◆日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～南会津町・高清水自然公園

2024/06/20 - 2024/06/20

★福島県南会津町（旧・南郷村）にある日本最大規模のひめさゆり群生地、
高清水自然公園に行ってきました。
当初の予定ではこれまた日本最大規模の雄国沼のニッコウキスゲ群落を
見に行くつもりでしたが、直前に今年の花付きは例年より良くないと言う
Net情報を得たので、急遽、南会津町の高清水自然公園の
ヒメサユリ群生地に行くことにしました。
運良く高清水自然公園のヒメサユリは見頃を迎えているようだし、
近くの駒止湿原のワタスゲもおそらく見頃だと思うので渡りに船です。
今年はヒメサユリもワタスゲも２週間前に磐梯吾妻で見ていますが
高清水自然公園のヒメサユリも駒止湿原のワタスゲも
日本最大級の群落なので再見の価値は十分にあります。
天気も良さそうだし気分上々、Here We Go to the Sky -higt !!

エリア 田島・南会津(福島)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• 交通: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 自家用車 徒歩

★南会津町・高清水自然公園ルートMap　（※Google mapに加筆）

https://www.google.co.jp/maps/@37.3046731,139.9341793,35992m/data=!3m1!1e3?hl=ja&entry=ttu

我が家からは
国道294→国道118→国道121→国道289→国道401→高清水自然公園と
ほとんど国道を進むので迷ううこともなく行けます。

★南会津町・高清水自然公園ルートMap拡大版　（※Google mapに加筆）

https://www.google.co.jp/maps/@37.267791,139.582957,6552m/data=!3m1!1e3?hl=ja&entry=ttu

国道401からは案内板に従い町道を進み、
高清水自然公園のメイン施設を右手にやり過ごし
さらに道なりに進むと『ひめさゆり群生地』駐車場に到ります。
駐車場脇に簡易トイレ（無料）があります。

★南会津町・高清水自然公園ルートMap　（※南会津町観光物産協会HPより）

https://www.kanko-aizu.com/

高清水自然公園のひめさゆり群生地駐車場は無料ですが
群生地に入る場合一人500円の入園料が必要です。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ひめさゆり群生地入口ゲートで入園料500円を支払い
林の中の木道を進みます。
林を抜けた先の草原一帯が高清水自然公園ひめさゆり群生地です。

開花期間：　6月中旬～7月上旬　（※気象状況により変動します。）
開園時間：　8：00～16：00

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ヒメサユリ群生地入口にお薦め鑑賞ルーが表示されていますが
強制ではないので鑑賞客はそれぞれ思い思いに見て歩いています。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

群生地に一歩踏み入れたら、
もうそこらじゅうヒメサユリが咲き誇っています。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

◎ヒメサユリ（姫早百合・姫小百合）は
通称名で正式にはオトメユリ（乙女百合/ユリ科ユリ属）です。
しかし自生している地域では、「オトメユリ」よりも「ヒメサユリ」と
呼ばれている事の方が多いと思います。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ヒメサユリは日本特産のユリで、宮城県南部、新潟県、福島県、山形県の
県境を接する飯豊連峰、吾妻山、守門岳、朝日連峰、周辺にしか
自生していない貴重な植物です。
環境省のレッドリストでは準絶滅危惧、及び国際自然保護連合の
「レッドリスト」ではEndangered に指定されている絶滅危惧種です。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

宮城県では絶滅危惧種Ⅰ類
山形＆新潟県では絶滅危惧種Ⅱ類
福島県は準絶滅危惧種
自生している県では福島県の自生数が一番豊富なようです。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

群生地の殆どは木道が敷設されています。
これはヒメサユリは雑菌や病原菌に弱く
なるべく人間が雑菌を持ち込まないようにする為や
自生地と遊歩道を明確に区分するためだそうで
群生地入口には消毒マットが敷設されています。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

２週間前に訪れた土湯・堤ヶ平のひめさゆりの里は
自生地全体がフェンス＋電気柵で囲まれ
鑑賞者や撮影者はフェンスの隙間から撮影するあり様でしたが
ここ高清水は一番外縁こそ電気柵はありますが
主な外縁以外の遊歩道は低い位置に緑色のロープが張ってあるだけなので
鑑賞＆撮影しやすかったです。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

南会津町の南郷地域（旧南郷村）にある高清水自然公園は、
国内最大級のヒメサユリ群生地です。
『天空のひめさゆり』といわれており、標高850m～918mにある公園内には
100万本のヒメサユリが自生しています。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ヒメサユリは、本来の名はオトメユリですが、
ヒメサユリの名前の由来は、西日本に自生する薄いピンク色の
ササユリよりも花が小さく可愛いので『姫』、
ユリの中でも早咲きであることから『早（さ）』がついて、
姫早百合『ヒメサユリ』という名前がついたと言われています。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

南会津町（旧南郷村』の高清水自然公園の上部に位置する
「ひめさゆり群生地」は、古くから家屋のかやぶき屋根の材料である
萱の刈り出し場でした（茅場）
萱を刈り出しに来た地元の人々は自生している可憐な「ひめさゆり」を愛し、
刈らないようそっと見守り保護してきました。
こうして共生してきたことから、ひめさゆりにとって最高の環境となり
その個体数を増やし、国内でも最大規模の群生地になりました。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

この群生地では
定期的に群生地内の山焼き（火入れ）を行っています。
これは、その昔当地がカヤの採取場であった頃、
採取場の手入れのために行っていた火入れが
土壌の殺菌や調整の役割を果たし、
ひめさゆりの育生に適した条件を作り出したことに由来しています。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

秋、ひめさゆりの種がこぼれた時期を見計らい、
伸びたカヤやわらびなどに覆われた群生地の刈り払い作業を行います。
かつてカヤの採取場であった当時、毎年秋にカヤを刈り、
刈ったカヤを地元集落で利用するために園外へと持ち出されました。
刈り払いを怠ると、または刈った草が堆積すると、
ひめさゆりの芽出しが阻害されると考えられています。
また、蓄積物の増加により土壌状態も著しく変化すると考えられ、
カヤの採取場であった頃の状態を維持し、
ひめさゆりの育成環境の保全に努めているそうです。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

福島、新潟、山形県にはそれぞれ保護管理された群生地がありますが
自然のままでは樹木や藪に覆われてしまい群生を見ることは
ほとんどありません。
保護地以外でヒメサユリが見られるのは登山道脇などに
点々と自生しているのが見られます。
登山道も人間が整備するわけですから
ヒメサユリは里山型の植物で人間の営みに頼ることが
大きいようです。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ヒメサユリの回りの黄色い花はハナニガナです。
全国に分布し全然珍しい花ではありませんが、
色彩的には華やかさを演出してくれています。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

◎ハナニガナ（花苦菜/キク科ニガナ属）
日本全土に分布し黄色い舌状花を８～１０個花をつけます。
ニガナに良く似ますがニガナより大きく、高さ40～70cmになり、
ニガナの舌状花は５～７枚と少ない。
葉は細く、茎葉の基部はやじり形で茎を抱きます。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ヒメサユリの草丈は30-50cm程度。
鱗茎は卵形で、葉は広披針形をしています。
開花時期は6月から8月で、花はラッパ型で横向きに開く。
花径は5-6cm程、長さは8cm程度。
花は薄いピンク色で斑点がないのが特徴。
花の香りは甘くとても濃厚です。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

本州中部地方以西から四国・九州に分布するササユリ（笹百合）に似ますが
ヒメサユリの方が濃いピンクで、
おしべの先が黄色くなっているところで区別できます。
花の大きさはササユリの方が大きく
ハナビラが外側に反りますが、
ヒメサユリは大きくは反りません。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

忽然と草原の中にオニノヤガラが１本だけ咲いていました。

腐生ランのオニノヤガラは通常全体はこの個体のように茶褐色をしていますが、
緑色を帯びているものも見られ、これはをアオテンマ（青天麻）と呼び、
白っぽい花をつけるものを、シロテンマ（白天麻）と呼びます。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

◎オニノヤガラ（鬼の矢柄/ラン科オニノヤガラ属）は
北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の樹林下、湿原に自生し、
アジアでは中国と韓国、台湾に分布する。
木材腐朽菌であるナラタケと共生します。

★当町里山のオニノヤガラ

これは当町の里山で咲いていたオニノヤガラのクローズアップです。
こうしてみると、なるほどランの仲間だと分かります。

★天栄村立矢川沿いのオニノヤガラ（アオテンマ）

（※2022/07/26　撮影）

こちらは天栄村立矢川沿いで咲いていたアオテンマ（青天麻）です。
シロテンマ（白天麻）に似ますがやや緑がかった花色です。

オニノヤガラは腐生植物であり、光合成を行わず、葉緑素を持たない。
地下の塊茎は長さ10ｃｍ前後の楕円形で、表面には多くの節がある。
茎は直立し、基本種は黄褐色で、花茎の高さは40 - 100ｃｍになり、
円柱状の茎に膜質の鱗片葉をまばらにつけます。

★天栄村立矢川沿いのオニノヤガラ（アオテンマ）

（※2022/07/26　撮影）

「天麻」とは、オニノヤガラの根茎を蒸して乾燥させた漢方薬の名前だそうです。
半夏白朮天麻湯としてめまいや頭痛、メニエール病、リウマチなどに
利用されるそうですが、
オニノヤガラはナラタケから栄養提供をうけて生活する菌従属栄養植物であるため、本種のみを単独で植栽しても栄養の供給が断たれて衰弱枯死してしまうので
採取はせず自生地で鑑賞しましょう。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

群生地の所々に白樺の木が生えています。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

こんな美しいユリが我が家の庭にも欲しいと思うのは頷けます。
ヒメサユリは絶滅危惧種ですが山野草販売店やNet通販などで
購入することは出来ますが、冷涼な気候を好むし病気に弱いので
暖地での栽培は難しいようです。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

江戸時代の俳人滝野瓢水（1684－1762）は
『手に取るな、やはり野におけ　蓮華草』の有名な句を残しましたが
やはり自然の中で見てこそ可憐で美しい野の花だなと
あらためて実感させられます。　

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ヒメサユリの周囲の緑はススキが多数を占めています。
やはり元々は茅場なので当然と言えば当然ですね。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

オニアザミ（鬼薊/キク科アザミ科）をキアゲハが吸蜜していました。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ヒメサユリは若いうちは花は１個か２個ですが
歳を重ねるごとに花数が増えてきます。
この傾向はヤマユリも同じです。
だだ花数は年輪とは違い毎年一輪ずつ確実に増えて行くわけではありません。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

遊歩道の最高地点から群生地を見下ろした構図です。
高清水自然公園のひめさゆり群生地は、標高918ｍにあることから、
『天空のひめさゆり』とも呼ばれています。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

福島県のヒメサユリ群生保護地は会津地区にここ南会津町高清水自然公園の他に
同じ南会津町南郷スキー場や喜多方市熱塩加納、西会津町安座、
中通りには福島市土湯・堤ヶ平があります。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

我が家からは福島市土湯・堤ヶ平のひめさゆりの里が車で１時間１５分ほどと、
一番近いのですが、今年１５年振りに訪れたら
だいぶ花数が少なくなっていて残念でした。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ここ高清水のボランティアガイドの方と少しお話したら
ここ高清水も最盛期に比べると花数は減少気味だとおっしゃっていました。
たしかに昔の写真を拝見したら、草原一面ピンク色に染まっていましたが
今はそこまでは群生していない印象です。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

土湯・堤ヶ平のひめさゆりの里にせよ、ここ高清水にせよ
電気柵が設けられているくらいですから、
放っておいたらイノシシやシカの食害が相当あるのでしょう。
ただ野生動物だけが減少の原因かどうかは分かりません。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ユリの仲間は球根ですが連作を嫌うそうで、
植えっ放しだと病気の菌の増殖や養分の欠乏などが原因で、
同じ球根は年々痩せてくるそうです。
これを避けるためには床土を入れ替えるのが理想だそうですが、
これだけの群生（球根）を植え替えるのは難しいので
土壌改良をするしか無いのかも知れません。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ヒメサユリは種ができるので、
自然に落ちた種が発芽し世代交代はしていると思いますが
土壌自体を改良しないとジリ貧は避けられないのかも。
ま、ど素人の私がウンチクを語るまでもなく
対策は講じていると思うので
また以前のような見事な花畑が復活するかも。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

顔はめパネルがあり、ご高齢のご夫妻が交互に撮影していて
とても微笑ましく見えました。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

群生地全体を見渡せる高台に監視所があります。
ま、オープン中に盗掘する人はまずいないと思いますが
土・日曜日は大変混み合い、立ち止まりや混雑を避けるため、
土・日曜日の三脚・一脚の使用は禁止します。
また、常時ペットの持ち込みも禁止されています。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

それにしてもヒメサユリはなぜ福島、新潟、山形、宮城の一部にしか
分布自生していないのでしょうかかね？
似たような環境や条件の場所は他県にもあると思うのですが
解き明かした学者さんはいないようです。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ヒメサユリ群生を撮りに行っているのだから
ヒメサユリの写真ばかりになるのは当然ですが
それにしてもヒメサユリばかりで恐縮です(^-^;。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

どの旅行記でも取捨選択が下手で
似たような写真ばかりだとは思っているのですが
拾うのは好きなんだけど、
どうにも捨てるのが下手な人間だと
つくずく反省(－－〆)。
ま、三つ子の魂百までと言うので
一生付き合う欠点だと思います。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

監視員の方が長い棒を持って何か作業をしていました。
何をしているのか尋ねたら、
某の先に小さな鎌が付いていて、ワラビ（蕨）の芽を刈り取っているそうです。
遊歩道近くにワラビが出ていると、観光客の中には手を伸ばして採る人が
いるそうで、木道から手を伸ばす分には構わないそうですが、
手が届かないと、つい一歩二歩と木道からはみ出して採ろうとするようで、
それをさせない為に、木道そばのワラビか刈り取るようにしているそうです。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

さらに、ワラビは放っておくと直ぐ伸長しヒメサユリの丈を越してしまい
しだいにヒメサユリが見えにくくなってくるそうなので
長い鎌の届く範囲のワラビは刈り取るようにしているそうです。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

南会津町南郷地区（旧南郷村）でヒメサユリは
ここ高清水自然公園の他に
南郷スキー場でも見られますが、花数は高清水に遠く及びません。
でも南郷スキー場では高清水では見られない
ヒメサユリとニッコウキスゲのコラボレーションが見られます。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

ただ南郷スキー場は高清水自然公園より標高が低いので
ヒメサユリの開花は早く、
南郷スキー場が見頃の頃、高清水は２分咲き程度の事が多いです。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

私の地域で山に咲くユリと言えば黙っていてもヤマユリを指すほど
ごく普通に見られるユリですが、思いのほか分布域が狭まく
自生地は近畿以北（北陸を除く）～青森で、
関西以西でユリと言えばササユリの事だそうで、
万葉集などの古典に登場するユリもササユリだろうと言われています。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

日本は世界有数のユリ大国ですが
欧州ではシーボルトがテッポウユリを伝えるまで白いユリと言えば
地中海沿岸、バルカン地方、パレスチナ地方、コーカサス地方などに
自生していた花の小ぶりなニワシロユリだけだったそうです。
白いユリは純潔、清廉、潔白の象徴として
聖母マリアの花として大切にされてきましたが
シーボルトがテッポウユリを伝えてからは
寒さ厳しい欧州北部のオランダ、ベルギーなどでも栽培が容易なため
あっとういう間に広まり、ユリと言えばニワシロユリのことだったのが
ヨーロッパ産のニワシロユリをマドンナリリィと区別し
日本産の白いユリをイースターリリィと呼んだそうです。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

その後ヤマユリが1873年ウィーン万博で日本の他のユリと共に紹介され
花の白さ大きさ華やかさに人気が沸騰し、
タモトユリやテッツポウユリなどとかけ合わせれ
欧州人(キリスト教徒)好みのより純白でより豪華なカサブランカや
美しいオリエンタルハイブリットユリが次々に開発されてきました。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

もし、シーボルトがヒメサユリを欧州に紹介したら
どんな評判になったでしょう。
ピンクカサブランカ（ラブラドール）のピンクは
どんなユリの血筋が入っているのでしょうね。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

園芸種のユリの中では純白のカサブランがダントツの人気を誇りますが
その交配の原種が日本原産のヤマユリ、タモトユリ、サクユリだと
言われています。
花の大きさは伊豆諸島原産で日本最大のユリと言われるサクユリ、
栽培しやすく耐寒性はヤマユリから
上向きで純白の花色はタモトユリから引き継いだと言われてます。
日本原産の白系ユリの良いとどりしたのが
オランダで生まれ、１９８４年にデビューしたカサブランカなんですね。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

純白大輪で人気の園芸種カサブランカは映画『カサブランカ』を
イメージしやすいですが、カサブランカはモロッコの都市名で
ユリのカサブランカとは関係ないと言われています。
カサブランカの語源がスペイン語でカサ（家・城）・ブランカ（白い）、
つまりモロッコのカサブランは白い家・城と言う意味のようです。
なのでユリのカサブランカは大きな純白のユリを指すのであって
厳密には黄色やピンクはカサブランカとは言わないそうです。
でも実際はカサブランカを元に交配された黄色やピンクの大型ユリも
カサブランカと呼ばれているようです。

★日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～高清水自然公園

青空の下、満開のヒメサユリを堪能したので
次は同じ南会津町にある、駒止湿原（こまどしつげん）に向かいます。

これで◆日本最大級・天空のヒメサユリ群生地～南会津町・高清水自然公園は
お仕舞です。
いつも最後までご覧下さりありがとうございます。
そして、ポチってくれた方には重ねて御礼申し上げます。

j-ryu

◎追記　　（写真は西遊旅行のWebパンフより）

明後日（8/21）から９日間、南アフリカ旅行に行ってきます。
目的はマナクワランドのワイルドフラワーの一斉開花鑑賞です。
自然相手なので行ってみないと一斉開花しているかどうかは
わかりませんが、素晴らしいお花畑が見られることを願っています。

旅行中は通信事情により返コメや返ポチが出来ないかも知れませんが
可能な限りチェックしたいと思います。

では、行ってきます。


j-ryu

この旅行記へのコメント （2）

• yamayuri2001さん 2024/08/31 15:35:35

  ヒメサユリ

  j-ryuさん、こんにちは。
  ヒメサユリの群生地、本当に癒されますね。
  あんな木道を、一度でいいから歩いてみたいものです。
  顔はめパネルの位置が低すぎて、
  高齢者には、顔をはめるのが大変です。
  なぜあんな低い位置に設置してしまったのでしょうね。
  それにしてもj-ryuさんは、ユリの歴史にもとても詳しくて、感心しました。
  カサブランカはゴージャスで、本当に良い香りなのですけれど、
  さまざまな交配があり、
  今のカサブランカにたどり着いたんですね。
  
  台風の大雨で、帰路に影響は無かったのでしょうか？
  9日間のアフリカ旅行では、
  さぞかしお疲れになった事と思いますが、
  無事に、ご自宅までたどり着かれたのかなと心配になりました。
  yamayuri2001

  j-ryuさん からの返信 2024/08/31 22:11:15

  Re: ヒメサユリ

  yamayuri2001さん、こんばんは。
  
  いつもご来訪＆コメント＆いいね、ありがとうございます。
  さらに、お帰りコールまで頂戴し嬉しい限りです。
  
  ＞ヒメサユリの群生地、本当に癒されますね。
  あんな木道を、一度でいいから歩いてみたいものです。
  
  ≫この群生地自体は良く整備されていて健常者なら誰でも鑑賞可能ですが、
  いかんせん場所が遠すぎますね(^-^;。
  それでも、日本一の群生地ってこともあり、
  首都圏からも多くのカメラマンがお見えになっていました。
  
  ＞顔はめパネルの位置が低すぎて、
  高齢者には、顔をはめるのが大変です。
  なぜあんな低い位置に設置してしまったのでしょうね。
  
  ≫あれはヒメサユリと観光客が顔ハメの枠内でコラボできるように
  わざと低くしてあるようです。
  
  ＞カサブランカはゴージャスで、本当に良い香りなのですけれど、
  さまざまな交配があり、
  今のカサブランカにたどり着いたんですね。
  
  ≫カサブランカと言い、クレマチスやアジサイと言い
  日本原産の花が欧州で人気が出て品種改良が進み、
  日本に逆輸入されて嬉しい反面、原種の良さが忘れ去れるのは
  少し寂しいです。
  
  ＞台風の大雨で、帰路に影響は無かったのでしょうか？
  9日間のアフリカ旅行では、
  さぞかしお疲れになった事と思いますが、
  無事に、ご自宅までたどり着かれたのかなと心配になりました。
  
  ≫ご心配＆お気遣い、ありがとうございます。
  南アのワイルドフラワーは正に見頃で、
  素晴らしい花園を堪能できました(^^♪。
  台風は南アで観光しながらも気になっていましたが
  お陰様で私は間一髪ながら無事帰宅できました。
  添乗員さんは名古屋の方だったので恐らく
  羽田から帰宅できなかったと思います。
  
  さすがに今回は長距離の旅だったので疲れましたが
  それをしても、余りある素晴らしい花々に感動できたので
  心地よい疲れになりました。
  ありがとうございます。
  
  
  ではまた。　j-ryu