2010/05/28 - 2010/05/30
44位(同エリア248件中)
さっくんさん
2010年モロッコを旅しました。旅立つ前は考えてもいませんでしたが、サハラ砂漠を訪れた事で、これ以降の旅の向かう先が幾つも見えてきた、自分にとって重要な旅となりました。二回目は、マラケシュを出てサハラ砂漠に辿り着く、その道程を紹介します。
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マラケシュを経ち嘗ての隊商の足取りを追って旅を始めます。
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マラケシュを経った旅人の前に立ちはだかるのは4千メートル級の山が連なるアトラス山脈です。勿論今では車があるので苦になりません。
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アトラス山脈の峠を越えると天気が劇的に変わります。
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峠の向こうは草木も生え辛い渇いた大地が続きます。
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草木が生えないので山肌の色も一変します。
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視界から緑色がどんどん失われていきます。
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アトラス山脈を越えました。渇いた大地は日本語の砂漠とは程遠いですが、dezart と言う単語の範疇には当てはまるでしょう。
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オフロードは4WDが必須です。
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灼熱の大地の向こうに見えるアトラス山脈の頂上には雪がほんのりと被っています。
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気分はラリーです。
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タジン鍋の秘密は円錐状の特徴的な蓋にあります。食材が加熱され立ち上がった湯気が細長い先端で冷やされ食材に落ちて戻ります。殆ど食材の水分だけで蒸し焼きが出来る、水分が貴重な渇いた大地の人々の知恵が詰まった神鍋です。
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万能調理器具なので、料理のバラエティーも豊富なので蓋を開けてビックリなんて事も!何でもかんでもタジン鍋なのです。
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アイドベンハドゥに到着しました。今では村民の殆どは此方の新村に住んでいます。
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小さな川の向こうに見える要塞の様な建物群こそ世界遺産アイドベンハドゥです。
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モロッコでは、こうした要塞化された建物をクサールと呼び、その中でも司令官クラスが常駐するクサールをカスパと呼ぶそうです。チュニジアとは多少語彙が変わります。
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此処周辺がオアシスとなっている事が解ります。
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新村を一望します。
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逆に言えばオアシス以外でこの地で人が暮らせる場所はありません。
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頂上付近からカスパを一望しました。
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銃眼を備えた塔がニョキニョキと建てられています。
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こうした荒野に建つカスバの生計を支えたのは交易で行き交う隊商達でした。
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富が集まれば狙う者がいます。遮る地形が少ないこの様な地形では、要塞化するのが防衛手段として最適解だったのでは無いでしょうか。
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周囲は分厚い壁で覆われています。
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巨大な軍艦の様にさえ見える外観です。
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この様な外観もあって、数々の名画の舞台となりました。
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例えばハムナプトラ2、インディ・ジョーンズ、007リビング・デイライツ、グラディエイター、アラビアのロレンス…と目白押しです。
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これだけ映画の舞台になるのですから、この地方の中心都市ワルザザードには、映画関連の会社も進出しており、モロッコのハリウッドとも言われているそうです。
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そう言えばマラケシュにも有名俳優が家を持っていました。
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カスバ内部はアラブの街同様に迷路状に築かれ、所々にトンネル状の建築があります。有事の際は此処を締め切って敵を防いだのでしょう。
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なんか通り過ぎるのワクワクするんです。
子供ですね(笑) -
あ、アラブ人と先程書きましたが、此処で暮らしているのはアラブ人では無くベルベル人です。
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ベルベル人は特定の民族名と言うより、アラブ人流入以前から北部アフリカで暮らしていた先住民の総称と言って良いと思います。
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アラブ人との戦闘を避け敢えて住みやすい海岸沿いを離れ、荒涼とした大地に暮らしました。
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そんな特異な世界観で生き抜いた事もあり、彼等の生活様式は知恵と工夫に満ちています。
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スターウォーズで一躍有名になったチュニジアのタタウィンやマトマタもベルベル人の特異な住環境が舞台となりました。
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今ではアラブ人との混血が進んだ事もあり、我々日本人には見分けがつけられない事の方が多いです。
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ただ場所や場合によっては互いの民族同士が険悪な状態になる事もあり得るので、露骨な詮索はタブーです。
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先にチュニジアの名前を出しましたが、時折モロッコとチュニジア、どちらがお勧めですか?と聞かれます。
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確かにパッケージツアーも多く、観光的見所の方向性は被っている部分が多いのでそう悩むのも解ります。
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ただ、日本と韓国が遠くの国の人から見れば似ている国に感じるのと同様、実際二国を訪れて見れば、歴史的背景も国土の大きさも全く異なる為、受ける印象は大きく変わります。
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非常にぶっちゃけて言うと、ダイナミックなモロッコと、バラエティーに富んだチュニジアです。
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両国に共通するサハラ砂漠の見所で言えば、モロッコのメルズーカでは大きな起伏がある男性的景観が魅力であるのに対し、チュニジアのクサール・ギレンでは起伏は大きくないものの、均等で滑かな曲線を描く砂丘が何処までも続いていて女性的な美しさがあります。
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歴史的、地理的背景としては、地中海沿岸のアフリカ諸国としては最西端に位置するモロッコは、ローマ、ヴィザンティンの影響も少なく、オスマントルコの支配も受けませんでした。大戦中は欧州の植民支配は受けたものの、王政は継続されアフリカでは珍しい現在も続く王国です。が故にアラブ色濃厚な文化を維持していると言えます。
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一方チュニジアは、地中海中央、地中海を挟んでイタリアの対面に位置しローマとカルタゴのポエニ戦争に始まり、ローマ、ヴィザンティンに寄る支配、更にオスマントルコにも組み込まれ、常に強国の影響を受けました。故にローマ、ヴィザンティン遺跡も豊富に残され、結果バラエティー富んだ見所を残しました。
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最後に国土の大きさです。チュニジアは国土が非常に小さく、そして見所がバラエティー豊富なので効率的な旅が出来ますが、国土の大きいモロッコでは移動に結構時間がかかります。
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ただ、移動がデメリットばかりかと言えば、私はそれを否定します。例えばマラケシュからメルズーカ砂丘迄私は二泊して向かいましたが、逆回りでフェズから砂丘に向かえば、途中何処かに立ち寄らなければ丸一日走れば到達出来ます。だけど、私はマラケシュ回りを強く推したいと思うのです。
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もし何処でもドアが開発されたら、それを喜ぶ旅人もいるでしょうが、私は醒めてしまうでしょう。移動こそが旅でもあります。時に敢えて空路を選ばず、時に敢えて徒歩で向かい道に迷う。そんなところに旅の面白さが隠れていたりするものです。
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幸いマラケシュから砂丘への二泊三日の道中で旅人が苦労する事はありません。それどころか日本では絶対味わえない非日常を感じられる事でしょう。
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緑豊かなカントリーサイド的風景は、アトラス山脈を越えると荒涼とした大地へ激変し、其処に点在するオアシスに築かれたカスバを巡りながらサハラ砂漠を、目指す。嘗てこの道を歩んだ隊商の足跡を辿った移動の旅は、億劫どころかこれからの自分の旅の方向性を示唆する重要な道ともなったのです。
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アイドベンハドゥを出て、再びサハラ砂漠を目指して東に進みます。道中にもカスバが点在します。人呼んでカスバ街道。モロッコ版東海道53次です。
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サハラ砂漠迄の中間に位置するワルザザードで一泊します。
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ワルザザードにもカスバが残っています。
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タウリルトのカスバです。
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現在では半分が学校として、半分が観光客向けに解放されています。
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学校として利用されているだけあって整備は行き届いています。
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内部は迷宮の様な造りです。
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カスバ内から空を見上げました。
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日干し煉瓦の建物は見た目暑そうに感じますが、通気性が良く、また気候が乾燥している事も手伝って、以外と過ごしやすいです。
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こんな歴史的建築で学べる学童が羨ましいです。
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今晩は前菜こそお皿に盛ってのサーブでしたが
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メインはやっぱりお約束のタジンです。
今回はどんな料理でしょう? -
広大なオアシスです。
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川がもたらす平野部の緑と水が殆ど無い山間部の土色のコントラストが眩しい程です。
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素敵なバルコニーで朝食を摂りました。
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リゾートみたいです。
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ワルザザードの街に別れを告げます。
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此方に見えるはカスバです。
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もっと時間があったなら、各駅停車で行きたかったなぁ。
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日干し煉瓦の建築は、人が暮らさなくなるとあっという間に劣化し、やがて土へと還ってしまいます。ある意味一番自然に優しい建材ですが、それ故に残されているのは貴重な事と言えます。
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左手の川沿いに広がるオアシスを眺めながらサハラ砂漠を目指します。
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エジプトのナイル同様、マリに於けるニジェール川同様、この名も知らぬ小川であっても、サハラ砂漠近郊にとっては命の源であって、賜物なのです。
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四代文明のある処に必ず大河があった理由が良く解りました。旅は世界最強の社会科の教師です。
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トドラ渓谷に到着しました。ロッククライミングの聖地でもある様です。
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この渓谷で一泊し、遂に明日はサハラ砂漠に踏み込みます。
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今日もまたまたタジン鍋が出てきました。蓋開けるのがワクワクします。
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う~ん。
美味しそう! -
トドラ渓谷を越すと最早オアシスはありません。目の前に広がるは荒野のみ。
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そして道も無くなります。写真には残せませんでしたが、蜃気楼を見ました。まるで遠くに湖がある様な…。自然とは時に残酷です。人が狂おしい程水を求める様なシチュエーションに、水の幻影を見せつけるなんて…。
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目前にオレンジ色の巨大な塊が大地を覆っています。遂にサハラ砂漠の西端に達しました。
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さて、今宵はサハラ砂漠の中で一夜を過ごします。
どんな一夜になるでしょう?
最後までご覧になってくださりありがとうございます。
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