裏磐梯・猫魔旅行記(ブログ) 一覧に戻る
風がそよとも吹かぬ、蒸し暑い夏の夜。<br />窓の外では、蝉がひと夏の伴侶を求め求婚の調べを奏でていた。<br /><br />エアコンをつけて寝るべきか、窓を開けておくべきか。<br />毎晩の就寝時に繰り返されるエンドレスな問い。<br />その問いに正答は無い。<br /><br />蝉しぐれを子守唄に寝ることにし、窓に手を掛けたその時、リビングの電話が鳴った。<br />最近の電話の呼び出し音は、昔の様にジリジリジリ…ではなく、優雅なクラシック音楽。<br />しかし、静まり返った家の中に突如鳴り響くその音は、眠気を吹き飛ばした。<br /><br />夜の電話は苦手だ。<br />夜、それも遅い時間に掛かってくる電話に吉報は少ない。<br />だから、夜の電話は無視したい衝動に駆られるが、鳴り続ける音楽を止めるにはその受話器を手に取るしか方法は無い。<br /><br />不承不承、かなりふてくされた声で電話へと答える。<br /><br />電話の向こうから聞こえてくる声の主は、実家の家族。<br />母が自動車事故に遭った…という知らせだった。<br />

君がいた夏 / 全てが無と化した日

126いいね!

2015/08/15 - 2015/08/15

22位(同エリア920件中)

旅行記グループ 夏の足音

17

48

ウェンディ

ウェンディさん

風がそよとも吹かぬ、蒸し暑い夏の夜。
窓の外では、蝉がひと夏の伴侶を求め求婚の調べを奏でていた。

エアコンをつけて寝るべきか、窓を開けておくべきか。
毎晩の就寝時に繰り返されるエンドレスな問い。
その問いに正答は無い。

蝉しぐれを子守唄に寝ることにし、窓に手を掛けたその時、リビングの電話が鳴った。
最近の電話の呼び出し音は、昔の様にジリジリジリ…ではなく、優雅なクラシック音楽。
しかし、静まり返った家の中に突如鳴り響くその音は、眠気を吹き飛ばした。

夜の電話は苦手だ。
夜、それも遅い時間に掛かってくる電話に吉報は少ない。
だから、夜の電話は無視したい衝動に駆られるが、鳴り続ける音楽を止めるにはその受話器を手に取るしか方法は無い。

不承不承、かなりふてくされた声で電話へと答える。

電話の向こうから聞こえてくる声の主は、実家の家族。
母が自動車事故に遭った…という知らせだった。

旅行の満足度
4.5
観光
4.5
グルメ
4.5
交通
4.5
同行者
家族旅行
一人あたり費用
1万円未満
交通手段
自家用車 徒歩
旅行の手配内容
個別手配

PR

  • 8月のお盆。<br />奇跡的にとれた指定券を握りしめ、お盆の帰省客で混みあう人をかき分け新幹線に乗り込む。<br /><br />実家を訪れるのは、ほぼ1年ぶりだ。<br />今までは帰省と云えば過ごしやすい春・秋が殆どで、真夏の田舎は久しぶりだ。<br />もしかしたら20年ぶり位になるのかもしれない。<br /><br />実家は田舎にあるとはいえ、真夏はやはり暑い。<br />暑いが、吹き抜ける風は緑の香りを含み、東京のまとわりつく様な空気とは何かが違う。<br />

    8月のお盆。
    奇跡的にとれた指定券を握りしめ、お盆の帰省客で混みあう人をかき分け新幹線に乗り込む。

    実家を訪れるのは、ほぼ1年ぶりだ。
    今までは帰省と云えば過ごしやすい春・秋が殆どで、真夏の田舎は久しぶりだ。
    もしかしたら20年ぶり位になるのかもしれない。

    実家は田舎にあるとはいえ、真夏はやはり暑い。
    暑いが、吹き抜ける風は緑の香りを含み、東京のまとわりつく様な空気とは何かが違う。

  • 母屋へと続く道を行く。<br /><br />庭には、母が丹精込めて育てていた草木の姿。<br />暑さをかわいそうに思った誰かが、水を撒いたのだろう。<br />葉の繊毛には小さな水玉が絡み、陽の光をキラキラと反射していた。<br /><br />植物たちは真夏でも元気だ。<br />暑さにも負けずにその首をもたげ、訪れる者を涼やかな顔で見上げている。<br />

    母屋へと続く道を行く。

    庭には、母が丹精込めて育てていた草木の姿。
    暑さをかわいそうに思った誰かが、水を撒いたのだろう。
    葉の繊毛には小さな水玉が絡み、陽の光をキラキラと反射していた。

    植物たちは真夏でも元気だ。
    暑さにも負けずにその首をもたげ、訪れる者を涼やかな顔で見上げている。

  • 8月15日<br />父がハンドルを握り、私は助手席へと座る。<br />父の愛車でのドライブ。<br /><br />父と出かけるのは何年ぶりだろう。<br />父との最後の遠出はいつだったのか。<br />10年ぶりにもなるかもしれない。<br /><br />車は日本海の海岸線を走る。<br />日本海側の海岸は砂浜が多い。<br />打ち寄せる波は砂を巻き上げ、白い波の破片が宙を舞う。<br />車の窓を開けると、波打ち際で遊ぶ子ども達の声がかすかに聞こえてきた。<br /><br />空に浮かぶ雲は、秋の気配を感じさせる形。<br />お盆を過ぎると、田舎の気候は一気に秋めいてくる。<br />

    8月15日
    父がハンドルを握り、私は助手席へと座る。
    父の愛車でのドライブ。

    父と出かけるのは何年ぶりだろう。
    父との最後の遠出はいつだったのか。
    10年ぶりにもなるかもしれない。

    車は日本海の海岸線を走る。
    日本海側の海岸は砂浜が多い。
    打ち寄せる波は砂を巻き上げ、白い波の破片が宙を舞う。
    車の窓を開けると、波打ち際で遊ぶ子ども達の声がかすかに聞こえてきた。

    空に浮かぶ雲は、秋の気配を感じさせる形。
    お盆を過ぎると、田舎の気候は一気に秋めいてくる。

  • 車は国道49号線を北へと走る。<br />その途中に気になる看板を見つけ、少しだけ寄り道をすることにした。<br /><br />当初は此処へは寄るつもりはなかったのだが、父の発した一言が立ち寄りを決めた。<br /><br />立ち寄った場所は、新潟県・阿賀町。<br />阿賀町は阿賀野川が流れる町として知られている場所だ。<br /><br />小学校の社会科の公害の項で、阿賀野川の名前を初めて知った人も多いだろう。<br />有機水銀に汚染された産業廃棄物が川へと廃棄され、新潟水俣病の原因を作りだした工場がある場所だ。<br /><br />水俣病資料館も私個人としては非常に興味深いのだが、立ち寄った場所は資料館ではなく、日本一の杉【将軍杉】がある平等寺薬師堂だ。<br />

    車は国道49号線を北へと走る。
    その途中に気になる看板を見つけ、少しだけ寄り道をすることにした。

    当初は此処へは寄るつもりはなかったのだが、父の発した一言が立ち寄りを決めた。

    立ち寄った場所は、新潟県・阿賀町。
    阿賀町は阿賀野川が流れる町として知られている場所だ。

    小学校の社会科の公害の項で、阿賀野川の名前を初めて知った人も多いだろう。
    有機水銀に汚染された産業廃棄物が川へと廃棄され、新潟水俣病の原因を作りだした工場がある場所だ。

    水俣病資料館も私個人としては非常に興味深いのだが、立ち寄った場所は資料館ではなく、日本一の杉【将軍杉】がある平等寺薬師堂だ。

    平等寺薬師堂 名所・史跡

  • 平等寺は阿賀町の山間にある小さなお寺。<br />山寺だがその歴史は古く、平安時代にまで遡ることの出来る曹洞宗のお寺で、現在残る薬師堂は1515年に建てられたお堂だ。<br /><br />1515年と云えば戦国時代。<br />越後の大名であった上杉謙信が生まれるまで、あと15年のころに薬師堂は建てられている。<br /><br />境内の案内板によれば、薬師堂は室町時代中期の禅宗様式の特徴がよく表れている建築物…とのことだったのだが、私にはどの辺が室町っぽいのかイマイチ分からなかった。<br />

    平等寺は阿賀町の山間にある小さなお寺。
    山寺だがその歴史は古く、平安時代にまで遡ることの出来る曹洞宗のお寺で、現在残る薬師堂は1515年に建てられたお堂だ。

    1515年と云えば戦国時代。
    越後の大名であった上杉謙信が生まれるまで、あと15年のころに薬師堂は建てられている。

    境内の案内板によれば、薬師堂は室町時代中期の禅宗様式の特徴がよく表れている建築物…とのことだったのだが、私にはどの辺が室町っぽいのかイマイチ分からなかった。

  • ただ、お堂の屋根には、ちょっと感動した。<br />茅葺の屋根の上には苔がびっしりと生え、その上には風が運んだのか、鳥が運んだのか、小さな植物たちがまるで小宇宙を作るかのように生えていた。<br /><br />人工的な森ではない、植物自身がその意思で作りだした小さな森。<br /><br />なんだか素敵な風景♪<br />

    ただ、お堂の屋根には、ちょっと感動した。
    茅葺の屋根の上には苔がびっしりと生え、その上には風が運んだのか、鳥が運んだのか、小さな植物たちがまるで小宇宙を作るかのように生えていた。

    人工的な森ではない、植物自身がその意思で作りだした小さな森。

    なんだか素敵な風景♪

  • お堂の奥には鈍色に輝く阿弥陀如来像がかすかに見えるが、そのお顔の様子までは分からない。<br /><br />お堂の格子の間からは見えるのは、おびんづる様。<br />体に不具合がある時には、仏様のその場所を撫でれば痛みが治まると云われるおびんづる様。<br />撫で仏とも言われるおびんづる様の膝小僧の部分は、色が剥げていた。<br /><br />やはり昔ながらの農村地帯では畑仕事も多く、膝に症状のでる年配の方も多いのだろう。

    お堂の奥には鈍色に輝く阿弥陀如来像がかすかに見えるが、そのお顔の様子までは分からない。

    お堂の格子の間からは見えるのは、おびんづる様。
    体に不具合がある時には、仏様のその場所を撫でれば痛みが治まると云われるおびんづる様。
    撫で仏とも言われるおびんづる様の膝小僧の部分は、色が剥げていた。

    やはり昔ながらの農村地帯では畑仕事も多く、膝に症状のでる年配の方も多いのだろう。

  • 境内の森の中へと足を踏み入れる。<br />朝の森の中は、空気がヒンヤリとしている。<br />森の木々が気孔から出す酸素に葉緑素が入りこみ、その色が空気中に溶け込んだかの様に、森の空気が碧がかって見える。<br /><br />樹の周りに廻らされた木道は昨夜の雨で濡れていて滑りやすくなっていた。<br />足元に注意しながら歩く。<br /><br />入口からほんの数分で、大きな杉の木である将軍杉へと辿り着いた。

    イチオシ

    境内の森の中へと足を踏み入れる。
    朝の森の中は、空気がヒンヤリとしている。
    森の木々が気孔から出す酸素に葉緑素が入りこみ、その色が空気中に溶け込んだかの様に、森の空気が碧がかって見える。

    樹の周りに廻らされた木道は昨夜の雨で濡れていて滑りやすくなっていた。
    足元に注意しながら歩く。

    入口からほんの数分で、大きな杉の木である将軍杉へと辿り着いた。

  • 将軍杉の説明看板には【日本一】の文字。<br /><br />杉の日本一と云えば屋久島の縄文杉を思い浮かべるが、実はこの将軍杉が一番だそうだ。<br />日本一と言ってもその基準には、樹齢、高さ、胴回り…といろいろあるが、将軍杉が1番と判定された理由は19.3mの太い胴回りが理由。<br /><br />縄文杉も大きい印象があるが、一番太い杉でも、その胴回りは19m以下であるため、阿賀町の将軍杉が、日本一に認定された。<br /><br />日本で一番の杉…と云えば縄文杉だと思い込んでいたので、ビックリ!<br /><br />日本人の知らない日本一!が、ここにはあった。

    将軍杉の説明看板には【日本一】の文字。

    杉の日本一と云えば屋久島の縄文杉を思い浮かべるが、実はこの将軍杉が一番だそうだ。
    日本一と言ってもその基準には、樹齢、高さ、胴回り…といろいろあるが、将軍杉が1番と判定された理由は19.3mの太い胴回りが理由。

    縄文杉も大きい印象があるが、一番太い杉でも、その胴回りは19m以下であるため、阿賀町の将軍杉が、日本一に認定された。

    日本で一番の杉…と云えば縄文杉だと思い込んでいたので、ビックリ!

    日本人の知らない日本一!が、ここにはあった。

  • で、何故、将軍杉のあるこの場所へ立ち寄ることになったかというと、それは車の中での父との会話。<br /><br />国道49号線沿いに出ていた将軍杉の看板を見た父が、呟いた一言だ。<br />「昔、母さんと一緒にここを訪れたことがある。確か、君も一緒だった…と思うのだが。覚えていないかい?」<br /><br />私にはまったく将軍杉に会いに来たことがある…なんていう記憶は残っていない。<br />だから、いつごろの話かと父に問いただす。<br />「お前が数か月の頃…だったかな」<br />まさか…、生後数か月の頃の記憶なんて残っているわけはない。<br />父の話はさらに続いた。<br />「お前が母さんのおなかに宿って数か月目の頃だよ」<br /><br />もう…。真面目に話を聞いて損をした。<br />胎児の記憶を今でも持っていたら、今頃は私は教祖様にでもなって、大儲けをしているだろう。<br /><br />でも、ずっと昔に父と母がデートした場所なんていう曰くつき(ロマンチックと云えば聞こえがいいのだろうが…)の場所へはまだ行ったことが無かったので、せっかくなので、二人の思い出の場所へ立ち寄ってみることにした…という訳だ。

    で、何故、将軍杉のあるこの場所へ立ち寄ることになったかというと、それは車の中での父との会話。

    国道49号線沿いに出ていた将軍杉の看板を見た父が、呟いた一言だ。
    「昔、母さんと一緒にここを訪れたことがある。確か、君も一緒だった…と思うのだが。覚えていないかい?」

    私にはまったく将軍杉に会いに来たことがある…なんていう記憶は残っていない。
    だから、いつごろの話かと父に問いただす。
    「お前が数か月の頃…だったかな」
    まさか…、生後数か月の頃の記憶なんて残っているわけはない。
    父の話はさらに続いた。
    「お前が母さんのおなかに宿って数か月目の頃だよ」

    もう…。真面目に話を聞いて損をした。
    胎児の記憶を今でも持っていたら、今頃は私は教祖様にでもなって、大儲けをしているだろう。

    でも、ずっと昔に父と母がデートした場所なんていう曰くつき(ロマンチックと云えば聞こえがいいのだろうが…)の場所へはまだ行ったことが無かったので、せっかくなので、二人の思い出の場所へ立ち寄ってみることにした…という訳だ。

  • この日の本来の目的は、新潟県から福島県にかけての地方のドライブ。<br />父と母の思い出の地を辿る旅だ。<br /><br />お盆の土曜日だというのに、国道49号線はガラガラ。<br />休日の都内の渋滞を見慣れていると、あまりの車の少なさに驚いてしまう。<br /><br />道沿いには昔ながらの茅葺の家々が作る風景が見えて、のどかな田舎風景だ。<br />写真の茅葺の家々も風景の中に溶け込んでいて、とても素敵だった。<br /><br />これらの家々は昔は茅葺の屋根をそのまま風雨に晒していたのだろうが、今は茅を保護する板で屋根全体を覆ってしまっている。<br />でも、茅葺の屋根の美しいシルエットはそのまま残されていた。

    イチオシ

    この日の本来の目的は、新潟県から福島県にかけての地方のドライブ。
    父と母の思い出の地を辿る旅だ。

    お盆の土曜日だというのに、国道49号線はガラガラ。
    休日の都内の渋滞を見慣れていると、あまりの車の少なさに驚いてしまう。

    道沿いには昔ながらの茅葺の家々が作る風景が見えて、のどかな田舎風景だ。
    写真の茅葺の家々も風景の中に溶け込んでいて、とても素敵だった。

    これらの家々は昔は茅葺の屋根をそのまま風雨に晒していたのだろうが、今は茅を保護する板で屋根全体を覆ってしまっている。
    でも、茅葺の屋根の美しいシルエットはそのまま残されていた。

  • 国道49号線は面白い道で、新潟県から福島県側へと入ると途端に道幅が細くなり、山道的要素が強くなる。<br /><br />道は49号線から459号線へ道を移り、蕎麦で有名な宮古地区を通過し喜多方へと向かう。<br /><br />喜多方と云えば蔵の街。<br />父が私にどうしても見せたい蔵があるという。<br />

    国道49号線は面白い道で、新潟県から福島県側へと入ると途端に道幅が細くなり、山道的要素が強くなる。

    道は49号線から459号線へ道を移り、蕎麦で有名な宮古地区を通過し喜多方へと向かう。

    喜多方と云えば蔵の街。
    父が私にどうしても見せたい蔵があるという。

    喜多方駅

  • 喜多方駅前に車を停め、駅の観光案内所で観光マップを入手する。<br /><br />駅前にも蔵造りの建物があり、煉瓦つくりの蔵には蔦が這い、趣がある。<br />

    喜多方駅前に車を停め、駅の観光案内所で観光マップを入手する。

    駅前にも蔵造りの建物があり、煉瓦つくりの蔵には蔦が這い、趣がある。

  • 車の中から蔵の街を眺める。<br /><br />電線が地中に埋められ、蔵造りの建物が更に魅力的に見える。<br />

    車の中から蔵の街を眺める。

    電線が地中に埋められ、蔵造りの建物が更に魅力的に見える。

  • 父が私を連れてきたかった場所。<br />それは、甲斐本家蔵座敷。<br /><br />喜多方にある数多くの蔵の中でも父のお気に入りの場所(多分、母も好きそうだ)で、久々に訪れてみたかった…ということだ。<br /><br />甲斐家は幕末から喜多方に居を構え、酒造業、製糸業と時代の波に乗り日本のみならず海外にも顧客を持つ大商人の家。<br />現在、喜多方に残る甲斐本家蔵座敷は大正時代に作られた屋敷で、昔ながらの蔵造りの家の様子を現代に伝えている。<br />

    父が私を連れてきたかった場所。
    それは、甲斐本家蔵座敷。

    喜多方にある数多くの蔵の中でも父のお気に入りの場所(多分、母も好きそうだ)で、久々に訪れてみたかった…ということだ。

    甲斐家は幕末から喜多方に居を構え、酒造業、製糸業と時代の波に乗り日本のみならず海外にも顧客を持つ大商人の家。
    現在、喜多方に残る甲斐本家蔵座敷は大正時代に作られた屋敷で、昔ながらの蔵造りの家の様子を現代に伝えている。

    旧甲斐家蔵住宅 名所・史跡

    漆黒の甲冑を纏う武士 by ウェンディさん
  • 母屋の二階部分にある重厚な蔵。<br /><br />黒く塗られたその蔵の色と屋根瓦の海老茶色の対比が美しい。<br /><br />

    母屋の二階部分にある重厚な蔵。

    黒く塗られたその蔵の色と屋根瓦の海老茶色の対比が美しい。

  • この蔵屋敷で凄いのは蔵だけではなく、客間として建てられた日本間。<br />日本中から紫檀・黒檀・鉄刀木(たがやさん)の銘木を集めて、作らせたそうだ。<br /><br />障子や襖の縁は全て黒檀。<br />黒檀はとても固く重い木なので、その襖を支える敷居は普通の材木では撓んでしまう。<br />だから、敷居に使われている樹木は全て硬く丈夫な樫の木を使っている。<br /><br />商売人の家の客間なので、客人(取引先)に自分の財力を見せつける一つの手段としての客間なのだろうが、その手の込み方が半端なく凄い。<br /><br />そして、日本間の縁側の天井。<br />普通ならば、此処も和風な造りだろうと想像するが、その天井はアーチを描く洋風な雰囲気。<br /><br />喜多方…と云えば内陸部の田舎の印象だったが、大正時代、ここは日本の建築の最先端を行く場所だったのかもしれない。

    この蔵屋敷で凄いのは蔵だけではなく、客間として建てられた日本間。
    日本中から紫檀・黒檀・鉄刀木(たがやさん)の銘木を集めて、作らせたそうだ。

    障子や襖の縁は全て黒檀。
    黒檀はとても固く重い木なので、その襖を支える敷居は普通の材木では撓んでしまう。
    だから、敷居に使われている樹木は全て硬く丈夫な樫の木を使っている。

    商売人の家の客間なので、客人(取引先)に自分の財力を見せつける一つの手段としての客間なのだろうが、その手の込み方が半端なく凄い。

    そして、日本間の縁側の天井。
    普通ならば、此処も和風な造りだろうと想像するが、その天井はアーチを描く洋風な雰囲気。

    喜多方…と云えば内陸部の田舎の印象だったが、大正時代、ここは日本の建築の最先端を行く場所だったのかもしれない。

  • 壁も土壁に金箔を施した大唐紙を嵌め込むゴージャスさ。<br /><br />この日は、ちょうど解説員の方がいらしたので、この奥座敷について詳しく説明していただいた。<br />私も父も綺麗な建築物には興味があるので、説明員の方に逆に質問したり…と、此処だけで30分位かけて見学をした。<br />

    壁も土壁に金箔を施した大唐紙を嵌め込むゴージャスさ。

    この日は、ちょうど解説員の方がいらしたので、この奥座敷について詳しく説明していただいた。
    私も父も綺麗な建築物には興味があるので、説明員の方に逆に質問したり…と、此処だけで30分位かけて見学をした。

  • 庭から奥座敷を眺める。<br />奥座敷とコラボした黒光りする蔵。<br /><br />1階が煌びやかなお座敷で、2階が蔵屋敷…。<br />こんな建築物があるのは、日本広しと云えども喜多方だけなのではないだろうか。<br /><br />

    庭から奥座敷を眺める。
    奥座敷とコラボした黒光りする蔵。

    1階が煌びやかなお座敷で、2階が蔵屋敷…。
    こんな建築物があるのは、日本広しと云えども喜多方だけなのではないだろうか。

  • 甲斐本家の蔵は黒光りする重厚な姿をしている。<br /><br />これは、壁の外壁に黒漆喰を何度も重ね塗りし、その重厚感を出しているという。<br />陽光の中に浮かびあがるその姿は、なんとなく黒の甲冑を身に付けた武士を連想させるかもしれない。<br /><br />この蔵屋敷は「烏城」との別名を持つ。<br />確かに蔵の色は、烏の濡れ羽色にも見える。

    イチオシ

    甲斐本家の蔵は黒光りする重厚な姿をしている。

    これは、壁の外壁に黒漆喰を何度も重ね塗りし、その重厚感を出しているという。
    陽光の中に浮かびあがるその姿は、なんとなく黒の甲冑を身に付けた武士を連想させるかもしれない。

    この蔵屋敷は「烏城」との別名を持つ。
    確かに蔵の色は、烏の濡れ羽色にも見える。

  • 邸内には、味噌や酒の醸造に使われた施設も残されている。<br />当時の井戸もあり、現在でも地中深く穴が穿たれてるが、現在は使用できないそうだ。<br /><br />当時の井戸の深さは、現在の井戸水採取基準よりも浅く、井戸として再び利用するためには、更に深く掘削しなければならないとのこと。<br /><br />折角、美味しい水が採れる場所なのにカラ井戸にしておくのはもったいない。<br />

    邸内には、味噌や酒の醸造に使われた施設も残されている。
    当時の井戸もあり、現在でも地中深く穴が穿たれてるが、現在は使用できないそうだ。

    当時の井戸の深さは、現在の井戸水採取基準よりも浅く、井戸として再び利用するためには、更に深く掘削しなければならないとのこと。

    折角、美味しい水が採れる場所なのにカラ井戸にしておくのはもったいない。

  • その昔の奥さまが嫁入り道具として持参した足踏みオルガンやミシンも展示されていた。<br /><br />足踏みオルガンの踏み板が、革を用いたモザイク柄でなかなかオシャレだ。<br /><br />

    その昔の奥さまが嫁入り道具として持参した足踏みオルガンやミシンも展示されていた。

    足踏みオルガンの踏み板が、革を用いたモザイク柄でなかなかオシャレだ。

  • 甲斐本家にあるのは日本庭園や日本家屋だけではなく、応接間として利用されていた西洋室もある。<br /><br />ここは喫茶室として利用でき、大正浪漫溢れる部屋の中で戴くコーヒーは最高!と父のお勧めの場所だった。<br />「場所だった…」と書いたのは、現在は、喫茶室としての利用は行っていないから。<br />大震災を機に喫茶室は閉鎖し、現在は少し離れた場所から、部屋の中を覗けるだけとなってしまっている。<br /><br />喜多方に来るまで、喫茶室が閉鎖しているという情報を知らなかった父は、チョッピリと肩を落としていた。<br />この喫茶室は、母との思い出の場所でもあったそうだ。

    甲斐本家にあるのは日本庭園や日本家屋だけではなく、応接間として利用されていた西洋室もある。

    ここは喫茶室として利用でき、大正浪漫溢れる部屋の中で戴くコーヒーは最高!と父のお勧めの場所だった。
    「場所だった…」と書いたのは、現在は、喫茶室としての利用は行っていないから。
    大震災を機に喫茶室は閉鎖し、現在は少し離れた場所から、部屋の中を覗けるだけとなってしまっている。

    喜多方に来るまで、喫茶室が閉鎖しているという情報を知らなかった父は、チョッピリと肩を落としていた。
    この喫茶室は、母との思い出の場所でもあったそうだ。

  • 西洋室の窓からは、庭の青々とした木々の姿が見える。<br /><br />紅葉の時期には、この窓が最高の額縁となるのだろう。<br />

    西洋室の窓からは、庭の青々とした木々の姿が見える。

    紅葉の時期には、この窓が最高の額縁となるのだろう。

  • 西洋室を入口の手前から眺める。<br /><br />シャンデリアが照らしだす室内はとっても素敵。<br />私も、ここでお茶したかったな。<br />

    西洋室を入口の手前から眺める。

    シャンデリアが照らしだす室内はとっても素敵。
    私も、ここでお茶したかったな。

  • そして、甲斐本家には、まだまだ見所がある。<br />それは、この写真の階段。<br />この階段は、ただの階段ではない。<br /><br />欅の大木を削って造られた線状の釣り階段で、階段の途中にひねりが加えられ、2階へと続いている。<br />

    そして、甲斐本家には、まだまだ見所がある。
    それは、この写真の階段。
    この階段は、ただの階段ではない。

    欅の大木を削って造られた線状の釣り階段で、階段の途中にひねりが加えられ、2階へと続いている。

  • 階段を裏から見ると、その不思議な形が更によくわかる。<br /><br />今は、老朽化により必要時以外は登ることが出来ないが、その昔は、2階部分は下宿として使われていたとのこと。<br /><br />こんな素敵な歴史ある建物で下宿だなんて、羨ましすぎる。

    階段を裏から見ると、その不思議な形が更によくわかる。

    今は、老朽化により必要時以外は登ることが出来ないが、その昔は、2階部分は下宿として使われていたとのこと。

    こんな素敵な歴史ある建物で下宿だなんて、羨ましすぎる。

  • 喜多方では、甲斐本家の蔵屋敷だけの予定だったのだが、観光案内所で美しい日本庭園を持つ酒造があるというので、そこにも寄り道する。<br /><br />立ち寄ったのは、ほまれ酒造。<br />会津ほまれの酒蔵だ。<br />

    喜多方では、甲斐本家の蔵屋敷だけの予定だったのだが、観光案内所で美しい日本庭園を持つ酒造があるというので、そこにも寄り道する。

    立ち寄ったのは、ほまれ酒造。
    会津ほまれの酒蔵だ。

  • この日は土曜日なので、酒造見学はお休みで、見ることのできるのは日本庭園のみ。<br />奥行きのある庭園の中に小さな滝が作られ、そこから清水が流れ落ちている。<br /><br />苔むした岩と緑の木々。<br />夏の涼…といった感じの日本庭園だった。<br />

    この日は土曜日なので、酒造見学はお休みで、見ることのできるのは日本庭園のみ。
    奥行きのある庭園の中に小さな滝が作られ、そこから清水が流れ落ちている。

    苔むした岩と緑の木々。
    夏の涼…といった感じの日本庭園だった。

  • 酒造の脇には、仕込みに使う水と同じ井戸の水が自由に飲めるようになっていた。<br /><br />山間で若干涼しい喜多方とはいえ、30℃近い気温。<br />水は冷たく、美味しかった。<br />

    酒造の脇には、仕込みに使う水と同じ井戸の水が自由に飲めるようになっていた。

    山間で若干涼しい喜多方とはいえ、30℃近い気温。
    水は冷たく、美味しかった。

  • 喜多方で、予定よりもゆっくりと過ごしてしまい、あっという間にお昼の時間。<br /><br />喜多方と云えばラーメンなのだが、父も私も細麺が好きなので、太麺の多い喜多方ラーメンよりは、蕎麦が食べたい。<br /><br />だから、国道459号を檜原湖まで突っ走る。<br /><br />そして、桧原湖畔でお昼の時間。<br />裏磐梯の蕎麦は美味しい。<br />透明感があり、コシのある蕎麦。<br />父や私好みの蕎麦だ。<br /><br />折角なので、川魚の焼き物も注文する。<br />なかなか新鮮な川魚を食べる機会も無いのだが、こんな時に食べる川魚は本当に美味しい。

    喜多方で、予定よりもゆっくりと過ごしてしまい、あっという間にお昼の時間。

    喜多方と云えばラーメンなのだが、父も私も細麺が好きなので、太麺の多い喜多方ラーメンよりは、蕎麦が食べたい。

    だから、国道459号を檜原湖まで突っ走る。

    そして、桧原湖畔でお昼の時間。
    裏磐梯の蕎麦は美味しい。
    透明感があり、コシのある蕎麦。
    父や私好みの蕎麦だ。

    折角なので、川魚の焼き物も注文する。
    なかなか新鮮な川魚を食べる機会も無いのだが、こんな時に食べる川魚は本当に美味しい。

  • 食後は、チョッピリとハイキング。<br />檜原湖の駐車場(無料)に車を停め、五色沼の自然探勝路を歩く。<br /><br />実は、父も母もこの五色沼の探勝路は通しでは歩いたことが無かったらしい。<br />だから、久しぶりに軽い足慣らし…という事で、お散歩に誘ってみた。<br />

    食後は、チョッピリとハイキング。
    檜原湖の駐車場(無料)に車を停め、五色沼の自然探勝路を歩く。

    実は、父も母もこの五色沼の探勝路は通しでは歩いたことが無かったらしい。
    だから、久しぶりに軽い足慣らし…という事で、お散歩に誘ってみた。

  • 五色沼の自然探勝路は1本道。<br /><br />同じ道を往復しても良いのだが、片道約1時間で往復すれば2時間が必要。<br />往復しても見られる五色沼の景色は同じなので、路線バスを利用しての片道ワープ作戦。<br />桧原湖畔の裏磐梯高原バス停(地図右上)からバスに乗り、探勝路の片側の出発地点である五色沼入口バス停(地図左下)へと移動する。<br /><br />通常は、この路線バスは2時間に1本と本数が少ないローカルバス路線なのだが、さすがお盆のかき入れ時。<br />この日は利用者も多いので、15分ごとに臨時バスが出ていた。<br /><br />レトロなボンネットバスの姿もある。(バス代:250円/大人、所要時間10分弱)

    五色沼の自然探勝路は1本道。

    同じ道を往復しても良いのだが、片道約1時間で往復すれば2時間が必要。
    往復しても見られる五色沼の景色は同じなので、路線バスを利用しての片道ワープ作戦。
    桧原湖畔の裏磐梯高原バス停(地図右上)からバスに乗り、探勝路の片側の出発地点である五色沼入口バス停(地図左下)へと移動する。

    通常は、この路線バスは2時間に1本と本数が少ないローカルバス路線なのだが、さすがお盆のかき入れ時。
    この日は利用者も多いので、15分ごとに臨時バスが出ていた。

    レトロなボンネットバスの姿もある。(バス代:250円/大人、所要時間10分弱)

  • 裏磐梯ビジターセンター脇のバス停(五色沼入口)でバスを降り、まずは五色沼の中でも一番大きな沼である毘沙門沼へ向かう。<br />毘沙門沼へは大駐車場からも徒歩1分なので、大勢の観光客が詰めかけ皇居のお堀みたいにボートが沢山浮かんでいた。<br /><br />毘沙門沼の背後には本当ならば、磐梯山の大きなクレーターが見えるはずなのだが、この時はあいにく雲の中で残念。

    裏磐梯ビジターセンター脇のバス停(五色沼入口)でバスを降り、まずは五色沼の中でも一番大きな沼である毘沙門沼へ向かう。
    毘沙門沼へは大駐車場からも徒歩1分なので、大勢の観光客が詰めかけ皇居のお堀みたいにボートが沢山浮かんでいた。

    毘沙門沼の背後には本当ならば、磐梯山の大きなクレーターが見えるはずなのだが、この時はあいにく雲の中で残念。

    毘沙門沼 自然・景勝地

    The 観光地的な沼なので、此処だけ見てがっかりしないで! 立ち止まらず、その先へと歩きましょう  by ウェンディさん
  • 毘沙門沼に沿って5分も歩くと、観光客の数はぐっと減り、見えてくる沼の色も五色沼独特の色合いに。<br /><br />この写真の沼は1枚前と同じ毘沙門沼だが沼の色は明らかに異なる。<br /><br />酸性の銅色の泥と磐梯山から湧き出すアルカリ性の水。<br />その二つが混じりあうと…化学反応が起き、こんな美しい緑色の湖面が出来上がる。

    毘沙門沼に沿って5分も歩くと、観光客の数はぐっと減り、見えてくる沼の色も五色沼独特の色合いに。

    この写真の沼は1枚前と同じ毘沙門沼だが沼の色は明らかに異なる。

    酸性の銅色の泥と磐梯山から湧き出すアルカリ性の水。
    その二つが混じりあうと…化学反応が起き、こんな美しい緑色の湖面が出来上がる。

  • 赤沼と呼ばれる沼だ。<br /><br />赤沼は、以前は単独水系の沼で沼水のpHが強酸性で沼の大部分が鉄さび色だったそうだが、地震の影響で水脈が変わり、赤沼にもアルカリ水が流れ込むようになった。<br /><br />だから、現在のその沼水の色は酸とアルカリの化学反応の結果の翡翠色。<br />沼の流木の葉や岸辺に生えた藻に赤い泥が付き、翡翠色の中に不思議な絵を描いている。<br />

    赤沼と呼ばれる沼だ。

    赤沼は、以前は単独水系の沼で沼水のpHが強酸性で沼の大部分が鉄さび色だったそうだが、地震の影響で水脈が変わり、赤沼にもアルカリ水が流れ込むようになった。

    だから、現在のその沼水の色は酸とアルカリの化学反応の結果の翡翠色。
    沼の流木の葉や岸辺に生えた藻に赤い泥が付き、翡翠色の中に不思議な絵を描いている。

    五色沼湖沼群 自然・景勝地

    大地と水が織りなすスペクタルなマジック・ショー  by ウェンディさん
  • 夏色の木々の間に覗くエメラルド色の沼は弁天沼。<br />陽の光が当たると、その輝きが更に増す。<br />

    夏色の木々の間に覗くエメラルド色の沼は弁天沼。
    陽の光が当たると、その輝きが更に増す。

  • 弁天沼の背後には吾妻連峰が見える。

    弁天沼の背後には吾妻連峰が見える。

    五色沼自然探勝路 公園・植物園

    片道約3kmの沼めぐり~路線バス(繁忙期は臨時便あり)利用が便利 by ウェンディさん
  • 弁天沼の向かい側にある瑠璃沼からは磐梯山の姿も見える。<br /><br />ようやく、空が晴れてきたようだ。<br />

    弁天沼の向かい側にある瑠璃沼からは磐梯山の姿も見える。

    ようやく、空が晴れてきたようだ。

    瑠璃沼 自然・景勝地

  • 歩き始めから約1時間。<br />そろそろ沼歩きも最後。<br /><br />青沼が見えてきた。<br /><br />五色沼の沼水が青く見える理由は酸とアルカリの化学反応なのだが、化学反応で青い色素が生まれるわけではない。<br />泥とアルカリ水が化学反応し生成された沈殿物が細かな粒子となり、湖面に浮かび、そこに太陽光があたり、粒子は青色の反射を起こし、湖面が青く輝く鏡となって見えている。

    歩き始めから約1時間。
    そろそろ沼歩きも最後。

    青沼が見えてきた。

    五色沼の沼水が青く見える理由は酸とアルカリの化学反応なのだが、化学反応で青い色素が生まれるわけではない。
    泥とアルカリ水が化学反応し生成された沈殿物が細かな粒子となり、湖面に浮かび、そこに太陽光があたり、粒子は青色の反射を起こし、湖面が青く輝く鏡となって見えている。

  • 青沼の沈殿物や浮遊物には、多分ケイ素が多いのだろう。<br /><br />沼水に含まれるケイ素が沼面に触れた木々の枝に付着し、太陽の熱で乾燥したケイ素の白色が、まるで木々の枝先に化粧を施したようだ。<br /><br />その姿が微粒子の乱反射で鏡と化した湖面へと移りこむ。<br /><br />不思議な光景だ。<br /><br />こんな沼は、初めて見たかもしれない。

    イチオシ

    地図を見る

    青沼の沈殿物や浮遊物には、多分ケイ素が多いのだろう。

    沼水に含まれるケイ素が沼面に触れた木々の枝に付着し、太陽の熱で乾燥したケイ素の白色が、まるで木々の枝先に化粧を施したようだ。

    その姿が微粒子の乱反射で鏡と化した湖面へと移りこむ。

    不思議な光景だ。

    こんな沼は、初めて見たかもしれない。

    青沼 自然・景勝地

    白い粉は何処からやって来たのか… by ウェンディさん
  • タップリ1時間の五色沼の散策の後は、父が“我が家の別荘”と呼ぶ場所へと向かう。<br /><br />初めて、我が家の別荘の存在を聞いたのは20年位前だろうか。<br />当時は、何時の間にそんなものを…と思ったのだが、よくよく話を聞くと、我が家の別荘にしたいような景色のあるホテルの喫茶室…と云うのが真相だった。<br /><br />昔は、母が“お金がない〜”というと、「裏の宝物殿からとって来るから、少し待っていてね♪」といい、暫くするとお金を手に帰ってきた父。<br />まだ幼かった私は、我が家には金銀財宝が詰まった宝物殿があるのかと思いかけたが、そんなものがある訳はない。<br />父の言う宝物殿とは、銀行のこと。<br />確かに銀行は、金銀財宝がザックザク。<br />他人様のものかもしれないが、お金は無尽蔵に詰まっている場所であることには間違いない。<br /><br />父は、いつだってお茶目さを忘れていない。<br /><br />私達が向かった通称;我が家の別荘は、裏磐梯高原ホテル。<br />私も此処には何度か連れてきてもらっているが、ここの喫茶室は本当にお勧めだ。

    タップリ1時間の五色沼の散策の後は、父が“我が家の別荘”と呼ぶ場所へと向かう。

    初めて、我が家の別荘の存在を聞いたのは20年位前だろうか。
    当時は、何時の間にそんなものを…と思ったのだが、よくよく話を聞くと、我が家の別荘にしたいような景色のあるホテルの喫茶室…と云うのが真相だった。

    昔は、母が“お金がない〜”というと、「裏の宝物殿からとって来るから、少し待っていてね♪」といい、暫くするとお金を手に帰ってきた父。
    まだ幼かった私は、我が家には金銀財宝が詰まった宝物殿があるのかと思いかけたが、そんなものがある訳はない。
    父の言う宝物殿とは、銀行のこと。
    確かに銀行は、金銀財宝がザックザク。
    他人様のものかもしれないが、お金は無尽蔵に詰まっている場所であることには間違いない。

    父は、いつだってお茶目さを忘れていない。

    私達が向かった通称;我が家の別荘は、裏磐梯高原ホテル。
    私も此処には何度か連れてきてもらっているが、ここの喫茶室は本当にお勧めだ。

  • お勧めの理由その1は、美味しいケーキセット。<br /><br />ホテルの喫茶室なので安くはないが(確か、飲み物+ケーキで1200円程度)、中途半端な喫茶店やカフェのケーキよりは断然美味しい。<br />

    お勧めの理由その1は、美味しいケーキセット。

    ホテルの喫茶室なので安くはないが(確か、飲み物+ケーキで1200円程度)、中途半端な喫茶店やカフェのケーキよりは断然美味しい。

  • そして、理由その2は、喫茶室から見える絶景。<br />春・夏・秋・冬。<br />何時の季節に来ても、弥六沼とその背後にそびえる磐梯山の雄大な景色を眺めることができる。<br /><br />この場所は、両親の思い出の場所でもあるらしい。<br />なんでも、結婚前にもドライブできて、その時に立ち寄ったのがこの喫茶室との最初の出会いだったという事だ。<br />以来、一年に一度は二人で必ず訪れる場所だったそうだ。<br /><br />父も私も落ちついた気持ちで、窓の外に広がる雄大な光景を眺める。

    そして、理由その2は、喫茶室から見える絶景。
    春・夏・秋・冬。
    何時の季節に来ても、弥六沼とその背後にそびえる磐梯山の雄大な景色を眺めることができる。

    この場所は、両親の思い出の場所でもあるらしい。
    なんでも、結婚前にもドライブできて、その時に立ち寄ったのがこの喫茶室との最初の出会いだったという事だ。
    以来、一年に一度は二人で必ず訪れる場所だったそうだ。

    父も私も落ちついた気持ちで、窓の外に広がる雄大な光景を眺める。

    弥六沼 自然・景勝地

    磐梯山のカルデラとのコラボでお勧めの沼は? by ウェンディさん
  • 磐梯山の大きなカルデラが目の前に広がる。<br />この北面斜面のカルデラは、1888年の水蒸気爆発による山体崩落で形成された大きな穴。<br />磐梯山の噴火で、このカルデラにあった岩や石が四方八方に飛び散り、その岩は付近の村にも降り注ぎ、死者477名を出したという。<br /><br />先ほど歩いた緑色が鮮やかな五色沼。<br />あの沼も噴火が起きた1888年以前には、この地にはなかった。<br />磐梯山の噴火による土石流で麓の河がせき止められ、300個もの湖沼を作り出したそうだ。<br /><br />五色沼の畔を歩いているとき、森の中に大きな岩がごろごろしている場所があった。<br />溶岩石ではなかったので火山との関連性はそのときは思いつかなかったが、きっとあれらの大きな岩は、磐梯山の山頂付近の岩が土石流により押し流されてきたのだろう。<br /><br />大地のうねり、山の怒りである噴火。<br />1888年の噴火の時、豊かな農村風景は一瞬にして瓦礫の山と変わり、噴石流から逃げ惑う村人の姿がこの地にはあったのだ。<br /><br />今、私の目の前に広がる穏やかな磐梯山の姿。<br />この山が牙をむき、全てを一瞬にして無へと変えてしまった瞬が、この地には存在した…。

    イチオシ

    地図を見る

    磐梯山の大きなカルデラが目の前に広がる。
    この北面斜面のカルデラは、1888年の水蒸気爆発による山体崩落で形成された大きな穴。
    磐梯山の噴火で、このカルデラにあった岩や石が四方八方に飛び散り、その岩は付近の村にも降り注ぎ、死者477名を出したという。

    先ほど歩いた緑色が鮮やかな五色沼。
    あの沼も噴火が起きた1888年以前には、この地にはなかった。
    磐梯山の噴火による土石流で麓の河がせき止められ、300個もの湖沼を作り出したそうだ。

    五色沼の畔を歩いているとき、森の中に大きな岩がごろごろしている場所があった。
    溶岩石ではなかったので火山との関連性はそのときは思いつかなかったが、きっとあれらの大きな岩は、磐梯山の山頂付近の岩が土石流により押し流されてきたのだろう。

    大地のうねり、山の怒りである噴火。
    1888年の噴火の時、豊かな農村風景は一瞬にして瓦礫の山と変わり、噴石流から逃げ惑う村人の姿がこの地にはあったのだ。

    今、私の目の前に広がる穏やかな磐梯山の姿。
    この山が牙をむき、全てを一瞬にして無へと変えてしまった瞬が、この地には存在した…。

    裏磐梯高原ホテル 宿・ホテル

    宿泊は高いけれど…その景観だけでも行く価値あり♪ by ウェンディさん
  • さあ、そろそろ帰る時間だ。<br /><br />来るときはノンビリと下道できたが、帰りは少しズルをして磐越自動車道を利用する。<br />津川I.C.で高速を降り、本日最後の目的地である奥阿賀の秘湯へと向かう。<br /><br />向かった先は奥阿賀にある≪かのせ温泉≫赤崎荘。<br /><br />赤崎荘は阿賀野川を見下ろす高台に建つ小さな温泉で、日帰り入浴も可能な施設だ。

    さあ、そろそろ帰る時間だ。

    来るときはノンビリと下道できたが、帰りは少しズルをして磐越自動車道を利用する。
    津川I.C.で高速を降り、本日最後の目的地である奥阿賀の秘湯へと向かう。

    向かった先は奥阿賀にある≪かのせ温泉≫赤崎荘。

    赤崎荘は阿賀野川を見下ろす高台に建つ小さな温泉で、日帰り入浴も可能な施設だ。

    磐梯山 自然・景勝地

    表と裏がある山 by ウェンディさん
  • ≪かのせ温泉≫赤崎荘は、10人も入ったら満杯になりそうな小さな温泉施設だが、そのお湯は気持ちいい。<br />温泉の大きなガラス窓の下にはダム湖が広がり、山肌は夕陽にてらされ、その姿がダム湖の湖面へと移る。<br /><br />目の前のススキが、もうすぐ秋が来ることを教えてくれている。<br /><br />温泉の効能は疲労回復や、筋肉痛、関節痛など。<br />かなり熱めのお湯だが、気持ちが良い。<br /><br />「ねえ母さん、この温泉は筋肉系に効きそうだから、交通事故の後遺症にも効果があるかもね…」<br />湯船の中で私は、一人呟く。<br /><br />私の隣で湯船に肩までドップリと漬かった母は、私の言葉が聞こえたのか、聞こえなかったのか、絶景に目を注ぎ、気持ちよさそうにくつろいでいた。

    ≪かのせ温泉≫赤崎荘は、10人も入ったら満杯になりそうな小さな温泉施設だが、そのお湯は気持ちいい。
    温泉の大きなガラス窓の下にはダム湖が広がり、山肌は夕陽にてらされ、その姿がダム湖の湖面へと移る。

    目の前のススキが、もうすぐ秋が来ることを教えてくれている。

    温泉の効能は疲労回復や、筋肉痛、関節痛など。
    かなり熱めのお湯だが、気持ちが良い。

    「ねえ母さん、この温泉は筋肉系に効きそうだから、交通事故の後遺症にも効果があるかもね…」
    湯船の中で私は、一人呟く。

    私の隣で湯船に肩までドップリと漬かった母は、私の言葉が聞こえたのか、聞こえなかったのか、絶景に目を注ぎ、気持ちよさそうにくつろいでいた。

    かのせ温泉 赤崎荘 宿・ホテル

  • 蒸し暑い真夏の夜に、交通事故の知らせを聞いた時は心底驚いた。<br />幸い母の怪我は入院する様な重症ではなかったが、ムチウチとそれに伴う様々な神経症状で、結構大変みたいだ。(真夏の暑い時期にムチウチ用の首輪をするのも難儀っぽい)<br /><br />そんな訳で、お盆に私は帰省し、母の気晴らしも兼ねて父と3人でドライブと相成った。<br />少しだけ自然の中を歩き、美味しいお蕎麦を食べ、美しい景色も見れ、母も気晴らしが出来たようで良かった。<br /><br />しかし、予期せぬ交通事故ほど、怖いものはない。<br />今回は追突事故だったという事だが、追突した側の理由が、足が痒くて掻いていたらアクセルを強く踏んでしまった…とのこと。<br />そんなアホみたいな理由で死者が出る事故につながる場合だってある。<br /><br /><br />加害者も被害者も、その人生を大きく狂わせてしまう交通事故。<br /><br />ハンドルを握るドライバーの皆さん。<br />自分だけは大丈夫…なんて思わずに、一瞬の気の緩みに気をつけましょうね。

    蒸し暑い真夏の夜に、交通事故の知らせを聞いた時は心底驚いた。
    幸い母の怪我は入院する様な重症ではなかったが、ムチウチとそれに伴う様々な神経症状で、結構大変みたいだ。(真夏の暑い時期にムチウチ用の首輪をするのも難儀っぽい)

    そんな訳で、お盆に私は帰省し、母の気晴らしも兼ねて父と3人でドライブと相成った。
    少しだけ自然の中を歩き、美味しいお蕎麦を食べ、美しい景色も見れ、母も気晴らしが出来たようで良かった。

    しかし、予期せぬ交通事故ほど、怖いものはない。
    今回は追突事故だったという事だが、追突した側の理由が、足が痒くて掻いていたらアクセルを強く踏んでしまった…とのこと。
    そんなアホみたいな理由で死者が出る事故につながる場合だってある。


    加害者も被害者も、その人生を大きく狂わせてしまう交通事故。

    ハンドルを握るドライバーの皆さん。
    自分だけは大丈夫…なんて思わずに、一瞬の気の緩みに気をつけましょうね。

126いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

旅行記グループ

夏の足音

この旅行記へのコメント (17)

開く

閉じる

  • zunzunさん 2015/08/27 22:43:25
    ドキドキしましたよ!
    ウェンディさん、こんばんは〜☆

    お母様は軽傷との事。安心しましたよ。

    旅行記は、思い出の地を巡る・・・
    えー、お母様が登場しないよと心配しましたよ。

    軽傷とはいえ、しっかり治していただかないとですね。

    親子ドライブ、いいですね〜。これは親孝行って事ですね。
    いっぱい親孝行して下さいね^^

    したい時に親っていないものなのですよ。。。


    zun

    ウェンディ

    ウェンディさん からの返信 2015/08/29 20:30:04
    RE: ドキドキしましたよ!
    zunzunさん こんばんは。

    今年の夏は、実家へは行く予定はなかったのですが、母の交通事故という思いがけない出来事があり、お見舞いも兼ねて里帰りしました。
    追突事故という事でそんなに大変な怪我ではないかと思っていたのですが、むち打ち症は事故の直後よりもその後の方が大変みたいです。
    むち打ち症は一種の脊髄の損傷に近い状態なので、眩暈やしびれ、頭痛、吐き気…等の神経症状があるそうです。
    事故に遭ってから猛半月以上が経過していますが、なかなか、治らないとか…。

    そんなコトで、少しでも気晴らしを…という事でドライブ旅に出ることになりました。
    出掛ける先については、なんとなく福島方面とだけ決めていたのですが、思いがけず、父と母の思い出の地を巡る旅となりました。
    成人してからは両親とこんな風にドライブすることはあまりなかったので、お互いに新鮮な感じで楽しめました。

    結婚し、家族を持つようになると遠く離れた実家への帰省はなかなか簡単ではなく、まあ、時間のある時で良いか…となりがちですが、両親の年齢を考えると、時間は考えているほど長くはないのかもしれませんね。

    また、お見舞いを兼ねて顔を見に行きたいと思っています。

    ウェンディ
  • のんき茂野さん 2015/08/22 18:25:02
    こんにちは〜
    その後、お母様は大丈夫ですか?
    しっかりと治してください。


    今日の播磨は蒸し暑い一日でした。
    太陽が西のお山にかくれほっとしています。

    日が短くなってきました。

    http://img.4travel.jp/img/tcs/t/pict/src/40/00/37/src_40003780.jpg

    天井が見えないのが、また凄いですねぇ〜

    オルガンやミシン?・・・現在なら自動車みたいな
    ものなんでしょうね〜 それ以上かも?

    越後のちりめん問屋さんじゃないですが、
    あるメンバーさんの旅行記で、高速が開通して華のお江戸との
    距離が一変したと感じたことがあります。

    あの周り階段・・・凄いですよね〜
    ぴたっとしたひねりを加えるなんて・・・紙で作るのも
    難しいのに・・・木造船の造船技術を応用したのでしょうか?

    次回を楽しみにしています・・・のんき茂野

    ウェンディ

    ウェンディさん からの返信 2015/08/23 17:20:11
    RE: こんにちは〜
    のんき茂野さん こんにちは。

    7月、8月と熱波が覆い尽くした関東ですが、ようやく少しずつ過ごしやすい気温となってきています。
    まだまだ最高気温は30℃を上回ってはいますが、38℃とか体温より高い!!!なんていう日は、さすがに終わったようです。
    夜半まで元気に鳴いていた蝉たちの声がフェードアウトし、耳を澄ますと秋の虫の音が遠くから聞こえてきます。
    虫たちの音は季節を教えてくれますね。

    さて、今回、福島県の喜多方で訪れた甲斐本家蔵屋敷。
    漆黒の蔵や奥座敷の調度、洋室…と色々素晴らしかったのですが、あの欅の大木から作られた階段、凄いですよね。
    どういう技術で作ったのだろう…と思っていましたが、のんき茂野さんの造船建造技術の応用説…説得力があります。
    あんな階段を毎日、上り下りできた昔の下宿人の人達が羨ましいです。

    むち打ち症の母ですが、その後の様子を聞いたところ、一進一退というよりも不調の場所が増えていっている部分も有りそうなので、なかなか全快への道のりは長いかもしれません。

    旅行記の次作はスペイン編へとなる予定です。
    また、遊びにいらして下さいね。

    ウェンディ
  • こあひるさん 2015/08/22 16:24:11
    ご両親の思い出の地を・・・
    ウェンディさん、こんにちは。

    あんなに元気で活発な(私なんかよりよっぽど・・・)お母様・・・突然の事故に合われて・・・本人もそうですが・・・知らせを受けた家族の衝撃はほんとに計り知れないだろうな〜と想像します。

    不幸中の幸いで、命にかかわったり障害を残すような怪我をなさらずほっとしました。でも、むちうちって・・・軽くても何年も症状が残るので(私も頸椎が弱いのに、ジェットコースターに乗りすぎたことが原因で、3年ほどずっと首が上に向けられず苦労しました)、ご無理をなさらずに・・・。

    ご両親の思い出の地を巡る旅・・・そういう旅ができるウェンディさんのご家族関係が羨ましいと思うと同時に、家族によって色々だなぁと思いました。ご両親の旅行好き冒険好きの血が脈々と受け継がれてるんですね。

    日本一の杉が、こんな近くにあったってのにも驚きです。

    ご両親も、娘さんに自分たちの思い出を分かち合ってほしい・・・引き継いで少しでも気持ちをわかってほしい・・・なんて願ってるのかな。

    こあひる

    ウェンディ

    ウェンディさん からの返信 2015/08/23 17:02:41
    RE: ご両親の思い出の地を・・・
    こあひるさん こんにちは。

    こあひるさん、ジェットコースターで首を痛めるって、一体どの位というか何回連続でコースター遊びをされたのですか???
    そして、今は首の調子は元に戻られたのでしょうか。

    私も昔はジェットコースターのあのスピード感がたまらなく面白くて大好きでしたが、最近はコースターは乗った後の疲れ方がひどいので足が遠ざかっています(乗った後に頭痛が来るときも有るので…)。
    やっぱり、年相応の乗り物ってあるのかなあ…と思っています。

    今年の夏は実家への帰省予定はなかったのですが、予期せぬ母の交通事故で帰省することになりました。
    入院しなくても良い怪我とはいえ、吐き気、眩暈、しびれ…等不快な症状が絶えずあるそうです。
    でも、何かに熱中すると少しの時間は忘れられる…とのことですが、むち打ち症は厄介ですね。

    そこで母の気晴らしも兼ねて、1日ドライブに出かけましたが、地方は道路が空いていて気持ち良いです。窓を開けて走っても殆ど排気ガスの匂いも気にならないですし…。
    昔、住んでいた時に当たり前と思っていた日常が、関東では当たり前ではなく恵まれた環境であったのだと、今、改めて思います。

    夏の喜多方や五色沼は暑いイメージでしたが、埼玉や東京に比べると断然過ごしやすい気温で良いですね。(こあひるさんの住む仙台も夜は心地よい風が吹く、過ごしやすい夏なのでしょうね)
    やはり家が立て込んでいない点や高層ビルが少なく輻射熱が少ない事などで、夜間に気温がいったん下がり、昼間もその分、過ごしやすいのではないかと思います。

    日本一の杉の木は、「こんなところに日本一?」でとってもビックリでした。
    父や母にとっては当たり前に存在する杉の木でしたが、全国区では杉としての知名度はかなり下位なのではないかと思います。
    もう少し上手にアピールすれば観光に役立ちそうなのに…(実は、キツネの嫁入り行列で有名な津川の直ぐ傍なのです)と部外者の私などは思ってしまいますが、住んでいる方から見たら別の意見もあるのでしょうね。

    父にはあまり似ていないと云われる私ですが、母に云わせれば、自由奔放で自分で決めたら突っ走る…処などはそっくりだそうです。
    小さい頃はあまり気にしても居ませんでしたが、私と父の共通点は計画を立てることが好きな事。
    自分で行く旅は、自分で練らないと気が済まない…という事が最近、分かってきました。

    何だかんだ、親子って似てくるのですね。

    ウェンディ
  • まーやんさん 2015/08/22 09:57:52
    磐梯山
    ウェンディさん、こんにちは。

    裏磐梯に行かれたのですね!

    噴火の考察もしっかり書かれていて、さすがウェンディさん!と
    感心しながら拝見しました。私の旅行記とは大違いです。。(>_<)

    裏磐梯高原ホテルからだと、磐梯山の全体が見渡せるのですね。
    向かいに泊まっていたのに惜しいことをしました。。
    大きな被害を与えた小磐梯の崩落の跡が残る山肌もまた美しいような
    悲しいような不思議な感覚を覚えます。

    お母様の事故の一報を聞かれた際には、さぞ心配されたことでしょう。

    一緒にトルコを旅行されていた活動的なお母様、コルセットで
    固定をしたり、体に痛みが出たりするのはお辛いことと思います。
    後遺症がなくなって、また元気に旅行ができますようお祈りしています。。

    まーやん

    ウェンディ

    ウェンディさん からの返信 2015/08/22 22:41:48
    RE: 磐梯山
    まーやんさん こんばんは♪

    はほぼ半月違いで、五色沼の畔を歩いてきました。
    まーやんさんが歩かれた早朝の五色沼、靄がかかった水面とその色が神秘的すね。
    五色沼は射しこむ太陽の高度や季節によって、見えるその色が変わるという沼。
    熊の気配に敏感になりながらも、早起きした甲斐がある風景ですね。

    磐梯山は太平洋側と日本海側ではその見かけが全く変わる山。
    太平洋側から見ると裾野がゆったりと広がる優しげな感じですが、その裏側へまわると130年前の崩落の跡が今もくっきりと残り、五色沼周辺にも当時の惨事の大変さを物語る大きな岩が転がっていて、穏やかな雰囲気でありながらも荒ぶる山だったのだろう…と思いました。

    私の今回の福島への旅はあまり下準備もする時間もなく半分は行き当たりばったりでしたが、若き頃の両親の姿を想像したり…、大変な状況下にありながらも愉しめた旅でした。

    車の追突事故は、自身では予期できない為、全く受け身がとれずに損傷を与えられ、首や頸椎、そして背骨…と神経系へのダメージが大きいそうです。
    元気印が取り柄の母でしたので、早く治れば良いのですが…。

    ウェンディ
  • 備前屋ねこさん 2015/08/21 22:04:45
    びっくり
    ウェンディさん、こんばんは

    お母様が交通事故?!
    事故の連絡の後にお母様との思い出を辿る旅になっていたので「ま・・・まさか・・・」と青ざめながら読んでしまいました。
    でも、あれ・・・?温泉にお母様も浸かってる・・・?
    お母様も一緒だったんですねぇぇぇぇぇ
    ドキドキしちゃいましたよぉぉぉぉぉ!

    重傷でなかったのが不幸中の幸いだったけれど、事故は思わぬ時に起こってしまうので怖いですね。
    温泉に浸かって早くお母様の体が完治するといいですね。
    ウェンディさんと今もお出かけができているので、また怪我が完治したら元気にウェンディさんと一緒に海外に飛び立てそうですね。

    足が痒くて掻いていたら事故ってしまった・・・
    冗談みたいな原因ですが案外そういったちょっとした事が思わぬ事故につながったりするもんですね。
    備前屋も車は運転しないものの、自転車に乗りながらどうでもいい考え事をしていたら意識が完全に思考の方に入り込んで視界が全く脳内で認識されずに真っ直ぐ電柱に衝突した事がありますよ(笑)

    猫魔・・・魅惑的な地名です。
    五色沼の辺りが猫魔になるのかな?
    五色沼、備前屋も行ってみたい場所です。
    青沼のエメラルド色がなんとも美しいですね〜

    お母様、お大事にして下さいね。


       備前屋ねこ

    ウェンディ

    ウェンディさん からの返信 2015/08/22 00:15:34
    RE: びっくり
    備前屋ねこさん こんばんは。

    旅に出ると、私よりも元気かと思えるようなあの母が・・・と事故の一報を聞いた時には絶句しました。
    と言っても、一報をよこしたのが当の本人だったので、とりあえず、頭は大丈夫そうだ…と安心はしましたが。
    そのドキドキ感を少し備前屋さんへもお裾分け♪と思い、旅行記へと出たがる母を押さえつけ、最後の熟女の入浴シーンまで待ってもらっていました。

    一応は生活が出来ている母ですが、やはりむち打ち症というのは日が経つにつれて、症状が出てくるみたいで、色々と大変そうです。

    今回の追突事故の原因を聞いて、私もアホな…と2度目の絶句でした。
    足が痒くて掻いてたらアクセルを踏み込む…だなんて、掻く前に足をアクセルから離すでしょ〜と思いますが、きっといつもやっていたのでしょうね。
    母の打ち所が悪く、加害者の方が致死罪に問われなくて良かったですが、事故は予想もしない処に隠れています。
    備前屋さんも自転車に乗る時には、考え事はほどほどにしてくださ〜い。

    猫魔という地名。
    幼いころ、この地名を初めて聞き、別な意味でドキドキしました。
    魔女が連れている色猫、それとも長生きして化け猫となった猫又???
    色々と想像してしまって、もうパラダイス。

    猫魔の場所は、我が家の別荘と云う名のホテルのお庭から見れば、磐梯山の右側の地域です。
    猫間ケ岳という山があり、化け猫伝説など猫関連の伝説があるそうです。
    山には猫石という岩もあるそうですよ〜。

    ウェンディ

  • fujickeyさん 2015/08/21 10:05:57
    ドキッとしました。
    ウェンディさん、こんにちは!

    タイトルからドキッとしました。
    お母さまとの思い出を辿る旅…のような内容にますますドキドキしましたが
    景色がどれも素晴らしくて、写真に癒されつつ、
    なかなか登場しないお母様にまさか、まさかと思いながら読み進みました。

    入院をするほどではないということで一安心はしましたが
    ムチ打ちの症状って数年たって出てくるときもあったりするようなので
    厄介ですね。。。。
    この先のお母さまとの旅行に差し障りが出ませんように。。

    ウェンディさんのお父さまは本当にお茶目ですね。
    そしてご両親がとても仲良しなのが伝わってきて、
    お2人で素敵に歳を重ねられて来たんだな〜と
    ほっこりとした気持ちになりました。

    それにしても「脚が痒くて掻いていたらアクセルを踏み込んでしまった」って
    なんだかふざけた理由だな!とも思いましたが
    そういう小さなことが事故につながるんですね。
    自分が運転するときは気持ちを引き締めようと思います。
    加害者にも被害者にもなりたくないですからね。

    fujickey

    ウェンディ

    ウェンディさん からの返信 2015/08/21 22:48:28
    RE: ドキッとしました。
    fujickeyさん こんばんは。

    ビックリさせるようなタイトルにしてしまい、ごめんなさい。
    私もタイトルを見直してみて、あまり強い言葉は使わない方が良いかなぁ…と思い、同じニュアンスで少しだけ言葉を変えてみました。

    実はこの旅行記のサブタイトルは、2つの意味を持つ掛詞なのです。
    ひとつは、勿論、交通事故。
    ほんのちょっとした不注意が招く事故の怖さについて。

    そしてもう一つは、ホテルの喫茶室から眺めた磐梯山について。
    今はこんなに穏やかに見える磐梯山だけれど、その昔は噴火で飛ばされてきた大きな岩が村を呑みこみ、大人も子供も関係なくその命を落としたことがあったのだなぁ…と思って。

    命は全く予期しないことで損なわれてしまう…という事をあらためて認識した1週間だったので、こんなサブタイトルになってしまいました。

    そして、今回の旅行記の主役は母ではなく、実は父。
    母との旅行記では、母の姿を紹介してばかりなので、たまには父も登場させてあげないと…という事で、今回のストーリー展開の主軸は父だったのです。
    父はこれを読んで、苦笑い…だったそうですが…。

    母のむち打ち症の後遺症は、なかなか完治は難しいのかもしれませんが、回復に向かってくれれば…と思います。しばらくは大変そうですですが…。
    でも、きっと旅のプランニングの相談を始めたら、急に元気になるかもね♪

    車は便利ですが、時として凶器にもなります。
    私は自転車オンリーなのですが、自転車でも携帯の画面を見ていたりする危ないなーと思う運転をする方をたまに見かけます。(コレは道交法違反ですね〜)

    自分が操縦する乗り物に乗ったら、いつも以上の注意力と集中力は大事♪
    私自身も肝に銘じたいと思っています。

    ウェンディ
  • TKさん 2015/08/21 07:53:51
    軽症で良かったです
    ウェンディさん

    おはようございます。

    お母様の交通事故、大変でしたね。むち打ち症とのこと、
    後遺症のないことをお祈りいたします。

    でも、それがきっかけで、ご両親の楽しい、素晴らしい青春時代を垣間見られる旅を体験できるとは!

    何事もプラスに変えるウェンディさんの行き方、美しいです。

    お母様の早目の回復を期待いたします。

    by TK

    ウェンディ

    ウェンディさん からの返信 2015/08/21 21:49:30
    RE: 軽症で良かったです
    TKさん こんばんは。

    今年の夏は実家へは行く予定ではなかったのですが、まさかの交通事故の知らせで、急きょ田舎へと戻りました。
    事故の当日は大したことなさそう…等と言っていましたが、むち打ち症は日が経つにつれ、不具合が表面化してくるみたいですね。
    手先がしびれる、重い、腰に違和感…、となかなか大変そうです。
    年をとると体力の回復も遅く、体の各器官の故障は基本的には治らない方向でだましだまし使っていくしかならないモノ。
    ぶつけた方も故意でやったわけではないでしょうが、もう少し注意力を払った運転をしてほしかったなぁ…と思っています。

    まあ、そんな理由で田舎へと戻り、週末だけでしたが母と父の恋路を辿る…などと言う日帰り旅を企画してみました。
    裏磐梯は今まで家族で何回もドライブしていましたが、両親のデートスポットの話を聞いたのは今回が初めて。
    大人になってからの両親との旅も、思いもよらぬ話が聞けて楽しかったです。

    ウェンディ
  • デコさん 2015/08/21 06:22:25
    おはようございます^^
    ウェンディさん、おはようございます。

    冒頭の「交通事故」という言葉に、お母様大丈夫だったの?とドギマギしてしまいました。
    でも、不幸中の幸いというか、入院するほどに至らなくて、ほんとによかった!!ホッといたしました^^
    それにしても、この猛暑の中、あの分厚いむち打ち症の首コルセット(?)としばらくお付き合いするのは大変だと思います。
    どうぞ、お大事になさってくださいね。
    お父様とお母様の懐かしい思い出の場所を訪れられてのこの旅行記、大ファンになってしまいました。

    デコ

    ウェンディ

    ウェンディさん からの返信 2015/08/21 21:40:16
    RE: おはようございます^^
    デコさん こんばんは。

    デコさんのエーゲ海巡りの旅、毎回楽しみに拝見しています。
    暫くアクセスしていないと話が3話も4話も進んでいて、慌ててしまいます。
    デコさんは筆が早いですね。

    さて、今回の旅行記の出だし、ちょっと重たい感じになってしまいましたが、実際の今回のドライブ旅のきっかけはこんな感じでした。
    夜中の電話でいきなり交通事故…なんて聞いたら、誰だってビックリしますよね。

    不幸中の幸いで入院するほどではなかった怪我ですが、70過ぎの体にはやはり、ちょっとした不調も堪えるようです。
    ムチウチ用のコルセットだって暑いですし、でもしていないと、なんだか首や背中が痛くなってくるし…みたいです。

    さて、母の気持ちを明るくさせるには何が良いか…で企画した今回の旅ですが、私は実は知っているんです。もっとすごい特効薬があることを…。

    この前、一緒に行ったヨルダンとトルコの旅で中東の面白さに目覚めた彼女。
    次に行きたいところが決まっていることも、私は知っています。
    でも、ちょっと個人旅行では難しいところかな〜とも思っています。
    きっと、そんな旅の計画でも持ちかけたら一気に快方に向かうのでしょうが…。
    実現には、あと半年、私の下調べの時間が必要かな…というところです。

    ウェンディ

    デコ

    デコさん からの返信 2015/08/23 07:51:37
    RE: RE: おはようございます^^
    そうでしたか、「特効薬」があってほんとによかった!^^

    ぜひ、その特効薬が実現しますように!

    そして1日でも早いご回復を願っています♪

    デコ

ウェンディさんのトラベラーページ

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

この旅行で行ったスポット

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

タグから国内旅行記(ブログ)を探す

この旅行記の地図

拡大する

PAGE TOP