2020/09/26 - 2020/09/26
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この旅行記のスケジュール
2020/09/26
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徒歩での移動
日本橋駅からアートアクアリウム美術館までは徒歩5分。
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時間予約制チケットなので、予約時間までは会場近くのドトールで一休み
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この旅行記スケジュールを元に
その昔、“白日夢”という名の戯曲があることを知った。
原作は谷崎潤一郎。
耽美主義とも称された彼の作品は、
学生であったうら若き乙女には刺激が強すぎ、
初演以降に何度かリメイクされ映画化もされた作品ではあったが、
結局、谷崎の作品は文字では読んでもその映像を見ることはなかった。
昨年の晩夏、ふと、この“白日夢”を思い起こす経験をした。
場所は、Tokyo。
官能とエロスと非現実が交差する谷崎の世界観。
もしかすると、ソレは金魚の演舞とも同調するのかもしれない。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.0
- グルメ
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
PR
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数年前、日本橋で出会った金魚の舞踏会。
仄暗い空間の中に舞う、優雅な金魚の姿に魅了された。
それから時を経た2020年。
日本橋の一角に常設のアートアクアリウムがまもなくオープンするという話を聞いた。 -
オープン予定は晩夏。
新型コロナが少し落ち着いているとは言え、人が集まるエキシュビション。
行っても良いのか、行かざるべきか悩んで、
しっかり防御対策さえ施せば、感染リスクは高くはない・・・との判断のもと、
オープンして間もないArt Aquariumを訪れた。 -
場所は日本橋の外れ。
外れとはいうものの最寄り駅は三越前で、駅の出口からは5分と歩かず到着するので、都心の一等地と言っても過言ではない立地だ。
その立地故に入場券はちょっとお高く、オトナは2300円で時間予約制の前売りタイプ。
コロナ禍と言うこともあり、入場数をある程度絞っているので、館内は密の状態とは疎遠だった。アートアクアリウム ミュージアム 美術館・博物館
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アートアクアリウム美術館で何が凄いって、それは金魚の見せ方。
見せ方は、“魅せ方”・・・と言っても過言ではないだろう。
金魚のプロ達がどの様に演出したら、彼女たちがより美しく、可憐に見えるかを計算しつくし、様々な芸術作品とコラボしながら、私達にその姿を見せてくれる。 -
しかし、8月下旬の
オープンしたての頃のアートアクアリウムの評判は、ソレは散々だった。
弱った金魚を引き上げずにそのまま展示している、
病気の金魚が発生している、
照明が過度に強すぎる、
金魚へのストレスを考慮していない・・・・
挙げられた批判は、真実でないモノ、本当にその通りであるモノ、他人の批判をそのまま自分がさも見てきたかのように書いてあるモノと様々あるようで、数多くの批判を目にした私には、どれが本当のことを書いてあるのか、見当も付かなかった。 -
だったら、自分の目で実際に確認してくれば良いのではない?
数年前の季節展示で惹かれた金魚の姿。
あの時に魅了された金魚に再び会えるならば、行ってみる価値はあるのでは?
例え、ソレが前評判の批評の通りで、見学した後に幻滅する可能性があるとしても、他人の評価だけで決めつけるのは、私には無理。
興味があるのならば、自分自身の目でしっかりと見なくては何も言えないよね! -
そんなこんなで、心の中に葛藤を抱きながらも訪れたアートアクアリウム。
そのエントランスで私達を出迎えてくれたのは、禅アクアリウム。
額縁の中で金魚が泳ぎ、絵を描いていた。 -
壁に掛かる掛け軸の中では、水墨画のように金魚のシルエットが舞っていた。
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時折、映像で映し出される墨の流れる様子が、まるで金魚が水墨画を描いているみたいだ。
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更にその奥にあるのは、金魚からインスピレーションを得たベネチアングラスと金魚の共演。
2012年にイタリアのベネチアングラスの最高峰の工房にてその命を得たグラスとのことで、確かに、ベネチアングラスのうねる曲線と金魚のヒラヒラと揺れる尾鰭は、どことなくその雰囲気が似ている気はする。 -
ベネチアングラスの先にある水槽は万華鏡水槽。
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そこに見えるのは、不思議な世界。
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水槽にトライアングル覗き窓がつけられいて、その三角窓を覗き込むと、
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窓の前を横切る金魚の姿が、クルクル回した万華鏡の様に変わっていく。
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水槽のライトの色は時間と共に変化し、2度と同じ景色が目の前に現れることはない。
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万華鏡をモチーフとした水槽は他にもあり、こちらは立体タイプの万華鏡のカレイドリウム3D。
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六面体の水槽の側面に様々なタイプのレンズが埋め込まれている。
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レンズの種類には色々あり、三角レンズは万華鏡タイプ。
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キューブ型レンズは映像散乱型。
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同じような水槽にリフレクトリウムがあるが、リフレクトウム水槽は凹凸レンズ。
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レンズの無い側面から水槽を覗けば、ただの金魚の水槽だが、
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ひとたびレンズの前に立つと、景色が一変。
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金魚の動きは予測が出来なく、突然こちらに向かい巨大化する金魚に、宇宙空間を飛ぶ魚をイメージしたりもした。
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水槽にレンズを埋め込んだだけのしかけだが、カレイドリウムとリフレクトリウムの水槽はシンプル故に見ていて楽しかった。
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この水槽もシンプル設計なのだが、ライティングが青に統一され、深い海底からお日様が照らす海面を見上げたイメージ。
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作品名をメモするのを忘れてしまったが、シンプル故に印象に強く残った。
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水槽に後方の展示物のライティングが映りこんでいる姿も美しい。
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花魁道中と呼ばれるこちらの水槽は、その名の通り、花街の花魁をイメージした作品。
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巨大な金魚鉢の中で泳ぐ金魚は、まさに谷崎の白日夢の世界
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紅の金魚が揺れ動く姿は、谷崎の綴る“白日夢“に出てくる”令嬢“そのもの。
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作品の中で描かれる令嬢の姿と、水槽の中を泳ぐ金魚の姿が、エロスという単語を介し、私の中でオーバーラップして見えた。
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水槽のライティングは赤、黄色、紫と変化していき、金魚のシルエットもその色に染まる。
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水族館でもありそうな円盤型の水槽で泳ぐのは、金魚コレクションの子供たち。
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ちょっと珍しい種類の金魚たちが、水の中を舞っていた。
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金魚コレクションの水槽は一見シンプルで芸が無いようにも見えるが、本来のその姿を美しく見せるのは加工のない状態。
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その昔、金魚は泳ぐ宝石と呼ばれたこともあったそうだそうだが、その表現にも納得のいく美しさを演出できる水槽だった。
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地球をかたどったアースアクアリウムと呼ばれる巨大な球水槽の中で泳ぐのは鯉。
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鯉は池に居るもの…との思い込みがあり、自分の頭よりも高い位置を泳ぐ鯉の姿は何だか不思議。
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鯉が泳ぐ水槽には大きなシャーレ型のものもあり、こちらはさらに大きな錦鯉がいるフローティングリウム。
大きな錦鯉に対して水槽が小さいのが、ちょっと気になった部分だ。 -
金魚が居るのは床面や空中だけではなく、天井の空間にも。
コチラは天井金魚というタイトルだった。 -
そして、今回のエキシビションで本邦初公開であり、主催者が一押しで紹介したかったのが、“金魚の杜”と云われる大小様々の円柱水槽がホールの中に乱立する展示。
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1つ1つの水槽が音楽に合わせて色をカラフルに変えていく美しい演出を売りにしている。
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円柱の水は円柱上部からあふれ出て、その表面に流れを作り出す。
その様子は川の流れの中に居る金魚の様で風情があるとは思ったのだが… -
照明の色の変化のスピードが激しい上に、どの水槽にも金魚をたくさん詰め込み過ぎ!
専門家でないのではっきりしたことは分からないが、私が金魚だったら、細い円柱の中に多くの仲間と閉じ込められ、気の休まる暇もないほどのスピードで照明の光度や色をチェンジされたら、凄いストレスを感じるだろう。 -
もしかして金魚の目の可視範囲が人間の波長域とは異なり、金魚の脳ではこのくらいのライトの変化ならば色が変わったとして認識をしないならば、話は違うとは思うけどね。
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色々な趣向を凝らした展示方法で金魚を魅せるエキシュビション。
どれも悪くは無いと思うが、金魚品評と名付けられたシンプルな展示が私は好き。 -
水面の上から、脇から、水の中を泳ぐその姿をゆっくりと安心して眺められる。
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金魚品評の美しい部分は、その影までに本体の色が写りこむ美しさ。
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影を眺め、その金魚の姿を連想する楽しさもあった。
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訪れた私自身も、微妙な部分があると感じた今回のエキシュビション。
確かに映えを狙う演出には行き過ぎの部分もあるかもしれない。
しかし、お金を払って見学に来る人にもモラルが必要だろう。
”金魚品評”の水槽に指を突っ込み、金魚をつつくヒト、
”金魚の杜”の流れ落ちる水(水槽に循環している)を触り、「ほんとに水が流れているね」と同行者に話しかけるヒト、
展示水槽を叩くこども(たまに大人)の姿もあった。
これって、どう見ても常識の範囲を超えている気がする。
金魚は展示物だから何をしてもいいわけではない。
映える写真が撮れるからって、何をしても良いわけではない。
主催する側も、見に行く側も、金魚が生き物だってことを忘れてはいけない・・・と思う。 -
そんな感想を持ったArt Aquarium。
やっぱり自分の足で行って良かった。
で、次に行きたいと思うことがあるかって?
そうだね。もう少し展示環境が金魚寄りの雰囲気になったら、また行ってみたいかな。
主催者だって、最初の半年は試行錯誤の真っ最中の筈。
利益も上げなければならないし、金魚の命だって大切にしなければならないし、何よりも来てくれるお客さんから「金魚の良さを生かした素敵な展示だった」との声掛けをいただけるのを一番に思っているはず。
そうなったら、また行きたいかな。 -
アートアクアリウム旅行記の最期はこのあたりでのランチの紹介で、今回は創業20年以上のインド・カレーのフジヤさん。
アートアクアリウムからの距離は徒歩5分と近く、そのランチセット(平日限定)は銀座とは思えない激安でカレー+ライス+サラダで750-850円。
個人的なお勧めはチキンカレー750円で、甘く煮込まれた玉ねぎがベースとなったカレーは美味しい。
ただし、インドカレーとはいうものの、本物のインドカレーとはちょっと味の雰囲気は異なるかな。
まぁ、インドカレーと言っても北と南でその味付けもスパイスの配合も異なるから、もしかしたらフジヤさん風のインドカレーもどこかに存在するのかもしれない。インドカレー フジヤ グルメ・レストラン
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