2025/04/17 - 2025/04/17
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j-ryuさん
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★今年も栃木県境に近い白河市の関の森と天狗山で
春の野の花にまみれてきました。
白河の関は万葉~平安時代に機能していた国境の関で
その後、律令制の衰退とともの関は使われなくなりましたが
歌枕の地として短歌や俳句の憧れの聖地となり
能因、西行、芭蕉など名だたる歌人俳人が多くの歌を残しています。
文学や歴史にあまり興味がなくても大丈夫。
白河の関はスプリングエスメラル(春の儚い妖精)が
身近で楽しめるお手軽な自然の花園です。
平坦な遊歩道が整備されているので山歩きが苦手な人でも
野の花を間近で見られるのが魅力です。
また白河の関の近くの天狗山は人里のすぐそばでありながら
自然豊かで定番の山野草はもとより
ヤマブキソウやミヤマエンレイソウ、レンゲショウマ(夏)など
貴重な山野草が簡単なハイキングで出会える稀有な里山です。
西行や芭蕉になったつもりで、
白河の関越えをしてみてはいかがですか。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
-
★白河市関の森公園&天狗山ルートマップ (※国土地理院地図に加筆)
https://maps.gsi.go.jp/#10/37.190955/140.344162/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1 -
☆白河の関ルートMap
※Google Mapに加筆
https://www.google.co.jp/maps/@37.0829886,140.2837545,15801m/data=!3m1!1e3?hl=ja
白河の関跡&堰の森公園は県道76号・白河・伊王野線沿いにあります。 -
★白河関の森公園案内図 (現地看板に加筆)
白河の関は福島県と栃木県の県境近く
我が家からは車で40分ほどです。
白河関の森公園はかなり広大ですが、
目的のカタクリやキクザキイチゲの群生は
主に白河神社を取り囲む社叢(しゃそう)=神社の森に自生するので、
メイン駐車場から白河神社方面に歩いて進みます。
もしくは白河神社 御社務所から県道76号・白河・伊王野線を
挟んだ道向かいにも10台分くらいの無料駐車場&
公衆トイレがあります。 -
★春うららかな白河の関跡・白河神社正面参道入口
今回は白河神社 御社務所前の駐車場に車を止め
白河の関跡・白河神社参道正面から右回りでスタートしました。 -
★白河の関の森公園~白河関跡の現地解説版
奈良時代から平安時代に機能していた白河関は律令制の衰退とともに
その機能は失われ江戸時代半ばにはその存在場所も曖昧になり、
現在の白河関の南にある『境の明神』が白河関跡との説もありました。
境の明神は、白河市と栃木県那須町の県境に二社並立している
神社の通称である。
白河から見ると、陸奥側(白河市)には玉津島明神(女神・衣通姫)、
下野側(栃木県那須町)には住吉明神(男神・中筒男命)が
祀られています。
松尾芭蕉の奥の細道俳諧紀行で、
みちのくの第一歩を記した場所として句碑や歌碑が
建立されているとともに、
大名家や商人から多くの燈籠が寄進されていることから、
陸奥・下野の国境である境の明神として重要な場所であったことが
うかがえる。
松平定信の時代に建てられたという「従是北白川領」と
刻まれた石柱もあります。 -
★春うららかな白河の関跡・白河神社正面参道入口
入口の杉には大蛇のような藤の古木が巻き付き
ほぼ締め殺し状態です(^-^;。
白河神社は社叢(しゃそう)=神社の森の一番高い場所に
鎮座していますが、階段は見えている部分だけなので
登るのはそう大したことではありません。 -
★春うららかな白河の関跡・~従二位の杉
白河神社参道入口の右手には杉の巨木『従二位の杉』が
そそり立っています。
下から見上げるとその迫力に圧倒されます。
◎従二位の杉
鎌倉時代初期の歌人で「新古今和歌集」の選者でもある
藤原家隆(従二位宮内卿)が手植えした奉納した樹齢800年の巨木。 -
★白河の関 山野草分布Map
https://www.google.co.jp/maps/@37.0473534,140.2292417,527m/data=!3m1!1e3?hl=ja&entry=ttu&g_ep=EgoyMDI1MDQzMC4xIKXMDSoASAFQAw%3D%3D
カタクリ、キクザキイチゲ、ニリンソウ、タチツボスミレなど
主な自生ポイントをマーキングしてみました。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~タチツボスミレの群生
白河神社をぐるりと取り囲むように社叢(鎮守の森)があり
その社叢を周回したり中を通り抜けるような遊歩道が巡らしてあり
来訪者は自由気ままに散策することができます。
今回は周回遊歩道を右回りで進みました。
まず迎えてくれたのはタチツボスミレの群生です。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~タチツボスミレの群生
◎タチツボスミレ(立坪菫/スミレ科スミレ属)は
珍しいスミレではありませんが
珍しくなくても群生すれば見栄えがいいです。
スミレの名前の基本種であるスミレより分布域も分布数も多く
おそらく日本で一番多く見られるスミレの一つだと思います。
定番中の定番スミレですが空色のとても美しいスミレです。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~タチツボスミレの群生
名前の由来は「坪」とは道端や庭の意味で
「立」は、花の盛りを過ぎると茎がしだいに立ち上がってくるところから。
また、漢字で(立壺菫)と表記する場合もあります。
この壺はスミレの由来となった大工道具の墨入れを
壺に見立てた説もありますが、
疑問を投げかける人もたくさいます。
「スミレ」の花の基部に、蜜をためておく、ふくらみ(距)があり
その姿が大工道具の「墨入れ」を横からみた形状に似ているところから、
語源となったとするのは、朝ドラ『らんまん』の牧野富太郎博士の説。
でもスミレと言う言葉は平安時代以前から使われていました。
牧野富太郎博士の説の墨入れ説の元となった墨入れ(墨壺)は
江戸時代以降の形だそうで、それ以前はスミレの花(距)のような形では
無かったそうで、牧野富太郎博士の説は疑問視されています。 -
★大滝川渓谷~オオタチツボスミレ(大立壺菫)
(※2023/4/10 撮影)
タチツボスミレにそっくりでやや大型のスミレに
オオタチツボスミレがあります。
花の後ろにある距(キョ)が白いのが特徴で、
多雪地帯の山間でよく見られます。
葉もタチツボスミレより少し大きく葉脈が少し凹んでいます。 -
★我が町里山草地のニオイタチツボスミレ(匂立壺菫)
(※2024/4/26撮影)
タチツボスミレと名前が良く似ているスミレに
ニオイタチツボスミレ(匂立壺菫)があります。
ニオイタチツボスミレはは名前の通り、ほのかな香りがあり
当初は根生葉だけですが、やがて茎を形成して立ち上がります。
北海道から九州まで山地の草原や林縁、路傍などに自生します。
似たものが多く見分けにくいスミレの中では葉も花も丸いので
咲いていれば直ぐわかります。
単独でも咲いていますが群生していると見ごたえあります。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
この時期に白河の関を訪れるのはカタクリやキクザキイチゲが
見頃になるからです。
しかし今年の春の訪れは例年より1週間~10日間ほど遅いので
白河の関への来訪も昨年より6日間遅くしたら
キクザキイチゲは終盤だしカタkリも見頃を過ぎていました。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
私の場合、春の花の見頃予想はソメイヨシノの開花発表を
基準にして訪問日を決めていますが、
ソメイヨシノの開花が1週間遅いからと言って、
山野草も同じく1週間遅いとは限りません。
そこが植物の難しさです。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ササバエンゴサク(笹葉延胡索)
◎ササバエンゴサク(笹葉延胡索/ケシ科キケマン属)が
見頃を迎えていました。
◎ササバエンゴサク(笹葉延胡索/ケシ科キケマン属)は
ヤマエンゴサクの葉の細長いタイプです。
ヤマエンゴサク(山延胡索/ケシ科キケマン属)は本州~九州の
山あいのやや湿った場所に自生し、花色は薄紫や水色、青など様々です。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ササバエンゴサク(笹葉延胡索)
ササバエンゴサクは下記でご覧いただく
ヤマエンゴサクの丸みのある葉に比べ
明らかに細長いのが特徴ですが、花の形や多様な花色は
ヤマエンゴサクと同じです。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
白河の関・社叢の周回遊歩道の東側斜面が
カタクリが多く群生するポイントです。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
カタクリは見頃のピークを若干過ぎた印象で
キクザキイチゲはほぼ終わっていました。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
-
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
今年の春は例年より遅い訪れでしたが
開花の遅れは山野草によりまちまちです。
キクザキイチゲはあまり遅れがなかったようで
例年ならカタクリとのコラボレーションが見事ですが
今年は名残りのキキザキイチゲがポツポツ咲いている程度でした。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
カタクリも陽当たりの良い周回遊歩道の
南側はピークを過ぎていましたが
午後は日陰になる北東側はちょうど見頃でした。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
◎カタクリ(片栗/ユリ科カタクリ属)は
北海道~九州の里地や山間部に分布自生する球根多年草。
別名で、カタコともよばれ古語では「堅香子(かたかご)」と
呼ばれていました。
里地里山の林内に自生し、1 - 2枚つく葉にはまだら模様がある。
春先に独特で見栄えする紅紫の花を咲かせたあと、
地上部は枯れて休眠するスプリングエスメラルの一種です。
種子で繁殖するが、発芽から開花まで8 - 9年ほどかかります
かつて、球根から片栗粉が作られていました。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
-
◆春うららかな白河の関・社叢~ヤマエンゴサク(山延胡索)
周回遊歩道の北東周辺ではヤマエンゴサクが
花盛りでした。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ヤマエンゴサク(山延胡索)
上記で紹介したササバエンゴサク(笹葉延胡索)は
名前のように葉が細長く笹の葉のような形んあおで
笹葉延胡索と呼ばれていますが、
ヤマエンゴサクは葉が卵型です。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ヤマエンゴサク(山延胡索)
ササバエンゴサクもヤマエンゴサクも花そのものは全く同じで
花色は紫~青と様々です。
葉っぱの形も一様ではなく
笹葉型と卵型の中間的な形もあり
明確な区分けはできません。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ヤマエンゴサク(山延胡索)
-
◆春うららかな白河の関・社叢~ヤマエンゴサク(山延胡索)
ヤマエンドサクやササバエンゴサクの托葉には
切れ込み(ギザギザ)があるのが特徴です。 -
★福島県天栄村立矢川渓谷のオトメエンゴサク(乙女延胡索)
福島県の会津地方にはヤマエンゴサクと良くにた
オトメエンゴサクが自生しています。
◎オトメエンゴサク(乙女延胡索/ケシ科キケマン属)は
以前は本州に自生するエゾエンゴサクに分類されていたそうですが、
現在は本州日本海側の多雪地帯に分布する日本固有種とされます。
ヤマエンゴサクが花序の付け根にある托葉の葉縁の切れ込みが
明瞭なのに対しオトメエンゴサクの托葉には切れ込みが無いので
本州のエゾエンゴサクの仲間とされたようですが、
エゾエンゴサクと比べるとオトメエンゴサクの草丈は小さく
花色も北海道のエゾエンゴサクに比べると全体的に薄い色合いです。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~アズマイチゲ(東一華)
アズマイチゲも咲いていましたが
やや見頃が過ぎた感じでした。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~アズマイチゲ(東一華)
◎アズマイチゲ(東一華/キンポウゲ科イチリンソウ属)
アズマイチゲは北海道~九州の主に落葉樹林の明るい林下や
林縁に自生し土壌は石灰岩質を好みます。
しかし、ここは里山の林縁で
素人目には石灰岩質土壌には見えませんが
化学的地質調査をしないと実態は不明です。 -
◆昨年の白河の関・社叢~アズマイチゲ(東一華)(※2024/04/11撮影)
このアズマイチゲは今年と同じポイントのアズマイチゲですが
こちらが見頃の状態です。
丸みのある葉っぱは赤みがあり、ハナビラ(萼片)に
張りがあります。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
カタクリの花は下向きに咲くので
花を真正面から撮るには花と同じ高さから
少し見上げるように撮影する必要があります。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
北側群生地はまだ半分しか陽射しがありません。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
こちらは遊歩道の北側周辺に咲くカタクリです。
やはり南側よりは日照時間が短く開花が遅かったとみえて
今が丁度見頃です。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
北側のカタクリは背後から陽が射すので
透過光効果によって透明感ある花の写真が撮れます。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
カタクリのハナビラの内側にはまるでもう一つ花のような模様が
あるのがよく分かります。
これは蜜標(みつひょう)と呼ばれ、
虫たちに蜜のありかを教えるための模様だと言われてます。
わざわざ教えなくても虫たちは花の中心部に行くと思うのですが・・・
より親切ってこと??(^-^;。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~カタクリ(片栗)
周回路の南側ではキクザキイチゲはほぼ終わっていましたが
北側はまだ幾つか咲いていました。 -
吉米 小帳カタクリ(片栗)
カタクリだけの群生はそれはそれで見応えありますが
色彩的には白が混じった方がカタクリ自体が
引き立つ感じがします。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ルリタテハ
ルリタテハが越冬から目覚め日向で
日光をチャージしていました。
ルリタテハ(瑠璃立羽)は、タテハチョウ科に分類されるチョウの一種。
ルリタテハ属唯一の現存種です。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ルリタテハ
東アジア、南アジア、日本では北海道南部から
南西諸島まで広範囲に分布し、
平地の森林内や周辺部に生息し、
都市部の公園や緑地などにも現れますが
見る機会はそう多くありません。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ルリタテハ
成虫は、暖地では年に 2-3回(6-7月、8月、10月)、
寒冷地では年に 1回(8-9月)の発生し
冬も成虫で越冬し早春にはキタテハやアカタテハなどと共に
いち早く飛び始める蝶です。
幼虫は地色が紫黒色で、無毒の黄白色の棘状突起を計68本持つ。
サルトリイバラ、ホトトギス類、ユリ類などを食草とし、
我が家でも毎年のようにホトトギスの葉を丸裸にしてしまいます(--〆)。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ニリンソウ(二輪草)
白河の関・社叢外縁の小川沿いではニリンソウの群生が
咲き始めていました。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ニリンソウ(二輪草)
◎ニリンソウ(二輪草/キンポウゲ科イチリンソウ属)
ニリンソウは日本各地の主に山地の湿潤な林床や川沿いに自生します。
そう珍しい花ではありませんが
その清楚で気品のある姿はいつ見ても心洗われる花です。
ニリンソウは名前のように
1株から2輪の花を咲かせますが、最初に1輪が開花し、
数日後に2輪目が開花します。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ニリンソウ(二輪草)
ニリンソウもカタクリと同じスプリングエスメラルの一つ。
早春に芽生え花後に夏まで地上葉が枯れて休眠し
翌春再び目覚める『儚いい春の命』です。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ニリンソウ(二輪草)
ニリンソウは夜間や早朝、気温の低い朝、雨などの時は
花は半閉じ状態になります。
雨の時はもちろん早朝に訪れると
例え満開を迎えていたとしても、開きかけの蕾のように見えるので
気温が少し上がって来た頃に訪れるのがお薦めです。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ニリンソウ(二輪草)
ニリンソウの咲き始めは一輪ですが、
一輪開花して間もなく二輪目が咲き出します。
この二輪の花が咲いた状態からニリンソウ(二輪草)と呼ばれます。 -
◆春うららかな白河の関・社叢~ニリンソウ(二輪草)
開花始めは一輪なので、
イチリンソウ(写真下記)と間違う人もいますが
イチリンソウは最初から最後まで一輪しか咲きませんし
花の大きさはイチリンソウはニリンソウの2倍くらい大きいので
実物を見比べたら明らかに違います。 -
☆イチリンソウ(一輪草/キンポウゲ科イチリンソウ属)
(2019/5/6 玉川村で撮影)
ニリンソウはぱっと見や名前的には仲間の
イチリンソウ(一輪草/キンポウゲ科イチリンソウ属)と似ますが
基本的にイチリンソウは1株から一輪、ニリンソウは二輪咲きます。
花は似ていても圧倒的に違うのは花の大きさです。
ニリンソウの花径が約2cmほどなのに対し、
イチリンソウは4cm近くもあります。
オシベ(約)の色はニリンソウは少し黄ばんだ白で
イチリンソウは黄色なので良く目立ちます。
イチリンソウは遠くから見るとラッパスイセンかと思えるほどです。
ニリンソウは当地では山で普通に見られますが
イチリンソウはめったに見られません。 -
★当町里山のギンサカズキニリンソウ(銀盃二輪草)
ニリンソウは基本的にハナビラ(萼片)は5~7枚ほどですが
ハナビラが多い八重咲きを園芸界では
ギンサカズキニリンソウ(銀盃二輪草)と呼んでいます。
◎ギンサカズキイチゲ(銀盃一華/キンポウゲ科イチリンソウ属)
我が町の里山では半八重咲きのニリンソウが咲いています。
ふつうニリンソウのハナビラ(萼片)は5枚~7枚ですが
この里山のニリンソウは8枚~9枚です。
花びらが幾重にも重なる八重咲きより花びらの数が少ないタイプを
半八重咲きといい、ニリンソウの半八重咲きは
園芸種としても栽培されギンサカズキイチゲと呼ばれます。 -
◆白河・天狗山のミドリニリンソウ (※2025/4/30 撮影)
白河・天狗山には一般的な白いニリンソウに混じって
極々稀にに緑色のハナビラ(萼片)が咲いていて
幸せを呼ぶミドリニリンソウと呼ばれています。
ニリンソウのハナビラはもともと萼片なのだから、
先祖帰りしたのかも。 -
★白河の関→天狗山 ルートMap
※Google Mapに加筆
https://www.google.co.jp/maps/@37.0829886,140.2837545,15801m/data=!3m1!1e3?hl=ja
白河の関から天狗山へは県道76号(伊王野白河線)から
県道280号(中野番沢線)に右折し道なりに
番沢地区まで進み、天狗山への標識を右折し道なりに進みます。
所要時間は15分ほどです。 -
★白河市表郷番沢地区地図 (※Google Mapに加筆)
どこから天狗山に向かったとしても県道280号(中野番沢線)までは
そう迷うわないと思いますが番沢地区から天狗山へ向かう市道が
1車線しかない狭い道路で曲がり角もとても分かり辛いです。
一応小さな看板はありますが40kmくらいで走っていると
見落としてしまいそう(--〆)。
狭い市道に入ってしまえばほぼ道なりだし、
所々に案内板もあるので大丈夫だと思います。
カーナビなら白河天狗山と入力すれば問題ないと思います。 -
★天狗山登山道入り口
番沢地区から1車線の狭い道路を道なりに進むと
左側に天狗山登山道の駐車場(無料)が見えてきます。
登山が目的の人はこの駐車場がいいでしょう。
お花畑が目的なら終点の駐車場へ。
終点の駐車場からも天狗山山頂まで登れます。 -
★天狗山お花畑コース駐車場。
天狗山登山道の駐車場を左にやり過ごしさらに進んだ突き当りに
天狗山お花畑コース駐車場(無料)があります。
左手の小屋は地元ボランティアの売店&休憩所で
その裏手に簡易トイレがあります。
遊歩道沿いにトイレ無ないので必ずここで済ませておきましょう。 -
★白河・天狗山の現地案内板
◎ベージュ色=お花畑コース
◎グレー=登山コース
カタクリやニリンソウやヤマブキソウなどの群落を見るなら
お花畑コースがいいと思います。
さほどアップダウンはきつくないので小学生以上なら
全く問題ないコースです。
コースにはトイレや売店などはありません。
駐車場にある簡易トイレで済ませましょう。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精(スプリング・エフェメラル)
では早速、お花畑コースを歩いてみましょう。
まずは駐車場から坂下川に架かる橋を渡り道なりに進みます。
この段階の景色はようやく芽吹きが始まったばかりです。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ショウジョウバカマ(猩々袴)
橋を渡り、まず出迎えてくれたのは春の山野草の定番である
ショウジョウバカマ(猩々袴)です。
珍しくはありませんが春らしさを感じさせる可憐な花です。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ショウジョウバカマ(猩々袴)
◎ショウジョウバカマ(猩々袴/シュロソウ科ショウジョウバカマ属)は
日本全国の低地~高山まで広範囲に分布し、
やや湿った林縁、林床、土手などに自生します。
花色は薄いピンクや濃いピンク、薄紫など個体により
ビミョウな違いがあります。
名前の由来は、花が赤いのを猩々(中国の伝説上の動物のこと)に
なぞらえ、根生葉の重なりが袴に似ていることから
名付けられたそうです。
葉がロゼット状なのでせいぜい草丈は5cm程度ですが
花茎は開花とともに伸長し、高いものだと30cmになる株もあります。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~花畑コース
スタート地点から道なりに徒歩10分ほどで
天狗山でヤマブキソウやニリンソウの大群落が見られる
『出会いの沢』にやって来ました。
幾つかの源流がここで合流することから名付けられたようです。
一般的には写真中央の広めの遊歩道を進みますが
出会いの沢の入口には『川コース』もあり、
沢登りしながら鑑賞することも出来ます。
水量の少ない沢なので運動靴も大丈夫ですが、
できれば長靴を履いた方が濡れずに安心です。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
川コースのメリットはカタクリと同じ目線で
花を見られたり撮影できることです。
カタクリは草丈が低くうつむきがちに咲くため
平地で咲いていると花の上から見下ろすように
撮影することになります。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
花と同じ高さで撮影するには
這いつくばって撮影しなくてはなりません。
ただ這いつくばると他の山野草を押しつぶすことににも
なりかねず、這いつくばれない場所が多いのが現実です。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
しかし川コースはカタクリの咲いている地面より
低い位置にあり花と同じ目線で撮影できる
メリットがあります。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ニリンソウ(二輪草)
白河の関の標高は390mほど、
天狗山は460mほどと、70mほど高いので
ニリンソウはまだ2分咲きほどでした。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
◎カタクリ(片栗/ユリ科カタクリ属)は
北海道~九州の主に落葉樹林下に自生し、
日本ではピンク色と極まれに突然変異の白花だけですが、
世界では約25種あるそうです。
観光の山野草園などで黄色いカタクリを見ることもありますが、
日本の山野草の中に外来種があるのはどうかな?と思います。
もし植えるにしても日本の在来種では無いことを
明記して欲しいものです。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
カタクリは自然豊かな里地や山間部で見られますが
自然界は厳しいのでこれほど群生している場所は
あまり無いと思います。
カタクリの大きな群生地は昔から鎮守の森や入会地として
下刈りなどされて大切に守らえれてきたからで
ある意味人間と上手く共生してきた里地植物の代表だと思います。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
入会地(いりあいち)とは、村や部落などの村落共同体(入会集団)が
総有する又は共同利用が認められた土地で、
薪炭・用材・肥料用の落葉を採取した山林である入会山と、
山菜やまぐさや屋根を葺くカヤなどを採取した
原野・川原である草刈場などを指します。
これらの場所に共通するのは林床が整理され明るく
草地も雑草が下刈りされ明るい事です。
天狗山は国有地だったので民間人は勝手に -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
天狗山は国有地だったので民間人が勝手に
樹木を伐採したり整地したりはできなかったので
このカタクリの群生地も以前はかなりガザ薮状態で
荒れていたそうですが、ヤマブキソウなど貴重な山野草が
多く自生することから地元の人が下刈りなどの
手入れをするようになってから美しい花園が蘇ったそうです。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
今(4/17)はカタクリが花盛りですが
1週間~10日後にはご覧のように(下記写真)
一面が純白のニリンソウに覆われます。
さらに10日から2週間後には
同じ場所が一面の白から黄色いヤマブキソウで
埋め尽くされます。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ニリンソウ(二輪草)
(※2024/04/20 撮影)
今年は春の訪れが遅かったのでニリンソウもヤマブキソウも
見頃が遅くなりましたが、
ニリンソウは昨年は4/20には花盛りでした。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ヤマブキソウ(山吹草)
(※2024/5/2 撮影)
上記のニリンソウが花盛りの12日後には
一面白いお花畑に変って一面黄色いヤマブキソウの
お花畑に激変するのですから
まるでマジックを見ているようです。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
カタクリを始めスプリングエフェメラル(春の儚い命)は
夏には地上葉は枯れ休眠に入るので
少しは藪になっても大丈夫ですが
常緑の植物などが繁茂し覆いつくすと
冬~春にに陽射しが燦燦と当たらなくなり
次第に消えて無くなってしまいます。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
カタクリの後直ぐに見頃を迎えるニリンソウも
スプリングエスメラル。
お互い春の儚い命なので
時期をほんの少しずらして満開になるのは
偶然なのか、暗黙の譲り合いなのか
自然はうまく成り立っていますね。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
カタクリは、ユリ科カタクリ属に属する多年草。
別名で、カタコともよばれ古語では「堅香子(かたかご)」と
呼ばれていたそうです。
山地の林内にしばし群生し、1 - 2枚つく葉にはまだら模様があり。
春先に独特で見栄えする紅紫の花を咲かせたあと、地上部は枯れます。
種子で繁殖しますが、発芽から開花まで8 - 9年ほどかかり
人工栽培は容易ではありません。
かつて、球根から片栗粉が作られていたので
今ではジャガイモから作られたデンプン粉も片栗粉と呼ばれています。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
-
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
カタクリ粉の語源はこのカタクリにあると先に書きましたが
ではカタクリからいつの頃まで片栗粉は作られていたのでしょう?
正確な年代は不明なようですが
江戸末期頃まであろうと言われています。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
-
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
江戸時代まで片栗粉は現在のような調理用デンプンとしてではなく
病人のための栄養補給源として利用されていたようです。
カタクリの球根から取れるデンプンはほんの僅かで
江戸末期にはカタクリは激減していたようです。
現代はカタクリから片栗粉を作る人はまずいないと思いますが
昭和の高度成長期に生活にゆとりによる山野草ブームで
盗掘されせっかく回復してきたカタクリでしたが
保護地以外で見る機会は少なくなってきました。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
-
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ニッコウネコノメソウ(日光猫の目草)
川沿いではニッコウネコノメソウも見頃を迎えていました。
カタクリに比べればやや地味な印象ですが
仲間のハナネコノメ(花猫目)などは(下記参照)
山野草の中でもTOPクラスの可愛いい種です。(私的印象) -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ニッコウネコノメソウ(日光猫の目草)
◎日光猫目草/ユキノシタ科ネコノメソウ属)は
本州東北南部~四国に分布。イワボタンの変種。
主に太平洋側の山地や沢沿いに生える多年草。
名前の由来は日光国立公園の塩原で発見された事からで
日光に限らず広範囲に分布します。 -
★福島県古殿町大風川渓谷のハナネコノメ(花猫目)
(※2022/4/6 撮影)
◎ハナネコノメ(花猫目/ユキノシタ科ネコノメソウ属)は
本州の京都~福島に分布し
福島県では主に浜通り南部の湿り気のある渓流沿いなどに自生します。
花は5mmほど、草丈は5cmくらいで地を這うように増えます。
名前の由来は仲間のネコノメソウの結実した種の鞘が
猫の目に似るところによります。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
カタクリはアリ散布植物の一つで実(種)には蟻を誘引する物質
エライオソーム(オレイン酸などの脂肪酸やグルタミン酸などの
アミノ酸、ショ糖などの糖)を含んだ付属体があり、
蟻はエライオーソム付きの種をせっせと巣に運び、
エライソーソムだけを食べ実際の種は巣の中のゴミ捨て場に捨てたり
巣の外に放り出します。
その種が条件の良い場所だと発芽する仕組みです。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
-
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
つまりカタクリの種は発芽能力を失うことなく、
花が咲いていた場所より遠くに運ばれることになります。
蟻にとっても、栄養あるエライオソームを獲得できるので、
双方が利益を得ることになり、蟻とカタクリは双利共生の関係にあリ
このような手段で、種を遠くに散布する植物を
アリ散布植物と呼びます。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
-
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
日本におけるアリ散布植物としては、スミレ属、イチリンソウ属、
フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、
エンレイソウ属、カタクリ属などに
200種類くらいはあると言われています。
群全か必然か、天狗山で群落を形成する
カタクリもニリンソウもヤマブキソウも
どれもアリ散布植物です。
天狗山の蟻は特に働き者のようです。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマエンレイソウ(深山延齢草)
川コーズのあちこちでミヤマエンレイソウが
咲き始めていました。
◎ミヤマエンレイソウ(深山延齢草/ユリ科エンレイソウ属)は
別名でシロバナエンレイソウとも呼ばれます。
北海道、本州、四国、九州に分布し、山林の樹陰に自生。
外国では、朝鮮、中国、樺太に分布します。
良く見かける小豆色のエンレイソウの白花と思っている人もいますが
仲間ですが同種の色違いではありません。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマエンレイソウ(深山延齢草)
ミヤマエンレイソウ(深山延齢草)は名前からすると
小豆色のエンレイソウより深山に自生していそうですが
必ずしも深山に自生しているわけではありません。
福島県では小豆色のエンレイソウより自生地は少ないですが
天狗山では殆どが白いミヤマエンレイソウです。 -
◎ミヤマエンレイソウ(深山延齢草/ユリ科エンレイソウ属)
ミヤマエンレイソウは
葉の中心から短い花柄が伸び、3枚の外花被片と
3枚の白い花弁状の内花被片からなります。
一般的なエンレイソウには内花被片はありません。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマエンレイソウ(深山延齢草)
ピンク色のミヤマエンレイソウをムラサキエンレイソウと
呼ぶこともありますが、おそらく白花が時間の経過とともに
ピンク色に変色シたものだと思います。
ただ時間が経過してもピンク色にならずベージュ色になるタイプもあり
個体差があるようです。 -
★様々な色合いのエンレイソウ
◎エンレイソウ(延齢草/ユリ科エンレイソウ属)は
ミヤマエンレイソウが3枚の白い花弁状の内花被片があるのに対して
エンジ色の3枚の外花被片しかありません。
当地では里山から深山までごく普通に見られるエンレイソウですが
愛知、和歌山、徳島では絶滅危惧種1指定。
ところ変わればですね。
ただこの出会いの沢では当地で普通に見られるこ
のエンジ色(小豆色)のエンレイソウはなぜか見かけませんでした。
ただこの小豆色のエンレイソウの外花被片の色は
基本的には小豆色ですが稀に緑色やミルク小豆のような色もあります。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ニリンソウ&ニッコウネコノメソウ
-
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ニリンソウ(二輪草)
ニリンソウの多くは2分咲き程度でしたが
この場所のように3分咲きくらいの場所もありした。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ニリンソウ(二輪草)
(※2024/04/20 撮影)
やはり昨年に比べると今年は見頃が遅れて
残念な来訪でした。
この写真でも満開ではなく8分咲き程度です。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~アカネスミレ(茜菫)
◎アカネスミレ(茜菫/スミレ科スミレ属)
アカネスミレは北海道~屋久島分布していますが、
中部地方以北の低山に多く、西日本の低地では少ないようです。
日当たりのよい林縁や道ばた、畑の土手などを好みます。
花色がやや赤紫がかっているので茜色のスミレの意ですが
う~ん、茜色ってほどではないような・・・(^_^;)。 -
◆白河・天狗山遊歩道~出会いの鐘展望台&夢の沢方面
出会いの沢の突き当りで遊歩道は左に急カーブし
出会いの鐘展望台方面へ続く登り坂になります。
写真は登坂から出会いの沢遊歩道を見下ろした構図です。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
上記の登り坂を登り切り、希望の鐘展望台とは
反対方向の山斜面にもカタクリが群生しています。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
-
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
カタクリの球根は江戸時代までは滋養のある生薬として
利用されてきました。
ま、成分的にはデンプン=糖質なのでカロリーは期待できますが
病気の治療するほどの薬効は無かったと思われます。
それでも飢饉などで衰弱した病人にとっては
葛湯と同じように貴重な栄養源になったのでしょう。
現代でいえばブドウ糖などの栄養点滴のような存在だったのかも。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
料理をする人ならご存じでしょうが
料理用のデンプン(スターチ)には主に
ジャイモから作られたポテトスターチと
トウモロコシから作られたコーンスターチがあり
少量使いならどちらを使っても大丈夫ですが
同じデンプンでも性質は違います。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
天狗山はカタクリ&ニリンソウ&ヤマブキソウの群落が人気ですが
それぞれ見頃が10日から14日間くらいズレているので
残念なが1回の訪問で全種の見頃に出会うのは不可能です。
運が良い年ならニリンソウの見頃の頃に
名残りのカタクリや咲き始めのヤマブキソウが見られる事もありますが
やはり3種それぞれに訪れるのが理想です。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
片栗粉は温度が下がると粘度が低下してしまうため、
温かいうちに食べるあんかけ料理やかきたま汁などに適しています。
また、とろみをつけても無色透明であるため、
食材の色合いを損ないません。
コーンスターチの粘度は片栗粉に比べて低めですが、
温度が下がっても効果は持続します。
そのため、カスタードクリームなど冷ますことが前提のお菓子作りに
よく使われます。
ただし透き通った仕上がりにはならないため、
片栗粉の代用として使う場合には注意が必要です。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
デンプンはカタクリの他には様々な植物から作られ利用されています。
◎米デンプン
◎小麦デンプン
◎とうもろこしデンプン
◎ばれいしょデンプン
◎タピオカ(キャッサバデンプン)
◎サゴヤシデンプン -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
-
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~エイザンスミレ(叡山菫)
土がむき出しの斜面ではエイザンスミレ(叡山菫)が
咲き出していました。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~エイザンスミレ(叡山菫)
◎エイザンスミレ(叡山菫/スミレ科スミレ属)は
本州~九州の山地の木陰に生える無茎のスミレで葉は3裂し、
その両外側は少し先で深く2裂し、鳥足状になるが最大の特徴です。
花色は薄紅色~白まで様々ですが、
薄紅タイプが一番多く見られます。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~希望の沢
上記のカタクリ群生地である夢の沢を
下ってくると天狗山山頂へと続く希望の道と合流します。
山頂には登頂せず反対方向に下っていきます。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~カタクリ(片栗)
希望の沢沿いにもカタクリやニリンソウなどが自生していますが
出会いの沢ほどの群生ではありません。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~キクザキイチゲ(菊咲一華)
ただこちらの沢筋の方が
出会いの沢にはあまり自生していないキクザキイチゲが
咲いています。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~キクザキイチゲ(菊咲一華)
群生ってほどのキクザキイチゲではありませんが
出会いの沢よりは多く咲いています。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~キクザキイチゲ(菊咲一華)
逆光で撮ると透明感ある白になるので
私的には好きなスキルです。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~キクザキイチゲ(菊咲一華)
この希望の沢筋の山野草はたいしたこと無いので
出会いの沢終点で折り返してもいいくらいかも。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
スタートした時に渡った坂下川の下流側にやってきました。
今年も川沿いではミヤマキケマンが咲いていました。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
◎ミヤマキケマン(深山黄華鬘/ケシ科キケマン属)は
近畿以北の日当たりの良い山地の崩壊地,谷川の礫地,
林の縁などに生える越年草で
関東以南でよく見られるキケマン(黄華鬘)に似ていますが
全体に小ぶりで寒冷地適応型です。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
ミヤマキケマンは越年草(2年草)なので
この花が種を結んで種が周辺にこぼれ秋に発芽し
小さい芽の状態で冬を濃し翌春にまた花を咲かせます。
つまり、今さいている株は種がこぼれる頃には
枯れてしまい、翌春に咲く個体は別の株ってことです。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
こぼれた種は周辺で発芽したり蟻に運ばれ少し遠くで発芽します。
時には増水で種が流されかなり離れた下流で発芽することもありますが、
なぜか都市部の川原では見たことがありません。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
背後の坂下川の水面のキラメキがボケ玉になり
キラキラしキレイでした。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
こちらの株は花穂は上がっていますがまだ蕾状態です。
芽出しの頃の葉っぱはセリ科の植物のようすでが
ケシ科特有のアルカロイド・プロトピンを含み有毒なので
誤食すると嘔吐・酩酊・心臓麻痺などを起こすので注意が必要です。
花が咲いていればまず山菜のセリと間違う人はいないと思いますが
やはり芽出しの頃は要注意です。
匂いは芹のよう匂いがしないのも見極めのポイントです。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
こちらの株もまだ蕾が多い状態です。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
葉っぱの色は深緑だったり、
赤茶けていたり個体差があります。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
ミヤマキケマンは多年草(宿根草)ではなく
来年もこの場所に咲くとは限らないので
来年は来年でまた探す必要があります。
でも川原ではよく目立つので咲いていれば直ぐ分かります。 -
◆白河・天狗山の春の儚い妖精~ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
これで天狗山の花の紹介はお仕舞ですが
オマケも少々ご覧ください。 -
★我が家のキケマン(黄華鬘)
福島県でミヤマキケマンは自然豊かな山間の渓谷沿い
や崩落地などで見ることができますが、
残念ながら母種のキケマンの野生種は自生していません。
山野草好きとしては自生していないからと言って
そう簡単に諦めるわけにはいきません。
でも今はメルカリやヤフオクなどで種類によっては
山野草の種や苗を買うことができるので
自宅で栽培することも可能です。 -
★我が家のキケマン(黄華鬘)
このキケマンは4年前にメルカリで1株買って植えたものが
翌年以降も種がこぼれて咲いています。
我が家の庭で自然に芽生えて越冬するわけですから
東北地方以北に自生していないのは寒さが原因ではないようです。 -
★我が家のキケマン(黄華鬘)
キケマンもミヤマキケマンも花は全開せず
花の先端がわずかに開く程度です。
この株の半分くらいは蕾状態で半分くらいが
開花している状態です。 -
★我が家のキケマン(黄華鬘)
自然にこぼれて咲くのはありがたいですが
今年はなんとお隣りの裏庭で芽生えて花が咲きました。
お隣りさんはキレイだから大歓迎よと喜んでくれましたが
東北でこれほど元気に増殖するなら
キケマンの北限地が北上しても不思議ではありません。 -
★我が家のキケマン(黄華鬘)
-
★我が家のキケマン(黄華鬘)
◎キケマン(黄華鬘/ケシ科キケマン属)は
関東地方以西、四国、九州、沖縄に分布する越年草。
明るい林内、林淵、海岸沿いに多く見かける。
草丈は30~60㎝位。葉は長柄があり、2~3回3出羽状複葉。
花は黄色い唇形の小さな花を茎の頂に総状花序に着く。
全草に毒を含み、特に根に毒成分が多い。
我が家の種から育ったキケマンも草丈60cmほどまで育ちました。 -
★我が町郊外の里山林縁に咲くナガミノツルキケマン
(※2019/9/16 撮影)
ケシ科キケマン属の花期はどれも春ですが
ナガミノツルキケマン(長実蔓黄華鬘/ケシ科キケマン属)だけは
晩夏から初秋の頃咲きます。
名前にツル(蔓)と付きますが、実際は蔓ではなく
全草が細長く華奢なので自身では自立できず
他の植物によりかかるように成長します。 -
★我が家のトウゴクサバノオ(東国鯖の尾)(※2025/4/20 撮影)
トウゴクサバノオは2つ前の旅行記で
咲き始めを1点紹介しましたが
その後見頃になったのでオマケでご覧下さい。 -
★我が家のトウゴクサバノオ(東国鯖の尾)
華やかとは言い難いかも知れませんが
可憐とはこういう花を指すのではないかと
思うようなとても可愛らしい花です。 -
★我が家のトウゴクサバノオ(東国鯖の尾)
◎トウゴクサバノオ(東国鯖の尾/キンポウゲ科シロカネソウ属)
本州の岩手県以南、四国、九州に分布し、温帯林の沢沿いなど
やや湿った林床に分布自生します。
福島県では浜通りの沢沿いなどで見られます。
花径は8mmほどとアズマシロカネソウより小さいです。
ハナビラに見えるのはガクヘン(萼片)でクリーム色や白で5枚。
その内側に黄色い密弁と多数のオシベと
柱頭が2つあるメシベが1本(基部で融合)あります。 -
★我が家のトウゴクサバノオ(東国鯖の尾)
花径は8mmほどで、ハナビラに見えるのは萼片です。
花色は白やクリーム色など自生地によって微妙に違います。 -
★我が家のトウゴクサバノオ(東国鯖の尾)
(※2025/4/25撮影)
トウゴクサバノオも受粉し花が終わると結実し
アズマシロカネソウと似たよう実を付けます。
このプロペラのような実を鯖の尾に見立て
トウゴクサバノオと名付けられました。
似てます??(^-^;。
これで◆春うららかな白河の関跡to白河天狗山で野の花三昧は
お仕舞です。
いつも最後までご覧下さりありがとうございます。
ではまた。 j-ryu
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