2009/09/25 - 2009/09/26
15位(同エリア206件中)
さっくんさん
ダマスカスを散策します。ダマスカスはイスラームにとっても、キリスト像にとっても、重要な分岐点となった歴史的な街です。あんな事さえ無ければクリスチャンもムスリムも肩を並べて歩く、本当に平和な街でした。当時の賑わいを見せるダマスカスを紹介します。
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ダマスカスに到着しました。
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伝統建築のパティオを改装したレストランでランチを頂きました。
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ダマスカスのメインストリート、ウマイヤド・モスクへと続く表参道スーク・ハミディーエ。
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スークとしては異例に幅が広く、しかも真っ直ぐな珍しいスークと言えます。
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ウマイヤ・モスク入り口にはローマ遺跡が残ります。イスラームの前にはキリスト教の教会、そしてそれ以前にも御当地の信仰の場であったこの場所は、相当のパワー・スポットと言う事でしょう。
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ウマイヤド・モスクはイスラーム初の世襲制王朝ウマイヤ朝の中心となる非常に重要なモスクです。
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モスクは先立ってこの地を制していたビザンティンの教会を改装したものですが、教会としても重要なもので、中には洗礼者ヨハネの首塚が残されています。
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ウマイヤド・モスクは現代に通ずる、モスクの原型とも言えます。祈るべくメッカの方角を示す窪み、ミフラーブ。礼拝の呼び掛けアッザーンを流す為の塔ミナレット等がウマイヤド・モスクで生まれ、以降のモスクに不可欠な要素となりました。
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但し先に述べた通り教会を改装しただけに、モスクと言うより教会の面影を多分に残した姿となっています。
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しかしこんな貴重な遺産もシリアが超大国の代理戦争の舞台となった事でミナレットが粉々に破壊されてしまいました。
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床が鏡面反射する程ピカピカに磨かれていました。
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さて、モスクは他の宗教施設と決定的に違う性質があるのをご存知でしょうか?
答はモスクには他の宗教施設の様な聖性が無いと言う事です。 -
例えば日本の神社なら御神体が、お寺なら仏像が、教会ならイエス様がいらっしゃいますから、其処で昼寝したり噂話に花を咲かせたりしたら追い出されてしまうでしょう。
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一方モスクはメッカに向かって祈る場所と言うだけであって、モスクには神は勿論の事、神の代理さえ存在しません。だからお祈りの時間さえ終わってしまえば、モスクは只の信者達の場所なのです。
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ですから、他の宗教施設の様な厳粛さは求められず、モスクはムスリムにとって市民会館的な安全で衛生的な憩いの場となるのです。
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勿論それなりのルールはありますが、お喋りする者、昼寝する者、子供達の遊び場にもなっています。モスクはそんな信者にとってのプライベートな場でもあるのです。非信者は御断りのモスクが多いのはこの為です。
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ウマイヤド・モスクの大理石の床はピッカピカに磨きあげられ、子供達が喜んで滑りまくり、そしてオッカサンに拳骨を貰ってました。
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私も散策に疲れるとはしゃぐ子供達の声を聞きながら昼寝の為に、この歴史的、モスクの中庭を利用させて頂きました。
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侵略者、第三次十字軍から中東を救った英雄、サラフ・アディーンの像。
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サラフ・アディーンの霊廟です。
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ダマスカスを拠点としたウマイヤ朝は、ビザンティン帝国領を掠め、あっという間に現在のイスラーム圏と変わらない程勢力圏を拡大します。そして、そこに建てられたモスクにはウマイヤ・モスクの様式(ミナレットやミフラーブ)が施されました。ダマスカスはイスラームが世界的宗教に拡大する足掛かりとなった重要な街なのです。
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それはキリスト教にとっても同様です。この後述べる、とある出来事、とある人物との出逢いが無ければ、キリスト教は只のユダヤ教の亜流で終わったかもしれません。キリスト教にとっても、ダマスカスは世界的宗教となる分岐点となったのです。ダマスカスは世界を二分する巨大な宗教の出発点となった非常に重要な街なのです。
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聖書にも登場する真っ直ぐな道です。
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それまでキリスト教弾圧に熱心だったユダヤ教パリサイ派のパウロが、改心しキリスト教を受け入れるどころかキリスト教を引っ張っていく存在になる、とても重要な舞台です。
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真っ直ぐな道をひたすら進めばダマスカス東門に出ます。
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聖アナニア教会。此処でパウロは改心し、洗礼を受けました。この事が「目から鱗」と言う諺の語源となったそうですが、それまで日本の諺だと信じて疑わなかった自分にとっては、聖書所縁の諺だった事が目から鱗でしたけど
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以降パウロはキリスト教を世界的宗教になり得る姿に改革していきます。イエスでさえ、その構想は持たなかったと言います。そんなイエスの12人の使徒も当然そんな発想を持つ事は無かったでしょう。後から追随したパウロだったからこそ、割礼を施していない人(ユダヤ人以外)にも布教を進め、戒律を緩め、キリスト教を改革していきました。そして様々な苦難を乗り越えローマ迄到達するのです。そうです。もし此処ダマスカスでパウロの目から鱗が出なかったとしたら、キリスト教はユダヤ教の一派に過ぎなかったかもしれません。いや、パウロにやられてしまい途絶えてさえしまったかもしれないのです。とすれば、此処ダマスカスはキリスト教にとっても世界的宗教に飛躍する大きなターニング・ポイントとなった街なのです。
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改心したパウロはユダヤ人から狙われる身となりました。そんなパウロがダマスカスからローマを目指して旅立った門が残されています。
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ダマスカスは紛れもないムスリム主体の街ではありますが、ヨハネの首塚だったり、パウロ改心の地だったりとクリスチャンにとっても重要な地である事からキリスト教徒も数多く暮らす街です。
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報道ばかり鵜呑みにしていると、クリスチャンとムスリムは常時互いに憎しみ合ってばかりいると誤解されがちですが、そんな事は決してありません。
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憎しみあったり、紛争を起こす輩は、いつだって利権に目が眩んだ権力者や、政治に踊らされ易い連中のする事です。一般庶民は普通に仲良く暮らしています。
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それが一番解りやすいのは女性です。何故なら宗教によって全く服装が違いますから。黒づくめのベールの女性が、服装に制限が無いクリスチャンの女性と談笑しながら歩く姿をわたしは何組も見ました。
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でもそれで、何故イスラームは黒いベールで女性を包むのか、ちょっとだけ解った気もしました。クリスチャンの女性は気ままなファッションなのですが、暑いシリアではタンクトップ姿なのですね。シリア人女性はスタイルも良ければ美人さんが多い。確かに目のやり場に困るんです。もう、本当に。
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私がシリアを訪れると知ると「テロは怖くないの?」と言う質問を複数受けました。私にとっては欧米の政治家が言う「テロとの戦い。」と言うフレーズの方がよっぽど怖い言葉に聞こえます。
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嘗てフランスでテロが起こりました。容疑者が逮捕され、「テロとの戦い。」を合言葉に、その数日後、主犯格が潜んでいるらしいとの情報によりフランスからミサイルが発射され、シリアの罪の無い多くの一般人の命が奪われました。逮捕された者の裁判は愚か、事情聴取も事件の検証もままならない内にです。これの何処に正義があるのでしょう?
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「テロとの戦い。」程為政者に都合の良い言葉は無いでしょう。テロと言う恐怖で国民を煽れば、支持率は爆上がりし、世論を背景に法治主義等完全に放棄して、やりたい放題出来、おまけに軍需産業も潤います。とある筋から聞いた話、お偉い様は、今やオリンピック招致よりテロを招致した方が得になるとか漏らしたそうな。テロの中には、起きると承知の上実行させて、待ってましたとばかりに「テロとの戦い。」を声高に掲げ、用意万端報復活動を実施する事もあるのだとか。
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本当恐ろしい事に思います。「テロとの戦い」と言う人聞きの良いフレーズに操られて、為政者の好き勝手を許してしまう。法治主義も無視した蛮行が正義に摩り替えられてしまう。どうか、努々騙されぬ様…。
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ダマスカスを歩いて感じた事は、イスラームの街らしくないと言う事です。
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スーク・ハミディーエにしても、真っ直ぐな道にしろ真っ直ぐで、防御の為にわざと迷宮の様に道を入り組ませる一般的イスラームの街造りではありません。
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潜れる門状の構造がが大好きで、見つけ次第潜ってしまいます。
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猫に先を越されました。
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おっと、此処はトンネルが連続しています!
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藤棚が強い陽射しから守ってくれます。
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日差しが強く気温も高い中東では、日没後に人出が多くなります。
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今日最後のアザーンが終わったので、ウマイヤ・モスクへ行ってみます。
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一日最後のお祈りが終われば流石にモスクは静寂に包まれます。
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人のいないモスクは何処か神秘的です。
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宗教を問わず、その礼拝所の周囲は賑やかな門前町が広がります。聖なるものと俗なるものは、常に寄り添っているものです。
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庶民的エリアに出ました。
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夜の路地裏は吸い込まれそうな魅力があります。
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アラブの人は甘いの大好き過ぎるので、日本人は要注意?
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路地の向こうにミナレットが良い感じにライトアップされています。
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多くの地元男性がシーシャ(水煙草)を嗜んでいます。
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なんと、見ざる、言わざる、聞かざる、の三猿がありました。
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私は三猿は日光発祥、そうじゃなくとも中国くらいが起源なのかな?と思っていました。
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日本に三猿を持ち込んだのは最澄さんらしいのですが、三猿は世界中に認知されており、起源は中国説、インド説、エジプト説があり判断が最早つかない様です。
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再びウマイヤ・モスク門前に戻ってきました。ローマ時代から残る列柱がライトアップに妖しく照らされています。
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門前はダマスカス市民で賑わっています。
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伝統的な水売りさんです。芸人ごときのコップ裁きで水をサーブしてくれます。
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こんな歴史ある街が、ムスリムにとっても、クリスチャンにとっても大切な街が、そして私と同じ場所で同じ時を過ごした人々が、今辛い日々を送っていると思うと胸が苦しくなります。一日でも早く、写真に残る様な賑わいが戻る日が来る事を願っています。
最後にシリアを食い物にしてる連中にこの歌を捧げたいと思います。
Sweet chid in time You'll see the line the line that's drawn between good and bad.
See the blind man shooting at the world.Bullets flying taking toll.
If you've been bad.Oh!Load I bet you have and you've not been hit by a flying lead.
you'd better close your eyes,bow your head and wait for the ricochet!
嗚呼愛しい子よ、いずれ君にも善と悪の間に引かれた線を解る時が来るだろう。
愚か者が銃を放ち銃弾が飛び交うのを見るだろう。
もし君が悪の道を進んでしまったのなら、そして裁きを受けずにいるのなら
目を閉じ、頭を垂れ、愚か者が放った弾が君の頭を貫くのを待つが良い。
最後までご覧になってくださり、ありがとうございます。
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