パリ旅行記(ブログ) 一覧に戻る
*:.。古代ギリシャの金細工、ルーム662の輝き.。.:* <br /><br />今回の旅行記は、宮殿の贅沢な空間が広がる「シュリー翼1階・フランス絵画展示室(ルーム663)」に佇む、美しいエジプトの木像ケースからスタートしました 。<br /><br />前半は、王墓造りの職人たちが暮らしたデール・エル・メディーヌ遺跡から出土した、様々な石灰岩のメモ「オストラコン」をめぐっていきました。<br />聖なる牡羊やコブラの彩色スケッチのほか、サルの裁判や猫とネズミの立場逆転を描いた、当時のユニークな動物の風刺画がたくさん登場します。<br /><br />後半は、プトレマイオス朝時代のまばゆい「黄金の人型木棺」の細密なレリーフや、色鮮やかな「木製棺ボード」、そして身代わり人形(シャブティ)を大切に保管するための美しい「彩色木製収納箱」のディテールをじっくりと堪能しました。<br /><br />大昔の職人たちの高度な技と深い信仰の歴史がギュッと詰まった、見応えたっぷりな【旅の記録】に仕上がりました。<br /><br /><br />全体の大まかな行程は以下になります。<br /><br />今日は,★☆★です (^^)/<br /><br />4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒<br />4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光<br />4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光<br />4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光<br />4/17(木) ギートホルン観光<br />4/18(金) キューケンホフ観光<br />4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動<br />4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光<br />4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光<br />4/22(火) ハーグ観光<br />4/23(水) プラハへ移動とプチ観光<br />4/24(木) プラハ観光+コンサート<br />4/25(金) プラハ観光+コンサート <br />4/26(土) プラハ観光<br />4/27(日) プラハ観光<br />4/28(月) プラハ観光<br />4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光<br />4/30(水) チェスキー・クルムロフ⇒プラハへ移動<br />5/1(木) パリへ移動,観光<br /><br />★☆★5/2(金) パリ観光<br /><br />5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光<br />5/4(日) パリ観光<br />5/5(月) 体調不良により観光無し<br />5/6(火) 体調不良により観光無し <br />5/7(水) パリ観光<br />5/8(木) シャルトルへ移動・観光<br />5/9(金) パリ観光<br />5/10(土) パリ観光<br />5/11(日) パリ観光<br />5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光<br />5/13(火) パリ観光<br />5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動<br />5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発<br />5/16(金) 成田着

290。*:.。オランダ,チェコ,フランス35日間の旅 ☆パリ-29 ルーブル-26☆.。.:* 

30いいね!

2025/05/02 - 2025/05/02

2414位(同エリア17307件中)

mitsu

mitsuさん

*:.。古代ギリシャの金細工、ルーム662の輝き.。.:* 

今回の旅行記は、宮殿の贅沢な空間が広がる「シュリー翼1階・フランス絵画展示室(ルーム663)」に佇む、美しいエジプトの木像ケースからスタートしました 。

前半は、王墓造りの職人たちが暮らしたデール・エル・メディーヌ遺跡から出土した、様々な石灰岩のメモ「オストラコン」をめぐっていきました。
聖なる牡羊やコブラの彩色スケッチのほか、サルの裁判や猫とネズミの立場逆転を描いた、当時のユニークな動物の風刺画がたくさん登場します。

後半は、プトレマイオス朝時代のまばゆい「黄金の人型木棺」の細密なレリーフや、色鮮やかな「木製棺ボード」、そして身代わり人形(シャブティ)を大切に保管するための美しい「彩色木製収納箱」のディテールをじっくりと堪能しました。

大昔の職人たちの高度な技と深い信仰の歴史がギュッと詰まった、見応えたっぷりな【旅の記録】に仕上がりました。


全体の大まかな行程は以下になります。

今日は,★☆★です (^^)/

4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒
4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光
4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光
4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光
4/17(木) ギートホルン観光
4/18(金) キューケンホフ観光
4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動
4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光
4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光
4/22(火) ハーグ観光
4/23(水) プラハへ移動とプチ観光
4/24(木) プラハ観光+コンサート
4/25(金) プラハ観光+コンサート 
4/26(土) プラハ観光
4/27(日) プラハ観光
4/28(月) プラハ観光
4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光
4/30(水) チェスキー・クルムロフ⇒プラハへ移動
5/1(木) パリへ移動,観光

★☆★5/2(金) パリ観光

5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光
5/4(日) パリ観光
5/5(月) 体調不良により観光無し
5/6(火) 体調不良により観光無し 
5/7(水) パリ観光
5/8(木) シャルトルへ移動・観光
5/9(金) パリ観光
5/10(土) パリ観光
5/11(日) パリ観光
5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光
5/13(火) パリ観光
5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動
5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発
5/16(金) 成田着

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
徒歩
旅行の手配内容
個別手配
  • 1  新しいアルバムは、宮殿の贅沢な空間が広がる「シュリー翼1階・フランス絵画展示室(ルーム663、シャルル10世の間)」に佇む、美しい木像たちの展示ケースからスタートです!<br /><br />ガラスケースに並ぶエジプトの木像前回の最後に立ち止まった、通路の真ん中にある独立ケースを、少し離れた正面から眺めてみました。<br /><br />この作品は、古代エジプトの新王国時代・第18王朝(紀元前14世紀頃)に制作された、非常に希少な木製の人物立像のコレクションです。<br />エジプトのアシユートなどの遺跡から出土した、当時の高官や神官をかたどった葬祭用副葬品になります。<br /><br />木という傷みやすい素材でありながら、何千年も前の職人技とスタイルがそのままの姿で美しく残っています。

    1  新しいアルバムは、宮殿の贅沢な空間が広がる「シュリー翼1階・フランス絵画展示室(ルーム663、シャルル10世の間)」に佇む、美しい木像たちの展示ケースからスタートです!

    ガラスケースに並ぶエジプトの木像前回の最後に立ち止まった、通路の真ん中にある独立ケースを、少し離れた正面から眺めてみました。

    この作品は、古代エジプトの新王国時代・第18王朝(紀元前14世紀頃)に制作された、非常に希少な木製の人物立像のコレクションです。
    エジプトのアシユートなどの遺跡から出土した、当時の高官や神官をかたどった葬祭用副葬品になります。

    木という傷みやすい素材でありながら、何千年も前の職人技とスタイルがそのままの姿で美しく残っています。

  • 2  高官の黒い木像(クローズアップ拡大)<br /><br />この作品は新王国時代第18王朝(紀元前14世紀頃)に作られた木製の彫刻で、当時の裕福な高官の姿をあらわしています。<br /><br />正面から大きく拡大してみると、細かな三つ編みを幾重にも編み込んだ大きなウィッグのディテールがはっきりと分かります。<br />下半身にまとっている長い腰布には、放射状に広がる細かなひだが精密に彫り込まれており、その中央の帯部分には所有者の名前や身分を記した象形文字が縦一列に優しく刻まれています。<br /><br />当時のエジプトの上流階級の洗練されたおしゃれのセンスや、木製彫刻の高い技術を今に伝えています。

    2  高官の黒い木像(クローズアップ拡大)

    この作品は新王国時代第18王朝(紀元前14世紀頃)に作られた木製の彫刻で、当時の裕福な高官の姿をあらわしています。

    正面から大きく拡大してみると、細かな三つ編みを幾重にも編み込んだ大きなウィッグのディテールがはっきりと分かります。
    下半身にまとっている長い腰布には、放射状に広がる細かなひだが精密に彫り込まれており、その中央の帯部分には所有者の名前や身分を記した象形文字が縦一列に優しく刻まれています。

    当時のエジプトの上流階級の洗練されたおしゃれのセンスや、木製彫刻の高い技術を今に伝えています。

  • 3  職人たちのオストラコン(図像石片)<br /><br />これらは古代エジプトの新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に、王墓の造営に携わっていた職人たちの集落である「デール・エル・メディーヌ遺跡」から出土した歴史的遺物です。<br /><br />古代エジプトでは、高価なパピルスの代わりに、身近にあった石灰岩の破片がメモ用紙として広く使われていました。

    3  職人たちのオストラコン(図像石片)

    これらは古代エジプトの新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に、王墓の造営に携わっていた職人たちの集落である「デール・エル・メディーヌ遺跡」から出土した歴史的遺物です。

    古代エジプトでは、高価なパピルスの代わりに、身近にあった石灰岩の破片がメモ用紙として広く使われていました。

  • 4 鞭を持つサルのオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />3番のケースの、一番上の左側<br /><br />この絵は新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌの遺跡から出土した歴史的遺物です。<br /><br />左側に立つサルが右手に鞭を掲げ、右側にいるライオンを従えようとしているユーモラスな構図が黒いインクではっきりと分かります。<br /><br />古代エジプトの職人たちの間では、本来の強者と弱者の立場をあべこべに描くことで、当時の社会や身分制度をコミカルに表現した「動物の風刺画」が流行していました。<br />パピルスよりも手軽な石灰岩の破片を使い、職人が手際よくのびのびと筆を走らせた、当時の自由な表現文化を今に伝えています。

    4 鞭を持つサルのオストラコン(クローズアップ拡大)

    3番のケースの、一番上の左側

    この絵は新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌの遺跡から出土した歴史的遺物です。

    左側に立つサルが右手に鞭を掲げ、右側にいるライオンを従えようとしているユーモラスな構図が黒いインクではっきりと分かります。

    古代エジプトの職人たちの間では、本来の強者と弱者の立場をあべこべに描くことで、当時の社会や身分制度をコミカルに表現した「動物の風刺画」が流行していました。
    パピルスよりも手軽な石灰岩の破片を使い、職人が手際よくのびのびと筆を走らせた、当時の自由な表現文化を今に伝えています。

  • 5 裁判をするサルのオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />3番一番上の段の中央。<br /><br />この絵も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌの遺跡から出土した歴史的遺物です。<br /><br />左側のサルが棒のようなものを掲げ、縄で縛られたライオンを連行している様子が黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。<br /><br />中央の奥に見える小さな神殿のような建物の中には、上位の立場として椅子に腰掛けた別のサルが裁判官のように佇んでおり、その右側にはジャッカルのような動物も描かれています。<br /><br />これも本来の強者である猛獣を、弱者であるサルが取り締まるというコミカルな「動物の風刺画」であり、当時の職人たちの豊かなユーモアと高い描写力を今に伝えています。

    5 裁判をするサルのオストラコン(クローズアップ拡大)

    3番一番上の段の中央。

    この絵も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌの遺跡から出土した歴史的遺物です。

    左側のサルが棒のようなものを掲げ、縄で縛られたライオンを連行している様子が黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。

    中央の奥に見える小さな神殿のような建物の中には、上位の立場として椅子に腰掛けた別のサルが裁判官のように佇んでおり、その右側にはジャッカルのような動物も描かれています。

    これも本来の強者である猛獣を、弱者であるサルが取り締まるというコミカルな「動物の風刺画」であり、当時の職人たちの豊かなユーモアと高い描写力を今に伝えています。

  • 6  実を採るサルのオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />5番の裁判の絵に続いて、一番上の段の右側。<br /><br />この絵も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌの遺跡から出土した歴史的遺物です。<br /><br />中央に一本の大きな木が立っており、その左右の枝に二匹のサルが登って楽しそうに実を収穫している様子が黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。<br />古代エジプトでは、サルを訓練して高い木の上にあるドームヤシなどの実を採らせる習慣があり、この絵はその実際の暮らしの一コマを写実的に描いたものです。<br /><br />職人が日常の何気ない風景を観察し、石灰岩の破片へ伸びのびとスケッチした、当時の生活感を生々しく伝えています。

    6  実を採るサルのオストラコン(クローズアップ拡大)

    5番の裁判の絵に続いて、一番上の段の右側。

    この絵も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌの遺跡から出土した歴史的遺物です。

    中央に一本の大きな木が立っており、その左右の枝に二匹のサルが登って楽しそうに実を収穫している様子が黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。
    古代エジプトでは、サルを訓練して高い木の上にあるドームヤシなどの実を採らせる習慣があり、この絵はその実際の暮らしの一コマを写実的に描いたものです。

    職人が日常の何気ない風景を観察し、石灰岩の破片へ伸びのびとスケッチした、当時の生活感を生々しく伝えています。

  • 7 ジャッカルのオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />6番のサルの絵に続いて、真ん中の段の左側。<br /><br />この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に作られ、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。<br /><br />右を向いて立つジャッカルの姿が黒いインクではっきりと分かります。<br />古代エジプトにおいてジャッカルは、ミイラ作りや冥界の守護神である「アヌビス神」の象徴として、非常に神聖視されていた動物です。<br /><br />動物の頭上には、当時の職人が書き残した短い象形文字の記録も優しく残されており、大昔の信仰や職人の手際のよい筆使いを今に伝えています。

    7 ジャッカルのオストラコン(クローズアップ拡大)

    6番のサルの絵に続いて、真ん中の段の左側。

    この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に作られ、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。

    右を向いて立つジャッカルの姿が黒いインクではっきりと分かります。
    古代エジプトにおいてジャッカルは、ミイラ作りや冥界の守護神である「アヌビス神」の象徴として、非常に神聖視されていた動物です。

    動物の頭上には、当時の職人が書き残した短い象形文字の記録も優しく残されており、大昔の信仰や職人の手際のよい筆使いを今に伝えています。

  • 8 狩りの絵のオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />7番のジャッカルの絵に続いて、真ん中の段の右側。<br /><br />この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に作られ、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。<br /><br />中央にいる大きなハイエナに、3匹の猟犬たちが一斉に飛びかかっている躍動感のある狩りの場面が、黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。<br /><br />古代エジプトでは、王族や貴族のスポーツ、あるいは身を守るために、よく訓練された犬を使ったハイエナ狩りが行われていました。<br /><br />それぞれの動物の毛並みや斑点、緊迫した動きが細かく描き分けられており、当時の職人の高い観察力と卓越したデッサン力を今に伝えています。

    8 狩りの絵のオストラコン(クローズアップ拡大)

    7番のジャッカルの絵に続いて、真ん中の段の右側。

    この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に作られ、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。

    中央にいる大きなハイエナに、3匹の猟犬たちが一斉に飛びかかっている躍動感のある狩りの場面が、黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。

    古代エジプトでは、王族や貴族のスポーツ、あるいは身を守るために、よく訓練された犬を使ったハイエナ狩りが行われていました。

    それぞれの動物の毛並みや斑点、緊迫した動きが細かく描き分けられており、当時の職人の高い観察力と卓越したデッサン力を今に伝えています。

  • 9 牡羊のオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />8番の狩りの絵に続いて、一番下の段の左側。<br /><br />この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に作られ、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。<br /><br />立派な角をくるりと巻いた、1頭の「牡羊(おひつじ)」の姿が、黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。<br />古代エジプトにおいて牡羊は、国家の最高神でありテーベの主神である「アメン神」が姿を変えた聖獣として、とても大切に信仰されていました。<br /><br />動物の足元には、当時の職人がインクで書き残した複数行の民衆文字(ヒエラティックまたは象形文字)が刻まれており、大昔の宗教的な崇拝や、職人たちの優れた素描技術を今に伝えています。

    9 牡羊のオストラコン(クローズアップ拡大)

    8番の狩りの絵に続いて、一番下の段の左側。

    この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に作られ、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。

    立派な角をくるりと巻いた、1頭の「牡羊(おひつじ)」の姿が、黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。
    古代エジプトにおいて牡羊は、国家の最高神でありテーベの主神である「アメン神」が姿を変えた聖獣として、とても大切に信仰されていました。

    動物の足元には、当時の職人がインクで書き残した複数行の民衆文字(ヒエラティックまたは象形文字)が刻まれており、大昔の宗教的な崇拝や、職人たちの優れた素描技術を今に伝えています。

  • 10 聖蛇メルセゲルのオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />9番の牡羊の絵に続いて、一番下の段の中央。<br /><br />この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に作られ、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。<br /><br />鮮やかな黄色や赤の絵の具で描かれた、1匹の「コブラ」の姿がはっきりと分かります。<br />頭の上には太陽円盤と牛の角の飾りを載せており、これは王家の谷があるテーベの山を神格化し、職人たちを病や危険から守ると信じられていた女神「メルセゲル」の聖なる姿です。<br />蛇の前には蓮の花を模した美しい供物台が置かれ、その上にはたくさんのお供え物が載っています。<br /><br />頭上には神聖な名前を記録した象形文字も書き込まれており、当時の職人たちの熱心な信仰と、色鮮やかな彩色技術を今に伝えています。

    10 聖蛇メルセゲルのオストラコン(クローズアップ拡大)

    9番の牡羊の絵に続いて、一番下の段の中央。

    この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に作られ、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。

    鮮やかな黄色や赤の絵の具で描かれた、1匹の「コブラ」の姿がはっきりと分かります。
    頭の上には太陽円盤と牛の角の飾りを載せており、これは王家の谷があるテーベの山を神格化し、職人たちを病や危険から守ると信じられていた女神「メルセゲル」の聖なる姿です。
    蛇の前には蓮の花を模した美しい供物台が置かれ、その上にはたくさんのお供え物が載っています。

    頭上には神聖な名前を記録した象形文字も書き込まれており、当時の職人たちの熱心な信仰と、色鮮やかな彩色技術を今に伝えています。

  • 11 波打つ蛇のオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />10番のメルセゲルの蛇の絵に続いて、一番下の段の右側。<br /><br />この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に作られ、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。<br /><br />石の表面に、身体を大きく何度も上下に波打たせている長い蛇の姿が黒いインクではっきりと分かります。<br />古代エジプトの宗教や死後の世界(冥界)の神話において、蛇は太陽神の旅を阻む悪の象徴であると同時に、王墓や神殿を強力に守護する聖なる生き物としても描かれました。<br /><br />蛇の上下の余白には、神話の物語や祈りの言葉、職人の個人的な記録とみられる象形文字が整然と書き込まれています。<br />当時の職人が墓の壁画を描くための手本として、あるいは文字の練習用として残した、大昔の職人文化を今に伝えています。

    11 波打つ蛇のオストラコン(クローズアップ拡大)

    10番のメルセゲルの蛇の絵に続いて、一番下の段の右側。

    この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に作られ、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。

    石の表面に、身体を大きく何度も上下に波打たせている長い蛇の姿が黒いインクではっきりと分かります。
    古代エジプトの宗教や死後の世界(冥界)の神話において、蛇は太陽神の旅を阻む悪の象徴であると同時に、王墓や神殿を強力に守護する聖なる生き物としても描かれました。

    蛇の上下の余白には、神話の物語や祈りの言葉、職人の個人的な記録とみられる象形文字が整然と書き込まれています。
    当時の職人が墓の壁画を描くための手本として、あるいは文字の練習用として残した、大昔の職人文化を今に伝えています。

  • 12 職人たちのオストラコン(人物と文字の石片)<br /><br />蛇の絵が並んでいたケースのすぐ近くに、今度は文字や人物のスケッチが残る、新しい石の破片のコレクションを見つけました。<br /><br />これらも新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土した歴史的遺物です。<br />上段の左側には、当時の実用的な手書き文字である神官文字が横書きで複数行にわたってびっしりと記録されています。<br /><br />その右側には、美しいウィッグを被り、両手を挙げて神様にお祈りを捧げたり、供物を手渡したりしている当時の職人や家族の姿が黒や赤茶色のインクで丁寧にスケッチされています。<br />下段には椅子に腰掛けた人物の輪郭線なども見られ、大昔の職人たちの手軽な文字の練習や壁画の手本の跡を今に伝えています。

    12 職人たちのオストラコン(人物と文字の石片)

    蛇の絵が並んでいたケースのすぐ近くに、今度は文字や人物のスケッチが残る、新しい石の破片のコレクションを見つけました。

    これらも新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土した歴史的遺物です。
    上段の左側には、当時の実用的な手書き文字である神官文字が横書きで複数行にわたってびっしりと記録されています。

    その右側には、美しいウィッグを被り、両手を挙げて神様にお祈りを捧げたり、供物を手渡したりしている当時の職人や家族の姿が黒や赤茶色のインクで丁寧にスケッチされています。
    下段には椅子に腰掛けた人物の輪郭線なども見られ、大昔の職人たちの手軽な文字の練習や壁画の手本の跡を今に伝えています。

  • 13 ヒエラティックが書かれたオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />上段の左端にあった文字の石片<br /><br />この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に作られ、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。<br /><br />石灰岩の平らな表面に、黒いインクで横書きの文字が5行にわたってびっしりと書かれているのがはっきりと分かります。<br />これは象形文字を崩して速く書けるようにしたヒエラティック(神官文字)という実用文字で、当時の労働者の出席簿、給与の支払い、業務報告、あるいは法的な契約や手紙といった毎日の実務的なメモとして使われていました。<br /><br />職人たちのリアルな社会生活や文字の読み書き文化を今に伝える、歴史的・学術的に非常に貴重な考古学的資料です。

    13 ヒエラティックが書かれたオストラコン(クローズアップ拡大)

    上段の左端にあった文字の石片

    この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に作られ、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。

    石灰岩の平らな表面に、黒いインクで横書きの文字が5行にわたってびっしりと書かれているのがはっきりと分かります。
    これは象形文字を崩して速く書けるようにしたヒエラティック(神官文字)という実用文字で、当時の労働者の出席簿、給与の支払い、業務報告、あるいは法的な契約や手紙といった毎日の実務的なメモとして使われていました。

    職人たちのリアルな社会生活や文字の読み書き文化を今に伝える、歴史的・学術的に非常に貴重な考古学的資料です。

  • 14 供物台と女性のオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />13番の文字の石片に続いて、上段の中央左側<br /><br />この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。<br /><br />左側に立つ女性が、右側にある背の高い供物台に向かってお祈りを捧げている様子が黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。<br />女性は細かなひだが入った当時のリネン製のおしゃれなロングドレスをまとい、頭にはボリュームのある黒いウィッグを着用しています。<br /><br />右側の供物台には、たくさんのパンや果物、蓮の花などの神聖なお供え物が山のように綺麗に積み上げられています。<br />墓の壁画の下描きや職人の練習として描かれたものであり、当時の衣服の流行や宗教的な役割を今に伝えています。

    14 供物台と女性のオストラコン(クローズアップ拡大)

    13番の文字の石片に続いて、上段の中央左側

    この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。

    左側に立つ女性が、右側にある背の高い供物台に向かってお祈りを捧げている様子が黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。
    女性は細かなひだが入った当時のリネン製のおしゃれなロングドレスをまとい、頭にはボリュームのある黒いウィッグを着用しています。

    右側の供物台には、たくさんのパンや果物、蓮の花などの神聖なお供え物が山のように綺麗に積み上げられています。
    墓の壁画の下描きや職人の練習として描かれたものであり、当時の衣服の流行や宗教的な役割を今に伝えています。

  • 15 供物を手にする女性のオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />14番の絵に続いて、上段の中央右側<br /><br />この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。<br /><br />正面から大きく拡大してみると、右側を向いた女性が、左手に平たい器、右手に細長い容器を掲げて儀式を行っている様子が黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。<br />女性の頭髪には美しい模様が入った黒いウィッグが表現されており、身体には流れるような縦のひだが入ったシースルー調の美しいリネンドレスをまとっています。<br /><br />上部には赤や黒のドットを用いた、当時の建物の天井や日よけを模した幾何学的な飾り模様が綺麗に残されています。<br />これも墓の壁画を美しく描くための手本や練習として残されたもので、当時の女性の洗練された身だしなみや崇拝の場面を今に伝えています。

    15 供物を手にする女性のオストラコン(クローズアップ拡大)

    14番の絵に続いて、上段の中央右側

    この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。

    正面から大きく拡大してみると、右側を向いた女性が、左手に平たい器、右手に細長い容器を掲げて儀式を行っている様子が黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。
    女性の頭髪には美しい模様が入った黒いウィッグが表現されており、身体には流れるような縦のひだが入ったシースルー調の美しいリネンドレスをまとっています。

    上部には赤や黒のドットを用いた、当時の建物の天井や日よけを模した幾何学的な飾り模様が綺麗に残されています。
    これも墓の壁画を美しく描くための手本や練習として残されたもので、当時の女性の洗練された身だしなみや崇拝の場面を今に伝えています。

  • 16 椅子に座る女性のオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />15番の絵に続いて、上段の右端。<br /><br />この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。<br /><br />右側に立つ背もたれ付きの椅子に腰掛けた、黒いロングヘアの女性の姿が黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。<br />女性の頭上には、ハトホル女神のシンボルに似た太陽円盤と牛の角を模した冠のような飾りが優しく描かれており、身体には赤茶色の細かなドット模様が施された華やかなドレスをまとっています。<br /><br />女性の前には複数の供物台が並んでおり、その上には細長い壺やパンなどのお供え物が載っています。<br />台座のすぐ近くには、手を伸ばしている小さな子供の姿も描かれており、墓の壁画の構図の手本として残された、当時の家族の儀式や信仰の様子を今に伝えています。

    16 椅子に座る女性のオストラコン(クローズアップ拡大)

    15番の絵に続いて、上段の右端。

    この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土したものです。

    右側に立つ背もたれ付きの椅子に腰掛けた、黒いロングヘアの女性の姿が黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。
    女性の頭上には、ハトホル女神のシンボルに似た太陽円盤と牛の角を模した冠のような飾りが優しく描かれており、身体には赤茶色の細かなドット模様が施された華やかなドレスをまとっています。

    女性の前には複数の供物台が並んでおり、その上には細長い壺やパンなどのお供え物が載っています。
    台座のすぐ近くには、手を伸ばしている小さな子供の姿も描かれており、墓の壁画の構図の手本として残された、当時の家族の儀式や信仰の様子を今に伝えています。

  • 17 竪琴を弾くサルのオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />16番の椅子の絵に続いて、今度は下段の左側にあった細長い石の破片<br /><br />この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土した歴史的遺物です。<br /><br />背もたれ付きの椅子にちょこんと腰掛け、手にした大きな竪琴を器用に演奏しているサルの姿が黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。<br />これは前半の4番や5番の作品と同じく、人間の高尚な営み(音楽の演奏)を身近な動物に置き換えて表現した、古代エジプトの人気な「動物の風刺画」の一つです。<br /><br />椅子の脚や、長い尻尾がくるりと上を向いている様子までユーモラスに描かれており、当時の職人たちの遊び心あふれる豊かなイマジネーションを今に伝えています。

    17 竪琴を弾くサルのオストラコン(クローズアップ拡大)

    16番の椅子の絵に続いて、今度は下段の左側にあった細長い石の破片

    この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土した歴史的遺物です。

    背もたれ付きの椅子にちょこんと腰掛け、手にした大きな竪琴を器用に演奏しているサルの姿が黒や赤茶色のインクではっきりと分かります。
    これは前半の4番や5番の作品と同じく、人間の高尚な営み(音楽の演奏)を身近な動物に置き換えて表現した、古代エジプトの人気な「動物の風刺画」の一つです。

    椅子の脚や、長い尻尾がくるりと上を向いている様子までユーモラスに描かれており、当時の職人たちの遊び心あふれる豊かなイマジネーションを今に伝えています。

  • 18 猫とネズミのオストラコン(クローズアップ拡大)<br /><br />17番の竪琴を弾くサルの絵に続いて、下段の中央にあった三角形に近い石の破片<br /><br />この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土した歴史的遺物です。<br /><br />左側の椅子に腰掛けた大きな「猫」に対して、右側に立つ「ネズミ」が杯(カップ)を差し出して給仕をしている様子が黒いインクではっきりと分かります。<br /><br />これも本来の捕食者(猫)と獲物(ネズミ)の立場を完全にあべこべに描いた、古代エジプトを代表する有名な「動物の風刺画」の一つです。<br /><br />上部の余白には、当時の手書き文字であるヒエラティック(神官文字)が複数行にわたって書き込まれています。<br />職人たちの優れた素描センスと、当時のユーモアあふれる文学・美術文化を今に伝えています。

    18 猫とネズミのオストラコン(クローズアップ拡大)

    17番の竪琴を弾くサルの絵に続いて、下段の中央にあった三角形に近い石の破片

    この遺物も新王国時代(紀元前13世紀~紀元前11世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土した歴史的遺物です。

    左側の椅子に腰掛けた大きな「猫」に対して、右側に立つ「ネズミ」が杯(カップ)を差し出して給仕をしている様子が黒いインクではっきりと分かります。

    これも本来の捕食者(猫)と獲物(ネズミ)の立場を完全にあべこべに描いた、古代エジプトを代表する有名な「動物の風刺画」の一つです。

    上部の余白には、当時の手書き文字であるヒエラティック(神官文字)が複数行にわたって書き込まれています。
    職人たちの優れた素描センスと、当時のユーモアあふれる文学・美術文化を今に伝えています。

  • 19 墓の壁面レリーフ(全体景)<br /><br />ユニークな風刺画が並んでいたケースの近くに、今度は文字や人物が深く彫り込まれた、大きな二つの石の残片を見つけました。<br /><br />これらも新王国時代(紀元前13世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌの遺跡から出土した貴重な歴史的遺物です。<br /><br />右側にある大きな石片には、細かな筋模様が入った大きなウィッグを被った被葬者(あるいは神官)の横顔が立体的に彫り出されており、その頭上には、所有者の名前や祈りの言葉を記した象形文字が整然と縦枠の中に並んでいます。<br /><br />左側にある横長の石片には、かつて施されていた赤茶色の彩色インクがうっすらと残るレリーフが彫られており、何千年も前の墓の華やかな装飾技術を今に伝えています。

    19 墓の壁面レリーフ(全体景)

    ユニークな風刺画が並んでいたケースの近くに、今度は文字や人物が深く彫り込まれた、大きな二つの石の残片を見つけました。

    これらも新王国時代(紀元前13世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌの遺跡から出土した貴重な歴史的遺物です。

    右側にある大きな石片には、細かな筋模様が入った大きなウィッグを被った被葬者(あるいは神官)の横顔が立体的に彫り出されており、その頭上には、所有者の名前や祈りの言葉を記した象形文字が整然と縦枠の中に並んでいます。

    左側にある横長の石片には、かつて施されていた赤茶色の彩色インクがうっすらと残るレリーフが彫られており、何千年も前の墓の華やかな装飾技術を今に伝えています。

  • 20 ラメセス2世の大型葬祭ステラ(正面全景)<br /><br />レリーフの残片があった場所の近くに、今度は人の背丈ほどもある、上部が丸くなった巨大な石灰岩製の石碑(ステラ)を見つけました。<br /><br />この作品は新王国時代第19王朝(紀元前13世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土した歴史的遺物です。<br /><br />画面が3つの大きな段(レジスター)に分かれており、当時の職人集落の住人たちが崇拝していた神々や王室の姿が深く綺麗に彫り込まれています。<br />一番上の段には、聖なる冠をかぶって玉座に腰掛ける当時の国王ラメセス2世(または神格化されたアメンホテプ1世)の姿と、その前にひざまずいて香や液体(供物)を捧げている高官や職人の姿が描かれています。<br /><br />中段や下段には、この石碑を奉納した家族や親族たちが一列に並び、両手を挙げて熱心にお祈りを捧げている儀式の場面や、彼らの名前・讃歌を記録した無数の象形文字がびっしりと並んでいます。<br />古代エジプトの卓越した浮き彫り(レリーフ)技術と、当時の人々の篤い信仰心を今に伝えています。

    20 ラメセス2世の大型葬祭ステラ(正面全景)

    レリーフの残片があった場所の近くに、今度は人の背丈ほどもある、上部が丸くなった巨大な石灰岩製の石碑(ステラ)を見つけました。

    この作品は新王国時代第19王朝(紀元前13世紀頃)に制作され、デール・エル・メディーヌ遺跡から出土した歴史的遺物です。

    画面が3つの大きな段(レジスター)に分かれており、当時の職人集落の住人たちが崇拝していた神々や王室の姿が深く綺麗に彫り込まれています。
    一番上の段には、聖なる冠をかぶって玉座に腰掛ける当時の国王ラメセス2世(または神格化されたアメンホテプ1世)の姿と、その前にひざまずいて香や液体(供物)を捧げている高官や職人の姿が描かれています。

    中段や下段には、この石碑を奉納した家族や親族たちが一列に並び、両手を挙げて熱心にお祈りを捧げている儀式の場面や、彼らの名前・讃歌を記録した無数の象形文字がびっしりと並んでいます。
    古代エジプトの卓越した浮き彫り(レリーフ)技術と、当時の人々の篤い信仰心を今に伝えています。

  • 21 タペレト夫人の彩色木製ステラ(クローズアップ拡大)<br /><br />20番の大きな石碑の近くに、今度は非常に色鮮やかな絵の具が残る、アーチ型の木製の碑(ステラ)を見つけました。<br /><br />この作品は第3中間期第22王朝(紀元前900年~紀元前800年頃)に制作され、ルーヴル美術館を代表する名作として知られるタペレト夫人の副葬品です。<br /><br />正面から大きく拡大してみると、左側には、頭上に大きな赤い太陽円盤と聖蛇コブラを戴く、ハヤブサの頭部を持った昼の太陽神「ラー・ホラクティ」が立っています。<br />太陽円盤からは、恵みの光線が何本も放射状に伸びており、その光線の先端が「蓮の花」の形になって降り注いでいるという、エジプト美術でも非常に珍しいデザインが描かれています。<br />右側には、ボリュームのあるウィッグに香油コーンを載せ、細かなひだが入った美しい黄色いドレスをまとった被葬者のタペレト夫人が、両手を挙げて神を崇拝しています。<br />中央の供物台には蓮の花などが綺麗に飾られており、上部のアーチ部分には魔除けの「ウジャトの目(ホルスの目)」や、天空を表す記号が美しく配置されています。<br />当時の卓越した色彩感覚と、再生や太陽への篤い信仰の歴史を今に伝えています。

    21 タペレト夫人の彩色木製ステラ(クローズアップ拡大)

    20番の大きな石碑の近くに、今度は非常に色鮮やかな絵の具が残る、アーチ型の木製の碑(ステラ)を見つけました。

    この作品は第3中間期第22王朝(紀元前900年~紀元前800年頃)に制作され、ルーヴル美術館を代表する名作として知られるタペレト夫人の副葬品です。

    正面から大きく拡大してみると、左側には、頭上に大きな赤い太陽円盤と聖蛇コブラを戴く、ハヤブサの頭部を持った昼の太陽神「ラー・ホラクティ」が立っています。
    太陽円盤からは、恵みの光線が何本も放射状に伸びており、その光線の先端が「蓮の花」の形になって降り注いでいるという、エジプト美術でも非常に珍しいデザインが描かれています。
    右側には、ボリュームのあるウィッグに香油コーンを載せ、細かなひだが入った美しい黄色いドレスをまとった被葬者のタペレト夫人が、両手を挙げて神を崇拝しています。
    中央の供物台には蓮の花などが綺麗に飾られており、上部のアーチ部分には魔除けの「ウジャトの目(ホルスの目)」や、天空を表す記号が美しく配置されています。
    当時の卓越した色彩感覚と、再生や太陽への篤い信仰の歴史を今に伝えています。

  • 22 四つの彩色木製ステラ(全体景)<br /><br />21番の石碑の近くに、今度は少し小さなアーチ型の木製石碑が4つ並んで展示されているケースを見つけました。<br /><br />これらは古代エジプトの第3中間期(紀元前11世紀~紀元前8世紀頃)に作られた、漆喰を塗った木製の葬祭ステラ(石碑)のコレクションです。<br /><br />それぞれの石碑には、当時の赤、黄色、青緑、黒などの絵の具が良好に残っており、冥界の様々な神々に祈りを捧げる被葬者たちの姿が描かれています。

    22 四つの彩色木製ステラ(全体景)

    21番の石碑の近くに、今度は少し小さなアーチ型の木製石碑が4つ並んで展示されているケースを見つけました。

    これらは古代エジプトの第3中間期(紀元前11世紀~紀元前8世紀頃)に作られた、漆喰を塗った木製の葬祭ステラ(石碑)のコレクションです。

    それぞれの石碑には、当時の赤、黄色、青緑、黒などの絵の具が良好に残っており、冥界の様々な神々に祈りを捧げる被葬者たちの姿が描かれています。

  • 23 冥界の神々に導かれる木製ステラ(クローズアップ拡大)<br /><br />22番のケースの左上にあった色彩豊かな石碑<br /><br />この作品は第3中間期(紀元前11世紀~紀元前8世紀頃)に作られた木製の碑で、冥界における神聖な儀式の様子をあらわしています。<br /><br />左側には、格子模様の衣装をまとい、アテフ冠をかぶって玉座に腰掛ける冥界の主「オシリス神」の姿がはっきりと分かります。<br /><br />中央には、ジャッカルの頭部を持つミイラ作りの神「アヌビス神」が立っており、右側にいる黒髪の被葬者の女性の「手」を優しく引いて、オシリス神の前へと導いています。<br /><br />上部には黄色い背景のなかに、神々の名前や祈りの言葉を記した象形文字が縦枠の中に整然と並んでいます。<br />何千年も前の木製品でありながら、当時の赤、黄、青、黒の鮮やかな色彩と、死後の再生を願う世界観を今に伝えています。

    23 冥界の神々に導かれる木製ステラ(クローズアップ拡大)

    22番のケースの左上にあった色彩豊かな石碑

    この作品は第3中間期(紀元前11世紀~紀元前8世紀頃)に作られた木製の碑で、冥界における神聖な儀式の様子をあらわしています。

    左側には、格子模様の衣装をまとい、アテフ冠をかぶって玉座に腰掛ける冥界の主「オシリス神」の姿がはっきりと分かります。

    中央には、ジャッカルの頭部を持つミイラ作りの神「アヌビス神」が立っており、右側にいる黒髪の被葬者の女性の「手」を優しく引いて、オシリス神の前へと導いています。

    上部には黄色い背景のなかに、神々の名前や祈りの言葉を記した象形文字が縦枠の中に整然と並んでいます。
    何千年も前の木製品でありながら、当時の赤、黄、青、黒の鮮やかな色彩と、死後の再生を願う世界観を今に伝えています。

  • 24 太陽神を崇拝する木製ステラ(クローズアップ拡大)<br /><br />23番の石碑に続いて、今度はケースの右上に展示されていた彩色石碑<br /><br />この遺物も第3中間期(紀元前11世紀~紀元前8世紀頃)に作られた木製の碑で、神への祈りの場面が描かれています。<br /><br />左側には、頭上に赤い太陽円盤を戴き、手に王笏(ヘカ杖とネケハク)を握って玉座に腰掛ける、ハヤブサ頭の太陽神「ラー・ホラクティ」の姿がはっきりと分かります。<br />右側には、ボリュームのあるウィッグに神聖な香油コーンを載せ、白いリネンの衣服をまとった被葬者の女性が、両手を挙げて神を崇拝しています。<br /><br />中央には蓮の花が美しく生けられた背の高い花瓶が置かれており、上部には青緑色の翼を左右にパッと広げた「有翼の太陽円盤」のマークと、縦枠に並ぶ黒い象形文字の記録が見られます。<br />当時の死生観や、木に漆喰を塗って色鮮やかに仕上げる製造技術を今に伝えています。

    24 太陽神を崇拝する木製ステラ(クローズアップ拡大)

    23番の石碑に続いて、今度はケースの右上に展示されていた彩色石碑

    この遺物も第3中間期(紀元前11世紀~紀元前8世紀頃)に作られた木製の碑で、神への祈りの場面が描かれています。

    左側には、頭上に赤い太陽円盤を戴き、手に王笏(ヘカ杖とネケハク)を握って玉座に腰掛ける、ハヤブサ頭の太陽神「ラー・ホラクティ」の姿がはっきりと分かります。
    右側には、ボリュームのあるウィッグに神聖な香油コーンを載せ、白いリネンの衣服をまとった被葬者の女性が、両手を挙げて神を崇拝しています。

    中央には蓮の花が美しく生けられた背の高い花瓶が置かれており、上部には青緑色の翼を左右にパッと広げた「有翼の太陽円盤」のマークと、縦枠に並ぶ黒い象形文字の記録が見られます。
    当時の死生観や、木に漆喰を塗って色鮮やかに仕上げる製造技術を今に伝えています。

  • 25  聖なる目と太陽神の木製ステラ(クローズアップ拡大)<br /><br />24番の石碑に続いて、今度はケースの左下に展示されていた彩色石碑<br /><br />この遺物も第3中間期(紀元前11世紀~紀元前8世紀頃)に作られた木製の碑で、神様へのお供えの場面が描かれています。<br /><br />左側には、頭上に大きな赤い太陽円盤を戴き、両手で王笏を胸の前で交差させて玉座に腰掛ける、ハヤブサ頭の太陽神「ラー・ホラクティ」の姿がはっきりと分かります。<br />右側には、髪を短く剃り落とした神官(または被葬者)の男性が立ち、左手に香炉や器を持ち、右手を挙げて神を崇拝しています。<br /><br />中央の供物台には青緑色の蓮(ハス)の花が生けられており、上部には大きく一対の魔除けの「ウジャトの目(ホルスの目)」と、青緑色の羽を広げた「有翼の太陽円盤」が描かれています。<br />足元の黄色い帯の部分には、神々への祈言を記録した象形文字が横書きで2行にわたり深く書かれており、当時の色鮮やかな彩色技術を今に伝えています。

    25  聖なる目と太陽神の木製ステラ(クローズアップ拡大)

    24番の石碑に続いて、今度はケースの左下に展示されていた彩色石碑

    この遺物も第3中間期(紀元前11世紀~紀元前8世紀頃)に作られた木製の碑で、神様へのお供えの場面が描かれています。

    左側には、頭上に大きな赤い太陽円盤を戴き、両手で王笏を胸の前で交差させて玉座に腰掛ける、ハヤブサ頭の太陽神「ラー・ホラクティ」の姿がはっきりと分かります。
    右側には、髪を短く剃り落とした神官(または被葬者)の男性が立ち、左手に香炉や器を持ち、右手を挙げて神を崇拝しています。

    中央の供物台には青緑色の蓮(ハス)の花が生けられており、上部には大きく一対の魔除けの「ウジャトの目(ホルスの目)」と、青緑色の羽を広げた「有翼の太陽円盤」が描かれています。
    足元の黄色い帯の部分には、神々への祈言を記録した象形文字が横書きで2行にわたり深く書かれており、当時の色鮮やかな彩色技術を今に伝えています。

  • 26 神々のシンボルが並ぶ木製ステラ(クローズアップ拡大)<br /><br />25番の石碑に続いて、今度はケースの右下に展示されていた最後の彩色石碑<br /><br />この遺物も第3中間期(紀元前11世紀~紀元前8世紀頃)に作られた木製の碑で、太陽神への熱心な崇拝が描かれています。<br /><br />左側には、頭上に赤い太陽円盤と聖蛇コブラを載せ、王笏を胸の前で交差させて玉座に腰掛ける、ハヤブサ頭の太陽神「ラー・ホラクティ」の姿がはっきりと分かります。<br />右側には、細かなひだが入った当時のリネン製のおしゃれな衣服をまとい、黒いウィッグを被った被葬者の男性が、両手を挙げて神を崇拝しています。<br />中央の供物台には背の高い壺や植物が並んでおり、上部の黄色い背景には、神々の名前や祈りの言葉を記録した象形文字(ヒエログリフ)が縦枠の中に整然と書き込まれています。<br /><br />特に足元の帯の部分には、生命の象徴である「アンク」や、安定・永遠を意味する「ジェド柱」の神聖なシンボルマークが横一列にずらりと並んでおり、当時の優れた彩色技術と宗教観を今に伝えるています。

    26 神々のシンボルが並ぶ木製ステラ(クローズアップ拡大)

    25番の石碑に続いて、今度はケースの右下に展示されていた最後の彩色石碑

    この遺物も第3中間期(紀元前11世紀~紀元前8世紀頃)に作られた木製の碑で、太陽神への熱心な崇拝が描かれています。

    左側には、頭上に赤い太陽円盤と聖蛇コブラを載せ、王笏を胸の前で交差させて玉座に腰掛ける、ハヤブサ頭の太陽神「ラー・ホラクティ」の姿がはっきりと分かります。
    右側には、細かなひだが入った当時のリネン製のおしゃれな衣服をまとい、黒いウィッグを被った被葬者の男性が、両手を挙げて神を崇拝しています。
    中央の供物台には背の高い壺や植物が並んでおり、上部の黄色い背景には、神々の名前や祈りの言葉を記録した象形文字(ヒエログリフ)が縦枠の中に整然と書き込まれています。

    特に足元の帯の部分には、生命の象徴である「アンク」や、安定・永遠を意味する「ジェド柱」の神聖なシンボルマークが横一列にずらりと並んでおり、当時の優れた彩色技術と宗教観を今に伝えるています。

  • 27 タペレト夫人の彩色木製ステラ(裏面クローズアップ拡大)<br /><br />21番のタペレト夫人の石碑を、今度はぐるりと裏側にまわってじっくり見つめてみました。<br /><br />この面には、21番の「昼の太陽神」とは対になる、「夜の太陽神」の神聖な旅の様子が色鮮やかに描かれています。<br /><br />上段の暗い夜空のなかを、大きな太陽円盤を載せた「太陽の船(マアジェトボート)」が静かに進んでいるのがはっきりと分かります。<br />船の上には、大きな翼をパッと広げた「有翼の太陽円盤」が描かれており、船の先端と後方には守護のコブラが佇んでいます。<br /><br />中段には、緑色の背景のなかに、白い冠をかぶって玉座に腰掛ける冥界の主「オシリス神」や、別の神々の姿が左右対称に並んでいます。<br />下段や外枠の三方には、タペレト夫人の家系や、死後の安全な旅を神々に祈願する象形文字(ヒエログリフ)がびっしりと書き込まれており、当時のリバーシブルな装飾技術と深い宗教観を今に伝えています。

    27 タペレト夫人の彩色木製ステラ(裏面クローズアップ拡大)

    21番のタペレト夫人の石碑を、今度はぐるりと裏側にまわってじっくり見つめてみました。

    この面には、21番の「昼の太陽神」とは対になる、「夜の太陽神」の神聖な旅の様子が色鮮やかに描かれています。

    上段の暗い夜空のなかを、大きな太陽円盤を載せた「太陽の船(マアジェトボート)」が静かに進んでいるのがはっきりと分かります。
    船の上には、大きな翼をパッと広げた「有翼の太陽円盤」が描かれており、船の先端と後方には守護のコブラが佇んでいます。

    中段には、緑色の背景のなかに、白い冠をかぶって玉座に腰掛ける冥界の主「オシリス神」や、別の神々の姿が左右対称に並んでいます。
    下段や外枠の三方には、タペレト夫人の家系や、死後の安全な旅を神々に祈願する象形文字(ヒエログリフ)がびっしりと書き込まれており、当時のリバーシブルな装飾技術と深い宗教観を今に伝えています。

  • 28 両手を高く掲げた、とても格好いい黒いブロンズ(青銅)製の像<br /><br />この作品は末期王朝時代第26王朝(紀元前6世紀頃)に作られた非常に貴重な鋳造彫刻で、知恵や書記を司るトト神、あるいは太陽の出現を称える聖獣のヒヒ(バブーン)の頭部を持った神の姿をあらわしています。<br /><br />衣服(シェンディトと呼ばれる腰布)の細かな縦縞模様や、人間の身体に動物の頭を組み合わせた古代エジプト独特の神聖なラインがはっきりと分かります。<br />大きく掲げられた両手のひらは上(太陽の方向)に向けられており、毎朝昇る太陽神を迎えて熱心に讃歌を捧げている、古代の神話的なポーズを立体的に表現しています。

    28 両手を高く掲げた、とても格好いい黒いブロンズ(青銅)製の像

    この作品は末期王朝時代第26王朝(紀元前6世紀頃)に作られた非常に貴重な鋳造彫刻で、知恵や書記を司るトト神、あるいは太陽の出現を称える聖獣のヒヒ(バブーン)の頭部を持った神の姿をあらわしています。

    衣服(シェンディトと呼ばれる腰布)の細かな縦縞模様や、人間の身体に動物の頭を組み合わせた古代エジプト独特の神聖なラインがはっきりと分かります。
    大きく掲げられた両手のひらは上(太陽の方向)に向けられており、毎朝昇る太陽神を迎えて熱心に讃歌を捧げている、古代の神話的なポーズを立体的に表現しています。

  • 29 太陽を崇拝するブロンズ像(別アングル)<br /><br />28番のヒヒ頭の神像(トト神の聖獣)を、今度は反対側の斜め前方<br /><br />別のアングルから眺めてみると、鋭く造形されたヒヒの横顔や、細かな三つ編み模様のウィッグ、そして腰布のプリーツの立体感がさらに細かく分かります。<br /><br />高く掲げられた両手は、東の空から昇る太陽を迎え、その光を全身に受けて崇拝している神話的な瞬間を力強く捉えています。<br />お隣の展示エリアへと続くアーチ状の立派な扉口が写り込んでおり、王宮の格調高い空間と大昔の神聖なブロンズ彫刻の美しさを同時に楽しめる見事な一枚です。

    29 太陽を崇拝するブロンズ像(別アングル)

    28番のヒヒ頭の神像(トト神の聖獣)を、今度は反対側の斜め前方

    別のアングルから眺めてみると、鋭く造形されたヒヒの横顔や、細かな三つ編み模様のウィッグ、そして腰布のプリーツの立体感がさらに細かく分かります。

    高く掲げられた両手は、東の空から昇る太陽を迎え、その光を全身に受けて崇拝している神話的な瞬間を力強く捉えています。
    お隣の展示エリアへと続くアーチ状の立派な扉口が写り込んでおり、王宮の格調高い空間と大昔の神聖なブロンズ彫刻の美しさを同時に楽しめる見事な一枚です。

  • 30 ラメセス2世の王名が刻まれた石灰岩製台座<br /><br />文字が深く彫り込まれた、どっしりとした大きな石灰岩(ライムストーン)の遺物<br /><br />この作品は新王国時代第19王朝(紀元前13世紀頃)に制作された神殿建築のパーツ、あるいは神聖な儀式用の船を載せるための立派な台座の残片です。<br />正面からまっすぐ見つめてみると、平らな石の表面に、当時の国王ラメセス2世の王名を囲む楕円形の「カルトゥーシュ」が二つ並んで深く刻まれているのがはっきりと分かります。<br /><br />カルトゥーシュの周囲には、王の不滅の権利を証明する神聖なシンボルや象形文字が整然と並んでおり、右側のカーブした面にも細かな装飾のラインが施されています。

    30 ラメセス2世の王名が刻まれた石灰岩製台座

    文字が深く彫り込まれた、どっしりとした大きな石灰岩(ライムストーン)の遺物

    この作品は新王国時代第19王朝(紀元前13世紀頃)に制作された神殿建築のパーツ、あるいは神聖な儀式用の船を載せるための立派な台座の残片です。
    正面からまっすぐ見つめてみると、平らな石の表面に、当時の国王ラメセス2世の王名を囲む楕円形の「カルトゥーシュ」が二つ並んで深く刻まれているのがはっきりと分かります。

    カルトゥーシュの周囲には、王の不滅の権利を証明する神聖なシンボルや象形文字が整然と並んでおり、右側のカーブした面にも細かな装飾のラインが施されています。

  • 31 ラメセス2世の王名が刻まれた石灰岩製台座(別アングル)<br /><br />30番の台座の反対側にまわり、もう一つの側面に刻まれた彫刻<br /><br />反対側からまっすぐ見つめてみると、こちら側の面にも、ラメセス2世の王名(即位名や誕生名)を囲む楕円形の「カルトゥーシュ」が縦一列に2つ深く刻まれているのが分かります。<br /><br />カルトゥーシュのすぐ左側には、角を模したようなV字型の飾りの間に、赤茶色の絵の具が鮮やかに残る「太陽円盤」のレリーフが彫り出されています。<br />周囲には王の長寿や永遠の統治を祈願する象形文字が整然と並んでいます。

    31 ラメセス2世の王名が刻まれた石灰岩製台座(別アングル)

    30番の台座の反対側にまわり、もう一つの側面に刻まれた彫刻

    反対側からまっすぐ見つめてみると、こちら側の面にも、ラメセス2世の王名(即位名や誕生名)を囲む楕円形の「カルトゥーシュ」が縦一列に2つ深く刻まれているのが分かります。

    カルトゥーシュのすぐ左側には、角を模したようなV字型の飾りの間に、赤茶色の絵の具が鮮やかに残る「太陽円盤」のレリーフが彫り出されています。
    周囲には王の長寿や永遠の統治を祈願する象形文字が整然と並んでいます。

  • 32 女性の小立像(全体景)<br /><br />美しい小さな立像たちが並ぶケースを見つけました。<br /><br />中央にある頭部が残った像は、新王国時代第18王朝(紀元前15世紀~紀元前14世紀頃)に制作された、石灰岩(ライムストーン)製の彫刻です。<br />正面からまっすぐ見つめてみると、頭部には細かなストライプ模様が立体的に刻まれた、当時の上流階級の女性特有の大きなウィッグ(かつら)を着用しているのがはっきりと分かります。<br /><br />身体には当時の洗練されたタイトな衣服をまとっており、なだらかで写実的な身体のラインが精緻に表現されています。<br />左側と右側には、同じく新王国時代に作られた、頭部や腕が失われた別の貴重なトルソー(身体像)の残片も一緒に並んで展示されており、大昔のエジプトにおける女性美の表現技術の変遷を今に伝えています。

    32 女性の小立像(全体景)

    美しい小さな立像たちが並ぶケースを見つけました。

    中央にある頭部が残った像は、新王国時代第18王朝(紀元前15世紀~紀元前14世紀頃)に制作された、石灰岩(ライムストーン)製の彫刻です。
    正面からまっすぐ見つめてみると、頭部には細かなストライプ模様が立体的に刻まれた、当時の上流階級の女性特有の大きなウィッグ(かつら)を着用しているのがはっきりと分かります。

    身体には当時の洗練されたタイトな衣服をまとっており、なだらかで写実的な身体のラインが精緻に表現されています。
    左側と右側には、同じく新王国時代に作られた、頭部や腕が失われた別の貴重なトルソー(身体像)の残片も一緒に並んで展示されており、大昔のエジプトにおける女性美の表現技術の変遷を今に伝えています。

  • 33 黄金の人型木棺(クローズアップ拡大)<br /><br />全体が眩しい金色に包まれた、とても立派な人型の棺(ミイラケース)<br /><br />この作品はプトレマイオス朝時代(紀元前305年~紀元前30年頃)に作られたもので、非常に良好な保存状態で金箔が残されています。<br /><br />胸元には「ウセク」と呼ばれる、何重にも細かな編み目模様が施された大きな襟飾りが立体的に表現されています。<br />その下の下半身にあたる部分には、水平な複数の段(レジスター)に分かれた細密な浮き彫り(レリーフ)が彫り出されています。<br /><br />それぞれの段には、死者の魂の安全を守る冥界の主「オシリス神」や、ジャッカル頭の「アヌビス神」、ウイングを大きく広げた守護女神、そして死者を迎える様々な神々の姿が整然と描かれています。<br /><br />何千年も前のものとは思えないまばゆい輝きと、当時の非常に高度な彫刻・金細工の技術を今に伝えています。

    33 黄金の人型木棺(クローズアップ拡大)

    全体が眩しい金色に包まれた、とても立派な人型の棺(ミイラケース)

    この作品はプトレマイオス朝時代(紀元前305年~紀元前30年頃)に作られたもので、非常に良好な保存状態で金箔が残されています。

    胸元には「ウセク」と呼ばれる、何重にも細かな編み目模様が施された大きな襟飾りが立体的に表現されています。
    その下の下半身にあたる部分には、水平な複数の段(レジスター)に分かれた細密な浮き彫り(レリーフ)が彫り出されています。

    それぞれの段には、死者の魂の安全を守る冥界の主「オシリス神」や、ジャッカル頭の「アヌビス神」、ウイングを大きく広げた守護女神、そして死者を迎える様々な神々の姿が整然と描かれています。

    何千年も前のものとは思えないまばゆい輝きと、当時の非常に高度な彫刻・金細工の技術を今に伝えています。

  • 34 黄金の棺の装飾(クローズアップ拡大)<br /><br />33番の黄金の棺からさらに一歩近づいて、お腹から足元にかけて刻まれた細密なレリーフ(浮き彫り)をじっくり見つめてみました。<br /><br />この面には、死者の魂を守護し、再生を導くための重要な神話の場面が複数の段(レジスター)に分かれて細かく彫り込まれています。<br /><br />中央の段には、頭上に太陽円盤を戴き、大きな羽を左右にパッと広げて被葬者を全方位から守る「守護女神(イシス女神またはヌト女神)」の姿が、非常に高い密度で刻まれているのがはっきりと分かります。<br /><br />その下の段の真ん中には、椅子に腰掛ける冥界の主「オシリス神」が描かれており、左右の区画には羽を広げた神聖な鳥や、神々を崇拝する人物たちの姿が整然と並んでいます。<br />各段の境界には、星のマークを連ねた幾何学模様や、当時の伝統的な意匠がスタンプのように綺麗に並んでおり、金箔の表面に施された古代エジプト末期の極めて繊細な職人技と深い信仰の歴史を今に伝えています。

    34 黄金の棺の装飾(クローズアップ拡大)

    33番の黄金の棺からさらに一歩近づいて、お腹から足元にかけて刻まれた細密なレリーフ(浮き彫り)をじっくり見つめてみました。

    この面には、死者の魂を守護し、再生を導くための重要な神話の場面が複数の段(レジスター)に分かれて細かく彫り込まれています。

    中央の段には、頭上に太陽円盤を戴き、大きな羽を左右にパッと広げて被葬者を全方位から守る「守護女神(イシス女神またはヌト女神)」の姿が、非常に高い密度で刻まれているのがはっきりと分かります。

    その下の段の真ん中には、椅子に腰掛ける冥界の主「オシリス神」が描かれており、左右の区画には羽を広げた神聖な鳥や、神々を崇拝する人物たちの姿が整然と並んでいます。
    各段の境界には、星のマークを連ねた幾何学模様や、当時の伝統的な意匠がスタンプのように綺麗に並んでおり、金箔の表面に施された古代エジプト末期の極めて繊細な職人技と深い信仰の歴史を今に伝えています。

  • 35 赤や黄色、青緑の色彩が驚くほど鮮やかに残る、大きなアーチ型の木製のボードを見つけました。<br /><br />この作品は第3中間期(紀元前11世紀~紀元前9世紀頃)に作られた木製の棺の一部で、死後の世界における神聖な旅の様子が複数の段(レジスター)に分かれて克明に描かれています。<br />正面からまっすぐ見つめてみると、一番上のアーチ部分には、大きな翼を左右にパッと広げた「有翼の太陽円盤」と、その真ん中に再生のシンボルである聖なる甲虫「スカラベ(タマオシコギ)」が配置されています。<br />中央の段には、太陽神の移動手段である「太陽の船(マアジェトボート)」が描かれており、ハヤブサ頭の神様を筆頭に複数の神々が船に乗り込んでいます。<br />船の右側には、お供え物の山を挟んで、被葬者が両手を挙げて崇拝している姿が見られます。<br /><br />その下の段には、椅子に腰掛ける冥界の主「オシリス神」の前に、ジャッカル頭の「アヌビス神」やハヤブサ頭の「ホルス神」といったおなじみの冥界の神々がずらりと一列に並んでおり、最下段には黒い文字で神々への祈言が何行にもわたって横書きでびっしり記録されています。<br />当時の極めて高い彩色技術と、死後の再生を願う世界観を今に伝えています。

    35 赤や黄色、青緑の色彩が驚くほど鮮やかに残る、大きなアーチ型の木製のボードを見つけました。

    この作品は第3中間期(紀元前11世紀~紀元前9世紀頃)に作られた木製の棺の一部で、死後の世界における神聖な旅の様子が複数の段(レジスター)に分かれて克明に描かれています。
    正面からまっすぐ見つめてみると、一番上のアーチ部分には、大きな翼を左右にパッと広げた「有翼の太陽円盤」と、その真ん中に再生のシンボルである聖なる甲虫「スカラベ(タマオシコギ)」が配置されています。
    中央の段には、太陽神の移動手段である「太陽の船(マアジェトボート)」が描かれており、ハヤブサ頭の神様を筆頭に複数の神々が船に乗り込んでいます。
    船の右側には、お供え物の山を挟んで、被葬者が両手を挙げて崇拝している姿が見られます。

    その下の段には、椅子に腰掛ける冥界の主「オシリス神」の前に、ジャッカル頭の「アヌビス神」やハヤブサ頭の「ホルス神」といったおなじみの冥界の神々がずらりと一列に並んでおり、最下段には黒い文字で神々への祈言が何行にもわたって横書きでびっしり記録されています。
    当時の極めて高い彩色技術と、死後の再生を願う世界観を今に伝えています。

  • 36 カラフルな絵が描かれた、大小二つの四角い木製の箱(ボックス)が並ぶケースを見つけました。<br /><br />これらは末期王朝時代(紀元前7世紀~紀元前4世紀頃)に作られたもので、死者の身代わり人形(シャブティ)を大切に保管して墓の中に納めるための専用の木箱です。

    36 カラフルな絵が描かれた、大小二つの四角い木製の箱(ボックス)が並ぶケースを見つけました。

    これらは末期王朝時代(紀元前7世紀~紀元前4世紀頃)に作られたもので、死者の身代わり人形(シャブティ)を大切に保管して墓の中に納めるための専用の木箱です。

  • 37 彩色木製シャブティボックス(クローズアップ拡大)<br /><br />36番のケースの、左側にあった小さなほうの木箱<br /><br />箱の蓋の上には、墓の守護神である「ジャッカル」の小さな黒い彫刻がちょこんと腰掛けているのがはっきりと分かります。<br />その下の本体部分は上下二つの段(レジスター)に分かれており、当時の職人が手際よく描いた神話の絵が残されています。<br /><br />上の段には、向かい合う二匹のジャッカル頭の神「アヌビス」が描かれており、中央に置かれたお供え物の器に向かって、それぞれが神聖な液体や香を捧げています。<br />下の段には、緑色の顔をした冥界の主「オシリス神」のようなミイラ姿の像を挟んで、左右から女性たちが両手を挙げて熱心にお祈りを捧げています。<br />左右の外枠部分には、この箱の目的や祈りの言葉を記録した象形文字が縦一列にびっしりと書き込まれており、大昔のエジプトにおける細密な木製品の製造技術を今に伝えています。

    37 彩色木製シャブティボックス(クローズアップ拡大)

    36番のケースの、左側にあった小さなほうの木箱

    箱の蓋の上には、墓の守護神である「ジャッカル」の小さな黒い彫刻がちょこんと腰掛けているのがはっきりと分かります。
    その下の本体部分は上下二つの段(レジスター)に分かれており、当時の職人が手際よく描いた神話の絵が残されています。

    上の段には、向かい合う二匹のジャッカル頭の神「アヌビス」が描かれており、中央に置かれたお供え物の器に向かって、それぞれが神聖な液体や香を捧げています。
    下の段には、緑色の顔をした冥界の主「オシリス神」のようなミイラ姿の像を挟んで、左右から女性たちが両手を挙げて熱心にお祈りを捧げています。
    左右の外枠部分には、この箱の目的や祈りの言葉を記録した象形文字が縦一列にびっしりと書き込まれており、大昔のエジプトにおける細密な木製品の製造技術を今に伝えています。

  • 38審判の絵が描かれたシャブティボックス(クローズアップ拡大)<br /><br />今度は右側にあった大きな方の木箱<br /><br />この面には、死後の世界における神聖な物語が上下二つの段(レジスター)に分かれて色鮮やかに描かれています。<br /><br />上の段には、大きな目(ウジャトの目)のデザインが施された「太陽の船」が描かれており、中央の玉座に腰掛ける太陽神を挟んで、複数の神々やシンボルが配置されています。<br />下の段の左側には、ジャッカル頭の神「アヌビス」が立ち、中央に置かれた背の高いお供えの台(供物台)に向かって、両手に持った器から神聖な液体や花を捧げる儀式を行っています。<br />その右側には、立派な二重冠(プスケント)をかぶったハヤブサ頭の「ホルス神」と、もう一尊のジャッカル頭の神様が背筋をピンと伸ばして並んでいます。<br />神々の頭上には、カラフルな四角い枠線のなかに黒い象形文字の記録がびっしりと書き込まれており、最上部や足元を飾る当時の伝統的な幾何学模様の彩色とともに、末期王朝時代における極めて精緻な葬祭美術の歴史を今に伝えています。<br /><br />次回は、お隣の「古代ギリシャ美術展示室(ルーム663から662)」からスタートします 。ケースに並ぶ、紀元前7世紀頃のまばゆい金の宝飾品たちをめぐる新しいお散歩を、どうぞお楽しみに! つづく

    38審判の絵が描かれたシャブティボックス(クローズアップ拡大)

    今度は右側にあった大きな方の木箱

    この面には、死後の世界における神聖な物語が上下二つの段(レジスター)に分かれて色鮮やかに描かれています。

    上の段には、大きな目(ウジャトの目)のデザインが施された「太陽の船」が描かれており、中央の玉座に腰掛ける太陽神を挟んで、複数の神々やシンボルが配置されています。
    下の段の左側には、ジャッカル頭の神「アヌビス」が立ち、中央に置かれた背の高いお供えの台(供物台)に向かって、両手に持った器から神聖な液体や花を捧げる儀式を行っています。
    その右側には、立派な二重冠(プスケント)をかぶったハヤブサ頭の「ホルス神」と、もう一尊のジャッカル頭の神様が背筋をピンと伸ばして並んでいます。
    神々の頭上には、カラフルな四角い枠線のなかに黒い象形文字の記録がびっしりと書き込まれており、最上部や足元を飾る当時の伝統的な幾何学模様の彩色とともに、末期王朝時代における極めて精緻な葬祭美術の歴史を今に伝えています。

    次回は、お隣の「古代ギリシャ美術展示室(ルーム663から662)」からスタートします 。ケースに並ぶ、紀元前7世紀頃のまばゆい金の宝飾品たちをめぐる新しいお散歩を、どうぞお楽しみに! つづく

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