2025/05/02 - 2025/05/02
-位(同エリア17201件中)
mitsuさん
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- 旅行記618冊
- クチコミ18件
- Q&A回答26件
- 365,016アクセス
- フォロワー148人
:.。☆ 光と影が織りなす劇的な世界。カラヴァッジョの間をめぐる、贅沢な名画の旅 ☆.。.:
今回のルーヴル美術館の旅は、あの有名な『女占い師』に出会ったところから、新しく「カラヴァッジョの間(ルーム716)」へと入っていきます 。
新しいお部屋に一歩足を踏み入ると、そこはバロック美術の劇的な光と影が満ちた、息をのむほどドラマチックな世界でした。ふと上を見上げると、かつて王族が暮らした宮殿だった頃の豪華な天井装飾が広がっていて、その美しさにも思わずうっとりしてしまいます。
歩みを進めていくと、カラッチが描く雄大な大自然の風景や、グエルチーノの描く神秘的な天使のバイオリンの調べ、そして美しい聖チェチーリアの表情など、心に響く素晴らしい名画たちが次から次へと目の前に現れます。
そして、今回の旅の締めくくりに出会ったのが、グエルチーノの『聖母マリアと泣く聖ペテロ』です。
自分の過ちを激しく悔いて涙を流すペテロと、それを深い慈愛で静かに受け止めるマリア様の姿が、暗闇の中から浮かび上がるように描かれていて、時間を忘れてただただじっくり見惚れてしまいました。
まるで映画のワンシーンのように美しい光の魔術や、人間の生き生きとした息遣いを肌で感じる、この上なく贅沢なひとときとなりました。
とても広いルーヴル美術館ですので、見ごたえのあるイタリア絵画の旅、そして大好きな作品たちとの出会いは、この先もまだまだ続いていきます。どうぞお楽しみに!
全体の大まかな行程は以下になります。
今日は,★☆★です (^^)/
4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒
4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光
4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光
4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光
4/17(木) ギートホルン観光
4/18(金) キューケンホフ観光
4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動
4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光
4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光
4/22(火) ハーグ観光
4/23(水) プラハへ移動とプチ観光
4/24(木) プラハ観光+コンサート
4/25(金) プラハ観光+コンサート
4/26(土) プラハ観光
4/27(日) プラハ観光
4/28(月) プラハ観光
4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光
4/30(水) チェスキー・クルムロフ⇒プラハへ移動
5/1(木) パリへ移動,観光
★☆★5/2(金) パリ観光
5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光
5/4(日) パリ観光
5/5(月) 体調不良により観光無し
5/6(火) 体調不良により観光無し
5/7(水) パリ観光
5/8(木) シャルトルへ移動・観光
5/9(金) パリ観光
5/10(土) パリ観光
5/11(日) パリ観光
5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光
5/13(火) パリ観光
5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動
5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発
5/16(金) 成田着
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
前回の名画めぐりの中間あたりで出会った、あの有名な『女占い師』の作品から、展示室は新しく「カラヴァッジョの間(ルーム716)」へと移っています。
バロック美術の劇的な光と影が満ちた、新しいお部屋での感動の続きです。
『パドヴァの聖アントニウスに姿を現す聖母子』
イタリアの画家ドメニキーノ(ドメニコ・ザンピエーリ)が1600~1610年頃に手がけた作品です。
雲の上の聖母マリアが、右下でひざまずく聖人(パドヴァの聖アントニウス)へ、白い布に包まれた幼いキリストを優しく手渡そうとしている神聖な場面です。
マリアの背後や足元の雲のすき間からは、ふくふくと愛らしい小さな天使たちが顔をのぞかせており、この幸福な奇跡をあたたかく祝福しています。
ドメニキーノならではの、衣服の鮮やかな青と赤の色彩がとても綺麗です。
右奥にどこまでも広がっていく美しい山々や、澄んだ青空のグラデーションが、画面全体に上品な気品を添えている魅力的な一枚です。 -
※絵画の前に保護ガラスが貼ってあったため、人影や館内の光が少し反射して見えにくい部分がありますが、どうぞご了承ください。
『聖ステファノの殉教』
バロック美術の基礎を築いたイタリアの巨匠アンニーバレ・カラッチが1603~1604年頃に手がけた、世界的な大傑作です。
キリスト教の歴史において、最初の殉教者となった「聖ステファノ」が、エルサレムの城壁の外で人々から激しく石を投げつけられているという、聖書のとても重要な場面が描かれています。
左下と右下の対比左端で青いマントを着て静かに成り行きを見つめている男性は、のちに偉大な聖人となる聖パウロです。
右側では、地面に倒れ込んだステファノが、絶望することなく穏やかな表情で天を見上げて祈りを捧げています。
右上の上空に注目すると、まばゆい黄金の雲のすき間から、神様とキリストが天使たちを伴って姿を現し、受難に耐えるステファノをあたたかく迎え入れようとしています。
暗闇に包まれた地上の残酷なドラマと、天上の神聖な輝きが美しいコントラストを生み出している、非常に見ごたえのある大作です。 -
『アブラハムの犠牲(イサクの燔祭)』
バロック美術の基礎を築いたイタリアの巨匠アンニーバレ・カラッチが1599~1600年頃に手がけた、世界的な大傑作の風景画です。
旧約聖書の非常に有名な試練の物語です。
神への忠誠を試すため、100歳にして授かった愛息イサクをいけにえとして捧げるよう命じられた父親アブラハムが、険しい崖の上でまさに我が子に刃を向けようとした劇的な瞬間が描かれています。
天から現れた御使い左上に注目すると、大きな翼を広げた大天使が空から急降下して現れ、アブラハムの右手を力強く掴んで制止しています。
アブラハムの信仰が本物であると認められ、身代わりとなる牡羊が近くの茂みに用意された、救いの名場面です。
カラッチの真骨頂である、手前にそびえ立つうっそうとした大樹の深い緑と、右奥へとどこまでも抜けていくパノラマのような美しい山水の風景描写が見事です。
神聖な人間ドラマが雄大な大自然の奥行きの中に美しく溶け込んでおり、バロック期の「理想的風景画」の傑作と言われています。 -
『ヨアブの槍で負傷したアブサロムのいる風景』
イタリアの画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオラが1600~1625年頃に手がけた作品です。
旧約聖書の有名な悲劇です。
父親であるダヴィデ王に反乱を起こした息子のアブサロムが、ロバに乗って逃げる途中で自慢の長い髪が樫の大樹に絡まり、宙吊りになってしまいます。
そこへ王の将軍ヨアブが容赦なく槍を突き立ててトドメを刺そうとする、戦いの決定的な瞬間が描かれています。
逃げ出すロバの姿画面の左下に注目すると、主人が木に引っかかって取り残されたことに気づかず、サドル(鞍)を乗せたままトコトコと前へ逃げ出していく一頭のロバの姿がユーモラスに描かれています。
ヴィオラは、巨匠アンニーバレ・カラッチに学んだ「風景画の専門家」です。
手前を大きく覆うダイナミックな大樹の深い影と、右奥へとどこまでも広がっていくナイル川のような静かな水辺の景色が美しいコントラストを生み出しており、歴史のドラマを雄大な自然の中に美しく溶け込ませた見事な一枚です。 -
カラヴァッジョの間の天井装飾 『バッカスの勝利』19世紀にフランスの彫刻家たちによって手がけられた、お部屋の天井中央を飾る非常に豪華な大理石風の浮き彫り(スタッコ装飾)です。
ギリシャ・ローマ神話に登場するお酒の神様「バッカス(ディオニュソス)」が、勝利のパレード(凱旋)を行っているにぎやかな場面が、楕円形の中に立体的に彫られています。
中央に描かれた神々中央の下側では、お酒の神バッカスがライオンが引く立派な戦車に乗り、隣に座る美しい妻のアリアドネを伴って堂々と進んでいます。
周囲では、頭上に果物を掲げた人々や、楽器を鳴らして歌い踊る精霊たちがにぎやかにお祭りを盛り上げています。
楕円形の枠の外側(四隅)に注目すると、額縁を支えるようにたくましい肉体を持った神々や愛らしい天使たちが立体的に彫り込まれています。
かつて王族が暮らした本物の宮殿としての圧倒的な格式の高さと、職人たちの並外れたこだわりが、天井の隅々にまでぎゅっと詰まった見事な芸術空間です。 -
『聖ジェロームの幻視』
イタリア・バロック期の巨匠グエルチーノ(ジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ)が1619~1620年頃に手がけた、世界的な大傑作です。
荒野で修道生活を送る年老いた聖人ジェローム(中央)の前に、二人のたくましい天使が突如現れ、最後の審判を告げる「天上のラッパ」を耳元で激しく吹き鳴らしている驚きの瞬間です。
手元や足元に隠されたもの中央で耳を塞いで頭を抱えるジェロームの足元(右下)には、彼が聖書を翻訳していた学者であることを表す、大きな「開かれた本(聖書)」が置かれています。
上空の雲のすき間から、聖母マリアとイエス・キリストがこちらを見守るように現れています。
暗闇のなかから、天使たちのダイナミックな肉体やジェロームの鮮やかな赤いマントがスポットライトを浴びたように白く浮かび上がる、巨匠ならではの劇的な光の魔術が100%発揮された素晴らしい大作です -
『キリストの哀悼(ピエタ)』
イタリアのバロック期の画家シスト・バダロッキオが1620年頃に手がけた、世界的な名作です。
十字架から降ろされ、石の墓に横たえられたキリストの亡骸を囲んで、周囲の人々が深い悲しみに暮れている聖書の有名な場面です。
悲しむ聖人たちの姿キリストの胸に優しく手を当てて泣いているのは、弟子の「アリマタヤのヨセフ」です。
そして、左下でキリストの足をそっと抱きしめるようにして涙を流しているのは「マグダラのマリア」です。
背後の深い暗闇のなかから、キリストの白く痛々しい身体や、周りの人々のカラフルなマント(青やオレンジ、赤)がスポットライトを浴びたように鮮烈に浮かび上がっています。
巨匠カラヴァッジョのような、美化しない人間のリアルな悲しみの表情が見事に表現された、胸を打つ一枚です。 -
『聖家族(さくらんぼの聖母)』
イタリア・バロック美術の巨匠アンニーバレ・カラッチが1593年頃に手がけた、世界的な大傑作です。
中央の聖母マリアが、元気いっぱいの裸の幼児キリストを優しく抱きかかえています。左奥からは、夫の聖ヨセフが慈愛に満ちた穏やかな表情で二人を見守っており、聖なる家族の温かい絆が描かれています。
キリストが小さな左手で、ヨセフの持つ「さくらんぼ(チェリー)」の実をそっと受け取ろうとしています。
この赤くて甘いさくらんぼは、キリスト教において「天国の果実」や、キリストが人々に注ぐ「聖なる愛」を象徴する特別な果物です。
絵を囲む金色の豪華な装飾額縁がとにかく立派で、作品の格調高い気品をいっそう引き立てています。
マリアの身にまとった鮮やかな赤色の上着や、登場人物たちが丸みのあるバランスでぎゅっと寄り添う幸福な空気感がまっすぐに伝わってくる素晴らしい一枚です。 -
『聖母の誕生』
イタリア・バロック美術の基礎を築いた巨匠アンニーバレ・カラッチが1605~1609年頃に手がけた、世界的な最高傑作の一つです。
聖母マリアがこの世に生まれ落とされた聖書の神聖な瞬間です。
中央では、生まれたばかりの幼いマリア様がたくさんの女性たち(侍女たち)に囲まれ、優しく抱きかかえられています。
右奥のベッドでは、大仕事を終えた母親の「聖アンナ」が静かに横たわっています。
上空で見守る神様と天使たち頭上を注目すると、分厚いうろこ雲のすき間から、まばゆい光とともに「父なる神(天の神様)」が両手を広げて現れています。そのまわりを無数の愛らしい天使たちが囲み、マリア様の誕生をにぎやかに祝福しています。
中央でマリア様を抱く女性のピンクと黄金色のドレスや、左側で立つ女性たちの鮮やかな青いマントなど、バロック期ならではの高級感あふれる色彩がとても綺麗です。
これまでの不自然な絵画の流行を抜け出し、人間のリアルな家族のぬくもりや立体的な空間を完璧なデッサン力で描き出した、美術史的にも非常に価値の高い大作です。 -
『キリストの死への哀悼と聖人たち』
イタリア・バロック期の画家チェッコ・デル・カラヴァッジョ(フランチェスコ・ブオーネリ)が1610~1615年頃に手がけた、世界的な名作です。
十字架から降ろされたキリストの亡骸を抱きかかえ、画面の後ろから大きな翼を広げた大天使が静かに支えています。
その周囲には、時代を超えて集まった歴史的な聖人たちが寄り添っています。
二人の聖人の「特徴」左手前で、体に矢を射られて苦悶の表情を浮かべているのは「聖セバスティアヌス」です(彼の足元には黒い金属の甲冑が転がっています)。
右手前で茶色い修道服を着て静かにひざまずき、祈りを捧げているのは「アッシジの聖フランチェスコ」です。
巨匠カラヴァッジョの最も優秀な弟子の一人らしく、背後の深い暗闇から人物たちの白く美しい肉体がスポットライトを浴びたように鮮烈に浮かび上がる「光と影の魔術」が見事です。
美化しない人間のリアルな体温や、衣服の重厚なひだの質感が画面全体に気品あふれる緊迫感を醸し出している、見ごたえのある大作です。 -
『聖家族(本を持つ聖母子)』
イタリアのバロック期の女性画家ルチア・カザリーニ・トレッリが1720~1730年頃に手がけた、非常に美しい作品です。
中央の聖母マリアが、愛らしい幼児キリストをしっかりと腕に抱いています。
左側からは、白いお髭を蓄えた夫の聖ヨセフが、杖を手に持ちながら家族を静かに見守っている温かい場面です。
足元に隠されたものマリアとキリストのすぐ足元(中央下)に注目すると、一冊の「開かれた本(聖書)」が置かれています。これは、キリストの未来の運命や神の言葉を象徴しており、幸せな家族の絵に神聖な深みを与えています。
背後の深い暗闇から、こちらを優しく見つめるマリアの美しい瞳や、キリストのふっくらとした瑞々しい肉体がスポットライトを浴びたように白く浮かび上がっています。
衣服の滑らかなひだの質感や鮮やかな青とピンクの色彩に、上品な気品が綺麗に息づいている魅力的な一枚です。 -
『トロイアから逃れるアエネアスとその父』フランスのバロック期の巨匠シモン・ヴーエが1635年頃に手がけた、世界的な大傑作の歴史画です。
ギリシャとの戦争(トロイア戦争)に負けて炎上する祖国から、英雄アエネアス(左の兜の男性)が、年老いて歩けなくなった父親アンキセス(中央の老人)をたくましい肩に担ぎ上げ、必死に脱出しようとする緊迫の瞬間です。
まわりの家族たち父親アンキセスの腕の中には、大切に守り抜いた一族の「小さな守護神の像」がしっかりと抱えられています。
右奥ではアエネアスの息子アスカニオス(少年)が、左下では妻のクレウサが神に祈るような切ない表情で寄り添っています。
ヴーエがイタリア留学中に学んだカラヴァッジョ譲りの「ドラマチックな光と影」が完璧に活かされています。
暗闇のなかから、アエネアスの輝く鎧や、父親のリアルな筋肉のシワ、そして衣服の鮮やかな黄色と赤色のコントラストがまばゆく浮かび上がる、非常に力強くて見ごたえのある大作です。 -
『大洪水』
イタリア・バロック美術の巨匠アンニーバレ・カラッチ、あるいはその工房が1600~1610年頃に手がけた、非常にドラマチックな作品です。
旧約聖書の有名な「ノアの方舟」の物語です。
神の怒りによって世界が激しい大洪水に飲み込まれるなか、行き場を失った人々が激流に抗いながら、必死に岩山にしがみつき、お互いを助け合おうとする人間の極限の苦悩が描かれています。
遠くに見える「方舟」画面の中央奥、暗雲が立ち込めるはるか彼方に、静かに浮かぶ「ノアの方舟」のシルエットが小さく描かれています。
この方舟は、神の言いつけを守った者たちだけが救われる希望の象徴として配置されています。
右上で両腕を大きく天に広げて絶望している男性の裸体など、登場人物たちのたくましく立体的な肉体表現が見事です。
画面全体を覆う不気味な暗闇と、濁流の生々しい描写が、バロック絵画ならではの圧倒的な緊迫感と迫力を生み出している大作です。 -
『聖ベネディクトゥスと聖フランチェスコのいる、天使の音楽の幻視』イタリア・バロック期の巨匠グエルチーノ(ジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ)が1620年頃に手がけた作品です。
右下で茶色い修道服を着て恍惚の表情を浮かべている「聖フランチェスコ」が、天から舞い降りた天使が奏でるバイオリンのあまりにも美しい音色を聴き、あまりの神聖さに気を失いそうになっている劇的な瞬間です。
左側の聖人のポーズ左側で白い修道服をまとい、立派な杖を握りしめて天を見上げているのは、修道会の創設者「聖ベネディクトゥス」です。
彼の足元には、高い地位を表す豪華な「司教冠」が置かれています。
雲の上に腰掛けて熱心に楽器を弾く天使の姿が非常にエレガントです。
背景の深い暗闇と、天使を包み込むようなまばゆい光のコントラストに、グエルチーノならではのドラマチックな「光と影の魔術」が美しく表現された一枚です。 -
『合奏(コンサート)』
イタリアのバロック期の画家レオネッロ・スパーダが1615年頃に手がけた、非常に生き生きとした作品です。
テーブルを囲み、若者や少年たちが熱心に楽器を演奏したり楽譜を読み合わせたりしている、にぎやかで楽しげな音楽のひとコマです。
描かれている楽器たち右側の青年が肩に「バイオリン」を乗せて弓を引き、手前には「ギター」や別の弦楽器が置かれています。
右下の青い服の少年はリコーダー(笛)をくわえながら、こちら(鑑賞者)を無邪気な瞳でじっと見つめています。
スパーダは、巨匠カラヴァッジョの「光と影の表現」を完璧にマスターした重要な画家です。
深い暗闇のなかから、少年たちの瑞々しい表情や、衣服の鮮やかな赤や緑の色彩がスポットライトを浴びたように美しく浮かび上がっており、場に流れる心地よいメロディがそのまま伝わってくるような見事な一枚です。 -
『ヴィオルを弾く聖チェチーリア』
イタリアのバロック期の画家ドメニキーノ(ドメニコ・ザンピエーリ)が1617~1618年頃に手がけた、世界的に非常に高名な傑作です。
音楽と演奏家の守護聖人として世界中で愛されている「聖チェチーリア」が、大きな弦楽器(ヴィオル、またはチェロの先祖)を抱え、うっとりと天を見上げながら美しい音色を奏でている神聖な場面です。
楽譜を掲げる可愛い天使チェチーリアの右側には、羽の生えた小さな愛らしい天使(プット)が立ち、彼女が演奏しやすいように開いた「楽譜(歌の本)」を一生懸命に頭上に掲げている、とても微笑ましい姿が描かれています。
彼女のまとう豪華な赤いドレスの滑らかな光沢や、透き通るような白い肌の美しさが、背後の暗闇からまばゆく浮かび上がっています。
ラファエロのような古典的な気品と、バロック美術ならではのドラマチックな光の表現が見事にひとつになった、気品あふれる一枚です。 -
『聖フランチェスコとマグダラのマリアのいるピエタ』
イタリア・バロック美術の巨匠アンニーバレ・カラッチが1602~1607年頃に手がけた、世界的な大名画です。
十字架から降ろされたキリストの亡骸(なきがら)を、悲しみに耐えながら聖母マリアが後ろからしっかりと支えています。
キリストの痛々しい身体は、真っ白な衣服の上に静かに横たえられています。
寄り添う二人の聖人左側で胸に手を当て、涙を浮かべてひざまずいているのは「アッシジの聖フランチェスコ」です。
右側からキリストの左手を取って、深い哀悼の祈りを捧げているのは、赤と金色の衣装を着た「マグダラのマリア」です。
二人の小さな天使が、キリストの足元でそっと涙を拭ったり、悲しそうに見つめたりしている仕草が胸を打ちます。背景の深い暗闇から、登場人物たちの白い肌や鮮やかな衣服の色彩が優しく浮かび上がる、カラッチならではの上品で洗練された明暗の表現が実に見事な大作です。 -
『髑髏どくろを持つ男の肖像』
イタリア・バロック美術の巨匠アンニーバレ・カラッチ、あるいはその工房が1580~1590年代頃に手がけたとされる、世界的な名作肖像画です。
シックな黒い上着と、当時の知識人が好んだエレガントな白いレースの襟を身にまとった男性が、こちらをまっすぐに見つめています。
彼の右手には手紙が握られています。
手元に隠された「髑髏」の意味男性の左手の下(右下)に注目すると、一玉の「髑髏(人間の頭蓋骨)」の上にそっと手を置いています。
この髑髏は、キリスト教の美術において「メメント・モリ(死を忘れるな/人間はいずれ死ぬものである)」という、人生の儚さや信仰の深さを象徴する特別な意味が込められています。
背後の深い暗闇から、男性の知性あふれる瞳や、襟元の細やかな白いレースの質感がスポットライトを浴びたように美しく浮かび上がっています。
派手な色彩を抑えることで、モデルの高貴な気品と、どこか哲学的で静粛な空気感が画面全体に綺麗に表現された素晴らしい一枚です。 -
『聖母子』
イタリアのバロック期の画家ジョヴァンニ・アンドレア・シラニが1640~1650年頃に手がけた作品です。
青いマントを羽織った聖母マリアが、ふくふくと愛らしい裸の幼児キリストを優しく腕の中に抱きかかえています。
キリストが小さな手をマリアの胸元にそっと添え、二人がお互いに慈愛に満ちた視線を交わし合う温かい場面です。
トンド(円形画)の工夫この絵は「トンド」と呼ばれる丸い画面に描かれており、それを囲む金色の豪華な四角い額縁との組み合わせが非常にエレガントです。
丸い枠の中に二人の身体が綺麗に収まるよう、バランスよく構図が計算されています。
シラニは高名な女性画家エリザベッタ・シラニの父親であり、巨匠グイド・レーニの高弟でした。
背景の深い暗闇から、マリアの優美な横顔やキリストの瑞々しい肉体がスポットライトを浴びたように美しく浮かび上がっており、バロック期ならではの上品な優しさが満ちている一枚です。 -
『エジプト逃避途上の休息』
イタリア・バロック期の巨匠ドメニキーノ(ドメニコ・ザンピエーリ)が1620~1623年頃に手がけた、世界的な大名画です。
ヘロデ王の迫害から逃れるため、幼いイエス・キリストを連れてエジプトへと向かう聖家族の物語です。
画面の左手前を注目すると、小舟に乗って静かに川を渡ろうとしている、聖母マリアとヨセフ、そしてキリストの姿が小さく描かれています。
画面を構成する「理想的な美しさ」中央にそびえ立つうっそうとした緑の木々や、そのふもとにそそり立つ立派な古いお城、そして左側の立体的な滝の描写など、計算し尽くされた完璧なバランスで大自然が描かれています。
ドメニキーノは、師匠であるアンニーバレ・カラッチが生み出した「理想的風景画」のスタイルを最も美しく発展させた画家です。
ただの景色ではなく、人間のドラマを雄大な大自然の奥行きや、美しい空のグラデーションのなかに調和させた、美術史的にも非常に価値の高い大作です -
『ティモクレイアをアレクサンドロス大王の前に連れてくるマケドニアの兵士たち』
イタリア・バロック期の巨匠ドメニキーノ(ドメニコ・ザンピエーリ)が1615年頃に手がけた、非常にドラマチックな歴史画です。
古代ギリシャの戦争での有名なエピソードです。
マケドニア軍の乱暴な隊長を井戸に突き落として復讐した勇敢な女性ティモクレイア(中央)が、兵士たちに捕らえられ、アレクサンドロス大王(左の椅子に座る英雄)の前へと引き出された緊張の瞬間です。
大王の「寛大な判決」大王は彼女を処刑するのではなく、その毅然とした態度と勇気を称え、彼女と子どもたちを罪に問わずに釈放しました。
大王が左手で優しく道を示すようなポーズをとっているのは、その寛大な判決を表現しています。
2つ前のの絵と同じく、こちらも「楕円形(オーバル)」の画面に描かれており、四角い金色の豪華な額縁との組み合わせが大変おしゃれです。
右奥にそびえ立つ立派な城壁や、美しいグラデーションの空など、古典的な気品と緊迫した人間ドラマが完璧なバランスでひとつにまとまった見事な一枚です。 -
『聖母戴冠と聖人たち』
イタリア・バロック期の巨匠グエルチーノ(ジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ)が1620年頃に手がけた作品です。
画面の上半分(天上の世界)では、復活したキリストが、聖母マリアの頭上にそっと黄金の冠を授ける「聖母戴冠」の神聖な儀式が描かれています。
マリアは胸に手を当て、謙虚にその栄光を受け入れています。
地上の聖人たち下半分の地上世界では、立派なマントを羽織った聖人が両手を広げて深く感動しながら天上を見上げています。
左下の暗がりには、大きな聖書を開いて座る愛らしい幼子の姿もあり、絵に神聖な深みを与えています。
雲の上から溢れ出るまばゆい天上の光と、地上の深い暗闇が美しいコントラストを生み出しています。
マリアのまとう鮮やかな青いマントや、キリストのたくましい肉体美など、グエルチーノならではのドラマチックな「光と影の魔術」が小さな画面のなかにギュッと凝縮された見事な一枚です。 -
『聖ヒアキントゥスの幻視』
イタリアのバロック期の画家ルドヴィーコ・カラッチが1594年頃に手がけた名作です。
画面中央で黄色いマントをまとい、熱心にひざまずいて上を見上げているのは聖人「ヒアキントゥス」です。
彼の深い信仰に応えるように、お腹の大きな聖母マリアが天使たちを伴って目の前に現れた奇跡の瞬間が描かれています。
上空を舞う愛らしい天使左上の暗がりを注目すると、一人の小さな天使がふわりと逆さになって宙を舞い、マリア様の出現をにぎやかに祝福しています。
背後にそびえ立つ立派な大理石の柱やアーチ型の建築美が、空間に奥行きを与えています。
マリアの身にまとった鮮やかな赤色の上着と青いマントが、建物の影からまばゆく浮かび上がる、カラッチならではの上品な色彩が実に見事な一枚です。 -
『聖ペテロへの鍵の授与』
イタリア・バロック美術を代表する高名な画家グイド・レーニが1624~1626年頃に手がけた、世界的な大傑作の宗教画です。
イエス・キリスト(左)が、目の前にひざまずく使徒のペテロ(右)へ、天国の門を開けることができる特別な「鍵」を手渡している新約聖書のきわめて重要な名場面です。
見上げるキリストと見守る使徒たちキリストの背後では他の弟子たちがこの厳かな瞬間を静かに見守っています。
頭上の分厚い雲のすき間からは、まばゆい光とともに愛らしい天使たちの顔がのぞいており、この神聖な特権の授与を祝福しています。
レーニならではの、澄んだ青空のようなマントの色彩が非常に美しく映えています。
ギリシャの神殿を思わせる立派な大理石の柱が背景に堂々とそびえ立ち、登場人物たちの凛としたポーズに古典主義らしい気品と完璧な調和を与えている素晴らしい大作です。 -
『聖ルカと聖カタリナに姿を現す聖母子』
イタリア・バロック美術の巨匠アンニーバレ・カラッチが1592年に手がけた、世界的な大傑作の宗教画です。
画面の上半分(天上の世界)から、聖母マリアが愛らしい幼児キリストを抱き、まばゆい雲とともに姿を現した奇跡の瞬間です。
ひざまずく聖人たちの姿左下で立派な司教冠をかぶり、画板のようなものを手にして驚いているのは、画家の守護聖人でもある「聖ルカ」です。
中央で胸に手を当てて見上げている女性は「アレクサンドリアの聖カタリナ」、右端で輝く甲冑を身にまとって佇んでいるのは「聖ウィリアム」です。
暗い地上の世界から、天上の神聖な光によって人物たちの鮮やかな衣服(赤や青、黄金色)がスポットライトを浴びたように美しく浮かび上がっています。
カラッチならではの完璧なデッサン力と、バロック美術らしい劇的な明暗の表現が完璧に融合した、息をのむほど見ごたえのある大作です。 -
『受胎告知』
イタリア・バロック美術を代表する高名な画家グイド・レーニが1621~1629年頃に手がけた、世界的な大名画です。
大天使ガブリエル(左)が未婚のマリア(右)のもとに舞い降り、彼女が神の子(キリスト)を身ごもったことを告げる聖書の非常に有名な瞬間です。
ガブリエルは純潔の象徴である「白百合の花」を手に持ち、マリアは静かに手を合わせて神の言葉を受け入れています。
天から差し込む聖なる光頭上の雲のすき間から、まばゆい黄金の光が一本の筋となってマリアを優しく照らし出しています。
光のまわりでは、たくさんの美しい天使たちがふわりと宙を舞い、この神聖な奇跡の瞬間をあたたかく祝福しています。
レーニの最大の特徴である、透き通るような美しい色彩が遺憾なく発揮されています。
ガブリエルの大きく立派なグラデーションの効いた翼や、マリアのまとう深い青と赤の衣装のコントラストがとても綺麗で、バロック古典主義らしい完璧な気品と優雅さに満ちた素晴らしい大作です。 -
『薪の上のヘラクレス(ヘラクレスの死)』
イタリア・バロック美術を代表する高名な画家グイド・レーニが1617~1619年頃に手がけた、世界的な最高傑作の一つです。
ギリシャ神話の最強の英雄ヘラクレスが、毒に侵され、激痛に耐えかねて自ら薪を積み上げて火を放ち、肉体を焼き尽くして神の仲間入りをしようとする、非常に壮絶な最期の瞬間です。
天を仰ぐ力強いポーズヘラクレスは今まさに炎が燃え盛る薪の上に身を横たえながら、苦痛のなかでも右腕を高く天へと突き上げ、天上の神々の世界(オリンポス)を見つめています。
その凄まじい精神力が劇的に表現されています。
レーニは、古代ローマの逞しい彫刻を熱心に研究していました。
そのため、暗闇のなかから浮き上がるヘラクレスのバキバキに割れた腹筋や、力強い足の筋肉の立体感がまるで本物の彫刻のようにリアルで美しく、人間の肉体美の極致を肌で感じる見事な大作です。 -
『ヘラクレスとアケロオス』
イタリア・バロック美術の巨匠グイド・レーニが1617~1619年頃に手がけた、世界的な大傑作の神話画です。
ギリシャ神話の有名な力比べの場面です。
最強の英雄ヘラクレス(後ろの逞しい男性)が、美しい王女をめぐって、川の神様であるアケロオス(手前でねじ伏せられている男性)と激しく取っ組み合いの死闘を繰り広げている、大迫力の瞬間です。
神の「変身」を打ち破るアケロオスはこの戦いの最中、ヘラクレスに勝つために雄牛などの様々な姿に変身して襲いかかりましたが、ヘラクレスはその凄まじい怪力でアケロオスを力強く押さえつけ、見事に勝利を収めました。
前作と同じく、まるで古代の彫刻がそのまま動き出したかのような、二人のバキバキに鍛え上げられた筋肉の立体感が見事です。
お互いの肉体が複雑に絡み合うダイナミックな構図と、バロック絵画ならではの重厚な力強さが画面全体からまっすぐに伝わってくる素晴らしい一枚です。 -
『ロトとその娘たち』
イタリア・バロック美術を代表する高名な画家グイド・レーニが1615~1616年頃に手がけた、世界的な大傑作の宗教画です。
旧約聖書の有名な物語です。
神の怒りによって滅ぼされる街(ソドム)から無事に逃げ延びた父親のロト(中央の老人)と、二人の娘たちが、避難先の洞窟で休息をとっている場面が描かれています。
背景に隠されたドラマ中央奥の背景を注目すると、真っ赤な炎を上げて激しく燃え盛る街のシルエットが小さく描かれています。
この不気味な赤い光が、彼らが間一髪で恐ろしい天災から逃れてきたという物語の緊迫感を静かに物語っています。
右側の娘が身にまとった鮮やかな赤いマントや、左側の娘の青いスカートなど、レーニならではの上品で美しい色彩表現がとても綺麗です。
暗い洞窟のなかに差し込む光が、ロトのシワの刻まれたリアルな肉体や、衣服の滑らかなひだの質感をドラマチックに照らし出している見事な一枚です。 -
『聖母マリアと泣く聖ペテロ』
イタリア・バロック美術の巨匠グエルチーノ(ジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ)が1647年頃に手がけた、人間の深い感情が胸に迫る高名な傑作です。
キリストが捕らえられた際、恐怖から「あんな人は知らない」と3度も嘘をついて裏切ってしまった使徒ペテロ(右)が、自分の罪を激しく悔いて涙を流しています。
左側では、深い悲しみをたたえた聖母マリアが、ペテロの告白を静かに受け止めています。
手元に描かれた「白い布」ペテロが白い布で目元を覆ってむせび泣く姿と、マリアが手元で同じような白い布をそっと握りしめるポーズが対照的に描かれており、二人の間の言葉にならない重厚な悲しみの空気が表現されています。
背後の深い暗闇から、マリアのまとう鮮やかな青いマントや、ペテロの茶色い上着が優しく浮かび上がっています。
グエルチーノならではの上品な明暗法によって、登場人物たちの生々しい心理や後悔の念が静かに引き立てられた、実に見事な一枚です。
素晴らしい名画の数々に、時間を忘れてうっとり見惚れてしまう贅沢なひとときでした。とても広いルーヴル美術館ですので、美しい作品をめぐる旅はまだまだ続きます。
つづく
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