2017/01/12 - 2017/01/12
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motogenさん
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ストゥントレン。
それは、ここに来て初めて知った町の名前だった。
はじめの予定ではコンポンチャムに戻り、男山や女山を観光して、シュムリアップに帰るつもりだったのに、このストゥントレンを回って帰ることにしてしまった。
来た道を戻るよりも、まだ見ぬ道を走ってみたかったのだ。
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2時半のバスは、3時にやって来た。
プノンペン、コンポンチャムとずいぶん遠くからやって来るバスなのに、30分の遅れはまずまずだ。
乗ってきた客は、ここクラチェでほとんど降りてしまい、車内はガラガラだった。 -
一番前のシートには車掌の荷物が置いてあるので、2列目に座る。
座ったは良いが、背もたれが時々後に倒れてしまう。
周りの席は空いているので、自由に移動して写真を撮ることにする。 -
5~6人の乗客を乗せただけで、バスは動き出した。
途中で乗り込む客もなく、ストゥントレンまでこのままだった。 -
ストントレンまでの距離は、およそ140km。
マップで見ると単純な一本道。
何時間かかるんだろう。
明るいうちに着けるといいなと、貸切りのような車内でのんびりしている。 -
荒野のような平らな大地の中を、走っていく。
カンボジア開発資源研究所の調査では、この地方はカンボジアでもっとも貧しい地域だ。
その90%が森林に覆われ、自然に恵まれた土地であるものの、住民の85%が小規模農家。 識字率も65%を下回る。
整備された給水設備を有する家庭は18%、安定した電力供給を受けられる家庭は14%にとどまる。 -
ずっとずっと、同じような景色ばかりが続く。
調査では、90%の住民が農林業。
小規模農家(21%)、漁業・林業(44%)、換金作物農家(13%)、高度な家畜生産農家(13%)、非農業従事者(9%)となっている。
しかし農地の半分以上は法的な権利書のない土地だという。
また生産高の71%を自家消費している。 -
タケオGHにいた大学教授からは、こんな話も聞いた。
「近くにメコンもあるのだから、日本の農業技術を駆使すれば、ここは豊かな耕作地になるはず・・・」
現地の農民にそう言うと、
「これで充分。これ以上無理して働きたくはない・・・」
と答えたとか・・・・
高い農業機械を買わされ、高い農薬や肥料を買わされるのが、オチかもね・・・
そんなことも言っていた。 -
90km近いスピードで走っているバスがブレーキを踏んだと思ったら、前方に牛、牛。
同じ景色に飽き飽きしている私には、眠気を覚ます一陣の風のようだ。 -
たまに出会うお店や人に、ハッとなるが、それもつかの間・・・
-
すぐまた原野に戻ってしまう。
山がなく平原ばかりの地域だったのに、右側に小高い台地が見えた。
こんな何でもないことが、事件なるこの大地・・・ -
道路だけは立派なもので、車の往来が少ないためか、舗装も荒れていない。
でも、もしかしたら、周辺にはまだ地雷なんかが残っているのかも知れない。 -
走ること2時間あまり。
大きな町に入ってきた。 -
右に行けばラタニキリ、左に行けばストゥントレンだ。
-
ここからの道路には人家が増え、ストゥントレンに近づいていることが感じられるようになってきた。
「何にもなかったね・・・。 でも、こんなところ、日本にはないから・・・」と女房。
そう、こんなに人口密度の低い、だだっ広い草原が、カンボジアにあると分かっただけで、通って来た意味は大きい。 -
右に左に曲がり、バイクやトラックが増えてきた思ったら、突然大きなロータリーが現れた。
-
ロータリーの先にあったのは広々とした、素晴らしい道路。
中央分離帯は道路よりも広い。
突然現れた都会の風景に、なぜか興奮してきた。 -
すぐに道路の両側は市場に変わり、バスはスピードを落とす。
-
降ろされた場所はその市場の中。
ミニバンやトラックから降りてきた人々で、道路は混雑している。
バスターミナルを期待していた私は、思わぬ事態に困惑するばかり。
シュムリアップ行きのバスチケットは、どこで売っているのか?
どこにバスは集るのか? -
とにかく今は目当てのホテルまで歩こう・・・
『Golden River Hotel』を第一候補と考えている。
そんな時、声がかかった。
「ホテル、決まってる?」 -
怪しそうな兄ちゃんが、ホテルまで送るから車に乗れという。
車はSUVで、ピカピカに磨かれている。
「自分で、探せるから・・・」
だまされてはいけないと離れようとするが、後をついてくる。
「安いホテル、近くにあるよ。見るだけ、見るだけ・・・」
安いという言葉に、つい気を許し、
「ここら辺に、シュムリアップまでの、バスチケット売り場、ある?」
と聞いてみる。
(この画像の車ではありません。) -
この兄ちゃん、すかさず伝票の束を取り出して、
「いつ? 何時?・・ミニバンで15ドルだ。」
15ドルは高いと思うが、周囲にバスターミナルはなし、チケット売り場は見当たらず、明後日のチケットを買うことにする。
朝の9時出発だと言う。 -
ついでに安いというホテルも見せてもらう。
すぐ近くだと言うので、車には乗らず、車の後を歩いていく。
目の前の舗装されていない路地を30mほど入ると、 -
看板もない、長屋のような建物だった。
「アエコン、エアコン」
と言うと、エアコン部屋を見せてくれたが、水シャワーしかない。
5ドルらしいが、これじゃだめだ。
「Golden Riverに連れて行って・・・」
そう頼むと、快く引き受けてくれ、 -
車に乗ると、連れて行かれたところは違うホテルだった。
不愉快になったが、場所はメインストリートで、市場も近くで、立地条件は良い。
建物も見た綺麗で清潔そうで、良いホテルだ。
『ANGKOR MEAS HOTEL』と書いてある。 -
レセプションに行って料金を聞くと、15ドルで、エアコン、温水シャワーあり。
ここに2泊することに決めた。
SUVの兄ちゃんは、バスチケットを切りながら、明後日の朝8時半に、ここに迎えが来ると言って去っていった。 -
このホテル、不思議なホテルだ。
ロビーにあるテーブルや椅子は重厚そのもので、ピカピカしてるが、値段がついている。
売り物なのだ。
売り物なのに、客の利用にも使われている。 -
部屋のテーブルや椅子やベッドも、重厚で高級感のあるものだ。
ただ動かすのに一苦労してしまう。 -
鏡の前の台はガラス板に被われているし、ポットまである。
もちろん冷蔵庫もある。 -
シャワー室も綺麗で、洗面台も使いやすい。
-
ベッドも固くて寝心地が良い。 カーテンも厚手で遮光性も優れている。
いうことなし。
これで15ドルとは、コストパフォーマンスが実に良い。 -
窓の外はいつの間にか日が暮ようとしていた。
市場の灯りのまたたきが、増え始めている。
どこかで食べるものを仕入れてきて、この快適な部屋で夕食にしようと、 -
川のある方向に歩いていくと、屋台の密度が急速に高まり、道路の中央にまで店が立ち、身動きできないほどになってしまった。
もちろん車は通り抜けられるわけはがない。
今夜は歩行者天国なのか・・・? -
口に合いそうなものを物色する。
野菜の卵とじ、小エビの揚げ物、生菓子、ビール・・・
これで3ドルと、市場の庶民価格は安くて、気持ちが良い。 -
ところがビールのつまみにとスナック豆を買ってみると、量はちょこっとなのに1ドル半と、日本よりも高いくらいだ。
輸入品なんだろう・・・ -
仕入れてきた惣菜と、昼間の残りの蒸しパンが、ストゥントレンの夕食となった。
スプーンやフォークは、機内食のもの。
惣菜は塩辛すぎて血圧が上がりそうだったが、
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ココナッツミルクをベースとした生菓子は口当たりがよく、中に入っている餅菓子がココナッツにマッチしていて、なかなか美味だ。
食べるものがたくさんあったので、ビールを飲むのを忘れてしまっていた。
ビールは冷蔵庫に入れて、明日にしておこう。
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この旅行記へのコメント (1)
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- trat baldさん 2017/02/27 08:06:03
- ヤバイけど行き当たりばったりは大好き!
- 現在の放浪?旅にはスマホが必需品だろうね、最新情報やMapが拾える事で最低限の安全確保ができるし移動の予定も立てられるから。
観光客が立ち入らない殆どの人が知らない町に行く事はそれだけで胸がワクワクして見るものが全てウ〜ン、ホォ〜って感じだよね。
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