2011/12/25 - 2011/12/25
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TMBSさん
鉄道ファンや地元の方の間では有名な話なのですが、昭和41年から49年までのわずか8年間、兵庫県姫路市で市営のモノレールが営業されていました。
廃線から30年以上の間、モノレールの終点「手柄山駅」と使用されていた車両は営業当時ほぼそのままの状態で人目に触れず保管されていましたが、2011年の春にモノレールの駅舎に隣接する水族館をリニューアルする際に、新たな観光資源にということで、モノレールの駅舎と車両が整備の上一般に公開されることになりました。
暮れも押し迫った日曜日に、見学に出かけたレポートです。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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山陽電車の直通特急が、姫路市内で最初に停車する駅が大塩駅。
ここから3000系の普通電車に乗り換えます。 -
終点山陽姫路駅の一つ手前、手柄駅で下車。
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目指す場所は、手柄駅から徒歩10分ぐらいの「手柄山中央公園」の中にあります。
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手柄駅から歩くこと8分。目指す施設の前に着きました。ここからエレベーターで上がったところが入口のようです。
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今日の目的地は、4月にオープンした「手柄山交流ステーション」内の「モノレール展示室」
エレベーターホールにポスターが貼り出されていました。 -
左側の西洋のお城みたいな建物が、「手柄山交流ステーション」。かつて姫路市営モノレールの手柄山駅舎兼車庫として使われていた建物です。右の建物は姫路市立水族館の本館。
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手柄山交流ステーションの2階が「モノレール展示室」(入場無料)になっていました。
階段を上がると、往年の姫路市営モノレールで使用されていた車両が出迎えてくれました。 -
車両を正面から撮影。モノレールの構造がよく分かる写真です。
ちなみに姫路市営モノレールは、コンクリートの桁に敷いた鉄のレールを、各車両に取り付けられた車輪で走る「ロッキード式」という方式のモノレールでした。
同じ方式のモノレールとしては、川崎市の向ケ丘遊園のモノレールが近年まで存在しましたが、既に廃止されています。 -
上の写真の反対側が、手柄山交流ステーションの正面入り口です。
ここでピンと来られた方もいらっしゃるのではと思いますが、現役時代のモノレールは手柄山駅を発車後、この入り口を通り外に出て、姫路駅に向かって北に進んでいました。
残念ながら、モノレールの廃止後30年の間にレールの大半が撤去されているため、保存されている車両を整備して姫路駅まで運行することは今となってはかなわぬ話です。 -
モノレールの先頭部には、昭和41年の開業当時に取り付けられていたヘッドマークが取り付けられていました。
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姫路市営モノレールは昭和41年、当時手柄山中央公園で開催されていた姫路大博覧会への観光客輸送と、将来的なモノレールの都市内交通への本格的導入に向けた実験を主な目的として開業しました。
順調にいけば、博覧会終了後にモノレールの路線を南北に延伸する構想もあったと聞きます。
しかし、博覧会終了後は客足が伸びず、「モノレールを休止すれば学校が1件建つ」などの批判を受け、開業8年後の昭和49年に営業休止、さらにその5年後の昭和54年に正式に廃止という悲劇的結末を迎えています。 -
昭和41年5月17日、華々しい開業の様子を伝える館内の展示パネル。
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姫路市営モノレールは姫路駅と手柄山駅の間わずか1.6kmを結ぶ短いモノレールでした。
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モノレールの車内。その当時の国鉄の近郊型電車のように、ボックスシートが並んでいます。
また、同じ時期(昭和39年)に開業した東京モノレールの車両と違い、床がフラットになっています。
このバリアフリーな車内は、当時の利用者には好評だったものと推察されます。 -
運転席のすぐ後ろから、姫路駅方向を望みます。
モノレールの現役時代は、ここに座って前面展望を楽しんだ子どもや家族連れ、鉄道ファンが多かったことでしょう。 -
上の写真とは反対方向の運転台。ロッキード式のモノレールは、設計上は時速100キロ以上のスピードで走ることが可能でした。
(実際の姫路市営モノレールでは、この速度での営業運転はありませんでした。) -
運転席に立つ車掌さんの人形。
車内には他にも、昭和41年当時の家族連れ乗客や運転士をイメージした人形が鎮座していました。 -
展示車両の中では、モノレール現役時代の映像が放映されていました。
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ホームの壁に掲げられていた広告も、廃止以来30年以上ほこりをかぶった状態で放置されていましたが、公開にあたり見事にお色直しされました。
写真は回転焼「御座候」の広告。姫路名物のお菓子として、今も多くの人に親しまれている一品です。 -
現役時代のモノレールの運賃、営業時間などについての説明。
姫路から手柄山までの運賃は片道100円、当時の物価からすればかなり高いものでした。モノレールの建設費などを考えると致し方のないことなのですが、この高い運賃が災いし、姫路大博覧会終了後の利用低迷を招くことになります。 -
モノレールの車体に取り付けられていた姫路市の市章。
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このモノレール展示室では、モノレールとあわせ、モノレール建設のきっかけの一つとなった「姫路大博覧会」についての展示コーナーも設けられていました。
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モノレールの終着駅となり、現在展示室が設けられている手柄山中央公園は姫路大博覧会時のメイン会場でした。
写真は姫路大博覧会メイン会場のジオラマ。左下にモノレールも再現されており、車両のミニチュアが高架上を行き来します。 -
手柄山中央公園には、モノレール展示室をはじめ、姫路大博覧会時にパビリオンとして活用された建物が今もいくつか残ります。
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姫路市交通局はモノレールのほか、近年まで市営バスと書写山のロープウェイを運営していましたが、市営バスは平成22年までに民間に、ロープウェイは平成18年に市役所の別の部署に全て移管されました。
この展示室の一角では、市バスやロープウェイも含めた姫路の市営交通の歩みについて解説しています。 -
姫路市営バスで昭和40年代に使われていた方向幕の復元。
いろいろな行き先が用意されていて、一定時間おきに表示が変わります。 -
姫路市営モノレールの休止案について伝える昭和49年の姫路市広報。
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展示パネルには、年代ごとのビッグニュースを伝える神戸新聞が印刷されていました。
戦後すぐのところでは「新憲法公布」、「北朝鮮、韓国に宣戦」。
高度経済成長のところでは「東京オリンピック開幕」。
1990年代のところでは「阪神大震災」、「星野阪神優勝」。 -
モノレール現役当時、昭和45年の時刻表。
始発は9時台、最終は17時台。終日20分間隔での運行。
沿線住民の通勤通学の足としての利用が考慮されておらず、観光地の乗り物という性格が強かったことを物語るダイヤです。 -
ホームの壁には、電照広告も3枚掲げられていました。
写真の広告は山陽電車の須磨浦山上遊園のもの。
大阪や姫路から直通電車が運行された須磨浦山上遊園は、当時手近な観光スポットとして人気を集めており、盛んにテレビCMも放映されていました。 -
保存車両の窓から、20代の若い夫婦と女の子が外をのぞいています。
夢のモノレールの車内で、楽しげに会話しているような表情です。 -
こちらは運転士さん。一仕事終えて帽子を脱いだところです。
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展示室内には、モノレールと駅舎の一般公開に向けた作業の様子についての写真がありました。
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展示室を出たところには屋外展示も。モノレールの台車です。
かつてモノレールの駅舎には4両の車両が保管されていましたが、展示室でそのまま展示されたのは2両のみ。残りの2両は解体され、部品のみが展示されています。 -
現役時代は、展示室の出入り口とその隣のアーチ型の部分から、モノレールの台車が展示されている位置まで折り返し用の線路が伸びていました。
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かつて日本国内で営業運転されていたモノレールに関する展示。
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展示室の一角には、解体したモノレール車両から取り外した部品も展示されていました。まずは車輪。
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こちらはモノレールの主電動機と車輪。
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展示室内のゴミ箱。実際に手柄山駅で使われていたゴミ箱を復刻したものだそうです。
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手柄山駅の駅名標。
姫路駅との間には唯一の途中駅「大将軍駅」がありました。
公営アパートの中に作られたユニークな駅でしたが、姫路駅からあまりに近すぎるため、開業後ほどなくして営業休止になっています。 -
ホームのベンチから車両を見ると、今にも動き出しそうな雰囲気です。
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展示室の3階。かつてはここが手柄山駅のコンコースでした。
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地上に通じる階段のタイルも、いかにも駅の階段で使われていそうな感じのものです。
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手柄山駅上の建物は20年ほど前に改築され、「緑の相談所」として使われています。
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手柄山駅屋上から眺めた姫路市街地。
画面下部に、姫路駅へと続くモノレールの軌道跡がわずかに確認できます。
廃止後の30数年で、老朽化が進んだモノレールの廃軌道は少しずつ撤去が進められてきました。
画面中央を横切る高架線は山陽新幹線。モノレール現役当時に新幹線で活躍していた0系もすでに姿を消して久しく、現在では代わってN700系の「さくら」号が行き交わっています。
(おわり)
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