2015/06/23 - 2015/06/23
10位(同エリア105件中)
キートンさん
スイス3日目となる14日目はエンガディン地方から、スイスの東西交通と南北交通が交わる十字路「アンデルマット」への移動日。
とはいっても、本日の鉄道旅はスイスでも屈指の景勝ルートとして名高い「ベルニナ鉄道」と「グレッシャー・エクスプレス」(氷河急行)の東半分の路線を走ります。
さらに2回のハイキングも予定している盛りだくさんの1日。
後編では、ライヒナウからアンデルマットまでの車窓を楽しみ、アンデルマットでは有名な「魔橋」を見にハイキングを行います。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 3.5
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 鉄道
- 航空会社
- 中国国際航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
ライヒナウ15:05発のディセンティス行きの列車に乗車してしばらくすると、「ライン川のグランドキャニオン」とも呼ばれる大地溝帯に沿って走る。
-
イチオシ
眼下の初夏の草原の輝きが鮮やかだ。
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ディセンティスで16:14発のアンデルマット行きの列車に乗り換える。
ディセンティスより東はレーティッシュ鉄道、西はマッターホルン・ゴッダルト鉄道が運営している。
マッターホルン・ゴッダルト鉄道の列車の小テーブルにも、その路線図が表示されている。 -
ディセンティスからは、グレッシャー・エクスプレス(氷河急行)のルート上で最も標高の高い「オーバーアルプパスヘーエ」(標高2033m)に向かってどんどん上って行く。
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ディセンティスを出発して30分もすると、集落は消え峠越えを感じさせる風景になってきた。
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その頃左側から流れ込んでくる谷には「クアネラ」のコンクリートダムが見える。
標高2000m付近のかなり高い場所にあるダムである。 -
16:50頃に標高2033mの「オーバーアルプパスヘーエ」に到着。
峠にしては比較的大きな湖がある。 -
細長い湖の北岸に沿って列車は走る。
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オーバーアルプパスヘーエの湖に別れを告げると、列車はどんどん下って行く。
下り始めると、地を這うような雲が多くなってきた。 -
やがて雲の中に突入。
アンデルマットへと向かう緑の斜面には民家が点在している。 -
ディセンティスを出発してちょうど1時間で、雲の中からアンデルマットの街が現れた。
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17:30頃、アンデルマットの宿となる「モノポール・メトロポール」に到着。
ホテルの建物には銀行とレストランが入ってるようだ。Monopol-Metropol ホテル
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ブッキングコムで予約してシングル1泊朝食付きで90スイスフランだった。
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シンプルで広くはないが、個人的には不満はないレベル。
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マウンテンビューとはいえないが、一応ベランダ付き。
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シャワー・洗面・トイレはブルー系統のタイルがおしゃれかな。
ドライヤーがあるのはありがたい。 -
ホテルの近くにはCOOPもあって便利。
このCOOPは平日7:30〜19:00営業なので、今のうち食料品を購入した。 -
ひと息ついて18:20頃、今日2回目のハイキングへと出かけた。
小雨がぱらつきそうな中、アンデルマットの街から北に進む。 -
アンデルマットからゲッシネンまでハイキング道が通じている。
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黄色い花が咲く原っぱの横を、岩が露出する谷の方へと歩く。
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仮設の簡易な柵の右側がコースのようだ。
この先工事でもしているのか? -
しばらく進むと突き当った。
下には鉄道と道路がトンネルから出てきてその先に続いている。 -
少し手前に下に下りる階段があった。
これを下りると下の道路に下りれるということか? -
そこかららせん階段を下りると・・・
-
なるほど、道路トンネルと鉄道トンネルの間の小さい出口がらせん階段の部屋だった。
-
そして前方にはますます険しい断崖が現れた。
-
道路を先に進むと橋を渡りトンネルへと入って行く。
トンネルの入口の岩肌に「悪魔とヤギ」の絵が描かれている。
この地には次のような伝説があるのだ。
『ロイス川を渡るのがあまりに困難だったため、あるスイスの牧夫が悪魔に橋を架けるように願った。すると悪魔が現れて、願いを引き受ける代わりに橋を最初に渡るものを生け贄に差し出すようにと条件をつけた。彼はそれを受け容れたが、橋が完成すると彼はヤギを先に渡らせて生け贄を回避した。この詐欺行為に怒った悪魔は岩をつかんで橋に投げつけようとしたが、ある老婆が十字架を岩に描いて悪魔が岩をつかむことができないようにした。』
(ウィキペディアより) -
その道路橋から谷を見下ろすと、深い渓谷に古いアーチ橋が架かり、その向こうには山の斜面に鉄道の5連のアーチ橋が架かっている。
-
谷は古いアーチ橋の直前で急激に深さを増している。
この川は「ロイス川」。
ルツェルンの街中を流れていた川で、ここからフリューエレンまで下ったところで一旦フィアヴァルトシュテッター湖に流入し、ルツェルンから再び川となって下っている。 -
橋のたもとに戻り、右岸側の道を行くと、2つの橋を横から眺められる。
前述の伝説から、ここに架かる橋は「悪魔の橋」と呼ばれる。
初代の「悪魔の橋」は1595年に完成したが、1888年の嵐で崩壊したという。
やや下に見える短い方のアーチ橋は1830年に完成した2代目悪魔の橋、長い方のアーチ橋は1958年に完成した3代目悪魔の橋である。 -
2代目悪魔の橋を渡って続く道がゲッシネンへのハイキング道のようだ。
面白そうなハイキング道だ。
期待が膨らむ。 -
お気に入りのジオラマモードで。
ヨーロッパには悪魔が造ったといわれる「魔橋」が20以上はあるようだが、おそらくこの「悪魔の橋」が最もよく知られている。 -
歩いて来た方向を振り返る。
左岸側が凄い断崖絶壁になっているのがわかる。 -
イチオシ
谷の下流側をジオラマモードで。
「ロイス川」のこの深い渓谷は「シェレネン渓谷」と呼ばれ、「悪魔の橋」が架かるまでは多くの溺死者が出たという。 -
右岸側の道の突き当りは少し広くなっていて、岩盤に石碑が彫られている。
文字がロシア語っぽいのと「1799」の年号からして、フランス革命戦争でアレクサンドル・スヴォーロフ元帥率いるロシア軍が1799年にフランス軍を退けこの地を超えたことを記念した碑だと思われる。 -
右岸側の道を戻って2代目悪魔の橋の方に歩いて来た。
ここからは3代目悪魔の橋を見上げる位置関係になる。
3代目悪魔の橋は戦後に造られただけあって、近代的な技術で橋を渡し、断崖をトンネルで貫くという大胆な方法をとっている。
もはや伝説の「悪魔の橋」というより「近代技術の橋」である。 -
2代目悪魔の橋の上流は激流となって流れ落ちている。
1997年に夏のスイス旅行をした時に、当時の「地球の歩き方」にも「悪魔の橋」のことがチラッと書かれていて、次回スイスを旅する機会があれば見てみたいと思っていた。(現在の「地球の歩き方」にもチラッとしか書かれていないが)
その名のインパクトと伝説から非常に興味があったが、来てみて良かった。 -
2代目悪魔の橋の下流はすでに深く切れ込む渓谷となっている。
-
左岸側下から見た3代目悪魔の橋。
歩いて来た右岸側に見える建物はおそらくレストランだろうが、今は19:00前なので閉店していた。 -
先ほど見えていたハイキング道を進もうとしたら、3代目悪魔の橋の下で通行止めになっていた。
どうやらこの先で落石の復旧工事でもしているようだ。
それにしてもあと100mでも先まで行かせてくれれば、また違ったアングルで悪魔の橋とシェレネン渓谷を見ることができるのに残念だ。 -
通行止めの手前から見た2代目悪魔の橋。
3代目悪魔の橋より古いとあって、苦労の跡がひしひしと感じられる。 -
来た道を戻ろうとしたとき切り立った岩盤に扉があり、その先は真っ暗なトンネルとなっていた。
試しに1歩足を踏み入れると、感応式の照明が灯った。
これはひょっとして通行止めになっている区間の先につながってゲッシネンまで行けるのかもしれない。
トンネルの長さも不明だし向こうから人が来たら正直言って怖い。
でも、ここは恐怖よりも好奇心の方が圧倒的に上回っていた。 -
トンネルは意外に短く、100mもなかった。
そしてトンネルを出た風景は予想外のものだった。
こんなところに出たのか!
そういえば入口と出口付近で大きく曲がっていた気がする。 -
そしてトンネルの出口から先は、鉄道のアーチ橋に向かって上っていた。
こういうルートになっているとは予想だにしてなかったので、個人的にはビッグサプライズであった。 -
イチオシ
そして上ったところから見る2つの悪魔の橋がまた素晴らしい。
こちらから見る方が地形の険しさがよくわかる気がする。 -
鉄道のアーチ橋をくぐり、ここからは鉄道沿いに歩く。
鉄道のアーチ橋越しにシェレネン渓谷を見ると、2つの悪魔の橋が自然に入るグッドな構図となる。 -
ルートは鉄道のアーチ橋のところでジグザグに上って行き、鉄道を上越しで、2つの悪魔の橋を見ることもできる。
つまり、アンデルマット〜ゲッシネン間を鉄道移動するときも、このアングルで2つの悪魔の橋を見れるわけである。
ただし列車のスピードからして一瞬の風景なので、列車からの写真撮影は「ランドヴァッサー橋」並みに難しいだろう。 -
最も高いあたりから見るアングルも良いが、鉄道の架線など余計なものも入ってしまうのが残念。
どうせ入るなら鉄道との位置関係がわかるように撮ってみた。 -
そこからアンデルマットの方向には鉄道がロイス川を渡り、歩くルートはそのまま左岸をさかのぼる。
そして前方の勾配のついたアーチ橋を渡って右岸側に戻るようだ。 -
このあたりはロイス川の谷もまだ浅い。
-
ロイス川の右岸に渡り、鉄道下をくぐったあたりから階段状の流れとなって落ちていき、深い渓谷へと変化していく。
正面の絶壁に人道トンネルの出口とそこから鉄道橋の方へ上って行くルートが見えている。 -
改めて3代目悪魔の橋の上から下を見て、通った人道トンネルの入口を確認。
やや右寄りの黒っぽい四角がトンネルの入口。
その右側にあるのはマリア様か何かが祀ってあったような・・・ -
3代目悪魔の橋は両側に歩道があったがその先のトンネル内には歩道がなかった。
ゲッシネンまで徒歩で行くならハイキング道を通れってことなのだろうが、そこが通行止めだし、車道の交通量も少なめなのでトンネルの中を進んでいった。
トンネルはすぐに片側が開口しているシェルター状になったので、外の風景が見れるようになった。
道路はヘアピンカーブを繰り返し、標高を下げて行くようだ。 -
よく見るとかなりの規模の崖崩れがあったらしく、その復旧工事が行われているようだ。
どうもシェルターの上にハイキング道が通っているようで、確かにこの状態ではコースが閉鎖されていてもしょうがない状態だ。 -
車道をあまり遠くまで歩くのも危険なので、引き返すことにした。
開口部からは対岸の急峻な山の上から、とんでもない標高差を段々に落ちてくる滝が見れた。 -
その滝はシェレネン渓谷に落ちていた。
-
3代目悪魔の橋まで戻り、シェレネン渓谷の下流側を見下ろす。
悪魔の橋に到着してからまだ45分程度しか経ってないが、驚くほどの枚数の写真を撮っていた。
半径200mにも満たない範囲をウロウロ歩き回って写真を撮りまくるハイキングなんて今まであっただろうか?
ここには自然の驚異と昔の人が執念で創りあげた構造物が上手く調和した風景がある。
そして悪魔の橋をいろんな角度から見れるように工夫されたルート設定が絶妙だ。
ゲッシネンまでのハイキング道は途中から通行止めで残念ではあったが、
もしここが通常通り通行出来ていたら、あの人道トンネルを通って鉄道側へのルートを歩くこともなく、そのルートの存在さえ知らずに終わっただろう。 -
イチオシ
充分に満足してアンデルマットに向けて歩き出した時、アンデルマット行の列車がトンネルから出てきた。
最後に列車入りの写真も撮れて良かった。 -
19:45頃にはアンデルマットの街に帰ってきた。
アンデルマットの街中にはこれといって見どころはないが、1か所見ておきたいところがあった。 -
アンデルマットの街の西の方に「ホテル・オーロラ」という建物がある。
建物の前面の赤い縁取りのひさしが特徴的だが、かつてそこにはガソリンスタンドがあった。
「007ゴールドフィンガー」(1964年)のロケで使われた場所である。
「007ゴールドフィンガー」ロケ地巡りの動画
https://www.youtube.com/watch?v=wN787BGCPSw -
この動画(8:00あたり)からすると、2011年の頃はまだガソリンスタンドは存在したようだ。
「007ゴールドフィンガー」を意識してかどうかは定かではないが、ガソリンスタンドはなくなった今もその面影を残すひさしはそのままになっている。 -
今日はプレダでの1回目のハイキングは散々な天気だったが、悪魔の橋へのハイキングは少し小雨がぱらついただけで何とかもってくれた。
明日はスイス滞在5日間の中でも最も好天が要求される日である。
明日の天気次第でスイスの印象が左右される重要な日だけに、天候のお回復を強く願った。
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