2010/05/30 - 2010/05/31
34位(同エリア192件中)
さっくんさん
2010年モロッコを旅しました。旅立つ前は考えてもいませんでしたが、サハラ砂漠を訪れた事で、これ以降の旅の向かう先が幾つも見えてきた、自分にとって重要な旅となりました。今回はそのサハラ砂漠での一泊の旅を紹介します。
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砂漠ツアーの拠点となるオーベルジュに到着です。
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美しい風紋にテンション上がります。
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空の青と砂漠の砂色の二色しか無い世界です。
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それでは出発です!
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たった二名の小編成で、相方はなんと日本人。とっても大人な素敵な方でした。
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我々をサハラ砂漠へと誘ってくれるのは目が覚める様な蒼い衣装が印象的なトゥアレグ族の駱駝引きです。
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モロッコの海岸沿いはアラブ人、アトラス山脈を越した荒野に暮らすのはベルベル人でしたが、サハラ砂漠に生きるのはトゥアレグ族の人々です。嘗てサハラ砂漠を渡った隊商としても大活躍した人々の末裔です。
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トゥアレグ族はモロッコと言うより、アルジェリア、マリ、ニジェール等のサハラ砂漠で遊牧を行っています。遊牧民故にアフリカが次々と独立を勝ち取っていく中、常に忘れられ、クルド人の様に国を持たない民族となりました。
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勿論彼等は自らの国を切望しています。私がこの旅の後訪れたマリでも彼等は北部で独立を求めて紛争が発生し、マリを目指す旅人目線からは、その状況の変遷から常に目が離せない状況でした。
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私がマリの旅を考え始めた10年は比較的安定していたのですが、それが一変したのは11年に発生した中東の春です。カダフィ大佐が殺された事により、リビアが崩壊しました。そんなリビアには貧困故に数多くのトゥアレグ族が傭兵として出稼ぎに行っていたのです。
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国が崩壊したのですから彼等は当然故郷に帰ります。でも手ぶらではありません。傭兵時代に培った戦闘技術と最新式の兵器を土産にしているのです。そして彼等は以前から独立紛争を繰り返してきています。わたしは猛烈に不安を感じ旅の前倒しを決断しました。
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世の中には、そんなキナ臭い臭いに非常に嗅覚が働く連中がいます。アフリカ系アルカイーダ、即ちテロリストです。そして彼等はトゥアレグ族に近づき、トゥアレグ族は悪魔の囁きに屈してしまいました。
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アルカイーダ・トゥアレグ連合軍は快進撃を続け、最貧国であるマリ軍を圧倒します。窮したマリ軍は大統領に助けを求めるも大統領も解決策を見出だせませんでした。すると進退極まったマリ軍は事もあろうに大統領を追放し、軍事クーデターを起こしてしまいます。こうして西アフリカの民主主義の手本と呼ばれたマリの民主主義は呆気なく崩壊してしまいました。
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一方アルカイーダ・トゥアレグ連合軍はと言うと、此方も問題が発生していました。最初こそ念願の国、アザワドを立ち上げたものの、アルカイーダは暴虐で、完全に偏り過ぎた原理主義、政策を取り始め、トゥアレグ族と仲違いしてしまいました。トゥアレグ族は、只自分達の国が欲しかっただけだからです。でもこうなるとテロリストとして組織力のあるアルカイーダが一枚上手です。アザワドはあっという間に崩壊し、トゥアレグ族は追放されてしまいました。
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結局トゥワレグ族の夢は潰え、マリ北部は未だに治安の安定しない地域のままです。ただ、実際マリ北部を訪れた感想としては、トゥワレグ族が独立を求める気持ちも痛い程解ります。
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マリに暮らす殆どの人は南部のニジェール川沿いの肥沃な大地に暮らしています。其所から北部のトンブクトゥやサハラ砂漠を目指せば、当然土地は枯れていきますし、インフラ、医療、経済、全ての要素で南部との格差の違いを犇々と感じます。
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只、そうした環境面の事なら、彼等は元々サハラ砂漠を活動拠点にしていたのですから、堪えられたかもしれません。それ以上に厳しいのは、マリ南部に暮らす殆どの住民はトゥワレグとは文化的背景の異なるブラック・アフリカ系の人々であり、政治もブラック・アフリカの人々を中心に動いていると言う事でしょう。
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こうしたアンバランスな民族構成の国が出来上がった背景には、アフリカを植民支配した欧州にも大きな責任があります。今アフリカでは蝗の発生、干魃、そしてウクライナ紛争による食料高騰が加わり、危機的状況にあります。そしてそうした被害を一番被るのは、トゥワレグの様な国を持たない民族達です。少しでもそんな彼等に光が当たる世界であって欲しいです。
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駱駝に乗って砂漠の奥へ分け行って驚きました。想像以上に砂丘が高いです。
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豪快なのですが、その稜線は繊細です。
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キャンプは風を避ける為に巨大な砂丘の直下にあります。大きめのビルを飲み込んでしまう程の高さがあり、幅で言うなら東京の信号と信号の間くらいはあると思います。
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勿論登ります。途中砂が入って靴は役立たず、靴下は砂風船になってしまうので、裸足になって登りました。
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さばくは海、駱駝は舟。
昔の人は例えが上手いです。 -
見下ろせば、後続部隊が到着です。
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砂丘の上からキャンプを見下ろしました。トゥアレグ族のお兄さんが夕食を料理している筈です。
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余りにも美しい稜線を描く砂丘に魅了され、暮れゆく事も忘れ砂丘を眺め続けました。
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そろそろ降りないと方角も解らなくなってしまいます。それにお腹も減ってきました。
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駱駝達もお休みの時間です。
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キャンプで暮らすにゃんこです。
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ディナーは勿論タジンです。
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夜、用を足そうとテントを出て驚きました。満月に照らされた砂漠はビロードの様に鈍く輝いていました。砂が音を吸い込むのか、恐ろしい程の静寂に立ち尽くしました。なんか異世界に迷い混んでしまったかの様でした。あの時見た光景はPhotoshopをどう弄ろうと再現出来そうにありません。
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月の砂漠を遙々と、旅の駱駝がいきました…。
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陽が昇る前に砂丘を昇ります。
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登っていくに連れ私の心拍数も上がっていきます。
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砂漠の夜が明けていきます。なんか胸に熱いものがこみあげます。
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使いふるされた表現ですが、この広大な自然の前では人間の存在なんて、ちっぽけなものに過ぎません。
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しかしですよ。その昔、隊商達はこの広大な砂漠を渡って旅を続けていたのです。
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そう思えば、人間の持つ可能性と言うものもまた、とてつもなく大きなものだと思えて来ます。
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なんて考えれば、彼等の向かった先、そして何を求めてが気になって仕方ありません。ググればその名はトンブクトゥ。そして求めたものは、やっぱり黄金でした。
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その昔、トンブクトゥを含むマリ王国では豊富に金が取れたのだそうです。でも内陸国故に塩が足りない。金で腹は満たせ無いが、塩が無ければ生きてはいけない。其所に目をつけたアラブの隊商が、サハラ砂漠にある塩田を抑え、マリ王国と塩と金を等価交換する貿易を始めたのです。
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凄くないですか?塩1kgで金1kgですよ!タイムマシンあったら、近所のスーパーで塩を買い占めてマリにひとっ飛びしたいです。隊商達が命を賭けて砂漠を渡ったのも頷けます。
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多分それだけマリは塩に困り、金が豊富だったのでしょうが、時の王マンサ・ムーサは羽振りも良すぎる男だった様です。メッカに巡礼に向かう途中立ち寄ったエジプトのカイロで金を大盤振る舞いで喜捨したものだから、エジプトの金相場が大幅に値崩れした程だったそうです。
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その噂は欧州迄伝わり、金に目が眩んだ探検家達がこぞってトンブクトゥを目指しサハラ砂漠を渡りましたが、結局生きて帰ったのはフランス人のルネ・カイネ只一人でした。そしてそんな彼が見たものは、海洋航路の発達により寂れ、サハラ砂漠に飲み込まれつつあるトンブクトゥの姿だったと言います。
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そんな事から欧州ではトンブクトゥと言う単語は地名に留まらず「遥かなる地」を指す代名詞になったと言います。そんな事知ってしまうと旅人の魂揺さぶられるじゃないですか!行かない訳いかなくなるじゃないですか!
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で、計画を立て貯金していた11年、中東に起こった厄災、中東の春によりカダフィ殺害リビア崩壊のニュースを知った私は全財産使いきる覚悟で、マリの雨季の終わり狙って旅立ちました。其所で私を待ち受けた結果は…
マリの旅
https://4travel.jp/travelogue/11207282 -
結局無事マリの旅を終えた私ですが、一度点火したサハラ砂漠への想いは収まりません。マリを北上し塩田へ抜けるルートはマリの情勢上不可能ですが、お隣モーリタニアにはトンブクトゥへと繋がる別ルートがあり、更に砂漠の中に中継貿易を行った都市が残っています。サハラを越える出発点とゴールであるトンブクトゥは、体験したので、その道中を体験したくて、私はモーリタニアのシンゲッティやウワダンを目指すツアーへ参加しました。
モーリタニアの旅
https://4travel.jp/travelogue/11444260 -
そして後一ヶ所、くたばる前にどうしても訪れたい街がサハラ砂漠に存在します。この写真の太陽が昇る方向、アルジェリアのサハラにひっそりと暮らすイスラーム教徒のピューリタンが暮らす街、ガルダイアです。
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サハラ砂漠に感動的したばっかりに、幾つもの旅先がインスパイアされました。私にとってメルズーカ砂丘の朝焼けは忘れられないものとなったのです。
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イスラームは交易を通じて拡大した宗教です。ですので一ヶ所訪れれば、交易路で繋がった違う街へと旅心が繋がっていきます。
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09年ウズベキスタンを訪れました。するとシルクロードが気になって仕方ありません。翌10年、私は寝台車を乗り継いでカシュガルを目指しました。
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12年、ザンジバルを旅しました。スワヒリ文化は貿易風に乗って交易を交わしたオマーンのアラブ文化と現地のアフリカ文化が交わって生まれた文化と知りました。となるとオマーンに行かない手は無いじゃないですか?13年私はオマーンに旅立ちました。
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なんか交易路って陸海問わず、凄く惹かれるんです。
感極まっちゃって、サハラ砂漠で昴を熱唱しちゃいました。 -
荒野に向かう道より、他に見えるものは無し
息をすれば、口の中、砂嵐は吹き続ける
されど我が胸は熱く、夢を追い続ける也 -
嗚呼いつの日か、誰かがこの道を
嗚呼いつの日か、誰かがこの道を -
我はいく、心の命ずるままに
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我はいく、去らば、メルズーカ!
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早起きのツアーがもう隊列を組んで出発しています。
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私達はこれから朝食、トゥアレグ族が砂の中でナンを焼いてくれます。
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上手い人が焼くと本当砂がつかないのです。不思議です。勿論お茶はミントティー。クールミントガムの様な味にはまって、ミントは栽培も簡単と言う事で帰国後栽培に挑戦しましたが…無事全滅させてしまいました(汗)
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なんでしょう?
このコントラスト! -
呑気だなお前ら!と駱駝に言われている様です。
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おーい!
もうあんな遠くに行ってしまいました。 -
もう見えなくなってしまいました。
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それでは我々も出発です。
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なんでこう鋭いエッジの稜線が出来るのでしょう?自然が織り成す芸術に?がいっぱいです。
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太陽も、此処まで昇ると牙を剥き出します。
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輝く光の矢を体で受け止める~♪
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大きな砂丘に遮られ、もう自分が何処にいるのか解りません。トゥワレグ族の駱駝曳きと駱駝だけが頼りです。
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トゥワレグ族の曳く駱駝に揺られながら静寂に旅は続きます。
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何故この様な稜線が出来るのでしょうか?
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此処で駱駝さんともお別れです。
ありがとう!
駱駝さん。 -
下界に戻って参りました。これから一路フェズを目指してひた走ります。
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水のある風景にホッとします。
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もう蜃気楼では無いですよね?
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見える景色の色の種類が増えて来ました。
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あの峠を越えれば!
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眺める景色に茶褐色と僅かな緑が加わりはじめました。
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緑と水がある世界に戻り、水が無いと食べられないものを食べました。
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緑あるところじゃないといられないお猿さんもいました。
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やっと緑溢れる大地に戻ってきました。
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