銚子電鉄は元祖クラファン！日本流の歴史的鉄道の残し方【親子で東京往復記2023年8月編その２】

2023/08/28 - 2023/08/28

　築地の病院で診察を終えたその足で、房総半島の銚子へ。ずっとお金に困っていて、ずっと話題になっている銚子電鉄のノスタルジーに浸りました。
　今夜は家族の思い出作りに、海辺のホテルに宿泊。こちらも、なかなかなノスタルジーな味わいでした。

エリア 銚子(千葉)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 5.0
• ショッピング: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 乳幼児連れ家族旅行
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: 私鉄
• 旅行の手配内容: 個別手配

　総武線の終着駅・銚子。そのホームの先端から、銚子市内へとアクセスする街乗り電車が接続します。
　のんびりムードだった総武線から一転、平日にも関わらず観光客で賑わうその電車は…

銚子駅 駅

　銚子電鉄！ そう、あの慢性的な赤字に苦しみ、定期的にニュースを賑わす鉄道です。
　青い元京王の電車も、一度は四国の伊予鉄道に渡った「中々古車」。今年、南海から譲渡される電車がひさびさの「中古車」であることも話題になりました。

銚子電気鉄道線 乗り物

　どこかで聞いたことがあるようなタイトルの映画も、話題になりましたね。とかくマスコミへの露出が多く、話題作りがウマイ鉄道会社という印象は、ずっと持ってます。
　なんせ４２歳の僕が幼少時代、いとこから貰った（当時でも）古い子ども向け鉄道ムックに、「濡れ煎で稼ぐ鉄道」と書かれていたくらいですから…

　ICカードが使えないのはもちろん（笑）、乗り換え口に切符売り場もありません。え、どうやって乗るのと戸惑う我々に、車掌さんが回って来ました。
　数十年前の当たり前は、今や貴重な体験。厳しい経営ながら、障害児の付添は半額になるのがありがたいです。

　小田急ロマンスカーミュージアムの中づり広告。大手私鉄からの、経営支援の一環だと思います。

　手作り感あるれる沿線案内も。
　広告枠がガラガラになりがちな、「普通のローカル私鉄」とは一味も二味も違います。

　仲ノ町駅。木造平屋建ての懐かしい駅舎に、駅員さんが詰めています。令和の世で、奇跡のような光景です。

仲ノ町駅 駅

　醤油工場の敷地内を走っているかのような車窓。これぞ、幼い頃から思い描いてきた銚子の風景そのものです。

　笠上黒生駅にも、駅員さんの姿がありました。
　駅員さんを置く代わりにワンマン化する鉄道（流鉄など）、車掌乗務が基本の代わりに駅無人化を徹底させる鉄道（JR四国）はありますが、双方を置くローカル私鉄は、いまや珍しいのでは。

笠上黒生駅 駅

　車窓の畑は作物が実るわけでもなく、荒れているわけでもなく、きれいに耕された土があらわになっています。これからの作付けって、何の野菜かしら？

　車端部に鎮座する、２席だけのロマンスシート。しなの鉄道から譲り受けたシートで、元をただせば０系新幹線のものです。
　わずか２席とあって、座れればラッキー。犬吠駅を出てガラガラになったところで、座ることができました。

　ふたたび回ってきた車掌さんから、乗車記念カードをもらいました。
　車掌鞄を持った車掌さんの姿は、もうすぐ５歳になる我が子の脳裏にも、きっと焼き付いたことと思います。

　ガラガラの車内を巡回する車掌さんは、乗客が開けたブラインドを閉めて回っていました。エアコン代節約のための、涙ぐましい努力とお見受けします。

　２２分の短い旅を終え、終点・外川着。

外川駅 駅

　時代離れした、のどかな終着駅です。

　手書きの運賃表に、木枠の出札窓口。長い木のベンチは、昔はどこでも見られたように思います。

　短い距離の私鉄ながら、最果てに来た感がありました。

　線路の終端には、むかし活躍した車両が美しく保存されていました。メルヘン風の塗装は、観光鉄道への脱却を図ろうとした頃の産物です。
　僕が小中学生の頃、テレビで見ていた銚子電鉄の姿といえばコレでした。当時から、マスコミへの露出は多い鉄道。九州ですらお馴染みだったほどです。

　折り返しの電車で、今宵お世話になる街・犬吠へと戻りました。１駅間の乗車で、車掌さんから切符を買い、ほとんど握る間もなく渡して下車しました。

犬吠駅 駅

　古い木造駅舎がある一方、立派な観光施設のような駅舎の駅もあるのが、銚子電鉄の面白いところ。建設業者が経営に参画してたので、建築はお手の物なのです。
　ドライブの客が次々立ち寄り、名物「ぬれ煎餅」を買っていきます。副業のおかげでコロナ禍でも黒字をたたき出したんだから、大したもの。

　ピンチの度に窮状を訴え、その度に「ぬれ煎餅」購入の輪が広がり、危機を脱してきた銚子電鉄。対処療法のはずが、もはや持続可能な域に達しつつあります。
　行政の支援を受ければ合理化を求められると思われ、個人の応援で古き良き鉄道を残してきた手法は、元祖クラファンとも言えるかもしれません。

銚子電鉄 犬吠駅売店 グルメ・レストラン

　今夜は夏の思い出づくりに、観光ホテルを予約しました。犬吠駅から徒歩５分の、ホテルニュー大新です。
　ニューという割には、くすんだ感じの外壁です（笑）。

ホテルニュー大新 宿・ホテル

　駅から歩いて来る際は、森と森に囲まれた細い通路が近道。

　中に入れば、古き良き観光ホテルそのものです。

　さりげなく置かれた鏡も、貴重品では？

　和洋室タイプのお部屋に通されました。さすがは観光ホテル、ひろびろしたお部屋です。
　１泊２食３人で34,375円。僕としては奮発しました（笑）。

　縁側っぽいベッドルームからは…

　太平洋が一望！ この眺めだけでも価値がありますね。

　お茶請けは、ピーナッツの名産地・千葉ならでは。我が子にも食べてほしかったけど、ピーナッツのアレルギーチェックがまだだったので見合わせました。

　道中あちこちで急かしてしまい、疲れさせてしまったママにはしばし部屋で休んでもらい、我が子とホテル内の探検に出かけました。
　豪華なシャンデリアと赤じゅうたんが、バブルの香りを伝えます。雑然と並ぶ漫画本がなんともミスマッチ。

　オリオンのココアシガレットの自販機、現役ですよね！？
　フジカラーのカラーフィルムの販売ケースに主はおらず、マスクが収まっているのは令和の時代ならでは。

　プールがあるのは嬉しく、わざわざ水着を持ってきました。
　広々したプールに、我が子は大喜び。ビーチボールや浮き輪の貸し出しもあって、楽しく遊ぶことができました。はじける笑顔は、プライスレスです。