2024年みどりの日・阪堺電車と南海高師浜線小旅行

2024/05/04 - 2024/05/04

今年のGWは飛び石連休。
この時期に遠出をしてもホテルが高いし、そもそも金銭的に余裕があるというわけでもないので、近場の気になる電車で小旅行を楽しむことに。

というわけで、GW限定で戦前製のモ161形が特別運行している阪堺電気軌道（阪堺電車）と、去る4月6日に高架化工事が完成し3年ぶりに営業運転を再開した南海高師浜線を巡ってきました。
途中の羽衣では、名物のカステラをいただきしばし休憩。

エリア 堺(大阪)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• グルメ: 5.0
• ショッピング: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 私鉄 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

今回の旅の始まりは、大阪の南のターミナル駅・天王寺駅。

天王寺駅前停留場 駅

本日最初のお目当ては、天王寺駅前停留場から南に伸びる阪堺電気軌道上町線。
同社の阪堺線ともども、大阪唯一の路面電車として親しまれている電車です。

天王寺駅前停留場 駅

乗車する電車は、住吉から阪堺線に入り、同線の我孫子道停留場に向かう臨時電車です。
この臨時電車はＧＷ限定で運転されている便で、95年前の1928年に製造された古豪・モ161形電車が使用されています。
始発の天王寺駅前停留場には、この電車目当ての鉄道ファンが長い列を作っていました。

天王寺駅前停留場 駅

定期便の浜寺駅前行き電車、我孫子道行き電車を数本やり過ごして待っていると、お目当てのモ161形電車がやってきました。
本日運用されるのはモ162号。
既に廃止された、福岡県の西鉄北九州線の電車と同じ塗装を纏っており、人気の高い車両です。

天王寺駅前停留場 駅

鉄道ファンや観光客で混雑していましたが、何とか座席を確保。
薄緑色のペンキで塗られた内装が、良い味を出しています。

阪堺電気軌道 乗り物

天井から伸びる金具も、なかなかアンティークな造形でした。

阪堺電気軌道 乗り物

製造銘板には右書きで「神戸　川崎車輌会社　昭和参年」と書かれていました。

阪堺電気軌道 乗り物

終点の我孫子道までは行かず、途中の住吉鳥居前停留場でモ162号を下車。

住吉鳥居前停留場 駅

住吉鳥居前停留場に停車中のモ162号。

住吉鳥居前停留場 駅

住吉鳥居前で一旦下車し、南海本線の住吉大社前駅方面へ。
この古めかしい駅舎のような建物の正体は・・・

住吉公園停留場 駅

味のある木造平屋の建物は、2016年1月31日まで阪堺電気軌道上町線の住吉公園停留場の駅舎として使われていました。
かつて天王寺駅前～住吉公園間を結んでいた上町線ですが、同日限りで末端の住吉～住吉公園間が廃止され、すべての電車が住吉から阪堺線に直通するようになりました。

住吉公園停留場 駅

駅舎としての勤めを終えた住吉公園停留場の建物ですが、現在も居酒屋や南海住吉大社駅、ホーム跡に建設された駐車場に通じる通路として活用されています。

住吉公園停留場 駅

、南海本線住吉大社駅のロッテリアで朝昼兼用の食事。

住吉大社駅 駅

おなじみのエビバーガーで腹ごしらえ

住吉大社駅 駅

食後、少し歩いて近くのローソンへ。
途中にあったのが「住吉高燈籠」
鎌倉時代に住吉大社の常夜灯として建立されたものの、江戸時代には航路標識として扱われるようになり、「日本初の灯台」とされることもあります。
現在の建物は、昭和時代に再建されたものだといいます。

住吉高燈籠 名所・史跡

住吉高燈籠。
おそらく、4～5階建てのビルぐらいの高さはあると思います。

住吉高燈籠 名所・史跡

住吉公園には、松尾芭蕉の句碑もありました。

住吉公園 公園・植物園

腹ごしらえの後、再び住吉鳥居前停留場に戻り、そこから浜寺駅前行き電車でさらに南を目指します。

住吉鳥居前停留場 駅

電車は大和川を越え、大阪市から堺市へ。
気が付けば終点の1駅手前、船尾停留場を発車していました。

船尾停留場 駅

天王寺駅前からずっと南海本線よりも東側（山側）を走ってきた阪堺電車ですが、船尾停留場と浜寺駅前停留場の間で南海本線を乗り越え、ポジションを南海本線の海側に移しました。
真下の南海本線を、セレッソ大阪30周年ラッピングの特急ラピートが駆け抜けていきます。

阪堺電気軌道 乗り物

終点の浜寺駅前停留場に到着。

浜寺駅前停留場 駅

浜寺駅前停留場の木造駅舎。
同停留場は南海本線の高架化事業にあたって支障する関係で、近いうち南海本線の東側（山側）に移設されることが決まっており、長年愛されたこの駅舎も、先ほどご紹介した南海本線との立体交差もじきに見納めになります。

浜寺駅前停留場 駅

1本後の電車は最新鋭の超低床電車1100形でした。
アニメ「転生したらスライムだった」とコラボしたラッピングを剥がしてオリジナルのデザインに戻ったばかりの姿を、記録に収めておきます。

浜寺駅前停留場 駅

浜寺駅前停留場から撮影した、南海本線浜寺公園駅の駅舎。
東京駅を手がけた辰野金吾博士の設計により、明治末期に建てられたこの駅舎ですが、南海本線の高架化工事完成後も大切に保存・活用されるとのことです。

浜寺公園駅 駅

浜寺駅前停留場で阪堺電車を降りた私たちは、国道を徒歩で南下し、堺市から高石市に入りました。

高石市側から撮影した、堺市西区と高石市の市境。

数百m歩いて左折した先は、南海羽衣駅前の商店街。

このあたりの南海本線は2021年に上下線とも高架化されました。

昭和初期、羽衣駅で接続する阪和線支線がまだ私鉄（阪和電気鉄道）だった頃のこと。
本当か嘘かはわかりませんが、当時の南海鉄道は阪和電気鉄道の阪和浜寺駅（現東羽衣駅）の利用者が浜寺の海水浴場に行くのを妨げるため、この場所にあった踏切で列車をわざと徐行させたというエピソードが残っています。

羽衣駅 駅

2021年まで南海本線・高師浜線羽衣駅の地上仮駅があった高架沿いの土地は、今や広大な空き地となり、再整備工事の着工を待っている状況です。

羽衣駅 駅

本日2つ目の目的地である南海高師浜線に行く前に、羽衣駅前のタワーマンション「イコーネ羽衣」の1階に入居している「銀装＆Cafe羽衣」で休憩。
高石市に工場がある大阪名物「銀装カステラ」の直営店です。

銀装&cafe 羽衣 グルメ・レストラン

涼しい店内で、カステラとドリンクのセット（500円）をいただきました。
帰り際に、お土産としてカステラの切り落としも購入。

銀装&cafe 羽衣 グルメ・レストラン

美味しいカステラを堪能した後は、この4月6日に高架化工事が完成し3年ぶりに電車での運転を再開した南海高師浜線に乗車します。

羽衣駅 駅

関西空港・和歌山市方面行きホームに通じる階段の横には、真新しいバリケードのようなものがありました。もしやこれは。

羽衣駅 駅

実はこのバリケードの先には、高師浜線が高架化工事に伴い運休していた間に運行されていた電車代行バスの乗り場に通じる階段がありました。
2年11ヶ月間沿線の人々に愛された代行バスも無事にその勤めを終え、代行バス乗り場への階段は閉鎖されています。

羽衣駅 駅

高師浜線の3番ホームは、南海本線難波方面行き2番ホームの和歌山寄りに設けられています。

羽衣駅 駅

高師浜線3番ホームの真新しい車止め。

羽衣駅 駅

2年11ヶ月のブランクを挟んで営業を再開した高師浜線には、ニューフェイスが加わっていました。
かつて高野山方面に行く高野線の急行列車として活躍した2000系電車が、ワンマン化改造のうえで高師浜線でも使用されるようになったのです。

羽衣駅 駅

2000系電車の正面貫通扉には、高石市の羽衣伝説に因んだ天女のイラストと「おかえり。高師浜線」の文字が入ったヘッドマークが掲出されていました。

羽衣駅 駅

銀色の2000系電車が「羽衣ー高師浜」の行先表示幕を出している姿は、新鮮に映りました。

羽衣駅 駅

側面の種別・行先表示はこのような感じです。

羽衣駅 駅

2000系電車の車内。
一部の座席は、高師浜線ではおそらく初めてであろうクロスシートとなっています。

南海高師浜線 乗り物

羽衣駅3番ホームから、高師浜方面を望んだ1枚。
この3番ホームと隣の伽羅橋駅の間の高架化工事に際して、仮線を設置するのが難しかったことが、高師浜線が2年11ヶ月にわたりバス代行輸送を強いられた原因でした。

羽衣駅 駅

羽衣駅を発車した高師浜行き電車は、しばらくは南海本線の複線と併走します。

南海高師浜線 乗り物

南海本線と分かれた高師浜行き電車は、真新しい単線高架を進みます。

南海高師浜線 乗り物

高師浜線唯一の途中駅である伽羅橋駅に到着。
駅周辺は古くからの高級住宅地で、駅前には教会があります。

伽羅橋駅 駅

電車代行バスが走っていた道路を高架で跨ぐと、すぐに左カーブに入り・・・

南海高師浜線 乗り物

終着駅の高師浜駅に到着。

南海高師浜線高師浜駅 駅

高師浜駅の駅名標。

南海高師浜線高師浜駅 駅

2年11ヶ月の運休期間の間に、ホームの壁もベンチも美しい銀色にイメチェンしていました。

南海高師浜線高師浜駅 駅

高師浜駅で折り返しを待つ、南海高師浜線の2000系電車。

南海高師浜線高師浜駅 駅

高師浜駅の駅舎は大正時代の建築。
ファザードには美しいステンドグラス（レプリカ）がはめ込まれています。
※オリジナルのものは南海電鉄から高石市に寄贈され、同市で保管されているとのこと。

南海高師浜線高師浜駅 駅

運転再開に合わせて美しくお色直しされた、高師浜駅の駅舎。

南海高師浜線高師浜駅 駅

駅前には、高師浜線の運転再開を祝う垂れ幕が掲出されていました。
なお、運転再開にあたって高師浜駅ではトイレのリニューアルやエレベーターの設置などのリニューアル工事が実施されています。

南海高師浜線高師浜駅 駅

高師浜駅の裏にある駐輪場には、1970年の高架化まで使用されていた地上駅時代のホームの遺構が残されています。

南海高師浜線高師浜駅 駅

高師浜駅の券売機

南海高師浜線高師浜駅 駅

レトロな内装の駅舎ですが、最新鋭の自動改札機が設置されています。

南海高師浜線高師浜駅 駅

そろそろ羽衣行き電車の発車時間になったので、ホームに戻ることにします。

南海高師浜線高師浜駅 駅

途中駅の高師浜駅。
お気づきの方も多いかと思いますが、実は高師浜線のうち、先程ご紹介した高師浜駅と伽羅橋駅の間は1970年に高架化が完成していました。
残る伽羅橋～羽衣間の高架化にあたっては2年11ヶ月のバス代行輸送を要したほか、伽羅橋駅構内の高架橋についても手直しが加えられました。

伽羅橋駅 駅

無事に羽衣駅に帰着。

羽衣駅 駅

難波行きの空港急行を待つ間に、2025年大阪・関西万博のラッピングを施した特急ラピートを撮影することができました。

羽衣駅 駅

天下茶屋駅からは大阪メトロ堺筋線で帰途に就いたわけですが、改札を出る前にセレッソ大阪30周年記念ラッピングの特急ラピートと本日二度目のご対面。
3号車には看板選手の一人である清武弘嗣選手の写真がラッピングされていました。清武選手、シーズン後半はサガン鳥栖に期限付き移籍するそうで、新天地での活躍に期待したいものです。（おわり）

天下茶屋駅 駅