2018/09/27 - 2018/10/01
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ブリューゲル(父)の油彩作品はニューヨークには2枚あります。
メトロポリタン美術館とフリックコレクションにそれぞれ一枚あります。
メトロポリタン美術館には現職の頃を含めて何回来たでしょうか?
初めて来た頃は入場料は無くて好きな金額の寄付でした。
入場証がメトロポリタンのロゴが印刷された金属バッチの時代もありました。
絵画、彫刻、家具、ジュエリー、等々の多岐に亘る分野とそれぞれの膨大な収蔵数に驚き、それを支えているアメリカという国の途方もない財力を感じました。
300万点以上と言われるメトロポリタン美術館が収蔵する膨大な美術品の展示を見てまわる事は相当の体力と気力が必要です。
メトロポリタンに展示されている、ブリューゲル (父)の作品「穀物の収穫」の前で(置いてあるソファに座って)ぼーっとこの作品だけを見るようになったのはつい最近の事です。
この作品「穀物の収穫」はベルギーのアントワープの新興の大実業家であるニコラスヨンゲリンク(1517~1570)がブリューゲル (父)(1525~1569)に注文して描かせた作品です。
一年を6枚の画面に構成した月齢画(一年の農村の季節を6枚の絵にまとめたシリーズ作品)です。
英語ではシンプルにThe Seasonsと呼ばれています。残念なことに、17世紀に一枚が失われています。その主題は春でした。
現存する5枚の月齢画のうちの一枚がニューヨークにあるのです。
もう一枚のブリューゲルがあるのはフリックコレクションです。
今回のニューヨーク3泊5日の旅行のメインの目的はフリックコレクションにある「3人の兵隊」というブリューゲル(父)の作品を見るというか確認するためでした。
確認という言葉を使っているのは気がついたらいつのまにかニューヨークのフリックコレクションにブリューゲルの作品が収蔵されているようになったからです。
「3人の兵隊」は(ブリューゲル(父))が亡くなる前年1568年の作品とされています。
フリックコレクションには少なくとも3回以上は来ています。
ここにはフェルメールが3枚あるのは有名です。
でも、ブリューゲルについては今まで聞いた事はありません。
どんな経緯で「3人の兵隊」という作品が突然出てきたのでしょうか?
フリックコレクションのミュージアムショップで買った解説本にも一般的なブリューゲルの美術書にも「3人の兵隊」について、あるいはフリックコレクションと「3人の兵隊」についての記述を見た事はありません。
まさしく、突然出現したのです。(僕だけの感想かも知れませんが)
「世界的な美術史上の大発見」ということで大騒ぎになった「聖マルタン祭のワイン」は、2010年に行われた修復作業のX線撮影により突如ブリューゲルの真筆として確認されています。
「聖マルタン祭のワイン」は所有者の希望でマドリードのプラド美術館に市場価格の30パーセントの価格相当である8億円で購入されました。
所有者の納屋に放置されていた為に痛みが激しく専門家の手で修復されましたが残念な状態です。
プラド美術館の常設展示作品として展示されていますのでプラド美術館に行かれたらご自分の目で鑑賞して見て下さい。
「聖マルタン祭のワイン」は「世界的大発見」という事で世界各地の新聞で大々的に一般紙にも報道されました。
「3人の兵隊」について、そんな記事も見た記憶はありません。
この作品「3人の兵隊」はグリサイユという画法で描かれています。
ブリューゲル (父)はこのグリサイユ手法で2枚の小品を残しています。
英国のロンドン近郊のアプトンハウスにある「聖母の死」とロンドン市内のコートールドギャラリーにある「キリストと姦通女」です。
グリサイユという技法はブリューゲル(父)が好んで用いた技法の一つです。
2018年はブリューゲルにとって特別の年です。
ブリューゲルが亡くなってから450年になる年です。
ウィーンの美術史美術館では没後450年展が行われます。
この展示のために各地の美術館のブリューゲル 作品が集められているようです。
「3人の兵隊」も「穀物の収穫」もウィーンに行ってしまい、ニューヨークに行ってもお留守で見れない可能性があります。
「9月28日か29日にニューヨークに伺いますが作品は展示されていますか?」という問い合わせをフリックコレクションとメトロポリタン美術館の
ホームページ、
Facebook、
Instagram
にしました。
残念ですが、フリックコレクション、メトロポリタン美術館から返事は来ませんでした。
(このような問い合わせはSNSでやるのが一番早いレスポンスが期待できるようです)
ホームページに作品の展示中か否かを表示しているので返事を貰えなかったのかも知れません。
ーーーーーーーーーー
ご参考まで
フリックコレクションのホームページはかなり整備されていますのでお時間があったら閲覧してみて下さい。新しい美術館のあり方作品の見せ方を模索しているようです。
ホームページでは展示室を見てまわるバーチャルツアーも出来ます。(ここにはフェルメールが3枚ありますが一緒に並んでいません。バーチャルツアーでそれぞれの場所を行く前に確認しておくのも面白いと思います。)
作品の検索をすると音声解説(英語)も聴けます。
ーーーーーーーーーー
出発前の確認では
フリックコレクションのホームページの「3人の兵隊」のページには展示中と表示がされていました。
メトロポリタン美術館のホームページの「穀物の収穫」のページにも展示中と表示されていました。
という事でニューヨークに出発したのですが、、、、
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- タクシー 徒歩
- 航空会社
- ANA
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
ニューヨークのホテルの宿泊代はとても高いですね。
高くて良いのは当たり前ですが、高いのにお粗末なのは許せないです。
今回はMaxwell New York Cityというホテルです。
レキシントンアヴェニューと49ストリートの角にあります。
9月27日
成田16:40発NH010便JFK着16:30着です。
空港の入国審査は遅れた便が集中到着したとの事で長蛇の列でした。
空港からホテルまでは29kmです
タクシーで30分でした。
チップ入れて75ドルでした。
フラットレートで空港から市内ホテル迄は均一で65ドルと言っていましたが、チップをよこせ、荷物が多いので追加料金よこせとかの煩わしい交渉をしました。
雨の中に到着したホテルの前での支払いは、カード払いは慣れていないのか、もたついて後ろの車からクラクションを鳴らされました。
Uberだと現金ではなくカードですからそこの面倒が何もなくて気持ちいいです。ザ マックスウェル ニューヨーク シティ ホテル
-
Wホテルの系列から離れてMaxwell New York City に名前が変わりました。
入り口周りも改修していました。
背伸びしてWホテルグループに残るより良かったと思います。 -
写真はホテルのフロントです。
口コミには辛口のコメントが多いホテルなので少し心配していました。
ひとり旅で3泊でしたが満足出来るホテルでした。
JFK空港からはUber の乗り場を事前に調べてなかったので迷いました。タクシーで来ました。フラットレートですがチップ入れて75ドルを超えました。
キングサイズベッド、クローゼット、アイロン台とアイロン、風呂は別部屋で
シャワーとバスタブ、ヘアドライヤー、アメニティ、金庫、冷蔵庫と一応のものが揃っています。
ニューヨークのホテルは高くてサービス悪いので覚悟して来ましたが、及第点以上の満足です
。メインの観光スポットは徒歩で行けます。
Wi-Fiは無料で部屋でも軽快に繋がりました。 -
フロント前のバーです。
Wホテルのころはこのようなゴージャスな演出が必要とされたのでしょう。 -
部屋です。
大きなキングサイズベッドでした。 -
浴室は別部屋でバスタブとシャワーがありました。
-
今回はニューヨーク3泊の旅行ですが、長旅でホテルが変わる場合はルームキーのホールダーの部屋番号の写真を取っておきます。
ホールダーは破って捨ててしまいます。 -
9月28日
朝起きると雨が残っていました。
スマホのマップで近場の情報を検索しました。
以前に行ったベーグル屋さん「Ess-A-Bage」が出て来たので買いに行きました。
このくらいの雨なら傘はいらないですね。 -
横断歩道を渡るとベーグル屋さん「Ess-A-Bage」です。
-
ベーグル屋さん「Ess-A-Bagel」まで歩いて行きました。
スマホのナビゲーションの利用です。
ニューヨーク市内では超高層ビルのせいか自分の位置の確認が少し不安定です。
店内に入ると6年前と同じで朝から行列が出来ていました。
味も前と変わらず美味しかったです。
歯が悪くなってベーグルのクリスピーさが楽しめなくなったのは悲しいです。
店員さんオススメのサーモンをテイクアウェイしました。(テイクアウトは和製英語です)
15.15ドルでした。エッサベーグル パン屋
-
朝からこの行列が出来るのは凄いと思います。
6年前にはカウンターショーケースの奥から片言の日本語を威勢よく話していました。
行列の前に居た地元のサラリーマン風の男性にオススメを質問しました。要領を得ないので店員さんのオススメのサーモンにしました。 -
甘いものもあります。
-
キャッシャーです。
カード払いが主流です。 -
店員さんオススメのサーモンです。
15.15ドルでした -
ベーグルの朝食を済ませて出発です。
まず最初にフリックコレクションへ行きます。
セントラルパークの東で直ぐに分かるところです。
JFK空港でプリペイドSIMを買いましたので使って見ました。
Maxwell New York City ホテルから2.2km30分です。
朝の散歩には丁度良い距離です。 -
フリックコレクションのホームページを検索してブリューゲルの作品ページを確認しました。
この段階で作品が展示されていない事が分かりました。
一番下の左にNot on View(見れません)の表示が出ています。
日本にいる時の確認では展示中の表示でした。 -
フリックコレクションの入り口です。
5thアヴェニュー(セントラルパークの東側を南北に走る道)と70ストリートの角にあります。
メトロポリタン美術館は81ストリートです。
ピッツバーグで財を成したフリック家の自宅です。このエリアはニューヨークの超高級住宅街です。フリック コレクション 博物館・美術館・ギャラリー
-
入場料はシニア(65歳以上)で17ドルでした。
一般は22ドル、学生12ドルです。
ニューヨークにあるカーネギーホールはピッツバーグの鉄鋼王のアンドリューカーネギーが作っています。
彼は引退後に大学や多くの図書館を創設しています。
そのカーネギー鉄鋼会社にコークスを供給していたのがヘンリーフリックです。
カーネギーの知遇を得たフリックは30歳で巨万の富を得ます。
そのヘンリーフリックが収集した美術品を展示しているのがこの「フリックコレクション」なのです。 -
ニューヨークのセントラルパークの東、メトロポリタン美術館の南(East 70th Street)です。
ここには当時、フリック一家が住んでいました。
フェルメールが3枚もあるのでフェルメールファンには人気の美術館です。
ブリューゲル があるとは知りませんでした。
ブリューゲル (父)の「3人の兵隊」がないのはこの段階で分かりました。
チケットを買った後、カウンターの左側でマックコンピュータのキーボードを叩いている女性にウィーンの美術史美術館に貸し出しになっている事を確認しました。
ウィーンでも見れないと最悪ですので。 -
フリックコレクションにブリューゲルの「3人の兵士」があると聞きやって来ました。
今回は、残念ながら作品はウィーンの美術史美術館で開催される「ブリューゲル没後450年展」に貸し出されていて「お留守」でした。
展示室での撮影は禁止されています。
噴水のあるガーデンコートだけ撮影が許されています。
有り余る財力で収集した作品たちはレベルの高いものでした。
ニューヨークにいらしたらフリックコレクションを訪問する候補に入れておく事をオススメします。 -
無料のガイドツアーが頻繁に行われています。
ガイドの解説を一方的に聞くだけではなくて参加者も質問します。
質問に対してなるほどと思わせる返事を臨機応変にするガイドさんに豊富な経験と知識を感じました。 -
フリックコレクションのミュージアムショップです。
断捨離の時代に入ってますので何も買っていません見るだけでした。 -
ミュージアムショップとしては美しい品揃えふぁと思います。
-
入り口で貰えるリフレットの地図です。
展示エリアは1階だけです。
ピッツバーグのコークス王ヘンリーフリックの私邸でした。アメリカンドリームを体現したフリックの有り余る財力を偲ばせる建物です。
上の階に家族が住んでいるのか聞いてみたのですが展示はないという返事でした。
噴水のあるガーデンコートを囲んで展示室があります。
展示室での撮影は禁止です。 -
同じくリフレットのフリックコレクションの紹介文です。
英語だけでなくて日本語の記載もあります。
冒頭部分を引用します。
フリックコレクションが展示されているのは、トーマスヘイスティング設計、1913~1914年築のヘンリークレイフリック(1849~1919)元邸宅です。1931年にフリック夫人が亡くなった後、建築家のジョンラッセルホープにより増改築され1935年から一般公開されています。
後略
ーーーーーーーーーー
ニューヨークにあるカーネギーホールはピッツバーグの鉄鋼王のアンドリューカーネギーが作っています。彼は引退後に大学や多くの図書館を創設しています。
そのカーネギー鉄鋼会社にコークスを供給していたのがヘンリーフリックです。
カーネギーの知遇を得たフリックは30歳で巨万の富を得ます。そのヘンリーフリックが収集した美術品を展示しているのが「フリックコレクション」です。
ニューヨークのセントラルパークの東、メトロポリタン美術館の南(East 70th Street)
ここには当時、フリック一家が住んでいました。
フェルメールが3枚もあるのでフェルメールファンには人気の美術館です。 -
コークス王のヘンリーフリックはこの邸宅を1914年に建てています。
フリックは建設当初から誰もが利用できる美術館に転用出来るように構想していたといいます。
写真は入り口を入った所です。
突き当たりがチケット売り場とクロークです。
展示室での撮影は禁止されています。
噴水のあるガーデンコートだけ撮影が許されています。
そんなわけで、作品の画像はありません。
有り余る財力で収集した作品たちはレベルの高いものでした。
ニューヨークに行かれたらフリックコレクションは行かれて下さい。
訪問前にホームページで下調べするのは有意義な鑑賞のための方法だと思います。 -
フリックコレクションを出てメトロポリタン美術館に向かいます。
何でもない風景写真ですがニューヨークのセントラルパーク近辺のイメージをあらわしていると思います。セントラルパーク 散歩・街歩き
-
メトロポリタン美術館の本館に到着しました。
メトロポリタン美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
メトロポリタン美術館の前はいつも賑やかです。
-
入ってすぐあるのはインフォメーションセンターです。
-
写真はメトロポリタン美術館のホームページの画像です。
642室に展示されていると表示されています。
アンダーラインの部分をクリックすると美術館の平面図が表示され642室の場所を教えてくれます。
フリックコレクションの場合も出発前まで展示中と表示されていました。
ブリューゲル(父)が1565年に描いた6枚の月齢画
一枚は17世紀頃に失われて現存するのは5枚です。
3枚はブリューゲル没後450年展が行われるウィーンの美術史美術館にあり、1枚はプラハのロブコビッツ宮殿、もう1枚はこのニューヨークのメトロポリタン美術館にあるのです。
没後450年展にはこの5枚が集合するのがふさわしいと普通だったら思うでしょう。
9月28日にニューヨークで展示されているということはウィーンには行かないということです。没後450年展は10月2日からです。 -
642室を示す矢印です。
-
642室に展示されているブリューゲル(父)の作品
「穀物の収穫」1565年 板に油彩 118x161cm
は9月28日にはニューヨークにいたのです。
ということはウィーンの美術史美術館のブリューゲル没後450年展ではプラハのロブコビッツ宮殿からの作品が1枚来たとしても月齢画は4枚だけで展示されるのでしょうか?
ウィーンの没後450年の特別展は10月2日からです。
ブリューゲルファンの僕としては5枚を並べて展示させて貰いたいと思いました。
失われた1枚の春についても復元画像ができたら嬉しいところです。
展示空間もアントワープの近郊にあったというニコラスヨンゲリンクの別荘の内装が再現されてそこに展示されたら没後450年にふさわしい趣向になると思うのですが。 -
この6枚組みの月齢画はブリューゲル40歳の時の作品です。
当時のヨーロッパで最大の商業都市はアントワープでした。パリやロンドンが台頭してくるのはずっと後のことです。
アントワープの大実業家ニコラスヨンゲリング(1517~1570)からブリューゲル (父)(1525~1569)は注文を受けてこの絵を描いています。
ニコラスヨンゲリングはブリューゲルの才能を高く評価していました。アントワープの富裕層の文化サロンとして郊外の広大な土地を買い求めそこに別荘を作りました。
この文化サロンとしての別荘を飾るための作品をブリューゲルに依頼したのです。
ブリューゲルの代表作「バベルの塔」、「農民の結婚式」には隠された「何か」、寓意とか警句とか諺とかがあって鑑賞者を考えさせるところがあります。
この月齢画シリーズには隠された「何か」はほとんどないです。
素朴な農村の人々の生活が描かれています。
鑑賞者はひたすらブリューゲル(父)の絵のうまさをしみじみと堪能出来るのです。
ブリューゲルはニコラスヨンゲリングの文化サロン(別荘)に来るアントワープの文化人、知識人を思い浮かべて構想したのだと思います。
特にこのニューヨークの「穀物の収穫」とプラハのロブコビッツにある「干草の収穫」は、農民の生活の中でも収穫と収穫後の干草作りを主題にしており伸びやかな充実した農村風景を描いた作品です。 -
ブリューゲルの作品の細部を見ています。
麦藁に囲まれた間の道を出てくる農夫はこれから昼食を取るのでしょうか?
右手に弁当を入れた赤い籠を持っています。 -
画面の左上の水平線の部分です。
ブリューゲルらしい細密画が楽しめます。
右の奥には広場でゲートボール?のような遊びに夢中になっている子供たち?が描きこまれています。
ーーーーーーーー
聖書に記述されたストーリーを主題にした絵は教会や熱心な教徒から注文がありました。
王族や貴族たちからは戦功を挙げた勇ましい自画像やお見合い写真に使われる肖像画が注文されていました。
15世紀前半の変わった例では1年間の事象を1枚の絵に描きこんだり、12枚の絵に構成した作品がありました。
ブリューゲルに注文する時、ニコラスヨンゲリンクはアントワープの文化人の交流の場所に相応しい絵の主題として月齢画をリクエストしたのかも知れません。 -
丁度中央部の下の部分です。
農作業の後の食事の後の昼寝の農夫です。
農夫のズボンの前は「Codpieceコッドピース」と呼ばれる意匠です。今ではファスナーになっていますがこのコッドピースが当時の農民の風俗でした。
ブリューゲルはこのコッドピースを農民生活のリアリティ表現の小道具として頻繁に使っています。
左の麦畑の隙間から出てくる農夫は右手に赤カゴを持ち黒いカゴを持っています。これから食事休憩なのでしょう。 -
画面の右下の部分です。
ブリューゲルの表現の特徴の一つに
「~~しているところを描く」があります。
この絵でも農民たちは
食べている
飲んでいる
もぐもぐ
ごくごく
なのです。
食事シーンの絵で食べているのは見たことがありません。皿や食事がテーブルの上にあっても人物は食べていません。
ブリューゲルに言わせれば
もぐもぐ
ごくごく
させなければ農民生活のリアリティは描けないじゃないか!と言うところでしょうか。
右下に座ったグレーのシャツに白い短いズボンの農夫の前には当時の食器が置かれています。
木の大型スプーン、パン、その奥は何でしょうか?
ブリューゲルは綿密な農民生活の取材をベースに描いたのだと思います。 -
籠に入ったパンを切り分けています。
籠の中には黒い色のパン、白い色のパン、茶色のパンが描きわかれています。
当時は農民でもパンを食べていたようです。
木製のお椀に入れて食べているのはポタージュだと思います。 -
中央部分の最下部右寄りでは農夫が気持ち良さそうに熟睡しています。
-
脱穀の終わった藁を束ねる2人の農婦です。
-
作品の右端の部分です。
木が描かれその奥に2人の農婦が落穂でしょうか何かを拾っています。
その奥には使い終わったハシゴと大きな籠が置かれています。 -
中央部の少し左寄りの近景です。
束ねた藁束を担いで行く2人の農婦が描かれています。
その左側には2羽の鳥が飛んでいます。
鳥はブリューゲルが多用する遠近感と空気感を演出する時の小道具です。 -
作品の少し左寄りに描かれた遠景です。
池で水遊びをしています。
真ん中の子供は全裸で描かれています。
その奥には水の中で立ち泳ぎする子供が描かれています。 -
作品の中央部分に描かれた遠景です。
農家が描かれています。その手前にはゲートボールのような球遊びを楽しんでいる農民たちが描かれています。
親子で参加している家族もいます。
人物の様子はゴルフのスイングの様にクラブを振り上げています。 -
作品のほぼ中央部分に描かれている遠景の更に奥に描かれている遠景には草を食む牛が2匹と農作業をする農婦が描かれています。
ブリューゲル(父) はここまで描きこんでいるのです。
ヨンゲリンクの別荘に集まったアントワープの文化人が感嘆し、驚嘆しブリューゲルの絵の才能を賞賛する事はブリューゲルにとって大きな喜び、満足であったに違いありません。
このシリーズの注文主のニコラスヨンゲリンクの別荘に招待されたアントワープの人々はヨンゲリンクの素晴らしい別荘に驚く以上にブリューゲルの月齢画にブリューゲルの天才を感じ楽しみ喜んだと思います。
メトロポリタン美術館のホームページはフリックコレクション以上に整備されています。
好きな画家を検索して事前情報を入手されるとより楽しい鑑賞になると思います。
ご参考までメトロポリタンのホームページのブリューゲルのページです。
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/435809?sortBy=Relevance&ft=Bruegel&offset=0&rpp=20&pos=1
作品の仕様の紹介やどこに展示してあるか表示されています。642ギャラリーをタップするとメトロポリタンの地図に飛んで行きます。642室の場所が表示されます。
メトロポリタン美術館の解説を拙訳しました。
この絵は、アントワープの商人Niclaes Jongelinckによって彼の郊外の別荘を飾るために注文された月齢画シリーズの1枚です。6つの絵が描かれました。
7月~8月、夏の終わりを描いた収穫の時期を主題とするものの1枚です。
月齢画は4つの他の絵画が残っています(現在はウィーンの美術史美術館、プラハのロブコビッチコレクションにあります)。
ブリューゲルの月齢画は西洋美術の伝統的流域です。農村の風景の描写は確かな自然観に基づいています。 -
作品の前に置かれたソファに座って好きな絵を鑑賞するのはとても楽しいことだと思います。
1)作品をジィーとかボーッとか見つめるのも楽しいです。
2)作品と僕の間に入って来た鑑賞者を眺めているのも楽しいです。
この写真は2)の事例です。
女性はブリューゲル の作品を指差して同行の男性に丁寧に解説しているようです。
男性は腕組みをして女性の会話を聞いています。
2人の会話は聞き取れません。
ブリューゲルの作品の前ではこのようなシチュエーションが展開される場合が多いです。それだけブリューゲルの絵が楽しい絵だということだと思います。
例えば、印象派の絵だったらどうでしょうか?
印象的ですねとか、色使いが素晴らしいですねだとか、この作家のタッチが好きなんですとか、勿体ないことに表層的というか深みがないというか感覚的な部分に関するコミニュケーションに終始してしまう事が多いと思います。
同行者のいない一人だけの鑑賞者の場合でも絵の前に立ち止まった様子でその絵がその人にとって何なのか思わされる事が多いです。
ブリューゲル 作品の前のソファーに座って作品を見る人たちの様子を観察するのは楽しいことです。
見る人の後ろ姿や横顔にブリューゲルに対する思いが垣間見える事が多いのです。
ブリューゲルの作品には、婉曲的に何かを表現したり、画面に必要のない不思議なものを描きこんだりして画面の表現に深さを与えているものが多いです。
一般人であるニクラスヨンゲリンクから彼の別荘を飾る絵として注文され制作されたこの月齢画シリーズはそのような「婉曲的な何か」は探す必要のない素朴なおおらかな農村生活を描いた6枚の作品たちだと思います。
前回もこの作品の前でそんな事を思っていました。
前回2012年のニューヨーク旅行記は下記です。
https://4travel.jp/travelogue/11085865 -
メトロポリタン美術館で軽い食事が欲しければこの廊下沿いのカフェがおススメだと思います。
長い行列が出来ていますが、カード決済ですのですぐ自分の番が来ます。
ひとりの場合は席取りが面倒ですが、奥の方まで行けば空いている席が充分あるので安心して下さい。 -
前回メトロポリタンに来たのは
2012年11月でした。
https://4travel.jp/travelogue/11085865
今回は本館と2つの分館をみて回りました。
写真はタッチパネル式の販売機で購入したチケットです。後ろのは領収書です。
28日購入で3日間30日まで有効です。
本館のほかに分館二つクロイスターズ美術館とメットブロイヤーが入場出来ますと記載されています。
その旅行記は別に作りました。
https://4travel.jp/travelogue/11415596 -
カフェの回廊から見た1階の様子です。
真ん中の円形のブースがインフォメーションセンターです。 -
日本人の若い作家名和晃平(1975~)の作品です。
作品の題名は「PixCell-Deer#24」2011年の作品が展示されていました。
Pixcell(画素)とCell(細胞)をかけ合わせた名和独自の概念「PixCell」をベースに作品を展開する現代作家です。難解な作品の構想の割にはジュエリーのような煌びやかな美しさのある作品です。 -
日本のコーナーにはジョージナカジマがデザインしたテーブルセットが置かれています。
展示ではなく見学者が一休みする為に置かれています。 -
イサムノグチ(1904~1988)の作品です。
手水鉢、つくばいです。
ニューヨークのノグチミュージアム訪問記は下記です。
https://4travel.jp/travelogue/11069411 -
1879年に開催された第4回印象派展で展示された少年の胸像です。
誰の作品かわかりますか?
印象派の画家、ゴッホと南仏アルルの黄色い家で9週間の共同生活や、タヒチに移住し絵画を制作したことで知られる作家の作品です。
アカデミックな作風の彫像です。
髪の毛の繊細なカールの部分やほっぺのふっくらとした表現をご覧ください。
とても印象派の作家のものとは思えません。 -
少年の胸像を左側から撮影しています。
作品のタイトルは「エミールゴーギャン」1875年制作です。
そうです!この作品の作家はポールゴーギャン(1848~1903)です。
株式と絵の仲介取引を商売としていたゴーギャンは25歳で結婚しています。
その頃から自身でも絵を描きはじめます。同じ印象派の作家ピサロとの交流もあったようです。
1879年31歳の時に第4回印象派展に絵画作品と胸像を出品します。
その時の胸像作品がこの息子エミールの胸像です。
ゴーギャンの作ったもう一つの胸像作品は妻をモデルにした「メットゴーギャンの胸像」です。第5回の印象派展に出品されています。 -
右側からの撮影です。
その当時ゴーギャンの住んでいた家の家主のジュールエルネストブイヨ(石像に専門的な経験があった)に自分の作った粘土像を渡しブイヨが大理石に仕上げたとされています。
この2作品以ゴーギャンは大理石のような高価な素材は避け粘土や木材のような安価な素材で制作するようになります。
1890年以降のタヒチでの創作生活でも素晴らしい木工作品を制作するゴーギャンですが立体造形の才能に生まれつき優れていたのだと思います。
株式仲買人だった男が数年後にこのような作品を造形したことに驚かされます。
ゴーギャンの奥さん「メットゴーギャンの胸像」の方はロンドンのコートールド美術館にあります。
その旅行記は
https://4travel.jp/travelogue/11369427 -
ゴーギャンのタヒチ時代の手作りの木工品です。
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特別展はドラクロワ展
2018年9月18日から2019年1月6日までの開催でした。 -
虎のスケッチ
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155点の油彩、水彩、素描やスケッチが展示された北米で最大のドラクロワ展だと解説されていました。
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旅行用のスケッチブックなども展示されていました。
-
透明水彩の風景画です。
-
アラビアの風俗はドラクロワの絵心を刺激したようで文字による色指定の書き込みがありました。
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騎士に甲冑を着付ける従者を描いた透明水彩画です。卓越した技術が認められます。
-
アラビアの風俗を描いた水彩
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騎馬兵の習作
ドラクロワの特別展面白かったです。
パリにドラクロワのアトリエがドラクロワ美術館として一般公開されています。ルーブル美術館の別館扱いなのでルーブル美術館の入場券で鑑賞出来ます。
習作やスケッチが揃っています。
見学記は
https://4travel.jp/travelogue/10964923 -
メトロポリタンのミュージアムショップです。
見るだけでも楽しいです。メトロポリタン美術館 アート ショップ 専門店
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旅行記グループ
ブリューゲルをたずねる旅
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ブリューゲルをたずねる旅~2018年5月アプトンハウス
2018/05/26~
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2018/11/22~
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2005/03/13~
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2005/11/28~
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2012/11/06~
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2013/04/22~
ロンドン
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