2015/05/26 - 2015/05/26
606位(同エリア2812件中)
kojikojiさん
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- フォロワー151人
ブリュッセル5日目になってようやく「王立美術館」の見学が出来ました。ここの絵画を観る為にベルギー旅行を決めたと言っても過言ではない所です。朝9時にホテルを出てブロッケール駅からいつものように地下鉄でパーク駅まで移動します。地上に出ると「ブリュッセル公園」の角に出たのでそのまま公園を散策することにします。古くはブラバン公爵の所有地で池や噴水の美しさはヨーロッパでも有数の公園だったそうです。1830年にベルギー革命軍とオランダ軍が初めて対戦した場所で、その後に建築家ジネーによってフランス式庭園に改装されています。そのせいかヴェルサイユ宮殿からトリアノンへ向かう途中に似ているような気がしました。公園を抜けると昨日も来た王宮前に出ます。一緒だった姪がいないのがちょっと寂しい気もします。ロワイヤル広場を抜けて美術館前に到着しましたが、開館まで30分くらいあったので脇の彫刻の置かれた公園で休んでいました。30分前には誰もいませんでしたが、10分前には50人くらいの列になっていました。時間になって回転ドアから中に入りますが、ブリュッセルカードを持っているのでチケット購入の列には並ばずに奥のカウンターに行きます。パンフレットなどを貰って、荷物はコインロッカーへ預けるように言われます。館内はフラッシュ無しで撮影は可能です。ベルギーとオランダの美術館を巡る場合はコインロッカー用に必ず1ユーロ硬貨を持っていないとだめですね。返却式ですがロッカーは1ユーロ硬貨が必要です。「王立美術館」と「世紀末美術館」と「マグリット美術館」は地下で連絡していますが、最後はここへ戻って来れるので身軽になって見学した方が良いと思います。「マグリット美術館」にもクロークがありました。身軽になって大きなホールの1番奥の入口から2階の展示室に入ります。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 4.5
- 交通
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス 観光バス 船 タクシー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- エミレーツ航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
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朝9時にホテルを出てブロッケール駅から地下鉄1号線で移動しました。
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イチオシ
分別のごみ箱の表示が面白かったです。リンゴの芯とドリンクの紙コップとフリットが燃えるゴミってベルギーらしいですね。
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パルク駅を出て時間が早かったので「ブリュッセル公園」を散策をします。ちょうど出勤時間帯だったようで、トラムや地下鉄が停まると人がたくさん降りて足早やに公園を横切って行きます。その点観光客はのんびりなので、時間の流れるスピードが違っています。
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王宮側へ出る手前に小鳥の水飲み場がありました。カエルの口から水がポタポタ流れています。デザインの由来などは分かりませんでした。
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芝生に落ちる木洩れ日がとても綺麗でした。
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「王宮」の重厚な建物です。ここで日本からのツアーの方と会いました。アムステルダムからスタートしてブリュッセルまで南下して来たそうなので我々とは逆ルートです。クラレ・ミューラー美術館が良かったとのことでした。今回予定に入れるか迷ったのですが、アムスエルダムから1日がかりになりそうなので断念したところです。良かったと言われると行きたくなるのが人情です。
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王宮は離れた距離から全景を俯瞰できるので余計美しく感じるのかもしれません。そんな位置へスッと案内してもらえるツアーっていいなと思ってしまいます。後にドイツのケルンからベルギーとオランダを周るクリスマスマーケットツアーに参加して、気になっていたクラレ・ミュラー美術館には行くことが出来ました。
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地上も出勤時間で混雑していましたが空も混雑しているようです。パリ上空も同じようだったことを思い出します。これも天気が良いから言えることですが、飛行機雲が交差しています。
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市庁舎の尖塔を横目に眺めながらロワイヤル広場を通り抜けます。
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ようやく「王立美術館」に到着しました。
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開館まではまだ30分もあります。早く着き過ぎました。
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ベルギー最大の「王立美術館」です。フランスの占領時代にパリのルーブル美術館の分館として設立されますが、ナポレオンの失脚によりブリュッセル市の管轄になります。そしてベルギーの独立に伴って王立美術館として開館しています。
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20分くらい建物の横の公園で日向ぼっこしていたら50人くらいの列が出来ていたので並びました。入った後はブリュッセルカードを持っているのでチケット購入の列には並ばず直接ホールへ行けました。
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ヤン・ヴルハース
「学童達のパレード 1878年」
1階のホールの中央に飾られてあります。 -
ヤン・ヴルハースは19世紀後半のベルギーを代表するリアリスムの画家です。
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パレードの最前列の左から8人目は描いたヤン・ヴルハースの姪のルイーズ・ポンスレ。1番目立ってるピンクのドレスの女の子の左です。ビスク・ドールが流行った時代に描かれた絵画を見るとこの時代の風俗をよく捉えているなと思いました。
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どうしても上の階の古典絵画に気持ちがいってしまうので、奥のゲートから階段を上がります。ここから先は入口でチケットチェックがあります。
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はやる気持ちを抑えて1段1段階段を上がります。
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アンニーバレ・カラッチ
「ダイアナとアクテオン」
月の女神ダイアナの入浴姿を見てしまった狩人アクテオンは、ダイアナに鹿にされてしまいます。そして自分の猟犬に八つ裂きにされてしまいます。 -
カルロ・マラッタ
「アポロンとダフネ」
アポロンはキューピッドが弓矢で遊んでいるのをからかいます。キューピッドは怒ってアポロンに金の矢を放ちます。そして川の神の娘ダフネに銅の矢を射ります。金の矢は愛を銅の矢はそれを拒む心生みます。アポロンはダフネに恋をしますが絶対に叶いません。逃げ惑うダフネは父に助けを乞います。 -
すると指先から葉が生えてみるみる月桂樹の樹に変化してしまいます。悲しんだアポロンはダフネの月桂樹の葉で冠を作り、生涯それを頭にかぶります。
絵画では簡単に表現できる場面ですが、ローマのボルゲーゼ美術館でベルニーニの彫刻の「アポロンとダフネ」を初めて見た時は体に旋律が走りました。ギリシャ神話には続きがあって、2人は大理石に変わってしまったと思ったほどです。それくらいリアルな彫刻で、ダフネの体に沈むアポロンの指先や、月桂樹の葉に変化するダフネの指先の表現は人の技とは思えませんでした。 -
ロベール・カンパン
「受胎告知」
ルカによる福音書に書かれた受胎告知の場面です。大天使ガブリエルは「あなたは身ごもって男の子を生む。その子をイエスと名づけなさい。」と伝えます。 -
通常マリアの頭の上に描かれる精霊の象徴である鳩は花瓶に描かれています。百合の花はマリアの処女性を表しています。燭台の蝋燭の左が紀元前、右が紀元後を表わすのでしょうか。置かれた本は紀元前8世紀の預言者イザヤに関する旧約聖書の1つ「イザヤ書」で、具体的な箇所としては預言者イザヤが「見よ、乙女がみごもって男の子を産み その子をインマヌエルと呼ぶ」と救世主イエスの誕生を予言した部分だそうです。燭台はイエスの誕生によって新しい時代が始まることを告げています。聖書といっしょに置かれた長細い麻布はイエスが磔になった後に身体を包んだ麻布であり、イエスの後の受難を暗示しています。
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ロヒール・ファン・デル・ウェイデン
「アントワンヌ・ドゥ・ブルゴーニュの肖像画」
アントワンヌ・ドゥ・ブッルゴーニュは15世紀のブルゴーニュ公国のフィリップ善良公の私生児でしたが、嫡子シャルルと共に軍人として数々の戦績をあげ、ゴールデン・フリース(金羊毛騎士団)の騎士に任命されます。首に下げられた勲章がその事を表します。手に持った矢はブリュージュの弓矢競技会で優勝したことを表しています。 -
ディルク ・ ボウッス
「皇帝オットーの裁判」
神聖ローマ帝国皇帝オットー3世の妻は、宮廷に仕えていたドイツ人伯爵を自分に言い寄ったとして皇帝に告発します。実際は妃が伯爵を誘惑しようとして拒絶されたのです。皇帝は皇妃の言葉を信じて伯爵の処刑を命じます。そして白い改悛者の衣を着せられた伯爵は斬首の刑にあいます。城壁の上で処刑を眺める皇帝と妃の姿が見えます。また伯爵は妻に自分の無実を晴らすように耳打ちしています。 -
伯爵の未亡人は亡き夫の無実を証明するため、赤く焼けた鉄による神明裁判に身をゆだねているのです。この方法は真実を知る手段として、中世では当たり前のように行われていました。熱した鉄の塊を握って9フィート歩き、数日後に神の意志によって火傷が治癒し始めれば無罪で化膿し始めれば有罪というものです。結果として神の力で真実を得た皇帝は、自分に嘘をついた妻を杭に縛りつけて火刑にせざるを得ませんでした。
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手には焼けた鉄の棒を持ちながら冷静な表情の伯爵の妻です。足元には鉄の棒を焼いた炭火が置かれてあります。
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「最後の審判」
世界の終わりにイエス・キリストが再臨し、あらゆる死者をよみがえらせて裁きを行い、永遠の生命を与えられる者と地獄に墜ちる者とに分けるという場面です。 -
天国の図より地獄に落ちる人々や悪魔の姿に目が止まってしまいます。子供の頃に祖母が長野の善光寺を参拝したお土産にくれた仏教の地獄絵図の漫画は悪い事をしてはいけないという教えを説くものでしたが、それ以来地獄絵図が好きになりました。
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「聖カタリナの神秘の結婚の祭壇画」
4世紀の聖女でイエスと婚姻体験を持つとされる聖女カタリナはエジプトのアレクサンドリアに生まれ、ローマ皇帝の怒りに触れて大釘を打ち付けた車輪で拷問を受けた後に斬首され殉教します。 -
キリスト教の聖女ですが残される逸話の信憑性から教会暦から除外されているそうです。
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女性の着るゴブラン織りのドレスの表現の美しさに写真を撮りましたが、後ろの女性の手にはヤットコ、隣の女性の手の盆の上には刳り抜かれた目玉が乗っています。アトリビュートからヤットコを持った女性は聖アポロニアで、目玉を持ったのは聖ルチア(サンタルチア)だということが分かります。
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イエスに注がれる戴冠したマリアの視線が怖いです。
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ペトルス ・ クリストゥス
「哀歌」
倒れ込むマリアを中心にイエスの亡骸を布に乗せ、イエスを抱くのは弟子のニコデモで足の先で布を持つのはヨセフです。イエスの足元には抜かれた釘や金鎚ちがリアルです。横に座るマグダラのマリアの膝先には乳香壺も見えます。 -
ヒエロニムス・ボス
「聖アントニウスの誘惑」
聖アントニウスはエジプト生まれの修道士で、貧困者へ財産を与えて砂漠に移り住み、隠修士として瞑想と苦行の生活続けた人です。 -
「聖アントニウスの誘惑」とは、砂漠で修行中のアントニウスが悪魔の誘惑を受け、奇怪で生々しい幻想に襲われる場面を指し、誘惑に耐える聖アントニウスの信仰心を表したものです。
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右翼では女性に化けた悪魔の誘惑を受けています。
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イタリア絵画の遠景とは違った不思議な風景が続きます。水中にも化け物の姿が見えます。
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中央の画面では地下墓地での試練が繰り広げられています。遠景には海が広がり、船が炎に包まれて沈没するところが描かれています。
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壇上でひざまずくのが隠者アントニウスの姿です。周囲には人とも怪物ともとれる得体の知れないものの姿があります。
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魚やエイをモチーフにした化け物たち。
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巨大なネズミに乗った悪魔の手下たち。
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ナイト・シャマランの「ヴィレッジ」という映画に出てくる怪物を思わせるものや、日本の妖怪のような姿も見えます。
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三連祭壇画の左翼の上部には化け物たちによって空中に放り投げられて運び去られるアントニウスが描かれています。アントニウスは蛙の化け物の腹の上で祈っています。下の場面では気絶したアントニウスを3人の僧衣の男性が抱きかかえています。青い頭巾の男はボス自身と言われているそうです。
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トリプティック(三連祭壇画)を閉じたときに表になる扉絵も見ることが出来ます。リスボンの国立美術館では裏まで見られなかった記憶があります。
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この祭壇画に出てくる怪物たちのフィギュアはミュージアムショップで売っています。
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「ジーリックジーの三連祭壇画の扉絵」
ファン・ジョアンナ・デ・ワーンツィニージとジャンネ・ラ・フォーリの肖像です。 -
「ジーリックジーの三連祭壇画の扉絵」
ファン・ジョアンナ・デ・ワーンツィニージとジャンネ・ラ・フォーリの肖像
女性の美しさが際立つ祭壇画の扉絵でした。 -
「ジーリックジーの三連祭壇画の扉絵」
ファン・ジョアンナ・デ・ワーンツィニージとジャンネ・ラ・フォーリの肖像
対になる絵の男性の衣装も素晴らしいです。フランドルの獅子の刺繍が凄い細かさで、本当に刺繍されているように見えます。 -
足元の植物まで細かく描かれています。ボッティチェリのプリマベーラを思い出しました。
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ハンス・メムリンク
「聖セバスティアンの殉教」
ディオクレティアヌス帝はセバスティアンがローマ兵の親衛隊長の身でありながらキリスト教徒を助けた裏切りを責めます。皇帝はセバスティアンを草原へ引き立てるよう命じ、射手たちは全身ハリネズミのようになるまで射続けます。 -
射手組合(ギルド)が教会に奉納する祭壇画ということで、射手と十字軍兵士の守護聖人にあたる聖セバスチャンを依頼したそうです。
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アドリアン・イセンブラント
「聖バルバラ」
バルバラはキリスト教が禁じられていた3世紀にニコメディア(現トルコのイズミット)の富裕な家庭に生まれます。求婚者たちから美しい娘を遠ざけようとした父のディアスコロスによって塔の中で生活することを強いられます。幽閉生活の中で彼女はキリスト教への信仰に目覚めることになります。 -
ハンス・メムリンク
「聖母子」
ブリュージュのメムリンク美術館にも似たような絵がありました。今回の旅ではずっと気になっていたメムリンクのマスター・ピースをたくさん見ることが出来ました。 -
ヤン・ヴァン・ドルニック
「ディエレゲン修道院の三連祭壇画」 -
右側のパネルにはマグダラのマリアとプレモントレ修道会の修道院長シェンカーが描かれています。
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中央にはイエスの生涯の1場面が描かれています。「この町に1人の罪深い女がいた。イエスがファリサイ派の人の家に入って食事の席に着いておられるのを知り、香油の入った石膏の壺を持ってきて、後ろからイエスの足もとに近寄り、泣きながらその足を涙でぬらし始め、自分の髪の毛でぬぐい、イエスの足に接吻して香油を塗った。」
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左側のパネルは「ラザロの復活」でマリアとマルタの兄弟ラザロが病気になり、姉妹たちはイエスのもとに人をやって知らせます。イエスが彼らの元へ行くと4日前にラザロは亡くなっていました。イエスは涙を流しどこに葬ったか訊ねます。墓へ出向いたイエスは墓石を取りのけるよう言い「ラザロ、出てきなさい。」と叫びます。 そしてラザロは復活します。
キプロス島のラルナカにラザロ教会があります。復活後30年この教会で主教を務めたそうです。地下にラザロの墓があり感慨深く拝観したのを思い出しました。 -
ルーカス・クラナッハ(子)
「愛徳」(カリタス)
同じ時代のデューラーが好きでクラナッハにはあまり興味が持てなかったのですが、ウィーンの美術史美術館などで見続けているうちに好きになってきました。 -
親子で同じ題材のカリタスを描いていますが、父親の描く女性の方は体躯の美しさや官能美を感じます。
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顔の部分だけ見るとやはり親子だなと感じる所もありますし、一目でクラナッハの作品だという事までは分かります。
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ルーカス・クラナッハ
「アポロンとダイアナ」
太陽神であるアポロンと夜の女神であるダイアナは双子であり、ダイアナが姉にあたります。牡鹿を椅子代わりに座り、足に刺さった棘を抜こうとしている場面です。単純に読み解くと夜が終わり朝がやってくるという暗示ですが、アポロンの弓は遠く山上の砦に向いています。弓は疫病を表わすところに意味があるのだと思います。 -
ルーカス・クラナハ
「ビーナスとキューピッド」
実にクラナッハらしい題材と構図です。赤い大きな帽子を被り薄衣だけの姿はビーナスで、横の子供は息子のキューピッドです。キューピッドは食いしん坊で森の中の蜂の巣から蜂蜜を盗み、蜂に刺されてしまいます。同じ構図の作品はいくつか見たことがあります。 -
母であるビーナスは「蜂は小さいけれど痛みを与えるように、あなたも金の矢で人間を恋に陥れて苦しめるでしょう。」と言っているようです。右上のラテン語はテオクリトスの詩の1部で「我々の憧れる官能美は長続きせず、痛みを伴って我々を苦しめる…。」と書いてあるそうです。
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ピーテル・ブリューゲル(父?)
「あくび」
作品集には掲載されていないので真偽は分かりません。キャプションにも?マークが付いていました。 -
ただ、何とも愛嬌のある作品でした。ミュージアムショップで売っていた缶のフリスクにはこの絵が描かれていました。そういえばフリスクはベルギーのお菓子でしたね。キャッチコピーの「SHARPENS YOU UP」を考えるとこの絵を使った人のセンスが窺えます。
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ピーテル・ブリューゲル?
「守護聖人の行列」(断片)
この場面が描かれている大きな絵があるので部分という事は分かります。お祭りで守護聖人像を担いだ人々とそれを見守る人々の姿が微笑ましいです。 -
当時の風俗が生き生きと分かるブリューゲルの絵ってすごいと思います。この絵の全体は後に「劇と聖人行列のあるケルメス」で分かることになります。
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家に吊るされた布と菱形の聖画にも深い意味があるのでしょう。
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クエンティン・マサイス
「リーヴェンの聖アンナと聖母子の三連祭壇画」 -
聖アンナは聖母マリアの母親です。マサイスは当初はウェイデンやボウツやグースらの影響を受けた宗教的題材を描いていましたたが、次第に風俗的絵画へと移っていきます。風俗画には道徳教訓的な内容がしばしば見られ、人間の不徳や生命の儚さの告発であり、絵画史におけるこのジャンルの開拓者とみなされています。
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ピーテル・ブリューゲル?(長男)
「屋外での婚礼の踊り」
この絵が結婚式の光景だということは画面の奥に張られたグレー布に、花嫁のしるしである冠が飾られている事でわかります。花嫁の顔はウィーン美術史美術館の絵でも見慣れたふくよかな顔です。 -
これから披露宴が始まる興奮が伝わって来るようです。女性たちは準備の手を休めて駆け寄ってきたのでしょうか?みな前掛けをして白い頭巾姿です。
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男たちはブラゲット(股袋)をつけて股間を誇張しています。現代の感覚では恥ずかしい感じがしますが、この当時では当たり前の風俗だったようです。
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どの絵でも花嫁は伏せ目がちにしています。そしてどの絵にも花婿の姿はありません。先日行ったブリュッセルの王の家(市立美術館)にあった「結婚式の行列」の絵でも花嫁だけが歩いているだけです。
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ピーテル・ブリューゲル(長男)
「謝肉祭の争いと四旬節」
父親の描いたオリジナルはウィーンの美術史美術館に収蔵されています。風刺的寓意画として知られるこの絵は一般的にはカトリック(四旬節)とプロテスタント(謝肉祭)の対立を表現したものと解釈されます。中央から左を謝肉祭(カーニバル)、右を四旬節(レント)で表現しています。 -
イエスの死からの復活を記念する祝日である復活祭(イースター)の前の40日間のうち、イエスの死を偲び肉食など食事の節制と祝宴の自粛をおこなう四旬節(レント)と、四旬節に先立ち肉食など禁則事項との告別をおこなう祭事である謝肉祭(カーニバル)を題材に、人間の「利己」と「愚行」に満ちた姿を描いた作品です。
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不思議な登場人物がそこかしこに見えます。
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楽しそうなレント(カトリック)側の人たち。
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謝肉祭の争いと四旬節
ピーテル・ブリューゲル(長男) -
地味なプロテスタントのエリアが描かれてあります。現在のベルギーはカトリックで、オランダはプロテスタントに分かれていることにもつながって行くのでしょうか?
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ピーテル・ブリューゲル
「東方三博士礼拝」(デトランプ画)
テンペラで描かれているせいか色がくすんで見えます。題材はイエスの誕生を祝って東方からやって来た三博士が到着した場面です。メルキオールとバルタザールとカスパールの3人です。 -
ピーテル・ブリューゲル
「イカロスの墜落」
長年ピーテル・ブリューゲルの手になると考えられてきた絵画作品ですが、近年の調査で作者をブリューゲルとすることは極めて疑わしいとされるようになったそうです。確かに他の絵と比べると違うような気もします。 -
ギリシア神話でイカロスは父親のダイダロスが蝋で固めた羽根で作った翼で空を飛ぶことに成功します。しかし父の忠告を忘れ太陽に近づきすぎたために蝋が溶けて海に墜落して溺れてしまいます。船べりの水面にさかさまに落下したイカロスの足を見ることができます。
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沈みゆく太陽の位置を考えるとずいぶん手前に落ちたなという印象です。イカロスにとっては大変な出来事ですが、周囲では何事もなかったように変化はありません。
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誰もイカロスが空から落ちたことにも気づいていないようです。この絵を観ると思い出すのがアンドレイ・タルコフスキーの「惑星ソラリス」というロシア映画です。無重力の宇宙船のクラシックな内装の中のソファの後ろにブリューゲルの絵が数点隙間無く掛けられているのですがその中の1枚がこの絵でした。宇宙船の中に落下するイカロス?と思い、後に東京大学のロシア文学の沼野充義教授にお訊ねしたことがありました。残念ながら理由は思い当たらないということでした。
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ピーテル・ブリューゲル
「堕天使の墜落」
この美術館で1番見たかった絵がこれです。 -
大天使ミカエルが率いる天使軍と天を追放され冥界へ落された堕天使サタン(ルシファー)を始めとした魔界軍との対決を表しています。いろいろな映画の題材にも取り上げられることもある場面ですが、この絵には敵わないような気がします。
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幼い子供のような微笑みを浮かべながらミカエルたちはサタンの偶族を退治していきます。
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楽器博物館に展示してあったものと同じ楽器のハーディーガーディが出てきます。この絵の通りに楽器の音を重ねたらさぞ騒々しいことでしょう。
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このような怪物たちを想像させた源は一体何だったのでしょう。
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以降の絵画や漫画やアニメなどにどれだけの影響を与えているのでしょう。
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何と何が組み合わさってこの姿になったのか…。
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少年のような大天使ガブリエルですが残酷です。
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諸星大二郎の漫画に出てくるクトルーちゃん(クトゥルフ神話に由来する名前?)
が口を開けていました。 -
諸星大二郎や宮崎駿も絶対にブリューゲルやボスにインスパイアされていると思います。
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天使たちが悪魔の手先をいくら切り刻んでも、どんどん分裂して増えていくような気がします。
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ラッパを吹いているのは天使かと思ったら違うようです。
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息をいっぱい溜めた姿は可愛らしさもあります。所詮善も悪もどちらかが完全に勝つことは無いと暗示しているのでしょうか?
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スティーブン・キング原作の映画「ミスト」を思い出させるような異形の数々です。
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「遊星からの物体X」などもこの辺りに由来していそうな気もします。
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悪魔の手先でも可愛らしかったりします。
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ぶよに襲われた怪物はエジプトの10の禍に由来しているのでしょうか?
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天国へ昇っているのか天国から墜ちているのか…。
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この絵を観ていると「Dead Can Dance」のリサ・ジェラルドの「The Host Of Seraphim」と言う曲が頭のの中に響きます。映画ミストのエンディングで流れる曲です。セラフィム=堕天使と重なる部分もあります。
https://www.youtube.com/watch?reload=9&v=Ub_SB48e1IU -
この絵のために造られた曲ではないかとさえ思えてきます。
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ピーテル・ブリューゲル
「ベツレヘムの人口調査」
こちらは父親のオリジナルの絵です。この美術館には息子の描いた写しも同じ部屋に飾られています。 -
この絵にテーマは出産が近いマリアがエルサレムの手前のベツレヘムにたどり着いた時の話です。当時初代ローマ皇帝のアウグストゥスは全領土の住民登録を義務付けます。登録は本籍地とされたので養父ヨセフはマリアを連れて里帰りしたという事です。
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ただベツレヘムでイエスが生まれることは旧約聖書で予言されていました。
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描かれているのはベツレヘムではなくフランドルの典型的な農村の風景です。季節はクリスマスの前のようです。窓のガラスは割、壁に架けられた額には双頭の鷲の絵が描かれています。双頭の鷲はハプスブルクの紋章です。
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窓口では台帳に記帳してお金を納めています。隣では物納なのでしょうか?豚が連れて来られ、その前の広場では潰しているところです。
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そんな賑やかな村にロバに乗ったマリアが到着します。前を歩く男の背中には大きなのこぎりがあるので大工だった養父ヨセフであると分かります。
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周囲の池は完全に凍りつき、そり遊びやスケート遊びをしています。ブリュッセルに着いた翌日に行ったサンカントネール博物館で見た古いそりを思い出します。博物館の物は貴族の子供が使う豪華なものでしたがが、オランダでは現在でもフリージアロードテールと呼ばれるスケート靴を造っています。まさに究極の木製のスケート靴です。
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こちらではもっと小さい子が遊んでいます。笊のような物と木の枝で氷の上を滑っています。
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氷に上は平らなのでコマ回しにも適しているようです。
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普段は歩けない川の上も冬場は便利な道路になるようです。
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ピーテル・ブリューゲル(長男)
「劇と聖人行列のあるケルメス」
森の中で繰り広げられる演劇や宴会やダンス、そして守護聖人を祀るお祭りの情景です。 -
手前の宿屋では大きな鉄なべでスープが作られ、踊りまわる裕福な人たち。左奥の遠景では食事なしで踊る人たち。中央のステージではコメディが演じられているのでしょうか。
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先ほど観た絵の部分と同じ構図がありました。前方には弓矢隊が先導し、リエージュの守護聖人のサン・チュベールの木像を掲げて村に戻って来たところです。
広場には大きな樹が1本立っています。これは世界共通かもしれませんが、この樹の周りで踊ったり重要な役目があるようです。東南アジアでも小さな村で見掛けることがあります。 -
同じ村でも金持ちと貧乏人と貧富の差があるようです。こちらは裕福な感じがします。
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ステージ上ではキスしあう男女の姿があります。背負った樽から覗いているのは女の夫でしょうか?周囲には幾重にも人垣が出来ています。苦しい1年の労働の中で重要な娯楽の人時なのでしょう。
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子供がお酒を飲んじゃって、慌てているのは父親でしょうか。
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喧嘩をしているのか強盗に襲われているのか。お金が散らばっています。手前の子供がお金をかすめ取っています。
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絵の中から笑い声や音楽が流れて来そうです。
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荷物をまとめて馬車で出発する人は芝居の終わった劇団で、次の村へ稼ぎに急ぐところでしょう。
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弓矢隊の奥では行商のの屋台が並び色々な商品が並んでいます。そして物乞いの姿もあります。
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ピーテル・ブリューゲル(長男)
「ベツレヘムの人口調査」
先ほどと同じ絵を息子が写したものです。 -
父が描いた絵を息子が模写するという行為は、単に人気のあった父の絵を移してお金を稼ぐためだったのか、父への畏敬の念とオマージュだったのか…。
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2枚の違いを探すまでの時間はありませんでした。色が一部違うような気がしたくらいです。
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正面の階段を上がったところから左半分を見学し終えたところです。ここまでで1時間近く必要でした。全部見るまで一体全体でれだけ時間が必要なのか…。この美術館に呑み込まれそうです。
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ヤコブ・ヨルダーンス
「豊穣のアレゴリー」
ヨルダーンスはピーテル・パウル・ルーベンスやアンソニー・ヴァン・ダイク同様アントウェルペン派を代表する画家です。題名から秋の収穫の寓意ですが、子供から青年から老人までの姿で表わされたサトュロス、同じく年恰好の違った女性たちに深い意味があるようです。みなの視線は赤いガウンの女性の胸元のブドウに集中しています。 -
こちらもヤコブ・ヨルダーンスの作品です。酒を飲んで食べ過ぎて喉のつかえた男の姿が滑稽です。こちらでもサトュロスが笑っています。
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ヤコブ・ヨルダーンス
「王様が飲む」
現代で言う王様ゲームの図です。ガレットの中に空豆が入っていた人が1日王様になり、「王様が飲む!」と叫んで乾杯したそうです。王様になっているのはヨルダーンスの師匠のアダム・ファン・ノートルで、ジョッキを持って叫んでいるのが義理の息子であるヨルダーンス自身だそうです。 -
酒を吐く瞬間の絵は初めて見ました。
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王様はご機嫌です。王冠には聖母子の姿もありますので、ただの酒飲みの絵ではない事が感じられます。
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ヤン・ブリューゲル
「地獄のアイネイアス」
トロイアの英雄アエネイアスがアポロン神の巫女シビュラに伴われて地下界に下る場面を描いたものです。 -
剣を持って襲ってきた怪物から巫女を守るアエネイアスの姿と同じくらいに周囲の地獄世界に注意が向かいます。見た瞬間ダンテの「神曲」の地獄編を思い出します。ダンテはベアトリーチェに逢うために地獄に降りますが、アエネイアスは亡き父アンキーセースに出会い、自分の子孫がローマの英雄になると告げます。
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ピーター・フェス
「花」
非常に透明感のある絵です。この世のものとは思えない実態感の無い花々です。花の種類や花言葉が分かれば秘められた意味が分かるのかもしれませんが…。 -
クエンティン・マサイス
「両替商とその妻」
ルーブル美術館にも同じ構図の絵がありました。両替商の妻は時祷書をめくりながら聖書の言葉や宗教画より隣の夫の手元の方に注意を奪われているように見えます。そこに道徳的批判の精神をだったり、夫と妻に聖と俗の対比を見ることも出来ます。 -
テーブルの上の凸面鏡に映る十字架の形をした窓と外に見える教会の尖塔を背にした赤い衣服の聖書を読む男。右奥の背景ではおしゃべりに興じる2人の対照的な姿は教訓的意味合いを感じぜずにはいられません。時祷書の小口には金箔を押した金付けがなされていることからも裕福な2人という事が感じられます。
-
ルーカス・クラナッハ
「ブラウンズベルグの医師レオンの肖像画」
クラナッハはやっぱり女性像の方がいいです。 -
ピーテル・パウル・ルーベンス
「聖ベネディクトのマラ」 -
ピーテル・パウル・ルーベンス
「カトリック信仰の勝利」 -
ピーテル・パウル・ルーベンス
「ドン ・ ガスパロ ・ デ ・ グスマンのメダリオン、サン・ルーカス・ デ ・ バラメダ オリバレスとデューク ナンの肖像画」 -
天使の横顔と盾に彫られたメドューサの顔が生きているようです。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「黒人の顔・四つの習作」 -
イチオシ
この左上の黒人の顔は先々出てくる大作「東方三博士礼拝」のエチオピアの王様と同じ顔です。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「大天使ミカエルは、反逆の天使たちを敗北させる」
小さい絵なので細かい書き込みは省略されていますが、ルーベンスの絵とすぐに分かります。卓越した技術があっての大作なのだと感じました。 -
アントーン・ヴァン・ダイク(?)
「聖ペテロの殉教」
ペトロはイエスの言葉に従いローマに戻って布教しますが、皇帝ネロによって捕えられ磔の刑を言い渡されます。磔になる際に「私は主と同じように磔に値しない。十字架を逆さまにして頭を下にしなさい。」と言います。 -
ペテロが磔になった岩の上には聖堂が建てられ、現在はバチカンのサン・ピエトロ大聖堂になっています。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「ジャクリーンの肖像」 -
ヴァン・ダイク
「老人の肖像画」
この人の人生までもが読み取れるような表情です。 -
レンブラント・ファン・レイン
「ニコラース・ファン・バンベークの肖像」
アムステルダム市長の娘と結婚した毛織物業で財を成した男だそうです。元々は妻のアガタの肖像と一対だったそうですが、そちらはロンドンのバッキンガム宮殿に収蔵されているそうです。 -
レンブラント・ファン・レイン
「ニコラース・ファン・バンベークの肖像」
襟の絵の具の白は鉛を使った高価な物だったそうです。レンブラントは絵の具に小麦を混ぜて嵩増ししたようです。元々粉屋の息子ですからお手の物だったのかもしれません。 -
フランス・ハルス
「ウィレム・ファン・ヘイセレンの肖像」
レンブラントよりはやや年長ながら同時代に活躍しています。オランダのハールレムで活躍し、作品にはハールレムの住人を描いた肖像画が多く、生き生きとした表情を捉える描写力はこの人の特徴です。笑っている人物画を多く描いたことから「笑いの画家」と呼ばれたそうです。 -
ヤン・ブリューゲル?
「花輪とカップのある静物」
ブリューゲルの次男のヤン・ブリューゲルはビロードのブリューゲルとも呼ばれます。 -
この絵が描かれた当時、花輪は結婚式の時に被るものだったそうです。そして放置された指輪やブレスレットやブローチにネックレスと金貨が置かれてあります。
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これらは結婚も貴金属も必要のない信仰の道へ進んだ女性の事を表しているそうです。
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ヤン・ブリューゲル?
「バッカスとアリアドネの結婚式」
ナクソス島での結婚式の情景です。左にアリアドネで右でパーン(牧羊神)に担がれてブドウの房を持ち冠を被っているのがバッカス(ディオニソス)です。天使が祝福して空を飛んでいますが、アリアドネが好きだったテセウスの姿はありません。 -
ヨース・デ・モンペル?
「バベルの塔」
構図はピーテル・ブリューゲルのものと似ていると思います。工事の進捗を確かめに来たニムロデ王一行の姿が見えます。 -
塔へ続く道中には焼きあがった煉瓦が積み上げられ、まだまだ工事が続くことを予感させます。中央に開いた開口部は奥まで続きますが、1度入ったら迷路に迷い込み2度と出て来れないような気にさせます。ブリューゲルのバベルの塔と違って下から見上げるアングルが余計に心を乱す気がします。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「ファン・パラセルスの肖像」
鮮やかな空の色と頭の毛皮の帽子と赤い布が印象的です。まるで額の中から出て来そうな錯覚にとらわれます。 -
ピーテル・パウル・ルーベンス
「キリストと姦通女」
イエスを試すために律法学者やファリサイ派の人々が、姦通の現場で捕らえられた女を連れて来て石打ちの刑を求めます。イエスは「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、この女に石を投げなさい。」と言い罪を許します。 -
ファリサイ派の男の心の中の驚きまでが描かれているようです。
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ヤン・ブリューゲル(長男)
「ゴルゴダの丘」
ウィーンにある「十字架を担う男」の後の場面で、ゴルゴダの丘まで十字架を担いだ後に磔になったところです。 -
既に磔になった十字架の上にナザレの王と書かれたプレートが見えます。
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倒れ込むのは聖母マリアで泣き崩れるのはマグダラのマリアでしょうか。
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ピーテル・ブリューゲル(長男)
「巡礼の帰り道」
巡礼者が小さな村にたどり着いた場面です。中央には村の教会がシンボリックに描かれてあります。馬車の赤い旗は巡礼が終わったことを意味するそうです。 -
バグパイプを吹く男と廻りで踊る男女の姿が印象的です。
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木製の馬でギャロップすることも無く手を曳かれる子供の姿です。ブリューゲルの描く子供は時に得体の知れない不気味さを感じることがあります。
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ピーテル・ブリューゲル
「聖マルタン祭のワイン」
右端では馬に乗った聖マルタンがサーベルでマントを2つに裂いて、足の不自由な貧しい者に与えています。ただ画面の中心は酒樽に群がった群衆でしょう。 -
この絵の飾られた後ろに窓ガラスがあるので光が反射して写真が撮りにくいです。
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近年になってマドリッドのプラド美術館でこのオリジナルが発見されてたそうです。これは精巧なコピー絵画ということです。
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ワイン樽に群がる人の大半が素足で、着ている衣服もみすぼらしく、酔っぱらて吐いている者もいれば、酔い潰れて地面に倒れている者や喧嘩する者もいます。赤ん坊にワインをのませる母親の姿も見えます。
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聖マルタンからマントを受け取る足に不自由な男たち。
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イチオシ
女の子の大理石像です。古典絵画の洪水に少し酔ったような気分です。
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4歳の姪と同じような年恰好なのでちょとホッとしました。
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ジャック・ルイ・ダヴィット
「マラーの死」
18世紀に起きたフランス革命の指導者的立場で革命を推進したジャコバン派の政治家ジャン・ポール・マラーが、対立するジロンド派の美しき擁護者シャルロット・コルデに暗殺された場面です。 -
皮膚病の治療のために硫黄風呂へ浸かっていた時「伝えねばならない重要な情報がある。」との理由で近づいてきたシャルロット・コルデに刺殺された瞬間です。
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「私の不幸は貴方の善意に訴える権利を私に与える。」と書かれた血液付きの嘆願書が握られています。
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ジャック・ルイ・ダヴィット
「ビーナスに武装を解かれた軍神マルス」
ダヴィットはベルギーに亡命していた時にブリュッセルでこの絵を描いたそうです。 -
舞台は雲上の女神ビーナスの神殿です。ビーナスの愛人で軍神マルスがやって来てベッドを兼ねた長椅子の上で背中をむけたビーナスと一緒に寝そべり、春と愛の到来を象徴する花の冠を受け取るところです。そして冑と盾と弓矢も背後にいるアグライアーとエウプロシュネとタレイアという三美神に渡してしまいます。サーブルさえもビーナスに渡そうとしています。
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ビーナスの足元では2人の不倫から生まれたキューピッドが弓矢を床において、軍神のサンダルの紐を解いています。サンダルにハートのマーク!キューピッドの視線に目が止まります。
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フランシス・ジョセフ・ナヴェス
「砂漠のハガルとイズメル 」
アブラハムの息子イスマエルと侍女のハガルはアブラハムの妻であるサラに子供が出来たことで砂漠に追われます。生まれた子供がイサクです。 -
イチオシ
水瓶の蓋は開き飲む水の無いことを暗示しています。子供のイスマエルは歩く気力もありません。
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困り果てたハガルの遠くを見つめる眼差しが何とも言えない気持ちにさせます。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「聖母マリアの戴冠」
月の上に座り、天国でイエスと同じ王座に座ったとされる聖母マリアに、月桂樹の冠を授ける主とイエスと鳩で表された精霊の三位一体の姿です。 -
全能の神は地球の上に座り、マリアは月の上に座わるという壮大なスケールを感じます。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「聖母被昇天」
十二使徒に見守られ昇天するマリアの姿が2段構成で描かれています。聖母の魂はイエスによって天に運ばれますが、3日後にイエスが天使と共に降りてきて聖母の体を天に運び上げた瞬間です。下の段では使徒が棺を開けて驚いている姿が現されています。 -
聖母の透明な姿と聖母を支える天使たちの姿が印象に残ります。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「聖フランチェスコのいるピエタ」
この祭壇画はブリュッセルにあったフランチェスコ派の教会の注文だったために聖フランチェスコが描かれているのでしょう。 -
ルーベンスの代表作7点が展示される大きなホールです。壁のくすんだ赤色に絵画が映えます。
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同時代のヴァン・ダイクとテオドール・ファン・ローンの絵と共に飾られています。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「聖母マリアと聖フランチェスコの神への仲介が神に稲妻を止める」
右下の地球には蛇が巻きつき、世の中が悪徳に満ちた事を表しています。 -
イエスは神の稲妻で地球を焼き払おうとしますが、聖フランチェスコが身を挺して地球を守り、異母マリアがイエスを止めようとしています。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「聖リビニュスの殉教」
天を見上げ手を差し伸べようとしている法衣の男性が聖リビニュスです。 -
聖人の口からは血が流れ痛々しいです。左の男の口にはナイフが咥えられています。赤い頭巾の男はヤットコを持ち肉片が挟まれていることから舌を抜いたのだと分かります。そして犬に食べさせようとしています。天上から天使が降りてきて雷(いかずち)で盗賊を懲らしめようとしています。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「東方三博士礼拝」 -
黄色い僧衣で跪いてイエスの足に接吻するのはギリシャ王のバルタザール、赤いマントの男はアッシリアの王のメルキオール、ターバンの男はエチオピア王のガスパールです。先ほどの黒人の習作の顔と同じです。
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アントーン・ヴァン・ダイク
「パドヴァのアントニオ」
昔ヴェネツィアから列車でパドヴァへ行った事があります。その時スクロヴェンニ礼拝堂や植物園や大学の見学と共に行ったのがサン・アントニオ大聖堂へ行った事を思い出しました。25年以上経って自分の中で何かが繋がった気がしました。 -
幼子イエスを抱いた姿で表わすのがアトリビュートだそうです。ヴァン・ダイクはルーベンスのアシスタントだったそうです。
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アントーン・ヴァン・ダイク
「アッシジのフランチェスコ」
パドヴァに初めて行った旅はイタリアを1か月周るものだったので当然アッシジにも足を伸ばしました。数年後の大地震で聖堂が崩れたのを知った時は心が痛みました。 -
アッシジに行った理由は「ブラザー・サン・シスター・ムーン」という聖フランチェスコと聖キアラの物語の映画を観たからでした。実際の撮影はサン・ジャミニアーノだったのでシエナから足を伸ばしました。若い時に色々な物を見ておいて良かったと思う53歳の春です。
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ピーテル・パウル・ルーベンス
「ゴルゴダの丘行き」
とても巨大な絵です。この部屋でも群を抜いています。 -
ゴルゴダの丘に登る際にイエスは何度も倒れます。その時に自分の頭を覆っていた白い頭巾を取ってイエスの血を拭いたのが左側の女性聖ベロニカです。この時の血でイエスの顔が白い布に移りますが、これが聖骸布の伝説になります。
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ジャン・バプティスト・ボネクロイ
「ブリュッセル鳥観図」 -
現在と変わらないブリュッセルが目の前に広がります。高低差のあまり無いブリュッセルをどうやって俯瞰できたのでしょうか?
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イチオシ
地図を目で追っていくとサン・ミッシェル大聖堂やグラン・プラス辺りの建物を確認できます。
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これで古典絵画のゾーンが終わりましたが、軽く2時間過ぎていました。人がどんどん増えてくるので食事は後にして「世紀末美術館」へ急ぎます。
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