さいたまさんのクチコミ(100ページ)全2,813件

新富町の新富座跡の近くに、新富稲荷神社があります。
新富座のあった周辺には、歌舞伎関係の人々が多く住み、新富稲荷神社は、新富町の鎮守の役割を担っていたとのことです。
新富稲荷神社の入口には、坂東三津五郎が奉納したと記された手水鉢や額が掲げられています。
新富座の座元の長男が、坂東家の養子に入り、７代目坂東三津五郎となったため、新富稲荷神社に、いろいろ奉納したようです。
新富稲荷神社は、こじんまりした神社ですが、朱色が鮮やかに目立つ神社です。
新富町と歌舞伎との繋がりや新富稲荷神社の歴史を紐解くと、神社の持つ役割が浮かび上がってきます。
江戸時代以降の住民の暮らしの中での神社の重要性を理解した新富町探訪でした。

築地橋は、平成通りが、以前の築地川であった首都高速道路を渡る際の橋です。
築地川は、江戸時代から、入船橋、築地橋や三吉橋の下を流れ、南西に向かっていました。
東京オリンピックの際、築地川は、埋め立てられ、首都高速道路となりました。
現在も、築地橋の下は、築地川ではなく、首都高速道路が走っています。
築地橋の下には、地下鉄の有楽町線が通じていて、築地橋の直下に新富町駅があります。
築地川の東南、入船橋の先は、同じように埋め立てられていて、築地川公園となっています。
江戸時代の築地の川や運河は、ほとんど埋め立てられていて、昔の面影は残っていません。
一部の地名や橋の跡が残っているだけです。
築地橋をはじめとして、江戸時代の築地の歴史に触れるには、残された資料を見るほかはありません。
残念でたまりません。

救世軍渡来を記念する碑が、築地橋の北側交差点の傍に置かれています。
救世軍とは、イギリスで創設されたイギリスのプロテスタント教派で、日本にも明治２８年、派遣されて来ました。
救世軍渡来記念碑は、日本に渡来したライト大佐が、この地に本営を置いたことを記念するため、１００周年の１９９５年に設置されたものです。
救世軍の渡来以来、日本でも、救世軍の軍服を着た信者が、寄付を募っている光景を見ることができます。
新富町の築地橋近くの平成通りを訪れ、救世軍渡来記念の碑を見つけたことは、歴史の面白さと新天地開拓の気概を持って日本を訪れた救世軍の気持ちを推し量る良い機会でした。

かつては東洋一と目された新富座の跡の標識が、京橋税務署の横に立てられています。
新富座は、銀座木挽町にあった森田屋が移転の後、新富町に進出しました。
当時の名優を集め積極的な興業を進めるとともに、東洋一の言われた劇場施設を活用し、隆盛を極めました。
新富座は、明治２２年、歌舞伎座が開場し、関東大震災により新富座が焼失するまでは、芝居興業の中心でした。
今回、栄枯盛衰、化転のうちに変遷する歌舞伎の歴史に触れることができました。
新富座を訪れることにより、歌舞伎興行の変転を、現場の写真等で見ることができ、本当にためになりました。また、行きたいと思う場所の一つです。

築地の中央市場の正門の東側の壁に、浴恩園跡の標識が付けられています。
浴恩園跡は、寛永の改革の中心人物の松平定信が、将軍から築地に広大な土地を拝受し、その地に、日本庭園を造築した跡地です。
華麗な日本庭園の浴恩園は、明治維新後に海軍の用地となり、海軍兵学校、海軍大学校、海軍省、海軍経理学校等が、順次、利用しました。
関東大震災後、中央市場が移転し、現在は、築地中央市場となっています。
中央市場の豊洲転出後は、どうなるのでしょうか。
華麗な日本庭園であった浴恩園の跡の標識も、どうなるのでしょうか。
華麗な庭園であった浴恩園の劇的な変転の連続に触れるとき、現実の厳しさをひしひしと感じる中央市場巡りでした。

千代橋(せんだいはし)は、銀座７・８丁目から築地中央市場に至る間、高速道路に架けられた橋です。
新橋演舞場から近く、都営の築地市場駅のすぐ傍で、便利な場所にあります。
江戸時代は、築地川が流れていた場所でしたが、東京オリンピックの際、築地川が埋め立てられ、その跡に首都高速道路が建設されました。
千代橋は、采女橋と新尾張橋の間の首都高速道路を越えるように架けられている橋です。
併設された公園の名称は、前に架かっていた築地川の名前を冠して、築地川千代橋公園となっています。
新尾張橋とともに千代橋の歴史に触れると、築地に中央市場が移転してきた経緯がわかり、その影響が各方面にわたっていたことが、理解できました。
今回の千代橋訪問が、築地川の変遷と橋について知る機会となり、有意義でした。

楓川弾正橋公園は、東京オリンピックの際、弾正橋の両側に造られた公園です。
弾正橋が架けられていた楓川は、東京オリンピックを前にして、首都高速道路の建設のため埋め立てられました。
平成６年、弾正橋の両側に、弾正橋と一体化した形で整備されたのが、現在の楓川弾正橋公園です。
同じ首都高速道路に架かっている橋で、公園を併設して場合は、楓川を冠している橋の公園と築地川を冠している橋の公園がありますが、三吉橋を堺にして変わっています。
楓川を冠している橋のうち、最西端は、連絡運河上の楓川新富橋公園です。
楓川弾正橋公園は、もともと楓川の上の橋だったので、そのまま楓川を冠して楓川弾正橋公園となっています。
楓川弾正橋公園のたもとには、三つ橋の由来を伝える石碑が置かれています。
今回、楓川弾正橋公園の長い歴史と名前のつけられた経緯について知ることができ、新たなる驚きと感動を得ることができました。
充実した楓川弾正橋公園訪問でした。

三ツ橋とは、弾正橋、白魚橋及び真福寺橋の三つの橋を言います。三ツ橋跡の標識があります。
江戸時代に、楓川、京橋川そして三十三間堀が合流していた付近に、楓川に弾正橋、京橋川に白魚橋及び三十間堀に真福寺橋の各橋が架かっていて、総称して三ツ橋と言われていました。
現在は、楓川の弾正橋のみが残っています。
白魚橋及び真福寺橋は、残っておらず、三ツ橋の標識が残されているだけです。
三ツ橋の標識は、中央区の施設も入っている京橋プラザの建物の向かいに残されています。
東京オリンピックのに際して、楓川、三十間堀、桜川及び連絡運河が埋め立てられ、高速道路となり、橋も撤去されたという歴史を、初めて知り、江戸の名物がなくなってしまったことに、残念な思いがひとしおでした。

弾正橋は、楓川に架かっていた橋で、白魚橋と真福寺橋とともに三ツ橋と呼ばれていた橋のうち現存する唯一の橋です。
江戸時代に、弾正橋の付近には、楓川、京橋川、三十間掘が合流してました。
このため、合流点付近には、楓川に弾正橋、京橋川に白魚橋、三十間堀に真福寺橋が架けられていて「コ」の形をした三個所の橋が、三ツ橋として総称されていました。
これらの川や堀は、埋め立てられて高速道路に、姿を変えました。
また、三ツ橋も、現在、弾正橋を除き、撤去されています。
楓川に架かっていた橋のうち、最も西側にあったのが弾正橋です。
弾正橋の名称は、北八丁堀に島田弾正少弼の屋敷があったことに由来しています。
明治初期に、従来の木製の橋から、我が国の最初の鉄橋として架け替えられましたが、大正末期、再度架け替えられました。
弾正橋は、江戸時代の三ツ橋の時代から、明治時代と大正時代の架け替えを経験しつつも営々とした歴史が築かれました。
高速道路の建設のため埋め立てられてしまった運河や堀等の歴史と、橋も、残った橋も撤去された橋もあり、悲喜こもごもの運命がありました。

中央区役所は、銀座柳通りから佃大橋通りに至る間、首都高速道との交点に位置しています。
地下鉄有楽町線の新富町と連接しています。
地下鉄、高速道路そして主要幹線道路の交点にあり、交通に便利な場所です。
中央区は、銀座・有楽町、築地、日本橋、月島等の主要な地域を所管する区で、主要な企業が本社を置いている関係上、昼間の人口が、夜間人口の約３倍以上となっている区です。
一時、中央から地方への移転の趨勢上、人口が減少しましたが、月島等の高層マンションの開発等で、人口が増加してます。
主要企業の本社が多いため、法人税収入の面で、余裕があるといわれています。
今回の訪問で、中央区役所が担う役割が、広範囲でかつ防災面も含め生活に密着した分野が極めて大きいことを知りました。
やはり、一見は、百聞にしかずという言葉の重さを痛感した中央区役所訪問でした。

三吉橋は、中央区役所前の首都高速道路を越えるための三つ又になっている橋です。
中央区役所前の高速道路は、首都高速道路から新富町方向出口への高速道路が分岐しています。
このため、Ｔ字状になっている高速道路を越えるため、三つ又の橋が架けられました。
道路が交差している場所に、Ｘ字型の跨線橋はありますが、三つ又の橋は、珍しい例です。
三吉橋のたもとにある石碑には、三吉橋建設の経緯が、地図入りで詳しく記載されています。
石碑の説明によると、築地川の屈曲部と楓川・築地川連絡運河が、中央区役所前で合流していた関係で、三つ又の橋が架けられた旨の記載があります。
今回、中央高速道路により隔絶されたＴ字型の３つの区域が、三つ又の橋で、相互に結ばれている珍しい例を、実地に見ることができ、大変有意義でした。
「みよし」橋の名前の由来は、三つの良しの橋の意味かもしれないと個人的に感じています。

蜊河岸跡の標識が、京橋公園の一角に立てられています。京橋プラザの西側にあります。
江戸時代には、生活物資の運搬は、運河や堀を利用した水運に頼っていました。
このため運河や堀の岸には、生活物資の種類毎に、陸揚げや売買のための河岸が発達しました。
蜊河岸は、それらの一つで、三つ橋の周辺にありました。
後に、東京府の達で、三十間堀と桜川にの岸に正式に指定されました。
三十間堀と桜川が埋め立てられた後、蜊河岸跡の標識のみが、京橋公園の一角に残っています。
今回、京橋地区を訪れ、江戸の住民の生活物質の流通と地名の関係についての一端を理解することができました。
現実的な話題で、とても興味深く勉強することができ、有意義でした。

新金橋は、銀座さくら通りと入船の間を結ぶ橋で、首都高速道路に架かる橋です。
東京オリンピックに際し、東京の首都高速道路の用地を確保するため、築地川や楓川を埋め立てて高速道路としました。
弾正橋付近から三吉橋付近までの間は、東京帝都復興計画に基づき築地川と楓川の連絡運河が開削されていました。
新金橋は、その連絡運河を埋め立て、首都高速道路を建設する際に、高速道路にかけられた橋です。
機能的には、特に変哲のない通常の橋ですが、他の橋と比較して変わっているのは、高速道路の入口が、橋の中央に設けられている点です。
通常は、橋のたもとか橋の近傍に入口があるのですが、新金橋の場合、橋の中央部に入口があります。
非常に珍しい例です。
今回、新金橋の中央部に、高速の入口がある珍しい光景を見て、とても不思議な気持ちになりました。

アメリカ公使館は、１８７５年(明治８年)、麻布から築地の居留地に移転したことは、事実のようです。
築地の居留地を訪れてみると、２つの相異なる記述があることに気が付きました。
聖路加ガーデンのクレストンレストランの前に、アメリカ公使館跡の標識が立っていました。中央区教育委員会の標識です。
しかし、聖路加国際病院のトイスラー記念館の前のアメリカ公使館跡標石には、アメリカ公使館は、聖路加国際大学の敷地内にあったとあります。
明治１７年の地図には、アメリカ公使館は、聖路加ガーデンのクレストンレストランの位置にあるようになっています。
どちらにも、アメリカ公使館の標石が置かれています。
気になって、再び築地の居留地跡を訪れましたが、未だ結論に至っていません。
築地の居留地に、次々と訪れる方々に、迷うことなく歴史探訪を楽しんで頂きたいと願って、調査・勉強を続けています。

聖ルカ通りは、聖路加国際大学と中央保健所の間を通る中央区の愛称の通りです。
聖ルカ通りの両側には聖路加国際病院と中央保健所があります。
聖路加病院のトイスラー博士は、昭和５年、日本の公衆衛生を育む技術者を育てるため、ロックフェラー財団の寄付を要請するよう、日本政府に進言しました。
この結果、昭和１０年、東京市特別衛生地区保健館が、聖路加病院の用地(現在の中央区保健所の場所)を借りて設置されました。
この東京市特別衛生地区保険館が日本保健衛生の嚆矢となりました。
この経緯が、中央区の聖ルカ通りとの愛称決定に結びつきました。
米国人トイスラー博士とロッフェラー財団の尽力が、聖ルカ通りに結びついていた歴史を知ることができたのは、今回の築地居留地巡りの大きな成果でした。

女子学院発祥の地の碑が、聖路加国際大学の前に置かれています。
女子学院は、築地の居留地が開設され際、米国長老協会に属していた女性宣教師により、明治３年、居留地Ａ６番地に設立されたキリスト教を基にする女学校を発祥としています。
その後、Ｂ６番地に開かれた女学校(新栄女学校)を併せ、女子学院と発展しました。
現在は、英国大使館の西側に移転しています。
創立１３０年を記念して、１９９９年、女子学院発祥の地の碑を聖路加国際大学の敷地に設置しました。
明治３年というキリスト教を禁教とする高札が立てられていた時期に、開設されたという歴史の重みを感じる発祥の碑です。

蘭学事始地の碑が、慶應義塾開塾の碑とともに、築地の聖ルカ通りに置かれています。
蘭学者の前野良沢や杉田玄白と桂川甫周らが協力して、オランダ語の医書ターヘルアナトミアを翻訳し、解体新書５巻を完成させました。
前野良沢達も、福沢諭吉が蘭学塾を開塾した同じ中津藩中屋敷において、解体新書を書き上げました。
赤と黒の御影石の厚板の記念碑は、右の赤石に　女性の人体図と解体新書の文字、左の黒石には「蘭学の泉はここに」との説明文があります。
元の中津藩中屋敷の場所は、現在の聖路加国際大学にあたり、蘭学事始地の碑や慶應義塾開塾の碑も、同大学の敷地内にありましたが、周辺道路整備の関連で、居留地中央通りと聖ルカ通りの三角角地に移転されました。
今回、近代文化事始めとされる両方の碑を巡る歴史の共通点を知ることができ、新たな喜びを感じることができました。

日本近代文化事始の地の標識が、築地明石町の聖ルカ通りに建てられています。
日本近代文化事始の地は、「慶應義塾発祥の地」と蘭学の泉である「蘭学事始め」の２個所の地から構成されています。
これら２個所の地は、いずれも元の中津藩中屋敷である現在の聖路加国際大学内にありました。
道路整備の関係で、現在の築地明石町の聖ルカ通りと居留地中央通りの三角角地に、移設されています。
福沢諭吉は、中津藩中屋敷で蘭学塾を開き、慶應義塾として発展させ、杉田玄白達３名は、中津藩中屋敷で、解体新書を完成させ、蘭学事始めの原点となりました。
いずれの事業も、日本近代文化の大きな起源となり、後世に大きな貢献をしました。
これらの出来事に、築地の居留地において触れることができ、目から鱗の状態です。
従来の断片的な歴史の知識も、単なる知識にとどまっていましたが、今回の居留地巡りにより、縦横が繋がり、体系的な活きた知識となり、新たな世界が拓けた感じがします。

慶應義塾開塾の地の碑が、明石町の居留地中央通りと聖ルカ通りの道路三角角地に置かれています。
同じ三角角地内には、蘭学事始めの地の碑があり、聖ルカ通りを挟んで向かいには、立教学院発祥の地の碑があります。
慶應義塾開塾の碑には、福沢諭吉により開塾された旨が記されている他、有名な学問のすすめにある「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」との言葉が、碑の最上部に記載されています。
慶應義塾開塾の地が築地であることを、この碑を見て初めて知り、これを機会に、学問のすすめを、再度見てみる気になりました。
学問のすすめが、明治維新の早い時期に刊行され、従来の儒教の教えと異なる先進的な教えであることを、初めて知りました。
また、米国の独立宣言との関連を理解したことは、大きな収穫でした。
碑を見ることだけではなく、時代背景にまで触れることが重要だと悟りました。

暁星学園は、フランスのカトリック系の男子教育機関で、幼稚園から高校までの幼小中高一貫教育を推進する特色ある学園です。
卒業式には、フランス大使館やバチカン大使館の館員などが臨むことで知られています。
暁星学園は、明治２１年にカトリック修道会マリア会の神父らが小規模の学校を設立し、築地司教座聖堂(現在のカトリック築地教会)で開校したのが始まりで、その年のうちに麹町区(現・千代田区)に移転しました。
暁星学園発祥の地の碑は、カトリック築地教会の前の歩道に置かれています。
碑の上部には聖書とおぼしき本が開かれ、あなたがたは地の塩、世の光であると書かれているのが見えます。
今回、カトリック築地教会が、パリ・ミッション協会により建てられたこともあり、築地の学校や教会は、各国の伝道とそれぞれ関連していることが判りました。またプロテスタントやカトリックの宗派も、それぞれ努力しているのが判りました。
新たな発見です。