叫んでいる新しい桜(Screaming New Blossom)2018年
(右)花見桜(Hanami Blossom)2018年 -
叫んでいる新しい桜(Screaming New Blossom)2018年
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この桜より大きな桜はない(Greater Love Has No-One Than This Blossom)2019年
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(左)大切な時間の桜(Precious Moments Blossom)2018年
(右)漢字桜(Kanji Blossom)2018年 -
神聖な日の桜(Spiritual Day Blossom)2018年
本物の木のように大きな作品を眺めていると、本当にお花見をしているかのような気分になれた展覧会でした。 -
国立新美術館の外へ出ると満開の桜・・・
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桜と国立新美術館
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東京ミッドタウン方面へ歩いていきます。
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満開の桜が美しい!!
東京ミッドタウン ショッピングモール
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館内と館外の両方でお花見を楽しめた一日でした。
ラ・コリナ グルメ・レストラン
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