2023/05/27 - 2023/05/27
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ウェンディさん
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この旅行記スケジュールを元に
無骨な私には“花心(ごころ)”や“乙女心”なんて、
馴染みのない言葉。
でも今年は、花の囁く“花心”が少しだけ、
私にも聞こえたかもしれない。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
-
2020年の春の終わりは、いつもの初夏の始まりと違っていました。
雪が消えた秩父の高原では、秋に撒かれたシャレーポピーの種達が草原の土に根付き、
その芽を天に向けて精一杯伸ばし、気の早い子らはトゲトゲを纏うつぼみをふっくらに膨らまし、
更におませさん達が小さな真っ赤なスカーフをお日様に向けて初披露しようとしていたその時、
大きな音と共にやって来た怪物が、子供達を闇へと飲み込んでしまったのです。彩の国ふれあい牧場 テーマパーク
-
2020年、シャレーポピーの子供達は未来に子孫を繋ぐことなく、その生を終えました。
怪物を連れてきたのは人間。
ヒトとてポピーの子供達を無下にしたくはなかったのですが、仕方が無かった、それしか方法がなかったのです。
この年の初めに襲来したCOVID-19による世界的な感染症の流行。
ヒトが集うことは制限され、感染拡大を防ぐために大地に根を張る天空のポピーは全て刈りとられ、若草色に彩られた高原の色は茶色のもの悲しい色へと変わってしまいました。
この年、この様な花の摘み取りは秩父のポピー畑にだけに起きた事象ではなく、日本全国、世界中のあちこちで行われ、2020年は多くの植物が咲くことを許されなかった花にとっても受難の年となりました。 -
あれから3年間、秩父の高原では天空のポピーが一般披露の場を迎えることはありませんでした。
ボランティアの方が秋に種をまいても、その成長した姿を見ることができたのは限られたヒトだけ。
真っ赤なフレアを広げた花は翌年に子孫をつなぐために種のみを残し、その生を終えました。
しかし、明けぬ夜はないもの。
2023年の春、政府の規制緩和を受けポピー畑の再開が決定され、4年ぶりとなる山の斜面一面が真っ赤なポピーに埋め尽くされる“天空のポピー”が帰ってきました。 -
私が天空のポピー2023の開催情報を知ったのはGW開け。
ネットの情報によると、どうやら今年はポピー畑の一般公開ができそうな雰囲気。
でも、期待しすぎは禁物。
2021年も見に行ける・・・と思っていた矢先に感染の急拡大があり、急遽、一般公開は中止に変更されたのだから。
天空のポピーが咲く草原があるのは埼玉県の秩父地方。
アクセスは秩父鉄道の皆野駅から路線バスに乗り換え三沢郵便局で下車するのだが、この路線バスは便利なようでかなり不便。
バスは2時間に1本と多くはなく、下車するバス停があるのはポピーが咲く高原から遙か下に離れた集落エリア。
そこから約30分かけ車道を登らなければ(普通に歩くと40分で頑張って歩いて30分)、天空のポピーには会えないのだ。
車道の傾斜は急で、脹ら脛には心地よい以上の激しい刺激。
先の見えないつづら折りの急な坂道を登っていくのはしんどいのだが、上方に赤く染まるエリアが見えてきたら、それだけで足取りも気分も軽くなる。
どうやら、4年ぶりのポピーたちは元気に咲いているようだ。 -
かなりのハイペースで車道を上ったので、ポピー畑の入口にたどり着いた時には脹ら脛が悲鳴を上げそうな位緊張し、もう歩き続けるのはやめて欲しいと主張していたのだが、目の前に広がる赤い草原を見てしまったらもう歩みは止められなく、協力金の500円をゲートで支払い、ポピー畑の中へ足を踏み入れた。
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斜面に植えられたポピー沿いの遊歩道を歩く。
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イチオシ
数歩斜面を登る度に、見えてくる赤いアングルは変わって行く。
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遠目にみるとびっしりとした赤の絨毯に見えていたポピーの園だが、実際はいくつかの色のポピーがランダムに咲く花畑。
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シャレーポピーの花の色合いはそれぞれの個体で異なるのだが、それでも花色の種類により分類できそうだ。
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一番いっぱい咲いていたのが、真っ赤な花びらに中心の蘂が黄色と黒の花。
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花色が鮮やかな紅色ピンクの花も多かった。
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同じピンクでも八重咲きデザインあり、見逃せない。
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花色がピンクでもその中心部がホワイトの子も。
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ピンクとホワイトのグラデーションは乙女チックな色合いで王女様デザイン。
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イチオシ
花びらがストライプ模様の子は、モード系。
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縮緬を纏う蘂の模様すらクールな感じだ。
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ホワイトベースに淡い紫の絞り文様は清楚系。
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アウトラインがホワイトの赤色花びらが目を引くデザインは、女王様系と表現できるかな。
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多分、正式にはどの花にも名前があるのだとは思うが、ポピー畑では全てがポピー。
花にとって名前は識別記号でしかなく、如何に受粉を手助けしてくれる昆虫を引き寄せられる形、色を演出できるかが最重要事項だから自然に合わせて花の様子も変異してきたのかな。
その変異のお陰で私達はポピー畑で、多種多様なポピーを愉しむことができる。 -
この日の天気は快晴とは行かなく、朝の内は曇りがち。
でも雲の流れは速く、青空を流れる様に筋状の雲のスクリーンがポピー畑と鮮やかなコントラストを描いていた。 -
ポピーたちは声こそ出さないが、草原一面に精一杯咲くその姿は3年間の静かな時を過ごしてきた彼らの生きる証。
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花びらが落ちた後の蘂にすら、彼らの生きたい、子孫を未来へと繋ぎたいという花心(はなごころ)が宿っている・・・そんな気がした。
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そして、今回訪れた2023年の天空のポピー畑だが、私がコロナ前に訪れた時よりもポピーの咲いている面積が狭い・・・感じがした。
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訪れるのが久しぶり過ぎて私の期待値が大きすぎ、植えられている敷地面積を現実よりも過大評価しすぎていたのかも・・・と考えたのだが、係員のおじさんに話をうかがったところ、今年は日照時間のせいか種があまり良くなかったのか発芽率、成長率があまり良好ではなく、本来ならば敷地面積一面に咲くはずだったのだが、開花率がまばらのエリアもできてしまったとのこと。
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まあ、自然相手なので、そんな年もあるよね。
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今年はまずは4年ぶりに無事に開催でき、天空のポピーの姿が披露できる社会情勢になったことに感謝だよね。
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天空のポピー畑での滞在時間は2時間ほどで、バスの時間に合わせてバス停へまで下り(徒歩25分程度)、次の目的地へ。
この日の花散歩の目的はポピーだが、愉しむのは天空のポピーだけではない。
長瀞にある黄色いポピー(花菱草:ハナビシソウ)園へも行こうと思っていた。
天空のポピーの最寄り駅である皆野駅からハナビシソウ園までは歩いても1時間弱で行けるのだが、この季節の炎天下を歩くのは熱中症の危険度が高く、秩父鉄道での移動としたのだが・・・、 -
秩父鉄道は単線であり且つ本数も少ないので長瀞駅迄の所要時間は予想よりも長く、多分、歩いた方が早かった気がする。
皆野駅 駅
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皆野駅での電車の待ち時間がかなりありそうだったので、以前から興味があった大塚古墳を見学しに行くことに。
皆野駅から歩いて20分で古墳に到着!
古墳といえば、昔の豪族や大君のお墓で、エジプトで言えばピラミッドみたいな存在。
発掘された金銀財宝とか展示してあるの?・・・と思うかもしれないが、GoogleMAPに円墳大塚古墳と記される場所にあるのは、コンクリートの階段とその上にある小さな社だけ。大塚古墳 名所・史跡
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古墳には様々な種類があり、どれもが前方後円墳みたいな巨大な墓ではなく、その形としては土を盛っただけの墳墓が一番多く、この大塚古墳もそんな古墳の一つ。
盛り土の下(写真左側)には古墳内部への入場口があり、柵には鍵がかかり一般人が勝手に古墳内部へと入ることはできない。
ぱっと見は小さな古墳に見えるが、墳墓そのものの直径は33m、土の高さは7mでこの辺りではかなり大型の円墳となる。
大塚古墳は江戸時代にはその存在が明らかになっていた古墳で、副葬品や埴輪などは盗掘により失われてはいるが、7世紀後半の古墳時代後期の墓らしいということが分かっている。
埼玉・・・というと、江戸からも離れていて文化的生活からはほど遠い地区だったイメージが強いが、飛鳥の大和朝廷で聖徳太子や蘇我馬子が活躍していたのと同時代にこれだけの大きな古墳を作れる部族(豪族)が勢力を維持していたというのは、なかなか意外かな。 -
この日の第二の目的地の長瀞のハナビシソウ園があるのは、秩父鉄道長瀞駅から徒歩10分弱の長瀞町郷土資料館付属の花畑。
ボランティアの方達が花のお世話をしてくださっていて、園内に入場するには協力金の200円が必要だ。長瀞町郷土資料館 美術館・博物館
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午前中に訪れたの天空のポピーは紅で彩られていたが、こちらのメイン・カラーは黄色。
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右を見ても左を振り返っても、後ろを見ても黄色のハナビシソウが一面に広がっていた。
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天空のポピーは艶やかなイメージが強かったが、ハナビシソウの印象はほのぼのする可愛らしさ。
トトロが木陰から顔を覗かせそう・・・
そんな景色だ。 -
この日の午後は日差しが厳しくて、木陰に入って一休み。
ここ最近毎年のように暑さの始まりの頃は、体の熱を排出しきれなくなり熱中症を起こしがちなので、暑い日は特に体調管理は慎重になってしまう。 -
風がサワサワを木々の葉を揺らし、心地の良いハナビシソウ園。
虫食いの葉っぱ越しに見えるハナビシソウの景色も、田舎っぽくって良いよね。 -
ハナビシソウの花の名前は、4枚の花びらが菱形を形作っている処から来ているのだろうな。と花の形から推測できる。
ハナビシソウの正式名称は、カリフォルニア・ポピー。
太陽が降り注ぐカリフォルニアのイメージから来ているのだろう。 -
このハナビシソウだが、蕾(つぼみ)の形がユニークで、細長い三角コーンの形をしたのがつぼみ。
この三角形が広がると菱型の花になるなんて、ちょっと数学的で面白い。 -
ハナビシソウの花色は黄色だけでなく、個体によってはオレンジ味を帯びた彩り。
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初夏の強い太陽に透けるハナビシソウはちょっと幻想的。
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園内にはどこかから飛んできた種から花開いたコスモスまでが同居していて、そこがまた、田舎の畑っぽくって良かったかな。
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この日のポピー散歩は、長瀞駅で終了。
今年の夏は、幻のポピーを探しに遠くへと旅にでる。
初めての地で探すポピー。
本当に会えるのか、会えないのか。
ワクワク半分、ドキドキ半分の旅。
ひたすら歩くポピーを探すに旅は、まだまだ先がある。長瀞駅 駅
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この旅行記へのコメント (2)
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- 旅するうさぎさん 2023/08/18 19:04:36
- 同じ日に同じ光景を見ていました!
- ウェンディさん
こんにちは。お久しぶりです。
相変わらず、ネパールなどに行っていらっしゃると旅行記拝見し終わって、ふと別の旅行記に目をやれば、見覚えのあるポピーの写真。おー、これは秩父の天空のポピー畑。日付を確認。「え~、行った日同じだ~!」ビックリしました。ポピー畑で、もしかしたら会っていたかもしれませんね!私は往復、皆野駅から秩父鉄道が出しているポピー畑へのシャトルバスで行きました。行きはバス一番乗りで、楽ちんでしたが、帰りはバスをかなり待ちました。暑い日でしたが、久しぶりにポピーを見れて嬉しかったです。確かに咲き具合は以前と違って小規模でしたが、見れたことが満足でした。最近、YouTubeに動画をupし始めたのですが、このポピー畑は映像に撮っただけで、まだ動画にしていないので、動画にしようと思いました。旅行記、ありがとう!
旅するうさぎ
- ウェンディさん からの返信 2023/08/19 11:26:06
- Re: 同じ日に同じ光景を見ていました!
- 旅するうさぎさん
こんにちは。
同じ日にポピーを見に行かれていたとは、びっくり。
私も午前中に行ったので、ポピー畑の何処かで密かにすれ違っていたのかもしれません。
私は夏のネパールに向けた筋力強化トレーニングのためにあえて急坂を登るルートを選びましたが、かなり蒸し暑い天気でしたので、シャトルを使うのが正解です。
旅するうさぎさんの初夏の上高地、木々の葉色が真夏を迎えるの翠で、透き通るあざやかさですね。
私も昨年秋に上高地から涸沢まで歩きましたが、いつ訪れても異なる顔を見せてくれる素敵なところだと思います。
まだまだ感染症自体は無くなりそうにはないですが、日々の生活と健康維持に気をつけて、上手に共存しつつ、心に残る旅を楽しみましょう♪
今は出先でYouTubeが見れないですが、帰宅してからの涼やかな上高地の翠を楽しみにしています。
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