中山道の宿場を巡る旅（岩村田宿・望月宿・芦田宿・茂田井間の宿）

2023/08/03 - 2023/08/08

蓼科高原から旧中山道に残る宿場跡を二日に分けて訪れました。懸崖造りの鼻顔稲荷神社、二層の楼門がある龍雲寺、巨木のケヤキが保護されている大井城跡などがある岩村田宿。千曲川の渡し場として栄えた塩名田宿。境内に重要文化財の高良社が建っている八幡神社、本陣跡と脇本陣跡がある八幡宿。望月歴史民俗資料館や温泉宿がある望月宿。それぞれ特徴のある４つの宿場跡を１日目に散策しました。２日目は本陣の客殿が保存されている本陣土屋家住宅、ふるさと交流館芦田宿などがある芦田宿。二軒の酒造、馬頭観音、無量寺がある趣ある街並みの茂田井間の宿に行きました。説明板や資料を見ながら宿場跡を散策した二日間でした。

エリア 長野

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: 自家用車 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

日本橋から数えて22番目の宿場、岩村田宿を半日かけて散策します。湯川沿いに建つ鼻顔稲荷神社にやってきました。安土桃山時代に京都の伏見稲荷から分霊された神社で、日本の五大稲荷の一つに数えられています。京都の清水寺と同じ懸崖造りで、社殿は入口から拝殿まで50mほどある立派な造りをしています。拝殿に向かう通路にはたくさんの歴史を感じる絵馬が飾られています。朝訪れたこともあり、参拝客はいませんでしたが、男坂や女坂がある高台に建つ立派な神社です。

鼻顔稲荷神社 寺・神社・教会

鼻顔稲荷神社境内の裏の高台に上がると鼻顔公園があります。芝生にブランコ、すべり台、アスレチック遊具があり、マレットゴルフコース18Hがあります。

鼻顔公園 公園・植物園

次に向かったのは龍雲寺です。武田信玄から篤く信仰され、出兵する際には必ず詣で必勝祈願したと伝わる曹洞宗の寺院です。屋根瓦に大きな鯱が飾られている、二層の楼門は見ごたえがあります。堂々とした楼門は一見の価値があると思います。

龍雲寺 寺・神社・教会

龍雲寺から歩いて５分ほどの高台にある王城公園が大井城跡です。鎌倉・室町時代に佐久郡の東部を中心に繁栄した大井氏宗家の城館が、幅100ｍ位長さ700ｍにおよぶ長方形であったと説明板に記されています。訪れた王城公園辺りはほぼ中央だったようです。丘陵の城で、城のシンボルだったケヤキの巨木が大切に保護されています。木の根元に道祖神や氏神や不動尊などが祀られています。城跡から岩村田の街並みが眺められました。

大井城跡 名所・史跡

次に日本橋から数えて23番目の宿場にあたる塩名田宿に行きました。旧浅科公民館、塩名田バス停向かいに、かつて名主や本陣などを務めた丸山家の本陣跡や高札場などが残っています。

塩名田宿本陣跡 名所・史跡

本陣跡から200mほど行った旧中山道にあたるお滝通り沿いには、当時を偲ぶことができる屋号が書かれた茶屋や旅籠、旅人がのどを潤した清水跡、女性が健康の増進や出産の無事を祈願した十九夜塔の碑などが残っていて、宿場当時の面影を感じることができます。お滝通りを下り千曲川の河原に千曲川の舟つなぎ石が残っています。千曲川の渡し場として栄えた宿場であったことから、大きな石に穴をあけ船が流されないようにつないでいたようです。

千曲川の舟つなぎ石 自然・景勝地

日本橋から数えて24番目に設置された八幡宿に来ました。慶長年間に中山道が整備された折、宿場の一つとして作られました。問屋兼名主だった依田家の屋敷が残っています。馬に乗ったまま通れた立派な門があります。脇本陣問屋跡の門や旅籠屋跡の建物が残っています。

八幡宿 名所・史跡

八幡宿に建つ八幡神社を訪れました。小さな町にある神社なので見どころはないだろうと思いつつ訪れましたが、歴史を感じる建造物が多く残っていました。擬宝珠を付けた高欄の縁側を巡らした楼門形式の随神門、1781年に創建され彫刻が施された本殿と拝殿、1491年に建立された菊の紋など3つの紋が飾られ、重要文化財に指定されている高良社など見どころが多く残る神社です。どれも木造で華やかさはありませんが、歴史に触れることができる建造物ばかりです。

八幡宿 名所・史跡

中山道26番目の望月宿にやってきました。望月歴史民俗資料館は望月宿本陣の一部跡地に建つ資料館です。平石遺跡の出土品や、中山道望月宿の様子や、明治以降の暮らしや仕事などを展示しています。望月宿の重要文化財の建物に説明板がなくて分からなかったところ、室内の写真と説明が資料館に展示してありました。

望月歴史民俗資料館 美術館・博物館

望月歴史民俗資料館の裏手に建つ佐久市天来記念館です。現代書道の父と言われる書道家・比田井天来の記念館です。館内には天来の代表的な作品や妻・小琴さんの作品、天来門流書家の作品の他、天来が使用していた筆や硯、印などが展示されています。ガラスケースの中には天来が亡くなる前夜に短冊に書いた作品も展示されていました。

佐久市立天来記念館 美術館・博物館

真山家住宅です。真山家は問屋と旅籠を兼ね、幕末に名主を勤めました。1765年の大火災で焼失しましたが、翌年に再建されのちに土蔵などが増築されました。1973年に重要文化財に指定されました。以前は内部見学ができたようですが、今は外観のみです。望月歴史民俗資料館に内部写真が展示してありました。

真山家住宅(望月宿) 名所・史跡

望月宿に温泉があります。時々望月を通る際、観光温泉地のイメージがなかったのですが、日帰り温泉を行っている宿泊施設があります。その一つの青木荘に寄りました。畑や住宅の中に建つひなびた温泉でした。

望月温泉 温泉

望月宿から蓼科へ向かう途中、152号線沿いのJA佐久浅間しらかばアイス・ヨーグルト工場の売店に寄りました。小さな売店にのむヨーグルトとプレーンヨーグルトを販売しています。4戸の酪農家の生乳を使った製品を作っています。500mlののむヨーグルトを買い、ソフトクリームを店先のベンチに座って食べました。

JA佐久浅間しらかばアイス・ヨーグルト工場 名所・史跡

濃厚なソフトクリームは美味しくてドライブの疲れが取れました。のむヨーグルトはあまり甘くなくて濃厚で自分好みでした。岩村田宿から望月宿の半日旅を終えました。

JA佐久浅間しらかばアイス・ヨーグルト工場 名所・史跡

8日、蓼科から芦田宿と茂田井間の宿へ行きました。芦田宿を通る中山道沿いに、江戸時代に植えられた松並木が現存しています。江戸時代には600本ほどの松が植えられていたそうですが、現在は150本ほどのアカマツが1㎞に渡って植えられています。若い松も植えられ、地元の人たちで松並木を存続させる努力も行われています。公園化され江戸時代とは景観も異なりますが、多くの旅人が行き交う様子が思い起こされる松並木です。

笠取峠の松並木 名所・史跡

芦田宿の看板はありますが、住宅や商店が建つ地域でした。ここは宿場の雰囲気がある道です。

芦田宿の観光案内を兼ねているふるさと交流館芦田に寄りました。地元産業などの展示があり、冷房が効いている館内の広いテーブル席で地元の子どもたちが勉強していました。受付スタッフは涼みに来た年輩者と親しく話したり、親子連れと話したりしていました。地元住民が交流する姿に町の温かさを感じました。

中山道に芦田宿が設置されてから本陣を代々勤めた旧芦田宿本陣土屋家住宅です。門と子孫の方が暮らしている住宅の間に手入れされた松が生えています。松の手前を左に進むと、江戸時代の蔵と本陣の客殿が保存されています。この客殿は1800年に再建され、イチイの木を使った京風上段の間があり、大名の宿泊を今に伝える宿札が残っていると説明板に記されています。

旧芦田宿本陣土屋家住宅 名所・史跡

望月宿と芦田宿の間に設置されていた宿場町、茂田井間の宿です。2か所の宿場に泊まりきれない時の宿として主に利用されていたようです。道沿いには水路が造られせせらぎが流れています。大きく枝を拡げたしだれ桜が何本も植えられた1003年創建の無量寺や、本殿の随所に彫刻が施された諏訪神社など、歴史を感じる建造物が残る宿場です。

茂田井間の宿 名所・史跡

現在も宿場内には江戸時代から続く２軒の酒蔵があり、土蔵や板塀に白壁の広い敷地を持つ家々が点在しています。白壁が美しい大澤酒造です。

茂田井間の宿 名所・史跡

ここは一部見学ができる武重本家酒造です。1868年に創業し、清酒「牧水」と「御園竹」が有名です。日本酒の古来の製法生酛造りを継承する酒造です。江戸時代後期の住宅と酒造施設合わせて三十棟が国の登録有形文化財に指定されています。門に酒林が吊るされていて、住宅の玄関前にアカマツが生えています。

武重本家酒造 名所・史跡

事務所への通路脇に昔の酒造の道具が展示されています。見学は事務所までで、商品を購入することができます。受付口の周りに歴代総理大臣が書いた國酒とサインの色紙が飾られていました。前回訪れた時、牧水を買いました。

武重本家酒造 名所・史跡

車を停めた諏訪神社に戻りながら、趣ある茂田井間を歩きました。角に大きな自然石が立っていました。村人や旅人が救いを求めた馬頭観音でした。芦田宿の松並木と茂田井間の宿の町並みが気に入った半日旅でした。

茂田井間の宿 名所・史跡