ブリューゲルをたずねる旅～2012年11月　ニューヨーク

2012/11/06 - 2012/11/06

ブリューゲルをたずねる旅

2012年11月6日
アメリカにはブリューゲル父が4点あります。
この4T旅行記はその中の1枚、ニューヨークのメトロポリタン美術館にある「収穫」「The Corn Harvest」1565の見学記です
1565年にブリューゲル父はアントワープの大金持ちのニコラスヨンゲンリンクの依頼で彼の居間を飾る絵を描きます。連作月暦画と呼ばれている作品たちです。季節のうつろいを主題に6枚の作品を制作しました。現存するのは5枚です。その1枚がこの「収穫」です。

アメリカでは、ブリューゲル父の作品は、ニューヨークの他に、ワシントンDCのナショナルギャラリーに「聖アンソニーの誘惑」1557、サンディエゴのティムケンアートギャラリーに「種まく人のいる風景」同じく1557、そしてデトロイト市立美術館に「屋外の結婚式の踊り」1566があります。この3つはまだ見ていません。デトロイト市は財政破綻状態ですが美術館は運営されているようです。

エリア ニューヨーク(アメリカ)

ニューヨークのメトロポリタン美術館の正面の入り口です。

この時(2012年暮れ)の旅程はメキシコシティの近郊にあるコヨアカンにメキシコを代表的する女性画家フリーダカーロのアトリエを見に行った帰り道にニューヨークに寄りました。
この頃はドルが80円！でした。オバマが選ばれた大統領選挙の年です。

メトロポリタン美術館 博物館・美術館・ギャラリー

メトロポリタン美術館の正面入り口の前ではジャズのパフォーマンスをやっていました。
iPhone(多分4S？)で撮影した動画ですので画質悪いですが音は大丈夫です。

https://youtu.be/sOrfWhC_DAE

メトロポリタン美術館 博物館・美術館・ギャラリー

アンディウォホールの特集をやっていました。

ジャスパージョーンズ(1930〜)
「White Flag」1955
「白い旗」と訳すより「白い星条旗」の方がふさわしいと思います。

第二次大戦のあとにアメリカ絵画が本格的に成立しています。欧州の代表的な伝統的な絵画様式も変化していきましたが、アメリカ絵画はその延長線上にいたのです。戦後に独立したオリジナルなアメリカ絵画が出てきます。

ジャスパージョーンズもその1人です。美術史の用語ではネオダダとかポップアートと呼ばれています。

ジャクソンポロック(1912〜1956)の作品です。
ポロックはアメリカ原住民のインディアンの砂絵の描画法にインスパイアされて、床に置いたキャンバスに上から絵の具を垂れ落とし絵を描く「ドリップピング」と呼ばれる描き方を作り出しました。

この頃から美術の中心はパリではなくニューヨークだと言われるようになって行きます。ヨーロッパの絵画を否定するとか凌駕するのではなく、新しい絵画を作り出したと思います。背景には成熟するニューヨークの経済成長があったと思います。

俳優のエドハリスが監督とポロックを主演した自伝映画があります。当時のニューヨークの美術界や上流階級の様子がわかります。

同じくジャクソンポロックの作品です。

一連のこのジャクソンポロックの作品はキャンバスを床に置き、絵の具缶を持ったポロックは筆でキャンバスに絵の具を垂らして描いて作品を作って行きます。ドリップ画法とよばれています。

この時代のアメリカの画家たちと作品たちは日本の新しい画家たちに大きな影響を与えています。ポロックのドリップピングに触発され「アクションペインティング」として広がって行きました。篠原有司男はボクシンググローブに絵の具をつけてキャンバスにパンチしながら描くボクシング画法で作品を残しています。

イサムノグチの作品がありました。

ニューヨークにたった1枚あるブリューゲル父の作品です。
「収穫」「Corn Harvest」1565
オーク板に油彩 118x161cm

ブリューゲル父が1565年に描いた6枚の連作月暦画のうちの1枚です。時期は晩夏でしょうか、麦の収穫の様子と日差しの少ない木の下で食事の休憩と昼寝をしている様子が描かれています。アントワープの大商人であったニコラスヨンゲンリンクの依頼で描かれています。この連作は、貴族からの依頼で制作された大半のブリューゲル父の作品たちとは全く違う印象を与えます。

部分の拡大画像です。
木の下の日蔭で持ってきた弁当を広げて昼休みです。

真ん中の上の方には木立の奥に畑が描かれていて農作業している人たちがいます。

画面の左下の部分です。
作業の終わった農夫が弁当を入れた籠を持ってみんなの所に戻っています。左の2人はあと少し一段落するまで作業しています。

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この連作月暦画は6枚描かれました。そのうち5枚が現存しています。
1枚はプラハにあります。その訪問記は
http://i.4travel.jp/travelogue/show/11085861

あと3枚はウィーンにあります。その訪問記は

http://i.4travel.jp/travelogue/show/11112818