2007/11/28 - 2007/11/28
1位(同エリア8件中)
さっくんさん
滞在二日目は、サナアを飛び出してスーラと双子都市シバーム&コーカバンを巡ります。
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早朝私はとてつもない大音量の放送に飛び起きました。はてや?空襲警報か?冷静に大音量を解析すれば、それはアッザーン。イスラームの礼拝の呼び掛けです。経験なムスリムが暮らすサナアには無数のモスクがあります。それが一斉にアザーンを流せば、盆地であるサナアは、アッザーンが山に反響して大変な事になります。どうやらサナアでは寝坊は言い訳になりそうも無いです。
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そうそう、サナアが世界最古の街と言われた理由を話していませんでした。ノアの方舟の物語で生き残ったノアの息子、セムが興した街がサナアだと言うのです。大洪水で他の街は崩壊してしまったから、セムが興したサナアこそ世界最古の街となるのです。
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また、イエメンは嘗て旧約聖書に登場するシバの女王が君臨する国だったとも言われます。此方は少し信憑性を感じます。
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これらの伝説を信じるか、信じないかは別として古代ローマやギリシャでは、交易で潤ったイエメンは幸せのアラビアと羨望の目で見られていた事は揺るがない事実です。
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注目すべきはイエメンを潤していた交易品とは乳香だと言う事、乳香は旧約聖書を編纂したユダヤ教にとって儀式に欠かせないものでした。
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その様な経緯から聖書が生まれる時代、イエメンはとても重要な位置を占める国であり、そこからノアの方舟、そして世界最古の街へと繋がっていったのだと思われます。
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さて、サナアを飛び出し近郊の山岳都市を訪れましょう!
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至って平和なサナアと違い、一旦首都圏を出ると危険度が増します。と言うのも部族間抗争の交渉の材料として観光客が拉致される事件が散発しているのです。
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その為旅人は検問毎に許可証を提出しなければなりません。山に登る際の登山届けの様なものです。
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ただこうした国の役所仕事がスムーズに行われるわけが無く、日程の少ない今回の旅では、その遅れが致命傷になりかねないので移動はお任せにしました。
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可愛らしい集落がありました。
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テーブルマウンテン状の広大な景色が続きます。
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素敵な親子に出逢いました。
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一際高い岩山が見えて来ました。どうやら人の暮らしている痕跡があります。岩山の天辺には見張り塔らし建物もあります。
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回り込めばその岩山の麓に拡がる街が訪れるべくスーラでした。
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まるで岩山の縁にへばりつく様にスーラの街は広がっています。
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その理由は部族間抗争の 防御の為です。
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岩山の麓なら防御すべき方角が限られ、岩山の頂上からは全方位を警戒出来ます。
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モスクのドームは漆喰で万年無く塗り固められています。家屋に使われる漆喰はサナアの様にデザイン性は乏しく必要最低限と言う使い方です。
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貯水池です。現在でも洗濯とかに使われている様です。
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さて、イエメンの旅行記を始めて以来何度も部族間抗争と述べていますが、理由はいったい何処にあるのでしょう?
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イチオシ
先ずはスンニ派とシーア派の派閥間の争いと言う構図です。スンニ派65 %シーア派35%と言う割合はイスラーム諸国の中でも両者の割合が拮抗しており、抗争となると泥沼化し易い状態でした。
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二つ目は、この国の近代の成り立ちです。イエメンはイギリスの植民支配から独立した南イエメン。オスマントルコから独立した北イエメンと言う二つの国に別れていました。その後は欧米が北を、ソ連が南を支援し、東西冷戦の構図に飲み込まれていきました。
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1990年両国は統一を果たしますが、スンニ派とシーア派、資本主義と共産主義と言う対立を抱えたままの構図で絶えず不安定な状態でした。しかしサレハ大統領がいた頃は未だ何とか綱渡りを続けられていました。
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しかしその状況が一変してしまったのは、俗に言う中東の春です。まとめ役を失ったイエメンは混沌とした状況に陥り、それを付け狙われ各国の代理戦争の標的となり、火に油を注ぐ収集のつかない内戦が続いています。
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スーラを後にして標高を上げていきます。目前には広大な眺めが広がっています。
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観光地なら必ずや◯◯岩なんてあだ名がつけられている筈です。
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ふと見上げれば、続いて訪れるべくコーカバンの街が見えました。
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断崖絶壁の真上に集落が見えます。
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コーカバンは崖の真下の街シバーム(イエメンの世界遺産の街で同名の街とは関連が無い。)と兄弟都市と呼ばれてます。昔は今の様な道は無く、断崖絶壁を登り降りしていました。
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断崖絶壁の上のコーカバンは軍事を担当し、有事の際シバームの民を断崖絶壁に匿う。下界のシバームは農業や交易を担当し、二つの立地の特性を生かし、二つの立地の不利を補いました。
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真下を見下ろせば、シバーム周辺にだけ緑の耕作地が広がっている事が解ります。
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日干し煉瓦で築く家は、その土地の土で作られる故、その土地の土の色が家のカラーに反映されます。なのでコーカバンの街並みは岩山と一体化したかの様に映ります。
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コーカバンの貯水池。崖の上だけあって、嘗ては生命線であった筈です。
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ドームを持たない、こじんまりとしたモスクです。
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コーカバンの城門。城門と言うより来訪を拒む障壁であるかの様です。
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城内には城門の脇のこんな小さな門から入ります。
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シバームには岩の隙間の細くて急峻な階段を下ります。
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シバームに降りてきました。
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シバームの城門です。
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家のメンテナンスは追いついていない感が拭えませんが、モスクのミナレットはバッチリです。
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平地に面し外交担当のシバームですから、山の上のコーカバンのモスクより立派な造りなのでしょうか?
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先に訪れたスーラより賑やかさには欠けていました。あまりに過酷な自然環境ですから、日本ならあっという間に限界集落でしょう。
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シバームからコーカバンを見上げます。
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シバームとコーカバン、貴方ならどちらに暮らしますか?実利なら圧倒的に平地のシバームですが、紛争が絶えないこの地では防御も大切なので悩ましい。
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太古の碑文が残されていました。
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サナアに戻ってきました。
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イエメン門を潜って旧市街に入ります。
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アラビア語でバアブ・アル・イエメン。でもババル・ヤマンって聴こえます。
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大人になれば漆黒のベールに身を包んでしまうイエメンの女性ですが、幼い頃の服装はお姫様の様に可愛らしいものが好まれる様です。
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イエメン建築はひとつひとつ全く違いますから、何度見ても飽きません。
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11世紀頃から形作られ、ほぼ原型のまま成長を遂げた。だから鉄筋は愚かコンクリートさえ使わない高層建築。
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だから時に歪な出来なものもあります。階段を登っていると、その歪さ故に平衡感覚に違和感を覚えたり…。
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でも、そんなところさえ嬉しく感じてしまうのです。過剰なリフォームを行うと、テーマパーク感マシマシで嘘臭く感じてしまうじゃないですか。
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地方都市に比べるとサナアはイエメン建築の作りも洗練されています。防水の為の漆喰も遊び心が加わってデザインとしても見ていて楽しいです。
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でもそれだけ地方の暮らしが大変なのだと思います。砂漠に比べれば緑はありますが、荒涼としていて、高低さも激しい環境で農地も恵まれません。
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そうした理由でイエメンもまたサナアに人口集中が強まっているとの事です。
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陽が沈み、アッザーンが流れ、黄色い暖かい灯が灯ります。大人達がモスクへ向かい、その間、子供達が街を支配します。
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ひっそりと静まりかえる住宅街。
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対して酒場も無いのに、今夜もサナアの夜のスークは喧騒に包まれています。
最後までご覧下さいありがとうございます。
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