重伝建巡り「柳井市古市金屋」（商家町　山口県）

2022/12/04 - 2022/12/04

　帰省を利用した重伝建巡り、今回は山口県柳井市に立ち寄った。学生時代以来５０年ぶりに乗った山陽本線は、今ではすっかりローカル線になっていた。
　柳井の重伝建地区は石畳の街路の両側に虫篭窓を持つ白壁造りの商家がずらりと並び、軒先には特産の「金魚ちょうちん」がぶら下がっていた。毎年８月にはこれらのちょうちんに明かりが灯り、通りは幻想的な雰囲気になるという。

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　重伝建登録地区名：柳井市古市金屋
　分類：商家町
　柳井津は瀬戸内海の舟運を利した市場町として、柳井川と姫田川の間に自然発生的に形成され、中世・近世を通じて、海運を背景に商業都市として繁栄した。保存地区は、柳井津でも最も古くに開かれた部分で、中世商業都市の地割を伝えるだけでなく、明和５年（１７６８）の大火後の近世後半に建築された本瓦葺で白い大壁造の町家が建ち並び、保存状況も良好である。
　～全国伝統的建造物群保存地区協議会発行「歴史の街並み」より

エリア 柳井・上関(山口)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: JRローカル 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

　帰省を利用した重伝建巡り。今回は山口県柳井市に立ち寄る。

広島駅 (JR) 駅

　広島駅で新幹線を下り、山陽本線に乗換。

広島駅 (JR) 駅

　９月に行った宮島が見えます。

　岩国駅で黄色の山陽本線に乗り換え。

岩国駅 駅

　薄汚れた窓ガラス越しに撮ったらこの始末。学生時代に周遊券を使って乗って以来の山陽本線は、今ではすっかりローカル線。

　１２：３２　柳井駅に到着。

柳井駅 駅

　駅から重伝建地区へ向かう通りは「麗都路（レトロ）通り」。

麗都路通り 名所・史跡

　各所にパネルで昔の柳井が紹介されています。

　柳井川の対岸に見えるのが重伝建地区。

　重伝建地区の案内板

　橋を渡ると直ぐに重厚な洋風建築。周防銀行本店として明治４０年（1907年）に建築され、国の登録有形文化財に指定されています。

柳井市町並み資料館 美術館・博物館

　現在は柳井市町並み資料館。

　観光案内所も兼ねています。

　街歩きマップをゲット。

　２階は松島詩子記念館。一寸覗いてみます。

松島詩子記念館 名所・史跡

　彼女が愛用したピアノや蓄音機。

　家具調度。

　松島詩子（本名内海シマ）は明治３８年に柳井市に生まれ、大正１２年に地元の高等女学校卒業。県内の小学校教員となり、後に文部省中等教員検定試験（音楽科）に合格しました。
　～松島詩子記念館ＨＰより

　昭和６年、音楽勉強のため上京。作曲家佐々木すぐる氏の勧めにより流行歌手になることを決心。 翌年、「柳井はるみ」の芸名で歌手デビューしました。
　～松島詩子記念館ＨＰより

　昭和１０年にキングレコード専属歌手となってからも流行歌にとどまらず、舞台でオペレッタやポピュラーソングも披露しました。
　～松島詩子記念館ＨＰより

　代表曲は昭和１２年の「マロニエの木陰」。

　舞台衣装やヒットレコードの数々。

　紅白歌合戦には昭和２６年の第１回から連続１１回出場。

　少し時間を取りましたが、これから重伝建地区の「白壁の町並み」を歩きます。

柳井白壁の町並み 名所・史跡

　石畳の街路に面した両側に、江戸時代の商家の家並みが続いています。

　商家の２階はいずれも虫篭窓を持つ白壁造り。

　２階部分は天井が低い造りが多い中で、柳井の商家は２階部分も高くてゆとりがありそう。

　それにしてもぶら下がった金魚が気になる。

　これは「金魚ちょうちん」と呼ばれる柳井の民芸品。青森の「ねぶた」をヒントに、竹ひごと和紙に「柳井縞」の染料を用いて作られてます。

　毎年８月には「柳井金魚ちょうちん祭り」が行われます。約２５００個の金魚ちょうちんから洩れるほのかな灯りが、通りは幻想的な世界になります。

柳井金魚ちょうちん祭り 祭り・イベント

　重要文化財「国森家住宅」

国森家住宅 名所・史跡

　１８世紀に建てられた豪商の住宅。コロナで内部見学は出来ません。

　藩政時代には岩国藩のお納戸と呼ばれ、産物を満載した大八車が往来してにぎわった町筋です。
　～柳井市観光協会ＨＰより

　四つ辻に建つ洒落た理容院

　来た道を振り返る。

　佐川醤油店。柳井特産の「甘露醤油」の店。別の場所に博物館があるので訪れます。

　洋風にアレンジされた白壁も。

　重枝醤油店の店先

重枝醤油店甘露醤油 専門店

　和洋の対比

　水平線を強調

　２００ｍほどで重伝建の外れ。この先は新しい民家が増えます。

　一旦通りから外れて柳井川に架かる宝来橋へ。現在は仮橋ですが江戸時代はここで舟から商品の積み下ろしが行われました。

　橋の袂に建つ愛宕地蔵尊。防火の守護神として宝暦年間に建てられましたが、皮肉にもその直後の明和の大火で町は大きな被害を受けました。

　来た道を戻りながら、まだ見ていない場所を訪ねます。

　河村信男工房。金魚ちょうちん作りの体験が出来るそうです。

　しらかべ学遊館。柳井の伝統・文化を楽しめる施設。

しらかべ学遊館 美術館・博物館

　昔の民具や懐かしい生活用具などを多数展示しています。

　しらかべ学遊館

　しらかべ学遊館

　しらかべ学遊館

　しらかべ学遊館

　しらかべ学遊館

　しらかべ学遊館

　こういう建物にはついカメラを向ける。

　歴史ありそうな路地。

　掛屋小路。
　道筋に掛屋という屋号の金融業者の商家があったことから呼ばれたそうです。

　この小路は柳井川から荷揚げした商品を運んだ道で、古い町割りの排水溝が残っています。

　通りに戻って、

　四つ辻を曲がった先も古い商家が並んでいます。

　金魚の排水蓋

　その先に佐川醤油店本社

　横の醸造蔵の一部が甘露醤油資料館として公開されています。
　同じような醤油蔵を和歌山県の湯浅で見学したことがあります。
　　https://4travel.jp/travelogue/11766587

甘露醤油資料館(佐川醤油店) 美術館・博物館

　入場無料で見学自由。

　江戸時代に時の藩主に献上したところ、「甘露甘露」と賞賛されたことが名前の由来とか。　

　当時使われていた道具類

　吉野杉を使った木桶は明治４年製。一つの木桶で出来る醤油は３０石（一升瓶で３０００本分）。

　ずらりと並んだ木桶。ここで４年間熟成させます。

　上から見るここんな感じ。

甘露醤油資料館(佐川醤油店) 美術館・博物館

　甘露醤油は鉄道唱歌にも歌われています。

　この建物は江戸時代中期に酒蔵として建てられたもので、明治元年からは醤油蔵として使われています。

　甘露醤油資料館の横は「やない西蔵」。大正末期に建築された醤油蔵。

やない西蔵 名所・史跡

　現在は地元工芸品のギャラリー兼体験工房になっています。

　鉄道唱歌にも歌われた柳井縞に、

　金魚ちょうちん。

　次は町の東へ、

　立派な寺院は浄土真宗誓光寺

誓光寺 寺・神社・教会

　柳井山湘江庵。

　境内にある柳と井戸。

柳と井戸 名所・史跡

　これが柳井の地名の由来になったそうです。

　井戸の水を飲むと美人になるとか…。

　更に細い道を奥に行くと

　国木田独歩の旧宅

国木田独歩旧宅 美術館・博物館

　明治の文豪・国木田独歩は青春時代の数年間を柳井で過ごしています。

　この頃の体験をもとにした作品は「少年の悲哀」、「置土産」等。

　最後に金屋通りに面した商家博物館「むろやの園」へ。西日本でも有数の油商であった小田家の屋敷で建物は元禄１４年。

商家博物館むろやの園 美術館・博物館

　見世（店）。

　主屋の座敷

　南北に１１９mの奥行きがあり、屋敷面積は約８００坪と国内に現存する町家の中でも最大級のものといわれています。

　奥に進むと、

　小田家で使われていた生活道具類

　蔵を利用した展示室には、

　吉川公から拝領した武具。

　油の他に薬種も商っていたようです。

　油絞め具

　油搾りの様子

　最盛期には５０～１２５石船を５０艘もかかえ、西日本の広い範囲で商いをしました。

　庭から見た主屋と蔵。これで重伝建地区の見学を終了。

　麗都路通りを駅に向かう途中で、レトロなポストを発見。

麗都路通り 名所・史跡

　その近くにオルゴールの館「グリム」

オルゴールの館グリム 名所・史跡

　麗都路通りに１５分毎に美しい音色を響かせるそうです。

　１４：２８　柳井駅を出発。

柳井駅 駅

　１５：０５　徳山駅で新幹線に乗り換え博多へ。

徳山駅 駅