布引観音と北国街道の宿場・小諸散策

2024/09/10 - 2024/09/11

江戸時代、宿場があった小諸には城の玄関として使用された大手門や、宿場の雰囲気が残る通り、小諸城址・懐古園、島崎藤村ゆかりの場所などが点在しています。しかもこれらの史跡やエリアはコンパクトにまとまっていて、歩いて巡ることができます。小諸駅近くの宿に一泊し、1日目は布引観音と小諸市街を、2日目は懐古園を散策してきました。この旅行記は1日目・布引観音と小諸市街を巡った時のものです。

エリア 小諸・御代田(長野)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: 自家用車 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

小諸に向かう前に立ち寄りました。
佐久の特産品である何種類もあるプルーンの中でも、最も美味しく感じるサンプルーンが収穫される時期を狙ってしばしば訪れている道の駅です。

道の駅 ヘルシーテラス佐久南 道の駅

同じ時期、小鮒の販売も行われるため、開店前からお客さんが並び始めていました。残念ながらこの年は高温だったため、小鮒が取れず販売は行われませんでしたが、サンプルーンは何箱も山積みになっていました。中には４パック入った箱を6箱購入する人もいて、プルーンの街・佐久らしさを感じました。

道の駅 ヘルシーテラス佐久南 道の駅

ヘルシーテラス佐久南から布引観音に向かう途中で立ち寄りました。江戸時代から天然氷の切り出しと蚕の卵を貯蔵するために使用されていた風穴が4基残っています。
駐車場は造られていないため、入口近くの草むらに停め風穴に向かいました。
風穴までは3分ほどでした。

冷蔵庫の普及や化学繊維の進歩によって、現在はその役目を終えましたが、4基残る風穴のうちの一つが、酒や漬物、そばなどを入れるために現在も使用されています。個人所有のため中を見ることはできませんでしたが、他の風穴に入ると入口の外と中では気温が5度以上異なり、ヒヤッとした感覚になりました。

江戸時代は外気と穴の最深部では、30度近い気温差があったとのことです。先人の知恵と気温差にびっくりしました。目立たないところに残っているため、訪れる人は少なかったです。

小諸駅から6㎞程のところに建つ天台宗の寺です。断崖絶壁に建つ観音堂がある寺で、牛に引かれて善光寺参りの伝説でも知られています。724年創建と伝わる古刹で寺の本堂に行くためには、30分ほどの山道を汗びっしょりになりながら上らなくてはなりません。本堂から100mほどのところに建つ観音堂宮殿は一見の価値があります。

布引観音 名所・史跡

宮殿に行くためには駐車場から30分ほど岩場や階段を上らなければなりません。途中、二段滝や大きな口を広げた岩、牛の姿に見える大岩、不動尊が祀られている岩、長野の善光寺まで通じていると伝わる穴などを眺めながら上ります。
写真は布引二段滝の様子です。

布引観音 名所・史跡

駐車場には宮殿まで20分と書かれていますが、よほどの健脚を持っていない限り難しく、皆さん汗びっしょりになりタオルで汗を拭きながら上っていました。上り切るのは大変ですが、宮殿手前の岩をくり貫いてできた岩のトンネル、赤い観音堂から眺める自然豊かな景観など、一見の価値があると思います。

布引観音 名所・史跡

観音堂宮殿に向かう途中の山道。大きな岩や石がゴロゴロしています。
上ってくる人たちは下る人たちに、観音堂まであとどのくらいですかと聞いてきます。タオルで汗を拭きながら上る人も多く、歩きにくく急な登山道であることがわかります。

布引観音 名所・史跡

牛の姿をしていることから名付けられた牛岩。

布引観音 名所・史跡

本堂まで５分ほどのところに建つ山門。門の横からも観音堂宮殿を見上げることができました。

布引観音 名所・史跡

山頂に建つ釈尊寺本堂。
観音堂宮殿まではあと一息です。

布引観音 名所・史跡

本堂から見た観音堂宮殿です。
1258年建立と伝わる、断崖絶壁に建つ観音堂宮殿です。

釈尊寺観音堂宮殿 名所・史跡

釈尊寺本堂から観音堂宮殿に向かう途中にある岩のトンネル。
この先に宮殿が建っています。

釈尊寺観音堂宮殿 名所・史跡

よくぞこんな場所に建てたものだとびっくりです。

釈尊寺観音堂宮殿 名所・史跡

赤く塗られた宮殿。
宮殿からは自然豊かな景観が望めました。

釈尊寺観音堂宮殿 名所・史跡

宮殿から見た本堂の姿です。

布引観音 名所・史跡

やっと小諸市街に到着。
小諸駅から500mほど、最初に訪れた旧小諸本陣問屋場でしたが、残念ながら、現在は修復工事中ということで問屋場の様子は全く見ることはできませんでした。2027年12月まで工事は行われているとのことです。

旧小諸本陣 名所・史跡

昼食で訪れた丁子庵。
趣ある商家が点在する本町通りの、本町交差点から50mほど入ったところに建つ手打ち蕎麦の店です。明治18年に穀屋として建てられた黒漆喰の落ち着きを感じる建物の店です。ケヤキ造りの店内で食べる蕎麦は腰が強く歯触りがよく、つけ汁は辛すぎず、天ぷらはカラッと揚がっていて老舗の蕎麦屋さんらしさが感じられました。開店して20分ほどの時に入りましたが、すでに多くのお客さんがいて人気店であることがわかりました。

丁子庵 グルメ・レストラン

辛味大根おろしそばととろろそばをいただきました。

丁子庵 グルメ・レストラン

小諸市街の散策開始です。
まずは本町通りへ。江戸時代の北国街道の一部が、小諸駅から500mほどのところに残っています。通りの両側には脇本陣として家老などが宿泊し、現在はカフェを営んでいる店舗や、繭問屋として栄え、現在も趣ある格子戸を持つ商家、水引細工や手紙用品などを販売している創業が江戸時代の紙店、本陣代として建てられ、現在も向拝が残る蕎麦屋など風情ある建物が点在しています。少しずつ江戸時代の街並みを再現しようと努力している通りのようです。

小諸本町通り 名所・史跡

かつて脇本陣として栄えた粂屋さん。
小屋根が付いた玄関が脇本陣らしさを残しています。
現在も旅館とカフェを営んでいます。

小諸本町通り 名所・史跡

玄関に小屋根が付いているそば七さん。
宿場に建つ建物らしさが感じられました。

小諸本町通り 名所・史跡

小諸市街のあちらこちらに建つ観光案内柱。初めて訪れる観光客には嬉しい案内柱です。

小諸本町通り 名所・史跡

本町通りに建つ町屋館。
大正時代に味噌や醤油の醸造を行っていた店舗です。現在も土間には当時荷物を運ぶためのトロッコの線路が残っていて、醸造に使用された道具や桶が展示されています。町おこしのための施設としても利用されているとのことです。

北国街道 ほんまち町屋館 名所・史跡

建物の裏には草地にベンチや東屋が置かれた展望広場があり、山々を眺めることができます。

北国街道 ほんまち町屋館 名所・史跡

小諸本町通りの突き当りに建つ浄土宗の寺です。1624年に徳川家康の母・於大の方を弔うために小諸城主・松平憲良によって建立されました。
写真は足柄門です。

光岳寺 寺・神社・教会

通りに面して建つ惣門は小諸城の足柄門だったもので、その先に建つ二階建ての楼門は江戸時代に建てられた門で、どちらも堂々としていて見ごたえがありました。

光岳寺 寺・神社・教会

小諸城主・牧野家の菩提寺にもなったことから、本堂の屋根には三つの家紋が掲げられています。

光岳寺 寺・神社・教会

小諸を訪れる前に、電話で小諸のパンフレットや宿に関する資料を送ってくれるように頼んだところ、電話の対応が素晴らしく、資料等もすぐに送ってくれた印象があった観光案内所です。小諸駅内にあり、電動アシスト自転車やベビーカートを借りることもできます。

小諸市観光案内所 名所・史跡

案内所隣の駅舎内に無人販売所があり、米や野菜を売っていたことにびっくりしました。

小諸駅 駅

停車場という懐かしさを感じるネーミングの心落ち着く公園です。小諸駅に隣接する大手門公園の一部で、ガーデン内は里山の草花エリアやハーブ園、ロックガーデンなどのエリアに分かれています。

停車場ガーデン(小諸市民ガーデン) テーマパーク

園内には食事やドリンク類を飲食でき、テラス席を備えたレストランや、ガーデニング用品を購入できるショップなどもあります。駅に隣接していて気兼ねなく緑の中で休憩でき、まさにガーデンらしさが感じられるガーデンです。

停車場ガーデン(小諸市民ガーデン) テーマパーク

小諸駅に隣接した停車場ガーデン、三の丸跡に造られた芝がきれいなせせらぎの丘、浅間山の自然を再現した浅間山麓野草園、重要文化財に指定されている小諸城の入口だった大手門、現在レストランとして使用されている小諸宿本陣主屋などから成る緑豊かな公園です。大手門そばにはかつての北国街道が通り、道の両側には宿場を思い起こさせる風情ある建物が点在しています。大手門公園を含め、見どころがコンパクトにまとまっているのが嬉しい小諸の街です。

大手門公園 公園・植物園

大手門公園内に造られた浅間山麓野草園の様子です。
女郎花がきれいに咲いていました。

大手門公園 公園・植物園

大手門公園内に建つ木造の大きな建物です。小諸の観光案内の事務所になっています。観光案内所にもなっていますが、小諸駅にある観光案内所に比べパンフレットや散策用の資料は少なく、小諸駅の観光案内所の方が利用しやすいと感じました。2階部分は建物の所有者が別荘として利用しているとのことでした。

小諸観光交流館 名所・史跡

小諸駅から200mほど、大手門公園内に建っています。1612年に藩主・仙石秀久によって建てられた小諸城の玄関にあたる門で、2008年に築城当時の姿で復元されました。1階部分の柱は70㎝×50㎝とどっしりしていて、門全体に重厚感を醸し出していました。2階部分は明治時代、料亭や小諸義塾の仮塾舎として利用されていたそうです。現在、2階部分は城や門に関わる展示室になっていますが、土日祝日のみ開館ということで見学できませんでした。

小諸城大手門 名所・史跡

大手門公園内のしなの鉄道沿いに建っています。参勤交代の大名が宿泊した建物で、平成に現在の場所に移築されました。玄関の彫刻が印象的な建物ですが、現在はレストランとして使用されていて、レストランを利用しない限り中に入ることはできません。

この後、この日の宿泊ホテルに向かいました。

小諸宿本陣主屋 名所・史跡