2023/08/05 - 2023/08/05
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この旅行記のスケジュール
2023/08/05
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土曜日のランチはのんびりと 昭和レトロなフレンチを
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徒歩での移動
徒歩で25分
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夏の百段階段イベント和あかりのテーマは百鬼夜行
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夕方に行く方が空いています
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この旅行記スケジュールを元に
尋常ならざる暑い夏が続いています。
陽向へと足を踏み出せば、纏わりつくのは体温よりも熱を帯びた気体。
こんな時こそ必要なのは、心の涼しさ。
現世(うつしよ)から幽世(かくりよ)へ。
百段階段が紡ぐ百段怪談。
太陽が陰り、夜のとばりが降りてくる逢魔が刻に
魑魅魍魎が跋扈する百鬼夜行の世界へと足を踏み入れました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- 同行者
- 友人
- 一人あたり費用
- 1万円未満
PR
-
百鬼夜行が初めて日本の歴史に登場したのは、平安時代。
今昔物語集や宇治拾遺物語などに、百鬼夜行についての記録がある。
(柳井金魚ちょうちん祭り:山口・柳井) -
百鬼夜行の目撃談で有名なのは、陰陽師の安倍晴明の逸話。
幼き晴明が師匠の賀茂忠明と夜に歩いていた時、前方に物の怪の気配を感じ師匠に伝えたところ、ソレは見た者に死をもたらす魑魅魍魎の百鬼夜行であり、賀茂忠明の術により晴明一行は難を逃れ、晴明はこの時よりその才能を見出された・・・と今昔物語集には記されている。
(百段階段:清水の間) -
完全な闇という物が失われた現代。
平安時代のような物の怪が潜む暗がりは何処にもなく、百鬼夜行が出る夜などは過去の話・・・のように思われているが、それはその世界への足がかりが私達の前から消えかかっているから。
(百段階段:雪隠) -
でも、足がかりは完全に消えたわけではなく、今なお、古い建物の中にひっそりと残っていたりする。
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そんな建物のひとつが、東京都にある百段階段。
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百段階段は今から88年前の1935年に建築された第二次世界大戦の東京大空襲でも焼け残った建物の一部。
戦時中は赤十字の救護病院としても利用された建物の一部であり、多くの人が踏んだケヤキ板の階段は黒々と輝き、床のシミの中、土壁の塗り目の中に、当時この建物の中にいた人々の様々な想いを今なお、封じ込めている。
(第一製作所 紙にしきごい) -
喜び、悲しみ、慟哭、歓喜・・・様々な念が蓄積し、滞留し、混沌と化している場所だからこそ、百段階段は現世(うつしよ)と幽世(かくりよ)を繋ぐ径となるのだ。
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百段階段を登り切ったその先・・・。
その階段の上へと繋がる部屋はなく、階段は径ではあるが、先のない径。
先がない代わりに残されているのが、いくつかの小さな小部屋。
それらの部屋はかつてこの階段が旅館の通路であったときに、宴席があったり、旅人が宿泊する部屋として使われていた。
そして、階段が異世界への通り径と化したこの夏、
小部屋には異世界へのゲートが現れていた。
(百段階段 十畝の間) -
漆黒の闇を思わせる漆床の上には、艶やかな花を纏う幾重にも重なる白木の鳥居。
(一葉式生け花) -
その両脇には、浴衣の形染め和柄の灯が美しき印影を刻んでいた。
(中野形染工場×ハナブサデザイン) -
黒々と光る床面に、鳥居と花が映り込む鏡面の世界が広がる。
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しかし、床に一歩近づくと、床の表面が澄んだ池の水面であるかのようにゆらりと揺らぎ、のぞき込む者をその底へと誘う。
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ぽたりと水滴を垂らしたら、その湖面には同心円状の波紋が広がることが明らかであるかのような深い水の淵。
そう、この水面こそが幽世(かくりよ)へのゲート。
漆黒の床面の中に水の世界が見えたヒトだけが、この先の魑魅魍魎が跋扈する百鬼夜行の世界へと足を踏み入れることができる。 -
鳥居下の床面の水の中に引きずり込まれた私達の前に現れたのは、水晶が生える幻想世界。
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その昔は、漁樵の間と呼ばれる小部屋であった空間が、荒々しくも美しい水晶が輝く洞窟であるかのように姿を変えていた。
(本間ますみ ペットボトルアーチスト) -
床柱には翁と童の像が彫り込まれ、その昔の季節の移ろいが描かれた欄間の人物像も、優雅さを表してはいるもののどこか影のある感じで、ふと目を離してもう一度眺めると、
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顔の表情が先ほどと何か違う?
目線が動いた?
など、現実世界では起こるはずのない不思議な感覚。 -
それもそのはず。
幽世(かくりよ)でのこの場所は、鬼の住処。 -
美しく着飾っている様に見える女性も、
その顔は、般若であり、
人間ではなく、鬼の領域へと変化を始めている。 -
部屋の色彩は赤、青、紫、黄色と変わり、狂おしい心に宿る艶めかしさすら感じられた。
-
鬼女となった鬼も、その昔はヒトであったはず。
昔を思い出す鬼の心の内における葛藤が色で表にでてきているかのような空間だった。 -
七夕(たなばた)もまた、幽世(かくりよ)と縁のある世界。
(櫻井 俊 七夕飾り作家) -
七夕といえば天の川の両岸で年に一度の逢瀬をする織り姫と彦星が有名だが、七夕流しで七夕飾りを流す川も現世と幽世を繋ぐ存在で、流された飾りは天の川の畔へとたどり着くと言われている。
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そんな七夕の小部屋には、鷺娘の姿があった。
鷺娘は歌舞伎演舞の一つで、人間の男に惚れた白鷺が町娘に扮し、一時の幸せを味わうお話で、白無垢姿の鷺娘は幸せの絶頂期。
しかし幸せは、束の間のもの。
永劫に続く幸せはなく、ヒトに化身するという世の理に反した鷺は地獄へと落ち、地獄の責め苦を受け、朽ち果てていく。 -
壁から浮き出る白塗りの能面と般若の面は対照的な顔だが、これもある意味ヒトの二面性(陰陽)を表したモノ。
男が紅葉狩りで訪れた山で出会った絶世の美女は実は恐ろしい鬼女が化けた姿で、女の微笑みにほだされ酒に酔った男はその鬼女に食い殺されそうになる昔話を般若の姿で表している。
七夕も然りだが、男と女の艶話にはどこかで必ず陰陽があるということか。
(松竹衣装 歌舞伎座舞台) -
清水の間に宿るのは、ススキ野にたたずむ狐忠信の姿。
歌舞伎の義経千本桜の一場面で、狐が化身した義経の家来の佐藤忠信の魂が白き狐の世界に彷徨っていた。
静御前を護る忠信の魂が百段階段というゲートに導かれ、ふすま絵に被さる月夜のススキ野に歩いてきたのかもしれない。 -
こちらには小鬼達や、物の怪達の姿もちらほら。
なんだか式神も混じっていそうだ。 -
こんなにカワイイ魑魅魍魎からなる百鬼夜行ならば、ちょっと期待しちゃうかも。
(高橋紘子 陶芸) -
もし、この妖の世界で本物の百鬼夜行に出逢ってしまったら、私達は喰われるしかないのか。
運悪く百鬼夜行と行き会ってしまったら、よほどの霊力が無いと禍は避けられないかもしれないが、百鬼夜行を避けるまじないの言葉もある。
その呪文が「カタシハヤ、エカセニクリニ、タメルサケ、テエヒ、アシエヒ、ワレシコニケリ」。
意味の無い言葉の羅列に見えるが、言葉遊びではなく、平安貴族達が禍避けとして夜のとばりが降りてくると口にした呪(しゅ)で、その呪が灯となり、床上に浮かび上がり摩尼車のようにクルクルと回る。
そして、この呪はこの妖の百鬼夜行の世界へと迷い込んだヒトが、現世(うつしよ)へと戻るための魔法のことば。
言葉として唱えなくとも網膜に映像として取り込まれた瞬間に、その呪は発動する。 -
天井に描かれた四季を表す扇が回転を始め、小部屋が扇の揚力で舞い上がる。
(百段階段 清方の間) -
妖しく光る硝子の水盤には水が滴り、部屋がゆらりと揺れると水が輝き、聞こえるはずのない雨だれの音が、頭の中にこだまする。
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現世(うつしよ)への戻道で、遙か下に見える空間をほのかに照らすのは、影絵遊びのような行灯たち。
行灯の中で蠢くのは小さな百鬼夜行の物の怪たち。
金魚が尾鰭を優雅にくねらせ、床に映る影がサワサワとざわめく。
(倉敷光製作所) -
冥界から現世(うつしよ)への帰還は、星のように降り注ぐカラフルな金平糖のワープゲートをくぐって。
ほら、金平糖が奏でる軽やかな音、聞こえるでしょ。
(大島エレク総業) -
私が覚えている幽世(かくりよ)の最期の記憶は、出口までの水先案内をしてくれたのが百段階段にいた黒猫だったってこと。
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ふと気がついたら、私達がいたのは、螺鈿細工が施された四角い箱の中。
箱が開くと同時にどろりとした真夏の暑い空気がなだれこみ、百鬼夜行の呪は暑さの中に跡形もなく溶けていき、蝉時雨だけが聞こえていた。 -
雅叙園で開催中の“和のあかり×百段階段2023 -極彩色の百鬼夜行- “へと行ってきました。
東京都指定有形文化財の“百段階段”は、先には続く建物のない百段階段であり、途中で階段が途切れる百段階段でもあり、それはまるでヒトを迷わせ心を狂わす、この世の世界ではないどこか異なる世界へと繋がるゲート的な転送装置の様にも感じられました。
この旅行記は、和のあかりとして展示されていた百段階段の百鬼夜行の姿を、姿無き過去の声に耳を傾け、身勝手な解釈をつけて百段怪談奇譚として綴ったものです。
私の解釈は、あくまでも1つのイメージで、同じモノを見ても感じ方は人それぞれ。
旅行記で紹介できていない和あかりの展示も多くあるので、幽世(かくりよ)の百鬼夜行が跋扈する百段怪談に興味のある方は、是非、自分の足で夏のAnother Worldへの一歩を踏み入れてください。
その時には、帰還のための呪をお忘れなく。
忘れたら、あの世界から帰って来られなくなるかもしれません。ホテル雅叙園東京 宿・ホテル
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旅行記の最後に近くのランチ情報を。
この日は雅叙園に行く前に、友人と2人で遅めのランチを白金の”マーヴェラス パラディ白金”でいただきました。
マーヴェラス パラディ白金は昭和レトロ感漂うレストランで、肉も魚もつくガーベラコース(フルコースランチ)がおすすめで、予約サイトからだと少しお得になります。レストランマーヴェラス パラディ白金 グルメ・レストラン
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デザートのケーキは事前リクエストでホールケーキにすることが可能で、メッセージも入れて貰えます。
私から友人へのメッセージは、Enjoy Wonderful Life
人生の課程ではいろいろありますが、何事も愉しんで過ごす方が心豊かに過ごせますよね。
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