夢追人さんのクチコミ(14ページ)全1,032件

　島根県雲南市から国道314号を南下すると、広島県境近くに道の駅「奥出雲おろちループ」があり、国道を挟んで反対側（北側）に鉄の彫刻美術館がある。道の駅からも国道を超えて陸橋を歩いて直ぐである。この美術館は、「神話の町」、「鉄の町」の奥出雲のシンボルとして設立されたもので、剛鉄による彫刻作家の故下田治氏が制作した作品が展示されている。館内には、展示室のほか研修室なども併設されており、館外にもいくつかの彫刻が置かれている。静かな雰囲気で独特の鉄の芸術をゆっくり鑑賞するのもなかなか良い。入館無料である。

　島根県奥出雲町の船通山から中海まで、長さ153㎞の斐伊川が流れている。奥出雲町三成に日本で最初の本格的アーチダム、砂防と発電を目的とする三成ダムが昭和29年に完成した。斐伊川の上流では昔から「かんな流し」で砂鉄が採取され「たたら製鉄」が行われてきた。また、たびたび起こる斐伊川の氾濫が出雲神話「八岐大蛇」のもとになったともいわれている。国道314号から100ｍあまり南に登ったところに駐車場があり、ここからダムを眼下に見ることができるが、堰堤までは進入禁止になっていた。堰堤の下に貯まった水は赤茶色だったが、おそらくこれは鉄分の影響と思われる。

　道の駅「奥出雲おろちループ」は、島根県奥出雲町を走る国道314号の道の駅で、「奥出雲おろちループ」の二重ループの頂上、標高約700ｍのところにある。国道314号を挟んだ北側に奥出雲町鉄の彫刻美術館と宿泊施設の三国ロッジがある（国道をまたぐ陸橋を歩いても直接行ける）。道の駅内には小さな食堂もある。

　奥出雲おろち号は、ＪＲ木次線の木次駅・備後落合間を走るトロッコ列車である。窓ガラスのない車両から、ヤマタノオロチの伝説や、数々の神話の舞台となった奥出雲をゆっくり走り、四季折々の自然を満喫することができる。社内はウッッデイでレトロな雰囲気になっている。今年度は4月1日からの運行だが、11月中旬で最後の運行となり、貴重な姿を見られるのは今年までである。4月下旬の平日、出雲坂根駅で偶然にもおろち号に遭遇することができた。

　ＪＲ木次線三井野原駅は、標高726.81ｍでＪＲ西日本の最高駅である。駅のホームから出て直ぐにスキーができるということで、数十年前は広島駅からは準急行「ちどり」が運行され、多くのスキーヤーが訪れていた(現在は広島県北に多くのスキー場がある）。当時の宿屋や貸スキーの建物が残り、大変懐かしく感じた。

　出雲坂根駅は、ＪＲ木次線の無人駅である。ＪＲ西日本では唯一の三段スイッチバックがあり、駅舎に隣接して「延命水」と呼ばれる湧き水がある。国道432号沿いにあるため、列車に乗らなくても駅前の駐車場に車を停めて、スイッチバックを左右にゆっくりと登る列車を見学できる。この駅を訪れたとき、ちょうどスイッチバックをゆっくりと登る「奥出雲おろち号」の姿を見ることができた。

　出雲八代駅は、島根県奥出雲町にあるＪＲ木次線の小さな無人駅である。駅舎の待合室の壁には、ＪＲ木次線の歴史を語る写真が数枚貼られている。窓のガラス越しに使用しなくなった駅事務室を見ると、事務機器や道具が置かれ、鉄道模型（プラレール）も2点ほどあった。乗降客が少ない駅ではあるが、昔懐かしい旅愁を感じた。

　島根県奥出雲町に自然史博物館があることは知っていたが、このたび初めて見学して驚いた。小さいながらも中国山地の山間部の博物館とは思えないほど、豊富な岩石・鉱物・化石のコレクションである。1・2階の展示室には、これらを分かりやすく展示している。宿泊施設も併設しており、ニューヨーク自然博物館で話題になった「ナイトミュジアム」も体験できる。入場料は大人500円だが、しまねカードやJAFの割引もある。子供が理科が好きになる動機づけにも有効だと思う。是非家族連れでも見学して欲しい。

　奥出雲の亀嵩温泉に初めて訪れた。山間のひなびた温泉と思っていたが、客室20室の割には、ロビーも廊下も広くて開放感があり、何よりも温泉が素晴らしい。アルカリ単純泉で泉質も良く、大浴場は広くてガラス張りで眺めも良い。綺麗な庭に囲まれた露天風呂ではゆっくりとくつろぐことができた。和室には掘りごたつがあり、広い窓からの眺望も良い。スタッフの対応も良い。お薦めの温泉宿である。

　ＮＨＫ人形劇「新・八犬伝」の人形美術を担当して注目を浴びた人形師、辻村寿三郎の人形館が、三次市歴史民俗資料館内にある。館内には人形劇「真田十勇士」で実際に使用された真田幸村の人形や、「忠臣蔵」で有名な浅野内匠頭の正室の安久利姫（三次浅野藩の姫）など多くの人形が展示されている。仏像は木造のものが一般的であるが、布で作られた不動明王や空海の像は珍しさと興味を感じた。入館料は800円だが、JAFなどの割引もある。

　ＪＲ三次駅をから200ｍほど北に歩き、左折して西に500ｍあまり直進すると、馬洗川に架かる巴橋がある。ここを渡り、右折すると北方向に石畳の「みよし本通り商店街（石見銀山街道）」が続いている。鉄筋コンクリート２階建ての、国の登録文化財に指定されている三次市歴史民俗資料館の駐車場に車を停めて、小雨の中、歴史を感じさせる道を「三次もののけミュジアム」まで800ｍほど歩いた。

　広島大学宇宙科学センター附属東広島天文台は、東広島市の福成寺からさらに少し登ったところにある。1.5m光学赤外線望遠鏡「かなた」などの観測機器が設置されている。施設見学や天体観測会は事前に申し込みが必要である。なお、望遠鏡そのものは、建物の外から窓ごしに見ることができた。天文台前は数台の駐車可能で、東屋や公衆トイレもあり、西条の町並みを見ながら休憩できる。

　福成寺は、東広島市の西条盆地を眼下にのぞむ山頂近くにある真言宗御室派の寺院である。奈良時代に開基、平安時代には源氏と平氏との戦いの舞台にもなったとされ、戦国時代には毛利氏と伊予の河野氏が会談した寺院でもある。本堂内の厨子と須弥壇は、山口の大内氏がの寄進によるもので、国の重要文化財に指定されている。毎年4月のニュースで満開のシャクナゲの花の映像が流れるので訪れてみたが、境内全体に色とりどりのシャクナゲが咲き誇り、見事だった。

　立石寺の山門から参道を30分あまり登ると山頂近くにある奥の院に到着する。奥の院は、立石寺の中で最も神聖で重要な伽藍である。慈覚大師が唐や国内を巡行されたときに肌身離さず持ち歩いていたとされる釈迦牟尼仏と多宝如来の両尊が本尊として安置されている。約1000段の階段はかなりしんどかったが、雑念を忘れ達成感と充実感を感じることができた。

　立石寺の参道を登り、金乗院を過ぎて左にそれると、納経堂、開山堂へと道が続いている。開山堂の横を登ると、断崖を突き出すようにお堂が立っている。開山30年後に建立された五大堂である。大聖不動明王、東降三世明王、五大明王を祀って、立石寺を守護し、天下泰平を祈る道場である。ここからの眺望は抜群である。

　立石寺山門で入山料を払い、百丈岩へと向かう石段、参道中もっとも狭い四寸道を10分ほど登ると、せみ塚がある。「奥の細道」途中、松尾芭蕉が立石寺で詠んだ「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の句をしたためた短冊をこの地に埋め、顕彰碑を立てたものである。岩の崖と巨木に囲まれ厳粛で清新な雰囲気の中にある。

　立石寺は、元禄2年（1689年）に「奥の細道」の途中に松尾芭蕉と曽良が訪れたことで有名で、「閑かさや岩にしみいる蝉の声」を詠んだことで知られている。根本中堂の西に40ｍほど歩くと日枝神社、さらに20ｍほど歩くと、宝物殿と芭蕉と曽良の像がある。芭蕉像は昭和47年に建立され、曽良像は「奥の細道」紀行300年を記念して平成元年に建立され、傍には句碑も建てられている。

　立石寺根本中堂は、入母屋造の建物で、ブナ材の建築物では日本最古といわれ、国の重要文化財に指定されている。堂内には、慈覚大師作と伝える木造薬師如来坐像が安置され、伝教大師が比叡山延暦寺の法灯を分けたものを、織田信長の焼打によって消えた延暦寺の法灯を再建の際には逆に立石寺から分けたという、不滅の法灯が今も輝き続いている。ＪＲ山寺駅を出て、宝珠橋を渡り、右折して5分あまり歩いて左折して石段を登ると根本中堂である。

　宝珠山立石寺は、860年に慈覚大師が開いた天台宗の寺院であり、東北地方を代表する霊場として信仰を集めている。根本中堂、常行念仏堂、本坊、五大堂、奥の院など多くの伽藍が岩山の斜面に立っている。山門から奥の院までは800余段の石段が続いている。ＪＲ山寺駅から根本中堂を経て、五大堂、奥の院までを参拝して往復するには、最低2時間は必要、歩きやすい靴を履いた方が良い。入山料は山門で支払う。4月中旬に訪れたとき、約半数は外国人だった。

　仙台駅からは仙山線で約1時間、山形駅からは約20分で山寺駅に到着する。駅のホームに立つと北側の山の崖に立石寺が見える。列車は1時間に1本しかなく、計画的に行う必要がある。ロッカーは、改札口を出てすぐ右側と、左のトイレの前にある。小さな駅舎があって4時頃まで駅員がいる。寒い日だったので、列車が来るまでの時間はこの中で過ごした（暖房あり）。トイレの上が展望所になっているが、ホームから見る景色とあまり変わらない。