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マリのトンブクトゥ、モーリタニアのシンゲッティ、アルジェリアのガルダイアと共に、歴史上も、そして私の旅先としても最重要だったトランスサハラ交易の拠点ガダミス。漸く出逢える日がやって来ました。トンブクトゥ訪問同様、到着前に一悶着ありましたが、きっとそれは旅の神様の演出でしょう。いざ、震える足でガダミス旧市街の門を潜ります。

マグレブを旅する Final Destination ガダミス旧市街

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2025/10/27 - 2025/10/27

4位(同エリア28件中)

旅行記グループ マグレブ(北西アフリカ)の旅

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さっくん

さっくんさん

マリのトンブクトゥ、モーリタニアのシンゲッティ、アルジェリアのガルダイアと共に、歴史上も、そして私の旅先としても最重要だったトランスサハラ交易の拠点ガダミス。漸く出逢える日がやって来ました。トンブクトゥ訪問同様、到着前に一悶着ありましたが、きっとそれは旅の神様の演出でしょう。いざ、震える足でガダミス旧市街の門を潜ります。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
ホテル
5.0
同行者
一人旅
交通手段
徒歩
航空会社
ターキッシュ エアラインズ
  •  遂にガダミスを訪問する日の朝になりました。行程上は、予定通りの日程ですが、それに至る迄、一悶着あったので、漸く辿り着けた想いで一杯です。

     遂にガダミスを訪問する日の朝になりました。行程上は、予定通りの日程ですが、それに至る迄、一悶着あったので、漸く辿り着けた想いで一杯です。

  •  リビアは経線との位置関係からでしょうか?7時半頃漸く日が昇ります。旅人にとっては、日照時間が少なくなるこの季節、この方が時間を有効に使えます。

     リビアは経線との位置関係からでしょうか?7時半頃漸く日が昇ります。旅人にとっては、日照時間が少なくなるこの季節、この方が時間を有効に使えます。

  •  ホテルの立派なファザードを、振り返ります。さて、いよいよです。

     ホテルの立派なファザードを、振り返ります。さて、いよいよです。

  •  旧市街直前で、ローカル・ガイドさんと落ち合いました。準備万端!いざ突入します。

     旧市街直前で、ローカル・ガイドさんと落ち合いました。準備万端!いざ突入します。

  • 誰もいない入り口の向こうに向かって、胸に手を当てて<br /><br />「アッサローム・アレイコム」<br /><br /> ガイドさんが不思議そうな眼。<br /><br />「私は、この街を訪れたく思って以来、15年待ち侘びたもので…。」

    誰もいない入り口の向こうに向かって、胸に手を当てて

    「アッサローム・アレイコム」

     ガイドさんが不思議そうな眼。

    「私は、この街を訪れたく思って以来、15年待ち侘びたもので…。」

  •  15年待ち侘びて、漸く対面が叶った待望の彼女、ガダミスは…。私の想像の遥か斜め上をいく、世界にまたと無い、世にも不思議な構造を持つ、とんでもない街でした。

     15年待ち侘びて、漸く対面が叶った待望の彼女、ガダミスは…。私の想像の遥か斜め上をいく、世界にまたと無い、世にも不思議な構造を持つ、とんでもない街でした。

  •  普通、街と言えば、道路が縦横に走り、それが区間を形成し、その区間に建物が立ち並ぶ。それが世界共通の街の構成の常識かと思います。

     普通、街と言えば、道路が縦横に走り、それが区間を形成し、その区間に建物が立ち並ぶ。それが世界共通の街の構成の常識かと思います。

  •  しかし、この街にはそれが当てはまりません。建物自体は個々の建物です。しかし、それが計画的に、まるで合体ロボの様に組み合わさり、やがて、ガダミス旧市街が巨大な一つの要塞の様に一体化しているのです。<br /><br /> 最早ガダミスに走る無数の路地は、一体化した街に飲み込まれ、道路と言うより地下道そのもので、更にイスラームの街特有の入り組んだ配置となっている為、少し奥に入ってしまうと、最早脱出は不可能にさえ感じます。

     しかし、この街にはそれが当てはまりません。建物自体は個々の建物です。しかし、それが計画的に、まるで合体ロボの様に組み合わさり、やがて、ガダミス旧市街が巨大な一つの要塞の様に一体化しているのです。

     最早ガダミスに走る無数の路地は、一体化した街に飲み込まれ、道路と言うより地下道そのもので、更にイスラームの街特有の入り組んだ配置となっている為、少し奥に入ってしまうと、最早脱出は不可能にさえ感じます。

  •  では、一体何が、この街をこの様な姿にさせたのでしょう?それはこの地方の暑さに他なりません。<br /><br /> 此処より北部、チュニジアのマトマタや、リビアのガリアンには洞窟住居が点在します。暑さを遮る為、人々は直径15m程度の竪穴を掘り、其処から無数の横穴を掘って、住環境としていました。その姿は、まるで蟻の巣を思い起こします。

     では、一体何が、この街をこの様な姿にさせたのでしょう?それはこの地方の暑さに他なりません。

     此処より北部、チュニジアのマトマタや、リビアのガリアンには洞窟住居が点在します。暑さを遮る為、人々は直径15m程度の竪穴を掘り、其処から無数の横穴を掘って、住環境としていました。その姿は、まるで蟻の巣を思い起こします。

  •  一方ガダミスはオアシスとして、多量の水脈が地下にある事から、穴を掘る事が難しかったのかもしれません。結果として、洞窟住居を蟻の巣に例えるとすれば、ガダミスは蟻が地上に巣を築く蟻塚の様な街と言えるでしょう。そしてその蟻塚には、酷暑の地を生き延びる、様々な工夫がなされていました。では、一緒に見ていく事にしましょう。

     一方ガダミスはオアシスとして、多量の水脈が地下にある事から、穴を掘る事が難しかったのかもしれません。結果として、洞窟住居を蟻の巣に例えるとすれば、ガダミスは蟻が地上に巣を築く蟻塚の様な街と言えるでしょう。そしてその蟻塚には、酷暑の地を生き延びる、様々な工夫がなされていました。では、一緒に見ていく事にしましょう。

  •  そして、のっけからガダミスを紹介する時に必ずと言って良いくらい使われる構図に出くわしました。紺碧の空に純白の白壁とオムラン・モスクの三角屋根が映えに映えます。

     そして、のっけからガダミスを紹介する時に必ずと言って良いくらい使われる構図に出くわしました。紺碧の空に純白の白壁とオムラン・モスクの三角屋根が映えに映えます。

  •  この、モスクへと続く白壁の小径の写真に騙されて、此処の近くのチュニジアにある旧市街の様に、白壁の路地が続く、旧市街かなと想像していたのですが、大きく覆される結果となりました。

    イチオシ

     この、モスクへと続く白壁の小径の写真に騙されて、此処の近くのチュニジアにある旧市街の様に、白壁の路地が続く、旧市街かなと想像していたのですが、大きく覆される結果となりました。

  •  青空の下に白壁の小径が続く光景は美しいですが、それは世界の幾つかの街で見る事が出来ます。ガダミスでも、モスクの周囲等特別な場所や、周囲を囲むオアシスの耕作地へと続く小径にて、そんな光景を楽しむ事が出来ます。しかし、ガダミスの核心とも言える、人々の居住空間は、更に驚きに満ちています。

     青空の下に白壁の小径が続く光景は美しいですが、それは世界の幾つかの街で見る事が出来ます。ガダミスでも、モスクの周囲等特別な場所や、周囲を囲むオアシスの耕作地へと続く小径にて、そんな光景を楽しむ事が出来ます。しかし、ガダミスの核心とも言える、人々の居住空間は、更に驚きに満ちています。

  •  ガダミスは世界無二の構造を持った街と言えます。先に述べた洞窟住居や、クサール群も、世界で此処にしか見られない特異な光景ではありますが、周囲に同様の様式を持った建築が見られます。一方、ガダミスの様な、蟻塚の様な構造を持った村落は、私はガダミスしか知りません。<br /><br /> 昔は存在しており、ガダミスだけが残ったのか?知らされる処に類似系の村落が存在するのか?ガダミスが唯一無二の存在なのか?いずれにしても、またと無い貴重な人々の暮らした遺構である事に違いありません。

     ガダミスは世界無二の構造を持った街と言えます。先に述べた洞窟住居や、クサール群も、世界で此処にしか見られない特異な光景ではありますが、周囲に同様の様式を持った建築が見られます。一方、ガダミスの様な、蟻塚の様な構造を持った村落は、私はガダミスしか知りません。

     昔は存在しており、ガダミスだけが残ったのか?知らされる処に類似系の村落が存在するのか?ガダミスが唯一無二の存在なのか?いずれにしても、またと無い貴重な人々の暮らした遺構である事に違いありません。

  •  ガダミスのモスクのミナレットを見上げます。マグレブのモスクのミナレットの特徴は角柱状のミナレットである事です。ミナレットと言うと細長い形状のものを思い浮かべる人も多いかと思いますが、原点は角柱状のものでした。

     ガダミスのモスクのミナレットを見上げます。マグレブのモスクのミナレットの特徴は角柱状のミナレットである事です。ミナレットと言うと細長い形状のものを思い浮かべる人も多いかと思いますが、原点は角柱状のものでした。

  •  イスラームは創成期、ビザンティン帝国やサーサーン朝と戦い、それに打ち勝った事で、彼等の文化を吸収、発展させた事で急激に版図を拡大しましたが、建築技術もその一つです。<br /><br /> モスクの礼拝を告げる為のミナレットも、ビザンティン帝国の教会の鐘楼をヒントに改良されました。だから初期のミナレットは角柱状のものなのです。

     イスラームは創成期、ビザンティン帝国やサーサーン朝と戦い、それに打ち勝った事で、彼等の文化を吸収、発展させた事で急激に版図を拡大しましたが、建築技術もその一つです。

     モスクの礼拝を告げる為のミナレットも、ビザンティン帝国の教会の鐘楼をヒントに改良されました。だから初期のミナレットは角柱状のものなのです。

  •  教会の鐘楼は字の如く鐘を乗せるものなので、時代が変遷しても、太さが変わる事はありませんが、ミナレットは人の詠唱で礼拝を告げる為、建築技術が向上するに連れ、長細い形状に変わりました。

     教会の鐘楼は字の如く鐘を乗せるものなので、時代が変遷しても、太さが変わる事はありませんが、ミナレットは人の詠唱で礼拝を告げる為、建築技術が向上するに連れ、長細い形状に変わりました。

  •  マグレブ地方では、技術の伝播の遅れや現地の建築資材の問題から、ミナレットは角柱状のまま進化を遂げ、現在では新しいモスクこそ細長いミナレットを持つモスクも造られる様になりましたが、基本的には、伝統的な角柱状のミナレットが主流です。(リビアではオスマン帝国統治の影響が強かった為、オスマン朝以降に建てられたモスクはオスマン様式の細いミナレットを持ちます。従ってトリポリ旧市街のモスクはオスマン様式のミナレットが殆どです。)

     マグレブ地方では、技術の伝播の遅れや現地の建築資材の問題から、ミナレットは角柱状のまま進化を遂げ、現在では新しいモスクこそ細長いミナレットを持つモスクも造られる様になりましたが、基本的には、伝統的な角柱状のミナレットが主流です。(リビアではオスマン帝国統治の影響が強かった為、オスマン朝以降に建てられたモスクはオスマン様式の細いミナレットを持ちます。従ってトリポリ旧市街のモスクはオスマン様式のミナレットが殆どです。)

  •  日干し煉瓦による建築は脆いので、時に倒壊の危険性を孕む為、通路に対面の家屋との間にアーチを渡し、互いに支え合う風景は、イスラームの旧市街の風景の印象的な一コマですが、ガダミスのそれは最早地下道に近いと言えます。補強と言う分にも申し分無いでしょう。

     日干し煉瓦による建築は脆いので、時に倒壊の危険性を孕む為、通路に対面の家屋との間にアーチを渡し、互いに支え合う風景は、イスラームの旧市街の風景の印象的な一コマですが、ガダミスのそれは最早地下道に近いと言えます。補強と言う分にも申し分無いでしょう。

  •  一旦ガダミスの周囲に出ました。旧市街の周囲はオアシスが広がり、耕作地となっています。現在でもデーツを栽培しており、食べさせて頂きました。<br /><br />https://youtube.com/shorts/mVDG8PJeMzw?si=16j9WBAwoghovv0M

     一旦ガダミスの周囲に出ました。旧市街の周囲はオアシスが広がり、耕作地となっています。現在でもデーツを栽培しており、食べさせて頂きました。

    https://youtube.com/shorts/mVDG8PJeMzw?si=16j9WBAwoghovv0M

  •  耕作地は土壁に挟まれた快適な散策路が続きます。途中椰子の木が土壁を貫き、再び貫いて元に戻っている不思議な光景に、出くわしました。

     耕作地は土壁に挟まれた快適な散策路が続きます。途中椰子の木が土壁を貫き、再び貫いて元に戻っている不思議な光景に、出くわしました。

  •  ガダミスはオアシスに生まれた街なので水源を持ち、水源は綿密に管理され、各耕作地に分配されました。分配方法は、日本の田畑に見られるものと同様のものですが、場所が水が貴重過ぎる環境下の街なので、その平等性には細心の注意が払われていました。

     ガダミスはオアシスに生まれた街なので水源を持ち、水源は綿密に管理され、各耕作地に分配されました。分配方法は、日本の田畑に見られるものと同様のものですが、場所が水が貴重過ぎる環境下の街なので、その平等性には細心の注意が払われていました。

  •  旧市街の保存だけに留まらず、旧市街が嘗てオアシスを利用した農業が営まれる事で、成り立っていました。その構造が今に残されている事は、非常に貴重な例だと思います。

     旧市街の保存だけに留まらず、旧市街が嘗てオアシスを利用した農業が営まれる事で、成り立っていました。その構造が今に残されている事は、非常に貴重な例だと思います。

  •  耕作部から旧市街の住宅部を見上げます。建築がほぼ四層の階層の建築から成り立っている事が解ります。此処の住宅が組み合わさる事で、まるで一つの強大な城郭の様にも感じます。

     耕作部から旧市街の住宅部を見上げます。建築がほぼ四層の階層の建築から成り立っている事が解ります。此処の住宅が組み合わさる事で、まるで一つの強大な城郭の様にも感じます。

  •  此処の家が組み合わさり、一つの巨大な要塞の様な体を為す。それは個々の家々の倒壊を防ぐ手段であったと共に、外観に於いては外敵に対しての防衛手段ともなりました。見た目だけでも、難攻不落な外観です。

     此処の家が組み合わさり、一つの巨大な要塞の様な体を為す。それは個々の家々の倒壊を防ぐ手段であったと共に、外観に於いては外敵に対しての防衛手段ともなりました。見た目だけでも、難攻不落な外観です。

  •  地下道の様な通路には個々の家の玄関がありますが、ハッジ(マッカの巡礼)を終えた家には独特のデザインが施され、一目瞭然となります。

     地下道の様な通路には個々の家の玄関がありますが、ハッジ(マッカの巡礼)を終えた家には独特のデザインが施され、一目瞭然となります。

  •  地下道状態となった路地には、一定間隔に吹き抜けが設けられており、採光の役割を果たしています。<br /><br />https://youtube.com/shorts/sj7DIGz2aY4?si=vRFkBqPk_BJbT5bm

     地下道状態となった路地には、一定間隔に吹き抜けが設けられており、採光の役割を果たしています。

    https://youtube.com/shorts/sj7DIGz2aY4?si=vRFkBqPk_BJbT5bm

  •  しかし、この吹き抜けは、採光以外にも、重要な役割があるのです。吹き抜けの上部は、四辺の内、1~2辺が高く、他が低く設計されています。こうする時により、屋根の上を吹き抜ける風が高い壁に当たり、吹き抜けに引き込まれ、地下道に冷たく新鮮な空気が導かれます。<br /><br /> 一方地下道に滞留した澱んだ空気は他の吹き抜けから押し出されます。また、吹き抜けの高い壁の部分は、吹き抜け毎に微妙に方角を違える事で、如何なる方角から風が吹いたとしても、地下道にフレッシュな空気を送り込む事が出来ます。

     しかし、この吹き抜けは、採光以外にも、重要な役割があるのです。吹き抜けの上部は、四辺の内、1~2辺が高く、他が低く設計されています。こうする時により、屋根の上を吹き抜ける風が高い壁に当たり、吹き抜けに引き込まれ、地下道に冷たく新鮮な空気が導かれます。

     一方地下道に滞留した澱んだ空気は他の吹き抜けから押し出されます。また、吹き抜けの高い壁の部分は、吹き抜け毎に微妙に方角を違える事で、如何なる方角から風が吹いたとしても、地下道にフレッシュな空気を送り込む事が出来ます。

  •  此方は、吹き抜けを上部から見たものです。こうした古来のエアコンディショニング技術は、同じく酷暑のアラビア海沿岸部のウインド・タワー等にも見受けられますが、旧市街全体をエアコンディショニングしてしまう構造は初めて見ました。

     此方は、吹き抜けを上部から見たものです。こうした古来のエアコンディショニング技術は、同じく酷暑のアラビア海沿岸部のウインド・タワー等にも見受けられますが、旧市街全体をエアコンディショニングしてしまう構造は初めて見ました。

  •  それでは、個人宅を見学させて頂きます。

     それでは、個人宅を見学させて頂きます。

  •  屋内には、通路の特別な場所にも施されていた朱色の紋様がギッシリと描かれておりカラフルです。

     屋内には、通路の特別な場所にも施されていた朱色の紋様がギッシリと描かれておりカラフルです。

  •  部屋の上部には無数の銅製の皿が飾られています。電気の無かった往時、ランプの灯りを銅が反射する事により部屋を照らしたからだそうです。おまじない的役割もあったかもしれません。

    イチオシ

     部屋の上部には無数の銅製の皿が飾られています。電気の無かった往時、ランプの灯りを銅が反射する事により部屋を照らしたからだそうです。おまじない的役割もあったかもしれません。

  •  部屋の壁には所々に小物を置く為の窪みが設けられ、其々の窪みにはとんがり屋根の独特の装飾が施されています。実際の個々の住宅の四辺にも三角形のとんがり装飾が施されますが、この様式はガダミスに留まらず、マグレブ全体に見る事が出来ます。

     部屋の壁には所々に小物を置く為の窪みが設けられ、其々の窪みにはとんがり屋根の独特の装飾が施されています。実際の個々の住宅の四辺にも三角形のとんがり装飾が施されますが、この様式はガダミスに留まらず、マグレブ全体に見る事が出来ます。

  •  屋上に上がりました。奥に見えるのがオアシスであり耕作地です。結構大規模な村落である事が解りますが、この建築群が全て繋がり、一つの大きな蟻塚状になっているのです。つまり、この建築群の屋上は全て歩いていける様に出来ていると言う事です。<br /><br />https://youtube.com/shorts/_vm0hSm9ysM?si=S1pLUoapKqQyve-t

     屋上に上がりました。奥に見えるのがオアシスであり耕作地です。結構大規模な村落である事が解りますが、この建築群が全て繋がり、一つの大きな蟻塚状になっているのです。つまり、この建築群の屋上は全て歩いていける様に出来ていると言う事です。

    https://youtube.com/shorts/_vm0hSm9ysM?si=S1pLUoapKqQyve-t

  •  そして、本来此処は男子禁制の場所でもあります。イスラームは男女を明確に分ける風習がありますが、マグレブ地方、特に内陸部はより厳格に感じます。ガダミスに至っては、街を歩く移動手段を明確に分離しているのです。つまり、女性は屋上を歩き、先程紹介した地下道を男性が歩くと言う構造なのです。

     そして、本来此処は男子禁制の場所でもあります。イスラームは男女を明確に分ける風習がありますが、マグレブ地方、特に内陸部はより厳格に感じます。ガダミスに至っては、街を歩く移動手段を明確に分離しているのです。つまり、女性は屋上を歩き、先程紹介した地下道を男性が歩くと言う構造なのです。

  •  女性が屋上を歩く。この設定が、ガダミスをより独特な世界観を作り上げています。イスラームでは、イエメンの高層住宅を始めとして、高層住宅に家族が暮らすと、上層を男子が、下層を女性がと棲み分けるのが一般的です。しかし、上記の特性上ガダミスでは、それが逆転して、女性が上層に暮らし、男性が下層に暮らしています。<br /><br /> これは、敵襲を想定した場合、男性陣が下層に暮らしていた方が、迅速に対応出来る筈なので、返って此方の方が理に適っているとも感じます。

     女性が屋上を歩く。この設定が、ガダミスをより独特な世界観を作り上げています。イスラームでは、イエメンの高層住宅を始めとして、高層住宅に家族が暮らすと、上層を男子が、下層を女性がと棲み分けるのが一般的です。しかし、上記の特性上ガダミスでは、それが逆転して、女性が上層に暮らし、男性が下層に暮らしています。

     これは、敵襲を想定した場合、男性陣が下層に暮らしていた方が、迅速に対応出来る筈なので、返って此方の方が理に適っているとも感じます。

  •  これによって、更に家の構造は変わってきます。女性の役割に重要な家事、即ち台所が、最上階に位置します。水利等に不便は伴いますが、この様な連結している住宅にとって一番怖いのが火事です。下層から出火してしまうと全体が焼失してしまい兼ねませんが、上層なら最小限の被害で済みます。また、酷暑のこの地方でネックとなる料理による熱を帯びた煙も、台所が最上階にあればいち早く排出する事が出来ます。

     これによって、更に家の構造は変わってきます。女性の役割に重要な家事、即ち台所が、最上階に位置します。水利等に不便は伴いますが、この様な連結している住宅にとって一番怖いのが火事です。下層から出火してしまうと全体が焼失してしまい兼ねませんが、上層なら最小限の被害で済みます。また、酷暑のこの地方でネックとなる料理による熱を帯びた煙も、台所が最上階にあればいち早く排出する事が出来ます。

  •  此方がその台所で、屋上の直下に位地します。水の汲み上げは難儀した事と思いますが、火事の危険性を考えれば、最上階に台所を設けるのは理に叶っているとも言えます。女性は屋上でしか動けないので、自然男性が水の汲み上げ役と言う事になり、その部分でも理に叶っているかとも思います。

     此方がその台所で、屋上の直下に位地します。水の汲み上げは難儀した事と思いますが、火事の危険性を考えれば、最上階に台所を設けるのは理に叶っているとも言えます。女性は屋上でしか動けないので、自然男性が水の汲み上げ役と言う事になり、その部分でも理に叶っているかとも思います。

  •  それにしても不思議な構造の街です。御主人は普通の街と同じ様に、玄関から「こんにちは!」なのですが、奥さまは屋上から「こんにちは!」なのでしょうか?

     それにしても不思議な構造の街です。御主人は普通の街と同じ様に、玄関から「こんにちは!」なのですが、奥さまは屋上から「こんにちは!」なのでしょうか?

  •  階下に降りてきました。建築は基本日干し煉瓦で建てられますが、床部分は建物の重量を軽減する為、椰子の木等の木片を並べて造られます。建物には食料を保管するスペースが重要ですが、ネズミや虫等に食べられない様に、階段の下など、建材が木の部分では無い、且つ頑丈な部分の空間を利用して設けられます。

     階下に降りてきました。建築は基本日干し煉瓦で建てられますが、床部分は建物の重量を軽減する為、椰子の木等の木片を並べて造られます。建物には食料を保管するスペースが重要ですが、ネズミや虫等に食べられない様に、階段の下など、建材が木の部分では無い、且つ頑丈な部分の空間を利用して設けられます。

  •  上の写真と共に、この写真の壁の向こう側も食糧庫になっている部分です。狭いながら、建築のデッドスペースを有効に活用しています。

     上の写真と共に、この写真の壁の向こう側も食糧庫になっている部分です。狭いながら、建築のデッドスペースを有効に活用しています。

  •  現地の民族衣装を着用させて頂きました。着たまま帰ろうかと思いました。

     現地の民族衣装を着用させて頂きました。着たまま帰ろうかと思いました。

  •  モスク等、特別な場所が近づくと、漆喰に塗られた部分が殆どになり、更に屋内の装飾にも利用されていた、朱色を使った紋様が施されています。

     モスク等、特別な場所が近づくと、漆喰に塗られた部分が殆どになり、更に屋内の装飾にも利用されていた、朱色を使った紋様が施されています。

  •  此処は取り分け念入りに装飾が施されています。

     此処は取り分け念入りに装飾が施されています。

  •  街中に、ペイントとして装飾が施されるのは、イスラームの街では、珍しいケースだと思います。

     街中に、ペイントとして装飾が施されるのは、イスラームの街では、珍しいケースだと思います。

  •  まるで地下道の様な通路に、定間隔で設けられた吹き抜けから指す光が、芸術的空間を、作り上げています。

     まるで地下道の様な通路に、定間隔で設けられた吹き抜けから指す光が、芸術的空間を、作り上げています。

  •  メインとなる通りには定間隔に吹き抜けがあるので昼間なら問題無く歩けますが、脇道に入ると、一部手探りじゃないと進めない、正に洞窟状の部分もあります。

     メインとなる通りには定間隔に吹き抜けがあるので昼間なら問題無く歩けますが、脇道に入ると、一部手探りじゃないと進めない、正に洞窟状の部分もあります。

  •  吹き抜けを見上げれば、紺碧の空。外界と内部では、雲泥の温度差があり、この構造の恩恵で、ガダミスの人々は日中での活動が可能になります。

     吹き抜けを見上げれば、紺碧の空。外界と内部では、雲泥の温度差があり、この構造の恩恵で、ガダミスの人々は日中での活動が可能になります。

  •  ガダミスで初めてクルアン以外の部門を教える学校となったタイラワーン学校です。ガダミスを象徴する建築の一つとして、リビア・ディナールの紙幣にも描かれています。トルコ領事館として利用された時期もありました。

     ガダミスで初めてクルアン以外の部門を教える学校となったタイラワーン学校です。ガダミスを象徴する建築の一つとして、リビア・ディナールの紙幣にも描かれています。トルコ領事館として利用された時期もありました。

  •  対面には三段のベンチが設けられていました。下段には絨毯が敷かれていたので、最近もベンチとして活躍しているのでしょう。

     対面には三段のベンチが設けられていました。下段には絨毯が敷かれていたので、最近もベンチとして活躍しているのでしょう。

  •  流石ガダミスを象徴する建築なだけあり、モスクではありませんが、周囲は白漆喰で厳重に塗り固められています。

     流石ガダミスを象徴する建築なだけあり、モスクではありませんが、周囲は白漆喰で厳重に塗り固められています。

  •  学校は、幾つもの小径が交わる交差路に位地しています。学校を中心に、幾つもの漆喰で白く塗られた小径が、其々の方向に延びていきます。

     学校は、幾つもの小径が交わる交差路に位地しています。学校を中心に、幾つもの漆喰で白く塗られた小径が、其々の方向に延びていきます。

  •  再び小径に沿って散策を続けます。旧市街外の耕作地に張り巡らされた農道に、しっかり土壁で通路が設けられているのが素敵です。

     再び小径に沿って散策を続けます。旧市街外の耕作地に張り巡らされた農道に、しっかり土壁で通路が設けられているのが素敵です。

  •  建築群から耕作地に出るスペースに設けられた喫茶店で、チャイを頂き一服します。過去との関連は解りませんが、当時だってお茶ぐらい嗜んだと思われます。往時の彼等の気持ちになってお茶を嗜む事にしましょう。

     建築群から耕作地に出るスペースに設けられた喫茶店で、チャイを頂き一服します。過去との関連は解りませんが、当時だってお茶ぐらい嗜んだと思われます。往時の彼等の気持ちになってお茶を嗜む事にしましょう。

  •   舞台の様な段差が設けられていました。演説用?歌唱用でしょうか?建物の角には、必ずとんがり上の装飾が施されます。ガダミスのみならずマグレブ全般で見られる装飾ですが、記憶が確かならば、魔除けの様なおまじないの意味が籠められていた筈です。

      舞台の様な段差が設けられていました。演説用?歌唱用でしょうか?建物の角には、必ずとんがり上の装飾が施されます。ガダミスのみならずマグレブ全般で見られる装飾ですが、記憶が確かならば、魔除けの様なおまじないの意味が籠められていた筈です。

  •  土壁に漆喰の白が、椰子の緑と青空に良く馴染んでいます。自然の美しさを感じます。

     土壁に漆喰の白が、椰子の緑と青空に良く馴染んでいます。自然の美しさを感じます。

  •  奥では御主人が私のお茶を入れてくれています。やかんを高い位置からゆっくり上下に振りながらお茶を注ぐのがマグレブ風です。紅茶も飲みますが、緑茶もふんだんに使われます。

     奥では御主人が私のお茶を入れてくれています。やかんを高い位置からゆっくり上下に振りながらお茶を注ぐのがマグレブ風です。紅茶も飲みますが、緑茶もふんだんに使われます。

  •  調理器具が数珠繋ぎに吊るされていました。絵になります。

    イチオシ

     調理器具が数珠繋ぎに吊るされていました。絵になります。

  •  此方が嗜んだお茶です。出来る事ならグラスに注いで欲しかった。私はチャイはグラス、珈琲は陶器派です。(どこぞの流行の店の様に珈琲を紙コップで飲んで何処が美味いのか?と憤慨するタイプ(笑))<br /><br /> 特徴はナッツが沢山入っている事です。この地方はミントティーにする事も多いですが、リビアでは数回ありましたが、ミントを入れない確率の方が高かったです。ナッツは美味しいのですが、余り多く入っていると、お茶が先に無くなってしまい、ナッツを食べるとまた喉が渇いて、もう一つ頼むと、またナッツが沢山入っていて…の無限ループに陥ります。う~ん、この商売上手!

     此方が嗜んだお茶です。出来る事ならグラスに注いで欲しかった。私はチャイはグラス、珈琲は陶器派です。(どこぞの流行の店の様に珈琲を紙コップで飲んで何処が美味いのか?と憤慨するタイプ(笑))

     特徴はナッツが沢山入っている事です。この地方はミントティーにする事も多いですが、リビアでは数回ありましたが、ミントを入れない確率の方が高かったです。ナッツは美味しいのですが、余り多く入っていると、お茶が先に無くなってしまい、ナッツを食べるとまた喉が渇いて、もう一つ頼むと、またナッツが沢山入っていて…の無限ループに陥ります。う~ん、この商売上手!

  •  さて此処で旧市街の保存と修復について想いを巡らせたいと思います。日本も貧困化してインバウンド頼みの経済状態ですが、貧しい国々にとって観光収入は多いな助けになる場合があります。すると時に「こりゃ、やり過ぎだよ!」と感じる、過剰な演出が施されてしまうケースが多々あります。<br /><br /> 現在では法規制が整いましたが、日本も一時期は酷かったものです。天守閣が存在しない城に空想の天守閣を建ててしまったり、デザインを偽造したり、やりたい放題の状態でした。

     さて此処で旧市街の保存と修復について想いを巡らせたいと思います。日本も貧困化してインバウンド頼みの経済状態ですが、貧しい国々にとって観光収入は多いな助けになる場合があります。すると時に「こりゃ、やり過ぎだよ!」と感じる、過剰な演出が施されてしまうケースが多々あります。

     現在では法規制が整いましたが、日本も一時期は酷かったものです。天守閣が存在しない城に空想の天守閣を建ててしまったり、デザインを偽造したり、やりたい放題の状態でした。

  •  日干し煉瓦の建築はメンテナンスを行わなければ、いずれ土に還ってしまうので、メンテナンスが不可欠です。日本の現代建築でさえ最長20年に一回は修繕を行わないと防水機能が失われ、建物が使い物にならなくなります。人が暮らす前提の旧市街の遺産にとって修復は必要不可欠なものです。<br /><br /> 普通の街の大規模修繕なら、ピッカピカに仕上げないと叱られますが、これが歴史遺産だと、そうもいきません。逆に文句を言われる羽目になるので、匙加減が難しいのです。<br /><br /> だから、修復はある程度先を見越して行われます。例えば姫路城の大規模修繕が数年前完了しましたが、完了直後の余りにもの白さにいろいろ意見が飛び交いました。でも、それは時間経過による変化も視野に入れての白さだと私は感じています。どんなに白く築いても、現在の大気状況であれば、やがて白は様々な汚れが付着して、時期に普段通りの姫路城になっていくのです。それも考慮に入れての白さなのです。<br /><br /> ですから、もし撮影したい被写体を、時間経過を伴った歴史観が欲しく思っているのなら、その被写体の修復直後には訪れない、少なくとも数年置いてから撮影しに行く方が、満足のいく結果になる事もあります。勿論訪れて見たら修復中だったと言うのが一番残念なパターンですが…。どうしても写したい案件があるなら、その案件の修復情報にアンテナを張っていた方が間違いありません。

     日干し煉瓦の建築はメンテナンスを行わなければ、いずれ土に還ってしまうので、メンテナンスが不可欠です。日本の現代建築でさえ最長20年に一回は修繕を行わないと防水機能が失われ、建物が使い物にならなくなります。人が暮らす前提の旧市街の遺産にとって修復は必要不可欠なものです。

     普通の街の大規模修繕なら、ピッカピカに仕上げないと叱られますが、これが歴史遺産だと、そうもいきません。逆に文句を言われる羽目になるので、匙加減が難しいのです。

     だから、修復はある程度先を見越して行われます。例えば姫路城の大規模修繕が数年前完了しましたが、完了直後の余りにもの白さにいろいろ意見が飛び交いました。でも、それは時間経過による変化も視野に入れての白さだと私は感じています。どんなに白く築いても、現在の大気状況であれば、やがて白は様々な汚れが付着して、時期に普段通りの姫路城になっていくのです。それも考慮に入れての白さなのです。

     ですから、もし撮影したい被写体を、時間経過を伴った歴史観が欲しく思っているのなら、その被写体の修復直後には訪れない、少なくとも数年置いてから撮影しに行く方が、満足のいく結果になる事もあります。勿論訪れて見たら修復中だったと言うのが一番残念なパターンですが…。どうしても写したい案件があるなら、その案件の修復情報にアンテナを張っていた方が間違いありません。

  •  一方、過剰な演出も困りものですが、時に歴史的な遺産を保護する為、新市街を隣接させ、旧市街から住民を移住させてしまうケースも多々見受けられます。<br /> 確かに滅茶苦茶なリニューアルされてしまうよりは良いのかもしれませんが、街と言うものは人の営みがあってからこそのものであり、人が其処に暮さなくなれば、其処は最早街では無く、遺跡となってしまいます。<br /><br /> また、建築のメンテナンスと言う部分に於いても、人が其処に暮している方が、適切に行われると感じます。旅人も、街の建築のみに魅力を感じている訳では無く、其処に人の息吹があってこそ、その街の魅力が倍増すると私は思います。

     一方、過剰な演出も困りものですが、時に歴史的な遺産を保護する為、新市街を隣接させ、旧市街から住民を移住させてしまうケースも多々見受けられます。
     確かに滅茶苦茶なリニューアルされてしまうよりは良いのかもしれませんが、街と言うものは人の営みがあってからこそのものであり、人が其処に暮さなくなれば、其処は最早街では無く、遺跡となってしまいます。

     また、建築のメンテナンスと言う部分に於いても、人が其処に暮している方が、適切に行われると感じます。旅人も、街の建築のみに魅力を感じている訳では無く、其処に人の息吹があってこそ、その街の魅力が倍増すると私は思います。

  •  それをふまえて、此処ガダミスの状況は?と言えば、この街もまた、旧市街に隣接して新市街が建設され、旧市街に定住する住民はいなくなりました。ガダミスの場合、構造上車は村落内に入れませんし、近代的な生活を送る為に致し方無かった部分も多いでしょう。(決定的にした要因はオアシスの枯渇です。)<br /><br /> 新市街は、私が泊まっているホテルを含め、旧市街に隣接し、建築の屋上四辺に伝統的な装飾を施し、ガダミスである事を象徴はしていますが、街の構造は地方の街と変わらないごく一般的な構成です。

     それをふまえて、此処ガダミスの状況は?と言えば、この街もまた、旧市街に隣接して新市街が建設され、旧市街に定住する住民はいなくなりました。ガダミスの場合、構造上車は村落内に入れませんし、近代的な生活を送る為に致し方無かった部分も多いでしょう。(決定的にした要因はオアシスの枯渇です。)

     新市街は、私が泊まっているホテルを含め、旧市街に隣接し、建築の屋上四辺に伝統的な装飾を施し、ガダミスである事を象徴はしていますが、街の構造は地方の街と変わらないごく一般的な構成です。

  •  しかし、此処ガダミスに於いては、国も想定しなかったであろう現象が起きています。人々は酷暑の夏になると、新市街から元暮していた旧市街の自宅に避暑地として滞在すると言うのです。私は此処を訪れる迄、その情報を半信半疑でいました。何故なら、新市街の家にはエアコンも完備されていますし、車にも乗れる訳ですから。

     しかし、此処ガダミスに於いては、国も想定しなかったであろう現象が起きています。人々は酷暑の夏になると、新市街から元暮していた旧市街の自宅に避暑地として滞在すると言うのです。私は此処を訪れる迄、その情報を半信半疑でいました。何故なら、新市街の家にはエアコンも完備されていますし、車にも乗れる訳ですから。

  •  しかし、ガダミスを実際訪れて、彼等の気持ちに合点がいきました。確かに家に引きこもっている、車に乗っている間は快適ですが、日中ともなると家の屋外に出れば10月下旬とも言え辟易する様な暑さ。とても真夏には外に出る気さえ失う事でしょう。しかし蟻塚状の旧市街の地下道の中なら、彼等は快適に地下通路を歩き周り、モスク傍に設けられたベンチで、ご近所さんや友人と談笑出来るのです。<br /><br /> 現代技術より、よっぽど過去の知恵の方が、この地方に即した快適な空間を創造していたのです。数約年前の酷暑のサハラ砂漠の地に、電気を一切使う事無く、現代の、空調が行き届いた巨大施設に匹敵する巨大な空間を造り上げてしまった事に、畏怖さえ感じる程です。

     しかし、ガダミスを実際訪れて、彼等の気持ちに合点がいきました。確かに家に引きこもっている、車に乗っている間は快適ですが、日中ともなると家の屋外に出れば10月下旬とも言え辟易する様な暑さ。とても真夏には外に出る気さえ失う事でしょう。しかし蟻塚状の旧市街の地下道の中なら、彼等は快適に地下通路を歩き周り、モスク傍に設けられたベンチで、ご近所さんや友人と談笑出来るのです。

     現代技術より、よっぽど過去の知恵の方が、この地方に即した快適な空間を創造していたのです。数約年前の酷暑のサハラ砂漠の地に、電気を一切使う事無く、現代の、空調が行き届いた巨大施設に匹敵する巨大な空間を造り上げてしまった事に、畏怖さえ感じる程です。

  •  そんな訳で、住民はリノベーションするなら政府から与えられた新市街の住居に。でも、避暑地として利用するから旧市街の自宅もきっちり保全と。政府の全く意図しなかった側面で、ある意味理想的な遺産管理が行われているとも言えると思います。

     そんな訳で、住民はリノベーションするなら政府から与えられた新市街の住居に。でも、避暑地として利用するから旧市街の自宅もきっちり保全と。政府の全く意図しなかった側面で、ある意味理想的な遺産管理が行われているとも言えると思います。

  •  私が訪れた十月下旬でも、暑くなる日中には数多くの住民達が旧市街に戻ってきていました。住民達が移住し、観光客が私一人の筈の旧市街の路地裏に、多くの話し声が聞こえてきました。<br /><br /> 路地裏の角を曲がればベンチに腰掛け談笑する住民達と出くわしました。一瞬驚いた様な老人達の眼。しかし、国籍は違えどイスラーム服に身を包んだ私が、胸に手を当て「アッサローム・アレイコム!」と挨拶を交わせば、一瞬にして老人達の眼は笑顔に変わり、其々胸に手を当てたり、手を振ったり私を歓迎してくれました。

     私が訪れた十月下旬でも、暑くなる日中には数多くの住民達が旧市街に戻ってきていました。住民達が移住し、観光客が私一人の筈の旧市街の路地裏に、多くの話し声が聞こえてきました。

     路地裏の角を曲がればベンチに腰掛け談笑する住民達と出くわしました。一瞬驚いた様な老人達の眼。しかし、国籍は違えどイスラーム服に身を包んだ私が、胸に手を当て「アッサローム・アレイコム!」と挨拶を交わせば、一瞬にして老人達の眼は笑顔に変わり、其々胸に手を当てたり、手を振ったり私を歓迎してくれました。

  •  エアコンに車、現代的な最新設備を与えたとしても、それだけで人の心の隙間を埋められる訳ではありません。人々との繋がり、絆、そうしたものが分かち合える空間が人々にとって欠かせないものなのでしょう。人々はそれを求めて、態々旧市街に戻ってくるのです。<br /><br /> 現代技術で築いた街より、この地方の酷暑を何とかして生き延びるべく編み出された蟻塚状の他に類を見ない古来の住居群の方が、よっぽどこの地方の特性を理解していたのかもしれません。ガダミスが地元の人々に愛されている事が伝わってきて、本当に嬉しかった。感動した。

     エアコンに車、現代的な最新設備を与えたとしても、それだけで人の心の隙間を埋められる訳ではありません。人々との繋がり、絆、そうしたものが分かち合える空間が人々にとって欠かせないものなのでしょう。人々はそれを求めて、態々旧市街に戻ってくるのです。

     現代技術で築いた街より、この地方の酷暑を何とかして生き延びるべく編み出された蟻塚状の他に類を見ない古来の住居群の方が、よっぽどこの地方の特性を理解していたのかもしれません。ガダミスが地元の人々に愛されている事が伝わってきて、本当に嬉しかった。感動した。

  •  ガダミスの命と言って良い貯水池です。残念ながら古来のものは枯れてしまいましたが、新しく整備されました。

     ガダミスの命と言って良い貯水池です。残念ながら古来のものは枯れてしまいましたが、新しく整備されました。

  •  ガダミスにオアシスが存在し、湧き水が湧いたからこそ、此処より始まるサハラ砂漠を越さねばならない、トランスサハラ交易に挑むキャラバンが、此処で最後の補給を行い、旅立っていった。そして、そんなキャラバンが落としていく莫大な富で栄えた。そんなガダミスの繁栄の源がこの泉(正確に言うと先代)なのです。

     ガダミスにオアシスが存在し、湧き水が湧いたからこそ、此処より始まるサハラ砂漠を越さねばならない、トランスサハラ交易に挑むキャラバンが、此処で最後の補給を行い、旅立っていった。そして、そんなキャラバンが落としていく莫大な富で栄えた。そんなガダミスの繁栄の源がこの泉(正確に言うと先代)なのです。

  •  こうした極端に渇いた地域では、人が暮らせるのはオアシスのみです。一見平原に見え、アクセスは容易に見えますが、アフガニスタンの峠が、物理的に人々の文化を遮断していた様に、この過酷な環境が、オアシス毎に、人々の文化を閉じ込めていたと言えます。<br /><br /> ですから峠に暮らすアフガニスタンや、砂漠に暮らすリビアの人々は、そうした環境に閉じ込められ、独自の文化発展を遂げてきた事により、其処に暮す人々の結束はより強くなり自治力が非常に発達する一方、国と言うより大きな組織を築く時、その独自性が大きなネックとなり、国としての一体性を築く事の障害の一因ともなっていると言えます。<br /><br />

     こうした極端に渇いた地域では、人が暮らせるのはオアシスのみです。一見平原に見え、アクセスは容易に見えますが、アフガニスタンの峠が、物理的に人々の文化を遮断していた様に、この過酷な環境が、オアシス毎に、人々の文化を閉じ込めていたと言えます。

     ですから峠に暮らすアフガニスタンや、砂漠に暮らすリビアの人々は、そうした環境に閉じ込められ、独自の文化発展を遂げてきた事により、其処に暮す人々の結束はより強くなり自治力が非常に発達する一方、国と言うより大きな組織を築く時、その独自性が大きなネックとなり、国としての一体性を築く事の障害の一因ともなっていると言えます。

  •  泉を有する側の門は、一際広く、豪勢なものでした。往時は此方が正門だったのかもしれません。

     泉を有する側の門は、一際広く、豪勢なものでした。往時は此方が正門だったのかもしれません。

  •  正門から外界を眺めました。嘗て、此処からトランスサハラ交易が始まりました。此処から、トンブクトゥへの旅が始まりました。その道は現在でもトンブクトゥへ繋がっています。但し、トゥワレグ族でしか解らない、道標も無いサハラ砂漠の道ですが。

     正門から外界を眺めました。嘗て、此処からトランスサハラ交易が始まりました。此処から、トンブクトゥへの旅が始まりました。その道は現在でもトンブクトゥへ繋がっています。但し、トゥワレグ族でしか解らない、道標も無いサハラ砂漠の道ですが。

  •  旧市街に向けて歩みを進めます。踵を返して

     旧市街に向けて歩みを進めます。踵を返して

  •  美し過ぎる、椰子に囲まれた旧市街に繋がる小径を歩きます。

     美し過ぎる、椰子に囲まれた旧市街に繋がる小径を歩きます。

  •  一際漆喰で白く塗り固められたスペースに入りました。恐らく近くにモスクがあるものと思われます。

     一際漆喰で白く塗り固められたスペースに入りました。恐らく近くにモスクがあるものと思われます。

  •  通路も普通の通りとは違うデザインが施されています。

     通路も普通の通りとは違うデザインが施されています。

  •  密集した民家群の中に青空が広がる空間が!間違いなくモスク前の広場でしょう。

     密集した民家群の中に青空が広がる空間が!間違いなくモスク前の広場でしょう。

  •  ビンゴでした。モスクに到達しました。

     ビンゴでした。モスクに到達しました。

  •  朱色で描かれる独特の装飾も施されています。周囲は座れる様に段差が設けられており、礼拝が済んだ人々が談笑できるスペースとなっています。

     朱色で描かれる独特の装飾も施されています。周囲は座れる様に段差が設けられており、礼拝が済んだ人々が談笑できるスペースとなっています。

  •  私が撮影に夢中になっていると、ガイドさん達の談笑のスペースになっていました。<br /><br />「あのぅ…。此処も写したいのですが…。」<br /><br />談笑を打ち破ってしまう私。…ごめんなさい!。

     私が撮影に夢中になっていると、ガイドさん達の談笑のスペースになっていました。

    「あのぅ…。此処も写したいのですが…。」

    談笑を打ち破ってしまう私。…ごめんなさい!。

  •  狭い広場から大小二つのミナレットを見上げます。紺碧の空に純白のミナレットが眩しいです。

     狭い広場から大小二つのミナレットを見上げます。紺碧の空に純白のミナレットが眩しいです。

  •  紺碧の空に聳える純白のミナレットが美し過ぎて右から…。

    イチオシ

     紺碧の空に聳える純白のミナレットが美し過ぎて右から…。

  •  そして左から…。

     そして左から…。

  •  礼拝を終えたゴッツイオジサン達が、こんな可愛らしい装飾を施されたベンチに座って談笑しているシーンを思い浮べると微笑ましくなります。

     礼拝を終えたゴッツイオジサン達が、こんな可愛らしい装飾を施されたベンチに座って談笑しているシーンを思い浮べると微笑ましくなります。

  •  白漆喰で塗り固められた通路を辿ります。定間隔に設けられた意匠を凝らした門構えも素敵です。

     白漆喰で塗り固められた通路を辿ります。定間隔に設けられた意匠を凝らした門構えも素敵です。

  •  モスクの周囲に近づくと、この門構えが続きます。日本で言えば、鳥居の様な存在なのでしょうか?

     モスクの周囲に近づくと、この門構えが続きます。日本で言えば、鳥居の様な存在なのでしょうか?

  •  如何にも手造りな、決して機械には出来ない曲線が、有機的柔らかさを醸し出しています。

     如何にも手造りな、決して機械には出来ない曲線が、有機的柔らかさを醸し出しています。

  •  少し離れると、門構えが一般的なものに変わります。吹き抜けの上部には、土壁が除きます。

     少し離れると、門構えが一般的なものに変わります。吹き抜けの上部には、土壁が除きます。

  •  地下道の様な通路に圧迫感を感じ始める絶妙なタイミングで、ガイドさんは私を建物外へと導いてくれます。

     地下道の様な通路に圧迫感を感じ始める絶妙なタイミングで、ガイドさんは私を建物外へと導いてくれます。

  •  建築本来の土色、漆喰の白、椰子の緑に紺碧の空。本当に美しい世界観です。

     建築本来の土色、漆喰の白、椰子の緑に紺碧の空。本当に美しい世界観です。

  •  そんな美しいガダミス旧市街にも、廃墟的な部分も見つけました。

     そんな美しいガダミス旧市街にも、廃墟的な部分も見つけました。

  •  通路を跨ぐ様に建築が建てられています。この部分だけなら、イスラームの旧市街に良く見受けられる構造です。

     通路を跨ぐ様に建築が建てられています。この部分だけなら、イスラームの旧市街に良く見受けられる構造です。

  •  此方は、アーチを渡しただけのもの。いずれも、両側の構造物の倒壊を防ぐ為の補強として用いられると、共に、敵襲の際、門扉の役割も果たしました。現在となっては、街の景観の良いアクセントとなっています。

     此方は、アーチを渡しただけのもの。いずれも、両側の構造物の倒壊を防ぐ為の補強として用いられると、共に、敵襲の際、門扉の役割も果たしました。現在となっては、街の景観の良いアクセントとなっています。

  •  椰子畑で、炎天下の中、収穫を続けたガダミスの人々が、収穫物を運び、そして家路についただろう、美しい小径。私としては通勤時間が短くて羨ましい!

     椰子畑で、炎天下の中、収穫を続けたガダミスの人々が、収穫物を運び、そして家路についただろう、美しい小径。私としては通勤時間が短くて羨ましい!

  •  解説が遅くなってしまいましたが、ガダミスはいったい誰が造ったのか?ウィキペディアの冒頭が「ガダミスには7000人のトゥワレグ族が住む…」と言う紛らわしい文脈から始まるせいか、それに倣ったと思われる、ガダミスを解説するネット記事で、あたかもトゥワレグ族が建設したと記載されている記事を多く見かけますが、それは全くの間違いです。(ローカル・ガイドさんがキッパリと否定し、願わくば訂正を求められました。)

     解説が遅くなってしまいましたが、ガダミスはいったい誰が造ったのか?ウィキペディアの冒頭が「ガダミスには7000人のトゥワレグ族が住む…」と言う紛らわしい文脈から始まるせいか、それに倣ったと思われる、ガダミスを解説するネット記事で、あたかもトゥワレグ族が建設したと記載されている記事を多く見かけますが、それは全くの間違いです。(ローカル・ガイドさんがキッパリと否定し、願わくば訂正を求められました。)

  •  トゥワレグ族が、ガダミス周辺に暮らしている事は間違いありません。(夕刻彼等と出逢う。)しかし、彼等はガダミスから始まるトランスサハラ交易を行う重要な役割を担っていたものの、彼等はジンギス・ハーン同様遊牧民族であり、定住する為の集落を築く事はありませんでした。

    イチオシ

     トゥワレグ族が、ガダミス周辺に暮らしている事は間違いありません。(夕刻彼等と出逢う。)しかし、彼等はガダミスから始まるトランスサハラ交易を行う重要な役割を担っていたものの、彼等はジンギス・ハーン同様遊牧民族であり、定住する為の集落を築く事はありませんでした。

  •  私も訪問以前から、この情報を半信半疑でいたのですが、ガイドさんの強い否定でスッキリしました。本当ネット発の情報は真偽が定まりません。<br /><br /> トゥワレグ族の生活ルーチンからしても、これだけの定住施設を建造する事は不可解ですし、漆喰の使用の仕方一つ見ても?それより北部の洞窟住居を築いたベルベル人の技法に共通項を見出す事が出来ます。ガダミスは彼等定住型ベルベル人が建造したと見るのが妥当でしょう。

     私も訪問以前から、この情報を半信半疑でいたのですが、ガイドさんの強い否定でスッキリしました。本当ネット発の情報は真偽が定まりません。

     トゥワレグ族の生活ルーチンからしても、これだけの定住施設を建造する事は不可解ですし、漆喰の使用の仕方一つ見ても?それより北部の洞窟住居を築いたベルベル人の技法に共通項を見出す事が出来ます。ガダミスは彼等定住型ベルベル人が建造したと見るのが妥当でしょう。

  •  先程の廃墟の正面を訪れ、そうなってしまった経緯が判明しました。ガダミスはアルジェリアとチュニジアと国境が隣接していますが、第二次世界大戦当時その双方はフランスの植民地でした。一方リビアは枢軸国のイタリアに支配されていました。<br /><br /> その様な経緯から、ガダミスはフランス、アメリカ連合軍に攻撃を受けたのです。その時イタリア軍は撤収した後で、攻撃を受けて死傷したのは何の罪も無いガダミスの一般市民でした。その悲劇を忘れられない為にも、当時のまま廃墟として残されているのです。

     先程の廃墟の正面を訪れ、そうなってしまった経緯が判明しました。ガダミスはアルジェリアとチュニジアと国境が隣接していますが、第二次世界大戦当時その双方はフランスの植民地でした。一方リビアは枢軸国のイタリアに支配されていました。

     その様な経緯から、ガダミスはフランス、アメリカ連合軍に攻撃を受けたのです。その時イタリア軍は撤収した後で、攻撃を受けて死傷したのは何の罪も無いガダミスの一般市民でした。その悲劇を忘れられない為にも、当時のまま廃墟として残されているのです。

  •  漆喰で塗り固められた通路は、地下道と言うより、鍾乳洞的でもあります。機械では無く手で塗り固めらえる為、柔らか味があり自然を感じるので猶更です。

     漆喰で塗り固められた通路は、地下道と言うより、鍾乳洞的でもあります。機械では無く手で塗り固めらえる為、柔らか味があり自然を感じるので猶更です。

  •  再びあの独特の門構えのスペースに入りました。きっとモスクが近くにある筈です。普通の街なら、モスクに近づけば、ミナレットが目に入りますが、まるで地下道の様な構造のガダミスでは、この独特の門構えが唯一の目印です。

     再びあの独特の門構えのスペースに入りました。きっとモスクが近くにある筈です。普通の街なら、モスクに近づけば、ミナレットが目に入りますが、まるで地下道の様な構造のガダミスでは、この独特の門構えが唯一の目印です。

  •  まるで稲荷神社の鳥居の様に連続する門構えを潜りながら先に歩みを進めます。

     まるで稲荷神社の鳥居の様に連続する門構えを潜りながら先に歩みを進めます。

  •  右や左に緩やかに曲がりながら…。

     右や左に緩やかに曲がりながら…。

  •  一旦青空が見えるスペースに出ました。

     一旦青空が見えるスペースに出ました。

  •  そして案の定モスクがある広場に到達しました。

     そして案の定モスクがある広場に到達しました。

  •  本来男子禁制の筈の屋上に昇らせて頂きました。イスラームらしい幾何学紋様の連続が美しい

    イチオシ

     本来男子禁制の筈の屋上に昇らせて頂きました。イスラームらしい幾何学紋様の連続が美しい

  •  モスクある処に必ず広場が設けられております。モスクは他の宗教と違い聖性がありません。其処に神は存在しないからです。従って、礼拝が終われば、ムスリム達の社交場になります。市民センターと言う具合でしょうか。

     モスクある処に必ず広場が設けられております。モスクは他の宗教と違い聖性がありません。其処に神は存在しないからです。従って、礼拝が終われば、ムスリム達の社交場になります。市民センターと言う具合でしょうか。

  •  眼下には耕作地の椰子畑が迫ります。

     眼下には耕作地の椰子畑が迫ります。

  •  最後に今度は下からミナレットを見上げました。

     最後に今度は下からミナレットを見上げました。

  •  再び、地下道の様な、鍾乳洞の様な通路を伝い、その深淵に分け入っていきます。通路の薄暗さと圧迫感、そして其処から外界に出た時待ち受ける白壁と椰子の緑と紺碧の青空開放感。その繰り返しで構成される旧市街の散策は楽しくてたまらないです。

     再び、地下道の様な、鍾乳洞の様な通路を伝い、その深淵に分け入っていきます。通路の薄暗さと圧迫感、そして其処から外界に出た時待ち受ける白壁と椰子の緑と紺碧の青空開放感。その繰り返しで構成される旧市街の散策は楽しくてたまらないです。

  •  嗚呼吸い込まれていく様な…。

     嗚呼吸い込まれていく様な…。

  •  そして出口では、ブーゲンビリアが出迎えてくれました。

     そして出口では、ブーゲンビリアが出迎えてくれました。

  •  う~ん、正に楽園です。静寂に包まれた旧市街を巡る至福のひと時。

     う~ん、正に楽園です。静寂に包まれた旧市街を巡る至福のひと時。

  •  それにしても、訪れた今日が貸し切りで本当に良かった!一日ずれていたら、空港で出くわした、数組の欧州からの団体客と遭遇しながらの散策になってしまったに違いありません。

     それにしても、訪れた今日が貸し切りで本当に良かった!一日ずれていたら、空港で出くわした、数組の欧州からの団体客と遭遇しながらの散策になってしまったに違いありません。

  •  そもそも、ガダミスの旧市街は他の旧市街と違い、地下道の様な狭い通路が続き、団体客には適さない構造です。<br /><br /> 団体が数組バッティングしようものなら渋滞が発生し、彼等複数が嬌声を立てたなら、洞窟状の通路に反響し、神秘的な雰囲気は木っ端微塵にされてしまう事でしょう。

     そもそも、ガダミスの旧市街は他の旧市街と違い、地下道の様な狭い通路が続き、団体客には適さない構造です。

     団体が数組バッティングしようものなら渋滞が発生し、彼等複数が嬌声を立てたなら、洞窟状の通路に反響し、神秘的な雰囲気は木っ端微塵にされてしまう事でしょう。

  •  ヴェネツィアやバルセロナの様な都市に限らず、マチュピチュの様な遺跡でさえ、観光公害が大きな問題となっています。残念ながら我が国も例外ではありません。<br /><br /> 退避勧告と言うネガティブな環境が、皮肉にもこの都市を、観光公害と言う破壊行為から救っているのかも知れません。

     ヴェネツィアやバルセロナの様な都市に限らず、マチュピチュの様な遺跡でさえ、観光公害が大きな問題となっています。残念ながら我が国も例外ではありません。

     退避勧告と言うネガティブな環境が、皮肉にもこの都市を、観光公害と言う破壊行為から救っているのかも知れません。

  •  日に日に深刻化する観光公害にどう対処するか?観光税を爆上げするだけじゃ味気無いので、ビザ申請に入試システム導入して見ては如何でしょう?<br /><br /> 出題は、訪れる国の歴史や文化、レスペクトすべき常識や守るべきルール、基準点以下はビザ発給停止。私はそれがフェアだと思います。その場所に本当に訪れたいと願い、現地をレスペクトし、旅をする。そんな旅人にこそ、伝えたい、伝わって欲しいと願うからです。<br /><br /> では、皆様に出題です。私が今、感動と共に散策している、サハラ砂漠の真珠と呼ばれた街の名前は?<br /><br />1)カメデス<br />2)ガダミス<br />3)カメアリ

     日に日に深刻化する観光公害にどう対処するか?観光税を爆上げするだけじゃ味気無いので、ビザ申請に入試システム導入して見ては如何でしょう?

     出題は、訪れる国の歴史や文化、レスペクトすべき常識や守るべきルール、基準点以下はビザ発給停止。私はそれがフェアだと思います。その場所に本当に訪れたいと願い、現地をレスペクトし、旅をする。そんな旅人にこそ、伝えたい、伝わって欲しいと願うからです。

     では、皆様に出題です。私が今、感動と共に散策している、サハラ砂漠の真珠と呼ばれた街の名前は?

    1)カメデス
    2)ガダミス
    3)カメアリ

  •  ソフィア・ローレンさんが泊まった事があると言うホテル。

     ソフィア・ローレンさんが泊まった事があると言うホテル。

  •  馬等に水を与える場所だったそうです。此処までは馬、そして此処から駱駝に荷を積み替えて、サハラ砂漠に向かったのかもしれません。

     馬等に水を与える場所だったそうです。此処までは馬、そして此処から駱駝に荷を積み替えて、サハラ砂漠に向かったのかもしれません。

  •  貯水池のある正門付近に戻ってきました。

     貯水池のある正門付近に戻ってきました。

  •  イスラームらしい三角形の幾何学紋様が永遠と続く土壁に導かれ、散策を続けます。

     イスラームらしい三角形の幾何学紋様が永遠と続く土壁に導かれ、散策を続けます。

  •  灼熱の大地も、両側に生い茂る椰子の葉が、強烈な日差しから守ってくれます。

     灼熱の大地も、両側に生い茂る椰子の葉が、強烈な日差しから守ってくれます。

  •  小径を辿ると、散策開始直後に訪れたモスクが見えてきました。

     小径を辿ると、散策開始直後に訪れたモスクが見えてきました。

  •  と言う事は、楽しかったガダミス散策も後少しと言う事です。

     と言う事は、楽しかったガダミス散策も後少しと言う事です。

  •  出来る事なら、誰の力も借りず、この迷宮の様な街の中で、存分に迷っていたかったな…。

     出来る事なら、誰の力も借りず、この迷宮の様な街の中で、存分に迷っていたかったな…。

  •  往きと同様、やっぱり仰ぎ見てしまいます。

     往きと同様、やっぱり仰ぎ見てしまいます。

  •  シンプルながら、可愛らしい紋様。

     シンプルながら、可愛らしい紋様。

  •  今度は小さなアーチ越しにミナレットを仰ぎ見ます。

    イチオシ

     今度は小さなアーチ越しにミナレットを仰ぎ見ます。

  •  此方のモスクでも、階上に上がらせて頂き、目前にミナレットを拝みました。

     此方のモスクでも、階上に上がらせて頂き、目前にミナレットを拝みました。

  • ミナレットに、ガダミスに、お別れを告げます。

    ミナレットに、ガダミスに、お別れを告げます。

  •  ガダミス探訪のラストは、再びカフェで茶を嗜みます。

     ガダミス探訪のラストは、再びカフェで茶を嗜みます。

  •  ガダミス…。本当に映える街でした。でも、インスタ映えとかはしないで欲しい。見た目のキャッチーな部分だけ追い求める様な旅人さんにワンサカ来られてわ…。

     ガダミス…。本当に映える街でした。でも、インスタ映えとかはしないで欲しい。見た目のキャッチーな部分だけ追い求める様な旅人さんにワンサカ来られてわ…。

  •  この街の美しさの背後にある、この街独特の、いや世界で唯一の構造や、この街が栄えた原点にあるサハラ交易に思いを馳せて欲しい。私は、この街が、如何なる街であったとしても、この街を、訪れたと思います。サハラ交易の歴史を追って、この街を目指し続けていたからです。そして、多くの情報を得ずして、この街を訪れ、そして恋に堕ちました。<br /><br /> と思ったら…お別れの時です。

     この街の美しさの背後にある、この街独特の、いや世界で唯一の構造や、この街が栄えた原点にあるサハラ交易に思いを馳せて欲しい。私は、この街が、如何なる街であったとしても、この街を、訪れたと思います。サハラ交易の歴史を追って、この街を目指し続けていたからです。そして、多くの情報を得ずして、この街を訪れ、そして恋に堕ちました。

     と思ったら…お別れの時です。

  •  小さな窓、一つ一つに描かれた装飾が、可愛らしい。<br /><br />恋すりゃ、何だって、美しい。

     小さな窓、一つ一つに描かれた装飾が、可愛らしい。

    恋すりゃ、何だって、美しい。

  •  これにて旧市街の散策を、完了します。是迄リビアを含め、93の国々に訪れました。数えてはいないものの、千を超す街々を歩いて来たと思います。しかし、こんな構造の街を私は初めて見ました。それは珍しいだけに留まらず、酷暑地帯を生き抜く機知に富み、美しさも兼ね備えていました。<br /><br /> 是迄トンブクトゥ、シンゲッティそしてガルダイアと、トランスサハラ交易に活躍してきた街を追って旅してきました。そして最後の目標ガダミスに訪れる事が叶いました。15年、恋い焦がれたガダミスは最後を飾るに相応しい、それは、それは、可憐な街でした。

     これにて旧市街の散策を、完了します。是迄リビアを含め、93の国々に訪れました。数えてはいないものの、千を超す街々を歩いて来たと思います。しかし、こんな構造の街を私は初めて見ました。それは珍しいだけに留まらず、酷暑地帯を生き抜く機知に富み、美しさも兼ね備えていました。

     是迄トンブクトゥ、シンゲッティそしてガルダイアと、トランスサハラ交易に活躍してきた街を追って旅してきました。そして最後の目標ガダミスに訪れる事が叶いました。15年、恋い焦がれたガダミスは最後を飾るに相応しい、それは、それは、可憐な街でした。

  •  新市街に戻って来ました。新市街にはこれと言って観光すべき場所は無いのですが、ぶらりと歩いてみたかったです。しかし、現状のリビアではセキュリティ・ポリスと同伴での行動が求められている為、気儘にと言う訳にはいきません。

     新市街に戻って来ました。新市街にはこれと言って観光すべき場所は無いのですが、ぶらりと歩いてみたかったです。しかし、現状のリビアではセキュリティ・ポリスと同伴での行動が求められている為、気儘にと言う訳にはいきません。

  •  こうした部分では、イラク、アフガニスタンと退避勧告が出ている国々を旅してきましたが、イラクが一番自由に歩き周る事が出来ました。半面、街中に武装した軍隊が厳重に警戒態勢を取っていました。半面アフガニスタンやリビアでは、街中では殆ど武装した軍及び警官は見かけませんでした。

     こうした部分では、イラク、アフガニスタンと退避勧告が出ている国々を旅してきましたが、イラクが一番自由に歩き周る事が出来ました。半面、街中に武装した軍隊が厳重に警戒態勢を取っていました。半面アフガニスタンやリビアでは、街中では殆ど武装した軍及び警官は見かけませんでした。

  •  現代となってはガダミスの人々も、殆どが車を持っています。と言うか、リビアでは一切公共交通機関に出くわしませんでした。トリポリで少数のタクシーは見かけましたがバスは一切見ませんでした。都市間も、都市内もです。車が無いと生活出来そうにありません。例え、状況が改善して自由に旅行が出来る状態になったとしても、移動手段が整わないと、旅人はヒッチハイクでもしない限り、移動が出来ないでしょう。大問題です。

     現代となってはガダミスの人々も、殆どが車を持っています。と言うか、リビアでは一切公共交通機関に出くわしませんでした。トリポリで少数のタクシーは見かけましたがバスは一切見ませんでした。都市間も、都市内もです。車が無いと生活出来そうにありません。例え、状況が改善して自由に旅行が出来る状態になったとしても、移動手段が整わないと、旅人はヒッチハイクでもしない限り、移動が出来ないでしょう。大問題です。

  •  一際立派なこのモスクが新市街のグランド・モスクでしょう。意外な事にガダミス新市街のモスクは、伝統的な角柱状のミナレットより、細長いミナレットが主流でした。

     一際立派なこのモスクが新市街のグランド・モスクでしょう。意外な事にガダミス新市街のモスクは、伝統的な角柱状のミナレットより、細長いミナレットが主流でした。

  •  大、大、大満足でホテルに帰還です。でも私のガダミスは未だ終わりません。夕刻が迫れば、サハラ砂漠に別れを告げに向かいたいと思います。<br /><br /> 最期迄ご覧になってくださり、ありがとうございます。

     大、大、大満足でホテルに帰還です。でも私のガダミスは未だ終わりません。夕刻が迫れば、サハラ砂漠に別れを告げに向かいたいと思います。

     最期迄ご覧になってくださり、ありがとうございます。

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