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:.。☆ 天才たちが紡ぐ聖なる世界。ラファエロの間で出会う、贅沢な名画の旅 ☆.。.:<br /><br />今回のルネサンスの旅は、長く続いたイタリア絵画展示室を抜け、いよいよ最高の見どころである「ラファエロの間(ルーム712)」へと舞台を移します 。巨匠たちのきらめく才能がさらに濃密に満ちた、新しいお部屋での感動の始まりです。<br /><br />お部屋に入ると、晩年の大傑作『悪魔を打ち倒す大天使ミカエル』の凄まじい迫力にさっそく圧倒されます。ジュリオ・ロマーノやコレッジョといった頼れる弟子たちが描く、母性と慈愛に満ちた温かい聖家族や、ロマンチックな神話の世界をのんびり歩んでいくと、旅はいよいよ最高の締めくくりを迎えました。<br /><br />最後に目の前に現れたのは、ドメニコ・ベッカフーミが遺した傑作『パドヴァの聖アントニウスとロバの奇跡』です。お腹を空かせたロバがエサには目もくれず、聖体の前でそっと膝を折るという、聖書の有名な奇跡の瞬間が描かれています。周囲の人々の驚きや、暗闇から人物が優しく浮かび上がるようなドラマチックな光の表現には、時間を忘れてただただうっとりと見惚れてしまいました。<br /><br />本物の彫刻のように滑らかな肖像画や美しい光の魔術など、天才たちの凄まじい情熱をじっくりと肌で感じる、この上なく贅沢なひとときとなりました。<br />世界一広いルーヴル美術館のイタリア絵画の旅、そして数々の素晴らしい名画や作品は、この先もまだまだ続いていきます。<br /><br /><br />全体の大まかな行程は以下になります。<br /><br />今日は,★☆★です (^^)/<br /><br />4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒<br />4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光<br />4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光<br />4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光<br />4/17(木) ギートホルン観光<br />4/18(金) キューケンホフ観光<br />4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動<br />4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光<br />4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光<br />4/22(火) ハーグ観光<br />4/23(水) プラハへ移動とプチ観光<br />4/24(木) プラハ観光+コンサート<br />4/25(金) プラハ観光+コンサート <br />4/26(土) プラハ観光<br />4/27(日) プラハ観光<br />4/28(月) プラハ観光<br />4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光<br />4/30(水) チェスキー・クルムロフ⇒プラハへ移動<br />5/1(木) パリへ移動,観光<br /><br />★☆★5/2(金) パリ観光<br /><br />5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光<br />5/4(日) パリ観光<br />5/5(月) 体調不良により観光無し<br />5/6(火) 体調不良により観光無し <br />5/7(水) パリ観光<br />5/8(木) シャルトルへ移動・観光<br />5/9(金) パリ観光<br />5/10(土) パリ観光<br />5/11(日) パリ観光<br />5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光<br />5/13(火) パリ観光<br />5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動<br />5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発<br />5/16(金) 成田着

278。*:.。オランダ,チェコ,フランス35日間の旅 ☆パリ-17 ルーブル-14☆.。.:*

24いいね!

2025/05/02 - 2025/05/02

3280位(同エリア17307件中)

mitsu

mitsuさん

:.。☆ 天才たちが紡ぐ聖なる世界。ラファエロの間で出会う、贅沢な名画の旅 ☆.。.:

今回のルネサンスの旅は、長く続いたイタリア絵画展示室を抜け、いよいよ最高の見どころである「ラファエロの間(ルーム712)」へと舞台を移します 。巨匠たちのきらめく才能がさらに濃密に満ちた、新しいお部屋での感動の始まりです。

お部屋に入ると、晩年の大傑作『悪魔を打ち倒す大天使ミカエル』の凄まじい迫力にさっそく圧倒されます。ジュリオ・ロマーノやコレッジョといった頼れる弟子たちが描く、母性と慈愛に満ちた温かい聖家族や、ロマンチックな神話の世界をのんびり歩んでいくと、旅はいよいよ最高の締めくくりを迎えました。

最後に目の前に現れたのは、ドメニコ・ベッカフーミが遺した傑作『パドヴァの聖アントニウスとロバの奇跡』です。お腹を空かせたロバがエサには目もくれず、聖体の前でそっと膝を折るという、聖書の有名な奇跡の瞬間が描かれています。周囲の人々の驚きや、暗闇から人物が優しく浮かび上がるようなドラマチックな光の表現には、時間を忘れてただただうっとりと見惚れてしまいました。

本物の彫刻のように滑らかな肖像画や美しい光の魔術など、天才たちの凄まじい情熱をじっくりと肌で感じる、この上なく贅沢なひとときとなりました。
世界一広いルーヴル美術館のイタリア絵画の旅、そして数々の素晴らしい名画や作品は、この先もまだまだ続いていきます。


全体の大まかな行程は以下になります。

今日は,★☆★です (^^)/

4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒
4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光
4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光
4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光
4/17(木) ギートホルン観光
4/18(金) キューケンホフ観光
4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動
4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光
4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光
4/22(火) ハーグ観光
4/23(水) プラハへ移動とプチ観光
4/24(木) プラハ観光+コンサート
4/25(金) プラハ観光+コンサート 
4/26(土) プラハ観光
4/27(日) プラハ観光
4/28(月) プラハ観光
4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光
4/30(水) チェスキー・クルムロフ⇒プラハへ移動
5/1(木) パリへ移動,観光

★☆★5/2(金) パリ観光

5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光
5/4(日) パリ観光
5/5(月) 体調不良により観光無し
5/6(火) 体調不良により観光無し 
5/7(水) パリ観光
5/8(木) シャルトルへ移動・観光
5/9(金) パリ観光
5/10(土) パリ観光
5/11(日) パリ観光
5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光
5/13(火) パリ観光
5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動
5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発
5/16(金) 成田着

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
徒歩
旅行の手配内容
個別手配
  • 前回の長いイタリア絵画展示室(ルーム710)を抜け、旅はいよいよ「ラファエロの間(ルーム712)」へ変わりました。<br />巨匠の素晴らしい才能がぎゅっと詰まった、新しいお部屋でのスタートです。<br /><br />『悪魔を打ち倒す大天使ミカエル』<br /><br />巨匠ラファエロが1518年に手がけた、彼の晩年の大傑作です。<br />天から急降下してきた大天使ミカエルが、背中に大きな翼を広げ、足元で身悶えする悪魔(サタン)の頭を力強く踏みつけて槍を突き立てている、正義の勝利の場面です。<br />前回の旅行記の後半で見た若い頃のミカエルと比べると、肉体の躍動感や、風になびく衣装の動きがぐっと激しく進化しています。<br />悪に打ち勝つ神聖な光の表現など、ラファエロがその生涯の最後に到達した、凄まじい情熱と迫力が肌にまっすぐ伝わってくる見事な一枚です。

    前回の長いイタリア絵画展示室(ルーム710)を抜け、旅はいよいよ「ラファエロの間(ルーム712)」へ変わりました。
    巨匠の素晴らしい才能がぎゅっと詰まった、新しいお部屋でのスタートです。

    『悪魔を打ち倒す大天使ミカエル』

    巨匠ラファエロが1518年に手がけた、彼の晩年の大傑作です。
    天から急降下してきた大天使ミカエルが、背中に大きな翼を広げ、足元で身悶えする悪魔(サタン)の頭を力強く踏みつけて槍を突き立てている、正義の勝利の場面です。
    前回の旅行記の後半で見た若い頃のミカエルと比べると、肉体の躍動感や、風になびく衣装の動きがぐっと激しく進化しています。
    悪に打ち勝つ神聖な光の表現など、ラファエロがその生涯の最後に到達した、凄まじい情熱と迫力が肌にまっすぐ伝わってくる見事な一枚です。

  • 『ティトゥスとヴェスパシアヌスの凱旋』<br /><br />ラファエロの頼れる愛弟子だった画家ジュリオ・ロマーノが1540年頃に手がけた作品です。<br />古代ローマ帝国の皇帝たちが、戦いに勝って立派な馬車で街へと帰ってきた華やかなパレードの場面が描かれています。<br />馬車の上では、空を飛ぶ天使が皇帝の頭に勝利の冠を授けようとしており、まわりの人々や馬たちも生き生きと力強く描かれています。<br />背景にそびえ立つ大きな柱や、遠くに見える川の風景など、まるで歴史の教科書を眺めているようなワクワクする一枚です。

    『ティトゥスとヴェスパシアヌスの凱旋』

    ラファエロの頼れる愛弟子だった画家ジュリオ・ロマーノが1540年頃に手がけた作品です。
    古代ローマ帝国の皇帝たちが、戦いに勝って立派な馬車で街へと帰ってきた華やかなパレードの場面が描かれています。
    馬車の上では、空を飛ぶ天使が皇帝の頭に勝利の冠を授けようとしており、まわりの人々や馬たちも生き生きと力強く描かれています。
    背景にそびえ立つ大きな柱や、遠くに見える川の風景など、まるで歴史の教科書を眺めているようなワクワクする一枚です。

  • 『幼児聖ヨハネと聖母子』<br /><br />ラファエロの頼れる愛弟子であったジュリオ・ロマーノが1516~1517年頃に手がけた作品です。<br />聖母マリアが愛らしい幼児キリストを大切そうに抱きかかえ、その隣に幼い洗礼者聖ヨハネが優しく寄り添っています。<br />暗い背景のなかから、人物たちの滑らかな肌や衣服の質感が美しく浮かび上がっています。<br />師匠であるラファエロの気品あふれる雰囲気をしっかりと受け継ぎながら、どこか親しみやすくて温かみを感じさせる、とても穏やかな一枚です。

    『幼児聖ヨハネと聖母子』

    ラファエロの頼れる愛弟子であったジュリオ・ロマーノが1516~1517年頃に手がけた作品です。
    聖母マリアが愛らしい幼児キリストを大切そうに抱きかかえ、その隣に幼い洗礼者聖ヨハネが優しく寄り添っています。
    暗い背景のなかから、人物たちの滑らかな肌や衣服の質感が美しく浮かび上がっています。
    師匠であるラファエロの気品あふれる雰囲気をしっかりと受け継ぎながら、どこか親しみやすくて温かみを感じさせる、とても穏やかな一枚です。

  • 『ブドウの収穫の聖家族(聖アンナ、聖ヨセフと天使たち)』<br /><br />ラファエロの頼れる愛弟子であったジュリオ・ロマーノが手がけた作品です。<br />聖母マリアと幼児キリストを中心に、後ろから見守る聖ヨセフや聖アンナ、そしてたくさんの愛らしい天使たちが描かれています。<br />羽の生えた小さな天使がキリストにブドウを差し出しており、木の上でも楽しそうにブドウを収穫している姿がとても微笑ましいです。<br />背景の澄んだ青空やのどかな自然の風景も美しく、家族の温かい幸せなひとときが生き生きと表現されています。

    『ブドウの収穫の聖家族(聖アンナ、聖ヨセフと天使たち)』

    ラファエロの頼れる愛弟子であったジュリオ・ロマーノが手がけた作品です。
    聖母マリアと幼児キリストを中心に、後ろから見守る聖ヨセフや聖アンナ、そしてたくさんの愛らしい天使たちが描かれています。
    羽の生えた小さな天使がキリストにブドウを差し出しており、木の上でも楽しそうにブドウを収穫している姿がとても微笑ましいです。
    背景の澄んだ青空やのどかな自然の風景も美しく、家族の温かい幸せなひとときが生き生きと表現されています。

  • 『ヴィーナスとウルカヌス、クピドたち』<br /><br />ラファエロの愛弟子であったジュリオ・ロマーノが手がけた作品です。<br />愛の女神ヴィーナスと、夫である火と鍛冶の神ウルカヌス、そしてその周りで無邪気に遊ぶ可愛いキューピッドたちが描かれています。<br />ウルカヌスが作った矢をヴィーナスが手に取り、子供たちがそれを楽しそうに見つめている温かい場面です。<br />左奥に見える鍛冶場の炎の光や、暗闇から人物が白く美しく浮かび上がる明暗の表現が、とてもドラマチックで印象的な一枚です。

    『ヴィーナスとウルカヌス、クピドたち』

    ラファエロの愛弟子であったジュリオ・ロマーノが手がけた作品です。
    愛の女神ヴィーナスと、夫である火と鍛冶の神ウルカヌス、そしてその周りで無邪気に遊ぶ可愛いキューピッドたちが描かれています。
    ウルカヌスが作った矢をヴィーナスが手に取り、子供たちがそれを楽しそうに見つめている温かい場面です。
    左奥に見える鍛冶場の炎の光や、暗闇から人物が白く美しく浮かび上がる明暗の表現が、とてもドラマチックで印象的な一枚です。

  • 『聖マルガリータ』<br /><br />巨匠ラファエロと、その愛弟子ジュリオ・ロマーノが1518年に手がけた作品です。<br />キリスト教の聖女マルガリータが、足元にいる恐ろしい怪物の姿をした竜(悪魔)を勇敢に退治している場面が描かれています。<br />竜の大きな口が左側で恐ろしげに開いていますが、聖女は穏やかな表情を浮かべ、手には勝利の象徴である植物の葉をそっと持っています。<br />暗い森の背景から彼女の美しい姿が浮かび上がる、ラファエロたちの気品ある表現が際立つ魅力的な一枚です。

    『聖マルガリータ』

    巨匠ラファエロと、その愛弟子ジュリオ・ロマーノが1518年に手がけた作品です。
    キリスト教の聖女マルガリータが、足元にいる恐ろしい怪物の姿をした竜(悪魔)を勇敢に退治している場面が描かれています。
    竜の大きな口が左側で恐ろしげに開いていますが、聖女は穏やかな表情を浮かべ、手には勝利の象徴である植物の葉をそっと持っています。
    暗い森の背景から彼女の美しい姿が浮かび上がる、ラファエロたちの気品ある表現が際立つ魅力的な一枚です。

  • 『羊飼いたちの礼拝と聖ロンギヌス、聖ヨハネ』<br /><br />ラファエロの頼れる愛弟子であったジュリオ・ロマーノが1535年頃に手がけた大作です。<br />生まれたばかりの幼いキリストを、聖母マリアや駆けつけた羊飼いたちが優しく見守る、心温まるクリスマスの場面が描かれています。<br />左端で大きな槍を持って立っているのは、のちにキリスト教の聖人となる「聖ロンギヌス」です。<br />右端には、キリストの愛弟子である「聖ヨハネ」が聖杯を手にして静かに佇んでいます。<br />背景の夜空の奥では、天使がまばゆい光とともに現れてイエスの誕生を人々に告げており、ドラマチックな光と影の表現がとても見ごたえのある一枚です。

    『羊飼いたちの礼拝と聖ロンギヌス、聖ヨハネ』

    ラファエロの頼れる愛弟子であったジュリオ・ロマーノが1535年頃に手がけた大作です。
    生まれたばかりの幼いキリストを、聖母マリアや駆けつけた羊飼いたちが優しく見守る、心温まるクリスマスの場面が描かれています。
    左端で大きな槍を持って立っているのは、のちにキリスト教の聖人となる「聖ロンギヌス」です。
    右端には、キリストの愛弟子である「聖ヨハネ」が聖杯を手にして静かに佇んでいます。
    背景の夜空の奥では、天使がまばゆい光とともに現れてイエスの誕生を人々に告げており、ドラマチックな光と影の表現がとても見ごたえのある一枚です。

  • 『聖アンナ、幼児聖ヨハネ、二人の天使のいる聖母子(神聖な愛)』<br /><br />イタリアの画家フランチェスコ・ペッリ(通称フランチェスコ・パンツィ)が1525~1530年頃に手がけた作品です。<br />聖母マリアの膝の上に座る幼いキリストと、隣で優しく語りかけるような仕草をする幼い洗礼者聖ヨハネが描かれています。<br />右側で白い頭巾をかぶり、静かに見守っているのはヨハネの母「聖アンナ」です。<br />左奥では、大きな青い翼を持った愛らしい天使たちが二人を祝福するように寄り添っています。<br />登場人物たちの丸みのある柔らかな肌の質感や、優しい微笑みに、ルネサンス期ならではの温かみを感じる美しい一枚です。

    『聖アンナ、幼児聖ヨハネ、二人の天使のいる聖母子(神聖な愛)』

    イタリアの画家フランチェスコ・ペッリ(通称フランチェスコ・パンツィ)が1525~1530年頃に手がけた作品です。
    聖母マリアの膝の上に座る幼いキリストと、隣で優しく語りかけるような仕草をする幼い洗礼者聖ヨハネが描かれています。
    右側で白い頭巾をかぶり、静かに見守っているのはヨハネの母「聖アンナ」です。
    左奥では、大きな青い翼を持った愛らしい天使たちが二人を祝福するように寄り添っています。
    登場人物たちの丸みのある柔らかな肌の質感や、優しい微笑みに、ルネサンス期ならではの温かみを感じる美しい一枚です。

  • 『アラゴンを治めるドナ・イサベルの肖像』<br /><br />巨匠ラファエロと、その愛弟子ジュリオ・ロマーノが1518年頃に手がけた世界的な名作です。<br />かつて南イタリアのナポリを治めていたアラゴン家という高貴な一族の公妃(イサベル)です。当時「絶世の美女」としてヨーロッパ中で大変有名だった女性が描かれています。<br /><br />彼女が身にまとっている、深い赤色の高価なベルベットドレスのふんわりとした質感や、頭にのせた大きな帽子の金細工の描き込みがとにかく豪華絢爛です。左奥の窓からは、当時の貴族たちが愛した美しい庭園の風景がのぞいており、ラファエロならではの優雅で洗練された気品が画面全体からまっすぐに伝わってきます。

    『アラゴンを治めるドナ・イサベルの肖像』

    巨匠ラファエロと、その愛弟子ジュリオ・ロマーノが1518年頃に手がけた世界的な名作です。
    かつて南イタリアのナポリを治めていたアラゴン家という高貴な一族の公妃(イサベル)です。当時「絶世の美女」としてヨーロッパ中で大変有名だった女性が描かれています。

    彼女が身にまとっている、深い赤色の高価なベルベットドレスのふんわりとした質感や、頭にのせた大きな帽子の金細工の描き込みがとにかく豪華絢爛です。左奥の窓からは、当時の貴族たちが愛した美しい庭園の風景がのぞいており、ラファエロならではの優雅で洗練された気品が画面全体からまっすぐに伝わってきます。

  • 『聖母子と聖アンナ、幼児聖ヨハネ』<br /><br />巨匠ラファエロの優秀な弟子であったイタリアの画家ペリーノ・デル・ヴァーガが1520~1523年頃に手がけた作品です。<br />丸い円形の豪華な額縁のなかに、聖母マリアと、その膝の上で元気に動く幼児キリストの姿が描かれています。<br />左側ではヨハネの母「聖アンナ」が幼児の「洗礼者聖ヨハネ」を優しく抱きかかえており、右奥からは夫の聖ヨセフが静かに見守っています。<br />登場人物たちの丸みのあるふっくらとした愛らしい肉体や、優しい微笑みに、師匠ラファエロの作風が美しく受け継がれている温かみのある一枚です。

    『聖母子と聖アンナ、幼児聖ヨハネ』

    巨匠ラファエロの優秀な弟子であったイタリアの画家ペリーノ・デル・ヴァーガが1520~1523年頃に手がけた作品です。
    丸い円形の豪華な額縁のなかに、聖母マリアと、その膝の上で元気に動く幼児キリストの姿が描かれています。
    左側ではヨハネの母「聖アンナ」が幼児の「洗礼者聖ヨハネ」を優しく抱きかかえており、右奥からは夫の聖ヨセフが静かに見守っています。
    登場人物たちの丸みのあるふっくらとした愛らしい肉体や、優しい微笑みに、師匠ラファエロの作風が美しく受け継がれている温かみのある一枚です。

  • 『聖母子と聖人たち』<br /><br />イタリアの画家フラ・バルトロメオが1515年頃に手がけた大作です。<br />一段高い台座に座る聖母マリアを中心に、彼女を取り囲むように大勢の聖人たちが左右に並んで描かれています。<br />左上では、小さな天使がふわりと宙を舞いながらマリアに祝福の冠を授けようとしています。<br />手前でひざまずいて熱心に祈る人々の姿や、背景の立派な大理石の柱が、画面全体に厳かで神聖な空気を醸し出している、とても見ごたえのある一枚です。

    『聖母子と聖人たち』

    イタリアの画家フラ・バルトロメオが1515年頃に手がけた大作です。
    一段高い台座に座る聖母マリアを中心に、彼女を取り囲むように大勢の聖人たちが左右に並んで描かれています。
    左上では、小さな天使がふわりと宙を舞いながらマリアに祝福の冠を授けようとしています。
    手前でひざまずいて熱心に祈る人々の姿や、背景の立派な大理石の柱が、画面全体に厳かで神聖な空気を醸し出している、とても見ごたえのある一枚です。

  • 『聖カタリナの神秘の結婚と聖人たち』<br /><br />イタリアの画家フラ・バルトロメオが1511年に手がけた、縦2.5メートルを超える非常に大きくて豪華な傑作です。<br />中央の一段高い台座に座る聖母マリアの前に、一人の女性がひざまずいています。この女性はキリスト教の聖女「シエナの聖カタリナ」です。幼いキリストが、彼女の手指にそっと指輪をはめている「神秘の結婚」と呼ばれるとても有名な幻の場面が描かれています。<br /><br />マリアたちのまわりには、キリスト教の歴史で大切な聖人たちがずらりと並んで見守っています。左端でオレンジのマントを羽織っているのは「聖ペテロ」、右側で緑の上着を着ているのは「聖バルトロメオ」です。<br /><br />頭上では、大きな羽を持った愛らしい天使たちが、緑色の重厚なカーテンをふわりと左右に持ち上げて、この神聖な儀式を祝福しています。<br /><br />人物たちの穏やかな微笑みや、衣服の滑らかな質感、そして劇場のような立体的な構図など、ルネサンスの盛期ならではの気品あふれる美しさが画面いっぱいに広がる、とても見ごたえのある大作です。

    『聖カタリナの神秘の結婚と聖人たち』

    イタリアの画家フラ・バルトロメオが1511年に手がけた、縦2.5メートルを超える非常に大きくて豪華な傑作です。
    中央の一段高い台座に座る聖母マリアの前に、一人の女性がひざまずいています。この女性はキリスト教の聖女「シエナの聖カタリナ」です。幼いキリストが、彼女の手指にそっと指輪をはめている「神秘の結婚」と呼ばれるとても有名な幻の場面が描かれています。

    マリアたちのまわりには、キリスト教の歴史で大切な聖人たちがずらりと並んで見守っています。左端でオレンジのマントを羽織っているのは「聖ペテロ」、右側で緑の上着を着ているのは「聖バルトロメオ」です。

    頭上では、大きな羽を持った愛らしい天使たちが、緑色の重厚なカーテンをふわりと左右に持ち上げて、この神聖な儀式を祝福しています。

    人物たちの穏やかな微笑みや、衣服の滑らかな質感、そして劇場のような立体的な構図など、ルネサンスの盛期ならではの気品あふれる美しさが画面いっぱいに広がる、とても見ごたえのある大作です。

  • 『友人のいる自画像』<br /><br />巨匠ラファエロが1518~1519年頃に手がけた、世界的にとても有名な傑作です。左奥でこちらをまっすぐに見つめている長い髪の男性が、画家であるラファエロ自身の姿(自画像)だとされています。<br />手前にいる親しい友人の肩にそっと手を置き、お互いの信頼関係を表しているような温かい構図が特徴です。<br />暗い背景のなかから二人の知性あふれる表情や、おだやかな光の表現が美しく浮かび上がる、巨匠の晩年の名作です。

    『友人のいる自画像』

    巨匠ラファエロが1518~1519年頃に手がけた、世界的にとても有名な傑作です。左奥でこちらをまっすぐに見つめている長い髪の男性が、画家であるラファエロ自身の姿(自画像)だとされています。
    手前にいる親しい友人の肩にそっと手を置き、お互いの信頼関係を表しているような温かい構図が特徴です。
    暗い背景のなかから二人の知性あふれる表情や、おだやかな光の表現が美しく浮かび上がる、巨匠の晩年の名作です。

  • 『ヴィーナスとクピドとサテュロス』<br /><br />イタリア・ルネサンス期の高名な画家コレッジョが1524~1527年頃に手がけた、世界的な大傑作です。<br />かつてはギリシャ神話をもとに『ジュピターとアンティオペ』とも呼ばれていました。<br />中央で美しい裸体を横たえて心地よさそうに眠っているのは、愛の女神ヴィーナス(金星)です。その足元では、小さな翼を持った息子のクピド(キューピッド)が一緒にすやすやと眠っています。そこへ、背後から山林の精霊であるサテュロス(羊の足を持つ半獣の神)が忍び寄り、ヴィーナスにかけられていた青い布をそっとめくって、彼女の美しい姿をのぞき見ようとしている、ドラマチックな一瞬が描かれています。<br /><br />コレッジョの最大の特徴である、白く滑らかな肌が暗闇からまばゆく浮かび上がるような、あたたかみのある光と影の表現(明暗法)が本当に見事です。登場人物たちの配置がゆるやかな斜めの線を描いており、観る人を絵の世界へと優しく引き込むような、ルネサンス期ならではの洗練された空間構造が楽しめます。

    『ヴィーナスとクピドとサテュロス』

    イタリア・ルネサンス期の高名な画家コレッジョが1524~1527年頃に手がけた、世界的な大傑作です。
    かつてはギリシャ神話をもとに『ジュピターとアンティオペ』とも呼ばれていました。
    中央で美しい裸体を横たえて心地よさそうに眠っているのは、愛の女神ヴィーナス(金星)です。その足元では、小さな翼を持った息子のクピド(キューピッド)が一緒にすやすやと眠っています。そこへ、背後から山林の精霊であるサテュロス(羊の足を持つ半獣の神)が忍び寄り、ヴィーナスにかけられていた青い布をそっとめくって、彼女の美しい姿をのぞき見ようとしている、ドラマチックな一瞬が描かれています。

    コレッジョの最大の特徴である、白く滑らかな肌が暗闇からまばゆく浮かび上がるような、あたたかみのある光と影の表現(明暗法)が本当に見事です。登場人物たちの配置がゆるやかな斜めの線を描いており、観る人を絵の世界へと優しく引き込むような、ルネサンス期ならではの洗練された空間構造が楽しめます。

  • 『バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像』<br /><br />ルネサンスの巨匠ラファエロが1514~1515年頃に手がけた、世界的な大傑作の肖像画です。<br />ラファエロの親しい友人であり、当時に大ベストセラーとなった『宮廷人』という本を書いた有名な知識人(カスティリオーネ)です。<br />洗練された紳士の理想像として、今でも世界中で語り継がれている人物です。<br /><br />派手な金銀で飾るのではなく、黒い帽子にグレーの毛皮という、落ち着いたシックな衣装を身にまとっています。<br />それによって、彼の知性あふれる穏やかな人柄がまっすぐに伝わってきます。<br />一番の魅力は、こちらを優しく見つめるクリアな青い瞳です。<br />まるで今にも語りかけてきそうな生き生きとした眼差しと、背景に溶け込むような柔らかい光の表現は、ラファエロの肖像画のなかでも最高峰の美しさと言われています。

    『バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像』

    ルネサンスの巨匠ラファエロが1514~1515年頃に手がけた、世界的な大傑作の肖像画です。
    ラファエロの親しい友人であり、当時に大ベストセラーとなった『宮廷人』という本を書いた有名な知識人(カスティリオーネ)です。
    洗練された紳士の理想像として、今でも世界中で語り継がれている人物です。

    派手な金銀で飾るのではなく、黒い帽子にグレーの毛皮という、落ち着いたシックな衣装を身にまとっています。
    それによって、彼の知性あふれる穏やかな人柄がまっすぐに伝わってきます。
    一番の魅力は、こちらを優しく見つめるクリアな青い瞳です。
    まるで今にも語りかけてきそうな生き生きとした眼差しと、背景に溶け込むような柔らかい光の表現は、ラファエロの肖像画のなかでも最高峰の美しさと言われています。

  • 『慈愛』<br /><br />イタリア盛期ルネサンスの画家アンドレア・デル・サルトが1518年に手がけた、世界的な大傑作です。<br />キリスト教においてもっとも大切とされる美徳のひとつ「慈愛」を、一人の人間の女性(母親)の姿として表現した絵です。<br />中央の母親が赤ちゃんに優しくおっぱいを授けており、その周りで小さな子どもたちが無邪気に、かつ愛らしく寄り添っているとても温かい場面が描かれています。<br /><br />足元で気持ちよさそうにすやすや眠っている子どもの姿は「平和」を表現しています。また、その近くの地面に転がっている赤く熟した「ザクロ」の実は、キリスト教において「再生」や「不死」を表す特別な果物です。<br /><br />アンドレア・デル・サルトは、かつてフランスで亡くなったレオナルド・ダ・ヴィンチの代わりに、時のフランス国王(フランソワ1世)に招かれてこの絵を描きました。<br />マリア様を包み込むような青と赤の美しいドレスのグラデーション、そして子どもたちの生き生きとした肉体の柔らかさは、まさにフィレンツェの巨匠ならではの圧倒的な職人技です。

    『慈愛』

    イタリア盛期ルネサンスの画家アンドレア・デル・サルトが1518年に手がけた、世界的な大傑作です。
    キリスト教においてもっとも大切とされる美徳のひとつ「慈愛」を、一人の人間の女性(母親)の姿として表現した絵です。
    中央の母親が赤ちゃんに優しくおっぱいを授けており、その周りで小さな子どもたちが無邪気に、かつ愛らしく寄り添っているとても温かい場面が描かれています。

    足元で気持ちよさそうにすやすや眠っている子どもの姿は「平和」を表現しています。また、その近くの地面に転がっている赤く熟した「ザクロ」の実は、キリスト教において「再生」や「不死」を表す特別な果物です。

    アンドレア・デル・サルトは、かつてフランスで亡くなったレオナルド・ダ・ヴィンチの代わりに、時のフランス国王(フランソワ1世)に招かれてこの絵を描きました。
    マリア様を包み込むような青と赤の美しいドレスのグラデーション、そして子どもたちの生き生きとした肉体の柔らかさは、まさにフィレンツェの巨匠ならではの圧倒的な職人技です。

  • 『フランソワ1世の聖家族』<br /><br />ルネサンスの巨匠ラファエロとその工房が1518年に手がけた、世界的な大傑作です。時のフランス国王(フランソワ1世)へ贈るために描かれたため、この名前がついています。<br /><br />中央では、聖母マリアが愛らしい幼児キリストをゆりかごから優しく抱き上げようとしています。左側では、マリアの親戚である「聖エリザベト」が、手を合わせる幼い「洗礼者聖ヨハネ」をそっと支えています。そして右奥の暗がりからは、夫の「聖ヨセフ」が頬杖をついて家族を静かに見守っています。<br /><br />頭上を注目すると、美しい二人の天使が宙を舞い、マリアの頭に祝福の花冠をそっと授けようとしています。この絵は中世の「神々しい宗教画」とは異なり、人間の本当の家族のような、温かみあふれる「母の優しさ」や「親子のふれあい」が生き生きと表現されているのが最大の特徴です。暗闇から登場人物たちがまばゆく浮かび上がる鮮やかな色彩は、まさにラファエロの最高峰の職人技です。

    『フランソワ1世の聖家族』

    ルネサンスの巨匠ラファエロとその工房が1518年に手がけた、世界的な大傑作です。時のフランス国王(フランソワ1世)へ贈るために描かれたため、この名前がついています。

    中央では、聖母マリアが愛らしい幼児キリストをゆりかごから優しく抱き上げようとしています。左側では、マリアの親戚である「聖エリザベト」が、手を合わせる幼い「洗礼者聖ヨハネ」をそっと支えています。そして右奥の暗がりからは、夫の「聖ヨセフ」が頬杖をついて家族を静かに見守っています。

    頭上を注目すると、美しい二人の天使が宙を舞い、マリアの頭に祝福の花冠をそっと授けようとしています。この絵は中世の「神々しい宗教画」とは異なり、人間の本当の家族のような、温かみあふれる「母の優しさ」や「親子のふれあい」が生き生きと表現されているのが最大の特徴です。暗闇から登場人物たちがまばゆく浮かび上がる鮮やかな色彩は、まさにラファエロの最高峰の職人技です。

  • 『聖母の訪問(エリサベトを訪ねるマリア)』<br /><br />イタリア・ルネサンス期の高名な画家セバスティアーノ・デル・ピオンボが1518~1519年頃に手がけた作品です。<br /><br />神の子(キリスト)を身ごもったばかりの若き聖母マリアが、同じく奇跡の妊娠をした年上の親戚「エリサベト」のもとを祝福のために訪れた、聖書の非常に有名な場面が描かれています。中央の二人がお互いに手を伸ばし、深い喜びといたわりを分かち合う、心温まる劇的な一瞬です。<br /><br />左奥で見守る女性たちの静かな佇まいや、背景に広がる夕暮れ時ののどかな田園風景が、二人の再会を優しく引き立てています。<br />セバスティアーノ・デル・ピオンボは、豊かな色彩で有名な「ベネチア派」の出身でありながら、のちにローマで巨匠ミケランジェロからデッサン(骨格の描き方)を直接学びました。<br />マリア様の凛とした横顔や、衣装のたくましくも滑らかなひだの表現に、その二つの流派が見事に溶け合った高い技術が美しく表れています。

    『聖母の訪問(エリサベトを訪ねるマリア)』

    イタリア・ルネサンス期の高名な画家セバスティアーノ・デル・ピオンボが1518~1519年頃に手がけた作品です。

    神の子(キリスト)を身ごもったばかりの若き聖母マリアが、同じく奇跡の妊娠をした年上の親戚「エリサベト」のもとを祝福のために訪れた、聖書の非常に有名な場面が描かれています。中央の二人がお互いに手を伸ばし、深い喜びといたわりを分かち合う、心温まる劇的な一瞬です。

    左奥で見守る女性たちの静かな佇まいや、背景に広がる夕暮れ時ののどかな田園風景が、二人の再会を優しく引き立てています。
    セバスティアーノ・デル・ピオンボは、豊かな色彩で有名な「ベネチア派」の出身でありながら、のちにローマで巨匠ミケランジェロからデッサン(骨格の描き方)を直接学びました。
    マリア様の凛とした横顔や、衣装のたくましくも滑らかなひだの表現に、その二つの流派が見事に溶け合った高い技術が美しく表れています。

  • 『栄光の聖母子と洗礼者聖ヨハネ、聖ステファノ』<br /><br />イタリアの画家ミケランジェロ・アンセルミが1525~1530年頃に手がけた作品です。<br />絵の半分を境にして「天上の世界」と「地上の世界」がドラマチックに描き分けられています。<br />上空では、柔らかな雲の上に聖母マリアと幼児キリストが腰掛け、まわりをたくさんの愛らしい天使たちが囲んでいます。<br />地上では、キリスト教の歴史においてとても重要な二人の聖人がひざまずき、静かに天上を見上げています。<br /><br />左側にいる毛皮の服を着た男性は「洗礼者聖ヨハネ」で、天上のキリストを指差しています。<br />右側にいる鮮やかな赤い衣装の若者は、最初の殉教者として名高い「聖ステファノ」です。<br />手には、彼が信仰のために石を投げつけられて命を落とした歴史を表すヤシの葉(シュロの葉)を持っています。<br /><br />中央の天使たちが大きな本(聖書)を一生懸命に広げて聖ステファノに見せている仕草が、とても生き生きとしていて微笑ましいです。<br />うろこ雲のような立体的な雲の表現や、暗闇からあたたかく浮かび上がる人物たちの鮮やかな色彩に、ルネサンス期ならではの上品で神秘的な美しさが綺麗に表れている大作です。

    『栄光の聖母子と洗礼者聖ヨハネ、聖ステファノ』

    イタリアの画家ミケランジェロ・アンセルミが1525~1530年頃に手がけた作品です。
    絵の半分を境にして「天上の世界」と「地上の世界」がドラマチックに描き分けられています。
    上空では、柔らかな雲の上に聖母マリアと幼児キリストが腰掛け、まわりをたくさんの愛らしい天使たちが囲んでいます。
    地上では、キリスト教の歴史においてとても重要な二人の聖人がひざまずき、静かに天上を見上げています。

    左側にいる毛皮の服を着た男性は「洗礼者聖ヨハネ」で、天上のキリストを指差しています。
    右側にいる鮮やかな赤い衣装の若者は、最初の殉教者として名高い「聖ステファノ」です。
    手には、彼が信仰のために石を投げつけられて命を落とした歴史を表すヤシの葉(シュロの葉)を持っています。

    中央の天使たちが大きな本(聖書)を一生懸命に広げて聖ステファノに見せている仕草が、とても生き生きとしていて微笑ましいです。
    うろこ雲のような立体的な雲の表現や、暗闇からあたたかく浮かび上がる人物たちの鮮やかな色彩に、ルネサンス期ならではの上品で神秘的な美しさが綺麗に表れている大作です。

  • 『プロセルピナの略奪(ペルセポネの誘拐)』<br /><br />イタリアの画家ニコロ・デラバーテが1552~1570年頃に手がけた作品です。<br />ギリシャ・ローマ神話に登場する非常に有名な悲劇の場面が描かれています。<br />画面の右側では、冥界(死後の世界)の王プルート(ハデス)が、大地の女神の愛娘である美しい乙女プロセルピナを力ずくで抱え上げ、地底の国へと連れ去ろうと走っています。<br />左側では、一緒に花を摘んでいた彼女の友人(妖精たち)が、突然の出来事に驚き、慌てふためいている姿が描かれています。<br /><br />画面の一番手前(右下)で、川のほとりに静かに横たわって事件を見つめているのは、泉のニンフ(妖精)シアーヌです。<br />彼女はこのあと、プロセルピナを助けられなかった悲しみのあまり、涙を流し続けて自らも澄んだ泉の水へと姿を変えてしまいます。<br /><br />手前の神話のドラマもさることながら、背景にどこまでも広がっていく壮大な自然の描写がとにかく見事です。<br />うっそうとした緑の森、奥に見えるお城や水辺の街並み、そして空を覆うドラマチックな雲の表情など、画家がのちにフランス(フォンテーヌブロー派)で大活躍するきっかけとなった、洗練された美しい風景描写がぎゅっと詰まった傑作です。

    『プロセルピナの略奪(ペルセポネの誘拐)』

    イタリアの画家ニコロ・デラバーテが1552~1570年頃に手がけた作品です。
    ギリシャ・ローマ神話に登場する非常に有名な悲劇の場面が描かれています。
    画面の右側では、冥界(死後の世界)の王プルート(ハデス)が、大地の女神の愛娘である美しい乙女プロセルピナを力ずくで抱え上げ、地底の国へと連れ去ろうと走っています。
    左側では、一緒に花を摘んでいた彼女の友人(妖精たち)が、突然の出来事に驚き、慌てふためいている姿が描かれています。

    画面の一番手前(右下)で、川のほとりに静かに横たわって事件を見つめているのは、泉のニンフ(妖精)シアーヌです。
    彼女はこのあと、プロセルピナを助けられなかった悲しみのあまり、涙を流し続けて自らも澄んだ泉の水へと姿を変えてしまいます。

    手前の神話のドラマもさることながら、背景にどこまでも広がっていく壮大な自然の描写がとにかく見事です。
    うっそうとした緑の森、奥に見えるお城や水辺の街並み、そして空を覆うドラマチックな雲の表情など、画家がのちにフランス(フォンテーヌブロー派)で大活躍するきっかけとなった、洗練された美しい風景描写がぎゅっと詰まった傑作です。

  • 『聖カタリナの神秘の結婚と聖セバスティアヌス』<br /><br />イタリア・ルネサンス期の天才画家コレッジョ(アントニオ・アッレグリ)が1526~1527年頃に手がけた、世界的な大傑作です。<br /><br />中央では、聖母マリアに優しく抱かれた幼児キリストが、右側にひざまずく美しい少女の指にそっと指輪をはめています。<br />この少女は初期キリスト教の聖女「アレクサンドリアの聖カタリナ」です。<br />彼女が夢のなかでキリストと結婚の誓いを交わしたという、とてもロマンチックで有名な「神秘の結婚」の場面が描かれています。<br />背景に隠されたもうひとつの物語画面の右奥(聖カタリナの背後)に注目すると、木に縛り付けられて体に矢を射られている男性の姿が小さく描かれています。<br />これは、キリスト教の信仰を貫いたために殉教した「聖セバスティアヌス」です。手前にあるカタリナの足元に置かれた「壊れた車輪と剣」も、彼女がのちに受けた激しい受難の歴史を静かに物語っています。<br /><br />コレッジョの最大の職人技である、人物たちを包み込むようなあたたかくて柔らかい光と影のグラデーションが本当に見事です。<br />指輪をはめる小さな手元をみんなで優しく見つめ合う、その穏やかな微笑みと母性に満ちた空気感は、ルネサンス期の絵画のなかでも最高峰の優美さを持っています。

    『聖カタリナの神秘の結婚と聖セバスティアヌス』

    イタリア・ルネサンス期の天才画家コレッジョ(アントニオ・アッレグリ)が1526~1527年頃に手がけた、世界的な大傑作です。

    中央では、聖母マリアに優しく抱かれた幼児キリストが、右側にひざまずく美しい少女の指にそっと指輪をはめています。
    この少女は初期キリスト教の聖女「アレクサンドリアの聖カタリナ」です。
    彼女が夢のなかでキリストと結婚の誓いを交わしたという、とてもロマンチックで有名な「神秘の結婚」の場面が描かれています。
    背景に隠されたもうひとつの物語画面の右奥(聖カタリナの背後)に注目すると、木に縛り付けられて体に矢を射られている男性の姿が小さく描かれています。
    これは、キリスト教の信仰を貫いたために殉教した「聖セバスティアヌス」です。手前にあるカタリナの足元に置かれた「壊れた車輪と剣」も、彼女がのちに受けた激しい受難の歴史を静かに物語っています。

    コレッジョの最大の職人技である、人物たちを包み込むようなあたたかくて柔らかい光と影のグラデーションが本当に見事です。
    指輪をはめる小さな手元をみんなで優しく見つめ合う、その穏やかな微笑みと母性に満ちた空気感は、ルネサンス期の絵画のなかでも最高峰の優美さを持っています。

  • 『ナイル川から救われるモーセ』<br /><br />イタリアの画家ニコロ・デラバーテが1550~1570年頃に手がけた作品です。<br /><br />旧約聖書の非常に有名なはじまりの物語が描かれています。<br />当時、エジプトで生まれたイスラエル人の男の赤ちゃんはすべて川に投げ込まなければならないという恐ろしい命令が出ていました。<br />ある母親が我が子を救うため、パピルスのカゴに入れてナイル川にそっと流します。<br />絵の右側では、偶然通りかかってカゴを見つけたエジプトの王女(ファラオの娘)が、侍女たちに命じて赤ちゃんを引き上げさせ、優しく抱き上げさせている奇跡的な救出の場面が描かれています。<br />この助け出された赤ちゃんこそが、のちに人々を導く偉大な予言者「モーセ」です。<br />左側に描かれたもうひとつの瞬間画面の左側(中景)の川べりに注目すると、ピンク色の服を着た女性が、別の小さなカゴを水辺にそっと置いている姿が小さく描かれています。<br />これは、王女に見つかる直前に、モーセの姉(ミリアム)が草むらにカゴを隠して様子を伺っている、物語の少し前の時間を表したニクい演出です。<br /><br />前作の『プロセルピナの略奪』と同じく、手前の人間ドラマを引き立てる背景の広大な風景描写が本当に素晴らしいです。<br />うっそうとした緑の丘、ヨーロッパ風の美しい街並み、そして川に架かる立体的なアーチ橋など、神聖な物語がまるで映画のワンシーンのように美しく、奥行き豊かに表現されている大作です。

    『ナイル川から救われるモーセ』

    イタリアの画家ニコロ・デラバーテが1550~1570年頃に手がけた作品です。

    旧約聖書の非常に有名なはじまりの物語が描かれています。
    当時、エジプトで生まれたイスラエル人の男の赤ちゃんはすべて川に投げ込まなければならないという恐ろしい命令が出ていました。
    ある母親が我が子を救うため、パピルスのカゴに入れてナイル川にそっと流します。
    絵の右側では、偶然通りかかってカゴを見つけたエジプトの王女(ファラオの娘)が、侍女たちに命じて赤ちゃんを引き上げさせ、優しく抱き上げさせている奇跡的な救出の場面が描かれています。
    この助け出された赤ちゃんこそが、のちに人々を導く偉大な予言者「モーセ」です。
    左側に描かれたもうひとつの瞬間画面の左側(中景)の川べりに注目すると、ピンク色の服を着た女性が、別の小さなカゴを水辺にそっと置いている姿が小さく描かれています。
    これは、王女に見つかる直前に、モーセの姉(ミリアム)が草むらにカゴを隠して様子を伺っている、物語の少し前の時間を表したニクい演出です。

    前作の『プロセルピナの略奪』と同じく、手前の人間ドラマを引き立てる背景の広大な風景描写が本当に素晴らしいです。
    うっそうとした緑の丘、ヨーロッパ風の美しい街並み、そして川に架かる立体的なアーチ橋など、神聖な物語がまるで映画のワンシーンのように美しく、奥行き豊かに表現されている大作です。

  • 『若者の肖像』<br /><br />イタリア・ルネサンス期の天才画家コレッジョ(アントニオ・アッレグリ)が1518年頃に手がけた、非常に魅力的な肖像画です。<br /><br />ベレー帽をかぶった美しい髪の若者が、右の頬にそっと手を添え、少し身を乗り出すようにしてこちらをじっと見つめています。<br />背景にはかすかに他の人々の姿が描かれていますが、手前の彼の瑞々しい存在感が暗闇からきりと際立っています。<br /><br />この少し物憂げで知性あふれる瞳を持った魅力的な若者が誰なのかは、今もはっきりと分かっておらず、美術史のなかでミステリアスな謎とされています。<br />一説には、若き日の画家コレッジョ自身の「自画像」ではないかとも言われています。<br /><br />前作の『神秘の結婚』でもご紹介した、コレッジョならではの「滑らかな肌の質感」と「優しく包み込むような柔らかい光」がこの小さな画面にも見事に生きています。<br />ふと目が合ってドキッとするような生き生きとした強い眼差しと、手のポーズが生み出す絶妙な立体感は、ルネサンス期の肖像画のなかでも特に親しみやすく、心に残る名作です。

    『若者の肖像』

    イタリア・ルネサンス期の天才画家コレッジョ(アントニオ・アッレグリ)が1518年頃に手がけた、非常に魅力的な肖像画です。

    ベレー帽をかぶった美しい髪の若者が、右の頬にそっと手を添え、少し身を乗り出すようにしてこちらをじっと見つめています。
    背景にはかすかに他の人々の姿が描かれていますが、手前の彼の瑞々しい存在感が暗闇からきりと際立っています。

    この少し物憂げで知性あふれる瞳を持った魅力的な若者が誰なのかは、今もはっきりと分かっておらず、美術史のなかでミステリアスな謎とされています。
    一説には、若き日の画家コレッジョ自身の「自画像」ではないかとも言われています。

    前作の『神秘の結婚』でもご紹介した、コレッジョならではの「滑らかな肌の質感」と「優しく包み込むような柔らかい光」がこの小さな画面にも見事に生きています。
    ふと目が合ってドキッとするような生き生きとした強い眼差しと、手のポーズが生み出す絶妙な立体感は、ルネサンス期の肖像画のなかでも特に親しみやすく、心に残る名作です。

  • 『ピエタ(キリストの哀悼)』<br /><br />イタリア・フィレンツェ出身の画家ロッソ・フィオレンティーノが1537~1540年頃に手がけた作品です。<br />かつてフランスの立派なお城(エクーアン城)を飾るために描かれ、のちにフランス国王たちの宝物となった歴史を持っています。<br /><br />十字架から降ろされたキリストの亡骸(なきがら)を抱きしめ、周囲の人々が深い悲しみに暮れている「ピエタ」と呼ばれる非常に有名な場面が描かれています。<br />画面の左上では、絶望のあまり両腕を大きく広げてのけぞり、今にも倒れ込んでしまいそうな聖母マリアの激しい苦悩の姿がとてもショッキングに表現されています。<br />マリアを背後から懸命に支えているのは、キリストの愛弟子である「聖ヨハネ」です。そして、画面の左右にひざまずき、キリストの痛々しい体を涙ながらに優しく支えているのは、「マグダラのマリア」たち信心深い女性たちです。<br /><br />ロッソ・フィオレンティーノの最大の特徴は、この「引き伸ばされたような独特の肉体表現」と、衣服の「鮮やかで強烈な色彩」にあります。<br />画面の横幅いっぱいに横たわるキリストの力強くも青白い身体、そして、それを包み込むような赤や紫のドレスが暗闇からまばゆく浮かび上がっています。<br />人間離れしたドラマチックな構図が生み出す圧倒的な緊迫感は、観る人の心を一瞬で引きつけるものすごいパワーを持った大作です。

    『ピエタ(キリストの哀悼)』

    イタリア・フィレンツェ出身の画家ロッソ・フィオレンティーノが1537~1540年頃に手がけた作品です。
    かつてフランスの立派なお城(エクーアン城)を飾るために描かれ、のちにフランス国王たちの宝物となった歴史を持っています。

    十字架から降ろされたキリストの亡骸(なきがら)を抱きしめ、周囲の人々が深い悲しみに暮れている「ピエタ」と呼ばれる非常に有名な場面が描かれています。
    画面の左上では、絶望のあまり両腕を大きく広げてのけぞり、今にも倒れ込んでしまいそうな聖母マリアの激しい苦悩の姿がとてもショッキングに表現されています。
    マリアを背後から懸命に支えているのは、キリストの愛弟子である「聖ヨハネ」です。そして、画面の左右にひざまずき、キリストの痛々しい体を涙ながらに優しく支えているのは、「マグダラのマリア」たち信心深い女性たちです。

    ロッソ・フィオレンティーノの最大の特徴は、この「引き伸ばされたような独特の肉体表現」と、衣服の「鮮やかで強烈な色彩」にあります。
    画面の横幅いっぱいに横たわるキリストの力強くも青白い身体、そして、それを包み込むような赤や紫のドレスが暗闇からまばゆく浮かび上がっています。
    人間離れしたドラマチックな構図が生み出す圧倒的な緊迫感は、観る人の心を一瞬で引きつけるものすごいパワーを持った大作です。

  • 『小像を持つ若者の肖像』<br /><br />ブロンズィーノが手がけた高貴な若者の肖像画です。<br />若者が抱えている小さな女性の裸体像(スタテュエット)は、ギリシャ神話の愛の女神「ヴィーナス」だとされています。<br />女神の頭には小さな羽のような飾りがついており、芸術家たちの間で美の理想とされた古典的な彫刻の姿を、画家が驚くほどの正確さで絵の中に再現しています。<br /><br />背景に隠されたこだわり画面の右側(若者の背後)に注目すると、深い緑色の重厚なカーテンが立体的なひだを描いて垂れ下がっています。<br />この上品な緑色と、若者が身にまとっている黒い上着のコントラストが、彼の青白い肌の美しさをよりいっそう引き立てる巧みな演出となっています。<br /><br />若者の左手の指先を見ると、シンプルながらも美しく輝く金色の指輪(シグネットリング)をはめているのが見て取れます。<br />こうした細かな装飾品ひとつにまで、当時のフィレンツェの貴族社会における、洗練された「お洒落なこだわり」と高いステータスが静かに表現されています。

    『小像を持つ若者の肖像』

    ブロンズィーノが手がけた高貴な若者の肖像画です。
    若者が抱えている小さな女性の裸体像(スタテュエット)は、ギリシャ神話の愛の女神「ヴィーナス」だとされています。
    女神の頭には小さな羽のような飾りがついており、芸術家たちの間で美の理想とされた古典的な彫刻の姿を、画家が驚くほどの正確さで絵の中に再現しています。

    背景に隠されたこだわり画面の右側(若者の背後)に注目すると、深い緑色の重厚なカーテンが立体的なひだを描いて垂れ下がっています。
    この上品な緑色と、若者が身にまとっている黒い上着のコントラストが、彼の青白い肌の美しさをよりいっそう引き立てる巧みな演出となっています。

    若者の左手の指先を見ると、シンプルながらも美しく輝く金色の指輪(シグネットリング)をはめているのが見て取れます。
    こうした細かな装飾品ひとつにまで、当時のフィレンツェの貴族社会における、洗練された「お洒落なこだわり」と高いステータスが静かに表現されています。

  • 『聖母子と洗礼者聖ヨハネ、聖人たち』<br /><br />イタリアの画家ミケランジェロ・アンセルミが1530~1535年頃に手がけた作品です。<br />中央に座る聖母マリアの膝の上で、元気いっぱいの幼児キリストが身をよじるようにして、楽しそうに左上の方向を見つめています。<br />マリアはそんなキリストを優しく支えながら、左下にいる幼い「洗礼者聖ヨハネ」の小さな足元へ優しく手を差し伸べています。<br /><br />マリアのすぐ右隣にいる気品ある女性は、キリスト教の聖女「アレクサンドリアの聖カタリナ」です。<br />頭には美しい真珠やパールの髪飾りをつけており、マリアたちのやり取りを愛おしそうに見つめています。<br />また、左奥の暗がりからは、茶色い修道服を着たお髭の聖人が、本を手に持ちながら静かに家族を見守っています。<br /><br />前作の『聖カタリナの神秘の結婚と聖セバスティアヌス』の(コレッジョ)などの作風を受け継ぐ画家らしく、登場人物たちの肌の滑らかな質感や、衣服の柔らかいひだの描き込みがとにかく見事です。<br /><br />マリアの着ているピンクと白の上着、そして手前のヨハネがまとっている鮮やかな赤いマントが、暗い背景からまばゆく浮かび上がっています。登場人物たちが丸みのあるバランスでぎゅっと寄り添い、お互いに優しい視線を交わし合う姿からは、ルネサンス期ならではの温かみあふれる幸福感がまっすぐに伝わってきます。

    『聖母子と洗礼者聖ヨハネ、聖人たち』

    イタリアの画家ミケランジェロ・アンセルミが1530~1535年頃に手がけた作品です。
    中央に座る聖母マリアの膝の上で、元気いっぱいの幼児キリストが身をよじるようにして、楽しそうに左上の方向を見つめています。
    マリアはそんなキリストを優しく支えながら、左下にいる幼い「洗礼者聖ヨハネ」の小さな足元へ優しく手を差し伸べています。

    マリアのすぐ右隣にいる気品ある女性は、キリスト教の聖女「アレクサンドリアの聖カタリナ」です。
    頭には美しい真珠やパールの髪飾りをつけており、マリアたちのやり取りを愛おしそうに見つめています。
    また、左奥の暗がりからは、茶色い修道服を着たお髭の聖人が、本を手に持ちながら静かに家族を見守っています。

    前作の『聖カタリナの神秘の結婚と聖セバスティアヌス』の(コレッジョ)などの作風を受け継ぐ画家らしく、登場人物たちの肌の滑らかな質感や、衣服の柔らかいひだの描き込みがとにかく見事です。

    マリアの着ているピンクと白の上着、そして手前のヨハネがまとっている鮮やかな赤いマントが、暗い背景からまばゆく浮かび上がっています。登場人物たちが丸みのあるバランスでぎゅっと寄り添い、お互いに優しい視線を交わし合う姿からは、ルネサンス期ならではの温かみあふれる幸福感がまっすぐに伝わってきます。

  • 『聖母子と聖アンナと4人の聖人』<br /><br />イタリア・ルネサンス期からマニエリスム期にかけて活躍した個性派の天才画家ヤコポ・ダ・ポントルモが1528~1529年頃に手がけた、世界的な傑作です。<br /><br />中央の一段高い岩(台座)の上に座る聖母マリアと、その膝の上でふくふくと健康的に育った幼児キリストが描かれています。<br />マリアのすぐ右隣(背後)で、白い頭巾をかぶって静かに寄り添っているのは、彼女の母親である「聖アンナ」です。<br />マリアとキリスト、そして聖アンナという、キリスト教においてもっとも聖なる直系の家族の絆が描かれています。<br />まわりを取り囲む4人の聖人たち家族の左右には、キリスト教の歴史において大変重要な4人の男性の聖人たちがずらりと並んで見守っています。<br />左手前で鮮やかなオレンジ色のマントを羽織り、大きな鍵をしっかりと握りしめているのは、初代教皇とされる「聖ペテロ」です。<br />その後ろには体に矢を射られた「聖セバスティアヌス」、右奥には黒い修道服を着た「聖ベネディクトゥス」、そして右手前には十字架を背負った「善い盗人(聖ディスマス)」が配置されています。<br /><br />一番の面白い見どころは、人物たちの足元にある小さな丸いメダル(絵)です。<br />ここには、当時のフィレンツェの街を守っていた「歩兵隊の役人たち」がにぎやかにパレードしている様子が、細かく描き込まれています。<br />ポントルモらしい、うねるような大胆な衣服のひだの表現や、引き伸ばされたような美しい手のポーズ、そしてどこか幻想的で冷徹な色彩は、巨匠ミケランジェロのデッサン力を受け継いだフィレンツェ派ならではの圧倒的な職人技です。

    『聖母子と聖アンナと4人の聖人』

    イタリア・ルネサンス期からマニエリスム期にかけて活躍した個性派の天才画家ヤコポ・ダ・ポントルモが1528~1529年頃に手がけた、世界的な傑作です。

    中央の一段高い岩(台座)の上に座る聖母マリアと、その膝の上でふくふくと健康的に育った幼児キリストが描かれています。
    マリアのすぐ右隣(背後)で、白い頭巾をかぶって静かに寄り添っているのは、彼女の母親である「聖アンナ」です。
    マリアとキリスト、そして聖アンナという、キリスト教においてもっとも聖なる直系の家族の絆が描かれています。
    まわりを取り囲む4人の聖人たち家族の左右には、キリスト教の歴史において大変重要な4人の男性の聖人たちがずらりと並んで見守っています。
    左手前で鮮やかなオレンジ色のマントを羽織り、大きな鍵をしっかりと握りしめているのは、初代教皇とされる「聖ペテロ」です。
    その後ろには体に矢を射られた「聖セバスティアヌス」、右奥には黒い修道服を着た「聖ベネディクトゥス」、そして右手前には十字架を背負った「善い盗人(聖ディスマス)」が配置されています。

    一番の面白い見どころは、人物たちの足元にある小さな丸いメダル(絵)です。
    ここには、当時のフィレンツェの街を守っていた「歩兵隊の役人たち」がにぎやかにパレードしている様子が、細かく描き込まれています。
    ポントルモらしい、うねるような大胆な衣服のひだの表現や、引き伸ばされたような美しい手のポーズ、そしてどこか幻想的で冷徹な色彩は、巨匠ミケランジェロのデッサン力を受け継いだフィレンツェ派ならではの圧倒的な職人技です。

  • 『聖痕を受けるアッシジの聖フランチェスコ』<br /><br />イタリアの画家ドメニコ・ベッカフーミが1515年頃に手がけた、非常に神秘的な作品です。<br />険しい岩山のなかでひざまずき、驚いたように天を見上げて両手を広げているのは、アッシジの「聖フランチェスコ」です。<br />空に浮かぶ赤い姿のキリスト(あるいは天使セラフィム)からまばゆい光の線が放たれ、聖フランチェスコの手足と脇腹に、キリストと同じ傷(聖痕=せいこん)が奇跡的に刻まれる、聖書のなかでも非常に神聖な瞬間が描かれています。<br /><br />画面の右奥(岩のふもと)に注目すると、もう一人の修道士が静かに座って本を読んでいる姿が小さく描かれています。<br />これは、聖フランチェスコの忠実な弟子であり、この奇跡の瞬間に唯一立ち会って目撃したとされる「修道士レオ」の姿です。<br /><br />ベッカフーミの最大の特徴は、この「幻想的でどこか怪しげな光の表現」にあります。<br />ゴツゴツとした不気味な岩肌や暗い背景のなかから、奇跡の光によって聖人の姿がじわりと浮かび上がるような明暗の描き込みが本当にお見事です。<br />ルネサンス後期のシエナ派を代表する画家らしい、静けさと強い情熱が同居した、観る人を不思議な世界へと引き込む魅力にあふれた一枚です。

    『聖痕を受けるアッシジの聖フランチェスコ』

    イタリアの画家ドメニコ・ベッカフーミが1515年頃に手がけた、非常に神秘的な作品です。
    険しい岩山のなかでひざまずき、驚いたように天を見上げて両手を広げているのは、アッシジの「聖フランチェスコ」です。
    空に浮かぶ赤い姿のキリスト(あるいは天使セラフィム)からまばゆい光の線が放たれ、聖フランチェスコの手足と脇腹に、キリストと同じ傷(聖痕=せいこん)が奇跡的に刻まれる、聖書のなかでも非常に神聖な瞬間が描かれています。

    画面の右奥(岩のふもと)に注目すると、もう一人の修道士が静かに座って本を読んでいる姿が小さく描かれています。
    これは、聖フランチェスコの忠実な弟子であり、この奇跡の瞬間に唯一立ち会って目撃したとされる「修道士レオ」の姿です。

    ベッカフーミの最大の特徴は、この「幻想的でどこか怪しげな光の表現」にあります。
    ゴツゴツとした不気味な岩肌や暗い背景のなかから、奇跡の光によって聖人の姿がじわりと浮かび上がるような明暗の描き込みが本当にお見事です。
    ルネサンス後期のシエナ派を代表する画家らしい、静けさと強い情熱が同居した、観る人を不思議な世界へと引き込む魅力にあふれた一枚です。

  • 『シエナの聖ベルナルディーノの説教』<br /><br />イタリアの画家ドメニコ・ベッカフーミが1537年に手がけた作品です。<br /><br />シエナの偉大な聖人ベルナルディーノが、一段高い説教台の上から、集まった大勢の市民たちに向けて熱心にキリストの教えを説いている場面です。<br />集まった人々の姿お母さんの膝の上で無邪気に遊ぶ子どもや、静かに聴き入る人々など、当時の市民たちのリアルな日常の姿がとても生き生きと細かく描かれています。<br /><br />薄暗い建物のなかに窓や扉から光が差し込み、人々のカラフルな衣服が神秘的に浮かび上がるような、画家ならではのドラマチックな光の表現が見事な一枚です。

    『シエナの聖ベルナルディーノの説教』

    イタリアの画家ドメニコ・ベッカフーミが1537年に手がけた作品です。

    シエナの偉大な聖人ベルナルディーノが、一段高い説教台の上から、集まった大勢の市民たちに向けて熱心にキリストの教えを説いている場面です。
    集まった人々の姿お母さんの膝の上で無邪気に遊ぶ子どもや、静かに聴き入る人々など、当時の市民たちのリアルな日常の姿がとても生き生きと細かく描かれています。

    薄暗い建物のなかに窓や扉から光が差し込み、人々のカラフルな衣服が神秘的に浮かび上がるような、画家ならではのドラマチックな光の表現が見事な一枚です。

  • 『パドヴァの聖アントニウスとロバの奇跡』<br /><br />イタリアの画家ドメニコ・ベッカフーミが1537年に手がけた作品です。<br />シエナの礼拝堂を飾るために描かれた非常に貴重な歴史的絵画です。<br /><br />キリスト教の聖人アントニウスが、キリストの奇跡を信じない異教徒の目の前で、数日間おなかを空かせたロバの前に好物のエサと聖体を差し出した瞬間です。<br />ロバはエサには目もくれず、神聖な聖体に向かって膝を折り、敬意を表してひざまずいたという有名な奇跡の物語が描かれています。<br />集まった人々の驚き左右にいる大勢の市民や異教徒たちが、目の前で起きたあり得ない奇跡の瞬間に驚き、慌てふためいたり、深く感動して手を合わせたりしているリアルな姿がとても生き生きと描かれています。<br /><br />建物の隙間から差し込む神秘的な光や、暗闇から人物たちのカラフルな衣服がじわりと浮かび上がるような、画家ならではのドラマチックな光の表現が実に見事な一枚です。<br />今回も天才たちの凄まじい情熱や、お部屋ごとの素晴らしい変化を肌で感じ、時間を忘れてうっとりと見惚れてしまう贅沢なひとときとなりました。ただ、世界一広いルーヴル美術館のイタリア絵画の旅、そして数々の素晴らしい名画や作品は、この先もまだまだ続きます。<br /><br />つづく<br />

    『パドヴァの聖アントニウスとロバの奇跡』

    イタリアの画家ドメニコ・ベッカフーミが1537年に手がけた作品です。
    シエナの礼拝堂を飾るために描かれた非常に貴重な歴史的絵画です。

    キリスト教の聖人アントニウスが、キリストの奇跡を信じない異教徒の目の前で、数日間おなかを空かせたロバの前に好物のエサと聖体を差し出した瞬間です。
    ロバはエサには目もくれず、神聖な聖体に向かって膝を折り、敬意を表してひざまずいたという有名な奇跡の物語が描かれています。
    集まった人々の驚き左右にいる大勢の市民や異教徒たちが、目の前で起きたあり得ない奇跡の瞬間に驚き、慌てふためいたり、深く感動して手を合わせたりしているリアルな姿がとても生き生きと描かれています。

    建物の隙間から差し込む神秘的な光や、暗闇から人物たちのカラフルな衣服がじわりと浮かび上がるような、画家ならではのドラマチックな光の表現が実に見事な一枚です。
    今回も天才たちの凄まじい情熱や、お部屋ごとの素晴らしい変化を肌で感じ、時間を忘れてうっとりと見惚れてしまう贅沢なひとときとなりました。ただ、世界一広いルーヴル美術館のイタリア絵画の旅、そして数々の素晴らしい名画や作品は、この先もまだまだ続きます。

    つづく

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