2017/06/07 - 2017/06/07
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norio2boさん
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スイスのチューリッヒ空港から東に行くとWinterthur(ヴィンタートゥール)と言う町があります。人口10万人ほどの小さな町です。
ここにはオスカーラインハルト(Oscar Reinhart)というとてつもないお金持ちの作った美術館があります。それも2つもあるのです。
ここにブリューゲル(父)の作品が一枚収蔵されています。(当初、旅行計画の時にオスカーラインハルト名前の美術館が2つあるとは思っていませんでした)
The Adoration of the Kings in the snow
「雪の中の東方三博士の礼拝」
Tempera on canvas 35x55cm
1567
Winterthur, Oscar Reinhart Collection
聖書に登場する「東方三博士の礼拝」のテーマは多くの画家に取り上げられています。
ブリューゲル(父)も3枚の「東方三博士の礼拝」を描いています。1枚はベルギーのブリュッセルの王立美術館、
https://i.4travel.jp/travelogue/show/11119046
次は、ロンドンのナショナルギャラリーです。
https://i.4travel.jp/travelogue/show/11119616
オスカーラインハルトコレクションにある3枚目の作品は雪が降っている景色の中で「東方三博士の礼拝」が描かれています。
雪景色の絵はありますが、世界で初めて、降る雪を白い点々で描いた作品と美術史上考えられている絵です。雪をドットで描きこんだ初めての絵というわけです。ブリューゲルをたずねる旅も終盤になって来て思うことは、ブリューゲルはまさしく天才画家、風変わりな天才画家だったということです。彼は「~しているところ」にこだわりました。
Winterthur(ヴィンタートル)はスイスのチューリッヒ空港から東に20kmの所にあります。
ブリューゲルがなければ行くことはなかったと思います。ブリューゲルに導かれて素晴らしい町を知ることが出来ました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 観光バス 徒歩
- 航空会社
- ANA
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
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ウィンタートゥールでの宿泊ホテルはBest Western Hotel Wartmann am Bahnhof でした。(4Tではイビス ビンタートゥール シティ ホテルとなっていますがこれは昔の名前です)
チューリッヒのホテルの宿泊料金の半分くらいの値段です。朝食付きで4泊で6万円弱でした。
写真は朝食のレストランです。
ホテルのHPです。
http://www.wartmann.ch/en/homeIbis Winterthur City Hotel ホテル
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ホテルの外観です。Winterthur 駅の真ん前です。写真の左側は線路です。
オスカーラインハルト美術館は2つあります。
Am Romerholz という名前のオスカーラインハルト氏の旧宅に作られたオスカーラインハルトコレクションと
もう1つは市内中心部(ホテルから歩いて10分)にあるオスカーラインハルト美術館です。
ホテルに問い合わせして、オスカーラインハルト美術館を紹介され、オスカーラインハルトコレクションを紹介されてました。それぞれ親切な返信を頂きました。Ibis Winterthur City Hotel ホテル
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食事の後フロントで、ウィンタートゥールのミュージアムバスを買いました。
2日券で35スイスフランです。ホテルで買ったら割引で31スイスフランでした。1日券は25スイスフランですが、21になります
空欄の上の欄に使用開始日、下の欄に名前を記入します。 -
ウィンタートゥールの地図です。
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ミュージアムバスのガイドブックです。
17の訪問先の概要と地図、行き方が書いてあります。英語版を貰いました。 -
ウィンタートゥール駅のそばにあるツーリストインフォメーションです。線路を挟んでホテルの反対側です。地下道で線路を潜ります。こちら側の方が賑やかです。
女性の担当者がとても親切でした。
市バスで行く方法とミュージアムバスと言う8人乗りのベンツのヴァン(ミュージアムバス)に乗る方法があります。どちらも無料です。 -
黒いベンツワゴンのミュージアムバスはゲートGです。
始発は9:45です。美術館は10時からです。
途中何ヶ所か止まりますが、誰もいなくてワンマンバスでした。 -
2人だけなので車中で雑談しました。
ウィンタートゥールに住んでいるの?
そうだ
生まれもウィンタートゥールか?
そうだ(得意そうに)
ウィンタートゥールの人口は?
10万人
バスを降りてから美術館までは歩くの?
すぐわかる
美術館にはかなりの急坂をグイグイ登って行きます。歩こうかと思っていましたがミュージアムバスを選んで正解だと思いました。 -
ミュージアムバスは美術館の入り口まで来るのです。
写真は、オスカーラインハルト美術館の前庭です。
左に小さく映っているのが今乗って来たミュージアムバスです。
ここからの戻りのミュージアムバスは毎時00分です。親切で気の良いドライバーが繰り返し教えてくれました。
美術館のHPです。
http://www.bundesmuseen.ch/roemerholz/index.html?lang=enヴィンタートゥール ミュージアム 博物館・美術館・ギャラリー
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1915年に建てられて、ギャラリー部分は1925年に増築されました。
オスカーラインハルト氏(1885~1965)の旧邸宅が美術館になっています。近辺はお金持ちの大邸宅が並んでいました。
動画です
https://youtu.be/8DDPGuxCdqI -
階段を上がると庭園があるようです。
進入禁止になっていました。 -
階段の上から見た美術館の正面入り口です。
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10時のオープンで入りました。ミュージアムパスを見せると、胸にシールを貼ってくれます。誰もいなくて静かな空間です。
セザンヌ、マネ、ゴッホ、ゴーギャン、ルノアールなどがありますがそれぞれの作品が、その作家作品の中でもベストに近いものでした。
オスカーラインハルトの美術の好みの傾向と、鑑定眼の確かさと、資金力がとてつもないものだったことが実感される展示作品の数々でした。 -
ブリューゲルの作品が展示されている部屋たどり着くまでにいくつかの素晴らしい作品がありました。
セザンヌの静物画です。
Paul Cezanne(1839~1906)
1890年に描かれた静物画です。 -
これもセザンヌです。
同じく林檎のように見えますが桃です。静物画です。 2年後の1892年の作品です。 -
寄木細工のテーブルがあって小さなブロンズが置かれていました。
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これが、ピーターブリューゲル(父)の1563年の作品です。
「雪の中の東方三博士の礼拝」
これが見たくたてスイスに来たのです。
35x55cmと小さな作品ですが、見た瞬間とても大きな作品のように感じました。 -
美術館ではこの部屋をルネッサンスルームと呼んでいます。
ブリューゲルの左側にはクラナッハの肖像画が2枚飾られています。
ブリューゲルが1525~1569でクラナッハは1472~1553です。ルネッサンスの時期の画家たちとカテゴライズしているようです。 -
額縁をトリミングして絵の部分だけです。
天才的に絵のうまかったブリューゲルは自尊心というか「俺はあいつらとは違うんだぞ」と強く思っていたように思います。
ブリューゲルの3枚の「東方三博士の礼拝」を時系列で見ると
ロンドンが1564年111x84cm
ベルギーが1556~1562年122x168cm
ヴィンタートールが1667年35x55cm
です。
ヴィンタートールが最後の作品で一番小さな寸法です。
当然ですが、前に描いた2作品の反省と、その2作品をこえる構想を作者のブリューゲルは考えました。
この聖書由来の主題に、ブリューゲルは自分の時代にもある主題を重ねたいと思ったのです。その為には舞台は雪の降りしきる空間でなければならないと直感的に思ったのでした。雪の降る世界は閉ざされた陰鬱な世界です。声を出しても届かないようです。 -
凍った川には穴が開いていています。
バケツを持った女たちは何をしているのでしょうか?氷の自然の冷蔵庫から食料を出しているようです。
この表現力、描画力は「ほれぼれする」ほど上手いですね。生活のために黙々と働く人々がいます。 -
右下の部分です。
凍った川の上で滑り遊びをする子供はブリューゲルの得意の絵柄です。
川から上がる雪の積もった階段を登る農夫(普通の生活をする)が描かれています。
「特別のこと」と「普通のこと」を共存させて描くことによって、見る者に「特別なこと」の重さや大きさを感じさせるようにすることは、ブリューゲルが考え出した絵の構図の発明だと思います。
例えば、ベルギーの王立美術館にある「ゴルゴダへの道行」(ゴルゴダの丘へ自ら十字架を担ぎ進むという主題の絵)では十字架を持つキリスト(特別なこと)はどこにいるのか分からないほど小さく描かれています。周りにはいくつもの「普通のこと」がプロットされています。
この絵でも、ブリューゲルは同じ手法を使っています。前の2作品(ロンドンとブリュッセル)は一応は主題が構図設定の上でメインになっているのに対して、スイスの作品の場合、主題の「東方三博士の礼拝」を左下に小さくプロットしています。この構図のよりブリューゲルは「東方三博士の礼拝」という「特別なこと」を前の2作品より強調させています。そして、背景は雪の降りしきる構図でなければならなかったのです。 -
子供は氷の上の滑り遊びに夢中です。子供の赤い上衣にも雪が降りしきっています。
雪が多少降ろうが、「東方三博士の礼拝」のような「特別なこと」が行われていても「普通のこと」(遊びに夢中になる)を子どもはやめようとしません。
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雪降る地方の方やスキーのような冬のスポーツをやる方にはわかると思いますが、雪が降っている冬景色と雪が上がった冬景色は全く違ったものです。
ブリューゲルは雪が舞う陰鬱な舞台、背景、空間の中で執り行われている「東方三博士の礼拝」を描きたかったのです。
この作品(1567年)の2年前の「雪中の狩人」(1565年、ウィーン美術史美術館蔵)は雪が上がった冬景色です。ブリュッセルの王立美術館にある「鳥罠のある冬景色」(1565年)や「ベツレヘムの人口調査」(1566年)も雪は降り止んで遠くまで見渡せる景色です。 -
中央のちょっと左寄りには分厚く雪をかぶった大きな建物があります。
その前を何人もの兜と甲胄をつけて手には長い槍を持った兵士が少し前傾しながら左奥の方へ進んで行きます。沢山の兵士がいる以上この辺りは戒厳令に近い状態にあるようです。 -
右の上の部分です。
村は甲冑姿の兵士たちに埋め尽くされています。
右奥から村に入って来た兵士たちは、手前まで捜索して来ています。何も見つけられなかった兵士たちは右折して画面の左側に出ていっています。
東方三博士の礼拝のところは村の人たちが重なって並んで防御していています。兵士たちは気づかずに次の場所へ探索に向かっています。 -
左の下の部分です。
この部分に「東方三博士の礼拝」の様子が描かれています。
マタイ伝の記述を引用しておきます。
第2章です。
2:1 イエスがヘロデ王の代に、ユダヤのベツレヘムでお生れになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った、
2:2 「ユダヤ人の王としてお生れになったかたは、どこにおられますか。わたしたちは東の方でその星を見たので、そのかたを拝みにきました」。
2:3 ヘロデ王はこのことを聞いて不安を感じた。エルサレムの人々もみな、同様であった。
2:4 そこで王は祭司長たちと民の律法学者たちとを全部集めて、キリストはどこに生れるのかと、彼らに問いただした。
2:5 彼らは王に言った、「それはユダヤのベツレヘムです。預言者がこうしるしています、
2:6 『ユダの地、ベツレヘムよ、おまえはユダの君たちの中で、決して最も小さいものではない。おまえの中からひとりの君が出て、わが民イスラエルの牧者となるであろう』」。
2:7 そこで、ヘロデはひそかに博士たちを呼んで、星の現れた時について詳しく聞き、
2:8 彼らをベツレヘムにつかわして言った、「行って、その幼な子のことを詳しく調べ、見つかったらわたしに知らせてくれ。わたしも拝みに行くから」。
2:9 彼らは王の言うことを聞いて出かけると、見よ、彼らが東方で見た星が、彼らより先に進んで、幼な子のいる所まで行き、その上にとどまった。
2:10 彼らはその星を見て、非常な喜びにあふれた。
2:11 そして、家にはいって、母マリヤのそばにいる幼な子に会い、ひれ伏して拝み、また、宝の箱をあけて、黄金・乳香・没薬などの贈り物をささげた。
2:12 そして、夢でヘロデのところに帰るなとのみ告げを受けたので、他の道をとおって自分の国へ帰って行った。
多めに引用しました。2:11が「礼拝」の記述です。
この記述を主題に多くの画家たちがそれぞれの絵を描いているのです。 -
もう少し右がわの部分です。兵士たちはこの辺りを捜索しているのでしょうか?
家と家の間から外の様子が見えますが、車輪が
置かれて兵士たちが立ち並びこの村は封鎖されていることが分かります。 -
この絵の主題の「東方三博士の礼拝」の部分です。
小さくて、ぼやけていて、どう見ても識別しにくいです。ブリューゲル(父)ほどの画力を持つ絵描きがこんな風に描き、更に雪を降らせてますます分かりにくくしたには、その必然性があったと思います。 -
ブリューゲル(父)の雪の絵というと、ウィーンの美術史美術館にある月齢画の「雪中の狩人」1565年の方が知られていると思います。
当時のアントワープでブリューゲルのスポンサーであった大富豪ニコラスヨゲンリンクの新しい大邸宅を飾るためにヨゲンリンクの注文で6枚の季節の絵(月齢画)を描いています。そのうちの5枚が現存しています。
2年後の作品の「雪中の狩人」の狩人の歩き方(姿勢)と同じです。足が埋まるような積雪の中では、膝は曲げて全身は前傾しないと歩けません。 -
イエスはマリアの手の中に隠されているようです。
白い雪の点はブリューゲルとしては必然性があって場所と大きさがあるようです。雪の白を強調するためにさしつかえない部分では黒を下地にして、その上に白い絵の具を置いてコントラストを強調させています。 -
廊下もそれなりの配慮があって演出されています。
オスカーラインハルト(1885~1965)はインドとの交易、特に綿で儲けたようです。
当初はスイスやドイツの気鋭の画家たちの育成のため彼らの作品を買い上げました。それらを収納し、展示しているのがヴィンタートゥール市の中心にあるオスカーラインハルト美術館です。貿易の仕事を引退した後は世界の名画の収集を始めます。同年にこの「Am Romerholz 」を別荘として購入しています。継続して「世界の名画」を展示するために増設していきます。
オスカーラインハルトは美術は公共の福祉のためにあるべきだと考えていました。オスカーラインハルト美術館を1940年にヴィンタートゥール市に、このオスカーラインハルトコレクションを1958年にスイス連邦に寄贈しています。
オスカーラインハルトの死後5年後の1970年にここはオープンしています。 -
ドアの取っ手です。
豪華ですが、機能的な趣味の良いものが使われています。 -
「東方三博士の礼拝」1495年に描かれています。
134x100cmオーク材のパネルに油彩です。
Geertgen tot Sint Jasという流派の画家によるものです。
同じ主題の作品なので撮影しました。
教会でキリスト教の説教のために使われた絵です。
「東方三博士の礼拝」の絵はこれが一般的です。ブリューゲルの絵の特殊性が分かります。 -
増設部分への廊下です。質実剛健という印象です。
ちなみに、ぼく以外には5人ほどの来客でした。
ミュージアムバスは往復ともぼく一人でした。 -
ルノアールです。
Piere Auguste Renoir (1841-1919)
ドイツ語のタイトルはNach Dem Bad 1913
キャンバスに油彩
辞書を引いたら「湯上り」でした。
オスカーラインハルトは印象派が好みだったようです。特にルノアールが好きで油絵だけでなく彫刻もありました。 -
増設された新館部分には階段を下ります。
-
これもルノアールですが、だいぶ画風が違います。
1869年とルノアール28歳の時の作品です。
La Grenouillere 1868
「ラ・グルヌイエール」1868年作
1841年生まれのルノアールが27歳で印象派としての画風で描いていた頃です。水のゆらめき光を受けて変わる印象を良く表現しています。
先ほどの「湯上がり」のようなルノアール独特の豊満な画風になる前の作品です。 -
画面の右下です。ルノアールのサインです。
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印象派を100年くらいさかのぼった古典派を代表する画家たちの作品もお好きだったようです。共通項は「端正さ」でしょうか?
写真はアングルです。
Jean Auguste Dominique Ingre (1780-1867)
Bildnis Delphine Ingres Ramel 1859
「デルフィーヌアングル」1859年作
アングルの奥さんです。 -
セザンヌです。
Paul Cezanne (1839-1906)
Le Pilon du Roi 1887-88o
Oil on canvas 82x101cm -
これもセザンヌです。
Le Chateau Noir UM 1885 -
ゴッホです。
Vincent Van Gogh (1853-1890)
Der Innenhof des hosoitals von Arles 1889
「アルルの病院の中庭」1889年作
この絵がここにあるとは驚きました。
1889年にゴッホはアルルのサンレミ精神病院に入院しています。療養中に発作が治ると合間に絵を描いています。ニューヨークのMOMAにある「星月夜」が知られています。その頃の作品がありました。
この翌年1890年にピストルの事故で死去します。自殺したという説が多いですが、弾丸の入った角度や銃槍は自分で撃った(自殺)にしては不自然だという事故説もあります。 -
ピカソが一枚ありました。
Pablo Picasso (1881-1973)
Portrait of Mateu Fernandez de Soto , 1901
Oil on canvas 61x46cm
ピカソが20歳の時の男の肖像画です。同じぐらいの歳の青年です。フェルナンデスという名前ですから、当時の芸術家の友だちのひとりかも知れません。美術評論家はこの時期を「青の時代」と呼んでいます。青色の絵の具が一番安いので青い絵になったようです。 -
画面の左上のピカソのサインです。
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ロートレックも一枚ありました。
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この絵はゴーギャンの初期の作品です。
Paul Gauguin(1848-1903)
Die Blauen Dacher (Rouen) 1884
Oil on canvas 74x60cm
パリ証券取引所の株屋だったゴーギャンは1873年(25歳)頃から絵を描くようになります。友人のピサロの影響で印象派の画風の絵を描いていました。その頃の作品です。
絵に対してのゴーギャンの熱心で真摯な態度が感じられる作品です。 -
絵の右下です。
額装して半分隠れてしまっていますがゴーギャンのサインです。 -
立派な額です。
Camille Corot (1796-1875)
Girl Reading 1850-55
Oil on canvas 46x39cm
カミーユコロー
「読書をする女」
バルビゾン派と呼ばれています。
このオスカーラインハルトコレクションの「読書をする女」はパリのルーブル美術館にある「真珠の女」(1868-70)を彷彿とさせるものがあります。18年ほどこちらの方が古い作品です。二つとも同じ女性がモデルになっているように思えました。 -
コローの「読書をする女」の部分です。
フランスのバルビゾン村近郊で滞在し活動した画家たちにはコローの他に
「落穂拾い」のミレーがいます。
バルビゾン派の素朴な画風の影響を受けた印象派の画家たちも多いです。 -
ドラクロワもお好きだったようです。
Eugene Delacroix (1798-1863)
Die Bussende Maria Magdalena 1843
マグダラのマリアの懺悔
52x24cm
ドラクロワの絵で一番有名な作品はパリのルーブル美術館にあるフランス国旗を持って進む女性を中心に立ち上がった民衆を描いた「民衆を導く自由の女神」(1830年)だと思います。 -
ドラクロワの邸宅がルーブル美術館の別館扱いで(ルーブルの入場券で割引き入場出来ます)ドラクロワ美術館として公開されています。
あそこにも、マグダラのマリアの下絵がありました。
https://i.4travel.jp/travelogue/show/10964923 -
これもルノアールです。
オスカーラインハルトの絵の好みの傾向が分かって来た気がしました。
ヴィクタークロケットという男の肖像画です。1876年の作品です。 -
新館は作品の展示のために設計されています。自然光が取り入れられ、なおかつ直射日光が作品にあたらないような構造設計です。
-
ドーミエの落馬するドン・キホーテのデッサンです。
Honore Daumier (1808-1879)
1850年 -
もう一度、ブリューゲルの「雪の中の東方三博士の礼拝」を見にきました。
クラナッハの肖像画が2枚並んでその右がブリューゲルです。 -
上手く撮れていませんが、左下部分のブリューゲルのサインです。
-
帰りのミュージアムバスは毎時00発です。時間があるのでミュージアムカフェでケーキと炭酸水で休憩しました(8.3スイスフラン)
窓の外の庭園が素晴らしいです。涼しい風が流れています。 -
カフェの屋外席です。
-
入り口にあるミュージアムショップで「雪の中の東方三博士の礼拝」の大型プリント(25スイスフラン)を買いました。
写真はミュージアムバスの停留所のサインです。 -
12:00のミュージアムバスでヴィンタートゥールの市の中心にあるオスカーラインハルト美術館に向かいました。
ヴィンタートゥール市内より、かなりの高台になっているので涼しいです。 -
ミュージアムバスのドライバーが次はオスカーラインハルト美術館か?と聞く
YES、pleaseと答える。
途中の停車ポイントで誰も乗らなかった。
ここの正式名称は
Museum Oskar Reinhart am Stadtgarten -
これがもう1つのオスカーラインハルト美術館です。ヴィンタートゥールの中心部にあります。
スペインの画家ゴヤの特別展をやっていました。
ここもミュージアムパスで入れます。 -
荘厳なドアを入ると右にチケット売り場があります。同じシール方式ですが、絵柄が違います。
鑑賞の前にトイレを済ませておきます。
この写真の左側(写っていません)にあります。
荷物はチケット売り場の右の廊下を進みます。
ロッカーは2ユーロです(返却されます) -
入場者のシールです。
上が遠方のオスカーラインハルトコレクション
Oskar Reinhart Collection 'Am Romerholz'
下が市の中心部にあるオスカーラインハルト美術館
Museum Oskar Reinhart am Stadfgarten
です。 -
ここは地元のドイツ、スイスの作家たちの作品が多いです。知らない名前でした。
オスカーラインハルトは彼らの絵を買い上げ生活を助けました。
写真はゴヤの特別展への階段です。 -
オスカーラインハルト氏の略歴、功績のパネルが並んでいます。ヴィンタートゥール生まれで貿易業で功績を残し、早く引退して、美術の蒐集を行なっています。巨体でむっつりした事業家というよりも銀行家の印象がありました。
当初は、地元の芸術家のスポンサーとして、彼らの作品を購入しています。その作品たちがこの美術館に収容されています。
その後に始めた蒐集で、印象派を中心とした有名な西洋絵画たちがオスカーラインハルトコレクションに加えられていきます。これらの作品を収容するために山荘を購入し、また、増築して行きました。
インドとの交易で儲かったようです。
オスカーラインハルトは亡くなる前にオスカーラインハルト美術館はスイス連邦に、山荘のオスカーラインハルトコレクションはヴィンタートゥール市に寄贈しました。何とも、スケールの大きな人間です。オスカーラインハルトは美術は公共のものであるべきという哲学を持っていたのです。
ミュージアムバスのドライバーがヴィンタートゥールの生まれかと聞いたときに自信を持ってそうだと言ったのが分かる気がしました。彼にとってヴィンタートゥールは自慢の町なんだと思いました。 -
Oskar Reinhart (1885-1965)
オスカーラインハルトコレクションの展示室にて1960年頃に撮影された写真です。 -
ゴヤ特別展の部屋です。
油絵とかなくて版画だけでした。
ヨーロッパでは有名な小説の挿絵のようでした。 -
突き当たりには、エッチングのプロセスを解説するDVDがありました。
ゴヤの時代の技法を再現しています。良くできていました。 -
客は高齢者が3人くらいです。
小説を読んでいてストーリーを知っているヨーロッパの人なら楽しめる展示だったと思います。 -
その後は
Kunstmuseum Winterthurへ
Kunstはアート、美術の意味です
ヴィンタートゥール美術ミュージアム
現代作家の作品が多いです。
クレー、モンドリアン、レジェなどの作品が多いです。 -
入り口の左側にパネルがあります。
Kunstmuseum(アートミュージアム)
Naturmuseum(自然博物館)
が同じ建物に入っています。 -
ここはシールではなく入場券をプリントアウトしてくれます。
上が自然博物館
下が美術ミュージアム
です。 -
真ん中の立像がロダンです。
印象派の時代の作品が並んでいます。 -
ゴッホです。
Vincent van Gogh(1853-1890)
Soir de'ete 1886 -
右下のゴッホのサインです。
赤い絵の具でVincentと署名しています。 -
同じくゴッホです。
郵便配達人ジョセフルーランの肖像 -
ルソーです。
Benri Rousseau(1844-1910)
Pour feter le bebe! 1903 -
画面右下のルソーのサインです。
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彫刻作品の部屋もありました。
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ベラクーシの作品です。
ベラクーシは抽象彫刻の祖と言われています。イサムノグチにも大きな影響を与えました。
Constantin Brancusi(1876-1959)
Danaide 1913
パリのポンピドーの前の広場にベラクーシのアトリエを移築した美術館があります。
http://4travel.jp/travelogue/10963655 -
若い現代作家の作品も展示されていました。
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こちらが自然博物館の入り口です。
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こちらが美術ミュージアムの入り口です。
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自然博物館には子どもの好きそうな展示が並んでいます。
ヴィンタートゥールは素晴らしい町です。
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ブリュッセル
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この旅行記へのコメント (6)
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- kiyoさん 2018/03/11 11:39:34
- ブリューゲル
- norio2boさん、こんにちは。
いつも私の旅行記にたくさんのいいねをしていただき、
本当にありがとうございます。
ブリューゲル。
展覧会が開催されているので
新聞やテレビなどメディアで目にすることが多くなりましたが、
そのたびにnorio2boさんのことを思い出します。
私も美術館が大好きで、
ヨーロッパ旅行に行くと必ず立ち寄りますが、
ブリューゲルはあまり興味がなく、
さらっと見るだけでした。
でも、norio2boさんの旅行記を拝見するようになってから
もっとじっくり鑑賞すればよかったと思うようになりました。
きっと、今、東京都美術館で開催されている展覧会は
大行列で大混雑なのではないでしょうか。
ゆっくり鑑賞するなら、やはりヨーロッパやアメリカなど
現地の美術館まで足を伸ばしたくなります。
それから、オスカーラインハルト美術館のことは知らなかったので、
いつか行ってみたくなりました。
ルノアールやピカソの、
違った画風の絵も間近で見てみたくなりました。
また、セザンヌの1890年に描かれた静物画。
未完成なのでしょうか。
周囲の空白が、見る者の想像力を刺激してくれる作品で
すごく心惹かれました。
kiyo
- norio2boさん からの返信 2018/03/11 23:53:11
- Re: ブリューゲル
- Kiyoさん
いつも旅行記楽しく拝見しています。
ヴィンタートゥールの旅行記へコメントを頂きありがとうございます。
スイスへ行かれるご予定がありましたら、足を伸ばしてヴィンタートゥールへも寄ってみて下さい。
素晴らしい街でした。
ブリューゲルの旅も5月に予定しているロンドン郊外にあるアップトンハウスの一枚で一応の終了となります。
都美術館はサンディエゴの帰り道に一泊して見てきました。
大行列でブリューゲルの人気の高まりに驚きました。
行列を左折して都美術館に向かいました。
大行列は上野動物園のパンダの大行列でした。
ブリューゲル一族展は10人くらい並んでいました。
少しづつ関心を持って頂き嬉しく思いました。
今後ともお付き合いのほどよろしくお願いします。
追伸
セザンヌの絵
なんだったんでしょうか?
セザンヌがあんな描き方する訳ないし?
行かれたら教えて下さい。
-
- tadさん 2017/12/17 11:14:37
- 驚きのコレクション
- いつも、素晴らしい旅行記を読ませていただいています。このブリューゲルも驚きです。写真と解説がとても丁寧なので、ちゃんと作品の凄さが伝わります。私もブリューゲルは特別な人ですが、ここまでは、とても追及していません。一度読んだだけでは消化できないほどの厚みのある旅行記ですね。いいねを押していても、再度戻るべき旅行記が多いので大変です!
- norio2boさん からの返信 2017/12/18 16:56:29
- Re: 驚きのコレクション
- tadさん
旅行記拝見しています
まとまりのないヴィンタートゥールの旅行記に感想のコメントを頂きありがとうございました
来年の誕生日でパスポートが有効期間切れになります。
今年は多少の無理してブリューゲルを見て回りました。
今年も残り少なくなりました。
今後ともよろしくお願いします。
-
- milkさん 2017/06/21 23:56:40
- 何て素晴らしいコレクション!!
- norio2boさん、こんばんは。
何て素晴らしいコレクションの数々!!
オスカーラインハルトコレクションと言い、オスカーラインハルト美術館と言い、名作揃いですね。
ブリューゲルの「東方三博士の礼拝」の解説がまた素晴らしくて勉強になりました。
良く見る東方三博士の礼拝とは違った描き方をしたブリューゲル。
奥が深いです...。
それにしてもオスカーラインハルトさんは自然に囲まれたいい所に住んでいらっしゃったんですね。
お屋敷は豪華すぎず、素朴な感じがまた素敵。
おノワはどんなふうになっていたのでしょう?
立ち入り禁止は残念でしたね。
milk
- norio2boさん からの返信 2017/06/22 13:46:26
- RE: 何て素晴らしいコレクション!!
- milkさん
ご無沙汰です。
コメントありがとうございます。
スイスのヴィンタートゥールは良かったです。
ミュンヘンでもパリからでも1時間のフライトでチューリッヒ
チューリッヒから20分でヴィンタートゥールです。
人口10万人ほどの小さな町で、あれだけ高い文化水準や生活レベルがあるのは不思議な感じがします。
謹厳実直が実ったのでしょうか?
次回のヨーロッパ旅にヴィンタートゥールへの寄り道をオススメします。
暑く蒸す日が続きます。
ご自愛下さい。
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