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*:.。黄金の光と奇跡の物語☆.。.:* <br /><br />今回の旅行記は、シュリー翼1階にある「初期イタリア絵画展示室(ルーム380周辺)」に並ぶ、至高の名作たちをじっくりとめぐる散策の記録です 。<br />キャンバスが登場するはるか昔、厚みのある木の板に本物の金箔を贅沢に敷き詰め、卵を混ぜて作った絵の具で丁寧に描き上げたという、大変貴重な「木版テンペラ画」の世界が目の前に広がります。<br /><br />この散策を通じて教えてもらったそんな素晴らしい歴史や技法の知識に触れながら絵画を見つめると、一枚ごとの美しさがよりいっそう深く心に響きます。<br />歩みを進めると、空を舞う天使たちの奇跡、ボッティチェッリやラファエロ周辺の画家たちが描いた瑞々しい大自然、そして左右で優美に向き合ってひざまずく『二人の天使』に迫るクローズアップカットなど、素晴らしい見どころが次々に現れます。<br />さらにその先には、ウゴリーノ・ディ・ネーリオによる格調高い多翼祭壇画や、サセッタの工房による華麗な三連祭壇画、コズメ・トゥーラが硬質に描いた読書する聖人、マッテオ・ディ・ジョヴァンニの優美な聖母子像など、主役級の名作たちが連続します。<br /><br />そしてジェンティーレ・ダ・ファブリアーノによる、ローマのサンタンジェロ城を舞台にした厳かな行列と大天使の奇跡の絵など、見応えのある作品の数々が目の前に広がります。<br />何百年の長い歳月を生き抜いてきた木版の優しい風合いや、深みのあるアンティークな黄金のきらめき、引率の案内から教わった昔の知恵、そして当時の人々が込めた純粋な祈りの時間が、写真を通じて真っ直ぐに伝わるアルバムに仕上がりました。<br /><br />中世ゴシックから初期ルネサンスへと、絵画がどんどん新しく、生き生きと進化していく素晴らしい歴史のドラマを、どうぞのんびりとお楽しみください。<br /><br /><br />全体の大まかな行程は以下になります。<br /><br />今日は,★☆★です (^^)/<br /><br />4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒<br />4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光<br />4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光<br />4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光<br />4/17(木) ギートホルン観光<br />4/18(金) キューケンホフ観光<br />4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動<br />4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光<br />4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光<br />4/22(火) ハーグ観光<br />4/23(水) プラハへ移動とプチ観光<br />4/24(木) プラハ観光+コンサート<br />4/25(金) プラハ観光+コンサート <br />4/26(土) プラハ観光<br />4/27(日) プラハ観光<br />4/28(月) プラハ観光<br />4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光<br />4/30(水) チェスキー・クルムロフ⇒プラハへ移動<br />5/1(木) パリへ移動,観光<br /><br />★☆★5/2(金) パリ観光<br /><br />5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光<br />5/4(日) パリ観光<br />5/5(月) 体調不良により観光無し<br />5/6(火) 体調不良により観光無し <br />5/7(水) パリ観光<br />5/8(木) シャルトルへ移動・観光<br />5/9(金) パリ観光<br />5/10(土) パリ観光<br />5/11(日) パリ観光<br />5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光<br />5/13(火) パリ観光<br />5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動<br />5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発<br />5/16(金) 成田着

286。*:.。オランダ,チェコ,フランス35日間の旅 ☆パリ-25 ルーブル-22☆.。.:* 

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2025/05/02 - 2025/05/02

16343位(同エリア17223件中)

mitsu

mitsuさん

*:.。黄金の光と奇跡の物語☆.。.:* 

今回の旅行記は、シュリー翼1階にある「初期イタリア絵画展示室(ルーム380周辺)」に並ぶ、至高の名作たちをじっくりとめぐる散策の記録です 。
キャンバスが登場するはるか昔、厚みのある木の板に本物の金箔を贅沢に敷き詰め、卵を混ぜて作った絵の具で丁寧に描き上げたという、大変貴重な「木版テンペラ画」の世界が目の前に広がります。

この散策を通じて教えてもらったそんな素晴らしい歴史や技法の知識に触れながら絵画を見つめると、一枚ごとの美しさがよりいっそう深く心に響きます。
歩みを進めると、空を舞う天使たちの奇跡、ボッティチェッリやラファエロ周辺の画家たちが描いた瑞々しい大自然、そして左右で優美に向き合ってひざまずく『二人の天使』に迫るクローズアップカットなど、素晴らしい見どころが次々に現れます。
さらにその先には、ウゴリーノ・ディ・ネーリオによる格調高い多翼祭壇画や、サセッタの工房による華麗な三連祭壇画、コズメ・トゥーラが硬質に描いた読書する聖人、マッテオ・ディ・ジョヴァンニの優美な聖母子像など、主役級の名作たちが連続します。

そしてジェンティーレ・ダ・ファブリアーノによる、ローマのサンタンジェロ城を舞台にした厳かな行列と大天使の奇跡の絵など、見応えのある作品の数々が目の前に広がります。
何百年の長い歳月を生き抜いてきた木版の優しい風合いや、深みのあるアンティークな黄金のきらめき、引率の案内から教わった昔の知恵、そして当時の人々が込めた純粋な祈りの時間が、写真を通じて真っ直ぐに伝わるアルバムに仕上がりました。

中世ゴシックから初期ルネサンスへと、絵画がどんどん新しく、生き生きと進化していく素晴らしい歴史のドラマを、どうぞのんびりとお楽しみください。


全体の大まかな行程は以下になります。

今日は,★☆★です (^^)/

4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒
4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光
4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光
4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光
4/17(木) ギートホルン観光
4/18(金) キューケンホフ観光
4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動
4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光
4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光
4/22(火) ハーグ観光
4/23(水) プラハへ移動とプチ観光
4/24(木) プラハ観光+コンサート
4/25(金) プラハ観光+コンサート 
4/26(土) プラハ観光
4/27(日) プラハ観光
4/28(月) プラハ観光
4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光
4/30(水) チェスキー・クルムロフ⇒プラハへ移動
5/1(木) パリへ移動,観光

★☆★5/2(金) パリ観光

5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光
5/4(日) パリ観光
5/5(月) 体調不良により観光無し
5/6(火) 体調不良により観光無し 
5/7(水) パリ観光
5/8(木) シャルトルへ移動・観光
5/9(金) パリ観光
5/10(土) パリ観光
5/11(日) パリ観光
5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光
5/13(火) パリ観光
5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動
5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発
5/16(金) 成田着

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
徒歩
旅行の手配内容
個別手配
  • シエナ派の画家 『授乳の聖母』<br /><br />今回の幕開けを飾る、14世紀中頃の貴重な作品です。これから並ぶ作品はすべて、布のキャンバスが登場する昔、木の板に金箔を敷き、卵を使った絵の具で描かれた、見事な木版テンペラ画です。<br /><br />金色の華麗なゴシックアーチ額縁に縁取られて、中世シエナ派ならではの母子の情愛が、画面いっぱいに大きく表現されています。<br /><br />純金の背景の中で、深い紺色のマントをまとった聖母マリアが、幼いキリストに乳を含ませています。マリアの憂いを帯びた表情や、幼子キリストが母の胸元に小さな手を添えながら乳を飲む仕草が、洗練されたタッチで生き生きと描かれています。<br />上部の尖塔部分には、小さな円形枠の中に祝福を授ける神聖な人物の姿が描き込まれており、長い歳月を刻んだ木版特有の風合いが、当時の厳かな祈りの記憶を、今も、静かに、漂わせています。

    シエナ派の画家 『授乳の聖母』

    今回の幕開けを飾る、14世紀中頃の貴重な作品です。これから並ぶ作品はすべて、布のキャンバスが登場する昔、木の板に金箔を敷き、卵を使った絵の具で描かれた、見事な木版テンペラ画です。

    金色の華麗なゴシックアーチ額縁に縁取られて、中世シエナ派ならではの母子の情愛が、画面いっぱいに大きく表現されています。

    純金の背景の中で、深い紺色のマントをまとった聖母マリアが、幼いキリストに乳を含ませています。マリアの憂いを帯びた表情や、幼子キリストが母の胸元に小さな手を添えながら乳を飲む仕草が、洗練されたタッチで生き生きと描かれています。
    上部の尖塔部分には、小さな円形枠の中に祝福を授ける神聖な人物の姿が描き込まれており、長い歳月を刻んだ木版特有の風合いが、当時の厳かな祈りの記憶を、今も、静かに、漂わせています。

  • 初期シエナ派の画家 『キリストの神殿奉献』<br /><br />知的な神殿の物語をじっくりと堪能した後は、14世紀中頃にトスカーナ地方で制作された、大変素晴らしい物語絵です。<br />生後まもない幼子キリストを神様に捧げる重要な儀式が、透視図法の芽生えを感じさせる壮麗な神殿の建築描写とともに描かれています。<br />細い柱が支える三連アーチの奥には、無数の金色の星々が散りばめられた美しい紺色の天井が広がっており、独特の奥行きを生み出しています。<br /><br />中央の祭壇の前では、頭に立派な帽子を戴いた大祭司が、白い布に包まれた幼いキリストを大切そうに両手で抱きかかえています。<br />その左側では、深い紺色のマントをまとった聖母マリアが愛おしそうに我が子へと手を伸ばし、左端には聖ヨハネが儀式の捧げ物である白い鳩をそっと抱えて静かに佇んでいます。<br />右側には長い巻物を手にした預言者アンナが配され、背景の純金の金箔と見事に調和しています。<br /><br />何世紀もの年月を生き抜いてきた木版の表面の擦れやひび割れからも、当時の洗練されたシエナ派ならではの気品と、教会の祭壇を飾っていた頃の厳かな祈りの歴史が、真っ直ぐに、伝わってきます。

    初期シエナ派の画家 『キリストの神殿奉献』

    知的な神殿の物語をじっくりと堪能した後は、14世紀中頃にトスカーナ地方で制作された、大変素晴らしい物語絵です。
    生後まもない幼子キリストを神様に捧げる重要な儀式が、透視図法の芽生えを感じさせる壮麗な神殿の建築描写とともに描かれています。
    細い柱が支える三連アーチの奥には、無数の金色の星々が散りばめられた美しい紺色の天井が広がっており、独特の奥行きを生み出しています。

    中央の祭壇の前では、頭に立派な帽子を戴いた大祭司が、白い布に包まれた幼いキリストを大切そうに両手で抱きかかえています。
    その左側では、深い紺色のマントをまとった聖母マリアが愛おしそうに我が子へと手を伸ばし、左端には聖ヨハネが儀式の捧げ物である白い鳩をそっと抱えて静かに佇んでいます。
    右側には長い巻物を手にした預言者アンナが配され、背景の純金の金箔と見事に調和しています。

    何世紀もの年月を生き抜いてきた木版の表面の擦れやひび割れからも、当時の洗練されたシエナ派ならではの気品と、教会の祭壇を飾っていた頃の厳かな祈りの歴史が、真っ直ぐに、伝わってきます。

  • 14世紀トスカーナ地方の匿名画家 『司教聖人の肖像』<br /><br />凛とした司教聖人の佇まいをじっくりと堪能した後は、14世紀中頃に制作された、大変厳かで貴重な作品です。<br />縦長の一枚板の中には、教会の指導者であった司教聖人の堂々とした立ち姿が描かれています。背景一面の純金の金箔は、何百年の時を経て深みのある美しい琥珀色へと変化し、崇高なオーラを放っています。<br /><br />聖人は、緻密な文様が施された司教冠(ミトラ)を頭に戴き、右側には司教の権威の象徴である、先端が美しく渦巻いた司教杖(バクラ)を携えています。<br />重厚な赤い修道衣を身にまとい、左手には赤く美しい装丁の聖書をしっかりと抱え、右手で静かに祝福を授ける佇まいが目を引きます。<br /><br />頭上の後光に刻まれた緻密な型押し装飾や、長い時を生き抜いてきた木版特有の擦れ、そして金箔が剥がれて下地が見えている素朴な質感が、かつて大きな祭壇画の一部として人々の祈りを見守っていた頃の神聖な記憶を、今も、静かに、漂わせています。

    14世紀トスカーナ地方の匿名画家 『司教聖人の肖像』

    凛とした司教聖人の佇まいをじっくりと堪能した後は、14世紀中頃に制作された、大変厳かで貴重な作品です。
    縦長の一枚板の中には、教会の指導者であった司教聖人の堂々とした立ち姿が描かれています。背景一面の純金の金箔は、何百年の時を経て深みのある美しい琥珀色へと変化し、崇高なオーラを放っています。

    聖人は、緻密な文様が施された司教冠(ミトラ)を頭に戴き、右側には司教の権威の象徴である、先端が美しく渦巻いた司教杖(バクラ)を携えています。
    重厚な赤い修道衣を身にまとい、左手には赤く美しい装丁の聖書をしっかりと抱え、右手で静かに祝福を授ける佇まいが目を引きます。

    頭上の後光に刻まれた緻密な型押し装飾や、長い時を生き抜いてきた木版特有の擦れ、そして金箔が剥がれて下地が見えている素朴な質感が、かつて大きな祭壇画の一部として人々の祈りを見守っていた頃の神聖な記憶を、今も、静かに、漂わせています。

  • タッデオ・ディ・バルトロ 『聖フランチェスコの跪くキリストの磔刑』<br /><br />聖人肖像から続き、14世紀末にシエナ派の巨匠タッデオ・ディ・バルトロによって制作された、大変劇的な作品です。<br /><br />上部が優美なゴシック風のアーチ型にカットされた画面の中央には、十字架にかけられた主イエス・キリストの姿が神聖に描かれています。<br />最大の見どころは、その十字架の足元に深く膝を突き、キリストの受難を見つめながら必死に祈りを捧げている、茶色い修道服を着た聖フランチェスコの姿です。<br /><br />十字架の左側には、深い悲しみの表情で我が子を見つめる聖母マリア、右側にはピンク色と青色の美しい衣装をまとって悲嘆にくる使徒ヨハネの姿が配されています。<br />十字架の最上部にはペリカン(自らの血を子に与える慈愛の象徴)の巣が緻密に描かれており、背景に贅沢に敷き詰められた金箔の輝きが、この受難の場面をよりいっそう神秘的に引き立てています。

    タッデオ・ディ・バルトロ 『聖フランチェスコの跪くキリストの磔刑』

    聖人肖像から続き、14世紀末にシエナ派の巨匠タッデオ・ディ・バルトロによって制作された、大変劇的な作品です。

    上部が優美なゴシック風のアーチ型にカットされた画面の中央には、十字架にかけられた主イエス・キリストの姿が神聖に描かれています。
    最大の見どころは、その十字架の足元に深く膝を突き、キリストの受難を見つめながら必死に祈りを捧げている、茶色い修道服を着た聖フランチェスコの姿です。

    十字架の左側には、深い悲しみの表情で我が子を見つめる聖母マリア、右側にはピンク色と青色の美しい衣装をまとって悲嘆にくる使徒ヨハネの姿が配されています。
    十字架の最上部にはペリカン(自らの血を子に与える慈愛の象徴)の巣が緻密に描かれており、背景に贅沢に敷き詰められた金箔の輝きが、この受難の場面をよりいっそう神秘的に引き立てています。

  • サセッタ 『牢獄から貧者を救う聖ラニエリ』<br /><br />厳かな磔刑図から一転して、初期ルネサンスの夜明けを感じさせる、15世紀前半のシエナ派による大変貴重な作品です。<br /><br />画面の中央上部では、頭上に神聖な後光を讃えた聖ラニエリが、まるで空中を優雅に飛行するように舞い降り、牢獄に捕らえられていた貧しい人々を奇跡の力で救い出しています。<br /><br />画面左側には、突然の奇跡に驚きながら慌てて逃げ出そうとする、当時の衣服をまとった大勢の群衆や役人たちのドラマチックな人間模様が、生き生きとした色彩で描き出されています。<br />背景に見える重厚な石造りの牢獄建築の直線的な奥行きや、淡い色彩でシンプルにまとめられた右側の空間表現に、この時代の先進的な空間描写への挑戦がうかがえます。

    サセッタ 『牢獄から貧者を救う聖ラニエリ』

    厳かな磔刑図から一転して、初期ルネサンスの夜明けを感じさせる、15世紀前半のシエナ派による大変貴重な作品です。

    画面の中央上部では、頭上に神聖な後光を讃えた聖ラニエリが、まるで空中を優雅に飛行するように舞い降り、牢獄に捕らえられていた貧しい人々を奇跡の力で救い出しています。

    画面左側には、突然の奇跡に驚きながら慌てて逃げ出そうとする、当時の衣服をまとった大勢の群衆や役人たちのドラマチックな人間模様が、生き生きとした色彩で描き出されています。
    背景に見える重厚な石造りの牢獄建築の直線的な奥行きや、淡い色彩でシンプルにまとめられた右側の空間表現に、この時代の先進的な空間描写への挑戦がうかがえます。

  • サセッタ 『修道院の集会所に現れる聖フランチェスコ』<br /><br />聖ラニエリの物語と同じシリーズとして制作された、15世紀前半のシエナ派による大変美しく知的な作品です。<br /><br />画面の左端では、頭上に神聖な後光を讃えた聖フランチェスコが、茶色い修道服をまとって静かに立ち、驚く修道士たちの前にその身を現しています。<br />中央の木製のベンチには、頭巾をかぶった大勢の修道士たちが並んで座り、背を向けたり横を向いたりと、突然の出来事にさまざまな表情を見せながら聞き入っています。<br /><br />最大の見どころは、初期ルネサンスらしい先進的な教会の内部空間の描写にあります。天井に等間隔で並ぶ重厚な木の梁や、奥へと美しく連なるアーチ門、そして右側の祭壇へと続く格子模様の幾何学的な床タイルの広がりなど、確実な透視図法の芽生えが描き出されています。

    サセッタ 『修道院の集会所に現れる聖フランチェスコ』

    聖ラニエリの物語と同じシリーズとして制作された、15世紀前半のシエナ派による大変美しく知的な作品です。

    画面の左端では、頭上に神聖な後光を讃えた聖フランチェスコが、茶色い修道服をまとって静かに立ち、驚く修道士たちの前にその身を現しています。
    中央の木製のベンチには、頭巾をかぶった大勢の修道士たちが並んで座り、背を向けたり横を向いたりと、突然の出来事にさまざまな表情を見せながら聞き入っています。

    最大の見どころは、初期ルネサンスらしい先進的な教会の内部空間の描写にあります。天井に等間隔で並ぶ重厚な木の梁や、奥へと美しく連なるアーチ門、そして右側の祭壇へと続く格子模様の幾何学的な床タイルの広がりなど、確実な透視図法の芽生えが描き出されています。

  • サセッタ『聖母子と聖人たちの三連祭壇画』<br /><br />再び眩い黄金の輝きを放つ大型の祭壇画へと視線を引き戻す、15世紀前半のシエナ派による見事な作品です。<br /><br />中央の大きな主パネルには、深い紺色の豪奢なマントをまとった聖母マリアが玉座に腰掛け、その膝の上には愛らしい幼子キリストが堂々と立っています。<br />マリアの頭上では、優美な翼を広げた天使たちが静かに集い、彼女に天の妃の王冠を授ける神聖な戴冠の儀式が、純金の金箔背景の中に美しく表現されています。<br /><br />向かって左側の翼板には、茶色い素朴な修道服に身を包み、右手に赤い心臓を掲げた聖人が、右側の翼板には、ピンク色と緑色の鮮やかな衣装をまとい、本を手にした髭の聖人が、それぞれ凛とした立ち姿で配されています。

    サセッタ『聖母子と聖人たちの三連祭壇画』

    再び眩い黄金の輝きを放つ大型の祭壇画へと視線を引き戻す、15世紀前半のシエナ派による見事な作品です。

    中央の大きな主パネルには、深い紺色の豪奢なマントをまとった聖母マリアが玉座に腰掛け、その膝の上には愛らしい幼子キリストが堂々と立っています。
    マリアの頭上では、優美な翼を広げた天使たちが静かに集い、彼女に天の妃の王冠を授ける神聖な戴冠の儀式が、純金の金箔背景の中に美しく表現されています。

    向かって左側の翼板には、茶色い素朴な修道服に身を包み、右手に赤い心臓を掲げた聖人が、右側の翼板には、ピンク色と緑色の鮮やかな衣装をまとい、本を手にした髭の聖人が、それぞれ凛とした立ち姿で配されています。

  • コズメ・トゥーラ 『読書するパドヴァの聖アントニオス』<br /><br />フェラーラ派の独特な力強さを今に伝える、15世紀後半に制作された大変見事な作品です。<br /><br />優美なアーチ型の枠の中に、茶色い素朴な修道服に身を包み、裸足で立つパドヴァの聖アントニオスの全身像が、堂々と描き出されています。<br />背景一面に敷き詰められた、純金の金箔は、何百年の時を経て深みのある美しい琥珀色へと変化し、聖人の頭上には、丸く大きな後光が輝いています。<br /><br />最大の見どころは、フェラーラ派の巨匠ならではの、まるで金属や硬い彫刻を思わせるような、衣服のうねるようなひだの立体描写にあります。<br />聖人は両手で大切そうに開いた本をじっと見つめ、静かに祈りを捧げるように口元をわずかに開けており、その真摯な表情から深い知性と信仰心がリアルに表現されています。

    コズメ・トゥーラ 『読書するパドヴァの聖アントニオス』

    フェラーラ派の独特な力強さを今に伝える、15世紀後半に制作された大変見事な作品です。

    優美なアーチ型の枠の中に、茶色い素朴な修道服に身を包み、裸足で立つパドヴァの聖アントニオスの全身像が、堂々と描き出されています。
    背景一面に敷き詰められた、純金の金箔は、何百年の時を経て深みのある美しい琥珀色へと変化し、聖人の頭上には、丸く大きな後光が輝いています。

    最大の見どころは、フェラーラ派の巨匠ならではの、まるで金属や硬い彫刻を思わせるような、衣服のうねるようなひだの立体描写にあります。
    聖人は両手で大切そうに開いた本をじっと見つめ、静かに祈りを捧げるように口元をわずかに開けており、その真摯な表情から深い知性と信仰心がリアルに表現されています。

  • コズメ・トゥーラ 『大天使ミカエル』<br /><br />15世紀後半にフェラーラ宮廷で大活躍した巨匠による、非常にシャープで個性的な作品です。<br /><br />きわめて縦長の小さな画面を活かし、かつて大きな祭壇画の柱の部分を飾っていたとされる、勇敢な大天使の姿が描かれています。<br /><br />金属の甲冑に身を包んだ大天使ミカエルが、右手に剣を高く掲げ、足元にいる悪魔を力強く踏みつけて退治する劇的なポーズが捉えられています。<br />フェラーラ派特有の、金属を思わせるような硬質でうねるような肉体描写が実に見事です。あえて背景をシンプルな銀灰色にまとめることで、彫刻のように立体的な人物の立ち姿が、手前に格好よく浮かび上がっています。

    コズメ・トゥーラ 『大天使ミカエル』

    15世紀後半にフェラーラ宮廷で大活躍した巨匠による、非常にシャープで個性的な作品です。

    きわめて縦長の小さな画面を活かし、かつて大きな祭壇画の柱の部分を飾っていたとされる、勇敢な大天使の姿が描かれています。

    金属の甲冑に身を包んだ大天使ミカエルが、右手に剣を高く掲げ、足元にいる悪魔を力強く踏みつけて退治する劇的なポーズが捉えられています。
    フェラーラ派特有の、金属を思わせるような硬質でうねるような肉体描写が実に見事です。あえて背景をシンプルな銀灰色にまとめることで、彫刻のように立体的な人物の立ち姿が、手前に格好よく浮かび上がっています。

  • コズメ・トゥーラ 『聖アポロニア』<br /><br />前作品、大天使ミカエルと対をなすように制作された、気品高き聖女の姿です。<br /><br />大天使の動的な表現とは対照的に、静かで張り詰めた聖性が小さな縦長の画面に閉じ込められています。<br />鮮やかな赤と深い緑の美しいドレスをまとった聖アポロニアが、静かに佇んでいます。彼女の左手には、殉教の際に受けた拷問を象徴する「歯を挟んだペンチ」が大切そうに握られており、静けさの中に強い意志を感じさせます。<br /><br />フェラーラ派ならではの、なめらかでありながらどこか硬質な衣服のひだの立体描写が実に見事です。<br />長い歳月を経て木の板の表面に刻まれた特有の擦れが、周囲の黒い保護フレームの中でいっそう美しく際立っています。

    コズメ・トゥーラ 『聖アポロニア』

    前作品、大天使ミカエルと対をなすように制作された、気品高き聖女の姿です。

    大天使の動的な表現とは対照的に、静かで張り詰めた聖性が小さな縦長の画面に閉じ込められています。
    鮮やかな赤と深い緑の美しいドレスをまとった聖アポロニアが、静かに佇んでいます。彼女の左手には、殉教の際に受けた拷問を象徴する「歯を挟んだペンチ」が大切そうに握られており、静けさの中に強い意志を感じさせます。

    フェラーラ派ならではの、なめらかでありながらどこか硬質な衣服のひだの立体描写が実に見事です。
    長い歳月を経て木の板の表面に刻まれた特有の擦れが、周囲の黒い保護フレームの中でいっそう美しく際立っています。

  • サンドロ・ボッティチェッリ 『東方の三博士の礼拝』<br /><br />初期ルネサンスを代表する大巨匠の息吹を伝える、15世紀後半に制作された大変見事な作品です。<br /><br />画面右側には、洞窟のような素朴な建物の前で、生まれたばかりの幼子キリストを優しく抱く聖母マリアと、その傍らで見守る聖ヨセフの姿が配されています。<br />その足元では、豪華な衣服をまとった老博士が深くひざまずき、幼子の小さな足にそっと口づけを捧げる、親密な敬意の場面が描かれています。<br /><br />中央から左側にかけては、奇跡の誕生を一目見ようと、色鮮やかで豪華な衣装に身を包んだ大勢の従者や兵士、そして異教徒たちの群衆が、ドラマチックにひしめき合っています。<br />さらに背景の上部には、ゴツゴツとした岩山の細い道をラクダや馬に乗って下ってくる博士たちの長い行列が描かれており、左奥に広がる淡い青空の自然風景とともに、素晴らしい空間の奥行きを生み出しています。

    サンドロ・ボッティチェッリ 『東方の三博士の礼拝』

    初期ルネサンスを代表する大巨匠の息吹を伝える、15世紀後半に制作された大変見事な作品です。

    画面右側には、洞窟のような素朴な建物の前で、生まれたばかりの幼子キリストを優しく抱く聖母マリアと、その傍らで見守る聖ヨセフの姿が配されています。
    その足元では、豪華な衣服をまとった老博士が深くひざまずき、幼子の小さな足にそっと口づけを捧げる、親密な敬意の場面が描かれています。

    中央から左側にかけては、奇跡の誕生を一目見ようと、色鮮やかで豪華な衣装に身を包んだ大勢の従者や兵士、そして異教徒たちの群衆が、ドラマチックにひしめき合っています。
    さらに背景の上部には、ゴツゴツとした岩山の細い道をラクダや馬に乗って下ってくる博士たちの長い行列が描かれており、左奥に広がる淡い青空の自然風景とともに、素晴らしい空間の奥行きを生み出しています。

  • マルコ・ツォッポ 『聖母子と二人の音楽天使』<br /><br />初期ルネサンスのフェラーラ派らしい、知的な建築美と贅沢な装飾が融合した大変見事な作品です。<br /><br />画面中央では、深い紺色のマントをまとった聖母マリアが静かに腰掛け、膝の上に立つ愛らしい幼子キリストを、優しくその手で支えています。<br />聖母子の左右には、美しい翼を広げた二人の天使が配されており、それぞれリュートなどの弦楽器を奏でながら、神聖な音楽で主の誕生を祝福しています。<br /><br />最大の見どころは、人物たちを包み込む壮麗な古代ローマ風の古典建築描写にあります。<br />大理石の柱が支える優美な大アーチの上部には、古代のメダルを思わせる横顔のレリーフ彫刻や、実り豊かな果物のガーランドがびっしりと描き込まれており、この時代ならではの、人文主義的な美意識が細部まで表現されています。

    マルコ・ツォッポ 『聖母子と二人の音楽天使』

    初期ルネサンスのフェラーラ派らしい、知的な建築美と贅沢な装飾が融合した大変見事な作品です。

    画面中央では、深い紺色のマントをまとった聖母マリアが静かに腰掛け、膝の上に立つ愛らしい幼子キリストを、優しくその手で支えています。
    聖母子の左右には、美しい翼を広げた二人の天使が配されており、それぞれリュートなどの弦楽器を奏でながら、神聖な音楽で主の誕生を祝福しています。

    最大の見どころは、人物たちを包み込む壮麗な古代ローマ風の古典建築描写にあります。
    大理石の柱が支える優美な大アーチの上部には、古代のメダルを思わせる横顔のレリーフ彫刻や、実り豊かな果物のガーランドがびっしりと描き込まれており、この時代ならではの、人文主義的な美意識が細部まで表現されています。

  • マルコ・ツォッポ 『二人の天使に支えられる死せるキリスト』<br /><br />前作品の華やかな聖母子像と同じ画家の手による、受難の深い哀愁と厳かな祈りの世界を描いた、15世紀後半の素晴らしい作品です。<br /><br />画面中央では、十字架から降ろされ、石の墓碑に腰掛けた主イエス・キリストの痛々しくも神聖な御姿が、力強い肉体描写で表されています。<br />キリストの頭上には、円形にきらめく黄金の後光と茨の冠が描かれ、その手足や胸元には、受難の生々しい傷跡が克明に刻まれています。<br /><br />キリストの左右には、小さな美しい翼を広げた二人の幼い天使が静かに寄り添い、キリストの重い身体を優しくその手で包み込むように支えています。<br />左側の天使は、溢れる悲しみをこらえきれずに顔を歪めて泣いており、その親密で切ない仕草から、神聖な悲劇のドラマがリアルに表現されています。

    マルコ・ツォッポ 『二人の天使に支えられる死せるキリスト』

    前作品の華やかな聖母子像と同じ画家の手による、受難の深い哀愁と厳かな祈りの世界を描いた、15世紀後半の素晴らしい作品です。

    画面中央では、十字架から降ろされ、石の墓碑に腰掛けた主イエス・キリストの痛々しくも神聖な御姿が、力強い肉体描写で表されています。
    キリストの頭上には、円形にきらめく黄金の後光と茨の冠が描かれ、その手足や胸元には、受難の生々しい傷跡が克明に刻まれています。

    キリストの左右には、小さな美しい翼を広げた二人の幼い天使が静かに寄り添い、キリストの重い身体を優しくその手で包み込むように支えています。
    左側の天使は、溢れる悲しみをこらえきれずに顔を歪めて泣いており、その親密で切ない仕草から、神聖な悲劇のドラマがリアルに表現されています。

  • シエナ派の画家 『キリストの復活』<br /><br />聖書の最大の勝利と奇跡の瞬間を描き出した、14世紀中頃に制作された見事な作品です。<br /><br />画面中央では、死を乗り越えて墓からまばゆくよみがえった主イエス・キリストが、右手を掲げて神聖な祝福を授けながら堂々と立ち上がっています。<br />キリストの左手には、勝利を象徴する「赤大十字の白い旗」がたなびいており、背後に贅沢に施された古色豊かな純金の金箔が、奇跡の聖性をいっそう力強く際立たせています。<br />ピンク色に彩られた石の墓の周りでは、奇跡のまばゆい光に圧倒されて深く眠りこけたり、驚いて顔を伏せたりしている、色鮮やかな鎧をまとったローマの兵士たちのリアルな姿が描き込まれています。<br />画面の右端には、長いマントを身にまとい、奇跡の光景を畏敬の念で見つめる聖人の姿が配され、左奥のゴツゴツとした中世風の岩山や木々の描写が、舞台にドラマチックな陰影を与えています。

    シエナ派の画家 『キリストの復活』

    聖書の最大の勝利と奇跡の瞬間を描き出した、14世紀中頃に制作された見事な作品です。

    画面中央では、死を乗り越えて墓からまばゆくよみがえった主イエス・キリストが、右手を掲げて神聖な祝福を授けながら堂々と立ち上がっています。
    キリストの左手には、勝利を象徴する「赤大十字の白い旗」がたなびいており、背後に贅沢に施された古色豊かな純金の金箔が、奇跡の聖性をいっそう力強く際立たせています。
    ピンク色に彩られた石の墓の周りでは、奇跡のまばゆい光に圧倒されて深く眠りこけたり、驚いて顔を伏せたりしている、色鮮やかな鎧をまとったローマの兵士たちのリアルな姿が描き込まれています。
    画面の右端には、長いマントを身にまとい、奇跡の光景を畏敬の念で見つめる聖人の姿が配され、左奥のゴツゴツとした中世風の岩山や木々の描写が、舞台にドラマチックな陰影を与えています。

  • シエナ派の画家 『聖母の被昇天と聖母子』<br /><br />聖母マリアを巡る天上のまばゆい神秘の世界を描いた、14世紀後半に制作された素晴らしい作品です。<br /><br />画面中央では、深い紺色の美しいマントをまとった聖母マリアが、愛らしい幼子キリストを優しくその手に抱きかえながら、静かに佇んでいます。<br />マリアの頭上の左右からは、金色の美しい翼を大きく広げた、大勢の天使たちが優雅に舞い降り、聖なる母子を祝福するように、ひしめき合っています。<br /><br />最大の見どころは、画面の上部にあります。そこには、赤と黄金のまばゆい光背に包まれた、天上の神聖な人物が描かれており、そこから下方のマリアへと向かって、神聖な光の光線が放射状に美しく伸びています。<br />マリアの足元や左右の端にも、光り輝く後光を讃えた聖人たちが配され、画面全体に、きわめて崇高なオーラを与えています。

    シエナ派の画家 『聖母の被昇天と聖母子』

    聖母マリアを巡る天上のまばゆい神秘の世界を描いた、14世紀後半に制作された素晴らしい作品です。

    画面中央では、深い紺色の美しいマントをまとった聖母マリアが、愛らしい幼子キリストを優しくその手に抱きかえながら、静かに佇んでいます。
    マリアの頭上の左右からは、金色の美しい翼を大きく広げた、大勢の天使たちが優雅に舞い降り、聖なる母子を祝福するように、ひしめき合っています。

    最大の見どころは、画面の上部にあります。そこには、赤と黄金のまばゆい光背に包まれた、天上の神聖な人物が描かれており、そこから下方のマリアへと向かって、神聖な光の光線が放射状に美しく伸びています。
    マリアの足元や左右の端にも、光り輝く後光を讃えた聖人たちが配され、画面全体に、きわめて崇高なオーラを与えています。

  • シエナ派の画家 『聖人の生涯の物語(連作プレデッラ)』<br /><br />初期ルネサンスの始まりを感じさせる、15世紀半ばのトスカーナ地方の気品が詰まった見事な連作です。<br /><br />横長の小さな2枚の板絵が上下に整然と並んでおり、かつて大きな祭壇画の足元を飾っていた、聖人のドラマチックな生涯の出来事が描き出されています。<br /><br />上段(劇的な群衆の場面):床に広がる幾何学的なタイル模様の広場で、色鮮やかで華麗な衣装をまとった大勢の人々がひしめき合い、中央で膝を突いて祈る人物を巡る、緊迫した物語が生き生きと表現されています。<br /><br />下段(宮廷の対話の場面):画面左側には、当時の先進的な遠近法を感じさせる、重厚な緑色の城壁や宮廷建築がダイナミックに描かれています。<br />右側には、マントを羽織った高貴な役人や聖人たちが集まり、真摯な表情で語り合う人間模様が、色彩豊かに表現されています。

    シエナ派の画家 『聖人の生涯の物語(連作プレデッラ)』

    初期ルネサンスの始まりを感じさせる、15世紀半ばのトスカーナ地方の気品が詰まった見事な連作です。

    横長の小さな2枚の板絵が上下に整然と並んでおり、かつて大きな祭壇画の足元を飾っていた、聖人のドラマチックな生涯の出来事が描き出されています。

    上段(劇的な群衆の場面):床に広がる幾何学的なタイル模様の広場で、色鮮やかで華麗な衣装をまとった大勢の人々がひしめき合い、中央で膝を突いて祈る人物を巡る、緊迫した物語が生き生きと表現されています。

    下段(宮廷の対話の場面):画面左側には、当時の先進的な遠近法を感じさせる、重厚な緑色の城壁や宮廷建築がダイナミックに描かれています。
    右側には、マントを羽織った高貴な役人や聖人たちが集まり、真摯な表情で語り合う人間模様が、色彩豊かに表現されています。

  • ロレンツォ・モナコ『聖ヨセフの夢』<br /><br />全作品の賑やかな連作から一転して、再び聖書の静かで深い、奇跡の夜の物語へと視線を引き戻す、14世紀末に制作された見事な作品です。<br /><br />画面中央では、ピンク色の柔らかなマントを身にまとい、岩山のふもとで静かに目を閉じて、うたた寝をしている聖ヨセフの姿が描かれています。<br />ヨセフの頭上には、黄金の後光が優しく輝いており、そのすぐ上空からは、ピンク色の美しい翼を広げた天使がふわりと舞い降り、夢を通じて神様の神聖なメッセージをそっと伝えています。<br /><br />画面の右奥には、暗い洞窟のような建物の入り口と、白く包まれた幼子キリストが眠る小さな飼い葉桶のような木箱が緻密に描かれており、物語の舞台に深い陰影を与えています。

    ロレンツォ・モナコ『聖ヨセフの夢』

    全作品の賑やかな連作から一転して、再び聖書の静かで深い、奇跡の夜の物語へと視線を引き戻す、14世紀末に制作された見事な作品です。

    画面中央では、ピンク色の柔らかなマントを身にまとい、岩山のふもとで静かに目を閉じて、うたた寝をしている聖ヨセフの姿が描かれています。
    ヨセフの頭上には、黄金の後光が優しく輝いており、そのすぐ上空からは、ピンク色の美しい翼を広げた天使がふわりと舞い降り、夢を通じて神様の神聖なメッセージをそっと伝えています。

    画面の右奥には、暗い洞窟のような建物の入り口と、白く包まれた幼子キリストが眠る小さな飼い葉桶のような木箱が緻密に描かれており、物語の舞台に深い陰影を与えています。

  • 初期シエナ派の画家 『キリストの神殿奉献(祭壇画プレデッラ)』<br /><br />初期ルネサンスの夜明けを告げる見事な街並みと、建築美が横長い画面いっぱいに広がる素晴らしい作品です。<br /><br />最大の見どころは、画面中央にどっしりと佇む、壮麗なドーム建築(円形神殿)の立体的な描写にあります。細い石柱が支える優美なアーチの奥には、無数の金色の星々が散りばめられた美しい紺色の星空天井が広がっており、箱庭のような奥行きを生み出しています。<br /><br />神殿の中央では、頭上に神聖な後光を讃えた大祭司が、白い布に包まれた幼いキリストを大切そうに両手で抱きかかえ、左側からは紺色のマントをまとった聖母マリアが愛おしそうに手を伸ばしています。<br /><br />神殿の左右には当時のシエナを思わせる美しい家々が並んでおり、左側では豪華なドレスをまとった高貴な女性たちが静かに見守り、右側では貧しい人々へ慈愛の手を差し伸べる聖人の姿が描き込まれています。

    初期シエナ派の画家 『キリストの神殿奉献(祭壇画プレデッラ)』

    初期ルネサンスの夜明けを告げる見事な街並みと、建築美が横長い画面いっぱいに広がる素晴らしい作品です。

    最大の見どころは、画面中央にどっしりと佇む、壮麗なドーム建築(円形神殿)の立体的な描写にあります。細い石柱が支える優美なアーチの奥には、無数の金色の星々が散りばめられた美しい紺色の星空天井が広がっており、箱庭のような奥行きを生み出しています。

    神殿の中央では、頭上に神聖な後光を讃えた大祭司が、白い布に包まれた幼いキリストを大切そうに両手で抱きかかえ、左側からは紺色のマントをまとった聖母マリアが愛おしそうに手を伸ばしています。

    神殿の左右には当時のシエナを思わせる美しい家々が並んでおり、左側では豪華なドレスをまとった高貴な女性たちが静かに見守り、右側では貧しい人々へ慈愛の手を差し伸べる聖人の姿が描き込まれています。

  • ラファエロ(あるいは周辺の画家) 『荒野の聖洗礼者ヨハネ』<br /><br />緻密なドーム建築が並ぶ神殿奉献から一転して、初期ルネサンスから盛期ルネサンスへと向かう、瑞々しい大自然の広がりを描き出した貴重な作品です。<br /><br />画面中央の緑豊かな美しい丘の上では、毛皮の衣と赤いマントを身にまとった、若き洗礼者ヨハネが、裸足でしなやかに歩みを進めています。<br />ヨハネは右手の指をそっと天へと掲げ、これから登場するイエス・キリストの存在を静かに預言する、非常に象徴的なポーズをとっています。<br /><br />最大の見どころは、これまでの平面的な金箔背景とは全く異なる、奥行きのある美しい自然風景の描写にあります。<br />ヨハネの背後には、青空の下にゆるやかにうねるトスカーナ地方(あるいはウルビーノ地方)の、どこまでも続く緑豊かな山々や川の流れ、そして点在する木々の様子が、澄んだ色彩の空気遠近法を用いて詩的に表現されています。

    ラファエロ(あるいは周辺の画家) 『荒野の聖洗礼者ヨハネ』

    緻密なドーム建築が並ぶ神殿奉献から一転して、初期ルネサンスから盛期ルネサンスへと向かう、瑞々しい大自然の広がりを描き出した貴重な作品です。

    画面中央の緑豊かな美しい丘の上では、毛皮の衣と赤いマントを身にまとった、若き洗礼者ヨハネが、裸足でしなやかに歩みを進めています。
    ヨハネは右手の指をそっと天へと掲げ、これから登場するイエス・キリストの存在を静かに預言する、非常に象徴的なポーズをとっています。

    最大の見どころは、これまでの平面的な金箔背景とは全く異なる、奥行きのある美しい自然風景の描写にあります。
    ヨハネの背後には、青空の下にゆるやかにうねるトスカーナ地方(あるいはウルビーノ地方)の、どこまでも続く緑豊かな山々や川の流れ、そして点在する木々の様子が、澄んだ色彩の空気遠近法を用いて詩的に表現されています。

  • ラファエロ(あるいは周辺の画家) 『受胎告知』<br /><br />若き日の巨匠の瑞々しい才能を感じさせる、15世紀末から16世紀初頭にかけて制作された大変見事な作品です。<br /><br />左右に長い変形アーチ型の画面を巧みに使い、神様からのメッセージを伝える大天使と、それを厳かに受け取る聖母マリアのドラマチックな対話が描かれています。<br /><br />画面の左側:美しい翼を広げた大天使ガブリエルが、緑豊かな庭園にそっと舞い降り、右手を掲げて神聖な祝福を授けています。<br />大天使の足元には、マリアの純潔を象徴する白い百合の草花が、写実的に優しく咲き乱れています。<br /><br />画面の右側:格調高い建築の室内で、深い紺色のマントをまとった聖母マリアが床にひざまずき、両手を胸の前で交差させながら、畏敬の念を込めて静かに頭を垂れています。マリアの前には、古典的な彫刻が施された美しい書見台が置かれ、開かれた聖書が緻密に描き込まれています。<br /><br />さらに素晴らしい見どころは、画面の左奥に広がる詩的な大自然の風景にあります。青空の下に、ゆるやかにうねる美しい山々や等間隔に並ぶ並木道の様子が、澄んだ色彩の遠近法で描かれており、室内の静けさと見事なコントラストを生み出しています。

    ラファエロ(あるいは周辺の画家) 『受胎告知』

    若き日の巨匠の瑞々しい才能を感じさせる、15世紀末から16世紀初頭にかけて制作された大変見事な作品です。

    左右に長い変形アーチ型の画面を巧みに使い、神様からのメッセージを伝える大天使と、それを厳かに受け取る聖母マリアのドラマチックな対話が描かれています。

    画面の左側:美しい翼を広げた大天使ガブリエルが、緑豊かな庭園にそっと舞い降り、右手を掲げて神聖な祝福を授けています。
    大天使の足元には、マリアの純潔を象徴する白い百合の草花が、写実的に優しく咲き乱れています。

    画面の右側:格調高い建築の室内で、深い紺色のマントをまとった聖母マリアが床にひざまずき、両手を胸の前で交差させながら、畏敬の念を込めて静かに頭を垂れています。マリアの前には、古典的な彫刻が施された美しい書見台が置かれ、開かれた聖書が緻密に描き込まれています。

    さらに素晴らしい見どころは、画面の左奥に広がる詩的な大自然の風景にあります。青空の下に、ゆるやかにうねる美しい山々や等間隔に並ぶ並木道の様子が、澄んだ色彩の遠近法で描かれており、室内の静けさと見事なコントラストを生み出しています。

  • シエナ派の画家 『聖母マリアの前に現れる復活したキリスト』<br /><br />キリストの復活という壮大な奇跡のあとに、母子が感動の再会を果たす場面を描いた素晴らしい作品です。<br /><br />画面の左側では、死を乗り越えてよみがえり、勝利の赤大十字の白い旗を手にした主イエス・キリストが、小さな雲の波にのって宙に浮かびながら、神聖な祝福を授けています。<br />その前では、深い紺色のマントをまとった聖母マリアが床にひざまずき、驚きと畏敬の念を込めて、優しく両手を合わせながら我が子を見つめています。<br /><br />最大の見どころは、金箔の背景に直接刻み込まれた、ラテン語の「会話のセリフ」にあります。キリストの口元からは「聖なる母よ、幸いあれ(SALVE SANCTA PARENS)」、そしてマリアの口元からは「世界の贖い主よ、幸いあれ(SALVE REDEMPTOR MUNDI)」といった、親密で神聖な対話の言葉が当時の文字で緻密に表現されています。

    シエナ派の画家 『聖母マリアの前に現れる復活したキリスト』

    キリストの復活という壮大な奇跡のあとに、母子が感動の再会を果たす場面を描いた素晴らしい作品です。

    画面の左側では、死を乗り越えてよみがえり、勝利の赤大十字の白い旗を手にした主イエス・キリストが、小さな雲の波にのって宙に浮かびながら、神聖な祝福を授けています。
    その前では、深い紺色のマントをまとった聖母マリアが床にひざまずき、驚きと畏敬の念を込めて、優しく両手を合わせながら我が子を見つめています。

    最大の見どころは、金箔の背景に直接刻み込まれた、ラテン語の「会話のセリフ」にあります。キリストの口元からは「聖なる母よ、幸いあれ(SALVE SANCTA PARENS)」、そしてマリアの口元からは「世界の贖い主よ、幸いあれ(SALVE REDEMPTOR MUNDI)」といった、親密で神聖な対話の言葉が当時の文字で緻密に表現されています。

  • 15世紀シエナ派の画家 『キリストの受難の物語(連作プレデッラ・全景)』<br /><br />前作のまばゆい復活の場面から続き、今度はキリストの受難の核心を3つのエピソードで静かに見つめる、15世紀半ばに制作された大変貴重な連作の全体景です。<br /><br />重厚な黒い保護フレームの中に、四角い3枚の木の板が横一列に整然と並んでおり、かつて大きな祭壇画の足元を飾っていた、聖書の劇的な場面が描き出されています。<br />向かって左側:二人の人物が木に吊るされ、手前で高貴な衣装の役人たちが見守る、緊迫した「聖人の殉教(あるいは受難)」の場面です。<br /><br />中央の画面:格子天井が美しい高貴な室内で、ベッドに横たわる教皇(あるいは聖人)を巡る「聖なる奇跡」の出来事が描かれています。<br /><br />向かって右側:大輪の金箔の背景の中で、石の墓碑から静かに身を起こす「死せるキリスト(哀悼)」の姿が、神聖に描かれています。

    15世紀シエナ派の画家 『キリストの受難の物語(連作プレデッラ・全景)』

    前作のまばゆい復活の場面から続き、今度はキリストの受難の核心を3つのエピソードで静かに見つめる、15世紀半ばに制作された大変貴重な連作の全体景です。

    重厚な黒い保護フレームの中に、四角い3枚の木の板が横一列に整然と並んでおり、かつて大きな祭壇画の足元を飾っていた、聖書の劇的な場面が描き出されています。
    向かって左側:二人の人物が木に吊るされ、手前で高貴な衣装の役人たちが見守る、緊迫した「聖人の殉教(あるいは受難)」の場面です。

    中央の画面:格子天井が美しい高貴な室内で、ベッドに横たわる教皇(あるいは聖人)を巡る「聖なる奇跡」の出来事が描かれています。

    向かって右側:大輪の金箔の背景の中で、石の墓碑から静かに身を起こす「死せるキリスト(哀悼)」の姿が、神聖に描かれています。

  • ジオヴァンニ・ディ・パオロ 『ヘロデ王の饗宴』<br /><br />前作の受難の連作から一転して、聖書の中でも最も緊迫した、衝撃的な悲劇の一コマを正面から鮮明に捉えた素晴らしい作品です。<br /><br />一つの画面の中に時間が異なる二つのエピソードを同時に描き出す、中世特有の技法が用いられています。<br /><br />画面の左端:レンガ色の建物の前で、緑色の衣装を着た刑吏が大きな斧(あるいは剣)を振り下ろし、地面にひざまずく洗礼者聖ヨハネの首をはねる、凄惨な「斬首」の瞬間が描かれています。<br />中央から右側:ガラリと舞台が変わり、宮廷の豪華な宴席が広がっています。中央の白いテーブルには、王冠を戴いたヘロデ王や高貴な役人たちが並んで座り、驚きと困惑の表情を浮かべています。<br />その手前(右側)では、ピンク色の美しいドレスをまとった娘サロメが、長い髪をなびかせながら妖艶に舞い踊っています。<br /><br />画面の左側(室内への入り口):青いきらびやかな宮廷服を着た給仕の男性が、たった今切り落とされたばかりの「洗礼者聖ヨハネの生首」が載った黒い大皿を大切そうに抱え、王たちの待つ宴席へと静かに運び込んでいます。

    ジオヴァンニ・ディ・パオロ 『ヘロデ王の饗宴』

    前作の受難の連作から一転して、聖書の中でも最も緊迫した、衝撃的な悲劇の一コマを正面から鮮明に捉えた素晴らしい作品です。

    一つの画面の中に時間が異なる二つのエピソードを同時に描き出す、中世特有の技法が用いられています。

    画面の左端:レンガ色の建物の前で、緑色の衣装を着た刑吏が大きな斧(あるいは剣)を振り下ろし、地面にひざまずく洗礼者聖ヨハネの首をはねる、凄惨な「斬首」の瞬間が描かれています。
    中央から右側:ガラリと舞台が変わり、宮廷の豪華な宴席が広がっています。中央の白いテーブルには、王冠を戴いたヘロデ王や高貴な役人たちが並んで座り、驚きと困惑の表情を浮かべています。
    その手前(右側)では、ピンク色の美しいドレスをまとった娘サロメが、長い髪をなびかせながら妖艶に舞い踊っています。

    画面の左側(室内への入り口):青いきらびやかな宮廷服を着た給仕の男性が、たった今切り落とされたばかりの「洗礼者聖ヨハネの生首」が載った黒い大皿を大切そうに抱え、王たちの待つ宴席へと静かに運び込んでいます。

  • シモーネ・マルティーニ(あるいは周辺の画家) 『大天使ガブリエル(円形画)』<br /><br />劇的なヘロデ王の饗宴から一転して、再び中世シエナ派の極めて優美で静かな世界へと視線を引き戻す、14世紀前半の貴重な小品です。<br /><br />小さな円形のメダイヨンの中に、深い紺色の美しいマントを身にまとい、そっと右手を掲げて神聖な祝福を授けている、大天使の姿が繊細に描き出されています。<br />大天使の頭上には、円形にきらめく黄金の後光が施されており、背景一面の眩い金箔の輝きと完璧に調和しています。<br /><br />最大の見どころは、何百年の長い歳月を経て木版や金箔の表面に、まるでクモの巣のように細かく、美しく刻まれた特有のひび割れの風合いにあります。<br />巨匠ならではの、しなやかで流れるような人物の輪郭線や、静けさに満ちた優しいまなざしが、丸い金色の額縁フレームの中で一際崇高に引き立っています。

    シモーネ・マルティーニ(あるいは周辺の画家) 『大天使ガブリエル(円形画)』

    劇的なヘロデ王の饗宴から一転して、再び中世シエナ派の極めて優美で静かな世界へと視線を引き戻す、14世紀前半の貴重な小品です。

    小さな円形のメダイヨンの中に、深い紺色の美しいマントを身にまとい、そっと右手を掲げて神聖な祝福を授けている、大天使の姿が繊細に描き出されています。
    大天使の頭上には、円形にきらめく黄金の後光が施されており、背景一面の眩い金箔の輝きと完璧に調和しています。

    最大の見どころは、何百年の長い歳月を経て木版や金箔の表面に、まるでクモの巣のように細かく、美しく刻まれた特有のひび割れの風合いにあります。
    巨匠ならではの、しなやかで流れるような人物の輪郭線や、静けさに満ちた優しいまなざしが、丸い金色の額縁フレームの中で一際崇高に引き立っています。

  • 14世紀シエナ派の画家 『オリーブ山の祈り/墓の前の三人のマリア(二連祭壇画)』<br /><br />小さな円形画から一転して、書の最もドラマチックなキリストの受難と奇跡の場面が左右に並んだ、大変貴重な二連祭壇画です。<br /><br />縦長のおしゃれな二連アーチ型の画面を巧みに使い、キリストの受難の始まりと、復活の目撃という重要な二つのエピソードが対照的に描かれています。<br /><br />向かって左側のアーチ(オリーブ山の祈り):ゴツゴツとした中世風の岩山の上で、キリストが天に向かって両手を高く掲げ、これから迎える過酷な運命を前に必死に祈りを捧げています。その足元では、完全に眠りこけてしまっている三人の使徒たちのリアルな姿が描かれ、上空の小さなアーチ内からは、杯を手にした紺色の天使が静かに舞い降りています。<br /><br />向かって右側のアーチ(墓の前の三人のマリア):ガラリと時間が進み、キリストの復活の場面へと視線が移ります。手前では、深い紺色のマントをまとった三人の聖女(マリアたち)が、キリストの遺体が消えて空っぽになった石の墓の前に到着し、驚きと畏敬の念で見つめています。<br />墓の奥には、よみがえりを告げる白い衣服の天使が静かに佇んでおり、頭上の小さなアーチ内からは、もう一人の天使が天から静かに奇跡を見守っています。

    14世紀シエナ派の画家 『オリーブ山の祈り/墓の前の三人のマリア(二連祭壇画)』

    小さな円形画から一転して、書の最もドラマチックなキリストの受難と奇跡の場面が左右に並んだ、大変貴重な二連祭壇画です。

    縦長のおしゃれな二連アーチ型の画面を巧みに使い、キリストの受難の始まりと、復活の目撃という重要な二つのエピソードが対照的に描かれています。

    向かって左側のアーチ(オリーブ山の祈り):ゴツゴツとした中世風の岩山の上で、キリストが天に向かって両手を高く掲げ、これから迎える過酷な運命を前に必死に祈りを捧げています。その足元では、完全に眠りこけてしまっている三人の使徒たちのリアルな姿が描かれ、上空の小さなアーチ内からは、杯を手にした紺色の天使が静かに舞い降りています。

    向かって右側のアーチ(墓の前の三人のマリア):ガラリと時間が進み、キリストの復活の場面へと視線が移ります。手前では、深い紺色のマントをまとった三人の聖女(マリアたち)が、キリストの遺体が消えて空っぽになった石の墓の前に到着し、驚きと畏敬の念で見つめています。
    墓の奥には、よみがえりを告げる白い衣服の天使が静かに佇んでおり、頭上の小さなアーチ内からは、もう一人の天使が天から静かに奇跡を見守っています。

  • シモーネ・マルティーニ(あるいは周辺の画家) 『ひざまずく二人の天使』<br /><br />劇的な二連画から続き、天上の最も純粋で美しい祈りの世界を2枚並んで見つめる、14世紀前半の至高の作品です。<br /><br />左右に分かれた2枚のアーチ型の木の板には、一対の優美な天使の姿が描かれています。それぞれピンク色の美しい衣装をまとい、胸の前で優しく両手を交差させてひざまずいています。<br /><br />天使たちは青や赤、緑といった鮮やかな色彩の美しい翼を大きく広げています。<br />そっと首を傾げながら、お互いに真っ直ぐに視線を交わす姿が印象的です。<br />頭上の大輪の後光には緻密なドット状の型押し装飾がなされています。<br />何世紀もの時を経て古色を帯びた純金の背景の中で、一際崇高に輝いています。<br /><br />画面に大きく近づいたことで、歴史の風合いがより鮮明に見えてきます。長い歳月を経て木版の下部や金箔の表面が擦れて、プリミティブに剥がれたリアルな質感が、周囲の黒い保護フレームの中でいっそう美しく際立っています。

    シモーネ・マルティーニ(あるいは周辺の画家) 『ひざまずく二人の天使』

    劇的な二連画から続き、天上の最も純粋で美しい祈りの世界を2枚並んで見つめる、14世紀前半の至高の作品です。

    左右に分かれた2枚のアーチ型の木の板には、一対の優美な天使の姿が描かれています。それぞれピンク色の美しい衣装をまとい、胸の前で優しく両手を交差させてひざまずいています。

    天使たちは青や赤、緑といった鮮やかな色彩の美しい翼を大きく広げています。
    そっと首を傾げながら、お互いに真っ直ぐに視線を交わす姿が印象的です。
    頭上の大輪の後光には緻密なドット状の型押し装飾がなされています。
    何世紀もの時を経て古色を帯びた純金の背景の中で、一際崇高に輝いています。

    画面に大きく近づいたことで、歴史の風合いがより鮮明に見えてきます。長い歳月を経て木版の下部や金箔の表面が擦れて、プリミティブに剥がれたリアルな質感が、周囲の黒い保護フレームの中でいっそう美しく際立っています。

  • ウゴリーノ・ディ・ネーリオ 『聖母子と四聖人の多翼祭壇画』<br /><br />優美な二人の天使に続き、再び圧倒的な存在感を放つ大型の祭壇画へと視線が移る、14世紀初頭の貴重な作品です。<br /><br />14世紀初頭のイタリア・シエナ派の巨匠による、きわめて格調高い木版テンペラ画の祭壇画です。<br />中央の大きな主パネルには、豪華な模様が施された衣服をまとい、優雅な椅子に腰掛ける聖母マリアと、その手に抱かれてこちらを真っ直ぐに見つめる幼子キリストの高貴な御姿が描かれています。<br />背景一面のまばゆい純金の金箔が、母子の存在をいっそう神聖に引き立てています。<br />左右の翼板には、それぞれのアーチの中に4人の重要な聖人たちが凛とした立ち姿で並んでいます。<br />向かって左側:茶色い素朴な修道服を着て本を手にする「聖フランチェスコ」と、緑色のマントを羽織り長い巻物を広げる「洗礼者聖ヨハネ」です。<br />向かって右側:赤いマントをまとい熱心に本を読み進める「使徒聖ペテロ」と、左端と同じく茶色い修道服に身を包んだ聖人が配されています。

    ウゴリーノ・ディ・ネーリオ 『聖母子と四聖人の多翼祭壇画』

    優美な二人の天使に続き、再び圧倒的な存在感を放つ大型の祭壇画へと視線が移る、14世紀初頭の貴重な作品です。

    14世紀初頭のイタリア・シエナ派の巨匠による、きわめて格調高い木版テンペラ画の祭壇画です。
    中央の大きな主パネルには、豪華な模様が施された衣服をまとい、優雅な椅子に腰掛ける聖母マリアと、その手に抱かれてこちらを真っ直ぐに見つめる幼子キリストの高貴な御姿が描かれています。
    背景一面のまばゆい純金の金箔が、母子の存在をいっそう神聖に引き立てています。
    左右の翼板には、それぞれのアーチの中に4人の重要な聖人たちが凛とした立ち姿で並んでいます。
    向かって左側:茶色い素朴な修道服を着て本を手にする「聖フランチェスコ」と、緑色のマントを羽織り長い巻物を広げる「洗礼者聖ヨハネ」です。
    向かって右側:赤いマントをまとい熱心に本を読み進める「使徒聖ペテロ」と、左端と同じく茶色い修道服に身を包んだ聖人が配されています。

  • トスカーナ地方の匿名画家 『聖母子と長い巻物を持つキリスト』<br /><br />4世紀イタリアの中世的な力強さと神秘性を伝える素晴らしい作品です。<br /><br />長い時を経て深い琥珀色へと落ち着いた純金の金箔背景の中で、深い紺色のマントをまとった聖母マリアが、幼いキリストを優しくその手に抱きかかえています。<br />マリアのまとうマントの縁には、精緻な金の刺繍模様が繊細に施されており、静かで崇高な存在感を讃えています。<br /><br />最大の見どころは、抱かれた幼子キリストが両手で大切そうに広げている「長い巻物」にあります。<br />幼子でありながら知性を感じさせる大人びた表情で、母マリアをじっと見上げる姿が印象的です。<br />また、キリストの胸元に並ぶ小さな赤い珊瑚のような首飾りは、彼の将来の受難)を象徴する、中世特有のプリミティブな表現です。

    トスカーナ地方の匿名画家 『聖母子と長い巻物を持つキリスト』

    4世紀イタリアの中世的な力強さと神秘性を伝える素晴らしい作品です。

    長い時を経て深い琥珀色へと落ち着いた純金の金箔背景の中で、深い紺色のマントをまとった聖母マリアが、幼いキリストを優しくその手に抱きかかえています。
    マリアのまとうマントの縁には、精緻な金の刺繍模様が繊細に施されており、静かで崇高な存在感を讃えています。

    最大の見どころは、抱かれた幼子キリストが両手で大切そうに広げている「長い巻物」にあります。
    幼子でありながら知性を感じさせる大人びた表情で、母マリアをじっと見上げる姿が印象的です。
    また、キリストの胸元に並ぶ小さな赤い珊瑚のような首飾りは、彼の将来の受難)を象徴する、中世特有のプリミティブな表現です。

  • サセッタ(あるいは工房) 『聖母子と聖人たちの三連祭壇画』<br /><br />深みのある聖母子像に続き、さらに壮麗なスケールで黄金の輝きを放つ、15世紀前半のシエナ派を代表する見事な祭壇画です。<br /><br />中央の大きな主パネルでは、深い紺色の豪奢なマントをまとった聖母マリアが玉座に腰掛け、その膝の上には愛らしい幼子キリストが堂々と立っています。<br />マリアの頭上では、優美な翼を広げた天使たちが静かに集い、彼女に天の妃の王冠を授ける神聖な戴冠の儀式が、純金の金箔背景の中に美しく表現されています。<br /><br />向かって左側の翼板には、茶色い素朴な修道服に身を包み、右手に赤い心臓(あるいは象徴)を掲げた聖人が、右側の翼板には、ピンク色と緑色の鮮やかな衣装をまとい、本を手にした髭の聖人が、それぞれ凛とした立ち姿で配されています。

    サセッタ(あるいは工房) 『聖母子と聖人たちの三連祭壇画』

    深みのある聖母子像に続き、さらに壮麗なスケールで黄金の輝きを放つ、15世紀前半のシエナ派を代表する見事な祭壇画です。

    中央の大きな主パネルでは、深い紺色の豪奢なマントをまとった聖母マリアが玉座に腰掛け、その膝の上には愛らしい幼子キリストが堂々と立っています。
    マリアの頭上では、優美な翼を広げた天使たちが静かに集い、彼女に天の妃の王冠を授ける神聖な戴冠の儀式が、純金の金箔背景の中に美しく表現されています。

    向かって左側の翼板には、茶色い素朴な修道服に身を包み、右手に赤い心臓(あるいは象徴)を掲げた聖人が、右側の翼板には、ピンク色と緑色の鮮やかな衣装をまとい、本を手にした髭の聖人が、それぞれ凛とした立ち姿で配されています。

  • コズメ・トゥーラ 『読書するパドヴァの聖アントニオス』<br /><br />華やかな三連祭壇画から続き、フェラーラ派の独特な力強さを今に伝える、15世紀後半に制作された大変見事な作品です。<br /><br />画面いっぱいに、茶色い素朴な修道服に身を包んだ聖人の上半身が堂々と描き出されています。<br />背景一面に敷き詰められた純金の金箔は、何百年の時を経て深みのある美しい琥珀色へと変化し、聖人の頭上には、丸く大きな後光が優しく輝いています。<br /><br />最大の見どころは、フェラーラ派の巨匠ならではの、まるで金属や硬い彫刻を思わせるような、衣服のうねるようなひだの立体描写にあります。<br />聖人は右手に小さな鈴が下がった素朴なT字型の杖を携え、両手で大切そうに開いた赤い本をじっと見つめており、静かに祈りを捧げるような真摯な表情から、深い知性と信仰心がリアルに表現されています。

    コズメ・トゥーラ 『読書するパドヴァの聖アントニオス』

    華やかな三連祭壇画から続き、フェラーラ派の独特な力強さを今に伝える、15世紀後半に制作された大変見事な作品です。

    画面いっぱいに、茶色い素朴な修道服に身を包んだ聖人の上半身が堂々と描き出されています。
    背景一面に敷き詰められた純金の金箔は、何百年の時を経て深みのある美しい琥珀色へと変化し、聖人の頭上には、丸く大きな後光が優しく輝いています。

    最大の見どころは、フェラーラ派の巨匠ならではの、まるで金属や硬い彫刻を思わせるような、衣服のうねるようなひだの立体描写にあります。
    聖人は右手に小さな鈴が下がった素朴なT字型の杖を携え、両手で大切そうに開いた赤い本をじっと見つめており、静かに祈りを捧げるような真摯な表情から、深い知性と信仰心がリアルに表現されています。

  • マッテオ・ディ・ジョヴァンニ 『聖母子と二人の聖人』<br /><br />力強い聖人肖像から続き、15世紀後半のシエナ派ならではの優美な抒情性を今に伝える、大変美しい作品です。<br /><br />画面中央では、深い紺色のマントの下にピンク色の美しい衣装をまとった聖母マリアが、そっと首を傾げ、目を細めながら、膝の上の幼子キリストを愛おしそうに優しく抱きかかえています。<br />愛らしい幼子キリストは、母のベールや胸元に小さな手を伸ばし、純粋な瞳で母を見上げる、親密な母子の情愛が表現されています。<br /><br />聖母子の背後の左右からは、うっすらと光り輝く黄金の後光を讃えた、二人の年老いた聖人たちが静かに寄り添い、この聖なる家族の温かなドラマを優しく見守るように配されています。<br />マリアの洗練されたしなやかな指先のラインや、どこか哀愁を帯びた優しい表情、そして背景に贅沢に施された金箔の輝きが、手彫りの植物模様がびっしりと刻まれたオリジナルの重厚な木製金色額縁と完璧に調和しています。

    マッテオ・ディ・ジョヴァンニ 『聖母子と二人の聖人』

    力強い聖人肖像から続き、15世紀後半のシエナ派ならではの優美な抒情性を今に伝える、大変美しい作品です。

    画面中央では、深い紺色のマントの下にピンク色の美しい衣装をまとった聖母マリアが、そっと首を傾げ、目を細めながら、膝の上の幼子キリストを愛おしそうに優しく抱きかかえています。
    愛らしい幼子キリストは、母のベールや胸元に小さな手を伸ばし、純粋な瞳で母を見上げる、親密な母子の情愛が表現されています。

    聖母子の背後の左右からは、うっすらと光り輝く黄金の後光を讃えた、二人の年老いた聖人たちが静かに寄り添い、この聖なる家族の温かなドラマを優しく見守るように配されています。
    マリアの洗練されたしなやかな指先のラインや、どこか哀愁を帯びた優しい表情、そして背景に贅沢に施された金箔の輝きが、手彫りの植物模様がびっしりと刻まれたオリジナルの重厚な木製金色額縁と完璧に調和しています。

  • ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ 『サンタンジェロ城への聖グレゴリウスの行列』<br /><br />穏やかな聖母子像から一転して、ローマの街を舞台にした劇的な歴史の奇跡を描き出す、15世紀初頭に制作された名作です。<br /><br />画面の左側には、重厚な城壁がそびえ立つローマの「サンタンジェロ城(聖天使城)」がダイナミックに描かれています。<br />その城の門の前では、格調高い赤や青、白の美しいマントを身にまとった教皇聖グレゴリウスと、彼を先導する聖職者たちの厳かな行列が、手前の白い橋を渡って進んでいく様子が生き生きと表現されています。<br />行列の右側では、聖母マリアの神聖な絵を掲げた人物や、手を合わせて深く祈る大勢の信者たちのリアルな人間模様が色彩豊かに描き込まれています。<br /><br />最大の見どころは、サンタンジェロ城の最上部、淡い青空を背景に佇む「大天使ミカエル」の小さな金色の姿にあります。<br />当時ローマで猛威を振るっていたペストの終息を告げるため、ミカエルが剣をさやに収める劇的な奇跡の瞬間が捉えられています。<br /><br />中世の画家たちが小さな木版に込めた素晴らしい職人技と、聖書のドラマを間近で堪能する、充実のひとときとなりました。<br /> <br />つづく

    ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ 『サンタンジェロ城への聖グレゴリウスの行列』

    穏やかな聖母子像から一転して、ローマの街を舞台にした劇的な歴史の奇跡を描き出す、15世紀初頭に制作された名作です。

    画面の左側には、重厚な城壁がそびえ立つローマの「サンタンジェロ城(聖天使城)」がダイナミックに描かれています。
    その城の門の前では、格調高い赤や青、白の美しいマントを身にまとった教皇聖グレゴリウスと、彼を先導する聖職者たちの厳かな行列が、手前の白い橋を渡って進んでいく様子が生き生きと表現されています。
    行列の右側では、聖母マリアの神聖な絵を掲げた人物や、手を合わせて深く祈る大勢の信者たちのリアルな人間模様が色彩豊かに描き込まれています。

    最大の見どころは、サンタンジェロ城の最上部、淡い青空を背景に佇む「大天使ミカエル」の小さな金色の姿にあります。
    当時ローマで猛威を振るっていたペストの終息を告げるため、ミカエルが剣をさやに収める劇的な奇跡の瞬間が捉えられています。

    中世の画家たちが小さな木版に込めた素晴らしい職人技と、聖書のドラマを間近で堪能する、充実のひとときとなりました。
     
    つづく

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