さいたまさんのクチコミ(99ページ)全2,813件

築地居留地跡は、明治元年、通商条約に基づき、築地に開かれた外国人のための居留地でした。
四方を堀と隅田川により囲まれていた治安の良い区域でした。
居留地の開設に伴い、多くの公使館や宗教の関係の外交官や知識人が居住し始め、特に学校が数多く建てられました。
このため、築地居留地は、西洋文化の窓口となり、文明開化や学校教育の原点となりました。
築地を開校や発祥の地とする教育機関は、数多くあります。
築地の居留地は、後の条約改正により居留地としての取り扱いは、終了しましたが、文化や学校教育の発祥の地としての記念碑が数多く残されています。
築地の居留地跡を巡りますと、当時の西洋文化の状況や宗教･学校教育の発祥を記念する碑等が数多く見られ、生きた歴史の教科書になっていることに驚かされます。

聖路加国際大学の敷地の東側の居留地中央通り沿いに、トイスラー記念館が建てられています。
昭和８年、トイスラー記念館は、明石町の聖路加国際病院の宣教師館として建設されました。
建物の躯体は、昭和初期の住宅建築には珍しい鉄筋コンクリート造一部木造の二階建てで、ヨーロッパの山荘を思わせる重厚な風格のある建物でした。
平成元年に、解体工事が行われ、平成１０年に、現在地へと移築復元されました。復元にあたり、創設当時の施工技術や構造上の特徴を精密に記録し、再利用可能な部材をできる限り用いています。
この建物は、聖路加国際病院の歴史を物語るとともに、築地居留地時代から引き継がれてきた明石町の歴史の一端を伝える貴重な文化財です。
特に、居留地時代の建築物の状況を知る現存の建物は、トイスラー記念館とカトリック築地教会の天主堂のみですので、その価値は高いと思います。

立教学院発祥の地の碑が、居留地中央通りと聖ルカ通りの交点付近に置かれています。
居留地中央通りと聖ルカ通りの交点から、聖路加国際大学に通ずる小路の二又部分にある、黒色の環状の半円筒型の石碑です。
半円筒状の石碑には、創設者のＣ.Ｍ.ウイリアムズ主教の名を含んだ立教学院発祥の地と刻されています。
ウイリアムズ主教は、明治７年、築地の居留地に立教学校を設立し、この学校が立教学院と発展しました。
立教学院発祥の地の具体的な場所は、いろいろな資料源があり、定かではありませんが、発祥の地の碑は、現在、聖路加国際大学の敷地内にあります。
関東大震災の際、築地の校舎が壊滅したため、池袋に移転し、現在に至っています。
立教学院創立１２５年周年を記念して、聖路加国際大学の敷地内に、立教学院発祥の地の碑が設置されました。
築地に開校された学校は、ほとんどキリスト教関連の学校で、各宗派ごとにそれぞれの学校を設立しています。宗教の力の大きさを感じました。今回の訪問で、教師の派遣国や宗派にも注意を払うべきだと痛感した次第です。

立教女学院の築地居留地校舎跡の記念碑が、居留地中央通り沿いにあります。
居留地中央通りの歩道上に、聖路加国際大学を背にして、南側に面して立てられています。
立教女学院は、文京区の湯島に創設されましたが、開校２年後に築地の居留地校舎に移転しました。
その後、約５０年弱の間、居留地校舎で教育を継続しました。
関東大震災で校舎が焼失した後、久我山の現敷地に移転しました。
立教女学院は、キリスト教の教えを基本に、豊かな人間性を求め、人格の育成に努力することに努めています。
校章は、スコットランドの王妃となった聖マーガレットに由来しています。
王妃は、病人、寡婦など弱者の援助に献身して人々に慕われ、女性の鑑とされました。
立教女学院の校舎跡の記念碑を訪れ、キリスト教の教えの一端に触れることができ、とても充実した気持ちになりました。

タイムドーム明石という中央区の立派な資料館が、聖ルカ通りにあります。
中央区の保健所施設の６階にあります。
この中央区保健所の建物は、もともと関東大震災直後、聖路加国際大学のトイスラー博士が、公衆衛生の観点から、ロックフェラー財団の資金援助による中央保健所設立の提案を進言したことから、保健所の建設が実現しました。
その際できたのが、東京市特別衛生地区保健館、現在の中央区保健所です。
聖路加大学は、土地を提供しました。提供した土地の道路は、現在の聖ルカ通りです。
タイムドーム明石には、築地の外国人居住地関連の膨大な資料も収められています。
築地の外国人居留地に直接的ゆかりのある聖路加国際大学と現在の中央区保健所及びタイムドーム明石は、切っても切れない由縁があったのです。
外国人居留地巡りで、タイムドーム明石の資料館を訪れたら、一連の歴史の繋がりに遭遇したのです。びっくりするような歴史上の驚きです。

シーボルト像が、築地のあかつき公園に、解説板とともに置かれています。
シーボルトは、オランダ商館付きの医師として、江戸時代末期に来日しました。
医師として勤務する傍ら、長崎の鳴滝に蘭学塾を開き、多くの日本人蘭学者を育成しました。
オランダ商館長の江戸出府にも同行し、日本橋において多くの蘭学者に、大きな影響を与えました。
江戸出府を終え、長崎に帰り、オランダへの帰国に際し、国禁の日本地図を持ち出そうとしたシーボルト事件が発生しました。
日本地図の提出を拒んだシーボルトは、国外追放になりました。
日本の蘭学の発祥の地の築地居留地に、シーボルトの功績を讃える胸像が置かれています。
今回、日本の蘭学の発展に大きな貢献をしたシーボルトの業績に触れることができ、極めて有意義な居留地巡りでした。

あかつき公園は、築地の居留地の横の築地川を埋め立てて、造られた公園です。
築地の居留地の絵地図には、埋め立て前の築地川の様子が描かれています。
現在のあかつき公園の中央部を東西に区分している居留地中央通りは、居留地時代には、築地川に架けられていた新栄橋でした。
あかつき公園の傍には、埋め立てられる前の築地川に架けられた暁橋という橋がありました。
この暁橋は、現在の築地川公園の中に、橋の主構造部分のみが残されています。
この暁橋を名前を残しているのが、あかつき公園だと思われます。
今回の築地川の橋巡りでは、居留地を挟んで架けられていたいろいろな橋を見て回りました。
その中には、埋め立てにより撤去された橋が多くあり、悲喜こもごもの感が去来します。
残された橋も、当時の姿から大きく変わっています。

芥川龍之介生誕の地の標識が、聖路加国際大学の西側に立てられています。
生誕の地の標識は、築地川公園と聖ルカ通りの交点の角にあります。
芥川龍之介は、入船町８丁目に、牛乳製造販売業を営む新原敏三の長男として生まれました。
明治初期の絵地図を見ると、入船町８丁目は、築地の居留地の西端で、築地川に面していました。ほぼ現在の芥川龍之介生誕の地の標識の位置です。
生後すぐに母の実家の芥川家に預けられ、叔父芥川道章の養子となり芥川姓を名乗ることになりました。
芥川家は、芸術・演芸を愛好する家系で、龍之介も東大英文科に入学します。
芥川龍之介は、文学の世界で活躍し、現在の芥川賞の基礎を作りました。
築地の居留地巡りの折、たまたま目にした芥川龍之介生誕の地の標識と居留地が身近なものとして結びついたことは、大きな驚きでした。

浅野内匠頭邸跡の石碑及び標識板が、聖路加国際大学の西側に立てられています。
浅野内匠頭は、播磨の赤穂の地に知行５万３千石を与えられ、現在の聖路加国際大学周辺の９千坪の屋敷を構えていました。
築地の地にあったのは、浅野家の上屋敷で、赤坂にも中屋敷がありました。
築地の上屋敷の敷地の南西部分は、築地川に面していたようです。
現在の浅野内匠頭邸の石碑は、まさに築地川を埋め立てた跡の築地川公園に直接面しています。
忠臣蔵で有名な刃傷事件の後、築地川周辺の浅野家の屋敷は、召し上げられてしまいました。
浅野家の上屋敷及び中屋敷は、明け渡し期限の３日以内に、滞りなく整斉と引き渡しが完了し、その潔さが江戸町民の喝采を浴びたとのことです。
今回、浅野内匠頭邸跡を訪れ、歴史の儚さと無常さに触れることができ、有意義な築地巡りでした。

チェンライからチェンコンまでのバスの中で、仏人女性と一緒になりました。
第４友好橋までのトゥクトゥクを２人で乗れば、安くなるかもしれないと２人がかりで交渉しましたが、１人５０バーツは変わりませんでした。
フアイサイのツーリストインフォメーションセンターに行く間、旅行目的について質問したところ、スローボートでルアンパバンに行くとのことでした。
ラオスを訪れる外国人の間では、スローボートが大人気だそうです。
ラオスへの観光客の半数は、スローボート目当てだというのです。
スローボートは、天候気象や流量の影響を受けやすいので、効率的な旅行手段ではないとの意見に対して、長い反論が返ってきました。
スローボートへの思い入れが感じられる一時でした。

築地川は、江戸時代に造られた川でしたが、現在は埋め立てられ、跡地の一部が公園になっています。
築地川公園の付近は、首都高速道路が建設される予定でしたが、現在は工事が中止されていて、地上部分が築地川公園になっています。
築地川公園の地下部分は駐車場になっていたり、入船橋周辺は、中央区の球技場等に利用されています。
築地川公園の地上部分には、江戸時代以降は築地川でしたので、当時、橋が架かっていました。
現在は、石製の備前橋や暁橋が残っています。
同じく、川の水路部分の残りが、一部見られます。
将来、中央市場の豊洲への移転に伴い、築地川公園付近の中断されている建設工事部分が首都高速道路晴海線として、建設される案もあるようですが、具体化に至っていません。
いずれにしましても、首都高速道路建設の途上に生まれた築地川公園の数奇な運命に、何とも言えない無常感に浸った築地川公園訪問でした。

善林寺は、築地本願寺の西側にある寺院で、浄土真宗本願寺派の寺です。
善林寺は、松籟山と号する浄土真宗本願寺派に属しています。
中央区の区史によると、善林寺の開基は、越前朝倉家一門の武士真柄十郎左衛門の孫の四代目宗休が、江戸浜町本願寺建立の際、本願寺１２代目准如上人の命により開設に尽力し、その功績により善林寺の号のもと寺を建立しました。
明暦の大火によって浜町御坊(後の築地本願寺)と共に築地へ移転、関東大震災後の区画整理で現在の場所に再移転しました。
善林寺の由来を紐解くと、長い歴史の中、火災による災難とそれに対する檀家信徒の尽力による再建の連続の歴史でした。
今回は、信仰の力について再認識させられた禅林寺訪問でした。

築地本願寺は、新大橋通りの南側に広大な境内を有する伝統ある寺院です。
築地本願寺は、浄土真宗本願寺派の寺院で、東京都内における代表的な寺院の一つで、京都市にある西本願寺の直轄寺院です。
明暦の大火(振袖火事)で本堂が焼失しましたが、江戸幕府による区画整理のため旧地への再建が許されず、その代替地として八丁堀沖の海上が下付されました。
そこで佃島の門徒が中心となり、本堂再建のために海を埋め立てて土地を築き、再建しました。
関東大震災では、地震による倒壊は免れましたが、すぐ後に起こった火災により再び伽藍を焼失しました。
関東大震災で失われた旧本堂の復旧事業として蓮華をモチーフとしたインドの石窟寺院風のデザインになる本堂が完成しました。
国の重要文化財に指定されているインド風の本堂を見ると、外国の寺院のような感じを受けてしまいます。新たなる強烈な印象を受けた築地本願寺訪問でした。
また、海を埋め立てて、寺院を建てるという大事業を行った信徒の力に驚異を覚えました。

築地の銀座松竹スクウエアの中に、私立の松竹大谷図書館があります。
演劇と映画に特化した多くの蔵書等を保有している専門図書館で公益財団法人松竹大谷図書館が管理・運営を行っています。
松竹の共同設立者である大谷竹次郎は、文化勲章受章を受章した際、一個人でなく、演劇・映画界を代表して授かったものと受けとめました。
大谷竹次郎は、受章により支給される年金の使途として、蒐集していた資料の公開を進め、演劇・映画専門図書館を設立し、財団法人松竹大谷図書館による準備期間を経て、松竹会館９階に図書館を開館しました。
今回、松竹大谷図書館を訪れ、私立の図書館開設の経緯・目的を聞くことにより、芸術文化の発展に寄与した一個人の思いに触れることができました。その想いにとても感動しました。

銀座松竹スクエアは、晴海通り沿いにあるオフィスとマンションが一体化された複合高層ビルです。
銀座松竹スクエアのオフィスフロアには、広告代理店３位のアサツー ディ・ケイ(ＡＤＫ)本社が入居していましたが、２０１４年、虎ノ門ヒルズが完成するのに伴い、虎ノ門に移転しました。
その後、電通デジタル・ホールディングス等の社が入りました。
上層階は、松竹スクエアレジデンスという４５戸からなる高級賃貸マンションになっています。
月額賃料は、かなり高額とのことです。
首都高速道路との交差点でもあり、交通の便が良好です。
今回の銀座松竹スクエアの訪問により、銀座におけるオフィスとマンションが一体化された複合高層施設の現状を垣間見れることができ、有意義な訪問でした。

活字発祥の地の碑が、築地の晴海通りの北側にあります。首都高速道路の近くです。
活字発祥の地の碑は、首都高速道路の横のビルと平成通りのビルの間にあり、かつ植え込みの中にあるため、わかり辛いです。
活字発祥の地の碑の碑文には、明治６年、平野富二が、長崎新塾出張活版製造所を興し、後に、株式会社東京築地活版製造所と改称し、日本の印刷文化の源泉となったと記されています。
築地の居留地における新知識の紹介や明治初期の新聞の創刊が多かった状況の中、活版印刷への期待が大きく、活字発達に対する需要は極めて高いものがありました。
これらの状況の中、築地における活字の発祥は、まさに時宜に即応するものでした。
今回の活字発祥の地の碑への訪問は、時代の要請に応える歴史的環境を十二分に理解できる訪問でした。

築地の平成通り沿いで、晴海通りのやや北側に、築地えとビルという一風変わったビルがあります。
建物の壁に、「えと」の像が飾ってあるのです。
今では、「えと(干支)」もあまり、こだわりを感じる人も少なくなってきているようですが、まだまだ縁起を担ぐ人も少なくありません。
ビルの角には、抽象的な金属製の像が置かれています。
１階は、ドラッグストアーが入っています。
周囲のオフィスビルとは、一風変わった雰囲気のビルです。
ビルの高速道路側にある正面玄関は、通常のビルのように落ち着いた雰囲気の入口ですので、安心しますが。
築地のえとビルを訪問し、昔からの伝統に触れ、言い伝えを再認識することができた、築地巡りでした。

築地小劇場跡の標識が、地下鉄築地駅の北側の小路にあります。
築地小劇場は、土方与志と小山内薫が大正１３年に開設した日本初の新劇の常設劇場です。
演劇研究のためドイツに留学していた土方は、関東大震災の報を聞き、急ぎ帰国し、震災復興のため一時的に建築規制が緩められたことを知り、仮設のバラック劇場の建設を思いつきました。
劇場建設に取り掛かり、半年ほどで劇場を建設し、開場まで漕ぎつけました
日本プロレタリア芸術連盟傘下の前衛座が大正１５年、築地小劇場で第1回公演、解放されたドン・キホーテを上演し、以後、プロレタリア劇団による演劇が築地小劇場で上演されるようになりました。
左翼的な演劇の舞台となった築地小劇場も、戦火により焼失しました。
付属する劇団も、思想的な争いから離合集散を繰り返した歴史を見ると、複雑な思いとなり、一般国民から遊離している感じがする築地小劇場跡の訪問でした。

桂川甫周屋敷跡の標識が、地下鉄築地駅の北側、平成通り沿いにあります。
桂川家は、代々、江戸幕府の奥医師の家系で、法眼の地位に就くことも多くありました。
桂川甫周も徳川幕府の奥医師奥医師となり、法眼に叙されています。
桂川甫周は、蘭学に優れていて、各種の蘭学書を著わすとともに、解体新書の翻訳にも参画し、優れた業績を収めています。
また、オランダ館長との交流により、海外の事情にも通じていて、ロシアのラクスマンの来訪時には、日本人大黒屋の尋問を通じ、各種の情報の入手に貢献しました。
桂川甫周の屋敷は、当時の文化人が多く集い、社交サロンとなっていたようです。
当時の文化の中心であった桂川甫周屋敷跡を訪ね、歴史を学ぶとともに積極進取の気概に思いを馳せることができ、とても有意義な築地探訪でした。

靴業発祥の地の碑が、入船橋交差点の東側に置かれています。
日本の靴業の始まりは、江戸末期から明治の初期にかけて、文明開化の時期になります。
日本における靴の生産の始まりは、築地の居留地における外国人への靴の提供でした。
明治３年、 居留地に隣接する入船町に、日本で初めて靴の工場ができ、国内で靴の製造が始まりました。
その後、靴の生産が本格化しましたが、当初の生産対象は、主として軍靴でした。
時の兵部大輔大村益次郎の指導により、軍靴の生産が始まり、靴の普及とともに生産量が拡大していきました。
居留地の外国人を対象とする生産から、日本国内全般に対する生産への拡大は、日本の発展と踵を同じくするものでした。
それらの発展を支えた靴業発祥からの歴史は、目を見張るものがありました。
新たな分野の発展を見る機会を与えてくれた入船町訪問でした。