2025/05/02 - 2025/05/02
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mitsuさん
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:.。ルーヴルで出逢う、フランドル名画の旅(第2章).。.:
今回の舞台は、前回の旅の出発点でもあった、ルーヴル美術館のリシュリュー翼3階(17~19世紀のフランドル・オランダ・フランス絵画エリア)です。
宮殿の豪華な大階段を通り抜け、全34枚の写真とともに、宮廷のきらびやかな肖像、躍動する聖書のドラマ、そして最後に辿り着く素朴な日常の光を巡る、非常にドラマチックで贅沢なルートです。
前回の締めくくりであったヤン・ブリューゲル(子)の『農家の庭』の温かい余韻を胸に、新しい展示室へと足を踏み入れます。
前半: 巨匠ルーベンスの大作『東方三博士の礼拝』の圧倒的なエネルギーから始まり、大階段「エスカリエ・ルフュエル」の重厚な宮殿建築とフランドル・バロック絵画が融合した贅沢な空間美を堪能します。
中盤: ブーシェやフラゴナールが描くフランス・ロココの華やかな恋の駆け引きや、ディルク・ハルスらの音楽を楽しむ市民たちの陽気な風俗画を抜け、当時の人々の生き生きとした息づかいに触れていきます。
後半: レンブラントの『ベルシャザルの饗宴』やダ・ヴィンチ由来の『バッカス』に魅了された後、ヤヌアリウス・ジックの『室内の光景、あるいは朝』が放つ温かい家族の団欒の光とともに、本稿の鑑賞を一度区切ります。さらに奥へと広がる果てしないルーヴルの美を求めて、名画の旅は次へと続いていきます。
全体の大まかな行程は以下になります。
今日は,★☆★です (^^)/
4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒
4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光
4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光
4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光
4/17(木) ギートホルン観光
4/18(金) キューケンホフ観光
4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動
4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光
4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光
4/22(火) ハーグ観光
4/23(水) プラハへ移動とプチ観光
4/24(木) プラハ観光+コンサート
4/25(金) プラハ観光+コンサート
4/26(土) プラハ観光
4/27(日) プラハ観光
4/28(月) プラハ観光
4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光
4/30(水) チェスキー・クルムロフ⇒プラハへ移動
5/1(木) パリへ移動,観光
★☆★5/2(金) パリ観光
5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光
5/4(日) パリ観光
5/5(月) 体調不良により観光無し
5/6(火) 体調不良により観光無し
5/7(水) パリ観光
5/8(木) シャルトルへ移動・観光
5/9(金) パリ観光
5/10(土) パリ観光
5/11(日) パリ観光
5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光
5/13(火) パリ観光
5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動
5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発
5/16(金) 成田着
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
1 ピーテル・パウル・ルーベンス『東方三博士の礼拝』です。
この素晴らしい旅の始まりとなった部屋は、ルーヴル美術館のリシュリュー翼3階(2ème étage)にある「展示室802(Salle 802)」です。
新しい旅行記はフランドル・バロックの巨匠、ルーベンスが描くダイナミックな大作から華やかにスタートします。 -
2 ピーテル・パウル・ルーベンス『東方三博士の礼拝』
生まれたばかりの幼子キリストを祝うため、はるばるやってきた東方の三人の賢者たちが、黄金や没薬などの高価な贈り物を捧げる聖書の名シーンです。
画面左側の聖母マリアが抱く、幼子キリストの周りにはまばゆい光が溢れており、ひざまずく博士たちの豪華な衣装や、後ろに控える兵士たちの生き生きとした表情を劇的に照らし出しています。
ルーベンスらしい力強い構図と鮮やかな色彩が、展示室の壁一面に広がっており、新しい旅の幕開けにふさわしい、圧倒的なエネルギーに満ちた1枚です。 -
3 ピーテル・パウル・ルーベンス『ユノに欺かれるイクシオン』
ギリシャ神話のドラマチックな1枚です。最高神ゼウスの妻ユノを誘惑しようとした不届き者の王、イクシオンが、ユノそっくりに作られた「雲」を本物だと思い込んで抱きしめてしまう、騙しの瞬間を描いています。
画面左側でイクシオンは、本物と信じて疑わずに偽物の雲を愛おしそうに抱きしめていますが、その右側では本物のユノが静かに身を引いて、彼の愚かな姿を見つめています。
右下に見えるクジャクの美しい羽や、宙に舞う小さなキューピッドのいたずらな表情が、この騙し劇の奇妙なユーモアをより引き立てています。 -
4 ヨース・デ・モンペル(子)『橋のある山岳風景と4人の騎手』
同じ展示室の壁に、ヨース・デ・モンペル(子)の風景画が静かに佇んでいます。
手前を「茶色」、中景を「緑」、遠くの山々を「青」へと美しく変化させるフランドル伝統の色彩技法が使われ、絵の奥へと続く果てしない奥行きが表現されています。
画面右下の険しい山道には、馬に乗った4人の騎手や犬たちが小さく描かれており、自然の圧倒的なスケール感と人間の営みが対比されています。
静寂でありながらも旅の厳しさとロマンを感じさせます。 -
5 ポール・ブリル『狩りに出るディアナとニンフたち』
深い森の木々に囲まれた美しい泉の風景です。
画面の左下をよく見ると、弓を手にした月の女神ディアナと、彼女にお供する従女たちが、これから狩りへと出発する静かな一幕が小さく描かれています。
画面左側にそびえ立つ大きな2本の古木が木陰を作り、その隙間から中央奥の明るい水辺や青空へと視線が抜けるように構成されています。
うっそうとした大自然の静けさと美しい光の対比が、見る者の心をゆったりと落ち着かせてくれるフランドル風景画です。 -
6 ヤン・コシエール『エッケ・ホモ(この人を見よ)』
茨の冠を被せられ、人々の前に引き出されたイエス・キリストの受難の痛切な一幕が描かれています。
画面左上奥にいる、大きなターバンを巻いたローマ総督ポンティウス・ピラトが、「この人を見よ」と群衆にキリストを提示しています。
暗闇の中から、キリストの白く傷ついた肉体が浮かび上がるように生々しく描写されており、劇的な光と影のコントラストが静かな悲しみと神聖さを引き立てています。 -
7 ベルトレ・フレマール『イフィゲニアの犠牲』
ギリシャ軍の総大将アガメムノンが、女神アルテミスの怒りを鎮めるために実の娘、イフィゲニアをいけにえとして捧げようとした瞬間、女神が憐れんで身代わりに一頭の「牝鹿」を送り込むという神話の奇跡の場面が描かれています。
中央で白い肌を晒して静かに運命を受け入れるイフィゲニアと、彼女を支えるきらびやかな甲冑を着た兵士、そして右上から光とともに現れる女神と牝鹿の姿が、劇的な構図で配置されています。
悲劇から一転して奇跡が起きる瞬間の緊迫感と、バロックらしいドラマチックな光の演出に、思わず息をのんで見入ってしまいます。 -
8 ジャン・クーサン(子)『最後の審判』
画面全体が上下に大きく分かれており、人類の宿命である裁きと救済の瞬間が、無数の人物とともに驚くべき密度で描き込まれています。
上部では、雲の上で光に包まれたキリストが審判を下し、周囲を大勢の聖人や天使たちが取り囲んでいます。
中段から下段にかけては、救われて天国へと導かれる人々と、罪を咎められて地獄へと落とされる人々の混沌としたドラマが対比的に表現されています。
ルネサンスからバロックへの過渡期らしい、壮大で圧倒的なスケール感です。 -
9 アンセルム・ファン・ハレ『帽子を手にした男性の全身像』
黒を基調とした重厚な衣装をまとい、大きな黒い帽子を手に持って佇む紳士の姿が、ほぼ等身大の全身像として格式高く描かれています。
白い襟や袖口の柔らかな質感、そして衣服の黒いグラデーションが細やかに表現されています。
背後のバルコニーの先にかすむ夕空や自然の広がりが、室内の暗がりと美しい対比を生んでおり、当時の上流階級の気品ある日常と静けさを伝えています。 -
10 ドメニキーノ&ダニエル・セーヘルス『愛の勝利(花のガーランドに囲まれたメディヨン)』
可憐な花々と無邪気な天使たちが画面いっぱいに広がる、鮮やかな大作です。
この絵画は、イタリアの巨匠ドメニキーノが中央の円形レリーフを描き、フランドルの高名な修道士画家、ダニエル・セーヘルスが周囲の瑞々しいバラやチューリップなどの花々を添えた、国境を越えた華やかな合作です。
中央のレリーフには、愛の神キューピッドが小さなライオンにまたがり、大勢の天使たちに祝福されながら行 行進する「愛の勝利」の寓意が優美に表現されています。
暗い背景から、色とりどりの花びらの質感や果実の瑞々しさが立体的に浮かび上がるフランドル静物画の技術が素晴らしく、バロックらしいドラマチックさと、包み込むような愛の温かさを同時に感じさせてくれます。 -
11 シモン・デ・ボス『愛煙家と酒飲みの集い』
薄暗い室内で、お洒落なレースの襟をまとった3人の男性が、タバコやワインを手に持ってリラックスしている様子が描かれています。
右側の男性は長いパイプを口にくわえて煙を燻らせ、中央の男性はグラスを大切そうに抱えて満足げな笑みを浮かべています。
暗闇から浮かび上がる彼らの表情や、衣服の生地の質感にフランドル絵画らしい巧みな技術が光っており、神話や宗教の厳かな世界から一転して、当時の酒場の陽気で少し退廃的な息づかいがそのまま伝わってきます。 -
12 ミヒール・スウェールツ『青年の肖像』
肩越しにこちらを振り返る、美しい青年の、どこか物憂げで知的な眼差しが非常に印象的な作品です。
全体的に落ち着いた緑と黒のダークトーンでまとめられていますが、青年の金髪や白い襟元に当たる柔らかな光が、彼の立体感と瑞々しさを引き立てています。
派手な神話や歴史ドラマとは異なる、内省的で洗練されたオランダ肖像画ならではの「美の静けさ」に、思わず心が惹きつけられます。 -
13 ヤコブ・ヨルダーンス『男の肖像』
この作品は、かつてオランダ海軍の高名な英雄、デ・ロイテル提督の肖像画と考えられていましたが、現在は衣服の格式高い特徴などから、裕福な市民を描いた男性の肖像画とされています。
画面中央に描かれたふくよかな男性は、黒い重厚な上着に白い襟をまとい、片手を胸に当てながら優しげで自信に満ちた眼差しをこちらに向けています。
ヨルダーンスらしい、健康的な肌の血色感や衣装の柔らかな明暗表現が素晴らしく、当時の上流階級の豊かな暮らしと穏やかな日常がそのまま伝わってきます。 -
14 アントニ・ヴァン・ダイク『ヴァン・ダイクとルーベンスの肖像』
右側で胸に手を当ててこちらを穏やかに見つめているのが師のルーベンス、そして左側で少し体を斜めにして師を見上げるように佇んでいるのが、若き日の天才弟子、ヴァン・ダイクです。
ヴァン・ダイク特有の、衣服の流れるようなサテン生地の光沢感や、人物の持つ繊細でどこか優美な空気感が小さな画面の中に凝縮されています。
この新しい旅行記のスタートを飾ったルーベンスと、その才能を最も受け継いだヴァン・ダイクという、二人の天才の深い絆と歴史の重みを感じさせる、非常に価値のある作品です。 -
15 ヤコブ・ヨルダーンス『男の肖像』
黒い上着を身にまとい、白く几帳面なひだ襟をのぞかせた紳士が、胸に手を当てながらこちらをまっすぐに見つめている姿が描かれています。
13枚目に出会ったふくよかな紳士の肖像画と同じく、ヨルダーンスならではの健康的な肌の血色感や、衣服の黒のグラデーション、そして顔に当たる柔らかな光のコントラストが非常に見事です。
ピンと跳ね上がった立派な髭が印象的で、華美な装飾を抑えたシンプルな構成だからこそ、モデルとなった男性の持つ確かな意志と気品がそのまま伝わってきます。 -
16 リシュリュー翼の階段「エスカリエ・ルフュエル(Escalier Lefuel)」と宮殿の建築美
肖像画の展示室を一度離れて、次のエリアへ向かう途中で、かつてルーヴルが宮殿だった歴史を肌で感じられる、美しい大階段の上へと出ました。
目の前には、19世紀に建築家ルフュエルが設計した、重厚な彫刻の手すりや、クラシカルな燭台型のランプが静かに灯っています。
ふと天井を見上げると、大きな天窓から差し込む柔らかな光が、壁の精緻な浮き彫りや、美しいアーチ型の構造を優しく照らし出しています。
絵画だけでなく、この空間そのものが一つの壮大な芸術作品のようで、歩むごとに宮殿の建築美にハッとさせられマス。 -
17 フランス・スナイデルス『狩猟の獲物の静物』とルフュエル階段の空間美
大階段を少し下りると、踊り場の壁を大胆に飾る、フランス・スナイデルスの巨大な静物画が見えてきます。
うず高く積まれた獲物が圧倒的なリアリズムで描かれており、クラシカルな燭台の光を受けて、重厚な色彩がドラマチックに浮かび上がっています。
展示室とは違う階段ならではの開放的な空間で、宮殿建築の立体感と、フランドル絵画の力強い生命力が美しく融合した贅沢な景色です -
18 ピーテル・パウル・ルーベンス『ロバのいる風景』とルフュエル階段の対面の景色
階段を進んで振り返ると、対面の壁にも大きな額縁、ルーベンスの風景画が見えてきます。
クラシカルな燭台の光が暗めの画面を優しく照らし、堅牢な石造りのアーチや美しい手すりのラインと見事な対比を見せています。
移動のひとときすら飽きさせない、宮殿の贅沢な空間設計に改めてうっとりする景色です。 -
19 ピエール=ポール・ピュジェ『コンゴウインコの習作(4羽のコンゴウインコ)』
大階段から再び展示室への通路を進むと、アーチ状の美しい壁の窪みに、鮮やかな鳥たちが描かれた、ピエール=ポール・ピュジェの作品が黒い額縁に収まって展示されています。
この絵画は、主に彫刻家として高名なピュジェが手がけた珍しい油彩画の習作で、赤や青、黄色の鮮やかな羽を持つ4羽のコンゴウインコが、木の枝に止まっている様子が生き生きと捉えられています。
宮殿のクラシカルで温かみのある石壁のアーチが、額縁を包み込むように配置されており、独特の気品を醸し出しています。
茶色い背景から、南国の鳥たちの鮮烈な色彩と、まるで今にも羽ばたきそうなリアルな質感が立体的に浮かび上がっており、移動中の通路をパッと明るく彩ってくれます。 -
20ジャック=オーギュスタン=カトリーヌ・パジュー『デュヴァル姉妹の肖像』
再び肖像画が並ぶ静かな展示室へと戻ってきました。
当時流行していた白いドレスをまとってスケッチブックを広げるアデールと、その肩に優しく手を置く赤いドレスの妹、ジェニーの姿が描かれています。
19 世紀のフランス絵画らしい、衣服の柔らかなシワの質感や、透き通るような肌の描写が非常に細やかで上品です。
緑豊かな自然を背景に、仲睦まじく芸術を楽しむ姉妹の穏やかな日常が切り取られており、これまでの重厚なフランドル肖像画とはまた異なる、洗練された「美の静けさ」に心が温まります。 -
21 フランソワ・ブーシェ『子供たちのいる風景と彫刻のある廃墟』
緑に覆われた古典的な古代の廃墟の石柱や、風化した大きな彫刻の頭部を背景に、鮮やかな赤と白のドレスをまとった女性が、二人の子供を優しく見守る姿が描かれています。
画面右下には野菜が詰まった素朴な籠が置かれており、かつての栄華を象徴する壮大な廃墟の「静けさ」と、そこで生きる家族の温かな日常が対比的に表現されています。
ブーシェらしい優美な色彩使いが光る、どこか幻想的で、どこかノスタルジックな旅情をそそられます。 -
22 ジャン・オノレ・フラゴナール『目隠し鬼(コラン=マイヤール)』
大きな木々が木陰を作る豊かな自然の中で、目隠しをした若い女性を中心に、楽しそうに「目隠し鬼」のゲームに興じる恋人や若者たちの賑やかな一幕が描かれています。
画面中央では、女性が目隠しの下から少しだけ外を覗き込んでいるような、フラゴナールらしい恋の駆け引きを思わせるユーモラスな表情が細やかに表現されています。
緑と柔らかな陽光が織りなす明るい背景から、男女の衣服の美しい色彩や生き生きとしたポーズが立体的に浮かび上がっており、当時の貴族や若者たちの無邪気で華やかな日常の息づかいをそのまま伝えています。 -
23 ジェイコブ・ファン・ヴェルセン『女占い師』
少し薄暗い室内で、上品な白い襟元の衣服をまとった女性がベンチに腰掛け、ジプシーの占い師に自分の手相を見せている様子を切り取った作品です。
中央の女性がじっと見つめる手元を、大きな帽子を被った占い師とその連れの人物が熱心に覗き込んでいます。
彼女たちの衣服の鮮やかな黄色や深いブルーのグラデーションが立体的に美しく映えており、当時のオランダ絵画らしい、何気ない日常の心理戦を静かに表現しています。 -
24 ディルク・ハルス『楽しそうな仲間たち(陽気な会社)』
音楽と酒、そして笑い声が聞こえてくるような華やかな1枚、ディルク・ハルスの作品
黒いシックな額縁に収められた画面の中では、当時のお洒落な衣装に身を包んだ裕福な若者たちが、テーブルを囲んで賑やかに宴を楽しんでいます。
左側の男性はリュートという弦楽器を心地よさそうに奏で、中央の女性や、右側で大きな羽飾りの帽子を被った男性たちは楽しげに談笑しています。
衣服のサテン生地の光沢感や、生き生きとした人物たちのポーズに、ハルスらしい軽快な筆遣いが光っており、当時のオランダ・フランドル市民の陽気で豊かな日常の息づかいをそのまま伝えています。 -
25 シャルル・ル・ブラン『青年の肖像』
肩を少しはだけ、柔らかな白い衣服をまとった若者が、どこか物憂げで純粋な眼差しをこちらに向けている姿が描かれています。
ル・ブランといえば、ヴェルサイユ宮殿の装飾などを手がけた壮大な歴史画の巨匠として有名ですが、この肖像画では、頭に巻いた緑色の布とピンクのリボンが素朴なアクセントとなり、少年の瑞々しい肌の質感を引き立てています。
余計な背景を排したシンプルな構図だからこそ、青年の内面にある静けさやナイーブな感情がそのまま伝わってくるような、宮廷画家の確かな描写力が光ってます。 -
26 ルイ・ガブリエル・モロー(兄)『モンマルトル修道院の解体』
画面手前に大きく描かれた暗い石造りのアーチを「額縁」のように見立て、その隙間から、フランス革命によって崩されゆくモンマルトルの古い修道院の遺跡を覗き込むという、非常に凝った構図の魔法が使われています。
崩れかけた堅牢な石壁や、アーチに掛けられた木製の足場が、かつての聖域の終焉を静かに物語っています。
壊されゆく悲劇的な廃墟の佇まいと、その奥に広がる穏やかな青空と白い雲のコントラストがどこか哀愁を誘い、時代の移り変わりとはかない美しさを静かに見つめる、旅情をそそられます。 -
27 ワイブランド・シモンズ『12歳の子供の肖像画』
茶色を基調としたシックで仕立ての良い上着を身にまとい、右手に大きな帽子を携えてこちらを見つめる少年の姿が、等身大に近い立派な全身像として格式高く描かれています。
17世紀フランドル・オランダの肖像画らしい、丁寧に編み込まれたレースの襟元や、光沢のあるブーツの質感に画家の確かな技術が光っています。
少しはにかみながらも誇らしげな少年の眼差しが美しく、当時の裕福な市民階級の暮らしの豊かさと、どこか家族の温かみを感じさせてくれる、静かで気品に満ちています。 -
28 レンブラント・ファン・レイン『ベルシャザルの饗宴』
旧約聖書に登場するバビロニアの王、ベルシャザルが、神を冒涜する宴を開いていた最中、突如として壁に謎の光る文字が現れ、国の滅亡を予言されるという劇的な場面が描かれています。
画面左側で王冠を被った王が驚愕し、のけぞるようにして左手を挙げ、周囲の貴族や女性たちも恐怖に目を見開いて混乱に陥っています。
レンブラント特有の、暗闇の中から人物たちの表情や豪華な金糸の衣装が、強烈な光で浮かび上がるような明暗表現が実に見事です。
宴の華やかさから一瞬にして神の裁きへと変わる瞬間の臨場感に、思わず息をのんで立ち尽くしてしまいます。 -
29 オランダ・フランドル派(17世紀)『本を読む男性の肖像(預言者、あるいは学者)』
つばの広い大きな黒い帽子を被り、立派な髭を蓄えた男性が、手元に広げた書物のページを静かにめくる横顔が捉えられています。
画面全体が落ち着いたダークトーンでまとめられており、レンブラントやその周辺の画家たちに共通する、深い精神性と内省的な明暗表現が特徴です。
衣服の暗がりとは対照的に、本を持つ手元や顔の輪郭に当たる柔らかな光が、読書に没頭する男性の真剣な表情を立体的に浮かび上がらせています。
激しい宮廷のドラマから一転して、静寂な知識の世界へと見る者を誘います。 -
30 フランス学校(18世紀)『小さな礼拝堂のある風景』
画面左側には、一本の大きな木に寄り添うように建てられた小さな礼拝堂があり、その前で一人の巡礼者が静かに祈りを捧げている様子が描かれています。
画面右側には、白い岩肌をかすめるように流れる美しい滝と、手前で激しくしぶきを上げる清流が細やかに表現されています。
大自然の「動」である滝のせせらぎと、人間の「静」である祈りの瞬間が、ロココ調の柔らかな色彩で優美に調和しており、心がふっと穏やかに洗われるような清々しいです。 -
31 レオナルド・ダ・ヴィンチ(、あるいはその派)『バッカス(かつて洗礼者ヨハネとされた像)』
うっそうとした森の中、岩に腰掛けた酒の神バッカスが、独特のポーズで右手を挙げ、何かを指し示している姿が描かれています。
この作品は、もともとはキリスト教の聖人「荒野の洗礼者ヨハネ」として描かれていましたが、17世紀頃にブドウの蔓の冠が描き足され、ブドウの杖を持たせることで、異教の神バッカスへと描き直されたという大変面白い数奇な歴史を持っています。
ダ・ヴィンチ風の「スフマート(ぼかし技法)」を思わせる柔らかな光と影のコントラストが、男性の妖艶な微笑みと、引き締まった肉体を立体的に浮かび上がらせています。
聖書と異教の神話が一つに溶け込んだ、神秘的で少し謎めいた美しさに魅了されます。 -
32 ヨハン・エルンスト・ハインシウス『夫婦の肖像(あるいは家族の肖像)』
画面には、当時のはやりである洗練された衣装をまとった高貴な夫婦と、手前にはもう一人の美しい女性の肖像が、まるで「絵の中の絵」をめくるかのような劇的な仕掛けとともに描かれています。
中央の男性が、ピンクのドレスを着た左側の女性の肩に優しく手を置き、二人は手を取り合いながら、手前の女性が描かれた楕円形の肖像画をそっと明かしているような、非常に凝った構図の魔法が使されています。
人物たちの透き通るような肌の質感や、サテン生地のドレスの光沢感が細やかに表現されており、当時の上流階級の気品ある日常と家族の絆を静かに伝える、肖像画コレクションが素晴らしいです。 -
33 オクターヴ・タサエール『A. ベス少年の肖像(山羊を持つ子供)』
画面中央には、大きな麦わら帽子を被り、鮮やかな赤のドレスをまとった幼い男の子が、一頭の白いヤギの首に手を添えて優しく佇む姿が描かれています。
少年の丸く澄んだ瞳や、ヤギの柔らかい毛並みの質感が、ロマン主義の画家タサエールらしい温かみのある筆遣いで細やかに表現されています。
これまでのきらびやかな宮廷画や劇的な聖書の世界から一転して、のどかな自然を背景にした子供と動物の無垢な日常が切り取られており、ふと心が優しく癒やされるような、大変愛らしく魅力的です。 -
34 ヤヌアリウス・ジック『室内の光景、あるいは朝(家族の団欒)』
薄暗い家の中で、目覚めたばかりの家族が暖炉やテーブルの周りに集まり、新しい一日を迎えるための身支度や団欒に勤しんでいる、素朴な日常のひとコマが描かれています。
画面左側では母親がまだ小さな幼子を優しく抱きしめ、右側では父親が静かに靴紐を結び直しているような、何気なくも愛おしい家族の日常が切り取られています。レンブラントの流れを汲むドイツ・バロックらしい、暖炉の残り火や窓からの柔らかな朝光が、人物たちを優しく浮かび上がらせる明暗表現が実に見事です。
つづく
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旅行記グループ オランダ,チェコ,フランス,ドバイ周遊34日の旅-10
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