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 ポルポト政権下のカンボジアで、大量虐殺された刑場跡をキリングフィールドと呼んでいる。<br /> 有名なキリングフィールドはプノンペンにあるが、カンボジア各地にあって、ここシュムリアップにもある。<br /> カンボジアに来たからには、一度は訪ねてみたかった場所で、ウォー・ミュージアムの次は、そこまで送ってもらうことなっていた。

出会いが旅の面白さ・シュムリアップとメコンの町 その23 キリングフィールドからの帰りは雨

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2017/01/15 - 2017/01/15

1530位(同エリア8707件中)

motogen

motogenさん

 ポルポト政権下のカンボジアで、大量虐殺された刑場跡をキリングフィールドと呼んでいる。
 有名なキリングフィールドはプノンペンにあるが、カンボジア各地にあって、ここシュムリアップにもある。
 カンボジアに来たからには、一度は訪ねてみたかった場所で、ウォー・ミュージアムの次は、そこまで送ってもらうことなっていた。

  •  キリングフィールに到着し、なんだ、ここだったのかと思った。<br /> この前の道路は自転車で通ったことがあるし、トゥクトゥクでも通ったことがある。<br /> トゥクトゥクにはここで帰ってもらう。<br /> このドライバーはタケオ・オーナーの弟さんで、そのお父さんはポルポトに殺されたそうだ。<br /> まだ子供の頃だったらしい。<br /> ということは、タケオのオーナー兄弟たちは、母親に育てられながら、苦労してここまでになったということだ。

     キリングフィールに到着し、なんだ、ここだったのかと思った。
     この前の道路は自転車で通ったことがあるし、トゥクトゥクでも通ったことがある。
     トゥクトゥクにはここで帰ってもらう。
     このドライバーはタケオ・オーナーの弟さんで、そのお父さんはポルポトに殺されたそうだ。
     まだ子供の頃だったらしい。
     ということは、タケオのオーナー兄弟たちは、母親に育てられながら、苦労してここまでになったということだ。

    キリング フィールド(シェムリアップ) 寺院・教会

  •  そこはお寺だった。<br /> まだ新しいく、色彩も色あせていない。<br /> この場で虐殺された犠牲者のために、建てられたお寺なのだろう。

     そこはお寺だった。
     まだ新しいく、色彩も色あせていない。
     この場で虐殺された犠牲者のために、建てられたお寺なのだろう。

  •  境内の中央に赤いお堂があり、骸骨が詰まっているのが見えていた。

     境内の中央に赤いお堂があり、骸骨が詰まっているのが見えていた。

  •  これを見てギョッとする女房。<br /> 「ポルポトに殺された人たちの骨があるんだよ・・・」<br /> と説明してあるが、近寄って見つめる気持ちはないようだ。

     これを見てギョッとする女房。
     「ポルポトに殺された人たちの骨があるんだよ・・・」
     と説明してあるが、近寄って見つめる気持ちはないようだ。

  •  残虐な拷問を受けたり、非道な方法で殺された人たちの骸骨はほ、焼かれて白くなったものもあり、放置されて土色になっているものもある。<br /> その一つ一つに、それぞれの人生があったのだと思うと、何も言えなくなってしまう。<br /> 浅はかな気持ちで同情したり、平和を願ったり、ポルポトを批判したりできないような、重いものがここにある。<br /> 放心したようにじっと見つめるだけだ。

     残虐な拷問を受けたり、非道な方法で殺された人たちの骸骨はほ、焼かれて白くなったものもあり、放置されて土色になっているものもある。
     その一つ一つに、それぞれの人生があったのだと思うと、何も言えなくなってしまう。
     浅はかな気持ちで同情したり、平和を願ったり、ポルポトを批判したりできないような、重いものがここにある。
     放心したようにじっと見つめるだけだ。

  •  お堂の近くに、当時の歴史や写真や説明のパネルがあった。<br /> これは都市から農村に強制移住され、働かされている人たちだ。

     お堂の近くに、当時の歴史や写真や説明のパネルがあった。
     これは都市から農村に強制移住され、働かされている人たちだ。

  •  この写真は、ポルポト軍が撤退した跡で、犠牲者を弔っている人たちなんだろう。

     この写真は、ポルポト軍が撤退した跡で、犠牲者を弔っている人たちなんだろう。

  •  その犠牲者たちの成仏を祈る阿弥陀如来が、境内に安置され、黙って遺骨を見守っている。<br /> 宗教は一種の財テク道具だと思う私であるが、これには何も文句を言えず、阿弥陀様の語慈悲をただ願うだけです。

     その犠牲者たちの成仏を祈る阿弥陀如来が、境内に安置され、黙って遺骨を見守っている。
     宗教は一種の財テク道具だと思う私であるが、これには何も文句を言えず、阿弥陀様の語慈悲をただ願うだけです。

  •  ポルポトの悲惨な時代を知ってか知らずか、小坊主さんたちは、楽しげにお喋りしたりゲームなんかをして、無邪気に遊んでいる。<br /> 近辺の村々から、口減らしとして預けられている子供たちなのかな・・・

     ポルポトの悲惨な時代を知ってか知らずか、小坊主さんたちは、楽しげにお喋りしたりゲームなんかをして、無邪気に遊んでいる。
     近辺の村々から、口減らしとして預けられている子供たちなのかな・・・

  •  韓国の学生たちがやってきていた。<br /> 歴史学習の一環なのだろうか、それともボランティア活動なんだろうか、単なる観光とは雰囲気が違っている。

     韓国の学生たちがやってきていた。
     歴史学習の一環なのだろうか、それともボランティア活動なんだろうか、単なる観光とは雰囲気が違っている。

  •  境内には小さな仏塔や、  

     境内には小さな仏塔や、  

  •  仏像が建てられているが、配置や形式に統一感はない。

     仏像が建てられているが、配置や形式に統一感はない。

  •  講堂の中に入っていくと、子供が黙って線香を手渡してくれた。<br /> いつになく神妙な気持ちになっている私は、線香代として1000リエルを渡して、仏様の前に膝まづいて合掌する。

     講堂の中に入っていくと、子供が黙って線香を手渡してくれた。
     いつになく神妙な気持ちになっている私は、線香代として1000リエルを渡して、仏様の前に膝まづいて合掌する。

  •  子供は1000リエルを握りしめ、賽銭ボックスに入れようか、入れまいか、ぐずぐず迷っている。<br /> そしてそっと、自分のポケットにしまうのだった。<br /> いじらしく、可愛い!<br /> 私は見て見ぬふりをしている。

     子供は1000リエルを握りしめ、賽銭ボックスに入れようか、入れまいか、ぐずぐず迷っている。
     そしてそっと、自分のポケットにしまうのだった。
     いじらしく、可愛い!
     私は見て見ぬふりをしている。

  •  門から出ようとすると、素っ裸の赤ちゃんを抱いた男の子が、何か言ってきた。<br /> 「赤ちゃんが、腹を減らしている・・・・」<br /> そんな身振り手振りで哀願されて、私たちはホトホト困ってしまう。

     門から出ようとすると、素っ裸の赤ちゃんを抱いた男の子が、何か言ってきた。
     「赤ちゃんが、腹を減らしている・・・・」
     そんな身振り手振りで哀願されて、私たちはホトホト困ってしまう。

  •  私たちは鬼になり、知らぬ顔をして出て来てしまった。<br /> こんな場面で真っ先に頭によぎるのは、タイの乞食組合。<br /> 小さな子供を利用したり、故意に障害者に仕立てられたりして、町中にばらまかれている物乞いたちの組織のことだ。<br /> でも、この子は、乞食組合の末端ではないのかな・・・?<br /> わずかでもお金を渡せば良かったかな・・・・<br /> 後味悪く、自己嫌悪が続いた。

     私たちは鬼になり、知らぬ顔をして出て来てしまった。
     こんな場面で真っ先に頭によぎるのは、タイの乞食組合。
     小さな子供を利用したり、故意に障害者に仕立てられたりして、町中にばらまかれている物乞いたちの組織のことだ。
     でも、この子は、乞食組合の末端ではないのかな・・・?
     わずかでもお金を渡せば良かったかな・・・・
     後味悪く、自己嫌悪が続いた。

  •  門を出たところで、ポツリ、ポツリと雨粒が落ちてきた。<br /> ゲストハウスまでは2.5kmほど。<br /> まあ、大丈夫だろう・・・<br /> と歩き出すが、戦没者慰霊塔までやって来ると、雨足が強まってきて、雨宿りすることになった。

     門を出たところで、ポツリ、ポツリと雨粒が落ちてきた。
     ゲストハウスまでは2.5kmほど。
     まあ、大丈夫だろう・・・
     と歩き出すが、戦没者慰霊塔までやって来ると、雨足が強まってきて、雨宿りすることになった。

  •  雨はひとまず止んだが、先ほどから女房は靴の底を気にしてる。<br /> 見れば、底の一部がペロンとはがれかけていて、歩き方もぎこちない。<br /> どこかで接着剤を売っている店を探さなくては・・・と、道端のお店の中で一休み。<br /> スカーフやら民芸品を売る店で、接着剤はない。<br /> 機織をする女性たちが働いていた。

     雨はひとまず止んだが、先ほどから女房は靴の底を気にしてる。
     見れば、底の一部がペロンとはがれかけていて、歩き方もぎこちない。
     どこかで接着剤を売っている店を探さなくては・・・と、道端のお店の中で一休み。
     スカーフやら民芸品を売る店で、接着剤はない。
     機織をする女性たちが働いていた。

  •  青と白のきれいな模様が織りあがりつつある。<br /> その仕組みを知りたくて、じっと観察する。<br /> 白い糸と青い糸を、交互に取り替えているのではない。<br /> 縦糸が最初から、青白青白・・・と、規則正しく染められているのだ。<br /> そうなると、糸を引く力かげんが勝負だな・・・<br /> 位置が狂ってしまうと、幾何学的な模様にはならない。

     青と白のきれいな模様が織りあがりつつある。
     その仕組みを知りたくて、じっと観察する。
     白い糸と青い糸を、交互に取り替えているのではない。
     縦糸が最初から、青白青白・・・と、規則正しく染められているのだ。
     そうなると、糸を引く力かげんが勝負だな・・・
     位置が狂ってしまうと、幾何学的な模様にはならない。

  •  こちらのお店は装飾店。<br /> 細かな手先作業で金属板を加工していく職人がいた。<br /> テレビドラマ『必殺仕事人』の小間物師みたいだ。<br /> カンボジアは面白い。<br /> しかしここにも接着剤はなさそうだった。

     こちらのお店は装飾店。
     細かな手先作業で金属板を加工していく職人がいた。
     テレビドラマ『必殺仕事人』の小間物師みたいだ。
     カンボジアは面白い。
     しかしここにも接着剤はなさそうだった。

  •  またまた雨が降り始めてしまった。<br /> と、運良く履物屋さんが目の前にあった。

     またまた雨が降り始めてしまった。
     と、運良く履物屋さんが目の前にあった。

  •  この町の履物屋はサンダルばかりで靴は売っていない。<br /> ところが、これまた運が良く、少しだけど靴があると言う。<br /> 奥から探し出してきた小さめの靴を見せてもらう。<br /> さして気に入ったデザインや色ではないが、ピンクの靴が足にピッタリ。<br /> 12ドル。

     この町の履物屋はサンダルばかりで靴は売っていない。
     ところが、これまた運が良く、少しだけど靴があると言う。
     奥から探し出してきた小さめの靴を見せてもらう。
     さして気に入ったデザインや色ではないが、ピンクの靴が足にピッタリ。
     12ドル。

  •  それにしようと履いてみると、紐が付属していない。<br /> 今までの靴紐を代用しようとすると、片方の靴は紐を通す穴が不完全で、紐が通らない。<br /> だめだ、これは!

     それにしようと履いてみると、紐が付属していない。
     今までの靴紐を代用しようとすると、片方の靴は紐を通す穴が不完全で、紐が通らない。
     だめだ、これは!

  •  別の青色の靴にする。<br /> これなら何とかなりそうだ。<br /> 15ドルと言うが、14ドルにまけさせた。

     別の青色の靴にする。
     これなら何とかなりそうだ。
     15ドルと言うが、14ドルにまけさせた。

  •  ドタバタしているうちに、雨は土砂降りに変わり、遠くの景色は見えなくなってしまった。<br /> 店のおばさんが私たちを奥まで引き入れてくれ、椅子まで出してくれた。<br /> こんな場所に靴屋があって、カンボジアに珍しく靴があり、それも女性用の小さな靴で、こんな土砂降りから守ってくれた。<br /> なんと幸運なんだろう。<br /> 信じられない思いだった。

     ドタバタしているうちに、雨は土砂降りに変わり、遠くの景色は見えなくなってしまった。
     店のおばさんが私たちを奥まで引き入れてくれ、椅子まで出してくれた。
     こんな場所に靴屋があって、カンボジアに珍しく靴があり、それも女性用の小さな靴で、こんな土砂降りから守ってくれた。
     なんと幸運なんだろう。
     信じられない思いだった。

  •  雨が上がり、新しい靴で帰ってくると、ちびっ子たちの銃が突きつけられた。<br /> ウッ!<br /> 死んだ真似。<br /> 弟の方は真っ裸だ。

     雨が上がり、新しい靴で帰ってくると、ちびっ子たちの銃が突きつけられた。
     ウッ!
     死んだ真似。
     弟の方は真っ裸だ。

    タケオ食堂 和食

  •  オーナーさんはぼんやり、と・・・・元気がない。

     オーナーさんはぼんやり、と・・・・元気がない。

  •  今日のタケオの食堂は、調理のおばさんが病院通いで休業だった。<br /> オーナーと同じで、バンコクの病院まで通っているとか。<br /> そこで夕食はいつものレストランで、安くて美味い、いつもの料理。<br /> すっかり顔なじみとなり、「また、あれね・・」と、ママさんたちは笑顔で迎えてくれる。

     今日のタケオの食堂は、調理のおばさんが病院通いで休業だった。
     オーナーと同じで、バンコクの病院まで通っているとか。
     そこで夕食はいつものレストランで、安くて美味い、いつもの料理。
     すっかり顔なじみとなり、「また、あれね・・」と、ママさんたちは笑顔で迎えてくれる。

  •  この店は、ヤマトやイキイキの泊まり客も良く来るようで、日本人の姿を見ることもある。<br /> この日も日本人のおじさんに会って、軽く挨拶。

     この店は、ヤマトやイキイキの泊まり客も良く来るようで、日本人の姿を見ることもある。
     この日も日本人のおじさんに会って、軽く挨拶。

  •  ゲストハウス内で野良ネコを飼っている日本人がいることを知った。<br /> 部屋の前に皿があり、キャットフードを買ってきて食べさせている。<br /> ネコ嫌いなオーナーたちは、見て見ぬふりをしているらしい。<br /> 近辺の村巡りが好きで、村の子供たちや村の風景を撮るのが趣味というこの人と、この夜、初めて話す時間が持てた。<br /> 部屋の中はカメラ機材で足の踏み場もないらしい。

     ゲストハウス内で野良ネコを飼っている日本人がいることを知った。
     部屋の前に皿があり、キャットフードを買ってきて食べさせている。
     ネコ嫌いなオーナーたちは、見て見ぬふりをしているらしい。
     近辺の村巡りが好きで、村の子供たちや村の風景を撮るのが趣味というこの人と、この夜、初めて話す時間が持てた。
     部屋の中はカメラ機材で足の踏み場もないらしい。

  •  この人も自分のバイクを持っている。<br /> カンボジアでは125cc以下のバイクは、免許が必要なくなったと言う。<br /> ヘルメットさえあれば大丈夫らしい。<br /> なんだ、それなら自転車なんかでなく、バイクで遺跡巡りをすれば良かった、と後悔した。<br /> バイクなら、コンポンチャムやクラチェにも行けるではないか。<br /> この人のカンボジア冒険旅行の話を聞きながら、最後の夜を楽しんだ。

     この人も自分のバイクを持っている。
     カンボジアでは125cc以下のバイクは、免許が必要なくなったと言う。
     ヘルメットさえあれば大丈夫らしい。
     なんだ、それなら自転車なんかでなく、バイクで遺跡巡りをすれば良かった、と後悔した。
     バイクなら、コンポンチャムやクラチェにも行けるではないか。
     この人のカンボジア冒険旅行の話を聞きながら、最後の夜を楽しんだ。

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この旅行記へのコメント (2)

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  • trat baldさん 2017/03/08 07:57:50
    靴が壊れる程たくさん歩いたんですよ(^o^)
    履きなれた靴なら修理した方が良いけど安全に帰る事も必要だね、さすがのmotogenさん乞食組合?をご存知ですね、バンコク辺りじゃあ仕事帰りはトヨタの新車で帰宅ですよ。
    山岳部の貧村から口減らしの子供を買って来て物乞いをさせますが現金を上げると親方の収入ですから手間でも食べ物を上げるのがベターの様です、ちなみに中国ヤクザ(パン)が仕切っています。
    Ps.トラート県(タイ)でも交通検問でバイクを調べるのは所有権と身分証明です、10才の子供でも乗ってるからねぇ、、、、あっメットは絶対条件です。

    motogen

    motogenさん からの返信 2017/03/08 11:10:59
    RE: 靴が壊れる程たくさん歩いたんですよ(^o^)
     タイですが、軍事政権になってから交通の取締りが厳しくなっていませんか?
     パタヤのことですが、レンタルバイクについては警察とレンタル業者が裏取引しているようで、取り締まりはラフでしたが、ある時期よりバイクの欧米人を軒並み止めて、免許証の提示をさせていました。
     ヘルメットはかぶっていても免許証がないとだめみたいで、みんなキップを切られて、町中の警察署まで出頭。
     それを見て、パタヤではバイクはやめました。
     しばらくパタやに行っていないので、今の状態は分かりませんが、これはパタヤに限ったことなのかな?

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