2020/11/23 - 2020/11/23
27位(同エリア75件中)
まりも母さん
明治期に開拓された那須野ヶ原
華族階級の農場が次々開設され 今もその痕跡が多く残ります。
以前訪ねた 「旧青木家那須別邸」もそのひとつ。
明治期からの日光リゾート文化と並び 那須野ヶ原開拓地も興味深い建造物、遺構が多くある
興味深い土地でした。
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 自家用車
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-
実はこの日 当初の目的は「紅葉狩り」
11月も下旬になり 里の紅葉も進んだ頃です。
毎年あちこち 紅葉探しをして まだ見ていない景色にも会いたい、と
ダンナが見つけてくれた 「大山参道」を目指しました。
地図で駐車場を見つけ、向かってみると真っ赤な紅葉がいっぱいに。 -
かなり太いもみじの木々。
樹齢約100年のイロハカエデ。 -
薄曇りなのが残念な天気です・・・。
紅葉の紅は濃く 参道を覆いつくすようです。 -
明治の元帥 大山巌は 旧薩摩藩士で後に公爵となります。
西那須野には271haの農場を持っていました。
大正5年(1916)大山が世を去ると 農場の一部に作られた墓所
大正6年にかけて整備されたのがこの参道です。
当初は もみじと桜が交互に植えられましたが、桜は枯れ、伐採されています。
昭和30年(1955)大山家より町に寄贈され「大山公園」となっています。
ここも日本遺産「那須野が原開拓浪漫譚」の構成文化財の一つとなっています。 -
もみじの参道から 道路を渡ると 先はヒノキの参道になります。その先(後ろ側)が墓所です。
特別 イベントが行われているという事もありませんが(コロナ禍でありますので)
訪れた日の数日後に大山巌の妻 鹿鳴館の華と呼ばれた 大山捨松のテレビ番組があったので
テントで その宣伝とちょっぴりの売店が出ていました。
「大山巌墓所」は門が閉まり 中は全く見えませんでした。
捨松もとなりに埋葬されているそうです。
ちなみに捨松は58歳で スペイン風邪で亡くなられています -
元の紅葉の参道に戻ります。
紅葉の参道部分は約300mだそうです。
近代の個人の墓としては、各段の大きさですね。
古墳並みの巨大さとも言えそう。 -
紅葉はもう散り始めではありました。
七五三の子供の写真撮影に来ているご家族もあり
地域の紅葉見物場所になっているようでした。 -
こちらは墓所と参道を挟んで反対の端にある 戦没者慰霊碑です。
-
慰霊碑のある辺りは駐車場、トイレ、子供の遊具もあり 公園っぽくなっています。
山茶花も既に咲き始めていましたね。 -
さて 紅葉見物を早々に終えてしまい、この後どうしたものか?
と、近くに何かないかと検索したところ
車で20分ちょっとの所に洋館を見つけました。
「山縣有朋記念館」見学できる施設だったので、行ってみる事にしました。
矢板の静かな里山の中 駐車場も整備されていました。
こちらも「那須野ヶ原開拓地」の日本遺産。 -
紅葉した木も見えます。
広い敷地にある建物でした。
ぐるっと歩いて建物へ向かいます。 -
見えて来たのは2棟の洋風建物
少し高台へのアプローチ入り口に 狛犬のような置物が一体。
これは?なんだろう?とネットで調べてみると、詳しく考察されている方のサイトが簡単に見つかりました。
ここには詳しく書きませんが、便利な世の中ですね。 -
坂道をあがりつつ2棟の建物を眺めます。
左に青い建物。白の窓枠や玄関ドアが印象的な美しい建物です。
こちらが 山縣有朋別邸 明治42年(1909)帝室技芸員 伊藤忠太 設計(平安神宮・築地本願寺なども)
小田原 古稀庵内に建てられたもの
大正12年(1923)関東大震災で倒壊した建物を 嫡男伊三郎が山縣農場内に移築したものです。 -
右には、モルタル壁のちょっと汚れはあるものの
青い建物より少し時代が新しそうな建物が。
ふたつは中でつながっていそうに見えました。 -
入り口は青い建物の方かな?
玄関左の窓は真ん中あたりが引き戸になっていて「入り口」の表示がありました。
中に入ると 女性が居て、見学したい旨を伝えると
珈琲付きで700円 と入館料を教えてくれました。
靴を脱いでスリッパに履き替えます。
すると 「撮影禁止」の札が。
建物見学に来たのですが、と 正直に話すと 展示物が目的でなければ撮っても良いとの事でした。
貴重な展示物がある為なのでしょうが、
受付の女性も 撮影禁止なのはここを管理している財団法人の意向なので、と言う事でした。
一応許可は頂ましたが、撮影は注意して行います。 -
1階にまず展示室が。
平成2年(1990)に栃木県有形文化財に指定され それを契機に修復を行い
遺品や資料展示と公開がされるようになりました。
修復が行われていますので、内部は一見 きれいな状態です。 -
最初の展示室を出ると玄関ホールに。
2階への階段が見えます。 -
これは、玄関ホール左の部屋のドア。
変わった模様に作られている、と 思ったら
設計者伊藤忠太による デザインで ヤマガタアリトモのイニシャル YとAをもじったデザインになっているのだそう。 -
振りかえって玄関を内側から。
ドアはケヤキ材だそう。こちらにもYとAをあしらったデザインが採用されています。 -
隣の建物が窓から見えます。
出窓のような部分で木製の引き戸が入っていました。
こちらの建物に関しては 詳しい事が判りません。 -
階段を上がって2階へ行きます。
親柱の上にはアカンサスの上に玉が乗ったような装飾がありました。 -
2階に上がり ぱっと目に入ったのはこのお部屋。
応接室だそうです。
建物が小田原にあった 有朋存命時代 元老や重臣達のサロンとなっていたお部屋だそう。 -
天井も豪華です。
カーテン、絨毯、家具も当時の物です。 -
応接間には広い窓のサンルームのような部分が。
-
明るいガラス窓の外には山縣農場の景色が広がっていたのでしょう。
今日は、その窓から色づいた紅葉が美しく眺められました。 -
サンルーム風お部屋から見た応接室
開口部(多分引き戸があると思われる)上の欄間はガラスの嵌められた珍しい回転式です。 -
2階は、廊下で隣のモルタル塗りの建物につながっていました。
廊下の窓から見ると さっき玄関脇から見た出窓の隣に煙突があります。
暖炉でもあるのでしょうかね?
那須の冬は寒いので、暖炉があっても不思議ではないです。 -
2階一番右側のお部屋です。
窓の多い明るいお部屋です。
建物内平面図が無いので、はっきりしませんが、
2階はいくつも見学できるお部屋になっているようです。 -
そこにはベッドも置かれていました。
-
右の建物にも階段がありました。
こちらは、吹きぬけの階段室となっています。
階段の手すりは幾何学模様なれど、中華風の意匠。
(この階段は立ち入り禁止です) -
階段上から下を覗くと親柱のないカーブした手すりのみのすっきりした階段。
1階部分は 事務所など管理用に使われているようです。 -
ステンドグラスのはまった高窓。
椿と小鳥の図柄です。余白の多い和風の意匠でした。
椿は山縣有朋のシンボル的な物ですね。 -
階段を上がったところに下げられている照明器具
色は付けられてないけど 三笠ホテルで見た「パイプペンダント」とよく似ています。
こういう照明って 明治~大正の洋館ではあんまり見ないんだよなぁ。 -
左建物2階正面にあたる広めのお部屋。
現在は展示室です。 -
壁一面に作り付けの箪笥類が。
引き出しや色々なサイズの観音開きの扉があります。
やはり、ケヤキ材を使っているようですが。
ここは元何のお部屋だったのか?
公式サイトにも詳しい説明がないので、不明なのです。 -
この窓からも敷地内の景色が良く見えます。
有朋は那須野ヶ原に入植を希望したのが 一歩遅く 払下げられたのは
那須野ヶ原西に隣接する伊佐野(現在の矢板市)でした。
扇状地を開墾した 多くの農場より山林が多かったのです。
それは、現在も行われている 山林経営にもつながっています。
また、開墾にあたった小作人に昭和初期には土地を分譲済みだった事もあり
戦後の農地改革の影響が少なく
創業時に植林した山が現在も残っているそうです。 -
大きな展示室から階段室方面の廊下
正面小窓の中の部屋も展示室
廊下の左右には襖のような引き戸もありました。
その中は見られませんでした。
もしかしたら和室なのかも? -
小窓のある展示室の中
勲章などが展示されていました。 -
このお部屋は模様入りのガラス窓。
北側だからでしょうか。 -
展示室のドア。
ケヤキの一枚板のドアでしょうか。
こちらの建物のドアにはYとAのデザインはありません。 -
階下から珈琲の良い香りがして来ました。
1階に戻ると、受付の女性が玄関ホールのお部屋で珈琲を出して下さいました。
今日は、他に見学者はおらず、私とダンナだけ。
ここに来られる方は 古い建物がただ見たくて来る方、
歴史的な興味で来られる方 と様々だそう。
中には設計者の伊東忠太を主に見に来られる方も。
そんな見学者に教わる話も多いと言っていました。
私も最初はただ美しい仕上げの建物を見るのが好き・・・から始まったかもしれないけど
歴史的な背景や建築の技術、職人技なども合わせて知れば、より建物鑑賞が奥深く面白いと思います。 -
建物を出ると、入れ替わりに親子連れの方たちが入って来ました。
見学中はダンナと2人だけで、コロナ禍であっても ゆっくり見せて頂くことが出来ました。
これは、玄関ドア。表は白っぽいペンキ塗り。
ドア上の透かし欄間のデザインも素敵です。 -
モルタル塗りの建物の方。テラスもあるのですね。
こちらの建物の1階は非公開部分です。 -
更に右の方は新しい窓に付け替えられ、
こちらはきっと事務所にでも使われているのでしょう。 -
広い敷地の中は静かです。
小さな小川も流れ、きれいに色づいた木も見えました。 -
車を停めた駐車場と反対側 いつくか建物が見えるので歩いてみます。
納屋のような建物。 -
その先が農場の入り口らしく 門柱らしきものがありました。
-
納屋っぽい建物の脇には薪が積んであります。
建物の下半分は大谷石積みのようですね。 -
門の右奥に見えた建物
こちらも そこそこ古そうです。
特に 案内や説明の類は無いので詳細は不明です。 -
2階建ての建物後ろにももうひとつ。
こちらは倉庫のような雰囲気。 -
扉のガラスから中を覗くと 左の方にカウンター。
人形の乗った物入やテーブル、椅子もあり、中は改装され 今も使われているようでした。 -
更に奥には建物がいくつか。
農場関係の施設として、使っていたものなのでしょう。
ここは 現在も山縣家が森林を所有し 農場経営が続けられている場所です。 -
最後に 駐車場に戻りつつ来た時に見えたお社を見に行きます。
「槙ヶ岡神社」 明治天皇を祀った私設神社です。
元々は記念館の建物同様 小田原の古稀庵にあったもので 一緒に移築されました。 -
もうひとつ その右手奥にあるのは
「椿山神社」
こちらは記念館を移築した 伊三郎氏が山縣有朋を祭神として祀ったものです。
椿山伯は有朋の号
椿山荘も言わずと知れた山縣有朋の作った邸宅・庭園が元。
今日はまだ見たことのない紅葉景色に会うため「大山参道」を訪れ
ここに来る事に。
それにより、那須野ヶ原開拓の歴史の一部に触れる事が出来ました。
思い起こせば、20年以上前 千本松牧場に友人たちと遊びに行った時 敷地内に洋館がある、と見学に行った事がありました。
なんの知識も無く、ただ、見学できるのかと行ってみたのは
「松方別邸」の建物でした。
そこも含めて、日本遺産となった関連施設はもっと追及のし甲斐がありそうです。
引き続き 機会があれば那須の地を訪ねてみようと思います。
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