2025/05/02 - 2025/05/02
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mitsuさん
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:.。神秘的な祭壇画のパズルから、人間の強欲と愛を映すフランドルの鏡へ.。.:
今回の記録は、リシュリュー翼3階に広がる、15~16世紀のフランドル・オランダ絵画エリアです。
前半は、ヤン・プロヴォストやジェラール・ダヴィドによる、細部まで精緻に描き込まれた多翼祭壇画の数々を巡りました。表と裏で異なる物語が隠された知的な仕掛けや、当時の人々が信じた神秘的な宇宙観が美しく描かれています。
中盤は、ディエリック・バウツによる『悲しみの聖母』や『荊冠のキリスト』の涙の表現、そしてアンブロシウス・ベンソンらが描いた、時祷書を手に読書にふける気品あふれる女性たちの肖像画が並びます。
後半は、クエンティン・マサイスの有名な『両替商とその妻』や、人間の強欲さをユーモラスに暴いた『税金徴収官』など、社会のリアルを写し取った名作が登場。最後は、アントニス・モルやヘンドリック・ホルツィウスなどの、洗練されたマニエリスム期の肖像画や『マルタ島の聖パウロ』といったドラマチックな大作へと続きます。
驚異的な超絶技巧で描かれた人間の姿と、聖書の物語を宝探しのように読み解く楽しさが詰まった見ごたえのあるルートです。
全体の大まかな行程は以下になります。
今日は,★☆★です (^^)/
4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒
4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光
4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光
4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光
4/17(木) ギートホルン観光
4/18(金) キューケンホフ観光
4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動
4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光
4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光
4/22(火) ハーグ観光
4/23(水) プラハへ移動とプチ観光
4/24(木) プラハ観光+コンサート
4/25(金) プラハ観光+コンサート
4/26(土) プラハ観光
4/27(日) プラハ観光
4/28(月) プラハ観光
4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光
4/30(水) チェスキー・クルムロフ⇒プラハへ移動
5/1(木) パリへ移動,観光
★☆★5/2(金) パリ観光
5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光
5/4(日) パリ観光
5/5(月) 体調不良により観光無し
5/6(火) 体調不良により観光無し
5/7(水) パリ観光
5/8(木) シャルトルへ移動・観光
5/9(金) パリ観光
5/10(土) パリ観光
5/11(日) パリ観光
5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光
5/13(火) パリ観光
5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動
5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発
5/16(金) 成田着
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
前回、美しい彫刻が並ぶ中庭「クール・ピュジェ」を眺めて一息ついたところから今回スタートします。
ここから同じリシュリュー翼の3階へと上がり、15~16世紀のフランドル・オランダ絵画が並ぶ静かな展示室へと向かいます。
最初に見つけたのは、ヤン・プロヴォストの『アブラハムに息子の誕生を告げる天使』。
年老いた夫婦に子供が生まれる予言のシーンです。
右奥のドアから覗く妻のサラが、「この歳でまさか」とニヤリと微笑むリアルな表情がとても印象的です。 -
同じ壁面に、独特なオーラを放つ3つの宗教画が縦に並ぶ一角を見つけました。
上には神様、左下には不思議な球体、右側には聖母子。初期フランドル派らしい、緻密で神秘的な世界がギュッと凝縮されています。 -
3枚の一番上は、ジェラール・ダヴィドの『天使たちに囲まれて祝福する父なる神』。
金色の王冠をかぶった至高の神様が、私たちに祝福を授けています。かつては巨大な祭壇画の最上部を飾っていたパーツなのだそうです。 -
左下は、ヤン・プロヴォストの『キリスト教の寓意』。
中央の青い球体は「宇宙(地球)」そのものを表しており、下から人間の手がぐっと突き出て世界を支えているという独特な構図。
そして、その周囲には当時のキリスト教の世界観をあらわす重要なメッセージが散りばめられています。
真上の不気味な「目」: 雲の間からこちらをじっと見つめる大きな目は、すべてを見通す「神の全能の目」。そのすぐ隣には、純潔の象徴である「神の小羊」が佇んでいます。
左右の二人: 左側は人類の罪のために流した傷を示すキリスト、右側は胸に聖霊の鳩を抱く聖母マリアです。
二人が人間と神様をとりなす仲介者として描かれています。
一番下の「口」と「手」: 絵の最下部、地面から手が生えて必死に祈りを捧げている場所には、なんと巨大な「口」が描かれています。これは地獄の入り口を意味しており、当時の人々が抱いていた死後の世界への恐怖がリアルに表現されています。 -
右側は、ジェラール・ダヴィドの『聖アンナと聖母子』。
聖アンナ、マリア、イエスの三世代が並ぶ温かい絵です。
背景には当時のフランドル地方を思わせる美しい街並みが精緻に描かれています。 -
次に出会ったのは、豪華な金色の枠に収まった『セダノ家の三連祭壇画』(ジェラール・ダヴィド作)。
中央の聖母子の左右に、この絵を発注した商人セダノ夫妻がちゃっかり一緒にひざまずいて描かれているのが面白いポイントです。 -
その隣に並ぶ2枚の縦長の絵は、同じくダヴィド作の『教会の4人の大博士』。
神学の発展に尽くした4人の偉大な聖職者が本を読んでいます。
実はこれ、先ほどの『セダノ家の祭壇画』の扉をパタンと閉じたときにあらわれる「裏面の絵」なんです。 -
左側の縦長パネルに、二人の高貴な聖職者が上下に並んで描かれています。
上段は赤いカプッチョ(頭頭巾)をまとい、真剣な表情で羽ペンを走らせる聖ヒエロニムス。
下段は、金糸の豪華なマントを羽織り、静かに本をめくる司教の聖アンブロジウスです。
当時の知性の高さと厳かな威厳が、細部にわたる職人技で美しく表現されています。 -
右側の縦長パネルには、さらに二人の偉大な聖職者が上下に並んでいます。
上段はきらびやかな三重冠をかぶって執筆するローマ教皇の聖グレゴリウス1世、下段は本を開いて座る司教の聖アンブロジウス。
静けさの中に、知識人としての強い威厳が漂う美しいペアパネルです。 -
また別の3枚の宗教画が縦に並ぶ美しい一角がありました。
上には庭で読書をする女性、下には先ほどのマリア様と、対をなすようにいばらの冠をかぶったキリストの肖像画が並んでいます。 -
3枚の一番上は、ヤン・プロヴォストの『聖エメレンティア』。
聖母マリアのおばあちゃんにあたる珍しい聖人です。
彼女がめくる本のページのたるみや、背後にある純潔を象徴する生垣の庭が、ため息が出るほど繊細に描かれています。 -
ディエリック・バウツの『悲しみの聖母』。
我が子の受難を前に悲しむマリア様です。
赤く腫らした目から頬を伝う透明な涙の描写が、息をのむほどリアル。背景のゴールドが彼女の静かな祈りを引き立てています。 -
3つの絵の右下に飾られていた、ディエリック・バウツの『荊冠(けいかん)のキリスト』です。
十字架にかけられる直前、痛々しいいばらの冠をかぶせられた姿を描いたもので、画家の並外れた写実技術が細部に宿っています。
目元を伝う涙と血: 赤く充血した目からあふれそうな透明な涙、そして額のいばらが刺さった場所から滴る小さな血の雫が、驚くほどリアルに描写されています。
悲しみの聖母との繋がり: 実はこれ、前で紹介したマリア様の絵(『悲しみの聖母』)と元々は2枚1組(セット)で作られたもの。
並ぶ母と子の絆: 現在は離れて展示されていますが、本来は二人が見つめ合うように並び、マリア様の涙とキリストの涙・血の雫が対になるという、言葉にならない深い悲しみと絆が込められたペア作品です。
キリストの受難の苦しみと深い慈愛がストレートに胸に響く、とても意味深い名作でした。 -
展示室814へ移動し、出会ったのは『読書する聖マグダラのマリア』(女性の半身像の画家 作)。
右奥に置かれた金色の「香油壺」が彼女のマークです。世俗の娯楽を離れ、静かに聖書を読み解く知的な姿がエレガントに描かれています。 -
アンブロシウス・ベンソンの『聖カタリナと聖バルバラの間の聖母子』です。
緑豊かな自然の中で、美しいドレスに身を包んだ二人の聖女がマリア様を挟んで優雅に読書をしていますが、背景には彼女たちの壮絶な歴史を示すマーク(アトリビュート)が隠されています。
左の聖カタリナ: 背後の地面に、拷問から奇跡的に守られたことを示す「壊れた木の車輪」が描かれています。
右の聖バルバラ: 毛皮のマントを羽織った彼女の右奥には、父親によって幽閉されていた「石造りの塔」がひっそりと見えます。
中央の幼子イエス: 手に持つ「ぶどうの房」は、将来イエスが流すことになる「聖なる血(受難)」のシンボルです。
一見、優雅なお茶会のようですが、実は聖女たちの強い信仰心とイエスの未来の物語が緻密に隠された、とても見ごたえのある一枚です。 -
同じ画家の『時祷書を読む若い女性』。
豪華な金のジュエリーを身につけた貴族の女性が、お祈りの本を大切そうに持っています。
少しうつむき加減の物憂げな表情と、背景の深い赤茶色のグラデーションが彼女の美しさを引き立てています。 -
縦長のアダムとイヴの絵の下に、聖母子の絵が並ぶ3枚の組み合わせを見つけました。
「人類の原罪」と「キリストによる救済」という聖書のストーリーが縦のラインで繋がっています。 -
上のアーチ型パネル、ヤン・プロヴォストの『アダムとイヴ』。
禁断の果実(リンゴ)を手に持つイヴと、隣で少し戸惑うアダム。
裸を恥ずかしいと思い始めてイチジクの葉を添える人間の心理が、滑らかな裸体表現で描かれています。 -
下の美しい絵は、ヨース・ファン・クレーフェの『聖ベルナールに崇拝される聖母子』。
修道士ベルナールの前にマリアとイエスが幻影となって現れた奇跡の瞬間です。
窓の外に広がる穏やかなヨーロッパの森の景色が心地よい奥行きを与えています。 -
ヨース・ファン・クレーフェの『聖マグダラのマリア』。
右下の「香油壺」が目印です。
手鏡を見つめる少し憂いを帯びた表情、首元の豪華な毛皮(ファー)や赤ドレスの質感が、うっとりするほど上品に描かれています。 -
ハンス・メムリンクの『キリストの哀悼(ピエタ)』。
十字架から降ろされたキリストを抱き、悲しむマリアたちの姿です。
はるか遠くの丘の上には、キリストがかけられていた「3本の十字架」がぽつんと小さく描き込まれています。 -
ついにルーブルが誇るフランドル絵画の至宝、クエンティン・マサイスの『両替商とその妻』と対面しました!
国際貿易で栄えたアントワープの日常を描いた風俗画ですが、画面のあちこちに面白いメッセージが仕込まれています。
夫(両替商): 真剣な表情で天秤を持ち、様々な種類の金貨や真珠の重さを量っています。
妻: 手元にある美しいお祈りの本のページをめくっていますが、その視線は神の言葉ではなく、きらびやかな金貨の方へと吸い寄せられています。
「信仰」よりも「富」に心が奪われてしまう人間の弱さを、少し皮肉を込めて表現しているのだそうです。
手前の丸い「凸面鏡」: 机の上の小さな鏡をよく覗き込むと、窓の外の青空や建物の尖塔、そしてこちら側で静かに聖書を読んでいる「もう一人の人物」の姿が、驚異的な細密描写で写り込んでいます。
背景の棚: 二人の後ろには、消えかけた蝋燭やガラス瓶が置かれ、これらも「人生の短さや物の儚さ(ヴァニタス)」を意味しています。
ただの日常風景に見えて、実は「お金に執着しすぎてはいけないよ」という当時の道徳的な教訓がユーモラスに隠されている、実に見ごたえのある最高の1枚です。 -
同じ画家の『聖母子(キスする幼子)』。
赤ちゃんイエスがお母さんマリアの首に手を回し、ちゅっと可愛らしく口づけをする愛らしい絵です。
手前のテーブルにある「ぶどう」と「パン」は、将来のキリストの受難を静かに予言しています。 -
マリヌス・ファン・レイメルスワーレの代表作『税金徴収官』です。
当時の社会に対する鋭い風刺が込められた風俗画で、登場する二人の男たちの表情がとにかく強烈。お役人の「強欲さ」がユーモラスに誇張されています。
左の男(徴収官): ピンクの風変わりな帽子をかぶり、眉間にしわを寄せて冷徹に帳簿をつけています。お金に執着する貪欲な目つきがリアルです。
右の男: 緑の頭巾をかぶり、机のコインに手をかけながら、歪んだ表情でこちらをじっと睨みつけています。「次はお前の番だ」と言わんばかりの不気味さです。
後ろの棚: クシャクシャの書類や消えかけた蝋燭は、「お金にまみれた世俗の営みはいずれ消え去る儚いものだ」という教訓が隠されています。
500年前の人間味がダイレクトに伝わってくる、最高に見ごたえのある1枚です。 -
妖艶な美しさと不気味な影が同居する寓意画(アレゴリー)『虚栄、節制、そして死』です。
画面の中に美、道徳、そして逃れられない死の恐怖が詰め込まれており、まるで謎解きをするように見入ってしまいます。
中央の裸婦(虚栄・ヴァニタス): 鏡を覗き込んで自らの美貌にうぬぼれています。若さや宝石などの富が、いつかは消え去る儚いものであることを表しています。
後ろの女性(節制・モデラシオン): 欲望に溺れそうな人間を理性でコントロールしようと、優しく抱きかかえながら「馬の手綱」を握っています。
左奥の不気味な影(死): この絵で最もゾクッとさせられるのが、暗闇から二人を見つめる骸骨。どんなに若く美しくても、すべての人間には等しく「死」が迫っているという強烈なメッセージ(メメント・モリ)です。
引き伸ばされたような美しい身体のラインに目を奪われつつも、ふと背後の骸骨と目が合った瞬間にハッとさせられる、非常に深いメッセージ性を持った一枚です。 -
展示室811の、フランス・プールブス(父)作『ヴィグリウス・ファン・アイッタの肖像』。
皇帝に仕えた最高エリート法学者の姿です。右手に書類、左手に法典を持ち、最高ステータスである豪華な茶色の毛皮をまとった威厳が伝わってきます。 -
ヤン・プロヴォストの『三位一体の寓意』。
天の父なる神様が巨大なマントを広げ、キリストを信じる人々を包み込んで守っています。
左手前では預言者がこちらを振り返りながら巻物を指さし、奇跡の物語を力強く伝えています。 -
オランダの巨匠ヘンドリック・ホルツィウスの『聖ヒエロニムス』。
暗闇から浮かび上がるような引き締まった老肉体と、豊かな白髭がものすごい迫力です。背後の黄色いカーテンの鮮やかな色彩が、聖人の張り詰めた緊張感を高めています。 -
アントニス・モルの『男性の肖像』。
16世紀宮廷で大流行したスペイン風の黒い衣装に、首元の白いひだ飾りがとてもお洒落。
左手に持つ「手袋」は、肉体労働をしない高貴な身分と富をアピールするための重要なステータスです。 -
壁一面に高貴な人物たちの肖像画がずらりと並ぶ、格式高いエリア。
当時の上流階級の洗練されたファッションや、こちらを見つめる人間味あふれる鋭い眼差しが空間全体に満ちています。 -
縦長なパネル、フランス・プールブス(父)らの『アントニオ・デル・リオと二人の息子』。
下半分には黒い服を着て祈る領主親子のリアルな肖像、上半分の背景には一転して激しい『キリストの捕縛(逮捕のシーン)』がドラマチックに重ねられています。 -
先ほどの領主の絵と対をなす、奥様のパネル『レオノール・ロペス・ド・ヴィリャヌエバ』。
彼女の背景(上半分)には、夫の絵とは対照的に、キリストが天へと帰っていく輝かしい『キリストの昇天』の奇跡が描かれています。
夫婦で1つの壮大な物語になるペア作品です。 -
最後は画面いっぱいに無数の人がひしめき合う、ヤン・マサイスの『マルタ島で毒蛇に噛まれる聖パウロ』。
難破して漂着した島でパウロが毒蛇に噛まれるも、何の痛みも感じず火に振り落とした奇跡の瞬間です。島民たちの驚きの表情や鮮やかな衣装が見ごたえ抜群です。
つづく
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