2025/05/02 - 2025/05/02
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:.。☆ラファエロの間から受胎告知へ!贅沢な名画の旅 ☆.。.:
今回のルーヴル美術館の旅は、ずっと楽しみにしていた「ラファエロの間(ルーム712)」からスタートです 。
新しいお部屋に入ると、巨匠たちの素晴らしい才能があちこちに満ちていて、最初からワクワクが止まりません。
まずは、大きな羽を広げた大天使ミカエルの迫力ある絵に圧倒されました。それから、ラファエロの頼れるお弟子さんたちが描いた、優しくて温かい家族の絵や、ちょっと切ない神話のお話をのんびり眺めながら歩いていきます。
そして、今回の旅のいちばんの締めくくりに出会ったのが、カラッチの『受胎告知』です。
天使から「神様の子どもを授かりましたよ」と告げられて、そっと胸に手を当てて驚いているマリア様の姿が本当に綺麗で、時間を忘れてうっとりと見惚れてしまいました。
本物の彫刻のようにツルツルした綺麗な肖像画や、まるで映画のワンシーンのような劇的な光の表現など、天才たちの情熱をじっくり肌で感じる、とても贅沢なひとときになりました。
広い広いルーヴル美術館のイタリア絵画の旅、そして大好きな名画たちとの出会いは、この先もまだまだ続いていきます。
全体の大まかな行程は以下になります。
今日は,★☆★です (^^)/
4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒
4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光
4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光
4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光
4/17(木) ギートホルン観光
4/18(金) キューケンホフ観光
4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動
4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光
4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光
4/22(火) ハーグ観光
4/23(水) プラハへ移動とプチ観光
4/24(木) プラハ観光+コンサート
4/25(金) プラハ観光+コンサート
4/26(土) プラハ観光
4/27(日) プラハ観光
4/28(月) プラハ観光
4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光
4/30(水) チェスキー・クルムロフ⇒プラハへ移動
5/1(木) パリへ移動,観光
★☆★5/2(金) パリ観光
5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光
5/4(日) パリ観光
5/5(月) 体調不良により観光無し
5/6(火) 体調不良により観光無し
5/7(水) パリ観光
5/8(木) シャルトルへ移動・観光
5/9(金) パリ観光
5/10(土) パリ観光
5/11(日) パリ観光
5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光
5/13(火) パリ観光
5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動
5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発
5/16(金) 成田着
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
前回のラファエロの間(ルーム712)の続きです 。
『聖母子と聖アンナ、聖ヨセフ、幼い洗礼者聖ヨハネ』
イタリアの画家ブロンズィーノが1540年頃に手がけた作品です。
かつてフランス国王ルイ14世のコレクションだった、歴史ある名画です。
中央の聖母マリアを中心に、幼児キリスト、そして手前で地面に座る幼い洗礼者聖ヨハネが描かれています。
右奥からは夫の聖ヨセフが、左奥からはマリアの母である聖アンナが家族を優しく見守っています。
手元に隠された意味マリアとキリスト、そして聖ヨハネの3人が、手元で小さな「イチゴ」の実を大切そうに手渡しています。
この赤いイチゴは、キリスト教において「正しき人の善い行い」や「聖なる愛」を象徴する特別な果物です。
前回の最後から6枚目でもご紹介したブロンズィーノらしく、人物たちの肌がまるで最高級の大理石の彫刻のように「ツルツルと滑らかで青白い質感」で美しく描かれており、気品あふれるクールな魅力が光る一枚です。 -
『建築家の肖像』
イタリアの画家フランチェスコ・サルヴィアーティが1540~1550年頃に手がけた作品です。
黒い独特な形の帽子をかぶり、上品な毛皮のついた上着をまとった男性が、ふと左側を振り返るような凛としたポーズで描かれています。
手元に隠された意味 男性の右手(画面右下)に注目すると、小さな「コンパス」を大切そうに握りしめています。
このコンパスは建築や設計に欠かせない道具であるため、この人物が当時とても優秀だった「建築家(あるいは知識人)」であることを静かに物語っています。
暗い背景のなかから、男性のどこか遠くを見つめる知性あふれる瞳や、衣服のしっかりとした質感がくっきりと浮かび上がっています。ルネサンス後期らしい、クールで格調高い気品が漂う魅力的な一枚です。 -
「ラファエロの間(ルーム712)」の、部屋の中央にどっしりと展示されています
『ダヴィデとゴリアテの戦い』
巨匠ミケランジェロの愛弟子として知られるイタリアの画家ダニエーレ・ダ・ヴォルテッラが1555年頃に手がけた、世界的に非常に有名な傑作です。
旧約聖書のとても有名な下克上の物語が描かれています。
少年ダヴィデが、誰も敵わなかった巨人の兵士ゴリアテを地面にねじ伏せ、今まさに剣を振り下ろしてトドメを刺そうとする大迫力の決戦の瞬間です。
この絵の最大の特徴は、キャンバスではなく重厚な「石の板(スレート)」の表と裏の両面に、全く同じ場面が「正面から見た図」と「後ろから見た図」として描き分けられている点です。
以前ご紹介したボッティチェリの絵と同じように、壁からではなく部屋の中央に専用の立派な台座で飾られており、読者がぐるりと回り込んで「絵画なのに彫刻のように360度から楽しめる」という、ルーヴル美術館ならではの大変贅沢な仕掛けを五感で堪能できます。 -
『ダヴィデとゴリアテの戦い』
(裏面)前作でご紹介した、ダニエーレ・ダ・ヴォルテッラによる大作の「後ろ側」から見た姿です。
前作の正面カットからぐるりと裏へ回り込むと、今度は少年ダヴィデのたくましい背中や、巨人の大きなお尻、そしてねじり上げられた腕の筋肉が、後ろからの視点で驚くほど正確に描かれています。
彫刻との「美の論争」当時、芸術家たちの間では「絵画と彫刻、どちらが優れているか」という大論争がありました。
この作品は、彫刻のように「一つの場面を360度いろいろな角度から眺める楽しさ」を、絵画(平面)でも見事に証明してみせた歴史的な傑作です。
風になびく黄金色のマントの光沢や、手前に大きく突き出された巨人の生々しい足の立体感など、裏面だからこそ味わえる構図の面白さと、画家の並外れたこだわりが画面の隅々にまで詰まっています。 -
『クピドに導かれ、死せるアドニスの元へ向かうヴィーナス』
イタリアの画家ヤコポ・ベルトイア(ヤコポ・ザンギディ・ベルトイア)が1560~1566年頃に手がけた作品です。
ギリシャ神話の有名な悲劇が描かれています。
愛の女神ヴィーナスが恋に落ちた美しい人間の青年アドニスが、狩りの最中に巨大なイノシシに襲われて命を落としてしまいます。
絵の中央では、悲報を聞いたヴィーナスが黄金の馬車に乗って雲の上を急ぎ、息子のクピド(キューピッド)に導かれながら、左下の地面に倒れているアドニスの元へと駆けつける切ない瞬間です。
宙を舞う愛らしい天使たち頭上を注目すると、二人の小さな愛らしい天使(プッティ)が、悲しむヴィーナスに寄り添うようにふわりと宙を舞っており、神話の世界らしい幻想的な雰囲気を引き立てています。
ベルトイアの最大の特徴は、この「引き伸ばされたような優美な人物のポーズ」と、風になびく衣装の美しいひだの表現にあります。薄暗い森の背景から、白く滑らかな女神の身体や、身にまとった淡いグリーンの布がまばゆく浮かび上がる色彩は、ルネサンス後期ならではの洗練された職人技が光る見事な一枚です。 -
『ピエタ(キリストの哀悼)』イタリアの画家ルドヴィーコ・カラッチが1603~1605年頃に手がけた名作です
十字架から降ろされたキリストの亡骸を前に、聖母マリアが深く悲しんでいる「ピエタ」と呼ばれる非常に高名な聖書の場面です。
マリアは天を見上げて手を合わせ、神に祈りを捧げています。
キリストの力強くも青白い身体が、手前の鮮やかな青い布の上に横たえられており、その立体的な肉体表現が目を引きます。
暗闇のなかから、二人の姿がスポットライトを浴びたように白く浮かび上がる、ドラマチックな光と影の演出が見事です。
ボローニャ派の巨匠ルドヴィーコ・カラッチは、のちにバロック美術に大きな影響を与える「カラッチ一族」のリーダーです。
ルネサンスの気品を受け継ぎながら、観る人の胸にまっすぐ迫るような、深い情熱と悲しみの感情が画面いっぱいに表現された大作です。 -
『ヴィーナスとアドニス』
イタリアの画家ルカ・カンビアーゾが1560年頃に手がけた、非常に美しい作品です。
ギリシャ神話に登場する、愛の女神ヴィーナスと、彼女が恋に落ちた美しい人間の青年アドニスが寄り添う場面です。
アドニスはこれから危険な狩りへと向かおうとしており、ヴィーナスは彼の頭にそっと手を添え、優しく引き止めようとしています。
足元にいる小さな神と猟犬二人の足元では、羽の生えた小さな息子のクピド(キューピッド)が、アドニスの忠実な猟犬の首輪にそっと手をかけて遊んでいます。
この愛らしい仕草が、神聖な神話の世界にどこかアットホームな温かみを添えています。
薄暗い森の背景から、ヴィーナスのツルツルとした滑らかな白い肌がまばゆく浮かび上がる、見事な明暗のコントラストが見どころです。
斜めに寄り添う二人の美しい肉体や、衣服のしっかりとした質感が、画面全体に気品あふれる上品な魅力を醸し出しています。 -
『キリストの受難の神秘』
イタリアの画家アントニオ・カンピが1569年に手がけた、非常に見ごたえのある大作です。
中央の奥深くで十字架にかけられたキリストを中心に、彼の受難にまつわる様々な聖書の物語(十字架を背負って歩く姿や、涙を流す聖母マリアたち)が、広大な風景のなかにパノラマのように細かく描き込まれています。
右上の不思議な光の円画面の右上空に、ひときわまばゆく輝く「不思議な光の球体」が描かれています。
これはキリストの復活や天上の神聖な世界を象徴しており、そこから無数の愛らしい天使たちの顔が地上を見守るように浮かび上がっています。
アントニオ・カンピは光の表現がとても得意な画家です。
暗雲が立ち込めるドラマチックな空の描写や、手前でひしめき合う人々の鮮やかな衣服、そして異国情緒あふれる背景の城並みなど、ルネサンス後期ならではの情熱が画面の隅々にまでぎゅっと詰まった見事な一枚です。 -
『メルクリウス(水星)からディドを見捨てるよう命じられるエネアス』
イタリアの画家オラツィオ・サマッキーニが1570~1575年頃に手がけた、非常に見ごたえのある神話画です。
ベッドに横たわる美しい女王ディドと、手前で鎧をまとった英雄エネアスの前に、右上の空から神の使いメルクリウス(マーキュリー)が現れた瞬間です。
メルクリウスはエネアスに対し、「恋に溺れていないで、本来の使命(ローマ建国)のためにここを去りなさい」という神の厳しい命令を伝えています。
足元でいたずらするクピドエネアスの足元に注目すると、羽の生えた小さな息子のキューピッドが、彼のサンダルをそっとほどいて引き止めようとするお茶目な仕草をしています。
こうした細かな工夫が物語をより面白く引き立てています。
サマッキーニの最大の特徴は、この「鮮やかで上品な色彩」と、登場人物たちの滑らかな肌の質感にあります。
エネアスの着ている美しい青い鎧や、背後の奥に見える立派な宮殿の建築美など、ルネサンス後期ならではの洗練された職人技がぎゅっと詰まった見事な一枚です。 -
『ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)』
イタリアの画家ペリーノ・デル・ヴァーガ、あるいはその工房が1520~1525年頃に手がけた名作です。
復活したキリストが、悲しみに暮れるマグダラのマリアの前に姿を現した新約聖書の有名な場面です。
キリストは「まだ父のもとへ上がっていないから、私に触ってはいけないと優しく手を差し伸べて彼女を諭しています。
キリストが墓守(庭師)に変装していたことを表すため、手前(左下)に大きな「シャベル」を持っているのが特徴です。
右奥にいる女性たち画面の右奥に注目すると、二人の女性がひそひそと様子を伺うように佇んでいます。
これは、キリストの墓が空っぽになっているのを見つけた信心深い聖なる女性たちの姿で、物語の臨場感をよりいっそう引き立てています。
ここが素晴らしい!ペリーノ・デル・ヴァーガは巨匠ラファエロの優秀な弟子です。
マリアの身にまとった鮮やかな青いドレスの立体的なひだの表現や、キリストの滑らかでたくましい肉体美、そして背景に広がるのどかな夜明けの山水風景に、師匠から受け継いだ気品あふれる上品な職人技が綺麗に息づいています。 -
『聖母の出現と聖ルカ、聖イヴ』
イタリアの画家ヤコポ・ダ・エンポリが1579年に手がけた、非常に豪華な名作です。
雲の上から、聖母マリアが愛らしい幼児キリストを抱いてまばゆい光とともに現れた神聖な場面です。
地上では、キリスト教の歴史においてとても重要な二人の聖人がひざまずき、深く感動しながら天上を見上げています。
左側で本を持ち、足元に「牛の頭」が描かれているのは、医者であり画家でもあった聖人「聖ルカ」です。
右側で立派な白いケープをまとい、手前の少年から手紙を受け取っているお髭の男性は、弁護士や困った人々の守護聖人として名高い「聖イヴ」です。
頭上を注目すると、二人の愛らしい天使が羽を広げて宙を舞い、マリアたちの出現を祝福しています。
暗闇から人物たちの鮮やかな衣服がスポットライトを浴びたように美しく浮かび上がる、ルネサンス後期ならではのドラマチックな光の表現が実に見事な一枚です。 -
『聖トマスの不信(疑い深いトマス)』
イタリアのマニエリスム期の画家フランチェスコ・サルヴィアーティが1543~1547年頃に手がけた、非常に有名な傑作です。
復活したキリストの前に、その事実をどうしても信じられなかった使徒のトマスが現れた新約聖書の劇的な場面です。
キリストは自分の身体を差し出し、トマスは驚きと緊張のなかで、キリストの右脇腹の傷口にそっと指を差し入れて復活が本物であることを確かめています。
画面中央付近、トマスのすぐ斜め後ろから、こちらに視線を向けている3/4横顔の使徒が描かれています。
この人物は、なんと画家サルヴィアーティ自身の「自画像」であると言われており、歴史的にも大変貴重な工夫です。
キリストの右手に掲げられた「白い旗に赤い十字」は、死に打ち勝った勝利の象徴です。
うねるような美しい衣服のひだの表現や、暗闇から人物たちのたくましい肉体美がスポットライトのように白く浮かび上がる演出に、ルネサンス後期ならではの圧倒的な職人技が綺麗に息づいています。 -
『受胎告知』
ルネサンス期の有名な芸術家であり、世界最古の美術評論書を書いたことでも名高いイタリアの巨匠ジョルジョ・ヴァザーリが1565年頃に手がけた大作です。
大天使ガブリエルが未婚のマリアのもとに舞い降り、彼女が神の子(キリスト)を身ごもったことを告げる聖書の非常に有名な瞬間です。
突然の出来事にマリアが驚き、そっと胸に手を当てておののきながらも、神の言葉を静かに受け入れようとしています。
上空を舞う「鳩」の正体頭上の光り輝く雲のすき間から、一羽の白い鳩が優しく舞い降りています。
この鳩はキリスト教において、神の聖なる力である「聖霊」を表現しており、マリアをあたたかく祝福しています。
ヴァザーリは巨匠ミケランジェロの熱心な弟子でした。
ガブリエルの背中にある気品あふれる大きな金色の翼や、マリアを包み込む深いグリーンの美しいカーテンのグラデーション、そして二人の衣装の滑らかな質感に、ルネサンス後期を代表する完璧な職人技が光る一枚です。 -
『女占い師』
バロック美術の幕開けを飾ったイタリアの天才画家カラヴァッジョが1595~1598年頃に手がけた、世界的な大傑作です。
白いターバンを巻いた若いエジプト人の女占い師(左)が、裕福そうな世間知らずの若者(右)の手相を優しく見るふりをしています。
占い師は若者の目をじっと見つめて油断させながら、もう片方の手で若者の指から「指輪」をこっそり抜き取ろうとしている、だましだまされる緊張の一瞬が描かれています。
路上のリアルな人間ドラマそれまでの宗教画のような神々しい世界とは異なり、当時のローマの街角で実際に起きていた日常の犯罪や人間の生々しい心理をテーマに選んでいます。
これが当時の美術界に凄まじい衝撃を与え、大革命を起こしました。
右側の若者が身にまとうオレンジ色の上着のふっくらとした質感や、帽子の大きな羽飾りの細やかな描写が実に見事です。
背景をあえて何もないシンプルな壁にすることで、手前の二人の表情や指先の絶妙なやり取りが、映画のワンシーンのようにドラマチックに際立っています。 -
『キリストの復活』
イタリアの有名な画家アニバール・カラッチが1593年に手がけた、世界的な傑作です。
十字架にかけられて亡くなり、墓に葬られたキリストが、3日目に死に打ち勝って力強くよみがえった「復活」の神聖な場面が描かれています。
上空では、キリストが右手を高く掲げ、まばゆい光とともに天空へと浮かび上がっています。
足元で驚き慌てる兵士たち画面の下半分(地上)に注目すると、墓を見張っていたローマの兵士たちが、突然起きた奇跡の凄まじい光とまばゆさに圧倒され、地面にひっくり返ったり、慌てて逃げ惑ったりしている劇的な姿が生き生きと描かれています。
キリストが左手に持つ「なびく白い旗」は、死に対する勝利の象徴です。
カラッチならではの、登場人物たちのたくましく立体的な肉体表現や、天上の華やかな光と地上の暗闇が見事なコントラストを生み出している、非常にエネルギーに満ちた見ごたえのある大作です。 -
『釣り(魚とり)』
バロック美術の基礎を築いたイタリアの巨匠アンニーバレ・カラッチが1595年以前に手がけた、世界的に非常に高名な傑作です。
16世紀末ののどかな川辺で、当時の人々が楽しそうに釣りをしたり、網を引いたりしている日常の風景がパノラマのように描かれています。
画面中央の小舟に乗り、一生懸命に魚を獲っている人々の姿がとてもリアルです。
右端に描かれた貴族たち画面の右端を注目すると、豪華な衣服を身にまとった高貴な男女が佇んでいます。
川辺で汗を流して働く人々とは対照的に、彼らはのんびりと釣りの様子を眺めて優雅な休日を過ごしており、当時の社会の階級や人々の暮らしぶりが生々しく表現されています。
カラッチは、それまでの不自然なだまし絵のような流行を抜け出し、「ありのままの自然や人間の姿」を観察して描く新しい景色画を生み出しました。
うっそうとした緑の木々、奥にそそり立つ立派な古いお城、そして不穏な雲が流れる立体的な空の表情など、のちに西洋美術の風景画に絶大な影響を与えることとなる歴史的な記念碑といえる大作です。
ちなみに、同じお部屋にはこれと対(ペア)になる『狩猟』という絵も一緒に並んでいます。 -
『狩猟』
前作の『釣り』と全く同じサイズで作られ、並べて飾るためにイタリアの巨匠アンニーバレ・カラッチが1595年以前に手がけた、世界的な大傑作の風景画です。
うっそうとした緑の森のなかで、猟犬を連れた男たちが野生の動物(鹿など)を追いかけている、大迫力の「狩り」の場面がパノラマのように描かれています。
画面の左側や中央で、馬に乗った人々や犬たちが生き生きと躍動している姿がとてもリアルです。
右端に描かれた休憩のひととき大忙しで獲物を追う人々とは対照的に、画面の右端に注目すると、狩りの途中でひと休みしている高貴な人々が描かれています。
彼らは地面に腰掛け、ワインや食事を楽しみながら優雅に談笑しており、当時の貴族たちの贅沢なレジャーとしての狩りの文化がリアルに表現されています。
ペア作品である『釣り』が「水辺の広がり」をテーマにしていたのに対し、こちらの『狩猟』は「深い森の奥行き」がテーマになっています。
うっそうとした木々の葉の細かな描き込みや、木々のすき間からのぞく美しい青空、そして手前を走る白い猟犬の躍動感など、大自然のたくましい生命力が画面全体からまっすぐに伝わってくる見事な一枚です。 -
『キリストの割礼』
イタリア・ルネサンス後期の高名な画家フェデリコ・バロッチが1590年に手がけた、世界的な大傑作です。
生後8日目の幼いキリストが、ユダヤ教の伝統的な儀式(割礼)を受ける聖書の重要な場面が描かれています。
白い頭巾をかぶった司祭の手元を、まわりの人々が固唾をのんで静かに見守っています。
右側で祈りを捧げるマリア画面の右側に注目すると、青いマントを羽織った聖母マリアが静かに手を合わせ、我が子の儀式を祈るような、慈愛に満ちた優しい眼差しで見つめています。
頭上を注目すると、二人の美しい天使がふわりと宙を舞い、この神聖な儀式を天の上から祝福しています。
暗闇のなかから、人物たちの鮮やかな衣服がスポットライトを浴びたように美しく浮かび上がる、バロッチならではのドラマチックな光と影の魔術が存分に発揮された見事な一枚です。 -
『聖ヒアキントゥスにまみえる聖母子』
イタリアの画家ルドヴィーコ・カラッチが1594年頃に手がけた名作です。
画面の下側で、両手を胸に当てて熱心にひざまずき、恍惚とした表情で天上を見上げているのは、13世紀の聖人「聖ヒアキントゥス」です。
彼の篤い信仰に応えるように、頭上のまばゆい雲の中から、聖母マリアと幼児キリストが天使たちを伴って姿を現した奇跡の瞬間が描かれています。
左下に置かれた大きな文字盤画面の左下に注目すると、愛らしい小さな天使が、文字の刻まれた立派な石碑を支えています。
ここには聖人の生涯や信仰を称える言葉が記されており、絵の中の神聖な物語性をいっそう引き立てています。
前作(3作前)『釣り』を描いたアンニーバレ・カラッチの従兄にあたるルドヴィーコは、バロック絵画らしいドラマチックな劇的演出が得意でした。
マリアの鮮やかな青いマントと、地上の暗闇が美しいコントラストを生み出しており、天から差し込む聖なる光が聖人の白い衣服を神々しく照らし出す表現が見事な一枚です。 -
『聖ルカと聖カタリナに姿を現す聖母子』
イタリアの巨匠アンニーバレ・カラッチが1592年に手がけた、世界的な大傑作の宗教画です。
画面の上半分(天上の世界)から、聖母マリアが愛らしい幼児キリストを抱き、たくさんの天使たちを伴ってまばゆい雲とともに姿を現した奇跡の瞬間が描かれています。
ひざまずく二人の聖人の左側で「わぁ!」と驚きながら両手を広げて天上を見上げているのは、医者であり画家の守護聖人でもある「聖ルカ」です。
彼の足元には、画家の道具である「絵の具のパレット」や本が静かに置かれています。
そして右側で、静かに天を見上げてひざまずいている気品ある女性は、王冠を頭に戴いた「アレクサンドリアの聖カタリナ」です。
カラッチの最大の特徴である、ルネサンスの完璧なデッサン力と、バロック美術らしい劇的な明暗の表現が完璧に融合しています。
暗い地上の世界から、天上のまばゆい神聖な光によって人物たちの鮮やかな衣服がスポットライトを浴びたように美しく浮かび上がる、息をのむほど見ごたえのある大作です。 -
『アロフ・ド・ウィニャクールと小姓の肖像』
バロック美術の巨匠カラヴァッジョが1607~1608年頃に手がけた、世界的な大傑作の肖像画です。
中央で堂々と佇んでいるのは、当時地中海のマルタ島を治めていた聖ヨハネ騎士団の最高権力者である「アロフ・ド・ウィニャクール」です。
右側には、彼の立派な羽飾りのついた兜を大切そうに抱える、あどけない表情の少年が寄り添っています。
騎士団長としての絶対的な威厳団長は豪華に輝く黒と金色の甲冑に身を包み、右手には権威の象徴である指揮杖をしっかりと握りしめています。
ふと右側を見つめる鋭い眼差しからは、一国を率いるリーダーとしての凄まじい威厳と風格が漂っています。
カラッチやカラヴァッジョならではの、暗闇から人物がスポットライトを浴びたように鮮烈に浮かび上がる、強烈な明暗法が100%発揮されています。
金属製の鎧に反射するギラリとした鈍い光の質感や、少年のまとう衣装の柔らかなひだの描き込みなど、息をのむほどリアルで高級感あふれる最高峰の一枚です。 -
『聖母の死』
バロック美術の巨匠カラヴァッジョが1601~1606年頃に手がけた、世界的な超一級の最高傑作です。
聖母マリアが息を引き取り、その亡骸を囲んでキリストの使徒たちが激しい悲しみに打ちひしがれている、聖書のとても厳かな場面です。
手前では、マグダラのマリアが椅子に座って顔を伏せ、激しく泣き崩れています。
教会から受け取りを拒否された理由当時、聖母マリアの死は「眠るように神聖なもの」として美しく描くのが常識でした。
しかしカラヴァッジョは、現実の貧しい人間のリアルな死体として生々しく描いたため、注文主の教会から「あまりにも神聖さがない」と受け取りを拒否されてしまったという、美術史上の有名なスキャンダルを持っています。
頭上を大きく覆う重厚な「赤いカーテン」が、まるで劇場の舞台のような圧倒的な緊迫感を醸し出しています。
左上から差し込むカラヴァッジョ特有の鋭い光が、亡くなったマリアの姿や、使徒たちのハゲ頭、むせび泣く手元をドラマチックに照らし出す表現は、観る人の心を一瞬で鷲掴みにする凄まじいパワーに満ちています。 -
『学者たちの中のキリスト(神殿のキリスト)』
イタリアのバロック期の画家バルトロメオ・マンフレーディが1615~1620年頃に手がけた名作です。
12歳の幼いキリストが、エルサレムの神殿で高名な学者たちに囲まれ、対等に議論を交わしている新約聖書の有名な場面です。
画面左側の少年キリストが、右側に座るお髭の学者たちに向けて、自分の意見を堂々と指し示しています。
マンフレーディ派のリアルな表現画家マンフレーディは、巨匠カラヴァッジョの表現をそっくり受け継いだ「カラヴァジェスキ」と呼ばれる重要な一人です。
聖人たちを高貴に美しく描くのではなく、シワの刻まれた老人や、当時のストリートで見かけるような人々のリアルな表情として生き生きと表現しています。
暗闇から登場人物たちの顔や衣服がスポットライトを浴びたように鮮烈に浮かび上がる、見事な「光と影のコントラスト」が特徴です。
学者たちがキリストの賢さに驚き、真剣な眼差しで議論に聴き入っている、劇的な心理描写が画面全体に満ちている見ごたえのある一枚です。 -
『マリアの神殿奉献(聖母の神殿奉献)』
フランスのバロック期を代表する高名な画家ユスターシュ・ル・スールが1652年頃に手がけた、世界的な名作です。
聖母マリアが3歳のときに、神への感謝を込めてエルサレムの立派な神殿へと捧げられた、聖書の有名な場面が描かれています。
中央の階段の上で、美しい青と白のドレスを着た小さなマリア様が、胸に手を当てて静かにひざまずいています。
温かく見守る人々と司祭マリアの右側(後ろ)からは、彼女の母である「聖アンナ」と、赤と黄金色の衣装を着たお父さんの「聖ヨアキム」が、我が子の立派な姿を優しく見守っています。
左側で立派な衣装と帽子を身にまとい、彼女を両手で優しく迎え入れようとしているのは、神殿の「大祭司」です。
フランス古典主義の巨匠であるル・スールは、画家のラファエロを心から尊敬していました。
そのため、手前でひざまずいて熱心に祈る人々の滑らかな肉体表現や、背景にそびえ立つ立派な大理石の柱のデザインに、ラファエロならではの上品な気品と穏やかな職人技が美しく受け継がれている素晴らしい一枚です。 -
『ダヴィデの勝利』
イタリアのバロック期の画家バルトロメオ・マンフレディが1615年頃に手がけた作品です。
かつてフランス競売を経て、ルーヴル美術館の貴重なコレクションに加わりました。
旧約聖書の非常に有名な下克上の物語です。少年ダヴィデ(左)が、誰も敵わなかった巨人の兵士ゴリアテを打ち倒し、その巨大な生首を右手で誇らしげに掲げながら街へと凱旋している勝利の瞬間が描かれています。
背後でタンバリンを叩く女性ダヴィデのすぐ右後ろに注目すると、一人の美しい女性がタンバリンを頭上に高く掲げて楽しそうに打ち鳴らしています。
これは、少年英雄の偉大な勝利を心から祝福し、にぎやかに歌い踊る街の女性たちの熱気をリアルに表現しています。
マンフレディは、巨匠カラヴァッジョの「光と影の魔術」を最も忠実に受け継いだ画家です。
暗闇のなかから、ダヴィデの身にまとった鮮やかな赤い衣装や、切り落とされたゴリアテの生々しい首がスポットライトを浴びたように美しく浮かび上がる、強烈なコントラストと立体感が実に見事な一枚です。 -
『聖セバスティアヌスの殉教』
イタリアのバロック期の画家オラツィオ・ボルジャンニが1610~1615年頃に手がけた、世界的な名作です。
キリスト教の信仰を貫いたために、ローマ皇帝の命令で処刑されそうになっている若き兵士「聖セバスティアヌス」の姿が描かれています。
中央の木に縛り付けられたセバスティアヌスが、静かにうつむきながら、これからの受難を受け入れようとしています。
手前でロープを縛る男たち画面の手前では、二人の処刑人が、聖人の足元や腕を縛り付けるための太いロープを一生懸命に引っ張ったり結んだりしています。
彼らの日焼けした肌や盛り上がった筋肉の動きが、驚くほどリアルで生々しく描かれています。
ボルジャンニは、巨匠カラヴァッジョの現実的な「ありのままを描く表現」に強い影響を受けました。
左奥で帽子をかぶってこちらを不思議そうに見つめる少年の姿など、まるで当時のイタリアの路上で起きている事件をそのまま切り取ったかのような、人間のリアルな息遣いが画面全体からまっすぐに伝わってくる見事な一枚です。 -
『ラザロの復活』
イタリアのバロック期の巨匠グエルチーノ(ジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ)が1619年頃に手がけた、世界的に非常に高名な傑作です。
病気で亡くなり、お墓に葬られてから4日も経った男ラザロを、イエス・キリストが奇跡の力でよみがえらせた新約聖書の有名な場面です。
右側に立つキリストが、左下でまだ体に白い包帯を巻かれたまま起き上がったラザロを力強く指さし、「出てきなさい」と命じています。
驚き、慌てる周囲の人々ラザロの体に巻かれた縄や布を一生懸命にほどいている男たちや、目の前で起きたあり得ない奇跡の瞬間に驚いて息をのむ姉のマリアたちのリアルな仕草が描かれています。
死後数日が経っている生々しさを表すため、手前の男性が思わず鼻を覆っているポーズなど、人間の心理がとても生き生きと表現されています。
グエルチーノは、巨匠カラヴァッジョやカラッチたちの「ドラマチックな光と影の表現」を完璧に受け継いだ天才です。
薄暗いお墓の背景から、キリストのまとう鮮やかな青と赤の衣服や、よみがえったラザロのたくましい肉体がスポットライトを浴びたように美しく浮かび上がる、ものすごい緊迫感に満ちた見事な一枚です。 -
『テーブルのまわりの陽気な仲間(酒宴の集い)』
イタリアのバロック期の画家バルトロメオ・マンフレディ(あるいはその流派)が1615~1620年頃に手がけた名作です。
薄暗い酒場のなかで、楽器を演奏したりお酒を飲んだりして楽しんでいる、当時の若者たちのリアルな日常が描かれています。
中央では一人の男性が、大きなワインの器を両手で豪快に抱え、美味しそうに喉を鳴らしてお酒を飲み干しています。
右端で弦楽器を弾く若者画面の右端を注目すると、頭に立派な羽飾りをつけたお洒落な若者が、リュートのような弦楽器を抱えて楽しそうに弾き語りをしています。彼のどこか恍惚とした生き生きとした表情が、場のにぎやかな音楽の熱気をそのまま伝えています。
マンフレディは、巨匠カラヴァッジョの「市井の人々のありのままを描く表現」を完璧に受け継いだ画家です。
左手前で背中を向けている大きな麦わら帽子の男性が空間に立体的な奥行きを生み出しており、暗闇のなかから人物たちの鮮やかな衣服がスポットライトを浴びたように美しく浮かび上がる、見事な光と影の魔術が光る一枚です。 -
『受胎告知』
イタリアの画家アゴスティーノ・カラッチが1590年頃に手がけた、世界的な大傑作の宗教画です。
大天使ガブリエル(左)が未婚のマリア(右)のもとに舞い降り、彼女が神の子(キリスト)を身ごもったことを告げる聖書の非常に有名な瞬間です。
突然の出来事にマリアが驚き、そっと胸に手を当てておののきながらも、神の言葉を静かに受け入れようとしています。
頭上のまばゆい雲のすき間から、一羽の「白い鳩(はと)」が優しく舞い降りています。
この鳩はキリスト教において、神の聖なる力である「聖霊」を表現しており、マリアをあたたかく祝福しています。
アゴスティーノは、これまでに登場したアンニーバレ・カラッチの兄にあたる、ボローニャ派の偉大なリーダーです。
ガブリエルが乗るふんわりとした雲の立体感や、マリアを包み込む重厚な青いマントのグラデーション、そして上空で音楽を奏でる天使たちの華やかな描写など、ルネサンスからバロックへと移り変わる時代の完璧な職人技が光る見事な一枚です。 -
『楽園追放』
イタリアの画家ドメニコ・ベッカフーミが1530~1535年頃に手がけた作品です。
旧約聖書の非常に有名なはじまりの物語が描かれています。
神の命令を破って禁断の果実を食べてしまったアダムとイヴが、神の怒りに触れて美しいエデンの園から追い出される、緊迫した苦悩の瞬間です。
悲しみに暮れる二人中央では、恥ずかしさと絶望のあまり顔を覆ってうつむくアダムと、胸を隠しながら怯えた表情で歩むイヴの生々しい裸体が描かれています。
左上の暗がりからは、二人を楽園から容赦なく追い立てる大天使の姿が小さくのぞいています。
ベッカフーミの最大の特徴である、ルネサンス後期の「ドラマチックな光と影の魔術」が100%発揮されています。
うっそうとした暗い森の背景から、白く滑らかな二人の肉体がスポットライトを浴びたように美しく浮かび上がっており、悲劇の重みと切なさが画面全体からまっすぐに伝わってくる見事な一枚です。
広い広いルーヴル美術館のイタリア絵画の旅、そして素晴らしい名画たちとの出会いは、この先もまだまだ続いていきます。
つづく
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